特許第5906250号(P5906250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5906250熱交換器、及び関連する流動摂動体の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906250
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】熱交換器、及び関連する流動摂動体の形成方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/00 20060101AFI20160407BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20160407BHJP
   F02B 29/04 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   F28D9/00
   F28F3/08 301A
   F02B29/04 F
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-538151(P2013-538151)
(86)(22)【出願日】2011年11月7日
(65)【公表番号】特表2014-500941(P2014-500941A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2011069577
(87)【国際公開番号】WO2012062716
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】1059222
(32)【優先日】2010年11月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、オディラール
(72)【発明者】
【氏名】アラン、デイ
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−343992(JP,A)
【文献】 特表2005−517893(JP,A)
【文献】 特開2010−127143(JP,A)
【文献】 特開昭63−207995(JP,A)
【文献】 特開2003−340568(JP,A)
【文献】 特開2005−308232(JP,A)
【文献】 特開2005−009848(JP,A)
【文献】 特開2007−084429(JP,A)
【文献】 米国特許第04002200(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00
F02B 29/04
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するための特に自動車用の熱交換器であって、
− 第1の循環方向(D1)で前記第1の流体を循環させるための第1の循環管路(10)、および、前記第2の流体を循環させるための第2の循環管路(11)と、
− 前記第2の流体のための前記第2の循環管路(11)内に配置され、かつ、前記第2の流体の流れをかき乱す摂動体(15)を有する摂動壁(13)と、
を備える熱交換において、
前記摂動壁(13)がそれぞれ少なくとも1つの分割リブ(19)を有し、前記少なくとも1つのリブ(19)は、
− 前記第1の流体が循環する前記第1の方向(D1)に対して略垂直な第2の方向(D2)で、
− 前記第2の方向の前記摂動壁の全幅よりも小さい前記摂動壁(13)の所定の距離にわたって、
延び、それにより、前記第1の流体の循環に対して略垂直な前記第2の流体のための少なくとも2つの循環通路を規定するとともに、
前記分割リブ(19)は、前記分割リブ(19)と同じ距離にわたって延びる摂動体(15)と一体の部分として形成されるが、前記第2の方向の前記摂動壁(13)の全幅の残りの部分には摂動体(15)は形成されずに、前記摂動体(15)の曲げ工程を可能とするスロット(21)が形成される、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記摂動体(15)は、前記摂動壁(13)を曲げることによって前記摂動壁(13)に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
摂動壁(13)は、上下に配置される所定数の分割リブ(19)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
摂動壁(13)は、均等に配置される所定数の分割リブ(19)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記摂動体(15)がギザギザ状の全体外観を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記摂動体(15)は、千鳥形態の列(17,17’)を成して配置されることを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
