特許第5906188号(P5906188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5906188範囲情報を使用したデジタル画像の輝度調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906188
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】範囲情報を使用したデジタル画像の輝度調整
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/00 20060101AFI20160407BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   G06T5/00 700
   H04N1/40 101E
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-522803(P2012-522803)
(86)(22)【出願日】2010年7月22日
(65)【公表番号】特表2013-501264(P2013-501264A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】US2010002070
(87)【国際公開番号】WO2011014236
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年5月24日
【審判番号】不服2015-1718(P2015-1718/J1)
【審判請求日】2015年1月29日
(31)【優先権主張番号】12/533,325
(32)【優先日】2009年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513077243
【氏名又は名称】インテレクチュアル ベンチャーズ ファンド 83 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ワン,セン
【合議体】
【審判長】 藤井 浩
【審判官】 渡邊 聡
【審判官】 清水 正一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−279546(JP,A)
【文献】 特開2008−288706(JP,A)
【文献】 特開2003−304562(JP,A)
【文献】 特開2001−5978(JP,A)
【文献】 特開2004−148704(JP,A)
【文献】 特開2004−282532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T5/00
H04N1/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整する方法であって、
当該方法は、データ処理システムにより少なくとも部分的に実行され、
あるシーンを表すデジタル画像を受信するステップと、
前記デジタル画像と関連されるレンジマップであって、基準となる既知の位置からの、前記シーンにおける画素の距離を含むレンジマップを特定するステップと、
前記レンジマップと前記デジタル画像との分析に少なくとも基づいて、前記基準となる既知の位置からの距離により前記デジタル画像の画素をグループ分けするクラスタマップを生成するステップと、
前記クラスタマップを使用して前記デジタル画像に適用されるオブジェクトセグメント化の動作により、前記デジタル画像における背景及び複数のオブジェクトを検出するステップと、
それぞれのオブジェクトについて輝度を調整する量を決定するステップであって、それぞれのオブジェクトの前記輝度を調整する量は、前記シーンの非一様な照明を補正するために決定され、画素値が露光量に比例する場合、定数乗算器により、前記画素値を非線形にスケーリングすることによって、前記輝度を調節する量が適用されるステップと、
プロセッサがアクセス可能なメモリシステムに前記輝度を調整する量を記憶するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれのオブジェクトの輝度を調整する量に応じて、前記デジタル画像において検出されたオブジェクトの輝度を調整するステップと、変更されたデジタル画像を前記プロセッサがアクセス可能なメモリシステムに記憶するステップとを更に含み、
前記変更されたデジタル画像は、調整されたオブジェクトの輝度を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記クラスタマップと前記デジタル画像の分析は、前記デジタル画像においてエッジを識別するステップと、識別されたエッジを前記画素のグループの境界と比較することで、
前記クラスタマップにおける前記画素のグループをグループ化し直すステップとを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
識別されたエッジは、前記画素のグループの境界との比較の前に重要ではないエッジを除くフィルタリング処理を受ける、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
それぞれのオブジェクトの輝度を調整する量は、前記基準となる位置からのそれぞれのオブジェクトの距離の分析に基づいて決定される、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
