【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における通信端末装置と回線網及び外付電話機との接続を示す図である。
【0011】
電話回線網等の回線網1には、複数の通信端末装置2(=2−1,2−2,・・・,2−n)が接続されている。回線網1は、例えば、通信端末装置2−1の回線端子7に接続され、その通信端末装置2内の回線制御部3と接続されている。回線制御部3は、スキャナ部4と印刷部5とに接続されている。
【0012】
通信端末装置2−1は、原稿をスキャナ部4で読み取り、回線制御部3を介して読み取った原稿のデータをファクシミリとして相手側の通信端末装置2−2〜2−nへ送ると共に、スキャナ部4でコピーとして読み取った原稿を印刷部5にて印刷する装置である。更に、通信端末装置2−1は、相手側の通信端末装置2−2〜2−nのスキャナ部4が読み取った原稿のデータをファクシミリとして受け取った場合、回線制御部3を介して印刷部5にて印刷する。
【0013】
スキャナ部4は、原稿を読み取ってデータを出力するものであり、ファクシミリとして読み取って原稿のデータを回線制御部3へ出力すると共に、コピーとして読み取った原稿のデータを印刷部5へ出力するものである。更に、スキャナ部4は、表示部4aを有し、この表示部4aは、回線制御部3から与えられる情報に基づいて、操作ガイドや報知情報等を表示する。
【0014】
外付電話機6は、通信端末装置2−1の電話端子8と接続され、その通信端末装置2−1内の回線制御部3を介して、回線網1と接続されている。この外付電話機6は、回線制御部3を介して相手側の通信端末装置2−2〜2−nに接続された電話機との会話で使用される。
【0015】
回線端子7は、回線網1と接続される通信ケーブルの差込口であり、電話端子8は、外付電話機6と接続されるケーブルの差込口である。
【0016】
図1は、本発明の実施例1における通信端末装置2の構成の概略を示すブロック図である。
通信制御部10は、通信端末装置2中の回線制御部3の全体を制御するものであり、回線電圧測定指示部11と、回線電圧判断部12と、直流ループ形成指示部13と、直流ループ検出部としての直流ループ形成判断部14と、オンフックデータモード指示部15と、ダイヤルトーン検定部16と、誤接続判断部17と、リレー駆動部18と、を有している。
【0017】
回線電圧測定指示部11は、モデム20内の制御用のインタフェース(以下「I/F」という。)21と接続され、シリコンDAA30に直流ループ形成部35で計測される回線電圧の測定を指示する。回線電圧判断部12は、直流ループ形成指示部13とモデム20内のI/F21と接続され、測定された回線電圧をある閾値と比較して、閾値以上の場合、回線端子7か電話端子8のいずれかに回線網1が接続されていると判断し、閾値未満の場合、いずれにも回線網1が接続されていないと判断するものである。
【0018】
直流ループ形成指示部13は、モデム20内の制御I/F21と誤接続判断部17とに接続され、直流ループ形成部35で回線網1の直流ループ状態を捕捉する指示又は、回線網1の直流ループ状態を開放する指示をするものである。
【0019】
直流ループ形成判断部14は、モデム20内の制御I/F21とオンフックデータモード指示部15と誤接続判断部17とに接続され、シリコンDAA30内の直流ループ測定部33で測定された情報より直流ループ形成部35にて回線網1の直流ループが形成されたか否かを判断するものである。
【0020】
オンフックデータモード指示部15は、モデム20内の制御I/F21及び直流ループ形成判断部14と接続され、シリコンDAA30を回線網1から見て高インピーダンス状態で回線網1からの信号を検出させるオンフックデータモードにするように指示するものである。
【0021】
尚、シリコンDAA30は、通常、入力インピーダンスを600Ω等の所定のインピーダンスにして回線網1とマッチングさせて回線信号を検出するが、オンフックデータモードでは、600Ωより高いインピーダンス(例えば、1MΩ)でシリコンDAA30に回線信号を検出するものである。
【0022】
ダイヤルトーン検定部16は、モデム20内の制御I/F21と誤接続判断部17とに接続され、オンフックデータモードになったシリコンDAA30が受信したダイヤルトーン信号を検定するものである。誤接続判断部17は、直流ループ形成判断部14及びダイヤルトーン検定部16からの情報により、誤接続されてしている否かを判断するものである。
【0023】
リレー駆動部18は、直流ループ形成部35が回線網1の直流ループ状態を捕捉したり、回線網1の直流ループ状態を開放する際に、電話端子8に接続されたリレー接点38をオンオフ制御するものである。
【0024】
