特許第5906348号(P5906348)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5906348
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】半炭化物製造装置及び発電システム
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20160407BHJP
   F01K 17/02 20060101ALI20160407BHJP
   F23K 1/04 20060101ALI20160407BHJP
   C10B 53/02 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   C10L5/44
   F01K17/02
   F23K1/04
   C10B53/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-165007(P2015-165007)
(22)【出願日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596058591
【氏名又は名称】上原 春男
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】上原 春男
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−205730(JP,A)
【文献】 特開2003−024920(JP,A)
【文献】 特開2012−219176(JP,A)
【文献】 特開2003−213273(JP,A)
【文献】 特開2002−053868(JP,A)
【文献】 特開2001−031412(JP,A)
【文献】 特開2005−241239(JP,A)
【文献】 特開2015−028323(JP,A)
【文献】 特開2006−046826(JP,A)
【文献】 特開2007−127330(JP,A)
【文献】 特開2013−210123(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/033559(WO,A1)
【文献】 特開2005−147460(JP,A)
【文献】 特開平07−082564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 53/02
B09B 1/00−5/00
F01K 17/02
F23K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料を加熱して半炭化物を製造する半炭化物製造装置において、
あらかじめ乾燥された木質材料を内部空間に収容し、当該収容した木質材料を炉壁を介して外側から加熱可能とする外熱式の半炭化炉と、
前記半炭化炉を内部に収容する容器を有し、当該容器の内部空間における半炭化炉以外の空間部分に半炭化炉を外側から加熱する加熱用ガスを導入可能とされる外殻部と、
前記加熱用ガスを前記外殻部の内部空間における半炭化炉以外の空間部分に供給する供給部と、
一端が前記半炭化炉の内部空間に連通して、半炭化炉内で分離された揮発成分ガスを半炭化炉及び外殻部の外側に排出させる排出経路を有し、当該排出経路を通じて排出された揮発成分ガスを、冷媒を用いて冷却し凝縮させる凝縮部と
前記半炭化炉の内部温度を、前記木質材料から揮発成分の一部を分離可能とする加熱温度以上で、且つ、木質材料の炭化温度以下に保持するよう、前記供給部と凝縮部の制御を行う制御部とを備え、
当該制御部が、前記凝縮部における冷媒による冷却を調整して、凝縮部での揮発成分ガスの凝縮を調節し、排出経路を通じて前記半炭化炉内の圧力を増減させて、半炭化炉の内部温度を所定の中心温度から一定の範囲内に微調整することを
特徴とする半炭化物製造装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の半炭化物製造装置において、
前記制御部が、前記半炭化炉の内部温度を、中心温度が275℃で誤差が±5℃である温度範囲内に保持することを
特徴とする半炭化物製造装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の半炭化物製造装置において、
前記半炭化炉内の温度及び/又は圧力を検出する検出部を備えることを
特徴とする半炭化物製造装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の半炭化物製造装置において、
