(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(メタ)アクリル酸モノマー(a1)が、ブチルアクリレート、イソ−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びそれらの混合物から選択される、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の方法。
共重合性モノマー(a2)が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン及びそれらの混合物から選択される、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法。
共重合性モノマー(a3)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらのいずれかの混合物から選択される請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の方法。
共重合性モノマー(a4)が、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水物及びそれらの混合物から選択される、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の方法。
放射線硬化性化合物(a5)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらのいずれかの混合物から選択される、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の方法。
環状化合物(b1)と反応できる共重合性モノマー(a3)に由来する官能基を含む(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するために、ステップ(a)のモノマー混合物Mが、
(i)40から94.5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー(a1)と、
(ii)5から59.5重量%の共重合性モノマー(a2)と、
(iii)0.5から20重量%の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)任意選択で0から5重量%の共重合性モノマー(a4)と
を含み、少なくとも一部の前記官能基が一部の環状化合物(b1)と反応するグラフトステップ(c)をさらに含む、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の方法。
環状化合物(b1)と、共重合性モノマー(a3)の官能基及び放射線硬化性化合物(a5)の官能基の和との当量比が、1:1から6:1である、請求項12に記載の方法。
放射線硬化性化合物(a6)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートから選択される、請求項15に記載の方法。
開環ステップ(b)で又は開環ステップ(b)とグラフトステップ(c)の双方で環状化合物(b1)を開環させることによって形成される官能性末端基Wが、官能性末端基Wと反応できる少なくとも1つの官能基Yを含む少なくとも1種のキャッピング化合物によってキャップされるキャッピングステップ(e)をさらに含む、請求項1から17までのいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤(PSA)の3つの一般的なファミリー、即ち、溶剤型PSA、水性PSA及びホットメルトPSAが存在する。溶剤型PSAは、揮発性溶剤に溶解したPSAを含むが、水性PSAは、水中の乳濁液又は懸濁液としてのPSA配合物を含む。双方の場合、溶液、懸濁液又は乳濁液は、一般に、剥離ライナー、支持体(face stock)又は基材上にコートされ、次いで、溶媒又は水を蒸発させて乾燥形態のPSAを残す。他方、ホットメルトPSAは、固体含量の大きい系であり、PSA配合物は高粘度の液体形態であり、液体の粘度は温度に依存している。ホットメルトの粘度が十分低く、コート可能であるような温度で、ホットメルトは、剥離ライナー、支持体又は基材に塗布される。というのはPSAの現存の市販ホットメルトコーティングは、通常、150℃以上の温度で実施されるからである。冷却すると、PSAの最終的な特性が発揮される。
【0003】
溶剤型PSAは、一部の特別の場合60%まで又はそれを超える溶媒を含む。分子量を正確に制御することができ、溶媒の蒸発後にのみ有効になるイオン性架橋系を使用することができるので、溶剤型PSAは、剥離及びせん断などで優れた特性を有する。これは、現在、多数の高性能用途で主要な選択対象である。溶剤型アクリルPSAの性能を水性生成物又はホットメルト生成物に求めることは現在不可能である。
【0004】
しかし、溶剤型PSAには、多数の大きな欠点が存在する。これは、溶媒及びCO
2排出を低減しようとする現在の産業の懸案事項とは合致しない。溶剤型PSAの加工処理には、大きなコストが随伴しており、長時間が必要である。こうした系の加工には大きな熱乾燥オーブンが必要であり、その結果として大容量の溶媒を蒸発させるのに長い製造時間及び大きなエネルギー消費が必要であり、その後に、大容量の溶媒を安全に取り扱わなければならない。加えて、通常使用される溶媒は、可燃性であり、現実に火災又は爆発の危険が存在する。より重要なことであるが、こうした方法では、通常の生成条件下で溶媒を完全に除去することは不可能であり、最終生成物は、通常、いくらかの残留溶媒を含むので、その残留溶媒のために塗布した後に溶媒蒸気が発生する恐れがあり、最終用途でガスの排出問題がもたらされる。
【0005】
水性系を使用すれば、可燃性溶媒の使用に伴う課題は克服されるが、水性系を使用するコーティングには、溶媒より揮発性の劣る水の除去など一連のそれ自体に随伴する課題がある。
【0006】
さらには、より厚いコーティング層から水又は溶媒を除去するには困難が伴うので、溶剤型系又は水性系を使用する一回のパスで達成できる層厚は限定される。約100μm超の厚さの場合、コーティング機械を用いる複数回のパスを実施しなければならないか、又は乾燥したPSAを続くステップで積層しなければならない。
【0007】
したがって、無溶剤法が、PSAの生成にはより望ましい。その理由は、この方法では、より簡単、より安全、及びより経済的な製造法を用いて100%転換可能な材料を用いるからである。無溶剤ホットメルトPSAの性能を溶剤型PSAにより近い水準まで改善する方策は、塗布後にコーティングを硬化させることである。塗布時の高温は塗布装置中での早期硬化をもたらす恐れがあると思われるので、従来の加熱方法を使用して硬化を実施することはできない。無熱硬化を実現する一つの方法は、放射線硬化を使用することである。放射線硬化性PSAは、非常に良好な性能を示し、放射線硬化方法は、二酸化炭素排出量が本質的に低い。したがって、放射線硬化性PSAは、厳しい用途で溶剤型製品に置き換わる可能性を有する。今日まで、放射線硬化性PSAの技術的な性能は最適化されていないので、市場では限られた数の生成物しか存在していない。
【0008】
したがって、性能を改善した放射線硬化性接着剤を生成するための無溶剤法がより望ましい。放射線硬化性接着剤を作製するための様々な無溶剤法を記述する数種の従来技術が存在する。
【0009】
米国特許第4,181,752号及び米国特許第4,364,972号には、モノマー混合物を予備重合させてコート可能なシロップを形成することによって重合が少量行われる無溶剤法が記載されている。大量の未反応モノマーを含む得られたシロップは基材に塗布することができ、残りの重合は、照射によってさらに実施される。
【0010】
米国特許第5,879,759号には、照射でモノマー混合物を部分的に重合させることによってコート可能なシロップが形成される方法が記載されている。この場合、コート可能なシロップは、第二のステップで他のモノマー又はオリゴマーと配合物され、さらに照射されて感圧接着剤特性を有するコポリマーを提供する。
【0011】
米国特許第6,436,532号では、特別な照射スキームが記載されている。モノマーの混合物又は予備重合されたシロップは、最初は比較的低い平均強度で、続いてより高い平均強度で電磁放射線によって照射される。
【0012】
米国特許第4,243,500号及び米国特許第5,741,435号では、感圧接着剤は、ポリマーが反応性溶媒として機能する遊離モノマーと混合される異なる無溶剤法によって形成される。生成したコート可能な混合物は、さらに照射に暴露することができ、その照射によってモノマー及びポリマーの共重合又は架橋が誘発される。
【0013】
しかし、公知の無溶剤法では、従来の生成条件下で通常遭遇する硬化時間枠内で系を重合させて高分子量の最終生成物にすることは不可能であり、したがって、高性能PSAを得ることができない。
【0014】
他方、米国特許第4,082,816号、米国特許第4,368,320号、米国特許第5,082,922号及び米国特許公開第2007/0142591号には、ポリマーの調製でラクトンやラクタムなどの環状化合物の使用が記載されている。環状化合物を調製の様々なステップで使用して、環状化合物の開環によって得られる側鎖を有するポリマーを得る。合成は溶媒の存在下で実施される。
