【実施例】
【0030】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0031】
(1)被覆製品の製造装置の構成
本実施例に係る被覆製品の製造装置1は、
図1に示すように、以下に述べる搬送部2、基材のミーリング装置70、化粧材の接着装置3、化粧材のエンドカット装置4、化粧材の第1トリミング装置5、及び化粧材の第2トリミング装置6(「ラウンドトリミング装置」とも称される。)を備えている。
【0032】
なお、本実施例では、上記被覆製品として、パーティクルボード製の基材8の端面8aにメラミン樹脂製の化粧材9を接着してなる被覆製品W(
図10参照)を例示する。この基材8の表裏面8bには、透明樹脂からなる保護フィルム11が貼着されているものとする(
図2参照)。
【0033】
上記搬送部2は、
図1に示すように、基材8を所定の搬送方向Pに搬送するものである。この搬送部2は、搬送方向Pに沿って周回可能に設けられるベルトコンベア12を備えている。このベルトコンベア12の上方には、回転可能な複数のコロ13が搬送方向Pに沿って配設されている。そして、ベルトコンベア12の周回駆動によって、ベルトコンベア12とコロ13との間に挟持される基材8が所定の搬送方向Pに搬送される。
【0034】
なお、上記被覆製品の製造装置1の基材8の投入口側には、基材8の端面8aが当接して搬送方向Pと直交する方向を位置決めするガイド部14が設けられている(
図7参照)。
【0035】
上記基材のミーリング装置70は、
図2に示すように、化粧材9が接着される前の基材8の端面8aを切削するものである。この基材のミーリング装置70は、所定の搬送方向Pに搬送される基材8の保護フィルム11の表面縁部を押圧する押圧部材71と、押圧部材71により保護フィルム11の表面縁部が押圧された状態で基材8の端面8aを切削するミーリングカッター72と、を備えている。このミーリングカッター72は、駆動モータ(図示省略)により垂直軸周りに回転可能とされている。
【0036】
上記押圧部材71は、
図3〜
図5に示すように、装置70のベース側(図示省略)に設けられたL字状の支持体73に上下方向に移動自在に支持されている。具体的には、押圧部材71に形成された上下方向に延びる長孔76に支持体73に設けられた水平方向に延びる支持ピン77が遊びをもって挿通することで、押圧部材71が上下方向に移動自在に支持されている。また、押圧部材71は、支持体73と押圧部材71との間に設けられたバネからなる付勢手段35により保護フィルム11の表面縁部を押圧する方向に付勢されている。そして、押圧部材71は、基材8の保護フィルム11の表面縁部を押圧する際には上昇位置Aに位置する(
図5(a)参照)とともに、基材8の保護フィルム11の表面縁部を押圧しない際には下降位置Bに位置する(
図5(b)参照)。
【0037】
上記押圧部材71は、その端部71aが基材8の表面縁から外方に突出した状態で保護フィルム11の表面縁部を押圧する(
図4参照)。また、押圧部材71は、保護フィルム11の表面縁部を押圧する押圧面78と、押圧面78から基材8の所定の搬送方向Pの上流側に向かって斜め上方に傾斜する傾斜面79と、を備えている(
図3参照)。そして、所定の搬送方向Pに搬送される基材8が傾斜面79に当接することで、押圧部材71が付勢手段75の付勢力に抗して変位して押圧面78が保護フィルム11の表面縁部に案内される。
【0038】
なお、本実施例では、ミーリングカッター72で切削可能な樹脂等の材質からなる押圧部材71を採用するものとする。これにより、ミーリングカッター72と押圧部材71との相対位置を変更する場合であっても、ミーリングカッター72が押圧部材71を切削することで対応できる。
【0039】
上記化粧材の接着装置3は、基材のミーリング装置70の搬送方向Pの下流側に配設されている(
図1参照)。この化粧材の接着装置3は、
図6及び
