特許第5906293号(P5906293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本電信電話株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000002
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000003
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000004
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000005
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000006
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000007
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000008
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000009
  • 特許5906293-光回線終端装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906293
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】光回線終端装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
   H04L12/44 200
   H04L12/44 M
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-184195(P2014-184195)
(22)【出願日】2014年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-32287(P2016-32287A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2014年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-152248(P2014-152248)
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺井 智宏
(72)【発明者】
【氏名】大高 明浩
(72)【発明者】
【氏名】大津 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】山根 裕一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 拓也
【審査官】 菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−252192(JP,A)
【文献】 実開平06−002946(JP,U)
【文献】 特開平11−291802(JP,A)
【文献】 特開2007−068877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノード装置から電源回線と供給回線との2つの回線を介して電源が供給される光回線終端装置であって、
前記ノード装置のポートに挿入される、第1の接続端子と前記第1の接続端子よりも前記挿入方向の長さが短い第2の接続端子とを有するコネクタと、
前記第1の接続端子を介して前記ノード装置の前記電源回線から電源を受電する電源供給部と、
前記第2の接続端子を介して前記ノード装置の前記供給回線から電源を受電し、前記電源の電圧値を取得することで電源が切断されたことを検出した場合に、前記第1の接続端子を介して供給される電源を用いて前記電源が切断されたことを示す制御信号を出力する検出部と、
を備える光回線終端装置。
【請求項2】
前記ノード装置は、
外部電源の電圧を所定の直流電圧に変換する電力変換部と、
前記電力変換部に接続された前記供給回線と、
前記電力変換部に接続された前記電源回線と、
を備える請求項1に記載の光回線終端装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第2の接続端子の電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源が切断されたことを検出し、
前記制御信号を受信すると、電源切断通知情報をセンタ側の光回線終端装置に送信する通信処理部をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の光回線終端装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線終端装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源供給が切断された場合にDyingGasp処理を行うSFP(Small Form factor Pluggable)型の光回線終端装置が提案されている(特許文献1)。SFP型の光回線終端装置は、光ノード装置のポートに挿入することで、光ノード装置から電源を供給される。このため、SFP型の光回線終端装置は、卓上型と比べて、電源アダプタや光回線終端装置の設置スペースを削減できる。
【0003】
図9は、従来の光ノード装置800及びSFP型の光回線終端装置900の構成を示すブロック図である。
光ノード装置800は、光回線終端装置900を挿入できるMSPポートを有する。光ノード装置800は、ダイオード811、コンデンサ812、DC/DCコンバータ813及び検出部814を備える。
【0004】
光ノード装置800は、電源変換アダプタ801でAC100VからDC5Vに変換された直流電源が供給される。電源変換アダプタ802から供給されたDC5Vの電源は、ダイオード811を経由してDC/DCコンバータ813に入力される。また、コンデンサ812には静電容量Cに比例する大きさの電荷が蓄積される。DC/DCコンバータ813は、DC5Vの電源をDC3.3Vに変換する。DC/DCコンバータ813は、変換したDC3.3Vを光回線終端装置900に出力する。