【0015】
同様に又、欧州特許第0856533号、米国特許第4,921,934号及び米国特許第4,720,528号には、ポリマー調製の様々な段階で行うことができる環状化合物との開環反応によって修飾されたポリマーの調製が開示されている。この開示された方法もやはり溶媒を利用する。
【0016】
米国特許第6,566,466号では、ラクトンやラクタムなどの開環モノマーが、ポリマーの調製用の液体稀釈剤として使用される。稀釈剤は、ポリマーを調製するのに使用される重合条件下で非反応性である。次いで、系は、開環モノマーをポリマー上又は架橋剤上に存在する共反応性部分と反応させることによって硬化させることができる。
【0017】
しかし、上記の方法のいずれにおいても、環状化合物が、最初の共重合ステップで稀釈剤として使用され、次いで、それに続く開環ステップで環状化合物に対して反応性である基を有する放射線硬化性化合物と反応することはない。故に、上記の方法のいずれにも、環状化合物と放射線硬化性化合物の間の放射線硬化性付加物の形成は開示されておらず、したがって、上記の方法のいずれにも、放射線硬化性組成物の調製は開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、用語「アクリル」と「メタクリル」の双方を包含すると理解され、少なくとも1つのアクリレート基(CH2=CHCOO−)及び/又は少なくとも1つのメタクリレート基(CH2=CCH3COO−)を含む化合物を指す。アクリレート基とメタクリレート基の双方が存在する場合、これらは同じ化合物上に存在しても異なる化合物上に存在してもよい。
【0022】
単数を示す語はまた、複数も含み、その逆も真である。
【0023】
非共重合性環状化合物(b1)は、好ましくは、共重合条件下でモノマー混合物Mのモノマーと共重合しない化合物である。非共重合性環状化合物(b1)は、有利には、1個の
【化2】
基、より有利には、Xが酸素である1個の基を環中に含む。適切な環状化合物(b1)として、ラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カーボネート及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい環状化合物(b1)は、ラクトン及びラクチド並びにそれらの混合物である。ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、並びに2−ヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸及び乳酸、3−ヒドロキシカルボン酸、例えば3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸及びヒドロキシピバリン酸などのヒドロキシカルボン酸のラクトンなどのラクトンが特に好ましい。ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン及びそれらの混合物がより好ましく、ε−カプロラクトンが最も好ましい。
【0024】
本発明による方法の特定の変形形態において、少なくとも2種の異なる非共重合性環状化合物(b1)が使用され、好ましくは、少なくとも2種の異なるラクトン、より好ましくは、ε−カプロラクトンとδ−バレロラクトンの混合物が使用される。
【0025】
(メタ)アクリル酸モノマー(a1)は、一般に、モノマー混合物Mの40から94.5重量%の量で使用される。(メタ)アクリル酸モノマー(a1)の量は、好ましくは、少なくとも45重量%、より好ましくは、少なくとも50重量%であり、好ましくは、それは、94重量%を超えず、より好ましくは、それは、80重量%を超えず、最も好ましくは、それは、70重量%を超えない。(メタ)アクリル酸モノマー(a1)は、好ましくは、そのホモポリマーのTg(ガラス転移温度)が最大で−30℃であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される。アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくは、直鎖及び分枝脂肪族アルキル(メタ)アクリレートから、より好ましくは、アルキル基中に炭素原子3から20個を有するものから選択される。n−ブチルアクリレート、イソ−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びそれらの混合物が特に好ましい。Tgは、ASTM E1356−08に準拠して測定される。測定は、加熱速度10°C/分でMettlerのDSC823e装置で実施される。DSCセルは、流速50ml/分の窒素ガスでパージされ、試料の質量は、約10mgである。Tgは、転移の中心点として熱流−温度サーモグラムから推定される。
【0026】
共重合性モノマー(a2)は、一般に、モノマー混合物Mの5から59.5重量%の量で使用される。使用される共重合性モノマー(a2)の量は、好ましくは、少なくとも10重量%、より好ましくは、少なくとも20重量%であり、好ましくは、それは、59重量%を超えず、より好ましくは、それは、50重量%を超えず、最も好ましくは、それは、40重量%を超えない。共重合性モノマー(a2)は、一般に、少なくとも1つの共重合性炭素−炭素二重結合を含む化合物である。共重合性炭素−炭素二重結合は、当業者に公知であり、共重合性炭素−炭素二重結合として、(メタ)アクリレート、ビニル、アリル型の二重結合が挙げられる。共重合性モノマー(a2)は、好ましくは、そのホモポリマーのTgが−30℃超であるモノマーから選択される。適切な共重合性モノマー(a2)は、直鎖及び分枝脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、特に、アルキル基中に炭素原子1から20個を有するもの、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン及びそれらの混合物である。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン及びそれらの混合物が特に好ましい。
【0027】
モノマー(a1)及び(a2)は、共重合条件下で環状化合物(b1)と反応できるヒドロキシル、カルボン酸、アミン、チオール基などのいかなる官能基も含まない。
【0028】
モノマー(a1)と(a2)の比は、(a1)及び(a2)に基づいて得られるコポリマーのTgが−60°Cから20°C、好ましくは、−40°Cから0°Cになるような比である。
【0029】
存在する場合、共重合性モノマー(a3)は、一般に、モノマー混合物Mの0.5から20重量%の量で使用される。使用される共重合性モノマー(a3)の量は、好ましくは、少なくとも1重量%、より好ましくは、少なくとも1.5重量%であり、好ましくは、それは、10重量%を超えず、より好ましくは、それは、7重量%を超えない。共重合性モノマー(a3)は、一般に、少なくとも1つの共重合性炭素−炭素二重結合と、環状化合物(b1)と反応できる少なくとも1つの官能基とを含む化合物である。共重合性炭素−炭素二重結合は、(a2)と関連させて上で述べたものである。環状化合物(b1)と反応できる官能基は、当業者に公知であり、官能基として、ヒドロキシル、カルボン酸、アミン、チオール基が挙げられる。第一の好ましいカテゴリーの共重合性モノマー(a3)は、1個のヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を含むもの、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレートである。アルキル基中に炭素原子1から20個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。かかる化合物の例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、その位置異性体、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。第二の好ましいカテゴリーの共重合性モノマー(a3)は、カルボン酸基を含むもの、及びその任意のものの混合物である。かかる化合物の例は、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸である。上の共重合性モノマー(a3)の任意の混合物も使用することができる。より好ましい共重合性モノマー(a3)は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物である。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及びそれらの混合物が最も好ましい。
【0030】
存在する場合、共重合性モノマー(a4)は、一般に、モノマー混合物Mの0.5から5重量%の量で使用される。使用される共重合性モノマー(a4)の量は、好ましくは、少なくとも0.7重量%、より好ましくは、少なくとも1重量%であり、好ましくは、それは、4重量%を超えず、より好ましくは、それは、3重量%を超えない。共重合性モノマー(a4)は、少なくとも1つの共重合性炭素−炭素二重結合と少なくとも1つの環状無水物とを含む化合物である。共重合性炭素−炭素二重結合は、(a2)と関連させて上で述べたものである。適切な共重合性モノマー(a4)として、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水物及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい共重合性モノマー(a4)は、マレイン酸無水物及びイタコン酸無水物並びにそれらの混合物である。最も好ましい共重合性モノマー(a4)は、マレイン酸無水物である。