図7に示すように、基材8の端面8aに化粧材9を接着するものである。この接着装置3は、搬送方向Pに搬送される基材8の端面8aに向かって送り出される化粧材9の裏面9aにホットメルト系接着材10を塗布する塗布部17と、この塗布部17により接着材10が塗布された化粧材9の裏面9aを基材8の端面8aに押圧する押圧部18と、を備えている。
【0040】
上記塗布部17は、
図8に示すように、基材8の端面8aの高さh1(例えば、約20mm等)より大きな塗布幅h3(例えば、約20.6mm等)で化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するスリット状の塗布口20aを有する塗布ノズル20を備えている。この塗布ノズル20は、接着材10を収容したタンク(図示省略)に接続されている。また、塗布ノズル20に対向する位置には、化粧材9を塗布ノズル20に向かって押圧する回転可能な押圧ローラ21が配設されている。この押圧ローラ21の回転駆動により、塗布ノズル20及び押圧ローラ21の間に挟持された化粧材9が搬送方向Pに対して所定角度で傾斜する送り方向Q(
図7参照)に送り出される。
【0041】
なお、
図8及び
図9に示すように、上記化粧材9の高さh2(例えば、約22mm等)は、後述の化粧材の第1トリミング装置によるトリミング前の状態において基材8の高さh1及び接着材10の塗布幅h3より大きな値とされている。さらに、上記化粧材9の厚さは約0.3mmとされている。また、上記塗布ノズル20には、
図10に示すように、塗布口20aのスリット長さを調整するための調整部材40がスリットの長手方向に位置調整自在に取り付けられている。
【0042】
さらに、上記塗布部17は、
図7に示すように、化粧材9を縦置きで載置するテーブル22と、このテーブル22上に載置された化粧材9の裏面9aに当接して化粧材9の送り方向Qと直交する方向を位置決めするガイド部23と、が設けられている。このガイド部23には、化粧材9を加熱する面ヒータ等の加熱部24が設けられている。
【0043】
上記押圧部18は、
図9に示すように、接着材10が塗布され送り方向Qに送り出される化粧材9の裏面9aを、搬送方向Pに搬送される基材8の端面8aに押圧して接着する回転可能なプレスローラ26を備えている。このプレスローラ26は、接着材10が基材8の端面8aの上縁側及び下縁側から上下にはみ出るように化粧材9の裏面9aを基材8の端面8aに押圧する。なお、上記接着材10のはみ出し量h4は約0.3mmとされている。
【0044】
上記化粧材のエンドカット装置4は、化粧材の接着装置3の搬送方向Pの下流側に配設されている(
図1参照)。この化粧材のエンドカット装置4は、
図11に示すように、基材8に接着された化粧材9の搬送方向Pの先端側及び後端側の余剰端部を除去する横軸周りに回転可能な回転カッター28を備えている。なお、上記化粧材のエンドカット装置4では、化粧材9の余剰端部の全てが除去されずに化粧材の第2トリミング装置6で除去される余剰端部S1(
図20参照)が残っている。
【0045】
上記化粧材の第1トリミング装置5は、化粧材のエンドカット装置4の搬送方向Pの下流側に配設されている(
図1参照)。この化粧材の第1トリミング装置5は、
図12に示すように、基材8に接着された化粧材9の長手方向に沿う上縁側及び下縁側の余剰端部S1を除去するものである。
【0046】
上記化粧材の第1トリミング装置5は、
図13に示すように、所定の搬送方向Pに搬送される基材8の保護フィルム11の表面縁部を案内する上下側の金属製の案内ローラ31と、案内ローラ31により基材8の保護フィルム11の表面縁部が案内された状態で基材8の端面8aに接着された化粧材9の長手方向に沿う余剰端部S1を除去する上下側のトリミングカッター29と、を備えている。これら各トリミングカッター29は、駆動モータ38により水平軸回りに回転可能とされている。
【0047】
上記案内ローラ31は、トリミングカッター29を支持する支持体32に対して水平軸回りに回転自在に支持されている。この案内ローラ31は、円板部31aと、この円板部31aの外周縁から回転軸方向に筒状に延びて基材8の保護フィルム11の表面縁部を案内するフランジ部31bと、を有し、全体として有底筒状に形成されている。そして、トリミングカッター29は、