【0005】
光ノード装置800は、電源変換アダプタ801から供給される電源が切断されると、電源の切断を検出部814で検出する。そして、光ノード装置800は、電源の切断を光回線終端装置900に通知する。また、コンデンサ812に蓄積された電荷は、ダイオード811により光回線終端装置900に供給される。
【0006】
光回線終端装置900は、シリアル/パラレル変換部901、通信処理部902及び光トランシーバ903を備える。光回線終端装置900は、MSPポートに挿入されることで、DC/DCコンバータ813から電源(DC3.3V)が供給される。
【0007】
電源変換アダプタ801から供給される電源が切断されると、通信処理部902は、光ノード装置800から電源切断の通知を受ける。また、光回線終端装置900は、DC/DCコンバータ813から所定の期間だけ電源(DC3.3V)が供給される。よって、光回線終端装置900は、この所定の時間に電源切断の通知に基づいてDyingGasp信号を通信処理部902及び光トランシーバ903を介してONU910に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−252192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の光回線終端装置において、光回線終端装置がMSAポートに対して半差しや抜去される等の接続不良により光ノード装置から供給される電源が切断された場合、その電源の切断を検知することができない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、接続不良による電源の切断を検知することができる光回線終端装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、ノード装置から電源回線と供給回線との2つの回線を介して電源が供給される光回線終端装置であって、前記ノード装置のポートに挿入される、第1の接続端子と前記第1の接続端子よりも前記挿入方向の長さが短い第2の接続端子とを有するコネクタと、前記第1の接続端子を介して前記ノード装置の前記電源回線から電源を受電する電源供給部と、前記第2の接続端子を介して前記ノード装置の前記供給回線から電源を受電し、前記電源の電圧値を取得することで電源が切断されたことを検出した場合に、前記第1の接続端子を介して供給される電源を用いて前記電源が切断されたことを示す制御信号を出力する検出部と、を備える光回線終端装置である。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述の光回線終端装置であって、前記ノード装置は、外部電源の電圧を所定の直流電圧に変換する電力変換部と、前記電力変換部に接続された前記供給回線と、前記電力変換部に接続された前記電源回線と、を備える。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述の光回線終端装置であって、前記検出部は、前記第2の接続端子の電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源が切断されたことを検出し、前記制御信号を受信すると、電源切断通知情報をセンタ側の光回線終端装置に送信する通信処理部をさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、接続不良による電源の切断を検知することができる光回線終端装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の光回線終端装置を用いたPONシステムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態のノード装置30A及びONU20Aの外観構成の例を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態のノード装置30A及びONU20Aのブロック図を示す図である。
図4】第1の実施形態のMSAコネクタ21の概略構成図である。
図5】第1の実施形態のMSAコネクタ21のピン1〜ピン20の各々に割り付けられた信号の一例を説明する説明図である。
図6】第1の実施形態の光回線終端装置20Aの動作を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態のMSAコネクタ210の概略構成図である。
図8】第2の実施形態の回路基板211に形成された銅薄膜パターンの配置を示す図である。
図9】従来の光ノード装置800及びSFP型の光回線終端装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施形態における光回線終端装置を用いたPONシステムを、図面を用いて説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における光回線終端装置について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の光回線終端装置を用いたパッシブ光通信ネットワーク(PON:Passive Optical Network)システム1(以下、「PONシステム」という。)の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、PONシステム1は、収容局側(センタ側)の光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination:加入者線端局装置)10、複数のONU(Optical Network Unit:加入者宅側光回線終端装置)20(ONU20A〜20C)、複数のノード装置30(ノード装置30A〜30C)及び光スプリッタ40を備える。なお、本実施形態においては、ONU及びノード装置が3つである場合を説明するが、勿論この数に限られるものではない。