チューブ(9)から成るバンドルを備え、これらのチューブは、前記第1の流体の循環(10)のための前記第1の循環管路(10)を形成し、かつ、前記第2の流体の循環のための前記第2の循環管路(11)をチューブ間に規定することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
平行なプレート(109)から成るバンドルを備え、これらのプレートは、前記プレート(109)の2つの対同士の間の前記第1の流体の循環のための前記第1の循環管路(10)と、1つの対の前記プレート(109)同士の間の前記第2の流体の循環のための前記第2の循環管路(11)とを規定するように対を成して配置されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
自動車エンジンの給気を冷却するように構成されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の熱交換器の摂動壁(13)に摂動体(15)を形成するための方法において、
− 摂動体(15)の2つの列(17)が一体部分として形成されるステップと、
− 摂動体(15)の単一の列(17’)が分割リブ(19)と一体の部分としてそれぞれ形成されるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の熱交換器に関する。また、本発明は成形方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明の好ましい適用分野は、エンジンに過給するために使用される流体、すなわち、給気を冷却するために給気冷却器(CACと略称される)としても知られる独特な熱交換器を使用する特に自動車用の過給燃焼エンジンの分野である。
【0003】
過給燃焼またはエンジンターボチャージャー燃焼エンジン、特にディーゼルエンジンには、エンジン排ガスにより駆動されるターボチャージャーからくる給気として知られる加圧空気が供給される。この加圧空気は、圧縮されてしまっているため、非常に高い温度にあるので、正確なエンジン作動のためには、加圧空気がこのエンジンへ流入される前に冷却されることが望ましい。そのため、従来の方法では、給気冷却器として知られる冷却器が使用される。この冷却器の目的は、外気などの他の流体またはエンジン冷却回路からの水などの液体との熱の交換によって給気を冷却し、それにより、空気/空気型または液体/空気型の交換器を形成することである。
【0004】
2つの流体の循環は、熱交換器の性能にとって非常に重要である。
【0005】
1つの既知の解決策において、流体の一方または両方の流体は、2つの流体間の熱の交換のために利用可能な表面積を増大させるために、摂動体を通じて循環する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2つの流体間の熱の交換の質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的のため、本発明の1つの主題は、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するための特に自動車用の熱交換器であって、
− 第1の循環方向で第1の流体を循環させるための第1の循環管路、および、第2の流体を循環させるための第2の循環管路と、
− 第2の流体のための第2の循環管路内に配置され、かつ、第2の流体の流れをかき乱す摂動体を有する摂動壁と、
を備える熱交換器において、
摂動壁がそれぞれ少なくとも1つの分割リブを有し、前記少なくとも1つのリブは、第1の流体が循環する第1の方向に対して略垂直な第2の方向で、第2の方向の前記壁の全幅よりも小さい前記壁の所定の距離にわたって延び、それにより、第1の流体の循環に対して略垂直な第2の流体のための少なくとも2つの循環通路を規定することを特徴とする熱交換器である。
【0008】
前記熱交換器は、別々に或いは組み合わせて考慮される以下の特徴のうちの1つ以上を更に備えてもよい。
− 前記摂動体は、前記壁の曲げによって前記壁に形成される;
− 摂動壁は、上下に配置される所定数の分割リブを備える;
− 摂動壁は、均等に配置される所定数の分割リブを備える;
− 前記摂動体が幾分ギザギザ状の全体外観を有する;
− 前記摂動体は、千鳥形態の列を成して配置される;
− 前記分割リブは、前記分割リブと同じ距離にわたって延びる摂動体と一体の部分として形成される;
− 前記交換器がチューブから成るバンドルを備え、これらのチューブは、第1の流体の循環のための第1の循環管路を形成し、かつ、第2の流体の循環のための第2の循環管路をチューブ間に規定する;