【0031】
放射線硬化性化合物(a5)は、一般に、少なくとも1つの放射線硬化性炭素−炭素二重結合と環状化合物(b1)と反応できる少なくとも1つの官能基とを含む化合物である。放射線硬化性炭素−炭素二重結合は、当業者に公知であり、その二重結合として、(メタ)アクリレート、ビニル、アリル型の二重結合が挙げられる。官能基は、(a3)と関連させて上で述べたものである。第一の好ましいカテゴリーの放射線硬化性化合物(a5)は、1個のヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を含むもの、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートである。アルキル基中に炭素原子1から20個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートが特に好ましい。かかる化合物の例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、その位置異性体、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。第二の好ましいカテゴリーの放射線硬化性化合物(a5)は、カルボン酸基を含むもの、及びその任意のものの混合物である。かかる化合物の例は、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸である。上の放射線硬化性化合物(a5)の任意の混合物も使用することができる。より好ましい放射線硬化性化合物(a5)は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物である。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及びそれらの混合物が最も好ましい。放射線硬化性化合物(a5)は、共重合性モノマー(a3)と同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
本発明による方法の共重合ステップ(a)において、一般に、
(i)5から60重量%の環状化合物(b1)及び
(ii)40から95重量%のモノマー混合物Mが使用され、
重量%は本明細書で環状化合物(b1)とモノマー混合物Mの合計重量に対するものである。
【0033】
本発明による方法は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒とは、別の物質を溶解して分子又はイオンの大きさで均一に分散した混合物を形成できる任意の物質を意味する。溶媒は、硬化条件下で非反応性であり、一般に、硬化前又は硬化後に液体組成物から除去しなければならない。
【0034】
本発明による方法は、好ましくは、大量の溶媒の存在なしで、通常、モノマー混合物Mと環状化合物(b1)の和に対して1%未満の溶媒下で行われる。
【0035】
本発明による方法は、水の存在下で行うことができる。それは、好ましくは、大量の水の存在なしで、通常、モノマー混合物Mと環状化合物(b1)の和に対して1%未満の水の存在下で実施される。
【0036】
使用される環状化合物(b1)の量は、好ましくは、少なくとも10重量%、より好ましくは、少なくとも15重量%であり、好ましくは、それは、55重量%を超えず、より好ましくは、それは、50重量%を超えない。
【0037】
使用されるモノマー混合物Mの量は、好ましくは、少なくとも45重量%、より好ましくは、少なくとも50重量%であり、好ましくは、それは、90重量%を超えず、より好ましくは、それは、85重量%を超えない。
【0038】
第一のステップ(「共重合ステップ」)において環状化合物(b1)の存在下でモノマー混合物Mを共重合させることによって調製される(メタ)アクリル酸コポリマーは、ランダムコポリマー、交替コポリマー(alternating copolymer)又はブロックコポリマーであってよい。それは、好ましくは、ランダムコポリマーである。
【0039】
共重合ステップにおける共重合は、遊離ラジカル共重合によって行うことができる。これは、従来の方法によって、特に熱ラジカル開始剤を使用する遊離ラジカル共重合によって当業者に公知の方式で行うことができる。適切な熱ラジカル開始剤の例として、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、アゾ−ビス−イソブチロニトリル、アゾ−ビス−ジメチルペンタンニトリル、アゾ−ビス−メチルブチロニトリル、アゾ−ビス−シアノシクロヘキサンなどのアゾ化合物が挙げられる。開始剤は、例えば、モノマー混合物Mの0.05から2.0重量%の量で使用することができる。
【0040】
分子量及びその分布を良好に制御するために、好ましくはn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデカンチオール、イソ−オクチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン型、又は四臭化炭素、ブロモトリクロロメタンなどのハロゲン化炭素型の連鎖移動剤を反応の過程で添加することもできる。連鎖移動剤は、一般に、モノマー混合物Mの最大5重量%までの量で使用される。
【0041】
共重合は、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、一般に、60から150℃の温度で実施される。共重合は、好ましくは、60から100℃の温度で実施される。
【0042】
共重合ステップの後に、それに続くステップ、すなわち、放射線硬化性化合物(a5)の官能基と反応して放射線硬化性化合物Bを形成することによって環状化合物(b1)の環が開環する「開環ステップ」が実施される。開環によって官能性末端基Wを有する放射線硬化性化合物が生成し、基Wは、ヒドロキシル、カルボン酸又は第一級アミンである。環状化合物(b1)と放射線硬化性化合物(a5)の官能基比は、官能基の当量に対する環状基の当量で表して(当量比)、1:1から6:1、より好ましくは、2:1から5:1である。
【0043】
開環ステップは、一般に、80から150℃の温度で実施される。開環反応は、触媒の使用なしで行うことができるが、この場合の反応速度は比較的遅い。したがって、開環反応は、好ましくは、少なくとも1種の触媒の存在下で行われる。適切な触媒として、アルカリ又はアルカリ土類金属アルコキシド、有機酸、無機酸及びナトリウムメトキシド、カルシウムメトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、テトラアルキルチタネート、チタンキレート、チタンアシレート、鉛塩、酸化鉛、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、第一スズオクトエート、スズラウレート、スズオクトエート、硫酸、塩酸、リン酸、三フッ化ホウ素などのルイス酸が挙げられる。触媒は、モノマー混合物M、環状化合物(b1)及び放射線硬化性化合物(a5)の和に対して最大1000ppmの量で使用することができる。
【0044】
当業者には明らかなように、環状化合物(b1)と(a5)の官能基の当量比及び反応条件に応じて、環状化合物のオリゴマー化又は重合が一部行われる場合がある。得られる放射線硬化性化合物Bの分子量及び分子量分布もまた、環状化合物と官能基の当量比及び反応条件によって決まる。
【0045】
1種の非共重合性環状化合物(b1)のみが使用される本発明の変形形態では、環状化合物と官能基の当量比及び反応条件は、平均最大で4個の反復単位を含む化合物Bが得られるようになっている。
【0046】
本発明の第一の好ましい実施形態は、環状化合物(b1)と反応できる共重合性モノマー(a3)に由来する官能基を含む(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するために、ステップ(a)のモノマー混合物Mが、
(i)40から94.5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー(a1)と、
(ii)5から59.5重量%の共重合性モノマー(a2)と、
(iii)0.5から20重量%の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)任意選択で0から5重量%の共重合性モノマー(a4)と
を含み、少なくとも一部の前記官能基が一部の環状化合物(b1)と反応するグラフトステップ(c)をさらに含む方法に関する。
【0047】