前記凝縮部により生成された揮発成分の凝縮液を前記供給部に送り込む液送給部を備え、
前記供給部が、前記液送給部から送給された凝縮液の燃焼熱を用いて水を加熱して過熱蒸気を生成し、当該過熱蒸気を前記加熱用ガスとして前記外殻部の半炭化炉を除く内部空間に供給することを
特徴とする半炭化物製造装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の半炭化物製造装置において、
前記供給部が、電気又はガスを用いて水を加熱して過熱蒸気を生成し、当該過熱蒸気を前記加熱用ガスとして前記外殻部の半炭化炉を除く内部空間に供給することを
特徴とする半炭化物製造装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載の半炭化物製造装置で製造された半炭化物を燃焼させて、蒸気動力サイクルの作動流体をなす水を加熱蒸発させて蒸気を生成するボイラと、
当該ボイラを出た前記蒸気を導入され、蒸気の保有する熱エネルギを動力に変換する膨張段を複数段有すると共に、一又は複数の段間から所定温度の蒸気の一部を抽気可能とされる膨張機と、
当該膨張機の動力で駆動されて発電する発電機と、
前記膨張機を出た蒸気を所定の低温熱源と熱交換させ、蒸気を凝縮させて水を得る凝縮器と、
当該凝縮器を出た前記水を加圧して前記ボイラへ送り込むポンプと、
前記膨張機で抽気された蒸気を熱源として、前記半炭化物製造装置に導入される木質材料をあらかじめ加熱して乾燥させる乾燥装置とを備えることを
特徴とする発電システム。
【請求項7】
前記請求項6に記載の発電システムにおいて、
前記ボイラが、半炭化物の燃焼により生じた所定温度の燃焼ガスを取り出し可能とされ、
前記半炭化物製造装置の外殻部内に、ボイラからの燃焼ガスを前記加熱用ガスの少なくとも一部として供給して、外殻部内部の半炭化炉を加熱することを
特徴とする発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質材料から半炭化物を製造する半炭化物製造装置と、この半炭化物製造装置を利用した発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国のエネルギー分野において、石炭火力発電は、他のエネルギー資源と比較して、安全性や安定性が高いことから依存度が高い。その一方で、二酸化炭素の排出量が多く環境負荷が高いという問題を抱えている。
【0003】
エネルギー資源としてのバイオマスは、燃焼時に二酸化炭素の排出が低いことから、石炭火力発電への代替燃料としての利用が期待されている。特に木質チップ等の木質材料の燃焼により得られる半炭化物は、吸湿性、強度、及びエネルギー密度のいずれもが優れており、加熱した際の温度が定まりやすいという特性があることから、燃焼時の温度制御に適しており、加工性も高いことから、優れた燃料として期待されている。
【0004】
半炭化物は、炭のような炭化物とは異なり、揮発成分(有機成分)が有意に残存しているという利用可能エネルギーの点から優れた特徴がある。炭化物の場合には、その製造過程において、揮発成分は全て揮発してしまうことから、この揮発分だけ有効なエネルギーが損失することになる。しかし、半炭化物の場合では、この揮発成分が依然として残存していることから、エネルギーの有効利用の観点からも、半炭化物は、炭化物より優れたものとなっている。
【0005】
このように、半炭化物は、エネルギーの有効利用という観点からも、炭化物では得られない優れた特性を有する反面、木質材料と炭化物との中間程度に炭化が進行した状態であることから、原料である木質材料に対する燃焼の度合いや進行状況によって、半炭化物の形成の可否が大きく変動する。すなわち、半炭化物が形成される製造条件は、本質的に非常にシビアであるという問題がある。
【0006】
炭化物については、従来から公知の炭化物の製造装置もあるが、上述したように、炭化物と半炭化物とでは物性が異なることのみならず、温度条件をはじめとする製造条件が全く異なることから、公知の炭化物の製造装置をそのまま流用して、良質な半炭化物を製造することは困難である。このようなことから、良質な半炭化物を効率良く製造できる半炭化物製造装置が切望されている。
【0007】
従来の半炭化物製造装置としては、半炭化物の製造に要求される上述のシビアな製造条件を克服すべく、原料である木質材料の加熱温度として、半炭化物の製造に適する加熱温度が模索されている。このような従来の半炭化物製造装置としては、例えば、酸素欠乏雰囲気中において木質材料であるバイオマスを200〜500℃で加熱するものがある(下記特許文献1参照)。
【0008】