検出されたオブジェクトの輝度の調整の量は、前記検出されたオブジェクトにおけるそれぞれの画素の輝度パラメータであって、画素と視点との間の距離の関数である輝度パラメータを計算するステップと、前記輝度パラメータに応じて前記検出されたオブジェクトについて前記輝度を調整する量を決定するステップとにより少なくとも決定される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記輝度パラメータは、画素の位置又は局所的な画像の構造の関数である、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
それぞれのオブジェクトの前記輝度を調整する量は、ユーザからの入力により少なくとも部分的に決定される、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
視点の位置を識別するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記視点の位置は、前記基準となる位置である、
請求項記載の方法。
【請求項11】
前記レンジマップは、可視光、赤外光、超音波又はレーザ光を感知する測距カメラから受信される、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記レンジマップは、立体画像のペアの分析で特定される、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記デジタル画像は、デジタルカメラ又はスキャナにより捕捉される、
請求項1記載の方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項1記載の方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項15】
デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整するシステムであって、
受信装置を含む周辺システムと、
特定装置、生成装置、検出装置、及び決定装置を含むデータ処理システムと、
前記データ処理システムに通信可能に接続され、デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整する方法を前記データ処理システムに実行させる命令を記憶する記憶装置を備えるデータ記憶システムとを備え、
前記方法は、
あるシーンを表すデジタル画像を前記受信装置が受信するステップと、
前記デジタル画像と関連されるレンジマップであって、基準となる既知の位置からの、前記シーンにおける画素の距離を含むレンジマップを前記特定装置が特定するステップと、
前記レンジマップと前記デジタル画像との分析に少なくとも基づいて、前記基準となる既知の位置からの距離により前記デジタル画像の画素をグループ分けするクラスタマップを前記生成装置が生成するステップと、
前記クラスタマップを使用して前記デジタル画像に適用されるオブジェクトセグメント化の動作により、前記デジタル画像における背景及び複数のオブジェクトを前記検出装置が検出するステップと、
それぞれのオブジェクトについて輝度を調整する量を前記決定装置が決定するステップであって、それぞれのオブジェクトの前記輝度を調整する量は、前記シーンの非一様な照明を補正するために決定され、画素値が露光量に比例する場合、定数乗算器により、前記画素値を非線形にスケーリングすることによって、前記輝度を調節する量が適用されるステップと、
前記輝度を調整する量を適用して、前記デジタル画像において検出されたオブジェクトの輝度を調整し、調整されたオブジェクトの輝度を有する変更されたデジタル画像を形成するステップと、
前記調整されたオブジェクトの輝度を有する前記変更されたデジタル画像の、前記記憶装置による記憶又は出力を行うステップと、
を含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像のエンハンスメントに関するものであり、より詳細には、範囲情報を使用したデジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの画像形成システムでは、露光量及び輝度を最適化することが望まれる。しかし、露光量及び輝度のため、捕捉された画像が満足されるものではないことがある。
【0003】
多くのデジタル画像形成システムで生じる共通の問題は、画像が暗すぎるか又は明るすぎることである。これらの問題は、デジタル画像捕捉装置における露光制御システムにより導入される誤差から生じることがある。デジタル画像の輝度を改善するために多くの方法が開発されている。係る技術は、「シーンバランスアルゴリズム」と呼ばれることがある。シーンバランスアルゴリズムは、それらの結果の精度と同様に、それらの複雑度においてばらつきが大きい。これらのアルゴリズムは、必要とされる輝度及びカラーバランス補償の適切なレベルを決定するため、画像における全体的な露光レベル及び相対的な色信号レベルの分布を分析することを典型的に含む。
【0004】