図14に示すように、その一部がフランジ部31bの内側に位置する状態で化粧材9の余剰端部S1を除去するように配されている。すなわち、トリミングカッター29は、その一部が有底筒状の案内ローラ31の内側に収容された状態で化粧材9の余剰端部S1を除去するように配されている。
【0048】
なお、上記トリミングカッター29は、化粧材9の余剰端部S1とともに、接着材10の基材8の端面8aの上縁側及び下縁側から上下にはみ出た部分を除去する(
図15参照)。また、トリミングカッター29の先端刃は、後述する回転カッター48と略同様にして、化粧材9の化粧面9bの外側(すなわち、化粧材9の基材8と反対側)に向かって切削屑S’を送り出すような逆リードとなっている(
図22参照)。
【0049】
上記化粧材の第2トリミング装置6は、化粧材の第1トリミング装置5の搬送方向Pの下流側に配設されている(
図1参照)。この化粧材の第2トリミング装置6は、
図16に示すように、基材8の端面8aに接着された化粧材9の搬送方向Pの先端側及び後端側の余剰端部S2(
図20参照)を除去して面取りするものである。
【0050】
上記化粧材の第2トリミング装置6は、
図17に示すように、化粧材9の余剰端部S2に沿って移動するトリミングヘッド41を備えている。このトリミングヘッド41は、スライダ43に対して水平軸43a周りに回動可能とされている。このスライダ43は、ベース44に対して水平方向に移動可能とされている。
【0051】
上記トリミングヘッド41は、
図18及び
図19に示すように、駆動モータ47、回転カッター48、取付部材49及びベアリング50を備えている。この駆動モータ47は、トリミングヘッド41の本体41aに取り付けられている。また、回転カッター48の中心穴には、キー溝を介して駆動モータ47の駆動軸47aが連結されている。そして、回転カッター48は、トリミングヘッド41が化粧材9の余剰端部S2に沿って移動する際に駆動モータ47の駆動により化粧材9の余剰端部S2を除去する。また、取付部材49は、その一端外周側が回転カッター48の中心穴に挿着され、その他端側が回転カッター48の軸心方向に突出している。
【0052】
上記ベアリング50は、取付部材49の軸方向の一端外周側に設けられている。このベアリング50は、内輪51と、外輪52(「案内部」として例示する。)と、内輪51及び外輪52の間に転動自在に支持された多数のボール53と、を備えている。この内輪51は、取付部材49の先端フランジ49aと回転カッター48の先端側に配置された環状スペーサー54との間に挟持されている。また、外輪52は、取付部材49に対して回転カッター48の軸心回りに回転自在に支持されている。そして、外輪52は、トリミングヘッド41が化粧材9の余剰端部S2に沿って移動する際に基材8の外周面上を転動する。なお、本実施例では、ベアリングとしてボールベアリング50を例示したが、これに限定されず、例えば、ローラーベアリングを採用してもよい。
【0053】
上記トリミングヘッド41の本体41aには、平板状のブラケット56が取り付けられている。このブラケット56の先端両側には、その下端がベアリング50の外輪52の外周面に圧接する複数(図中2つ)の平板状の圧接片57の上端側が取り付けられている。具体的に、圧接片57は、長孔58を介してブラケット56にボルト止めされている。そして、圧接片57は、ボルト止め位置を調節することでベアリング50の外輪52の外周面に対して位置調整自在とされている。
【0054】
上記回転カッター48は、
図21に示すように、放射状に突出する複数(図中4つ)の突起部61aを有する本体61と、これら各突起部61aの先端側に取り付けられる超鋼製又はダイヤモンド製の先端刃62(「チップ」とも称される。)と、を備えている。この先端刃62は、
