【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ウレタンポリマー系コーティングがエアバッグ上にのみある場合、この下地コーティングの表面特性により、ブロッキング(保管の際および自動車にエアバッグをぎっしり詰めた際、特に高い環境温度で、ウレタンポリマーコーティングされた表面が互いに付着する現象)や、エアバッグ膨張時の非常に高いストレスを生じる。エアバッグ膨張時のストレスは、膨張時の裂けや、または織物からのウレタンポリマー下地の剥離による不具合が生じる。エアバッグ製造の際、ウレタンポリマーでコーティングされた織物をロール状に保管する場合、ウレタンポリマー表面の間のブロッキングも問題となる。
【0010】
米国特許第5945185号明細書には、シロキサン含有量5−40重量%であるシリコーン変性熱可塑性ポリウレタン樹脂から製造されたエアバッグが記載されている。前記エアバッグは、ブロッキングの危険性が低いが、乗り物の製造業者は被コーティング織物エアバッグを使用することが好ましい。
【0011】
米国特許第6239046号明細書は、編物、織物または不織の繊維基材を、粘着性ポリウレタン層とその上のエラストマー性ポリシロキサン層でコーティングされていることが記載されている。空気を保持することに優れていて、耐熱性に優れたエア・カーテンまたはエアバッグは、その後、被コーティング繊維基材から形成される。
【0012】
米国特許第6177365号および第6177366号明細書には、少なくとも2つの互いに離間した層を有するエアバッグコーティングが記載されている。エアバッグ表面と接触する第1層目(下地)には、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアミド、ブチルゴム、水素化ニトリルゴムまたはエチレン酢酸ビニル共重合体のノンシリコン組成物が含まれる。第2層目(上塗り)は、シリコーン材料である。
【0013】
さらに、有機樹脂系の下地、特にウレタンポリマー系下地またはアミノ樹脂とともに硬化した下地に、硬化性液体シリコーンゴムの上塗りを塗布することで、不快な悪臭が放出されることが見出された。
【0014】
本発明の1つの態様によると、有機樹脂でコーティングされたエアバッグは、有機ポリマーバインダーに分散した少なくとも1の固体潤滑剤を含む、ブロッキング防止コーティングで上塗りされている。
【0015】
本発明の他の態様によると、バッグまたは織物が有機樹脂でコーティングされたエアバッグまたはエアバッグ織物をコーティングするプロセスは、エアバッグが少なくとも1の分散した固体潤滑剤の水分散液を含む、ブロッキング防止コーティング組成物で上塗りされていることを特徴とする。
【0016】
ブロッキング防止コーティングに存在する固体潤滑剤には、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマー、ポリオレフィンワックス等の固体炭化水素ワックス(例えば微粉化されたポリプロピレンワックス)またはPTFEおよびワックスの混合物を含む。固体潤滑剤は、付加的にまたは選択的にタルク等の無機系潤滑剤を含んでいてもよく、無機化合物系の潤滑剤としては、タルクミクロスフィア、モンモリロナイト、二硫化モリブデン、黒鉛、硫化亜鉛またはリン酸三カルシウムまたはこれら2以上の混合物の形態が使用できる。無機系潤滑剤、例えばタルクおよびモンモリロナイトは、エアバッグ表面でブロッキングを減少するのに効率的であり、PTFEを固体潤滑剤の一部または全部を置換するために使用することができる。
【0017】
フッ素ポリマーおよびタルクの組み合わせは、コーティングされたエアバッグ表面のブロッキングを減少させるために特に効率的であることを見出した。
【0018】
水性分散液由来の有機樹脂を含む組成物で前もってコーティングされたエアバッグまたはエアバッグ織物は、それぞれ、固体潤滑剤コーティング組成物を塗布することが好ましい。コーティング組成物は、固体潤滑剤のエアバッグ織物の付着性を高めるため、通常はバインダーを要する。バインダーは、例えば有機ポリマーバインダーである。有機ポリマーバインダーの好適例としては、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、ビニル樹脂(例えばポリビニルブチラール)およびポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリウレタンの好適例としては、ポリエステルポリオールと芳香族ジイソシアナートまたは脂肪族ジイソシアナートの共重合体が挙げられる。