また、原料に対する加熱自体を穏やかにすることによって、半炭化物を製造しようとするものも提案されている。例えば、従来の半炭化物製造装置としては、乾燥された木質材料であるバイオマスを熱分解する熱分解装置に対して、加熱用の熱を供給するために燃焼装置で発生した燃焼排ガスの一部をバイオマスと直接混合してバイオマスを加熱して熱分解し、発生した熱分解ガスと加熱に用いた燃焼排ガスとの混合気体を燃焼装置に供給するように構成されるものがある(下記特許文献2参照)。
【0009】
また、従来の半炭化物製造装置としては、性状安定燃料を燃焼させて熱量を発生させる燃焼炉と、この燃焼炉から発生する熱量によって、木質材料である木質バイオマスを熱分解することで、半炭化物と熱分解ガスとを生成する熱分解ガス化炉と、生成された半炭化物が導入されるボイラに、熱分解ガス化炉から熱分解ガスを導入する熱分解ガス導入路と、を備えるものがある(下記特許文献3参照)。
【0010】
また、このような従来の半炭化物製造装置としては、木質材料であるバイオマスまたは廃棄物等の材料の半炭化処理を、当該材料に対し向流で流れる熱半炭化用ガスを導入して行うものがある(下記特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−206490号公報
【特許文献2】特開2012−219176号公報
【特許文献3】特開2014−205730号公報
【特許文献4】特表2009−522097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来の半炭化物製造装置では、半炭化物の製造に適した温度条件が提案されているものの(例えば、特許文献1)、半炭化物が製造される程度に最適な温度条件を維持できるものではないことから、十分な品質の半炭化物が安定的に得られないという課題がある。また、従来の半炭化物製造装置では、高温ガスを用いて、直接的ではなく間接的に木質材料を加熱することによって、木質材料に対して穏やかな加熱を実現しようとするものもあるが、最適な温度条件を維持して安定的に良質な半炭化物を製造できる装置は現在のところ見当たらない。
【0013】
例えば、他の燃焼装置で発生した燃焼排ガスの一部を木質材料の加熱雰囲気に混合させる手段もあるが(例えば、特許文献2)、当該燃焼排ガスの温度や流量が変動することに伴って、木質材料の加熱温度が変動し最適な条件の範囲から外れてしまう虞がある。
【0014】
また、半炭化物が導入されるボイラに、熱分解ガス化炉で発生した熱分解ガスを導入する熱分解ガス導入路を備えるものもあるが(例えば、特許文献3)、当該熱分解ガスの温度や流量が経時的に変動することに伴って、木質材料の加熱温度が変動し最適な条件から外れてしまう虞がある。
【0015】
また、原料となる木質材料に対して、向流で流れる熱半炭化用ガスを導入して半炭化処理を行うものもあるが(例えば、特許文献4)、当該熱半炭化用ガスの温度や、向流の流速や流量が経時的に変動することに伴って、木質材料の加熱温度が変動し最適な条件の範囲から外れてしまう虞がある。
【0016】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、木質材料に対して穏やかで最適な加熱条件を維持し、高品質な半炭化物を効率よく製造できる半炭化物製造装置、及びこれを用いた発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の開示に係る半炭化物製造装置は、木質材料を加熱して半炭化物を製造する半炭化物製造装置において、あらかじめ乾燥された木質材料を内部空間に収容し、当該収容した木質材料を炉壁を介して外側から加熱可能とする外熱式の半炭化炉と、前記半炭化炉を内部に収容する容器を有し、当該容器の内部空間における半炭化炉以外の空間部分に半炭化炉を外側から加熱する加熱用ガスを導入可能とされる外殻部と、前記加熱用ガスを前記外殻部の内部空間における半炭化炉以外の空間部分に供給する供給部と、一端が前記半炭化炉の内部空間に連通して、半炭化炉内で分離された揮発成分ガスを半炭化炉及び外殻部の外側に排出させる排出経路を有し、当該排出経路を通じて排出された揮発成分ガスを、冷媒を用いて冷却し凝縮させる凝縮部と、前記半炭化炉の内部温度を、前記木質材料から揮発成分の一部を分離可能とする加熱温度以上で、且つ、木質材料の炭化温度以下に保持するよう、前記供給部と凝縮部の制御を行う制御部とを備え、当該制御部が、前記凝縮部における冷媒による冷却を調整して、凝縮部での揮発成分ガスの凝縮を調節し、排出経路を通じて前記半炭化炉内の圧力を増減させて、半炭化炉の内部温度を所定の中心温度から一定の範囲内に微調整するものである。
【0018】