モデム20は、回線網1からの回線信号を通信制御部10で処理が可能にレベル変換したり、通信制御部10からの信号を回線網1に送出するものであり、I/F21とI/F22とを有する。I/F22は、I/F21と絶縁受渡部23とを接続する。I/F21は、通信制御部10とモデム20との信号のやり取りのためのインタフェースである。I/F22は、モデム20とシリコンDAA30との信号のやり取りのためのインタフェースである。絶縁受渡部23は、回線網1の1次側と2次側を直流的に分離するものであり、モデム20内のI/F22とシリコンDAA30内のI/F31とを接続している。
【0025】
シリコンDAA30は、回線網1とモデム20とを接続し、信号の送出や受信を行うものであり、I/F31と回線電圧測定部32と直流ループ測定部33とリング検出部34とを有する一般的な構成である。シリコンDAA30内のI/F31は、回線電圧測定部32と直流ループ測定部33とリング検出部34と直流ループ形成部35とに接続されている。
【0026】
I/F31は、回線網1からの回線信号をモデム20へ伝えたり、モデム20からの信号を回線網1へ送出したりするインタフェースである。回線電圧測定部32は、直流ループ形成部35に接続され、直流ループ形成部35で接続される回線電圧を測定する。直流ループ測定部33は、直流ループ形成部35に接続され、直流ループ形成部35で捕捉された直流ループ状態の電圧を測定するものである。
【0027】
リング検出部34は、絶縁受渡部36を介してダイオードブリッジ37に接続されている。リング検出部34は、通常、回線網1から到来するリング信号を受信するが、ここでは、オンフックデータモードになったシリコンDAA30の回線網1からの回線信号、特にダイヤルトーン信号を受信する。直流ループ形成部35は、ダイオードブリッジ37の正(+)極とダイオードブリッジ37の負(−)極とをシリコンDAA30の接地端子(グランド)に接続され、回線網1の直流ループ状態を保持する。
【0028】
ダイオードブリッジ37の交流入力側Aと交流入力側Bは、回線端子7と絶縁受渡部36とリレー接点38とに接続される。ダイオードブリッジ37は、回線網1の直流の極性を直流ループ形成部35に合わせるもので、回線網1の極性の有無に拘わらず、直流ループ形成部35に一方向の直流電流が供給される。絶縁受渡部36は、回線網1からの直流成分をカットしリング検出部34に交流成分のみを供給して、リング検出部34にリング信号を検出させたり、オンフックデータモードでの回線網1からのダイヤルトーン信号を受信させたりする。
【0029】
リレー38は、電話端子8と接続され、通信端末装置2が待機状態の場合、
図1に示された状態で、ユーザが外付電話機6を使用できる。ファクシミリ通信等を行う場合、リレー38を動作させて、外付電話機6を回線網1から切り離し、外付電話機6の送話器からのノイズ等がシリコンDAA30を通じて、モデム20に侵入しないようにするものである。
【0030】
スキャナ部4が有する表示部4aは、通信制御部10内の誤接続判断部17と接続され、誤接続判断部17が誤接続状態と判断した場合、誤接続の警告を表示するものである。
【0031】
(実施例1の動作)
先ず、(I)比較例の構成及び動作を説明した後に、(II)誤接続無し、且つ直流ループが検出された場合と、(III)誤接続無し、且つ直流ループが検出されない場合と、(IV)誤接続有りの場合と、に分けて、実施例1の動作について説明する。
【0032】
(I) 比較例の構成及び動作
図3は、比較例における通信端末装置2Aの構成の概略を示すブロック図であり、実施例1を示す
図1と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0033】
比較例の通信端末装置2Aは、実施例1の通信制御部10とは構成及び機能が異なる通信制御部10Aを有している。通信制御部10Aは、実施例1の通信制御部10と同様の回線電圧測定指示部11と、回線電圧判断部12と、直流ループ形成指示部13と、直流ループ形成判断部14と、誤接続判断部17と、リレー駆動部18と、を有するが、実施例1の通信制御部10が有するオンフックデータモード指示部15及びダイヤルトーン検定部16を有していない。比較例の通信端末装置2Aのその他の構成は、実施例1の通信端末装置2の構成と同様である。
【0034】
比較例の通信端末装置2Aでは、直流ループ形成指示部13の指示に従い、直流ループ形成部35が直流ループの形成を試みる。これに対し、直流ループ形成判断部14は、直流ループが形成されたか否かを判断し、直流ループ未検出の場合、直流ループ未検出の信号を誤接続判断部17へ出力する。誤接続判断部17は、直流ループ形成判断部14から直流ループ未検出の信号が入力されると、誤接続と判断し、スキャナ4内の表示部4aへ誤接続である旨の報知信号を出力する。