図22に示すように、化粧材9の化粧面9bの外側(すなわち、化粧材9の基材8と反対側)に向かって切削屑S’を送り出すような逆リードとなっている。すなわち、先端刃62は、その先端面の化粧材9の化粧面9b側が切削方向Rと反対方向に傾くように化粧材9の厚さ方向に対して鋭角θ1で傾斜して配設されている。
【0055】
(2)被覆製品の製造方法
次に、上記構成の被覆製品の製造装置1を用いる被覆製品Wの製造方法について説明する。なお、本実施例では、化粧材9は、
図7に示すように、テーブル22上で加熱部24により所定温度(例えば、20℃等)に加熱される一方、基材8は、被覆製品の製造装置1への投入前及び投入後に何ら加熱されず、非加熱状態の基材8に対して加熱状態の化粧材9を接着するものとする。
【0056】
先ず、ベルトコンベア12の周回駆動により基材8が基材のミーリング装置70まで搬送されると、
図3(b)に示すように、基材8の先端側が下降位置Bに位置する押圧部材71の傾斜面79に当接する。このとき、押圧部材71は、付勢手段75の付勢力に抗して上昇位置Aに向かって変位される。その後、
図3(a)及び
図5(a)に示すように、押圧部材71が上昇位置Aに位置すると、押圧面78で基材8の保護フィルム11の表面縁部が押圧され、その状態においてミーリングカッター72により基材8の端面8aが切削される。
【0057】
なお、本実施例では、上記基材8は、ベルトコンベア12とコロ13との間に挟持されるとともに、押圧部材71により下方に押圧された状態で、その端面8aがミーリングカッター72で切削される。
【0058】
次に、搬送方向Pに搬送される基材8及び送り方向Qに送り出される化粧材9が化粧材の接着装置3まで搬送されると、
図7に示すように、塗布ノズル20により化粧材9の裏面9aに接着材10が塗布される。次いで、プレスローラ26により接着材10が塗布された化粧材9の裏面9aが基材8の端面8aに押圧されて両者8、9が接着される。
【0059】
その後、基材8及び化粧材9が化粧材のエンドカット装置4まで搬送されると、回転カッター28により化粧材9の搬送方向Pの先端側及び後端側の余剰端部が除去される(
図11参照)。
【0060】
次に、基材8及び化粧材9が化粧材の第1トリミング装置5まで搬送されると、
図13に示すように、案内ローラ31により基材8の保護フィルム11の表面縁部が案内された状態で、トリミングカッター29により化粧材9の余剰端部S1が除去される。このとき、化粧材9の余剰端部S1とともに、化粧材9の裏面9a側にはみ出た接着材10が取り去られる(
図15参照)。
【0061】
次いで、基材8及び化粧材9が化粧材の第2トリミング装置6に搬送されると、トリミングヘッド41が化粧材9の搬送方向Pの先端側の余剰端部S2に沿って移動してから化粧材9の搬送方向Pの後端側の余剰端部S2に沿って移動する(
図20参照)。このトリミングヘッド41の移動中には、ベアリング50の外輪52が基材8の外周面上を転動しつつ回転カッター48が化粧材9の余剰端部S2を除去する。このとき、化粧材9の余剰端部S2とともに化粧材9の裏面9a側にはみ出た接着材10が取り去られる。その結果、基板8の外径形状に応じて化粧材9が面取りされて被覆製品W(
図16参照)が得られることとなる。
【0062】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の基材のミーリング装置70によると、所定の搬送方向Pに搬送される基材8の表面8bに貼着された保護フィルム11の表面縁部を押圧する押圧部材71と、押圧部材71により保護フィルム11の表面縁部が押圧された状態で基材8の端面8aを切削する回転可能なミーリングカッター72と、を備える。そして、押圧部材71により保護フィルム11の表面縁部が押圧された状態でミーリングカッター72により基材8の端面8aが切削される。これにより、保護フィルム11の浮き上がりを抑制して基材8の端面8aを切削することができる。その結果、保護フィルム11と基材8の表面8bとの隙間への切削屑等の異物の入り込みが抑制されるとともに、後工程である基材8及び化粧材9の接着工程において基材8の表面側への接着材10の乗り移りが抑制される。よって、被覆製品Wの見栄えの低下を抑制することができる。