− 前記交換器が平行なプレートから成るバンドルを備え、これらのプレートは、プレートの2つの対同士の間の第1の流体の循環のための第1の循環管路と、1つの対のプレート同士の間の第2の流体の循環のための第2の循環管路とを規定するように対を成して配置される;
− 前記交換器が自動車エンジンの給気を冷却するように構成される;
− 第1の流体が給気であり、第2の流体が冷却流体である。
【0009】
また、本発明は、本明細書に規定された熱交換器の摂動壁に摂動体を形成するための方法であって、
− 摂動体の2つの列が一体部分として形成されるステップと、
− 摂動体の単一の列が分割リブと一体の部分としてそれぞれ形成されるステップと、
を備える方法にも関連する。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例示的実施例として与えられる以下の説明を検討することにより、また、添付図面を検討することにより、より明確に理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る熱交換器の構成要素の分解斜視図。
図2】組み立てられた図1の熱交換器の斜視図。
図3図1および図2の熱交換器の第2の流体の流れをかき乱すための摂動壁の簡略的な描写図。
図4図3の摂動壁に形成される摂動体の詳細を部分的に描いた図。
図5図3の摂動壁に形成される摂動体および分割リブの他の詳細を部分的に描いた図。
図6】第2の実施形態に係る熱交換器の構成要素の分解斜視図。
図7】第2の実施形態に係る熱交換バンドルの2対のプレートおよびプレート対の2つのプレート間の1つの摂動壁を更に詳細に示す分解斜視図。
図8】第2の実施形態に係る熱交換バンドルの1つのプレートおよび1つの摂動壁の平面図。
図9a】組み立て状態の図8のプレート対を描く部分断面図。
図9b】組み立て状態の図8のプレート対を描く部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これらの図において、略同一である要素は同じ参照符号を伴う。
【0013】
図1は熱交換器1の分解図であり、また、図2は組み立て状態の図である。
【0014】
特に、記載された交換器1は、自動車ディーゼルエンジンなどの燃焼機関の給気を冷却するように構成される。
【0015】
そのような交換器1は、“空気‐水”交換器、すなわち、熱を交換する流体が空気および水である交換器として知られるものであってもよい。給気冷却器の場合、水は、前記エンジンの冷却回路の“低温”と見なされる水であることが好ましく、一般的にはグリコール水である。
【0016】
この交換器1は、
− 給気などの第1の流体と冷却剤などの第2の流体との間で熱を交換するための熱交換バンドル3と、
− 熱交換バンドル3を受け入れるケーシング5と、
− 第1の流体のための入口ヘッダ7と、
− 第1の流体のための出口ヘッダ(これは描かれていない)と、
を備える。
【0017】
図1および図2を参照すると、交換器1は、
− 最も長い寸法であり、給気が交換器1を通じて循環する第1の循環方向D1と称される方向全体に対応する長さLと、
− 長さL寸法および幅l寸法が交換器1を通じた空気の循環面と平行な平面を形成する、幅lと、
− 後述する循環チューブ9の積層体のための厚さeと、
を有する略平行六面体の全体形状を成す。
【0018】
熱交換バンドル
第1の実施形態に係る熱交換バンドル3は、第1の流体の循環、この例では空気の循環のための循環チューブ9の積層体を備える。各チューブ9の内容積空間は、第1の流体のための第1の循環管路10を形成する。
【0019】
この第1の実施形態によれば、チューブ9は略平行六面体の扁平な全体形状を成す。
【0020】
図1および図2を参照すると、各チューブ9は、
− 最も長い寸法である長さであって、この寸法が、交換器1の長さLと平行であるとともに、長さLに略等しい、長さと、
− 幅であって、この寸法が、交換器1の幅lと平行であるとともに、幅lに略等しい、幅と、
− 厚さであって、この寸法が、交換器1の厚さeと平行で且つこの厚さよりも小さく、チューブ9が扁平形状を成しているため、各チューブ9の厚さがこの例では非常に小さい、厚さと、
を有する。
【0021】
一例として、チューブ9の厚さは、各チューブ9において約7mmまたは8mmに等しくてもよく、チューブ9の幅lは、約100mmに等しい。
【0022】
チューブ9は、厚さ方向で互いに平行に積層され、交換器の長さL方向全体でチューブ内の空気の循環を可能にする。
【0023】
図1に描かれる交換器1は、6個のチューブ9から成るバンドル3を備えるが、無論、バンドルは、更に少ない数または更に多い数のチューブを有することができ、ある場合には、チューブ9の数が十分に多ければ、交換器1の厚さeがその幅lより大きくてもよいことに留意されたい。