【0035】
しかし、直流ループ形成判断部14において、直流ループ未検出であっても、直流電流が極端に少ないために、直流ループ未検出である等の誤接続ではない場合があり、比較例の通信端末装置2Aでは、誤接続の検出が確実に行えない場合があった。そこで、
図1に示された本発明の実施例1の通信端末装置2の構成を採用した。
【0036】
(II) 誤接続無し、且つ直流ループが検出された場合
図4は、実施例1における誤接続無し、且つ直流ループが検出された場合の動作を示すタイムチャートであり、
図5は、実施例1における誤接続無し、且つ直流ループ検出の場合の動作説明のためのブロック図である。
【0037】
図1及び
図5を参照しつつ、
図4に示された動作タイムチャートに沿って、「誤接続無し、且つ直流ループが検出された場合」の動作を説明する。
【0038】
先ず、時刻T1において、回線電圧測定指示部11が、回線電圧の測定を指示する。即ち、回線電圧測定指示部11は、モデム20内の制御I/F21及びI/F22と、絶縁受渡部23と、シリコンDAA30内のI/F31とを通して、直流ループ形成部35へ電圧測定を指示する。
【0039】
時刻T2において、回線電圧測定部32は、直流ループ形成部35の回線電圧をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22と制御I/F21とを通して、回線電圧判断部12に伝える。時刻T3において、回線電圧判断部12は、取得した回線電圧の情報をある閾値と比較して、その閾値以上の場合、回線電圧検出と判断して次の動作に移行する。閾値未満の場合、回線電圧未検出と見なし、ケーブルが外れていると判断して、次の動作に移行しない。この場合、一定時間経過後に、通常の待機状態に戻る。
【0040】
時刻T4において、回線電圧検出と判断した場合、直流ループ形成指示部13は、モデム20内の制御I/F21とI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35に直流ループ形成を指示する。時刻T5において、直流ループ形成部35は、直流ループを形成する。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー接点38を動作させて、直流ループが形成される。その時の接続状態が
図5に示されている。
図5中のリレー38接点を見ると、電話端子8側の端子は、回線網1から切り離されて、非接続(NC)端子と接続され、外付電話機6は、通信端末装置2から切り離されている。
【0041】
時刻T6において、直流ループ測定部33は、直流ループ形成部35で形成された直流電流の情報を、I/F31と絶縁受渡部23とI/F22とI/F21とを通して、直流ループ形成判断部14に伝える。時刻T7において、直流ループ形成判断部14は、直流ループ形成と判断し、その情報を誤接続判断部17に伝える。時刻T8において、誤接続判断部17では、直流ループ形成と判断された情報より、誤接続と判断しない。
【0042】
更に、時刻T9において、直流ループ形成指示部13は、直流ループ形成部35に直流ループを開放するように指示する。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー接点38をオフし、外付電話機6が回線網1と接続された通常の待機状態に戻る。
【0043】
(III) 誤接続無し、且つ直流ループが検出されない場合
図6は、実施例1における誤接続無し、且つ直流ループが未検出の場合の動作を示すタイムチャートであり、
図7は、実施例1における誤接続無し、且つ直流ループが未検出の場合の動作説明のためのブロック図である。
【0044】
図1及び
図7を参照しつつ、
図6に示された動作タイムチャートに沿って、「誤接続無し、且つ直流ループが未検出の場合」の動作を説明する。
【0045】
先ず、時刻T1において、回線電圧測定指示部11は、回線電圧の測定を指示する。即ち、回線電圧測定指示部11は、モデム20内のI/F21及びI/F22と、絶縁受渡部23と、シリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35の電圧測定を指示する。時刻T2において、回線電圧測定部32は、直流ループ形成部35の回線電圧をI/F31と絶縁受渡部23と、I/F22及びI/F21を通して、回線電圧判断部12に伝える。
【0046】
時刻T3において、回線電圧判断部12は、取得した回線電圧の情報をある閾値と比較して、その閾値以上の場合、回線電圧検出と判断して次の動作に移行する。閾値未満の場合、回線電圧未検出と見なし、ケーブルが外れていると判断して、次の動作に移行しない。この場合、所定時間経過後に、通常の待機状態へ戻る。