【0018】
OLT10は、事業者サービスネットワークの上位装置(不図示)に接続されている。OLT10は、光ファイバを介して光スプリッタ40に接続されている。
光スプリッタ40は、OLT10からの光ファイバ50を複数の光ファイバ60A〜60Cに分岐する。光ファイバ60A〜60Cは、それぞれONU20A〜20Cに接続されている。
【0019】
ONU20A〜20Cは、それぞれノード装置30A〜30Cに接続されている。ONU20は、ノード装置30に活線挿抜可能なモジュール型の光回線終端装置である。活線挿抜可能なモジュール型とは、MSA規格で規定されたものであり、例えばSFP(Small Form-factor Pluggable)型である。ONU20は、ノード装置30に挿入されることで、ノード装置30から電源が供給される。
【0020】
図2は、ノード装置30A及びONU20Aの外観構成の例を示す斜視図である。なお、ノード装置30B及び30Cは、図2に示すノード装置Aの構成例と同様の構成を有している。また、ONU20B及びONU20Cの構成は、図2に示すONU20Aの構成例と同様の構成を有している。
【0021】
ノード装置30Aは、MSAポート300、LANポート301及び電源プラグ302を有する。MSAポート300は、ONU20Aを挿入するスロットである。MSAポート300は、MSA(Multi Source Agreement)規格対応のポートであり、例えばSFPポートである。MSAポート300は、複数の接続端子を有している。LANポート301は、不図示の端末機器とLANケーブルを介して接続される。端末装置は、通信可能な装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、テレビ受像機、ゲーム装置などの装置である。電源プラグ302は、電源変換アダプタや商用電源等の外部電源が接続される。ONU20Aは、ノード装置30AのMSAポート300に挿入されることで、ノード装置30Aから電源が供給される。
【0022】
図3は、ノード装置30A及びONU20Aのブロック図を示す図である。なお、ノード装置30B及び30Cは、図3に示すノード装置Aの構成例と同様の構成を有している。また、ONU20B及びONU20Cの構成は、図3に示すONU20Aの構成例と同様の構成を有している。
ノード装置30Aは、電力変換部31及び通信処理部32を備える。
【0023】
電力変換部31は、外部電源から電源を受電する。本実施形態では、外部電源が電源変換アダプタである場合を説明する。電源変換アダプタ70は、AC100Vの電源を受電する。電源変換アダプタ70は、受電したAC100Vを例えばDC5Vの電圧(第1の直流電圧)に変換する。電源変換アダプタ70は変換した電圧を電力変換部31に出力する。
【0024】
電力変換部31は、電源変換アダプタ70から受電した電源を自装置の使用電圧(第2の直流電圧)に変換する。電力変換部31は、変換した電圧を供給回線を介してMSAポート300の接続端子36に接続されている。また、電力変換部31は、変換した電圧を電源回線を介してMSAポート300の接続端子35に接続されている。
【0025】
通信処理部32は、MSAポート300に接続されている。通信処理部32は、MSAポート300を介してOLT10からのデータを受信する。通信処理部32は、受信したデータに基づいて、自装置内の各部を制御する。
【0026】
ONU20Aは、MSAコネクタ21、光トランシーバ部22、通信処理部23、シリアル/パラレル変換部24、記憶部25、電力監視部26及び電源供給部27を備える。
図4は、本実施形態におけるMSAコネクタ21の概略構成図である。図4に示すように、MSAコネクタ21は、接続端子であるピン1〜ピン20を有する。ピン1〜ピン20は、MSA規格に従って回路基板の上に所定の間隔で形成された銅薄膜パターンである。
図5は、MSAコネクタ21のピン1〜ピン20の各々に割り付けられた信号の一例を説明する説明図である。ピン1〜ピン20は、基準電位(0V)に接続されるピン(以下、「基準電位接続ピン」という。)と信号を送受信するピン(以下、「信号接続ピン」という。)と電源が供給されるピン(以下、「電源接続ピン」という。)との大きく分けて3つに振り分けられる。
【0027】
基準電位接続ピンは、VeeT及びVeeRに対応する長ピンであり、例えば、ピン1、ピン10、ピン11、ピン14、ピン17及びピン20である。基準電位接続ピンにおいて、MSAコネクタ21の挿入方向の銅薄膜パターンの長さ(以下、「パターン長」という。)は、3mm程度である。
【0028】
信号接続ピンは、ピン2〜ピン9、ピン12、ピン13、ピン18及びピン19である。信号接続ピンは、通信処理部23及びシリアル/パラレル変換部24に接続される短ピンである。信号接続ピンのパターン長は、2.2mm程度である。
【0029】
電源接続ピンは、ピン15(第2の接続端子)及びピン16(第1の接続端子)である。ピン15は、電力監視部26に接続されている。ピン16は、電源供給部27に接続されている。電源接続ピンは、ピン15及びピン16のピンの長さが互いに異なる中ピンである。
ピン16のパターン長は、基準電位接続ピンより短く、かつ信号接続ピンより長い。例えば、ピン16のパターン長は、2.7mmである。ピン15のパターン長は、ピン16より短く、かつ信号接続ピンと同等以上である。ピン15のパターン長がピン16より短いのは、ONU20AがMSAポート300に対して半差しや抜去した場合に、ピン16よりも早くピン15に対する電源供給を切断するためである。
【0030】
MSAコネクタ21は、ノード装置30Aに設けられているMSAポート300に完全に挿入された状態(装着状態)で両者の端子が電気的に接続される。すなわち、MSAコネクタ21がMSAポートに挿入されることで、信号接続ピンは、通信処理部32に電気的に接続される。また、基準電位接続ピンは、ノード装置30Aの基準電位に電気的に接続される。ピン15は、供給回線に接続される。ピン16は、電源回線に接続される。
【0031】