【0024】
また、第1の管路10を規定するチューブ9の内容積空間内に例えば略波形状の摂動フィン(図示せず)を設けて、これらのチューブ9を通じた空気の流れをかき乱すことができる。この摂動は、チューブ9の壁を横切る空気と水との間の熱の交換を促す。これらのフィンは、当業者に良く知られており、本明細書では更に詳しく説明しない。
【0025】
また、チューブ9は、該チューブ間に、第2の流体、この例ではグリコール水の流れのための第2の管路11を規定する。言い換えると、2つのチューブ間の空間は、この場合には、第2の流体の流れのための第2の管路11を規定可能にする。
【0026】
水の流れをかき乱すための摂動壁13が、チューブ9間の第2の管路11に形成される。
【0027】
摂動壁13は、例えば、第2の管路11を規定するチューブ9の表面に蝋付けによって固定される。
【0028】
そのような摂動壁13が図3に簡略化された形態で描かれている。図1は、その図の理解を更に容易にするために、摂動壁13の一部のみを描いている。
【0029】
摂動壁13は、チューブ9の側面のほぼ全体にわたって延びるプレートの形態を成す。側面とは、交換器1の長さLおよび幅lと平行な寸法により規定されるチューブ9の表面を意味する。したがって、摂動壁13は、交換器1の長さLと平行な長さLおよび交換器1の幅lと平行な幅lを伴う略長方形の全体形状を有する。
【0030】
記載された実施形態によれば、摂動壁13は、摂動壁13が位置する第2の水循環管路11の全体の厚さを満たす。
【0031】
摂動壁13は、全てのチューブ9間に装着される。摂動壁13は、バンドル3の端部チューブ9とケーシング5の壁との間に装着されてもよい。
【0032】
摂動壁13は、これらの壁を通過する水の流れに乱流を引き起こす形状を有する。
【0033】
より具体的には、摂動壁13は、略ギザギザのパターンを形成する摂動体15(図4および図5に更に良好に見える)を有する。これらの略ギザギザのパターンは、図示の例では、直角を成す。
【0034】
これらのパターンは、例えば、単一の構成要素、すなわち、壁13を曲げることによって形成される。
【0035】
摂動壁13は、本発明者の例では略ギザギザであるこれらのパターンを、交換器1の幅lと平行な方向および交換器1の長さLと平行な方向の両方向で有する。
【0036】
より具体的には、摂動体15が列17,17’を成して配置され、これらの列17;17’が千鳥状の形態で配置され、各列17,17’が略ギザギザのパターンを形成する。
【0037】
また、図3図5を参照すると、摂動壁13は、それぞれ、この例では水のための循環通路を規定する1つ以上の分割リブ19を備える。これらのリブ19は、水を循環通路に沿って通過させる水の障壁としての役目を果たす。
【0038】
図3には、これらの循環通路に沿う水の経路が、やや波形の矢印Fにより概略的に示されている。
【0039】
図3に示される例では、4つの分割リブ19が描かれている。無論、リブ19の数は、交換器1の性能要件に適合するようになっていなければならない。
【0040】
これらのリブ19は、空気の第1の方向D1に対して略垂直な第2の方向D2に所定の距離にわたって延びる。この場合、リブ19は、それぞれ、壁13の幅lの方向で所定の距離dにわたって延びるが、壁13の幅lよりも短い距離にわたって方向D2で延びる。
【0041】
したがって、水は、空気の循環に対して略垂直に循環する。
【0042】
また、これらのリブ19は上下に配置されるが、このことは、それぞれの対において、リブ19が壁13の2つの反対側の縁部を発端として反対方向に延びることを意味する。
【0043】
概略的に描かれる水の経路は、分割リブを上下に配置することによって得られる。
【0044】
また、これらの分割リブ19は、等間隔に離間されて、かつ、それぞれが壁13の幅lの方向にこの幅lよりも小さい所定の距離dにわたって延びるが、所定の距離dは、記載される実施形態では、各リブ19ごとに同じである。
【0045】
更に、図4および図5から分かるように、分割リブ19は、摂動体15と一体の部分、より具体的には摂動体15の単一の列17’と一体の部分として形成される。この場合、その摂動体15は、他の摂動体とは異なり、摂動壁13の全幅lにわたってではなく、分割リブ19と同じ距離dにわたって延びる。したがって、これらのリブ19の部位には、摂動壁13の幅lの残りの部分にわたって摂動体15を伴わない領域20が存在する。より具体的には、リブ19が距離dにわたって延びるとともに、障害物がない領域20が距離d’にわたって延び、2つの距離d,d’は、互いに加えられると、壁13の幅lに等しくなる。
【0046】
また、図5を参照すると、摂動体15のギザギザパターンを形成する曲げを可能にするためにスロット21が摂動壁13に設けられていることが分かる。これらのスロット21の目的は、摂動体15を形成するために使用される曲げ工程中に余剰材料を回避することである。