このように本発明の開示によれば、乾燥された木質材料を半炭化炉に収容し、この半炭化炉を収容する外殻部内に供給部で加熱用ガスを導入して、半炭化炉を加熱し、半炭化炉内で発生した揮発成分ガスを取り出して凝縮部で凝縮させる中、制御部で凝縮部における凝縮状態を制御して、半炭化炉の内部環境を変化させ、半炭化炉の内部温度を、木質材料から揮発成分ガスを発生させる加熱温度以上で、且つ木質材料の炭化温度以下に調整保持することにより、木質材料に対して半炭化炉の炉壁を介した穏やかな加熱が行えると共に、木質材料を半炭化させる半炭化炉内部の最適温度が、制御部での揮発成分ガスの凝縮状態制御に基づいて外部から容易に調整維持できることとなり、高い品質の半炭化物の製造を効率よく進められる。
【0019】
また、本発明の開示に係る半炭化物製造装置は、必要に応じて、前記制御部が、前記半炭化炉の内部温度を、中心温度が275℃で誤差が±5℃である温度範囲内に保持するものである。
このように本発明の開示によれば、半炭化炉の内部温度を、制御部を用いてわずかな誤差の範囲内で一定温度に保持することから、半炭化物に対する最適な加熱温度が高精度で維持されることとなり、高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0020】
また、本発明の開示に係る半炭化物製造装置は、必要に応じて、前記半炭化炉内の温度及び/又は圧力を検出する検出部を備えるものである。
このように本発明の開示によれば、検出部が、半炭化炉内の温度及び/又は圧力を検出し、制御部がこの検出された温度及び/又は圧力に基づいて、凝縮部による揮発成分ガスの凝縮状態を高精度に制御できることから、半炭化物を生じさせる半炭化炉内温度が凝縮の制御によって最適且つ一定に維持され、高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0021】
また、本発明の開示に係る半炭化物製造装置は、必要に応じて、前記凝縮部により生成された揮発成分の凝縮液を前記供給部に送り込む液送給部を備え、前記供給部が、前記液送給部から送給された凝縮液を燃焼させて水を加熱して過熱蒸気を生成し、当該過熱蒸気を前記加熱用ガスとして前記外殻部の半炭化炉を除く内部空間に供給するものである。
このように本発明の開示によれば、液送給部が、前記凝縮部により生成された凝縮液を前記供給部に供給し、この凝縮液を燃焼させて得られた過熱蒸気を加熱用ガスとして用いることから、炭化水素を含む可燃性の凝縮液が前記供給部の蒸気加熱用熱源の燃料として再利用されることとなり、より低コストで高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0022】
また、本発明の開示に係る半炭化物製造装置は、必要に応じて、前記供給部が、電気又はガスを用いて水を加熱して過熱蒸気を生成し、当該過熱蒸気を前記加熱用ガスとして前記外殻部の半炭化炉を除く内部空間に供給するものである。
このように本発明の開示によれば、供給部が、熱源として電気又はガスを用いて加熱用ガスとなる過熱蒸気を得ることから、過熱蒸気を得るために特段の装置を要しないこととなり、より低コストで高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0023】
また、本発明の開示に係る発電システムは、前記半炭化物製造装置で製造された半炭化物を燃焼させて、蒸気動力サイクルの作動流体をなす水を加熱蒸発させて蒸気を生成するボイラと、当該ボイラを出た前記蒸気を導入され、蒸気の保有する熱エネルギを動力に変換する膨張段を複数段有すると共に、一又は複数の段間から所定温度の蒸気の一部を抽気可能とされる膨張機と、当該膨張機の動力で駆動されて発電する発電機と、前記膨張機を出た蒸気を所定の低温熱源と熱交換させ、蒸気を凝縮させて水を得る凝縮器と、当該凝縮器を出た前記水を加圧して前記ボイラへ送り込むポンプと、前記膨張機で抽気された蒸気を熱源として、前記半炭化物製造装置に導入される木質材料をあらかじめ加熱して乾燥させる乾燥装置とを備えるものである。
【0024】
このように本発明の開示によれば、半炭化物製造装置で半炭化物を製造し、この半炭化物を燃焼させた熱を用いて作動流体を相変化させる蒸気動力サイクルにより発電動力を得る一方、発生させた蒸気の一部を取り出してその熱を半炭化物のもとになる木質材料の乾燥に利用することで、熱を有効利用して半炭化物の製造を効率よく行えると共に、木質材料の乾燥用に別の熱源を用いずに済む分、コストを抑えられる。
【0025】
また、本発明の開示に係る発電システムは必要に応じて、前記ボイラが、半炭化物の燃焼により生じた所定温度の燃焼ガスを取り出し可能とされ、前記半炭化物製造装置の外殻部内に、ボイラからの燃焼ガスを前記加熱用ガスの少なくとも一部として供給して、外殻部内部の半炭化炉を加熱するものである。
