(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906211
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】加熱調理容器
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20160407BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
A47J37/06 366
A47J27/00 101B
A47J27/00 101D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-82023(P2013-82023)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-200627(P2014-200627A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 健次
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
(72)【発明者】
【氏名】相墨 智
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利沙
【審査官】
長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−142314(JP,A)
【文献】
特開2010−172351(JP,A)
【文献】
特開2005−237464(JP,A)
【文献】
特開昭59−105425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を入れる上方開放した容器本体と、容器本体を閉蓋する蓋体とを備え、加熱源により加熱される加熱庫内に前面開口部から出し入れ自在に収容されて食材の加熱調理に使用可能な加熱調理容器であって、
容器本体は、加熱庫内において前面開口部方向と直交する両側方に設けられている下部加熱源により左右の側方から加熱され、
蓋体と容器本体との閉蓋状態では、下部加熱源からの熱気を容器本体内へ取り込む熱気取り込み部が形成され、
蓋体には、容器本体内の食材を加熱した熱気を容器本体外へ排出させる逃し孔が設けられ、
上記熱気取り込み部は、容器本体の上端縁と蓋体との間の隙間によって形成され、
上記容器本体の上部には、左右にそれぞれ外周から張り出す本体用取っ手が設けられ、
上記各本体用取っ手には、下方から上昇する下部加熱源の熱気を通過させる熱気通過孔と、当該本体用取っ手の上面外周部に立設する突条部とが設けられ、
上記蓋体には、本体用取っ手の熱気通過孔から通過上昇する下部加熱源の熱気を熱気取り込み部へ導くように外周から張り出す庇部が設けられている加熱調理容器。
【請求項2】
食材を入れる上方開放した容器本体と、容器本体を閉蓋する蓋体とを備え、加熱源により加熱される加熱庫内に前面開口部から出し入れ自在に収容されて食材の加熱調理に使用可能な加熱調理容器であって、
容器本体は、加熱庫内において前面開口部方向と直交する両側方に設けられている下部加熱源により左右の側方から加熱され、
蓋体と容器本体との閉蓋状態では、下部加熱源からの熱気を容器本体内へ取り込む熱気取り込み部が形成され、
蓋体には、容器本体内の食材を加熱した熱気を容器本体外へ排出させる逃し孔が設けられ、
上記蓋体は、加熱庫内の上部に設けた上部加熱源により加熱されるとともに、中央部以外に設けた複数の逃し孔を通して上部加熱源の熱を容器本体内に直接導入し且つ中央部が内側に膨出する凸部となって上部加熱源の加熱による輻射熱を容器本体内に放射する構成とする加熱調理容器。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理容器において、
上記蓋体は、中央部に筒形状の蓋体用取っ手が設けられ、この蓋体用取っ手の筒形状と連続して上記逃し孔が形成されている加熱調理容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱源により加熱される加熱庫内に収容して食材の加熱調理に使用することができる加熱調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスコンロ等に備えるグリルは、主として焼き網を設置して魚や肉などの焼き調理に使用されるが、食材を入れた加熱調理容器を加熱庫内に収容させて煮炊き調理や蒸し調理にも使用されている(特許文献1、特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−42075号公報