【0047】
このように、図1図5に記載される例では、水が空気循環チューブ9間で循環し、また、その流れが摂動壁13によってかき乱され、それにより、チューブ9の壁を横切る空気との熱の交換が促進される。また、水は、多くの通路内でほぼ垂直に循環し、それにより、熱交換の質が向上する。
【0048】
以上、チューブ9の積層体を使用したコアバンドル3の第1の実施形態について説明した。第2の実施形態によれば、平行プレート109の積層体を使用するコアバンドル103(図6)を考え出すこともでき、そのうちの一対のプレート109が図7に示されている。
【0049】
プレート109(図8に更に良好に見える)は、長方形の全体形状を有する。これらのプレート109は、例えばプレス加工されたプレートである。
【0050】
プレート109は、第1に、第1の流体の循環のための第1の管路10を規定し、第2に、第2の流体の循環のための第2の管路11を規定するために、対を成して配置される(図9aおよび図9b参照)。
【0051】
具体的には、対を成して配置されるプレート109は、第2の流体、本発明者の例では冷却剤の循環のための第2の管路11を画定する空間e(図9a)を規定する。したがって、第2の流体の循環のための第2の管路11は、対を成す2つの隣接するプレートによって規定される。
【0052】
2つの隣接するプレート対の互いに対向して設けられる2つのプレート109間に形成される空間は、第1の流体の循環のための第1の管路10を規定する。
【0053】
また、図6および図7から分かるように、入口ノズル125aから到達する第2の流体が出口ノズル127aを介して再び出現するべく通過できるように、プレート109は、それぞれ2つの開口、例えばノズル125,127を有する。これらのノズル125,127は、例えば、プレート109の短い側面のうちの一方の近傍に形成される。
【0054】
1つのプレート109のノズル125,127は、隣接する対のプレート109のノズル125,127と、それぞれ、例えば互いに嵌合することにより連通し、それにより、第2の流体がプレート109間で循環可能になる。
【0055】
また、この第2の実施形態では、カバーを形成する第1の端部プレート109aと反対側の第2の端部プレート109bとを備えるようにバンドル103を設けてもよい。図示の実施形態によれば、第1の端部プレート109aが第2の流体のための入口ノズル125aおよび出口ノズル127aを有する。
【0056】
これらの端部プレート109a,109bは、2つの側壁105a,105bと共に、バンドル103を収容するケーシング5を形成し、該ケーシングには、第1の流体のためのヘッダボックスが取り付けられる。
【0057】
また、図7図9bに示されるように、摂動壁13は、第2の流体のための循環通路を規定することにより熱の交換を向上させるべく、第2の流体のための第2の循環管路11内に配置される。摂動壁13は、全ての第2の管路11内に装着される。これらの壁13は、バンドルの第1の実施形態において説明した摂動壁13と略同一であるので、再び説明しない。
【0058】
図示しなかった他の特定の実施形態は、水の流れをかき乱してチューブ9間の第2の管路11内に形成される摂動壁13が、本発明者の例では、少なくとも水循環通路を規定可能にする摂動体および少なくとも1つの分割リブ19を有さなければならないことを提案する。この特定の実施形態では、分割リブ19は、摂動体15の少なくとも1つの列を押し潰すことによって得られる。
【0059】
ケーシング
場合により、摂動フィンをそれらの内側に伴う第1の循環管路10と、摂動壁13を伴う水のための第2の循環管路11とを備えるバンドル3,103は、前述したように、該バンドルを収容するケーシング5(図1図2図6)内に装着される。
【0060】
無論、別の方法として、これらの要素をヘッダボックス内に、または、更には2つの半ケーシング内に装着してもよい。
【0061】
熱交換バンドル3の第1の実施形態に関する図1および図2に描かれる例では、ケーシング5が2つのL形状の壁23a,23bを備える。
【0062】
ケーシング5は、より具体的には、図示の例において壁23aに、水を交換器1に対して流入出させるための入口パイプ25および出口パイプ27も備え、また、交換器1が取り付けられる水回路と関連付けられる接続オリフィス25a,27aも備える。
【0063】
ケーシング5をその最終的な形態で形成するために、壁23a,23bが例えば互いに蝋付けされる。
【0064】
熱交換バンドル103の第2の実施形態に関する図6に示される例において、ケーシング5は、前述したように、バンドル103の端部プレート109a,109bと、2つの側壁105a,105bとによって形成されてもよい。
【0065】