【0026】
このように本発明の開示によれば、ボイラで半炭化物を燃焼させて得られた燃焼ガスの一部を取り出して、その熱を半炭化炉の加熱、すなわち半炭化炉内での木質材料の半炭化に利用することで、熱を有効利用して半炭化物の製造を効率よく行えると共に、半炭化炉を加熱する加熱用ガスの生成に別の熱源を用いる割合を減らせる分、コストを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る半炭化物製造装置の構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る半炭化物製造装置の制御部による温度制御を温度の時間推移として例示する説明図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る半炭化物製造装置の構成図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る半炭化物製造装置の構成図である。
図5】本発明の第4の実施形態に係る発電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半炭化物製造装置を前記図1及び図2に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る半炭化物製造装置10は、あらかじめ乾燥された木質材料90を内部空間に収容し、この収容した木質材料を炉壁を介して外側から加熱可能とする外熱式の半炭化炉1と、この半炭化炉1を内部に収容すると共に、半炭化炉1以外の内部空間に半炭化炉1を加熱する加熱用ガスを導入可能とされる外殻部2と、加熱用ガスを外殻部2の内部に供給する供給部3と、半炭化炉1の内部温度を、木質材料から揮発成分の一部を分離可能とする加熱温度以上で、且つ、木質材料の炭化温度以下に保持する制御を行う制御部4と、半炭化炉1内で分離されて半炭化炉1及び外殻部2の外側に排出された揮発成分ガスを凝縮させる凝縮部5とを備える構成である。
【0029】
半炭化炉1は、炉内に収容した木質材料90を炉外から加熱して、木質材料を一部熱分解して半炭化を進行させる(半炭化物を生じさせる)装置であり、その種類は特に限定されないが、例えば、金属製の半炭化炉を用いることができる。この半炭化炉1において、木質材料を収容する炉内には、一般的な半炭化の工程と同様、雰囲気として窒素等の不活性ガスが導入される。
半炭化炉1に収容される木質材料90としては、木質チップなどを用いることができる。この木質材料90は、予め乾燥させたものを用いるが、この乾燥方法については、特に限定されず、例えば、乾燥機を用いた乾燥を行うことができる。
る。
【0030】
外殻部2は、この半炭化炉1を内部に収容する容器を有し、この容器の内部空間における半炭化炉以外の空間部分、半炭化炉を外側から加熱する加熱用ガスを導入可能なものであれば特に限定されないが、例えば、金属製の容器を用いることができる。
【0031】
供給部3は、半炭化炉1の加熱用ガスとして水をその飽和温度を超える高温域まで加熱して過熱蒸気を生成する。この過熱蒸気は、半炭化物を生成するという観点から、この半炭化炉1の内部温度を、木質材料90から揮発成分ガスを発生させる加熱温度以上で、且つ、この木質材料90の炭化温度以下であれば、その温度は特に限定されない。
供給部3による過熱蒸気の生成方法は、特に限定されないが、例えば、熱源として、電気を用いた抵抗加熱や高周波加熱により、あるいは、ガス等の燃料の燃焼熱によって、水を加熱して過熱蒸気を生成することができる。
【0032】
制御部4は、供給部3と凝縮部5を制御して、半炭化炉1の内部温度を、この木質材料から揮発成分ガスを発生させる加熱温度以上で、且つ、この木質材料の炭化温度以下となるように保持する。このような温度範囲での穏やかな加熱によって、最初に水分が蒸発し、その後、この木質材料の表面が褐色に変色し、木質材料の成分が熱分解されることによって揮発成分ガスが発生する。この揮発成分ガスとしては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、酢酸ガス、ギ酸ガス、メタンガス、及びエタンガス等が挙げられる。
【0033】