【特許文献2】特開2008−104545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、グリルにおいて焼き網に魚や肉などを載せて焼き調理すると、加熱庫内が食材の油などで汚れ、食材の臭いが残り、その後の清掃が煩わしい。そこで、グリルにおいて加熱調理容器を使用して魚や肉などの食材の焼き調理を行えることが望まれる。
しかしながら、蓋付きの加熱調理容器を使用して魚や肉などの食材を焼き調理しようとすると、食材の下面側は加熱調理容器の底面に接して上手く焼けるが、上面側は加熱調理容器とは接触せず、しかも蓋体で覆われて熱気が遮られるために焼け難く、それゆえに食材の上面にも焼き色がついてこんがり焼き上げることが難しかった。また、加熱調理容器内の空間はほぼ密閉されるために食材が蒸し焼き状態となり易く、それゆえに食材を香ばしく焼き上げることが難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、蓋付きの加熱調理容器を使用して加熱庫内で焼き調理を行う場合であっても食材を上手く焼き上げることができる加熱調理容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理容器は、
食材を入れる上方開放した容器本体と、容器本体を閉蓋する蓋体とを備え、加熱源により加熱される加熱庫内に前面開口部から出し入れ自在に収容されて食材の加熱調理に使用可能な加熱調理容器であって、
容器本体は、加熱庫内において前面開口部方向と直交する両側方に設けられている下部加熱源により左右の側方から加熱され、
蓋体と容器本体との閉蓋状態では、下部加熱源からの熱気を容器本体内へ取り込む熱気取り込み部が形成され、
蓋体には、容器本体内の食材を加熱した熱気を容器本体外へ排出させる逃し孔が設けられ
、
上記熱気取り込み部は、容器本体の上端縁と蓋体との間の隙間によって形成され、
上記容器本体の上部には、左右にそれぞれ外周から張り出す本体用取っ手が設けられ、
上記各本体用取っ手には、下方から上昇する下部加熱源の熱気を通過させる熱気通過孔と、当該本体用取っ手の上面外周部に立設する突条部とが設けられ、
上記蓋体には、本体用取っ手の熱気通過孔から通過上昇する下部加熱源の熱気を熱気取り込み部へ導くように外周から張り出す庇部が設けられているものである。
上記構成より、下部加熱源からの高温の熱気が熱気取り込み部から加熱調理容器内に取り込まれるから、加熱調理容器内に取り込まれた熱気によって加熱調理容器内の食材の上面側が高温に加熱されて焼かれる。そして、容器本体内の食材を加熱した熱気は、蓋体の逃し孔から容器本体外へ排出されるが、このとき、加熱された食材から発生する蒸気や煙なども熱気と一緒に蓋体の逃し孔から容器本体外へ排出される。従って、食材が蒸し焼き状態となり難く、香ばしく焼き上げることができる。
【0007】
すなわち、左右の両側方に設けた下部加熱源からの高温の熱気は、容器本体の外周を伝って上昇すると容器本体の本体用取っ手の熱気通過孔を通り抜けて上昇し、蓋体の庇部で受け止められて容器本体の上端縁と蓋体との間の熱気取り込み部へ導かれて容器本体内へ取り込まれる。
この際、本体用取っ手の上面外周部に立設する突条部によって熱気が外側へ逃げるのを抑制することができる。従って、容器本体内への下部加熱源の熱気の取り込みを円滑に且つ確実に行うことができ、加熱調理容器内における食材の上面側の焼きを確実に行うことができる。
また、上記蓋体は、中央部に筒形状の蓋体用取っ手が設けられ、この蓋体用取っ手の筒形状と連続して上記逃し孔が形成される構成とすることができる。この場合、蓋体の逃し孔は、蓋体の中央部に設ける蓋体用取っ手の筒形状と連続して形成されているので、ドラフト効果によって容器本体内への下部加熱源の熱気の取り込みが促進される。従って、加熱調理容器内では、熱気が外周側から中央部へ向かって流れて全体に行き渡るから、この熱気によって加熱調理容器内の食材の上面側の焼きを確実に行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る加熱調理容器は、