空気分配ヘッダ
前述したように、交換器1は、(その長さLの方向の)その端部のそれぞれに、空気分配ヘッダを備える。一方には、空気入口分配ヘッダ7を備え、他方には、空気出口分配ヘッダ(図示せず)を備える。出口分配ヘッダ(図示せず)は、一実施形態では、入口ヘッダ7と同様であり、かつ、対称的に装着される。無論、実施形態の他の形態では、入口ヘッダおよび出口ヘッダが異なってもよい。
【0066】
空気循環チューブ9またはプレート109,109a,109bの端部は、より具体的にはマニホールド29(図1)を介して、チューブ9またはプレート109,109a,109bがヘッダ7へと開放するように、空気分配ヘッダ7に接続される。したがって、チューブ9の内容積空間またはプレート109の対の2つのプレート109間に規定される内容積は、分配ヘッダ7の内容積空間と連通する。
【0067】
分配ヘッダ7は、交換器1が装着される空気回路のパイプに接続され、該パイプは、入口ノズル31および出口ノズルをそれぞれ有する。空気は、入口分配ヘッダ5を介してバンドル3,103への流入が許容され、出口分配ヘッダ(図示せず)によってバンドル3,103から抜け出る際に収集される。
【0068】
分配ヘッダの構造は、当業者に知られているので、本明細書では更に詳しく説明しない。
【0069】
したがって、第1の流体、この場合には給気は、第1の流体のための入口ヘッダ7を介して交換器1に入り、熱交換バンドル3,103を通じて循環した後、第1の流体のための出口ヘッダ(図示せず)を介して交換器1から抜け出る。
【0070】
第2の流体のための入口パイプ25を介して熱交換バンドル3,103に入る第2の流体に関して、この場合には水は、冷却されるべき給気と熱を交換するために、摂動壁13により規定される1つ以上の循環通路内で熱交換バンドル3の第2の循環管路11を通じて循環する。この水は、その後、第2の流体のための出口パイプ27を介して、熱交換バンドル3,103から抜け出る。
【0071】
摂動体の形成方法
ここで、摂動体15および分割リブ19を摂動壁13に形成する1つの方法について説明する。
【0072】
既知の方法において、摂動体15は、壁13を曲げてギザギザパターンを形成することにより作られる。
【0073】
記載される実施形態では、
− 一方では、2つの列17を成して配置されて一体部分として形成される第1のギザギザ要素または摂動体15が作られ、そして、
− 他方では、リブ19と一体の部分として形成される単一の列17’を成して配置される第2の摂動体15が作られる。
【0074】
摂動体15の2つの列17が関与する限りでは、これらの列が一体部分として形成されて、例えばUの全体形状をほぼ成す第1の屈曲部33が形成され、このU形状は、2つの側枝34を有する。その後、Lの形状をほぼ成す第2の屈曲部35がUの各側枝34に形成され、それに続いて、ギザギザ形状を規定するべく、第2の屈曲部35と反対の方向に対向して第2の屈曲部35間に介挿されるLの形状をほぼ成す第3の屈曲部37が伴う。
【0075】
これらの2つの列17は、例えば、壁13の全幅lにわたって形成される。
【0076】
また、リブ19と一体の部分としてそれぞれ形成される摂動体15の単一の列17’の形成に関しては、例えば、第1に、スロット21が形成され、その後、例えば2つの列17を形成するために使用される第1の屈曲部33と比べて小さいサイズのUの全体形状をほぼ成す第1の屈曲部39がスロット21に中心付けられて形成される。図示の例では、このU形状屈曲部39が屈曲部33のほぼ半分を形成する。
【0077】
次に、ほぼギザギザ状の摂動体15を有する単一の列17’を形成するために、摂動体15の2つの列17と同様の手法を採用して、Lの形状をほぼ成す第2の屈曲部35’、および、第2の屈曲部35’と反対の方向に対向して第1の屈曲部35’間に介挿されるLの形状をほぼ成す第3の屈曲部37’が、Uの第1の側枝41aに形成される。
【0078】
第1の屈曲部39により形成されるUの第2の側枝41bは、分割リブ19を形成する。
【0079】
単一の列17、および、単一の列17と一体の部分として形成されるリブ19は、例えば、壁13の幅lよりも短い距離dにわたって形成される。
【0080】
このように、第2の流体、本発明者の例では水のための循環管路内の摂動壁13の存在は、熱交換のための表面積を増大可能にし、また、分割リブ19のレイアウトは、第2の流体が1つ以上の通路内で第1の流体と垂直に循環することを保証し、すなわち、空気/水冷却器の場合には、空気が交換器1を通じて循環する方向D1と略垂直に、水が1つ以上の通路内で循環することを保証する。
【0081】
これは、熱の交換を更に促進させるとともに、摂動壁13の他に構成要素を必要とせずに熱交換を促進させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b