【0047】
時刻T4において、回線電圧検出と判断した場合、直流ループ形成指示部13は、モデム20内のI/F21及びI/F22と、絶縁受渡部23と、シリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35に直流ループ形成を指示する。時刻T5において、直流ループ形成部35は、直流ループを形成する。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー38をオンして、直流ループが形成される。その時の状態が
図7に示されている。
図7に示された状態において、回線網1の電流値が非常に低い場合、シリコンDAA30にて回線電流が流れていると判断できない場合がある。
【0048】
時刻T6において、直流ループ測定部33は、直流ループ形成部35で形成された直流電流の情報をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22及びI/F21を通して、直流ループ形成判断部14へ伝える。この情報は、回線電流が流れていると判断できないものである。
【0049】
時刻T7において、直流ループ形成判断部14は、直流ループ形成と判断せず、その情報をオンフックデータモード指示部15へ伝える。時刻T8において、オンフックデータモード指示部15は、モデム20内のI/F21及びI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、シリコンDAA30をオンフックデータモードにする。
【0050】
時刻T9において、オンフックデータモードになったシリコンDAA30は、高インピーダンスの状態で回線網1からのダイヤルトーン信号を取得する。時刻T10において、ダイヤルトーン信号は、絶縁受渡部36を通り、リング検出部34で受信される。時刻T11において、ダイヤルトーン信号が、I/F31と絶縁受渡部23とI/F22及び制御I/F21を通して、ダイヤルトーン検定部16へ伝えられ、ダイヤルトーン検定を行う。検定OKとなり誤接続判断部17へ伝えられる。ダイヤルトーン検定NGとなった場合には、回線を開放し、所定時間経過後に、通常の待機状態へ戻る。
【0051】
時刻T12において、誤接続判断部17は、ダイヤルトーン検定OKと判断された情報より、誤接続と判断しない。時刻T13において、直流ループ形成指示部13は、直流ループ形成部35に直流ループを開放するように指示する。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー接点38をオフし、通常の待機状態に戻る。
【0052】
(IV) 誤接続有りの場合
図8は、実施例1における誤接続有りの場合の動作を示すタイムチャートであり、
図9は、実施例1における誤接続有りの場合の動作説明のためのブロック図である。
【0053】
図1及び
図9を参照しつつ、
図8に示されたタイムチャートに沿って、「誤接続有りの場合」の動作を説明する。
【0054】
先ず、時刻T1において、回線電圧測定指示部11は、回線電圧の測定を指示する。即ち、回線電圧測定指示部11は、モデム20内のI/F21及びI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35の電圧測定を指示する。
【0055】
時刻T2において、回線電圧測定部32は、直流ループ形成部35の回線電圧をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22及び制御I/F21を通して、回線電圧判断部12に伝える。時刻T3において、回線電圧判断部12は、取得した回線電圧の情報をある閾値と比較して、その閾値以上の場合、回線電圧検出と判断して次の動作に移行する。閾値未満の場合、回線電圧未検出と見なし、ケーブルが外れていると判断して、次の動作に移行しない。この場合、所定時間経過後に、通常の待機状態に戻る。
【0056】
時刻T4において、回線電圧検出と判断した場合、直流ループ形成指示部13は、モデム20内のI/F21及びI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35に直流ループ形成を指示する。
【0057】
時刻T5において、直流ループ形成部35は、直流ループの形成を試みる。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー38をオンして、直流ループが形成されようとする。この時の接続状態が
図9に示されている。
図9に示された接続状態において、回線端子7に接続されているのは外付電話機6なので、直流ループが形成されない。
【0058】