食材を入れる上方開放した容器本体と、容器本体を閉蓋する蓋体とを備え、加熱源により加熱される加熱庫内に前面開口部から出し入れ自在に収容されて食材の加熱調理に使用可能な加熱調理容器であって、
容器本体は、加熱庫内において前面開口部方向と直交する両側方に設けられている下部加熱源により左右の側方から加熱され、
蓋体と容器本体との閉蓋状態では、下部加熱源からの熱気を容器本体内へ取り込む熱気取り込み部が形成され、
蓋体には、容器本体内の食材を加熱した熱気を容器本体外へ排出させる逃し孔が設けられ、
上記蓋体は、加熱庫内の上部に設けた上部加熱源により加熱されるとともに、中央部以外に設けた複数の逃し孔を通して上部加熱源の熱を容器本体内に直接導入し且つ中央部が内側に膨出する凸部となって上部加熱源の加熱による輻射熱を容器本体内に放射する構成とす
る。
これにより、加熱調理容器内の食材の上面側は、さらに蓋体の逃し孔を通過する上部加熱源の熱と蓋体の凸部からの輻射熱によっても焼かれるので、食材の上面側の焼き性能を一層向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、蓋付きの加熱調理容器を使用して加熱庫内で焼き調理を行う場合でも食材の下面側だけでなく上面側にも焼き色がついて香ばしく焼き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ガスコンロに備えるグリル装置を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1による加熱調理容器の断面図であり、同図(a)はグリル装置の加熱庫内へ収容した状態を示す断面図であり、同図(b)は加熱調理容器を各部の符号説明用に示す断面図である。
【
図3】実施形態1の加熱調理容器における容器本体を示す平面図である。
【
図4】実施形態1の加熱調理容器における蓋体の裏面側を示す平面図である。
【
図5】実施形態2による加熱調理容器の断面図であり、同図(a)はグリル装置の加熱庫内へ収容した状態を示す断面図であり、同図(b)は加熱調理容器を各部の符号説明用に示す断面図である。
【
図6】実施形態2の加熱調理容器における容器本体を示す平面図である。
【
図7】実施形態2の加熱調理容器における蓋体の裏面側を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1、
図2を参照して、実施形態1による加熱調理容器3は、例えばビルトイン式のガスコンロ1のグリル装置2に収容して食材Fの加熱調理に使用され、特に魚や肉などの食材Fの焼き調理に適したものである。グリル装置2は、前後方向に長い矩形箱型の加熱庫20と、加熱庫20の前面開口部200を開閉自在とするグリル扉21とを備える。加熱庫20には、内部の天井近傍に配設された上火バーナ(上部加熱源)24と、左右側面の下部に前後方向に沿って配設された左右の下火バーナ(下部加熱源)25とを備える。グリル扉21の背面には、トレー受け210が連結され、このトレー受け210に皿状のトレー22と金属線材からなる固定枠23とがセットされる。そして、加熱調理容器3は、グリル扉21を手前に引き出した状態で固定枠23上に載置してグリル扉21を押し込んで閉じると加熱庫20内の所定位置に収容される。
【0013】
加熱調理容器3は、アルミ・鉄等の金属、陶器、セラミックス等で形成されており、食材Fを入れる上方開放した容器本体4と、容器本体4を閉蓋する蓋体5とを備える。
図3をも参照して、容器本体4は、略矩形状の底部41と、底部41の四方を囲むように立ち上がった周壁42とからなる上方開放した箱状に形成されている。底部41の内面には、短辺側に向かって延びる複数のリブ43が同じ高さで長辺方向に等間隔に突出形成されている。また、底部41は、中央部から外周部に向かって漸次降下させた斜面状に形成され、外周部を食材Fの油溜り部44としている。油溜り部44のうち、左右の長辺側の油溜り部44は、中間位置が高く前後端に向かって漸次降下して形成され、前後の短辺側の油溜り部44の方が左右の長辺側の油溜り部44よりも低く位置するように形成されている。これにより、リブ43上に載せて加熱調理される食材FFから出た油や水分などは、リブ43間に滴下して左右の油溜り部44に流下し、さらに低い位置の前後に向かって流下して前後の油溜り部44に回収される。従って、容器本体4の底部41に置かれた食材Fが、食材Fから出た油に浸かって食味を低下させることもない。