グラフトステップ(c)では、環状化合物(b1)の一部とモノマー(a3)由来の官能基の開環反応によってグラフト化(メタ)アクリル酸コポリマーAが形成される。上で述べたように、開環反応は、触媒なしでも行うことができるが、好ましくは、触媒の存在下で行われる。触媒は、ステップ(b)で使用される触媒と同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、同じである。使用される触媒の合計量は、モノマー混合物M、環状化合物(b1)及び放射線硬化性化合物(a5)の和に対して最大1000ppmである。グラフトステップは、一般に、80℃から150℃の温度で実施される。環状化合物(b1)の残りの部分は放射線硬化性化合物(a5)と反応して開環ステップ(b)を介して放射線硬化性化合物Bを形成する。環状化合物(b1)と、共重合性モノマー(a3)の官能基及び放射線硬化性化合物(a5)の官能基の和との当量比は、好ましくは、1:1から6:1、より好ましくは、2:1から5:1である。
【0048】
当業者には明らかなように、環状化合物と(a3)及び(a5)の官能基の和の当量比及び反応条件に応じて、環状化合物のオリゴマー化又は重合が一部行われる場合がある。グラフト鎖の分子量及び分子量分布も又、環状化合物と官能基の当量比及び反応条件によって決まる。
【0049】
1種の非共重合性環状化合物(b1)のみが使用されるこの第一の実施形態の特定の変形形態では、環状化合物と官能基の当量比及び反応条件は、平均最大で4個の反復単位を含むグラフト鎖を有するグラフト化(メタ)アクリル酸コポリマーAが得られるようになっている。
【0050】
この第一の実施形態の好ましい変形形態では、グラフトステップ(c)は、共重合ステップ(a)の後に実施される。この変形形態では、触媒は、好ましくは、共重合ステップ(a)の最後に添加される。放射線硬化性化合物(a5)は、好ましくは、触媒の添加と一緒に又は触媒の添加後に且つ遅くとも環状化合物(b1)が全部消費される前に添加され、(b1)の一部が開環ステップ(b)で放射線硬化性化合物(a5)との反応に利用できるようにされる。グラフトステップ(c)は、より好ましくは、開環ステップ(b)の前に少なくとも部分的に実施される。
【0051】
本発明の第二の好ましい実施形態は、共重合性モノマー(a4)に由来する環状無水物基を含む(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するために、ステップ(a)のモノマー混合物Mが、
(i)40から94.5重量%のモノマー(a1)と、
(ii)5から59.5重量%の共重合性モノマー(a2)と、
(iii)任意選択で0から20重量%の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)0.5から5重量%の共重合性モノマー(a4)と
を含み、少なくとも一部の環状無水物基が少なくとも1種の放射線硬化性化合物(a6)と反応する付加物形成ステップ(d)をさらに含む方法に関する。
【0052】
この第二の実施形態では、存在する場合、共重合性モノマー(a3)は、より好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
【0053】
放射線硬化性化合物(a6)は、一般に、少なくとも1つの放射線硬化性炭素−炭素二重結合と、ヒドロキシル、アミン、チオール基などの(a4)に由来する環状無水物基と反応できる少なくとも1つの官能基とを含む化合物である。放射線硬化性炭素−炭素二重結合は、当業者に公知であり、その二重結合として、(メタ)アクリレート、ビニル、アリル型の二重結合が挙げられる。好ましい放射線硬化性化合物(a6)は、1個のヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を含むもの、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートである。アルキル基中に炭素原子1から20個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートが特に好ましい。かかる化合物の例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、その位置異性体、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。上の放射線硬化性化合物(a6)の任意の混合物も使用することができる。より好ましい放射線硬化性化合物(a6)は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物である。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及びそれらの混合物が最も好ましい。放射線硬化性化合物(a6)は、モノマー(a3)及び(a5)と同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、放射線硬化性化合物(a5)と(a6)は同じである。
【0054】
放射線硬化性化合物Bの官能性末端基Wがヒドロキシル、又は第一級アミンである本発明による方法のこの第二の実施形態の特定の変形形態によれば、放射線硬化性化合物Bの少なくとも一部は、放射線硬化性化合物(a6)として使用される。この特定の変形形態では、付加物形成ステップ(d)は、開環ステップ(b)と一緒に又は開環ステップ(b)の後で実施される。この特定の変形形態では、化合物Bと上記の少なくとも1種の他の化合物(a6)の混合物を使用することが好ましい。
【0055】
付加物形成ステップ(d)は、モノマー(a4)によって提供される環状無水物基を開くことによって実施され、化合物(a6)の官能基は、放射線硬化性基とカルボン酸基とを含む(メタ)アクリル酸コポリマーAを形成する。反応は、触媒なしで行うこともできるが、好ましくは、触媒の存在下で行う。有用な触媒は当業者に公知であり、酸又は塩基の中から選定することができる。触媒は、開環ステップ(b)で、又は開環ステップ(b)とグラフトステップ(c)の双方で使用される触媒と同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、同じである。使用される触媒の合計量は、一般に、モノマー混合物M、環状化合物(b1)及び放射線硬化性化合物(a5)及び(a6)の和に対して最大1000ppmである。付加物形成ステップは、一般に、80から140℃の温度で実施される。放射線硬化性モノマー(a6)の量は、化合物(a6)の官能基と環状無水物基の当量比が、少なくとも0.5:1、より好ましくは、少なくとも0.7:1であるようになっている。一般に、それは、2:1を超えず、より好ましくは、それは、1.5:1を超えない。最も好ましくは、それは、約1:1である。
【0056】
本発明の第三の好ましい実施形態では、本法は、開環ステップ(b)で又は開環ステップ(b)とグラフトステップ(c)の双方で環状化合物(b1)を開環することによって形成される官能性末端基Wが、官能性末端基Wと反応できる少なくとも1つの官能基Yを含む少なくとも1種のキャッピング化合物でキャップされるキャッピングステップ(e)をさらに含む。
【0057】
本発明のこの第三の実施形態の特定の変形形態では、官能性末端基Wが、ヒドロキシル又は第一級アミンである場合、キャッピング化合物は、好ましくは、モノ、ジ又はポリイソシアネート、より好ましくは、ジイソシアネートである。ジイソシアネートが使用される場合、共重合性モノマー(a3)は、存在する場合、好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
【0058】
本発明の第四の特定の実施形態は、第一の、第二の及び第三の好ましい実施形態の任意の組合せである。好ましい組合せは、本発明の第二の実施形態と第三の実施形態の組合せである。
【0059】
本発明による方法の特定の変形形態、及び本発明の第一の及び第三の実施形態の特定の変形形態では、放射線硬化性組成物は、有利には、特に、組成物が金属、導電性金属酸化物又は他の導電性材料と接触する最終用途で腐食現象を防止するために、酸性種を含まない。この場合、共重合性モノマー(a3)及び放射線硬化性化合物(a5)は、有利には、いかなるカルボン酸基も含まない。
【0060】
本発明による方法では、
(i)30から95重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーAと、
(ii)5から70重量%の放射線硬化性化合物Bと
を含む(重量%は、本明細書で(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとの合計重量に対するものである)放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。
【0061】
本発明による方法では、より具体的に、
(i)30から93重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーAと、
(ii)7から70重量%の放射線硬化性化合物Bと
を含む(重量%は、本明細書で(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとの合計重量に対するものである)放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。
【0062】
本発明による方法は、数種の利点を提供する。
【0063】