フェノール樹脂の好適例としては、フェノールとホルムアルデヒドの共重合体およびフェノール、ホルムアルデヒドおよびクレゾールの共重合体が挙げられる。エポキシ樹脂の好適例は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの共重合体である。したがって、エアバッグ織物の表面に存在するコーティングは、有機ポリマーバインダーに分散した固体潤滑剤を含む。有機ポリマーバインダーのレベルは、例えばブロッキング防止コーティング組成物(乾燥量基準)の2または3重量%〜50重量%、即ち、乾燥量基準で潤滑性コーティング組成物の2〜50重量%、或いは3〜50重量%である。有機ポリマーバインダーのレベル
は、例えばコーティング組成物の(乾燥量基準)5または10重量%〜35重量%、即ち5〜35重量%、或いは10〜35重量%が通常好適である。組成物の総重量%は、常に合計して100%とする。コーティングの乾燥量基準での組成物の参考範囲は、水および共溶媒の重量を除いて算出された重量を意味する。
【0019】
本発明の好ましい一態様において、前もって有機樹脂を含む組成物でコーティングされたエアバッグ織物に塗布されたブロッキング防止コーティング組成物は、固体潤滑剤の水性分散液、例えばフッ素ポリマーおよび/またはタルクまたはモンモリロナイトが有機ポリマーバインダー中に分散している。有機ポリマーバインダー分散液は、必要に応じて水性混和性の有機共溶媒を含む水性溶液であるか、または、水性エマルジョン若しくは懸濁液である。係るエマルジョンまたは懸濁液は、通常、少なくとも1つの界面活性剤で安定化され、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤、およびこれらの2つ以上のもの、から選択される混合物である。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルエトキシレート(エトキシル化脂肪アルコール)またはアラルキルエトキシレート、例えば(t−オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノールが挙げられる。適当なアニオン性界面活性剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0020】
ブロッキング防止コーティングは、有機ポリマーバインダー分散液中に固体潤滑剤を分散させるか、固体潤滑剤の分散液を有機ポリマーバインダー分散液と混合させるか、または固体潤滑剤の分散液中に有機ポリマーバインダーを分散させて調製される。前記方法を組み合わせて用いてもよく、例えばフッ素ポリマー固体潤滑剤の分散剤は、有機ポリマーバインダーおよび無機系潤滑剤と混合することができ、例えば生成される懸濁液にタルクを混合してもよい。
【0021】
ブロッキング防止コーティング組成物は、乾燥量基準で、好ましくは3または5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、90重量%以下、より好ましくは80重量%以下の固体潤滑剤を含み、例えば、3〜90重量%、3〜80重量%、5〜90重量%、5〜80重量%、10〜90重量%、或いは10〜80重量%の固体潤滑剤を含む。例としては、乾燥量基準で50
重量%または60
重量%の固体潤滑剤を含む組成物が挙げられる。最も好ましくは、織物のブロッキング防止コーティングは、20または30重量%以上、75または85重量%以下の固体潤滑剤を含む。
コーティングは、例えば乾燥量基準で3〜50重量%
の有機ポリマーバインダーを含むことができる。組成物の総量を100%とする。
【0022】
無機系潤滑剤、例えばタルクの量は、保管の際、実質的にタルクが沈降を生じないように、あまり多くしないことが好ましい。PTFE固体潤滑剤を含有するか、含有しないコーティングに存在するタルクの量は、PTFE固体潤滑剤と共に存在する場合、乾燥量基準で
コーティングの好ましくは5または10重量%〜30または40重量%、例えば5重量%〜30重量%、5重量%〜40重量%、10重量%〜30重量%、或いは10重量%〜40重量%であり、PTFE固体潤滑剤の非存在下において80または90重量%以下、例えば5重量%〜90重量%、5重量%〜80重量%、10重量%〜90重量%、或いは10重量%〜80重量%である。エアバッグに粉末としてタルクを塗布し、ブロッキングを阻害する場合、本発明によるブロッキング防止コーティング中のタルクの使用は、ダスト・コントロールに伴う課題を回避する。