時刻T6において、直流ループ測定部33が、直流ループ形成部35で形成された直流電流の情報をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22及び制御I/F21を通して、直流ループ形成判断部14へ伝える。時刻T7において、直流ループ形成判断部14は、直流ループ未形成と判断し、その情報をオンフックデータモード指示部15に伝える。時刻T8において、オンフックデータモード指示部15は、モデム20内のI/F21及びI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、シリコンDAA30をオンフックデータモードにする。
【0059】
時刻T9において、オンフックデータモードになったシリコンDAA30は、高インピーダンスの状態で回線網1からの信号を取得する。時刻T10において、回線網1から取得された回線信号は、絶縁受渡部36を通り、リング検出部34で受信される。時刻T11において、回線網1から取得された回線信号は、I/F31と絶縁受渡部23とI/F22及び制御I/F21を通して、ダイヤルトーン検定部16へ伝えられダイヤルトーン検定が行われる。検定NGとなり誤接続判断部17へ伝えられる。もし、ダイヤルトーンOKとなった場合は、何かのノイズ等が考えられる。この場合、回線網1を開放し、所定時間経過後に、通常の待機状態へ戻る。
【0060】
時刻T12において、誤接続判断部17は、ダイヤルトーン検定NGと判断された情報より、誤接続と判断する。時刻T13において、誤接続有りと判断したので、スキャナ部4内の表示部4aは、誤接続の警告を表示して、ユーザに注意を喚起して正常な接続への改めるように促す。
【0061】
更に、直流ループ形成指示部13は、直流ループ形成部35に直流ループ状態を開放するように指示する。通信制御部10内のリレー駆動部18が、リレー接点38をオフにし、通常の待機状態へ戻る。
【0062】
(実施例1の効果)
本発明の実施例1における通信端末装置2及びこれを用いた誤接続検出方法によれば、直流ループ検出と、オンフックデータモードでのダイヤルトーン信号の検定と、を組み合わせて、回線端子7及び/又は電話端子8に対して、電話回線1及び/又は外付電話機6が誤接続された誤接続状態を判断するようにしている。そのため、回線の電流が非常に低く、シリコンDAA30にて回線電流が流れているか否かを判断できない場合にも、シリコンDAA30をオンフックデータモードにしてダイヤルトーン信号を検定することにより、誤接続状態か否かの判断を確実に行うことができ、更に、ユーザに誤接続の警告を通知することにより正常接続を促す効果が得られる。
【実施例2】
【0063】
(実施例2の構成)
図10は、本発明の実施例2における誤接続有りの場合の通信端末装置2Bの構成の概略を示すブロック図であり、実施例1を示す
図1と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
図10に示された通信端末装置2B中の回線制御部3Bは、実施例1と同様の
図1に示された回線制御部3に対して、実施例1のリレー駆動部18とは機能が異なるリレー駆動部18Aによりオンオフ制御されるリレー接点39とリレー接点40とが新たに追加されている。
【0065】
一方のリレー接点39には、ダイオードブリッジ37の交流入力側Aと絶縁受渡部36とリレー38、及び、回線端子7とリレー40、及び電話端子8が接続されている。他方のリレー接点40は、ダイオードブリッジ37の交流入力側Bと絶縁受渡部36とリレー38、及び、回線端子7とリレー40、及び電話端子8に接続されている。
【0066】
リレー接点39とリレー接点40は、通常、
図10に示されているようにオフ状態であるが、誤接続有りと判断された場合、実施例1のリレー駆動部18とは機能の異なるリレー駆動部18Aによりリレー接点39,40をオン状態に駆動して、誤接続状態を正常な接続状態にするものである。実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0067】
(実施例2の動作)
実施例2の動作の内、「誤接続無し、且つ直流ループが検出された場合」の動作と、「誤接続無し、且つ直流ループが検出されない場合」の動作は、実施例1の動作と同様であるので、「誤接続有りの場合」の動作について以下説明する。
【0068】
図11は、実施例2における誤接続有りの場合の動作を示すタイムチャートであり、
図12は、実施例2における誤接続有りの場合の通信端末装置2Bの構成の概略を示すブロック図であり、更に、
図13は、実施例2における誤接続を検知して誤接続を正しい接続状態へ自動修正した場合の通信端末装置2Bの構成の概略を示すブロック図である。
【0069】
図10、
図12、
図13を参照しつつ、