従来の輝度調整方法の例は、米国特許第4101217号、米国特許第4707119号、米国特許第4984013号、米国特許第4945406号、米国特許第5016043号、米国特許第6636646号、米国特許第6845181号、米国特許第7129980号及び米国特許第7289154号に記載されている。
【0005】
従来のシーンバランスアルゴリズムは、画像全体にグローバルな輝度及びカラーバランス調整を適用する。画像の一部のみが暗すぎること又は明るすぎることに何度も苦しむ。例えば、影の部分におけるオブジェクト、又はフラッシュ画像の背景におけるオブジェクトは暗くなりすぎ、フラッシュ画像の前景における画像は明るくなりすぎる場合がある。米国特許第6275695号及び米国特許第7043090号は、異なる輝度調整が異なる画像部分に適用されるように、画像のトーンスケールを調整する方法を記載している。トーンスケールの調整は、2次元デジタル画像の分析に基づいている。これらのアルゴリズムは、トーンスケールの調整量がオブジェクトにおいて一定である場合に、アーチファクトに苦しむことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大部分の従来の輝度調整方法は、従来の2次元デジタル画像の分析に基づいて輝度補正値を決定する。米国特許出願公開第2007/0126921号は、画像の範囲情報を使用する露光及びトーンスケール調整を記載する。この方法によれば、所定の重要なオブジェクトを含む可能性がある画像領域に更なる重要性を課す重み付け関数を決定するために範囲情報が使用される。次いで、重み付け関数は、画像の全体の露光の調整量を決定するために使用される。この方法は画像の主要な被写体が適切に露光される可能性を高めるが、この方法は、画像における異なるオブジェクトが異なる露光の調整を必要とする場合があるという問題に対処するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整する方法を提供するものであり、当該方法は、データ処理システムにより少なくとも部分的に実現され、あるシーンを表すデジタル画像を受信すること、デジタル画像に関連する範囲の情報であって、基準となる位置からの前記シーンへの距離を含む範囲の情報を識別すること、範囲の情報とデジタル画像の分析に少なくとも基づいて、基準となる位置からの距離によりデジタル画像の画素をグループ分けするクラスタマップを生成すること、クラスタマップ及びデジタル画像の分析に少なくとも基づいて、デジタル画像における複数のオブジェクトを検出すること、それぞれのオブジェクトも輝度調整量を決定すること、及び、プロセッサがアクセス可能なメモリシステムに輝度調整量を記憶することを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、範囲情報を使用することで、複数のオブジェクトが検出され、改善された精度でグループ化することができることである。さらに、それぞれのオブジェクトの輝度は、個別に調節することができる。
更なる利点は、オブジェクトの輝度は、例えばフラッシュ照明に関連する低下のため、非一様のシーンの照明を考慮するために調節可能なことである。
ユーザインタフェースは、それぞれのオブジェクトについて輝度調整量を個別に指定するためのユーザ入力を提供することができる。
上述された実施の形態に加えて、更なる実施の形態は、図面を参照し、以下の詳細な記載を読むことで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面と共に考慮され、以下に定義される例示的な実施の形態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
図1】本発明の実施の形態に係る、デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整するシステムのコンポーネントを示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るデジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整する方法を例示するフローチャートである。
図3図2に示されるオブジェクトを検出するステップの更なる詳細を例示するフローチャートである。
図4図3に示されるクラスタマップを作成するステップの更なる詳細を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、本明細書で記載される実施の形態の組み合わせを含む。「特定の実施の形態」等に対する参照は、本発明の少なくとも1つの実施の形態に存在する特徴を示す。「実施の形態」又は「特定の実施の形態」等に対して個別に参照することは、必ずしも、同じ実施の形態を示すものではないが、係る実施の形態は、特に断りがないか又は当業者にとって容易に明らかでない限り、相互に排他的なものではない。「方法」を対する参照における単数及び/又は複数等の使用は、限定するものではない。
本明細書で使用される記載「デジタルコンテンツレコード」は、デジタル静止画、デジタルオーディオファイル、デジタルビデオファイル等のようなデジタルコンレンツのレコードを示す。