【0023】
ブロッキング防止コーティング組成物は、接着促進剤を含み、コーティングの接着性を改良し、有機樹脂系のコーティングを硬化する。好ましい接着促進剤としては、エポキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシアルキルトリアルコキシシラン、メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン等の(アルク)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシランまたは(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、N−フェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−メチルアミノメチル−ジメトキシメチルシラン、N−エチルアミノメチルジメトキシ−メチルシラン、N−プロピルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N−ブチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、(メタクリロイル−オキシメチル)−ジメトキシメチルシラン、N−(ジメトキシメチル−シリルメチル)−O−メチルカルバミン酸、アミノメチルジメトキシメチルシランをマイケル受容体、例えばマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホン酸アリルエステル、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1−ニトロエチレンと反応させたマイケル付加反応の生成物、クネーファナーゲル縮合の生成物であって、例えばマロン酸ジエステルおよびホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒド等のアルデヒドを含む。エポキシおよびアルコキシ官能基を有する有機ケイ素化合物、例えば米国特許第3,455,877号明細書(参照して援用する)に記載されているものを使用してもよい。アルコキシラジカルは、すべて同一であっても異なっていてもよく、通常、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシラジカルから選択され、例えばメトキシまたはエトキシがある。任意の他の置換基が存在する場合は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基から選択することが好ましい。適切なシランとしては、例えば9−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシランが挙げられる。接着促進剤は、好ましくはコーティング組成物の配合物に5重量%までで存在し、例えば0.2重量%から1重量%までまたは0.5重量%から1重量%までである。
【0024】
ブロッキング防止コーティング組成物は、硬化した有機樹脂系下地コーティング上に広がりやすくするため、湿潤剤を含有する。好ましい湿潤剤の1種としては、シロキサンポリエーテル、特にポリエーテル基が水酸基末端であるポリオキシエチレンシロキサン、他にはシリコーングリコールとして既知のものが挙げられる。該湿潤剤としては、アルキルシロキサン基と関連のあるアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基を含むシロキサン化合物であって、前記アルキル基は1−6個の炭素原子を含むものが挙げられる。これらは好ましくは低分子量の化合物であり、好ましくは2〜8個のケイ素原子を含む。例えば、湿潤剤は、1〜3個のアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(i)および1〜4個のアルキル−シロキサン基(ii)を含む。或いは、湿潤剤は、1個のアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(i)および2個のアルキル(一般的にメチル−および/またはエチル)−シロキサン基(ii)を含有するトリシロキサンでもよい。好ましくはアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(ii)中のエチレンオキシ(EO)単位の平均数は、5〜12である。好ましくはアルキルポリ(エチレンオキシ)シロキサン基(ii)の末端ユニットは、アセトキシ、ヒドロキシルまたはアルコキシユニット(例えばメトキシ)である。例えば、下式の構造の化合物である。