【0063】
また、本実施例では、押圧部材71は、支持体73に上下方向に移動自在に支持されるとともに、支持体73に設けられた付勢手段75により保護フィルム11の表面縁部を押圧する方向に付勢される。これにより、簡易な構造により押圧部材71で保護フィルム11の表面縁部をより確実に押圧できる。
【0064】
さらに、本実施例では、押圧部材71は、保護フィルム11の表面縁部を押圧する押圧面78と、押圧面78から基材8の所定の搬送方向Pの上流側に向かって斜め上方に傾斜する傾斜面79と、を備える。これにより、所定の搬送方向Pに搬送される基材8が傾斜面79に当接することで、押圧部材71が付勢手段75の付勢力に抗して変位して押圧面78が保護フィルム11の表面縁部に案内される。
【0065】
また、本実施例の化粧材の接着装置3によると、所定の搬送方向Pに搬送される基材8の端面8aに向かって送り出される化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布する塗布部17と、塗布部17により接着材が塗布された化粧材9の裏面9aを基材8の端面8aに押圧する押圧部18と、を備える。これにより、塗布部17と押圧部18との間隔が比較的小さくなり、接着材の塗布から基材8及び化粧材9の接着までの時間が短くなる。その結果、基材8を厳密に温度管理することがなく加工コストを抑制して基材8及び化粧材9を接着することができる。
【0066】
特に、本実施例では、ガイド部14(
図7参照)で基材8を加熱する必要がなく、ガイド部14として効果的なガイド機能を発揮する比較的長尺のものを採用できる。これに対して、従来のようにガイド部で基材を加熱するものでは、加熱によりガイド部が変形し易く長尺のガイド部を採用し難い。
【0067】
また、本実施例では、塗布部17は、基材8の端面8aの高さh1より大きな塗布幅h3で化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するので、比較的薄厚(例えば、厚さ0.5mm以下)の化粧材9を採用しても基材8及び化粧材9を確実に接着することができる。また、基材8の表面側への接着材10の乗り移りが抑制され、後工程において接着材10の余剰部位を容易に除去することができる。これに対して、従来のように基材の端面に接着材を塗布して基材及び化粧材を接着するものでは、基材の表面側へ接着材が乗り移り易く、後工程における接着材の余剰端部の除去作業が煩雑となる。
【0068】
さらに、本実施例では、塗布部17は、接着材10を塗布するスリット状の塗布口20aを有する塗布ノズル20と、化粧材9を挟んで塗布ノズル20に対向して配設され且つ塗布ノズル20に向かって化粧材9を押圧する押圧ローラ21と、を備える。これにより、塗布部17を小型化することができる。よって、塗布部17と押圧部18との間隔がより短くなり、基材8及び化粧材9の接着性をより高めることができる。
【0069】
また、本実施例の化粧材の第1トリミング装置5によると、所定の搬送方向Pに搬送される基材8の表面縁部を案内する案内ローラ31と、案内ローラ31により基材8の表面縁部が案内された状態で基材8の端面8aに接着された化粧材9の長手方向に沿う余剰端部S1を除去する回転可能なトリミングカッター29と、を備える。さらに、案内ローラ31は、円板部31aと、円板部31aの外周側から筒状に延びて基材8の表面縁部を案内するフランジ部31bと、を有し、トリミングカッター29は、その一部がフランジ部31bの内側に位置する状態で化粧材9の長手方向に沿う余剰端部S1を除去するように配されている。これにより、案内ローラ31により基材8の表面縁部(すなわち、基材8の表面縁の際部)が案内された状態でトリミングカッター29により化粧材9の余剰端部S1が除去される。そのため、トリミングカッター29の長期使用により基材8にかかる負荷が大きくなっても基材8が変形し難くなる。よって、化粧材9の長手方向に沿う余剰端部S1を高精度に除去することができる。