なお、特に明示的に記載されないか又は文脈により要求されない限り、単語「又は」は排他的な意味でこの開示において使用される。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る、デジタル画像におけるオブジェクトの輝度を調整するシステムのコンポーネントを示す図である。本システムは、データ処理システム10.周辺システム20、ユーザインタフェースシステム30、及びデータストレージシステム40を含む。周辺システム20、ユーザインタフェースシステム30及びデータストレージシステム40は、データ処理システム10に通信可能に接続される。データ処理システム10は、1以上のデータ処理装置を含み、このデータ処理装置は、本発明の様々な実施の形態の処理を実現するものであり、本実施の形態に記載される図2図3及び図4の例示的なプロセスを含む。記載「データ処理装置」又は「データプロセッサ」は、中央処理装置(CPU)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メインフレームコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、Blackberry(登録商標)、デジタルカメラ、携帯電話、或いは、電気的、磁気的、光学的、生体学的コンポーネントで実現されるか否かを問わず、データを処理し、データを管理し又はデータを操作する他の装置のような、データ処理装置を含むことが意図される。
【0012】
データストレージシステム40は、本実施の形態で記載される図2図3及び図4の例示的なプロセスを含め、本発明の様々な実施の形態のプロセスを実行するために必要とされる情報を含めて、情報を記憶するために構成される1以上のプロセッサがアクセス可能なメモリを含む。データストレージシステム40は、複数のコンピュータ及び/又は装置を介してデータ処理システム10に通信可能に接続される複数のプロセッサがアクセス可能なメモリを含む、分散プロセッサアクセス可能なメモリシステムである。他方で、データストレージシステム40は、分散されたプロセッサがアクセス可能なメモリシステムである必要はなく、結果的に、単一のデータプロセッサ又は装置に位置される1以上のプロセッサがアクセス可能なメモリを含む。
【0013】
記載「プロセッサがアクセス可能なメモリ」とは、揮発性又は不揮発性、電子的、磁気的、光学的、或いは、限定するものではないがレジスタ、フロプティカルディスク、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、フラッシュメモリ、ROM及びRAMを含むものであるか否かを問わず、プロセッサがアクセス可能なデータストレージデバイスを含むことが意図される。
【0014】
記載「通信可能に接続される」とは、データが伝達される装置間、データプロセッサ又はプログラム間で、有線であるか無線であるかを問わず、任意のタイプの接続を含むことが意図される。さらに、記載「通信可能に接続される」とは、単一のデータプロセッサにおける装置間又はプログラム間の接続、異なるデータプロセッサに位置される装置又はプログラム間の接続、データプロセッサに位置されない装置間の接続を含むことが意図される。この点に関して、データストレージシステム40はデータ処理システム10とは個別に示されているが、当業者であれば、データストレージシステム40はデータ処理システム10に完全に含まれるか又は部分的に含まれる場合があることを理解されるであろう。さらに、この点に関して、周辺システム20及びユーザインタフェースシステム30はデータ処理システム10とは個別に示されているが、当業者であれば、係るシステムの一方又は両方がデータ処理システム10に完全に記憶されるか又は部分的に記憶される場合があることを理解されるであろう。
【0015】
周辺システム20は、データ処理システム10にデジタルコンテンツのレコードを提供する1以上の装置を含む。例えば、周辺システム20は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話又は他のデータプロセッサを含む。データ処理システム10は、周辺システム20における装置からデジタルコンテンツのレコードの受信に応じて、データストレージシステム40に係るデジタルコンテンツのレコードを記憶する。
【0016】
ユーザインタフェースシステム30は、マウス、キーボード、別のコンピュータ、データがデータ処理システムに入力される装置又は装置の組み合わせを含む。この点に関して、周辺システム20はユーザインタフェースシステム30とは個別に示されているが、周辺システム20は、ユーザインタフェースシステム30の一部として含まれる場合がある。
【0017】
また、ユーザインタフェース30は、表示装置、プロセッサがアクセス可能なメモリ、又はデータがデータ処理システム10により出力される装置又は装置の組み合わせを含む場合がある。この点に関して、ユーザインタフェースシステム30及びデータストレージシステム40が図1において個別に示されているが、ユーザインタフェースシステム30がプロセッサによりアクセス可能なメモリを含む場合、係るメモリは、データストレージシステム40の一部である場合がある。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係るデジタル画像における輝度を最適化する方法を例示するフローダイアグラムである。あるシーンを表すデジタル画像103は、デジタル画像を受信するステップ102で受信される。デジタル画像103は、デジタルカメラ又はスキャナにより捕捉される。代替的に、デジタル画像は、ビデオカメラにより捕捉されるビデオ系列のフレームである場合がある。