【0014】
容器本体4の左右の周壁42には、それぞれ上端外周から弧状に張り出す本体用の取っ手45が形成されている。各本体用取っ手45には、下方から上昇する下火バーナの熱気が上方へ通り抜けるように、前後方向に延びて本体用取っ手45の張り出し方向に広く開口した熱気通過孔46が設けられている。また、各本体用取っ手45の上面外周部には、外周部の略全長にわたって上方に延びた突条部47が設けられている。この突条部47によって、本体用取っ手45の強度が補強され、また、熱気通過孔46を下から通り抜けてきた下火バーナ25の熱気が外側へ逃げるのを抑制する。
【0015】
図4をも参照して、蓋体5は、略矩形状で傘状に形成され、容器本体4の上方開放部を覆い被す大きさを有している。蓋体5の裏面には、下方へ突出する受け台51が設けられている。本実施形態1では、受け台51は、蓋体5の裏面における四隅部と左右の長辺中央部との6箇所に形成されている。受け台51は、容器本体4の上端縁に載置される載置部52と、載置部52の内側に容器本体4内へ臨む係合突片部53とを有し、各受け台51の係合突片部53の外径は、容器本体4の開口内径より若干小さい大きさに設定されている。そして、蓋体5を容器本体4に閉蓋すると、各受け台51によって蓋体5と容器本体4とが閉蓋状態に係合されるとともに、容器本体4の上端縁と蓋体5との間に下火バーナの熱気を容器本体4内へ取り込ませるための熱気取り込み用の隙間(熱気取り込み部)Gが形成される。熱気取り込み用の隙間Gは、隣り合う受け台51の間に形成される。本実施形態1では、左右の長辺側に2ケ所ずつ、前後の短辺側に1ケ所ずつ形成される。長辺側の2ケ所の熱気取り込み用隙間Gは、容器本体4の左右の本体用取っ手45に前後に設けた各熱気通過孔46の位置と対応している。
【0016】
また、蓋体5は、左右の外周から弧状に張り出して容器本体4の左右の本体用取っ手45を覆う大きさの庇部54が形成されている。この庇部54によって、本体用取っ手45の熱気通過孔46を下から通り抜けてきた下火バーナ25の熱気を受け止めて容器本体4の上端縁と蓋体5との間の熱気取り込み用隙間Gへ誘導する。また、蓋体5は、中央部が裏面側に膨出する凸部55となっており、この中央部以外に容器本体4内と連通する複数の逃し孔56が設けられている。蓋体5の中央部の上面には、アーチ状の蓋体用取っ手57が設けられている。逃し孔56の大きさは、容器本体4内に取り込まれた下火バーナ25の熱気が食材Fを焼く程度に滞留しつつ容器本体4外へ排出されるように設定される。また、逃し孔56は、容器本体4の上部開口の全域にわたって適度に散らばるように配置されており、これら逃し孔56を通して上火バーナ24の放射熱などの熱が容器本体4内に直接放射される。
【0017】
以上の構成の加熱調理容器3に魚や肉などの食材Fを入れて、この加熱調理容器3をグリル装置2に収容して焼き調理を行う。すると、加熱調理容器3は、加熱庫20内において、下火バーナ25により左右の両側方から容器本体4の左右の周壁42の底部41付近が加熱されるとともに、上火バーナ24により上方から蓋体5が加熱され、このようにして加熱される容器本体4及び蓋体5を通して加熱調理容器3内に伝熱される熱によって食材Fが加熱される。
【0018】
そして、左右の下火バーナ25から発生する高温の熱気が容器本体4の外周に沿って上昇すると、左右の長辺の周壁42側での熱気は、本体用取っ手45の熱気通過孔46を通り抜けて上昇し、蓋体5の庇部54で受け止められる。傘状に形成された蓋体5の庇部54は、裏面側が内方を向くように傾斜しているので、庇部54に受け止められた熱気は、外側へ逃げることなく内側へ誘導される。また、本体用取っ手45の上面外周部に立設する突条部47によっても本体用取っ手45の熱気通過孔46を下から通り抜けてきた下火バーナ25の熱気が外側へ逃げるのを抑制する。これにより、庇部54に受け止められた下火バーナ25の熱気は、内側へ誘導されて容器本体4の上端縁と蓋体5との間の熱気取り込み用隙間Gから容器本体4内に取り込まれる。なお、前後の短辺の周壁42側での熱気は、容器本体4の外側に張り出した蓋体5の外周部が庇部54と同様に作用して前後に形成された熱気取り込み用隙間Gから容器本体4内に取り込まれる。
【0019】