共重合ステップ中に稀釈剤として環状化合物(b1)を使用することによって溶媒の使用を回避することと比較的高分子量を有する(メタ)アクリル酸コポリマーAを得ることの双方が可能になる。開環ステップ中に環状化合物(b1)を放射線硬化性化合物(a5)と反応させることによって、有利には、その放射線硬化性化合物Bへの転換が可能になる。第一に、放射線硬化性化合物Bは、最終組成物を放射線硬化性にする。第二に、放射線硬化性化合物Bへの転換によって、共重合ステップにおいて稀釈剤として使用された環状化合物は、溶媒とは違って、組成物から除去する必要がなく、組成物の硬化の際にネットワークの一部になる。
【0064】
本発明による方法によって、組成物を接着剤、特に感圧接着剤の作製に特に適したものにする特性の組合せを提供する放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。
【0065】
本発明による方法によって、実質的に溶媒を含まず、一般には、組成物の合計重量に対して通常1重量%未満の溶媒を含む放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。組成物は、有利には、0.5重量%未満の溶媒を含む。溶媒とは、別の物質を溶解して分子又はイオンの大きさで均一に分散した混合物を形成できる任意の物質を意味する。溶媒は、硬化条件下で非反応性であり、一般に、硬化前又は硬化後に液体組成物から除去しなければならない。
【0066】
本発明による方法によって、実質的に水を含まず、一般には、組成物の合計重量に対して通常1重量%未満の水を含む放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。組成物は、有利には、0.5重量%未満の水を含む。
【0067】
本発明による方法によって、比較的高分子量を有する(メタ)アクリル酸コポリマーAを得ることが可能になる。(メタ)アクリル酸コポリマーAの重量平均分子量は、好ましくは、10から500kDa、より好ましくは、30から300KDaの範囲である。重量平均分子量(Mw)は、Polymer Laboratories(分子量範囲:200〜7,500,000g/mol)からのポリスチレン標準EasyCalを用いて従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。少量の試料がテトラヒドロフラン(THF)に溶解され、4 PLGel Mixed−Aポリスチレン−ジビニルベンゼンGPCカラム(300mm×7.5mm×20μm)を備えた液体クロマトグラフ(Merck−Hitachi L7100)内に注入される。試料の成分は、溶液中の分子サイズに基づいてGPCカラムによって分離され、屈折率検出器によって検出される。データは、収集され、Polymer Laboratories Cirrus GPCソフトウエアによって処理される。
【0068】
本発明は又、既に説明した本発明による方法によって取得可能であり、より具体的には、
(i)30から93重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーAと、
(ii)7から70重量%の放射線硬化性化合物Bと
を含む(重量%は、本明細書で(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとの合計重量に対するものである)放射線硬化性組成物に関する。
【0069】
放射線硬化性組成物は、好ましくは、少なくとも35重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーA,より好ましくは、少なくとも40重量%を含み、好ましくは、それは、90重量%超の(メタ)アクリル酸コポリマーAを含まず、より好ましくは85重量%超を含まない。放射線硬化性組成物は、好ましくは、少なくとも10重量%の放射線硬化性化合物B、より好ましくは、少なくとも15重量%を含み、好ましくは、それは、65重量%超の放射線硬化性化合物(B)を含まず、より好ましくは60重量%超を含まない。
【0070】
本発明による方法は又、本明細書に上述されたような組成物が、少なくとも1種の放射線硬化性化合物Cと混合されて、
(i)(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとを含む50から100重量%の放射線硬化性組成物と、
(ii)0から50重量%の少なくとも1種の放射線硬化性化合物Cと
を含む(重量%は、本明細書で(メタ)アクリル酸コポリマーA、放射線硬化性化合物B及び放射線硬化性化合物Cの合計重量に対するものである)放射線硬化性組成物を得る少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0071】
放射線硬化性組成物は、好ましくは、少なくとも55重量%、より好ましくは、少なくとも60重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとを含む放射線硬化性組成物を含み、好ましくは、それは、99.5重量%超、より好ましくは、99重量%超の(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとを含む放射線硬化性組成物を含まない。放射線硬化性組成物は、好ましくは、少なくとも0.5重量%、より好ましくは、少なくとも1重量%の化合物Cを含み、好ましくは、それは、45重量%超、より好ましくは、40重量%超の化合物Cを含まない。
【0072】
放射線硬化性化合物Cは、一般に、(メタ)アクリル化オリゴマー、(メタ)アクリル化モノマー及びそれらの混合物から選択される。それは、放射線硬化性化合物Bと同じであっても、異なっていてもよい。
【0073】
(メタ)アクリル化オリゴマーは、一般に、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリカプロラクトンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル化(メタ)アクリル酸オリゴマー、アミン(メタ)アクリレートオリゴマー及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0074】
(メタ)アクリル化モノマーとして、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソ−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、2−(−2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ジ又はトリプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA、TPGDA)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETIA)及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジ−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(ジTMPTA)、グリセロールトリ(メタ)アクリレート及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体;脂肪族グリシジルエーテル、特に、アルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含む脂肪族グリシジルエーテル及び/又は飽和及び不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、特にアルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含む長鎖アルキルカルボン酸のグリシジルエステルの(メタ)アクリル酸によるエステル化によって得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリル化モノマーとして、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、P
2O
5とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応から生成するモノマーがさらに挙げられる。上に列挙した(メタ)アクリル化モノマーの任意の混合物も使用することができる。
【0075】
(メタ)アクリル化モノマーは、好ましくは、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETIA)及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジ−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(ジTMPTA)、グリセロールトリ(メタ)アクリレート及びそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、β−カルボキシエチルアクリレート、P
2O
5とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応から生成するモノマーから選択される。上に列挙した(メタ)アクリル化モノマーの任意の混合物も使用することができる。
【0076】