【0019】
範囲情報を識別するステップ104において、デジタル画像103に関連される範囲情報105が識別される。範囲情報105は、既知の基準となる位置から、そのシーンにおける画素の距離を含む。所与の範囲情報に対して視点の位置が識別される必要がある。通常、視点の位置は、基準となる位置である。範囲情報105は、シーンにおける画素への距離を決定するため、可視光、赤外線、レーザ光又は超音波を使用するレンジングカメラにより提供されるレンジマップの形式で提供されることが好ましい。代替的に、レンジマップは、複数の視点からあるシーンの画像を捕捉すること、及びそのシーンにおけるオブジェクト相対的な位置を評価することで範囲情報を決定することを含む立体画像処理技術を使用して提供される。レンジマップがデジタル画像103とは異なる次元(すなわち行数及び列数)を有する場合について、レンジマップは、同じ次元を有するように補間されることが好ましい。
【0020】
オブジェクトを検出するステップ106で、複数のオブジェクト107は、少なくとも範囲情報105の分析に基づいてデジタル画像で検出される。輝度調整を決定するステップ108では、それぞれのオブジェクトの輝度調整量は、カメラの位置である、視点からのそれぞれのオブジェクトの距離を考慮する分析を使用して決定される。デジタル画像におけるそれぞれの画素は、補間された範囲マップにより示されるように、視点からのその対応する距離に基づいた輝度パラメータαを受信する。
【0021】
【数1】
α(x,y)は、デジタル画像における位置(x,y)における画素の輝度パラメータであり、dis(x,y)は、視点からこの画素の距離であり、f()は、べき関数、多項式関数又は指数関数のような線形関数又は非線形関数である。例えば、フラッシュシーンにおける非一様な照明による輝度の違いを補正するため、f()関数は、遠くのオブジェクトが明るく、近くのオブジェクトが暗くされるように、露光が公知の「逆二乗の法則」の関係に従って低下する事実を補償するように設計される。
【0022】
オブジェクトを検出するステップ106において検出されたそれぞれのオブジェクトの輝度調整量γは、以下のように、それぞれの画素について輝度パラメータの値α(x,y)の平均を取ることで決定される。
【0023】
【数2】
γjは、j番目のオブジェクトの輝度調整量であり、mは、j番目のオブジェクトにおける画素数である。
【0024】
範囲の値に基づく輝度パラメータα(x,y)に加えて、更なる輝度パラメータも使用することができる。例えば、更なる輝度パラメータは、画像における画素の位置に基づくことができる(例えばデジタル画像のエッジ近くの画素の明るさは、画像におけるレンズの低下を考慮するために増加する場合がある)。同様に、更なる輝度パラメータは、局所的な画像の構造に基づくことができる(例えば高いエッジの勾配を有する画像の位置にある画素又は画像の位置の近くにある画素の輝度は増加する場合がある)。
【0025】
本発明の別の変形例では、検出されたオブジェクト107について輝度調整量は、ユーザインタフェースを有するデジタル画像編集アプリケーションを使用してユーザにより指定することができる。ユーザインタフェースは、ユーザが、検出されたオブジェクト107のうちの1つを選択することでユーザ入力を提供し、例えばスライドバーを使用して所望の輝度調整量を指定することを可能にする。輝度調整量は、オブジェクト107に適用され、プレビュー画像は、新たな輝度レベルを示してユーザに提示される。ユーザにより指定された輝度調整量は、自動的に決定された輝度調整量に対して補足となることができるか、又は代替的に、指定された輝度調整量は、オリジナルのデジタル画像103において調整されていないオブジェクトの輝度に対して指定することができる。
【0026】
任意の輝度調整を変更するステップ109では、それぞれのオブジェクトの輝度調整が他の要素に応じて変更される(図2における破線は任意の特徴を示す)。例えば、どのオブジェクト107が人物に対応するかを識別するために画像分析アルゴリズムを使用することができ、これに応じて輝度調整を変更することができる。結果として得られる輝度調整110は、輝度調整を記憶するステップ111を使用してプロセッサがアクセス可能なメモリシステムに記憶される。
【0027】
デジタル画像103におけるそれぞれのオブジェクトの輝度は、それぞれのオブジェクトの輝度調整を適用するステップ110により調整される。画像の輝度を変更する方法は、当該技術分野において知られている。本発明の好適な実施の形態では、デジタル画像103の画素値が露光量の対数を表すとき、輝度調整110は、オフセットを画素値に線形に付加することで適用される。同様に、デジタル画像103の画素値が露光量に比例するとき、定数乗算器により画素値を非線形にスケーリングすることで、輝度調整110が適用される。何れのケースにおいても、輝度調整110は、シーンにおける光量をスケーリングする物理的なプロセス(例えば光源の照明を暗くするか又は明るくする)をモデル化する。輝度調整110は、他のやり方で適用することもできる。例えば、オブジェクトのL*(明度)又はY(輝度)は、デジタル画像103がCIELAB色空間にあるか又はYCrCb輝度-色度色空間にあるときにシフトされるか又は非線形に変更される。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態に係る、図2で示されたオブジェクトを検出するステップ106の更なる詳細を例示するフローチャートである。デジタル画像103及び範囲情報105は、入力として供給される。クラスタマップを生成するステップ202では、範囲情報105及びデジタル画像103の分析に基づいて、クラスタマップ203が生成される。クラスタマップを生成するステップ202の更なる詳細は、図4を参照して以下に記載される。オブジェクトを検出するステップ204では、以下の式に従って、クラスタマップ203及びデジタル画像103を結合することでデジタル画像103で検出される。