光トランシーバ部22は、OLT10に接続されている。光トランシーバ部22は、Rx部とTx部とを有する。Rx部は、OLT10から供給された光信号を電気信号に変換する。そして、Rx部は、変換した電気信号を通信処理部23に出力する。Tx部は、通信処理部23から電気信号を受信する。Tx部は、受信した電気信号を光信号に変換する。Tx部は、変換した電気信号をOLT10に出力する。
【0032】
通信処理部23は、OLT10とノード装置30Aとの間で伝送されるデータ信号の終端処理を行う。また、通信処理部23は、電力監視部26から制御信号を受信する。通信処理部23は、制御信号を受信すると、記憶部25から電源切断通知情報を取得する。通信処理部23は、この電源切断通知情報を光トランシーバ部22のTxに出力する。電源切断通知情報は、電源が切断されたことを示す情報であり、例えばDyingGaspである。例えば、通信処理部23は、半導体チップ、演算処理装置(CPU)、ロジック回路である。
【0033】
シリアル/パラレル変換部24は、シリアル信号とパラレル信号とを相互に変換する。シリアル/パラレル変換部24は、通信処理部23からのパラレル信号をシリアル信号に変換する。そして、シリアル/パラレル変換部24は、変換したシリアル信号を信号接続ピンを介して通信処理部32に出力する。また、シリアル/パラレル変換部24は、通信処理部32から信号接続ピンを介して受信したシリアル信号をパラレル信号に変換して通信処理部23に出力する。
【0034】
電力監視部26は、ピン15に接続されている。電力監視部26には、MSAコネクタ21がMSAポートに挿入されると、ノード装置30Aの供給回線及びピン15を介して電源が供給される。電力監視部26には、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去等の接続不良でピン15と接続端子36との接続が切断されると、ノード装置30Aから供給される電源が切断される。電力監視部26は、ノード装置30Aから供給される電源が切断されたことを検出する。この際、ピン16と接続端子35との接続も同様に切断される。しかし、ピン15のパターン長がピン16よりも短いため、ピン15に供給される電源の切断がピン16より早い。すなわち、電力監視部26は、電源供給部27に供給される電源が切断される前に、電源の切断を検知することができる。供給される電源の切断を検知する方法は、予め設定された閾値を用いる方法がある。例えば、電力監視部26は、ノード装置30Aから供給される電源の電圧値が所定の閾値以下になった場合、電源が切断されたと判定する。電力監視部26は、電源の切断を検出すると、通信処理部23に電源が切断されたことを示す制御信号を出力する。すなわち、電力監視部26は、ピン15(第2の接続端子)を介してノード装置30Aの供給回線から電源の電圧値を取得することで電源が切断されたことを検出し、電源が切断されたことを示す制御信号を出力する検出部である。
【0035】
電源供給部27は、ピン16に接続されている。電源供給部27には、MSAコネクタ21がMSAポートに挿入されると、ノード装置30Aの電源回線及びピン16を介して電源が供給される。電源供給部27は、ONU20Aの各部に電源を供給する。電源供給部27には、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去等の接続不良でピン16と接続端子35との接続が切断されると、ノード装置30Aから供給される電源が切断される。
【0036】
次に本実施形態の光回線終端装置20Aの動作について、フローチャートに基づいて説明する。図6は、本実施形態における光回線終端装置20Aの動作を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS101において、ONU20Aは、ノード装置30AのMSAポートに挿入される。そして、電源変換アダプタ70がAC100Vの電源に接続されると、電力変換部31に電圧が供給される。電力変換部31は、供給された電圧を所定の電圧に変換する。所定の電圧は、自装置で使用される電圧であり、例えば3.3Vである。電力監視部26は、電力変換部31から供給回線を介して電圧を取得する。また、電源供給部27は、電力変換部31から電源回線を介して電圧を取得する。電源供給部27は、ノード装置30Aの各部に電源を供給する。
【0038】
ステップS102において、電力監視部26は、ノード装置30Aから供給される電源が切断されたか否かを判定する。例えば電力監視部26は、ピン15の電圧値が所定の閾値以下か否かを判定する。電力監視部26は、ピン15の電圧値が所定の閾値以下である場合(ステップS102:YES)、ステップS103に進む。一方、電力監視部26は、ピン15の電圧値が所定の閾値を上回る場合(ステップS102:NO)、電力変換部31から供給回線を介して電圧を再度取得する。なお、本実施形態において、ノード装置30Aから供給される電源が切断される場合とは、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去され、ピン15と接続端子36との接続が切断された場合である。
【0039】
ステップS103において、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去された場合、電力監視部26は、電源供給の切断を検知する。その際、ピン16は、ピン15よりパターン長が長いため、ピン16には電源が供給されている。すなわち、電源供給部27は、電力監視部26による電源断検知後の一定期間までノード装置30Aの各部に供給することができる。一定期間は、電力監視部26による電源断検知後からピン16と接続端子35との接続が切断されるまでの間の時間である。電力監視部26は、通信処理部23に制御信号を出力する。
【0040】
ステップS104において、通信処理部23は、電源が切断されたことを上記一定期間内にOLT10に通知する。すなわち、通信処理部23は、電力監視部26から制御信号を受信する。通信処理部23は、制御信号を受信すると、記憶部25から電源切断通知情報を取得する。通信処理部23は、この電源切断通知情報を光トランシーバ部22のTx部に出力する。Tx部は、電源切断通知情報を光信号に変換する。Tx部は、光信号に変換した電源切断通知情報を光ファイバを介してOLT10に出力する。