放射線硬化性組成物は又、少なくとも1種の粘着付与剤も含むことができる。粘着付与剤は、ロジン酸、重合ロジン酸、ロジンエステル及び混合物、及び好ましくは、水素化ロジン樹脂などのロジン粘着付与剤;脂肪族及び/又は脂環式炭化水素粘着付与剤樹脂などの炭化水素樹脂、及び好ましくは水素化炭化水素樹脂;芳香族/脂肪族粘着付与剤樹脂、及び好ましくは水素化芳香族/脂肪族粘着付与剤樹脂;ポリテルペン及びテルペンフェノール樹脂;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及び混合物から重合した芳香族樹脂;フェノール修飾芳香族樹脂、ベンゾエート樹脂、クマロン−インデン;低分子量ポリアクレートから選択することができる。
【0077】
粘着付与剤が、本発明による組成物中に存在する場合、その量は、通常、組成物の合計重量に対して5%から50重量%である。
【0078】
本発明による放射線硬化性組成物は又、通常、少なくとも1種の重合阻害剤も含む。阻害剤として、限定されないが、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン(THQ)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)、tert−ブチルヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの置換フェノール化合物、並びにトリスフェニルホスファイト(TPP)、トリスノニルフェニルホスファイト(TNPP)、フェノチアジン(PTZ)、トリフェニルアンチモン(TPS)、シュウ酸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
使用される阻害剤の合計量は、一般に、組成物の合計重量に対して0から1重量%、好ましくは、0.01から0.5重量%である。
【0080】
本発明による放射線硬化性組成物は又、顔料、着色剤、湿潤剤、酸化防止剤、流動性改良剤、難燃剤、UV防止剤、接着促進剤及びそれらの混合物を含めての他の添加剤を含むこともできる。UV防止剤は、名称DASTIB(登録商標)845、TINUVIN(登録商標)770、TINUVIN(登録商標)765、TINUVIN(登録商標)144、TINUVIN(登録商標)123、TINUVIN(登録商標)371、TINUVIN(登録商標)111、TINUVIN(登録商標)783、TINUVIN(登録商標)292、TINUVIN(登録商標)791、TINUVIN(登録商標)622、HOSTAVIN(登録商標)n24、CYASORB(登録商標)UV3346、CYASORB(登録商標)UV3529で市販されているものなどのUV吸収剤又はHALS安定剤であってよい。添加剤の合計量は、組成物の合計重量に対して20重量%を超えず、好ましくは、それは、15重量%を超えない。
【0081】
放射線硬化性組成物は又、放射線硬化性オリゴマー及び任意選択でその中に存在する他の放射線硬化性化合物の重合を開始させることができる少なくとも1種の光化学開始剤及び/又は化学開始剤を含むこともできる。光化学開始剤(光開始剤とも呼称される)は、重合を開始させるラジカルを光励起で生成できる化合物である。光開始剤は、好ましくは、遊離ラジカル光開始剤である。アクリル化化合物が十分に反応しない本発明の一部の実施形態では、光開始剤は又、カチオン性光開始剤を含むこともできる。典型的な光開始剤は、Graeme Moad and David H.Solomon編纂の「The Chemistry of Free Radical Polymerization」Pergamon(1995)、頁84〜89に記載されている。本発明で使用される組成物で使用可能な光開始剤は、ヒドロキシケトン、アミノケトン、ベンジルジメチル−ケタール、アシルホシン(phoshines)、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン及びそれらの混合物から選択することができる。こうした生成物の通常の例は、名称Irgacure(登録商標)149、Irgacure(登録商標)184、Irgacure(登録商標)369、Irgacure(登録商標)500、Irgacure(登録商標)651、Irgacure(登録商標)784、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)907、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)1850、Irgacure(登録商標)2959、Darocur(登録商標)1173、Darocur(登録商標)4265で市販されているものである。
【0082】
本発明に記載の放射線硬化性組成物は、好ましくは、紫外放射線、γ線、X線などの化学線又は電子ビームに暴露することによって硬化する。
【0083】
UV放射線下で硬化する場合、少なくとも1種の光開始剤を含む硬化性組成物が好ましい。光開始剤又は化学開始剤の量は、好ましくは、組成物の合計重量に対して0.001〜10重量%、より好ましくは、0.01〜5重量%で含まれる。本発明による組成物は又、組成物の合計重量に対して0から5重量%の1種又は複数のアミン協力剤(synergists)を含むこともできる。
【0084】
或いは、組成物は、特に電子ビームで硬化する場合、光開始剤なしで硬化することもできる。
【0085】
本発明による放射線硬化性組成物は、数種の利点を提供する。
【0086】
本発明による放射線硬化性組成物は、良好な剥離及びせん断性能を提供するので、それによって、該放射線硬化性組成物が、接着剤、特に、感圧接着剤(PSA)を作製するために適したものになる。
【0087】
PSAは、固形の無溶剤形態で永久に粘着性を保つ粘弾性材料であり、非常にわずかな圧力の印加で大抵の固体面に直ちに接着し、粘弾性特性のバランスをもたらすので、周囲条件下で結合機能と保持機能の双方が同時に発揮される。
【0088】
本発明による方法によって、生成時間、エネルギー消費、廃棄物の発生及び処理、並びに床面積の点で、その塗布が溶剤型及び水性の系より有利である放射線硬化性組成物を得ることが可能になる。加えて、本発明による組成物によって、より厚い層を塗布し、一回のパスで硬化させることが可能になる。さらには、溶剤型の系と比較して、該組成物は、塗布中及び塗布後に溶媒蒸気を排気しないので、このことは、自動車及びエレクトロニクスのような用途で使用する場合より安全且つ有利である。
【0089】
本発明による組成物は、有利には、粘度がより低く、したがって、より幅広の配合ウィンドウ(formulation window)を提供するので、特に、公知のホットメルト系及び公知のUV PSAに比較して用途の可能性が拡大する。該組成物は、ホットメルト系の高いコーティング温度に耐えることができないプラスチックなどの熱に弱い基材に塗布することができる。
【0090】
本発明による方法によって、公知の無溶剤系と比較して、比較的高分子量を有する(メタ)アクリル酸コポリマーAを得ることが可能になる。次いで、こうした系は、非常に短い距離内で比較的高ライン速度で塗布及び硬化することができる。
【0091】
未硬化及び硬化双方の本発明による放射線硬化性組成物は、高透過率(厚さ50μmのフィルムで95%以上)、高透明性、低ヘイズ(厚さ50μmのフィルムで5%以下のヘイズ)及び低い色度(厚さ50μmのフィルムで−1から1のa及びb)などの優れた光学特性を特徴とする。こうした特徴は、時間が経過しても維持される。こうした特徴によって、該組成物が、光学構造物で使用するための接着剤及び/又は感圧接着剤を作製するのに特に適したものになる。タッチスクリーン用途や太陽光発電などのオプトエレクトロニクス用途において電子部品と直接接触して使用する場合、本発明による組成物は、有利には、酸性種を含まない。
【0092】
本発明による放射線硬化性組成物によって、特に組成物がUV−A波長範囲で吸収する光開始剤と合わされている場合、非常に厚い層(500ミクロン以上)をUV放射線によって深くまで硬化させることが可能になる。
【0093】
したがって、本発明は、
(a)本発明による放射線硬化性組成物を提供するステップと、
(b)前記組成物を基材に塗布するステップと、
(c)前記組成物を化学線又は電子ビーム源に暴露して前記組成物を硬化させるステップと
を含む、接着剤、特に、感圧接着剤を調製する方法にさらに関する。
【0094】
本発明は、本発明に従って組成物を硬化させることによって得ることができる接着剤及び/又は感圧接着剤にさらに関する。
【0095】
本発明による方法では、放射線硬化性組成物は、ディップコーティング、スプレーコーティング、スロットダイ、フィルムコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティングなどを含めての任意の適切な手段によって表面に塗布することができる。それは、好ましくは、スロットダイ又はロールコーティングによって塗布される。組成物は、任意の適切な温度で、好ましくは、25〜150℃で塗布することができる。
【0096】
コートする基材は、任意の基材、特に、紙、金属、剥離ライナー、ポリマーフォーム、及びその他のポリマー基材であってよい。
【0097】
表面の照射は、紫外放射線、γ線、X線や電子ビームなどの化学線によって実施することができる。本発明による方法では、電子ビーム及び特に、紫外放射線が好ましい。
【0098】
次に、例示のみのためである以下の非限定的実施例を参照して詳細に本発明を説明する。