【0029】
【数3】
関数f()は、クラスタマップ203を使用してデジタル画像Iに適用されるオブジェクトセグメント化の動作である。デジタル画像Iは、デジタル画像103である。関数f()は、同じ距離を有するクラスタマップ203における画素を識別し、次いでデジタル画像における対応する画素を対応するオブジェクト107に割り当てることで機能する。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態によれば、図3に示されるクラスタマップを生成するステップ202の更なる詳細を説明するフローチャートである。デジタル画像103と、レンジマップを含む範囲情報105とは、先に記載されたように提供される。画素をクラスタリングするステップ304では、レンジマップにおける画素は、“Dominant Sets and Pairwise Clustering”(IEEE Transactions on Pattern Analysis & Machine Intelligence, Vol.29, No.1, January 2007, pp.167-172)に記載される方法のようなクラスタリングアルゴリズムを使用することでクラスタリングされる。この方法で生成されたクラスタグループは、多くのノイズを典型的に有する。クラスタノイズを生成するステップ306は、小さなホールを充填して小さなクラスタ領域を除く形態方法を使用してクラスタノイズを低減するために使用される。
【0031】
エッジを識別するステップ308を使用して、デジタル画像におけるエッジが検出される。本発明の好適な実施の形態では、勾配演算を使用してエッジが識別される。画像の勾配は、以下のように定義される。
【0032】
【数4】
I(x,y)は位置(x,y)での画素の強度である。勾配ベクトルの大きさは、以下に示される。
【0033】
【数5】
それぞれの画素における勾配の大きさに基づいて、デジタル画像におけるエッジが検出される。
【0034】
つぎに、エッジをフィルタリングするステップ310は、検出されたエッジをフィルタリングして、重要でないエッジを除き、重要なエッジを保持するために使用される。数学的に、フィルタリング演算は、以下のように表される。
【0035】
【数6】
eは検出されたエッジのうちの1つであり、S(e)はエッジにおけるそれぞれの画素の勾配の大きさの合計であり、fはフィルタマスクであり、Tは閾値である。
【0036】
クラスタノイズを低減するステップ306により生成された画素クラスタは、典型的に、レンジマップにおけるノイズのために境界領域においてエラーをなお有する。クラスタを改善(リファイン)するステップ312は、クラスタのグループをリファインし、クラスタマップ203を生成するために使用される。クラスタグループの境界は、エッジをフィルタリングするステップ310において計算された重要なエッジを使用することでリファインされる。画素がそれぞれのクラスタグループにおいて検出された重要なエッジの外にある場合、これらの画素が除かれる。これは、クラスタのグループの境界をより正確にする。つぎに、平均距離nは、以下のように、リファインされたクラスタグループのそれぞれにおいて計算される。
【0037】
【数7】
ここでmはクラスタグループwにおける画素数であり、dis(i)はi番目の画素の視点の位置までの距離である。平均の距離をクラスタグループにおけるそれぞれの画素に割り当てることで、クラスタマップが生成される。
【0038】
例示的な実施の形態は本発明を例示するものであって、上述された実施の形態の多くの変形例は、本発明の範囲から逸脱することなしに当業者により創作されることを理解されたい。従って、全ての係る変形例は以下の特許請求の範囲及びそれらの等価な概念の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
10:データ処理システム
20:周辺システム
30:ユーザインタフェースシステム
40:データストレージシステム
102:デジタル画像を受信するステップ
103:デジタル画像
104:範囲情報を識別するステップ
105:範囲情報
106:オブジェクトを検出するステップ
107:オブジェクト
108:輝度調整量を決定するステップ
109:輝度調整量を変更するステップ
110:輝度調整
111:輝度調整量を記憶するステップ
202:クラスタマップを生成するステップ
203:クラスタマップ
204:オブジェクトを検出するステップ
304:画素をクラスタリングするステップ
306:クラスタノイズを低減するステップ
308:エッジを識別するステップ
310:エッジをフィルタリングするステップ
312:クラスタをリファインするステップ
図1
図2
図3
図4