【0070】
さらに、本実施例では、基材8の表面には、保護フィルム11が貼着されている。これにより、保護フィルム11の浮き上がりが抑制されて化粧材9の長手方向に沿う余剰端部S1を除去することができる。その結果、被覆製品Wの見栄えの低下を抑制することができる。
【0071】
また、本実施例の化粧材の第2トリミング装置6によると、化粧材9の余剰端部S2に沿って移動するトリミングヘッド41を備え、トリミングヘッド41は、駆動モータ47と、駆動モータ47の駆動軸47aに連結されて化粧材9の余剰端部S2を除去する回転カッター48と、回転カッター48の軸心側に取り付けられる取付部材49と、取付部材49に回転カッター48の軸心回りに回転自在に支持されて基材8上を転動するベアリング50の外輪52と、を備える。これにより、トリミングヘッド41が化粧材9の余剰端部S2に沿って移動する際に、ベアリングの50外輪52が基材8上を転動しつつ回転カッター48が化粧材9の余剰端部S2を除去して化粧材9が面取りされる。そして、ベアリング50の外輪52は、回転カッター48に取り付けられた取付部材49に回転カッター48の軸心回りに回転自在に支持されているので、ベアリング50の外輪52と回転カッター48との軸心が正確に位置決めされる。その結果、基材8に対するベアリング50の外輪52の倣いズレを抑制して化粧材9の余剰端部S2を正確に除去して面取りすることができる。特に、本実施例によると、化粧材9の余剰端部S2が逆テーパ状に形成されている場合であっても化粧材9の余剰端部S2を正確に除去して面取りできる。
【0072】
また、本実施例では、トリミングヘッド41は、ベアリング50の外輪52の外周面に圧接する圧接片57を備える。この圧接片57がベアリング50の外輪52の外周面に圧接することで、ベアリング50の外輪52の回転カッター48との供回りを防止できるとともに、ベアリング50の外輪52の外周面への切削屑等の異物の付着を防止することができる。
【0073】
さらに、本実施例では、化粧材の第2トリミング装置6の回転カッター48は、化粧材9の化粧面9bの外側に向かって切削屑を送り出すような逆リードの先端刃62を備える。これにより、回転カッター48が化粧材9の余剰端部S2を除去する際に、化粧材9の裏面9a側にはみ出た接着材を容易に取り去り得るとともに、バリの発生を抑制できる。さらに、本実施例では、化粧材の第1トリミング装置5のトリミングカッター29の先端刃も逆リードとなっているので、回転カッター48と略同様の作用・効果を発揮する。
【0074】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、押圧部材71を付勢する付勢手段75としてバネを例示したが、これに限定されず、例えば、ゴム、スポンジ等の弾性体からなる付勢手段を採用したり、シリンダ等の流体機構からなる付勢手段を採用したりしてもよい。
【0075】
また、上記実施例では、ミーリングカッター72で切削可能な樹脂等の材質からなる押圧部材71を例示したが、これに限定されず、例えば、ミーリングカッター72で切削不能な金属製やセラミックス製の押圧部材としてもよい。
【0076】
また、上記実施例では、水平軸回りに回転自在に支持された案内ローラ31を例示したが、これに限定されず、例えば、水平軸に傾斜する軸回りに回転自在に支持される案内ローラとしてもよい。この場合、上記フランジ部31bは、通常、円板部31aの外周側からテーパ筒状に延びることとなる。
【0077】
また、上記実施例において、案内ローラ31の円板部31aに穴を形成してスポーク状等の円板部としてもよい。また、案内ローラ31として、樹脂等の金属以外の材質からなるものを採用してもよい。
【0078】
また、上記実施例では、基板8上を転動する案内部としてベアリング50の外輪52を例示したが、これに限定されず、取付部材49に回転カッター48の軸心回りに回転自在に支持される回転ローラを案内部として採用してもよい。また、例えば、