【0099】
使用する方法:
試験試料の調製:
例1〜14のPSAの結果に対するテープはすべて、接着剤転写(adhesive transfer)によって作製する。未硬化の液体PSA組成物を剥離紙(Loparex Poly Slik 111/120、Apeldoorn、The Netherlands、roll No.W03180672)又は光学剥離ライナー(Mitsubishiポリエステルライナー2SLKN or 2HLKN)上にドローダウンする(drawn down)。通常50μmの設定でBraive Instrumentsの調整可能なBird塗布機を使用して、最低速度(約1.5m/分)でストローク30cmのGardco Automatic Drawdown Machineを用いて100℃でドローダウンを実施する。電力200ワット/cmを有するUV−FusionランプBF9(H−bulb)を用いてコンベアベルト速度10m/分で組成物をUV硬化する。
【0100】
2つの二重経路の2kg硬質ゴムローラーを使用して、厚さ50μmのポリエステルフィルムに冷却フィルムを積層する。光学測定を実施すべき場合、ポリエステルフィルムは、光学グレードであり、光学グレード剥離ライナーを使用する。積層物を切断して2.5cm×約10cmの片にする。
【0101】
例15では、接着剤を100℃まで加熱し、次いで、平滑ガラスシート上に載せた光学剥離ライナー上にこれを注ぐことによって厚さ500μm以上の厚いキャストフィルムを生成した。接着剤上に光学剥離ライナーの第二のシートを注意深く置き、最後に、その最上部に第二のガラスシートを置く。ガラスの端部に置いたスペーサによって、キャストPSAの厚さを1mmから5mm(1000から5000μm)の範囲で生成することが可能になる。冷却すると、ガラスの間からこうした試料を注意深く取り外し、UVランプ下で硬化させることができる。
【0102】
23±2°C、相対湿度50±5%に保持した恒温/恒湿制御室で、すべての室温性能試験を実施する。
【0103】
別段の指示のない限り、50μmポリエステルフィルム上のPSAの50μm層についてすべての試験を実施する。試験のために、剥離紙又は剥離ライナーを除去して試験基材上に接着剤片を貼り付けることを可能にする。
【0104】
剥離試験:剥離試験は、接着剤の接着強度の尺度である。接着片をステンレス鋼上に貼り付ける。貼り付け後20分でEN 1939に準拠してInstron機で剥離試験を実施する。結果を25mm当たりのNで報告する。
【0105】
せん断抵抗:せん断抵抗は、接着剤の凝集性又は内部強度の尺度である。せん断抵抗は、接着剤片を決められた圧力で固定した表面に平行な方向で標準平滑面から接着剤片を引っ張るのに必要な力の大きさに基づく。一定負荷下でステンレス鋼試験パネルから接着剤コートシート材料の標準面積を引っ張るのに必要な時間でせん断抵抗を測定する。
【0106】
それぞれの片の25mm×25mm部分がパネルと硬く密着し、テープの一方の端部が自由になるように、ステンレス鋼パネルに貼り付けられた接着剤片について試験を実施する。パネルが水平に対して角度92°を形成するように、テープを付着させたパネルをラックに保持する。1kgの錘を延伸したテープの自由端部に吊り下げる。結果を分で報告する。
【0107】
ヘイズ:ヘイズを測定するのにBYK Gardner Haze Guardプラスを使用した。光学グレードの試験試料を使用し、測定を実施する前に剥離ライナーを除去する。試験方法ASTM D1003に準拠して試験を実施する。結果を%で報告する。
【0108】
色度(及び透過率):BYK Gardner Color球を使用してCIE L*a*b値(DIN6174)及びスペクトルの可視範囲での透過率%を測定した。光学グレードの試験試料を使用し、剥離ライナーを測定の実施の前に除去する。反射モードではなくて透過モードで機械を使用する。光学グレードPETフィルムを使用してゼロ較正を行う。
【0109】
粘度:DIN EN ISO 3219に準拠して所定のせん断速度100s
−1、100℃で回転粘度計を用いて粘度を測定した。粘度の値をmPa.sで表す。
【0110】
使用する短縮形:
VAZO(登録商標)67=2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)、開始剤
VAZO(登録商標)52=2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、開始剤
nDDCM=n−ドデシルメルカプタン、連鎖移動剤
2EHA=モノマー、2−エチルヘキシルアクリレート
MA=メチルアクリレート、モノマー
MMA=メチルメタクリレート、モノマー
AA=アクリル酸、モノマー
HBA=ヒドロキシブチルアクリレート、モノマー
MEHQ=ヒドロキノンモノメチルエーテル、安定剤
DBTL=ジブチルスズジラウレート、開環触媒
ADDITOL(登録商標)TPO=ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、光開始剤
HDMAP=2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、光開始剤
TMPTA=トリメチロールプロパントリアクリレート、三官能性アクリレートモノマー
【0111】
一般手順:
3Lの二重壁反応容器にε−カプロラクトン(b1)及び以下の表に示すような開始剤を装入する。この反応容器に撹拌機、水冷式凝縮器及び窒素の入口並びにフラスコに取り付けたサーモプローブを備え付け、サーモプローブを物質塊温度制御用の温度制御器に繋ぐ。フラスコ内容物を、Vazo67開始剤を使用する場合82℃に、Vaszo52開始剤を使用する場合70℃に加熱する。次いで、これを連続的に撹拌し、穏やかな速度でフラスコ内を窒素でパージする。次いで、モノマー混合物Mを4時間かけて反応容器に添加する。この時間中重合反応が行われ、ε−カプロラクトン中に(メタ)アクリル酸コポリマー(A)が生成する。大部分の未反応熱開始剤を分解するために、反応温度で2時間の後処理ステップを実施する。
【表1】
【0112】
第二のステップ(開環反応)を物質塊温度115℃で実施する。酸素6%を含む希薄空気で導入窒素ガスを置換する。1000ppmのMEHQ安定剤及び500ppmのDBTL触媒を反応混合物に添加した後にヒドロキシブチルアクリレートを添加する。撹拌機の回転速度を120RPMに設定してこのヒドロキシブチルアクリレートを30分間にわたって反応混合物に添加する。これによってε−カプロラクトンが開環して一官能性ε−カプロラクトンアクリレート化合物が生成する。開環は2から3時間後に完了する。この時間は、ガスクロマトグラフィーによるHBA含量によって決定する。
【0113】
最終ステップで、この混合物を70℃で2%の光開始剤と配合してUV硬化性PSAを得る。
【0114】
(例1)
上の手順に従い、例1として表に与えられた組成物を使用して無色の濁った樹脂を生成する。50μmフィルムで硬化する場合、この樹脂は以下の特性を有する。
【表2】
【0115】
剥離は小さく、約2N/25mmであり、せん断は、25mm正方形片及び1kgの錘で10分未満である。樹脂の粘度は、100℃で10,000mPa.sである。
【0116】
(例2)
今度は、例2として表に与えられた組成物を使用して、再度上の手順に従う。しかし、この場合、DBTL触媒の添加とHBAの添加の間に20分の遅れが存在する。これによって一部のε−カプロラクトンが、ポリマー鎖上の−OH官能基と反応する時間を稼ぐことが可能になり、ε−カプロラクトン、HBAの反応した化合物Bとの相容性が改善された。この生成物は、無ヘイズであり、例1と比較して光学及び接着剤特性が改善した。
【表3】
【0117】
樹脂の粘度は、100℃で4500mPa.sである。
【0118】
次いで、PSAフィルムをオーブンで85℃、312時間熟成し、光学特性を再測定する。これによって、この操作ではヘイズ及び透過率は変化せず、色度(color)が非常にわずか増加するのみであることがわかる。
【表4】
【0119】
(例3)
今度は、例3として表に与えられた組成物を使用し、ポリマー鎖内にMMAを組み込んで、再度上の手順に従う。次いで、DBTL触媒を添加した後に、直ちに、HBA232gを添加する。この生成物は、無ヘイズであり、光学特性が良好である。この場合、剥離が改善したことがわかる。
【表5】
【0120】
(例4)
今度は、例4として表に与えられた組成物を使用し、ポリマー鎖内ですべてのMAをMMAで置換して再度上の手順に従う。次いで、DBTL触媒を添加した後に、直ちに、HBA232gを添加する。この生成物は、無ヘイズであり、光学特性が良好である。この場合、剥離接着が約20N/25mmまで増加したことがわかる。この材料の多様な配合物によってある範囲の多様な接着剤特性及びせん断特性(例5から8)が得られる。
【表6】
【0121】
(例5から8)
例4からの樹脂を以下の表に示したようにTMPTAと配合して例5から8を得る。これらの例はすべて、光学的に透明であり、無ヘイズであった。
【表7】
【0122】
(例9)
今度は、例4として表に与えられた組成物を使用し、ポリマー鎖内ですべての2EHAをブチルアクリレートで置換して、再度上の一般手順に従う。次いで、DBTL触媒を添加した後に、直ちに、HBA232gを添加する。この生成物は、無ヘイズであり、光学特性が良好である。この場合、剥離接着及びせん断は、以下の表に列挙したものである。この材料の多様な配合物によってある範囲の多様な接着剤特性及びせん断特性(例10から14)が得られる。