【0041】
上述したように、本実施形態の光回線終端装置20は、MSAコネクタ21を介してノード装置30の供給回線と電源回線との2系統から電源を受電する。すなわち、電源供給部27は、ピン16を介して電源回線から電源を光回線終端装置20の各部に供給する。電力監視部26は、ピン16よりパターン長が短いピン15を介して供給回線の電源を監視し、その電源の切断を検知する。これにより、電力監視部26は、電源供給部27に供給される電源が切断される前に、電源の切断を検知することができる。これより、光回線終端装置20は、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去された場合、電力監視部26で電源断を検知してから一定期間内に電源が切断されたことをOLT10に通知することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態における光回線終端装置(ONU)について、図面を用いて説明する。第2の実施形態における光回線終端装置200は、第1の実施形態で説明したピン15の短ピン化を実際に使用されるSFP型のコネクタに適用した構成を有する。本実施形態の光回線終端装置200は、第1実施形態のMSAコネクタ21がMSAコネクタ210に置き換わっている構成である。なお、第1の実施形態と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本実施形態における光回線終端装置200は、MSAコネクタ210、光トランシーバ部22、通信処理部23、シリアル/パラレル変換部24、記憶部25、電力監視部26及び電源供給部27を備える。
図7は、本実施形態におけるMSAコネクタ210の概略構成図である。MSAコネクタ210は、第1の実施形態で説明したピン15の短ピン化をSFP型に適用した構成を有する。
【0044】
図7に示すように、MSAコネクタ210は、複数の接続端子(ピン1〜ピン20)及び回路基板211を有する。接続端子は、MSA規格に従って回路基板211の上に所定の間隔で形成された銅薄膜パターンである。図8は、回路基板211に形成された銅薄膜パターンの配置図である。図8(A)は、回路基板211の上面に形成された銅薄膜パターンである。図8(B)は、回路基板211の底面に形成された銅薄膜パターンである。図8に示すように、ピン1からピン10の銅薄膜パターンは、回路基板211の底面に形成されている。ピン11からピン20の銅薄膜パターンは、回路基板211の上面に形成されている。そして、第1の実施形態と同様に、ピン16のパターン長は、基準電位接続ピンより短く、かつ信号接続ピンより長い。ピン15のパターン長は、ピン16より短く、かつ信号接続ピンと同等以上である。
【0045】
上述したように、本実施形態の光回線終端装置200は、MSAコネクタ210を介してノード装置30の供給回線と電源回線との2系統から電源を受電する。すなわち、電源供給部27は、ピン16を介して電源回線から電源を光回線終端装置200の各部に供給する。電力監視部26は、ピン16よりパターン長が短いピン15を介して供給回線の電源を監視し、その電源の切断を検知する。これにより、電力監視部26は、電源供給部27に供給される電源が切断される前に、電源の切断を検知することができる。これより、光回線終端装置200は、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差しや抜去された場合、電力監視部26で電源断を検知してから一定期間内に電源が切断されたことをOLT10に通知することができる。これにより、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0046】
以上述べた実施形態は全て本発明の実施形態を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。
【0047】
上述の実施形態では、ピン15のパターン長をピン16よりも短くしたが、これに限定されない。すなわち、MSAコネクタ21がMSAポート300に対して半差し又は抜去時された場合に、ピン15と接続端子36との接続がピン16と接続端子35との接続よりも早く切断されればよい。よって、例えば、ピン15のパターンに切り込みを入れてもよいし、接続端子36のパターン長を接続端子35より短くしてもよい。
また、上述した実施形態において、供給回線からの電圧を電源断の検知用として使用したが、これに限定されない。例えば、供給回線からの電圧を電源として光回線終端装置20の各部に供給してもよい。
【0048】
また、上述した実施形態において、MSAコネクタがMSAポートに挿入されることで、ピン16と電源回線とが接続し、ピン15と供給回線とが接続するが、これに限定されない。例えば、ピン16と供給回線とが接続され、ピン15と電源回線とが接続されるようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態において、ピン15のパターン長をピン16よりも短くしたが、これに限定されない。例えば、ピン16のパターン長をピン15よりも短く(短ピン化)してもよい。しかし、その場合、ピン15には電源供給部27が接続される。また、ピン16には、電力監視部26が接続される。すなわち、電力監視部26に接続される接続端子は、電源供給部27に接続される接続端子よりもパターン長が短ければよい。
【符号の説明】
【0050】
1 PONシステム
10 OLT
20 ONU
30 ノード装置
40 光スプリッタ
50、60 光ファイバ
21 MSAコネクタ
22 光トランシーバ部
23 通信処理部
24 シリアル/パラレル変換部
25 記憶部
26 電力監視部
27 電源供給部
31 電力変換部
32 通信処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9