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、n=3−20、R=H,CH
3,CH
3CH
2,CH
3CO)
【0027】
他のR基
を使用してもよく、Si原子とEO鎖の間のアルキル鎖の長さは1〜12個の炭素原子
であってもよく、例えば3個の炭素原子
の場合、それによりSi原子とEO鎖の間にはプロピル結合が形成される。好ましい例としては、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ポリエトキシプロピル−トリシロキサンが挙げられるが、これに限定されるものではない。湿潤剤は、好ましくはコーティング組成
物に10重量%以下
の配合で、例えば0.5重量%
〜3重量%または1重量%〜3重量%
で存在する。
【0028】
ブロッキング防止コーティング組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。エアバッグは、燃焼を支持するものでないことが重要であり、エアバッグに適用される厳しい可燃性試験を通過するため、通常は、特に下地がシリコーンでなく有機樹脂の場合、エアバッグは、難燃剤の添加を必要とする。上塗りへの難燃剤の使用が最も効果的である。好ましい難燃剤の例は、アルミナ三水和物であり、好ましくは表面処理されていないものである。ブロッキング防止コーティング組成物は、例えば5〜40重量%のアルミナ三水和物を含む。織物へのコーティングは、例えば乾燥量基準で5〜55
重量%のアルミナ三水和物を含む。
【0029】
ブロッキング防止コーティングが無機潤滑剤、例えばタルクを含む場合、それは増粘剤を含んでいてもよく、これによりタルクの沈降が阻害される。増粘剤としては、例えばヒュームド・シリカ、ベントナイト粘土またはポリビニルアルコール等のポリマー増粘剤が挙げられる。増粘剤は、好ましくはコーティング組成物中の配合物に乾燥量基準で5重量%以下、例えば0.2重量%〜1重量%または0.5重量%〜1重量%存在する。
【0030】
ブロッキング防止コーティングを、グラビア印刷、オフセット印刷、キス・ロール等のロール塗布によって、またはカーテン塗布によって、エア・アシステッドスプレー若しくはエアレス・スプレー等のスプレーによって、またはロール式ナイフ塗布によって、被コーティングエアバッグまたは被コーティングエアバッグ織物に塗布することができる。通常、ロール塗布が、均一に、低いコーティング量でコーティングするのに効果的な方法として好ましい。グラビア印刷における織物に塗布されるコーティング組成物の量は、ロール上への圧力および/またはエッチング部分の表面からの深さによって異なる。ブロッキング防止コーティングは、好ましくは硬化性有機樹脂系コーティングに乾燥量基準で1g/m
2〜10g/m
2または1g/m
2〜15g/m
2までのコーティング量で塗布される。1g/m
2または2g/m
2未満のコーティング量が、ブロッキングの防止に有効であることを見出した。
【0031】
ブロッキング防止コーティング組成物中の水性希釈剤(水と、水と混合した任意の共溶媒)の量は、コーティングに求められる粘度およびコーティング量にしたがって調整することができる。通常、コーティング組成物は、固形成分含有量20〜75重量%、水性希釈剤80〜25重量%を総量100%に含む。
【0032】
エアバッグまたはエアバッグ織物に下地として塗布される有機樹脂系組成物は、上述された特許に記載された一般的な有機樹脂系コーティングである。好ましい有機樹脂の1種としては、ポリウレタンがある。ポリウレタン系コーティングは、織物に硬化する反応性ポリウレタンであって、例えばヒドロキシル基またはアミン基とイソシアネート基の反応、または熱可塑性ポリウレタンである。硬化性または熱可塑性のいずれかのポリウレタンは、一般的にポリイソシアネートとポリオールの生成物である。ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコールジオール、ポリエステル−ポリエーテルジオール、ポリカーボネート−ポリエーテルジオール、シリコーン−ポリエーテルジオールまたはポリアクリレートを含むヒドロキシル基等のポリエーテルジオールでもよい。ポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートでもよいが、好ましくは脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネートである。有機樹脂系コーティングは、米国特許第7543843号明細書に記載されているように、アクリレート、ビニルおよび/またはシリコーンと混合されたポリウレタンを含むハイブリッドウレタンである。前記有機樹脂系コーティングは、様々な上塗り塗料で上塗りした場合、臭気問題を生じるが、本発明によるブロッキング防止コーティングを用いると臭気問題もなく、上塗りできることを見出した。