図23に示すように、ベアリング50の外輪52に装着される環状アダプタ64a,64b,64cを案内部として採用してもよい。この場合、例えば、外径d1,d2,d3の異なる複数の環状アダプタ64a,64b,64cを用意しておけば、回転カッター48の先端刃62の劣化状況等に応じて適当な環状アダプタを選択することができる。
【0079】
また、上記実施例では、化粧材9の化粧面9bの外側に向かって切削屑を送り出すような逆リードの先端刃62を備える回転カッター48を例示したが、これに限定されず、例えば、
図24に示すように、化粧材9の化粧面9bの内側(すなわち、基材8側)に向かって切削屑S’を送り出すような正リードの先端刃62’を備える回転カッターとしてもよい。この場合、先端刃62’は、通常、その先端面の化粧材9の裏面9a側が切削方向Rと反対方向に傾くように化粧材9の厚さ方向に対して鋭角θ2で傾斜して配設されている。
【0080】
また、上記実施例では、化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布する塗布ノズル20を備える塗布部17を例示したが、これに限定されず、例えば、
図25に示すように、化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布する塗布ローラ33を備える塗布部17’としてもよい。この場合、通常、塗布ローラ33は、接着材10を収容した収容室34内に臨んでいる。
【0081】
また、上記実施例では、化粧材9を基材8の端面8aに押圧する回転可能なプレスローラ26を備える押圧部18を例示したが、これに限定されず、例えば、プレスローラ26に替えて又は加えて、化粧材9を基材8の端面8aに押圧する固定ガイドを備える押圧部としてもよい。
【0082】
また、上記実施例では、基材8を搬送方向Pに搬送するベルトコンベア12を備える搬送部2を例示したが、これに限定されず、例えば、ローラコンベア、チェーンコンベア等の他のコンベアを備える搬送部としたり、基材を搬送方向に搬送するロボットハンドを備える搬送部としたりしてもよい。
【0083】
また、上記実施例では、塗布ノズル20(又は塗布ローラ33)及び押圧ローラ21によって化粧材9を送り方向Qに送り出す送出部を構成するようにしたが、これに限定されず、例えば、
図25に示すように、塗布部17とは別に化粧材9を挟持して送り方向Qに送り出す回転可能な送出ローラ36を備える送出部としてもよい。
【0084】
また、上記実施例では、基材8の端面8aの高さh1より大きな塗布幅h3(塗布高さh3)で化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するようにしたが、これに限定されず、例えば、基材8の端面8aの高さh1より小さな塗布幅で化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施例では、加熱状態の化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するようにしたが、これに限定されず、例えば、夏場等で非加熱状態の化粧材9が比較的高温(例えば、約20℃等)である場合には、化粧材9を強制的に加熱することなく化粧材9の裏面9aに接着材10を塗布するようにしてもよい。さらに、上記実施例では、非加熱状態の基材8の端面8aに化粧材9を接着するようにしたが、これに限定されず、例えば、加熱状態の基材8の端面8aに化粧材9を接着するようにしてもよい。
【0086】
さらに、上記実施例では、化粧材9をエンドカット装置4によりエンドカットした後に第1トリミング装置5でトリミングするようにしたが、これに限定されず、例えば、化粧材9を第1トリミング装置5でトリミングした後にエンドカット装置4によりエンドカットするようにしてもよい。
【0087】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0088】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。