【表8】
【0123】
(例10から14)
例9からの樹脂を以下の表に示したようにTMPTAと配合して例10から14で改善したせん断性能を得る。
【表9】
【0124】
(例15)
例4で得た組成物を厚さ2mm(2000μm)でPET基材上にキャストする。これを5m/分でUV硬化ランプ下を一回通過させることによってこれを硬化させる。一回通過後で試料を完全に硬化させる。この特定の系によって、非常に厚い組成物層を深くまで硬化することが可能になり、高い剥離値及び中程度のせん断が得られる。
【表10】
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
少なくとも1種の(メタ)アクリル酸コポリマーAと、少なくとも1種の放射線硬化性化合物Bとを含む放射線硬化性組成物を調製するための方法であって、
(a)第一の共重合ステップにおいて、少なくとも1つの
[化1]
基(式中、X=O又はNH)を環中に含む少なくとも1種の非共重合性環状化合物(b1)の存在下で、
(i)40から95重量%の少なくとも1種の(メタ)アクリル酸モノマー(a1)と、
(ii)(メタ)アクリル酸モノマー(a1)と異なる5から60重量%の少なくとも1種の他の共重合性モノマー(a2)(但し、前記モノマー(a1)及び(a2)は、共重合中に環状化合物(b1)と反応できるいかなる官能基も含まない)と、
(iii)任意選択で、環状化合物(b1)と反応できる少なくとも1つの官能基を含む0から20重量%の少なくとも1種の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)任意選択で、少なくとも1つの環状無水物を含む0から5重量%の少なくとも1種の共重合性モノマー(a4)と
を含むモノマー混合物Mを共重合させることによって(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するステップと、
(b)それに続く開環ステップにおいて、少なくとも1種の放射線硬化性化合物(a5)を用いて環状化合物(b1)を開環させることによって放射線硬化性化合物Bを調製するステップと
を含む(重量%はモノマー混合物Mの合計重量に対するものである)、上記方法。
[態様2]
環状化合物(b1)が、ラクトン及びその混合物から選択される、上記態様1に記載の方法。
[態様3]
(メタ)アクリル酸モノマー(a1)が、そのホモポリマーのTgが最大で−30℃であるアルキル(メタ)アクリートから選択される、上記態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
(メタ)アクリル酸モノマー(a1)が、ブチルアクリレート、イソ−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びそれらの混合物から選択される、上記態様1から上記態様3までのいずれか一項に記載の方法。
[態様5]
共重合性モノマー(a2)が、そのホモポリマーのTgが−30℃超であるモノマーから選択される、上記態様1から上記態様4までのいずれか一項に記載の方法。
[態様6]
共重合性モノマー(a2)が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン及びそれらの混合物から選択される、上記態様1から上記態様5までのいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
共重合性モノマー(a3)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらのいずれかの混合物から選択される上記態様1から上記態様6までのいずれか一項に記載の方法。
[態様8]
共重合性モノマー(a4)が、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水物及びそれらの混合物から選択される、上記態様1から上記態様7までのいずれか一項に記載の方法。
[態様9]
共重合ステップにおいて、
(i)5から60重量%の環状化合物(b1)及び
(ii)40から95重量%のモノマー混合物M
が使用される(重量%は、環状化合物(b1)とモノマー混合物Mの合計重量に対するものである)、上記態様1から上記態様8までのいずれか一項に記載の方法。
[態様10]
放射線硬化性化合物(a5)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらのいずれかの混合物から選択される、上記態様1から上記態様9までのいずれか一項に記載の方法。
[態様11]
環状化合物(b1)と放射線硬化性化合物(a5)の官能基の当量比が1:1から6:1である、上記態様1から上記態様10までのいずれか一項に記載の方法。
[態様12]
環状化合物(b1)と反応できる共重合性モノマー(a3)に由来する官能基を含む(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するために、ステップ(a)のモノマー混合物Mが、
(i)40から94.5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー(a1)と、
(ii)5から59.5重量%の共重合性モノマー(a2)と、
(iii)0.5から20重量%の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)任意選択で0から5重量%の共重合性モノマー(a4)と
を含み、少なくとも一部の前記官能基が一部の環状化合物(b1)と反応するグラフトステップ(c)をさらに含む、上記態様1から上記態様11までのいずれか一項に記載の方法。
[態様13]
環状化合物(b1)と、共重合性モノマー(a3)の官能基及び放射線硬化性化合物(a5)の官能基の和との当量比が、1:1から6:1である、上記態様12に記載の方法。
[態様14]
グラフトステップ(c)が共重合ステップ(a)の後に実施される、上記態様12又は13に記載の方法。
[態様15]
共重合性モノマー(a4)に由来する環状無水物基を含む(メタ)アクリル酸コポリマーを調製するために、ステップ(a)のモノマー混合物Mが、
(i)40から94.5重量%のモノマー(a1)と、
(ii)5から59.5重量%の共重合性モノマー(a2)と、
(iii)任意選択で0から20重量%の共重合性モノマー(a3)と、
(iv)0.5から5重量%の共重合性モノマー(a4)と
を含み、少なくとも一部の環状無水物基が少なくとも1種の放射線硬化性化合物(a6)と反応する付加物形成ステップ(d)を含む、上記態様1から11までのいずれか一項に記載の方法。
[態様16]
放射線硬化性化合物(a6)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、そのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、そのラクトン付加物、ポリアルコキシモノヒドロキシ(メタ)アクリレートから選択される、上記態様15に記載の方法。
[態様17]
放射線硬化性化合物(a6)の官能基とモノマー(a4)の環状無水物基の当量比が0.5:1から2:1である、上記態様15又は16に記載の方法。
[態様18]
開環ステップ(b)で又は開環ステップ(b)とグラフトステップ(c)の双方で環状化合物(b1)を開環させることによって形成される官能性末端基Wが、官能性末端基Wと反応できる少なくとも1つの官能基Yを含む少なくとも1種のキャッピング化合物によってキャップされるキャッピングステップ(e)をさらに含む、上記態様1から17までのいずれか一項に記載の方法。
[態様19]
官能性末端基Wが、ヒドロキシル又は第一級アミンであり、キャッピング化合物が、モノ、ジ又はポリイソシアネートである、上記態様18に記載の方法。
[態様20]
付加物形成ステップ(d)及びキャッピングステップ(e)を含む、上記態様1から11までのいずれか一項に記載の方法。
[態様21]
(i)30から93重量%の(メタ)アクリル酸コポリマーAと、
(ii)7から70重量%の放射線硬化性化合物Bと
含む(重量%は、(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとの合計重量に対するものである)、上記態様1から上記態様20までのいずれか一項に記載の方法によって得ることができる放射線硬化性組成物。
[態様22]
(i)(メタ)アクリル酸コポリマーAと放射線硬化性化合物Bとを含む50から100重量%の放射線硬化性組成物と、
(ii)0から50重量%の少なくとも1種の放射線硬化性化合物Cと
を含む(重量%は、(メタ)アクリル酸コポリマーA、放射線硬化性化合物B及び放射線硬化性化合物Cの合計重量に対するものである)、上記態様21に記載の放射線硬化性組成物。
[態様23]
(a)上記態様21又は22に記載の放射線硬化性組成物を提供するステップと、
(b)前記組成物を基材に塗布するステップと、
(c)前記組成物を化学線又は電子ビーム源に暴露して前記組成物を硬化させるステップと
を含む、接着剤及び/又は感圧接着剤を調製する方法。
[態様24]
上記態様21又は22に記載の組成物を硬化させて得ることができる接着剤及び/又は感圧接着剤。