図11に示されたタイムチャートに基づいて、実施例2の「誤接続有りの場合」の動作を説明する。
【0070】
先ず、時刻T1において、回線電圧測定指示部11は、回線電圧の測定を指示する。即ち、回線電圧測定指示部11は、モデム20内のI/F21及びI/F22と、絶縁受渡部23と、シリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35の電圧測定を指示する。
【0071】
時刻T2において、回線電圧測定部32は、直流ループ形成部35の回線電圧をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22及び制御I/F21を通して、回線電圧判断部12へ伝える。時刻T3において、回線電圧判断部12は、取得した回線電圧の情報をある閾値と比較して、その閾値以上の場合、回線電圧検出と判断して次の動作に移行する。閾値未満の場合、回線電圧未検出と見なし、ケーブルが外れていると判断して、次の動作に移行しない。この場合、所定時間経過後に、通常の待機状態へ戻る。
【0072】
時刻T4において、回線電圧検出と判断した場合、直流ループ形成指示部13は、モデム20内のI/F21及びI/F22と絶縁受渡部23とシリコンDAA30内のI/F31を通して、直流ループ形成部35に直流ループ形成を指示する。時刻T5において、直流ループ形成部35は、直流ループを形成しようとする。その時の接続状態が
図12に示されている。
図12において、リレー接点38がオン状態にしている。しかし、回線端子7に接続されているのは外付電話機6なので、直流ループは形成されない。
【0073】
時刻T6において、直流ループ測定部33は、直流ループ形成部35で形成された直流電流の情報をI/F31と絶縁受渡部23とI/F22及びI/F21を通して、直流ループ形成判断部14へ伝える。時刻T7において、直流ループ形成判断部14は、直流ループ形成とは判断せず、その情報をオンフックデータモード指示部15へ伝える。
【0074】
時刻T8において、オンフックデータモード指示部15は、モデム20内のI/F21及びI/F22と、絶縁受渡部23と、シリコンDAA内のI/F31を通して、シリコンDAA30をオンフックデータモードにする。時刻T9において、オンフックデータモードになったシリコンDAA30は、高インピーダンスの状態で回線網1からの回線信号を取得する。
【0075】
時刻T10において、回線網1から取得した回線信号は、絶縁受渡部36を通り、リング検出部34で受信される。時刻T11において、回線網1から取得した回線信号が、I/F31と絶縁受渡部23と、I/F22及びI/F21を通して、ダイヤルトーン検定部16へ伝えられ、ダイヤルトーン検定を行う。検定NGとなり誤接続判断部17へ伝えられる。もし、ダイヤルトーンOKとなった場合は、何かのノイズ等が考えられる。この場合、回線を開放し、所定時間経過後に、通常の待機状態へ戻る。
【0076】
時刻T12において、誤接続判断部17は、ダイヤルトーン検定NGと判断された情報より、誤接続状態と判断する。時刻T13において、誤接続判断部17は、誤接続状態と判断したので、直流ループ形成指示部13に直流ループ状態を開放させる。通信制御部10B内のリレー駆動部18Aは、リレー接点38をオフ状態にする。時刻T14において、通信制御部10B内のリレー駆動部18Aは、リレー接点39及び40をオン状態にする。この状態が
図13に示されている。
【0077】
その後、時刻T1〜時刻T9の処理を実行して、回線端子7及び(/又は)電話端子8と回線網1及び(/又は)外付電話機6との接続状態を再確認するようにしても良い。
【0078】
(実施例2の効果)
本発明の実施例2によれば、実施例1の構成に、新たに、誤接続状態と判断された場合に接続状態を反転するリレー39及び40が追加されている。そのため、実施例1の効果に加え、更に、誤接続状態と判断された場合、リレー接点39及び40をオン状態することにより、自動的に正常な接続状態に切り替えることが可能となる。
【0079】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形例が可能である。この利用形態や変形例として、例えば、次の(1)、(2)のようなものがある。
【0080】
(1) 本発明の実施例1、2の通信端末装置2,2Bでは、スキャナ部4と印刷部5とが装置に内蔵されているとして説明したが、別々に設けられたスキャナ部4と印刷部5とを回線網1を介して接続した通信システムにも適用可能である。
【0081】
(2) 本発明の実施例1、2の通信端末装置として、ファクシミリ装置を例にして説明したが、本発明は、ファクシミリ機能内蔵電話機、複合機等の電話回線網に接続して使用する装置で、外付電話機を接続できる装置にも適用することができる。