【0033】
或いは、下地は、アミノ樹脂、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂によって硬化可能なペンダントヒドロキシル基を有する硬化性ポリアクリレート、またはエチレン酢酸ビニルの共重合体を含んでいてもよい。下地は、有機樹脂、例えばポリアクリレートまたはエチレン酢酸ビニルとポリウレタンとの共重合体の混合物でもよい。
【0034】
有機樹脂系コーティングが硬化性の場合、一般的に、ブロッキング防止コーティングの塗布前に硬化されるが、別のプロセスにおいては、ブロッキング防止コーティング組成物は、非硬化性有機樹脂系コーティング上に塗布され、有機樹脂系コーティング組成物およびブロッキング防止コーティング組成物の組み合わせを熱硬化してもよい。
【0035】
ブロッキング防止コーティングが硬化性有機樹脂系コーティング上に塗布される場合、潤滑性コーティングは環境温度で硬化させてもよく、高温、例えば50〜200℃、特に100〜150℃で、より素早く硬化させてもよい。高温で硬化させる方法の一つは、有機樹脂系被膜の加熱硬化直後に、ブロッキング防止コーティングを、加熱した基材上、例えば被コーティングエアバッグまたはエアバッグ織物に塗布する工程を備える。
【0036】
本発明のブロッキング防止コーティングは、コーティングされた織物の表面のブロッキング、即ち保管の際および自動車にエアバッグをぎっしり詰めた際、コーティングされた表面が、互いに付着する現象を阻害する。前記ブロッキングは、エアバッグを膨張させたとき、非常に高いストレスを生じ、裂け、または、織物からのシリコーン系コーティングの剥離といった不具合を生じる。ブロッキング防止コーティングは、乗り物が使用される移動中に、コーティングされたエアバッグ表面での摩擦を減少させ、エアバッグの圧力保持を減少させるエアバッグの磨滅を減少させることができる。
【0037】
本発明のエアバッグの上塗りとしてのブロッキング防止コーティングの使用は、不快な臭いを生じることはない。本発明のブロッキング防止コーティングをウレタンポリマー系コーティング、例えば米国特許第7543843号明細書に記載されているようにアクリレート、ビニルおよび/またはシリコーンとウレタンポリマーを含むハイブリッドウレタン樹脂の混合物に塗布した場合、悪臭またはアンモニア臭が放出されない。
【0038】
本発明のブロッキング防止コーティングは、エアバッグの透過性または外観に有害な影響もなく、ブロッキングを阻害し、不快な臭いを防ぐ。ブロッキング防止コーティングは、特にブロッキング防止コーティングのコーティング量が5g/m
2超の場合、空気圧を失うことに対するエアバッグのシーリングの上昇にいくらか有利である。ブロッキング防止コーティングは、下地との作用によって、色変化を生じることはない。
【0039】
好ましくは、本明細書に記載されたエアバッグは、特にエアバッグへの利用に実用的であり、織物エンベロープ内で比較的長時間、例えば5秒超、特に自動車産業用のサイド・カーテン・エアバッグにおいては、加圧ガスを保持する必要がある。サイド・カーテン・エアバッグは、従来のエアバッグと同様に、衝撃の際、膨張するように設計される。サイド・カーテンは、開いて、クッション性のあるカーテンを、乗客および車体の側面、例えば窓の間に形成する。従来の運転席用および乗客用エアバッグの場合のように単に衝突そのものの衝撃に対するクッション性のみを意図するものではなく、乗客を保護するを意図しており、例えば車の走行中、サイド・カーテン・エアバッグが十分に加圧されることが重要である。従来の運転席用および乗客用エアバッグは、一瞬、適度な圧力を保有していればよいが、サイド・カーテン・エアバッグは、数秒間、適度な圧力を保持することが望ましい。一定のガス圧力を比較的長期間保持するため加圧された織物構造が望まれる場合として、例えば航空用の緊急避難用シュートまたはゴムボートに同様に応用される。したがって、シリコーンゴムコーティング量が少なく、しかし、優れた気密性を備え、柔軟性と耐熱性を有する被コーティング織物が望まれている。