このようにして容器本体4内に取り込まれた下火バーナ25の熱気によって加熱調理容器3内の空間が高温に加熱される。従って、加熱調理容器3内の食材Fの下面側は、容器本体4の底部41内面に直接接触しているので焼き色がつくように焼かれ、上面側は、加熱調理容器3内に取り込まれた下火バーナ25の熱気によって焼き色がつくように焼かれる。また、食材Fの上面側は、蓋体5の複数の逃し孔56を通過する上火バーナ24からの直接の輻射熱や熱気等の熱によっても直接加熱され、さらには上火バーナ25で加熱された蓋体5からの輻射熱が発生するが、食材F上面に接近した蓋体5の中央部の凸部55からの輻射熱によっても食材Fの上面側が加熱される。従って、焼き調理の途中で食材Fをひっくり返さなくても食材Fの上下両面に焼き色がつくようにこんがり焼き上げることができる。
【0020】
また、容器本体4内に取り込まれた下火バーナ25の熱気は、食材Fを焼く程度に滞留した後に蓋体5の逃し孔56から容器本体4外へ排出されるが、このとき、加熱された食材Fから発生する蒸気や煙なども熱気と一緒に逃し孔56から容器本体4外へ排出される。従って、食材Fが蒸し焼き状態となり難く、香ばしく焼き上がる。
【0021】
このように、本実施形態によれば、蓋体5付きの加熱調理容器3を使用してグリル装置2の加熱庫20内で魚や肉などの食材Fの焼き調理を行う場合でも食材Fの下面側だけでなく上面側にも焼き色がついて香ばしく焼き上げることができる。
なお、加熱調理容器3は、魚や肉などの食材Fが焼き上がった後、グリル装置2から取り出してそのまま食卓に配置して使用することができる。
【0022】
(実施形態2)
図5〜
図7を参照して、実施形態2の加熱調理容器3Xでは、容器本体4は、左右の長辺側に周壁42に設けた本体用取っ手45には熱気通過孔46が形成されていないものであるが、実施形態1と同様に各本体用取っ手45に熱気通過孔46を形成してもよい。また、容器本体4の周壁42の上端には、全周にわたって係合凸部42aが形成されている(
図6参照)。蓋体5は、中央部の上面側に逆円錐筒形状をなす摘み型の蓋体用取っ手57が設けられ、この摘み型蓋体用取っ手57の筒形状と連続して逃し孔56が形成されている。なお、逃し孔56は、摘み型蓋体用取っ手57と連続して形成される以外に蓋体5の他の部分には形成されていない。また、蓋体5の左右の長辺側にそれぞれ張り出す庇部54は、容器本体4の本体用取っ手45よりも大きく張り出して形成されている。また、蓋体5の裏面には、加熱調理容器3X内の空間を囲う環状壁58が形成されている(
図7を参照)。その他は、実施形態1の加熱調理容器3と略同じ構成を備えている。
【0023】
そして、実施形態2の加熱調理容器3Xでは、特に、蓋体5の逃し孔56が中央部の摘み型蓋体用取っ手57の筒形状と連続して形成されているので、ドラフト効果が発揮されて容器本体4内への下火バーナ25の熱気の取り込みが促進される。また、この逃し孔56は、蓋体5の中央部に設けられている。従って、加熱調理容器3X内では、下火バーナ25からの熱気が外周側から中央部へ向かって流れて全体に行き渡るから、この熱気によって加熱調理容器3X内の食材Fの上面側の焼きを確実に行うことができる。
【0024】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、実施形態では、蓋体5の裏面において熱気取り込み用の隙間Gを形成するための受け台51を形成するが、このような受け台51を容器本体4の周壁42上端に形成するようにしてもよい。この場合、蓋体5の裏面には、受け台51の載置部52に載せる環状枠部を突設すればよい。
また、加熱調理容器は、容器本体4の上端縁と蓋体5との間は隙間無く閉蓋状態とされる構成とし、熱気取り込み用隙間Gに代えて、容器本体4又は蓋体5の側壁に熱気取り込み用の貫通孔(熱気取り込み部)を設けるようにしてもよい。
また、本加熱調理容器3を使用するグリル装置2は、IHコンロに備えるものでもよいし、また、加熱源は、下部加熱源を備えるものであれば上部加熱源を有しないものでもよいし、さらに、グリル装置2の加熱源として電気ヒータを用いるものでもよい。
【符号の説明】
【0025】
2 グリル装置
3 加熱調理容器
4 容器本体
5 蓋体
20 グリル庫
24 上火バーナ(上部加熱源)
25 下火バーナ(下部加熱源)
41 底部
42 周壁
45 本体用取っ手
46 熱気通過孔
47 突条部
51 受け台
52 載置部
53 係合突片部
54 庇部
55 凸部
56 逃し孔
57 蓋体用取っ手
F 食材
G 熱気取り込み用隙間(熱気取り込み部)