凝縮部5は、一端が半炭化炉1の内部空間に連通して、半炭化炉1内で木質材料90から分離された揮発成分ガスを半炭化炉1及び外殻部2の外側に排出させる排出経路5aを有し、この排出経路5aを通じて排出された揮発成分ガスを凝縮させるものである。この揮発成分ガスを凝縮する凝縮部5としては、例えば、冷水や冷媒等を用いて気体を冷却する凝縮器(コンデンサ)を用いることができる。この凝縮部5によって揮発成分ガスが凝縮されることによって、エタノール等の有機成分を含有する凝縮液が得られる。すなわち、この凝縮液として、酢酸液やギ酸液等を含有する有用な有機オイル(所謂バイオオイル)が得られることから、得られた凝縮液を、新たなバイオオイルとして取り出して、新たな熱源用燃料をはじめ、農薬や肥料等としても利用することができる。
【0034】
この凝縮部5で揮発成分ガスが凝縮すると、半炭化炉1内から揮発成分ガスを排出する排出経路5aの圧力が低下するため、この排出経路5aを通じて半炭化炉1内の圧力も影響を受ける。この揮発成分ガスの凝縮に伴う作用に基づいて、制御部4は、凝縮部5における冷媒による冷却を調整して、凝縮部5での揮発成分ガスの凝縮を調節制御することで、半炭化炉1の内部温度を所定の中心温度から一定の範囲内に調整することとなる。
【0035】
すなわち、この凝縮部5での凝縮の作用によって、半炭化炉1内の圧力が下がる側に遷移することから、制御部4は、この半炭化炉1内の温度が上昇した場合には、凝縮部5による凝縮量を増やすことによって、半炭化炉1内の圧力がより下がるように調整し、半炭化炉1内の温度を低下させる方向に制御することができる。
【0036】
一方、半炭化炉1内の温度が低下した場合には、制御部4は、この凝縮部5による凝縮量をより抑えることによって、半炭化炉1内の圧力をより増加させて、半炭化炉1内の温度を増加させる方向に制御することができる。
【0037】
このように、制御部4が、凝縮部5での揮発成分ガスの凝縮に伴う作用を利用して、半炭化炉1の内部温度を一定に調整できることから、木質材料90に対して蒸気を利用した穏やかな加熱が得られると共に、木質材料に対して最適な加熱温度が維持されることとなり、高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0038】
本実施形態に係る半炭化物製造装置による具体的な半炭化物の製造工程について説明する。
半炭化炉1では、乾燥した木質材料を炉内に所定量投入し、炉内雰囲気として窒素等の不活性ガスのみ存在する密閉状態とされた後、供給部3により外殻部2内に供給される過熱蒸気により炉壁を介して外側から炉内を加熱され、不活性ガス雰囲気中で木質材料を所定時間にわたり加熱して半炭化し、半炭化物を生じさせる。
こうして得られた半炭化物は、半炭化炉1の炉内から出され、必要に応じて冷却された後、使用等のために搬出されることとなる。一方、半炭化炉1では、半炭化に伴い揮発成分のガスが発生しており、この揮発成分ガスは排出経路5aを経て半炭化炉1の外に排出され、必要に応じ気液分離部に通して不凝縮ガス分を分離した後、凝縮部5で冷却されることで、凝縮液となる。この凝縮液はタンク等に集められて回収される。
【0039】
半炭化炉1における半炭化の過程においては、さらに良質な半炭化物が生成されやすいという点から、半炭化炉1の内部温度は、中心温度275℃で誤差±5℃の温度範囲内に保持されることが好ましい。
【0040】
制御部4は、例えば、図2の温度の時間推移の説明図に示すように、半炭化炉1内の温度が中心温度275℃から上昇した場合には、凝縮部5による凝縮量を高めることによって、半炭化炉1内の内圧をより低くし、半炭化炉1内の温度を低下させて中心温度275℃に近づく方向に制御することができる(図2中、矢印A)。
【0041】
その一方で、この制御部4は、半炭化炉1内の温度が中心温度275℃から低下した場合には、凝縮部5による凝縮量を低下させることによって、半炭化炉1内の内圧が増加し、半炭化炉1内の温度が増加して、中心温度275℃に近づく方向に制御することができる(図2中、矢印B)。
【0042】
このように、制御部4が、半炭化炉1の内部温度を、誤差±5℃の範囲内で中心温度275℃にほぼ一定に保持することが可能となることから、半炭化物に対する最適な加熱温度が高精度で一定に維持されることとなり、良質な半炭化物を高効率に製造することができる。
【0043】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半炭化物製造装置は、前記第1の実施形態と同様に、半炭化炉1と、外殻部2と、供給部3と、制御部4と、凝縮部5とを備え、さらに加えて、図3に示すように、半炭化炉1内の温度及び/又は圧力を検出する検出部6を備える構成を有するものである。
【0044】
この検出部6は、温度センサ及び/又は圧力センサから構成することができる。すなわち、検出部6は、温度センサのみを備えてもよいし、圧力センサのみを備えてもよいし、さらに、温度センサ及び圧力センサを共に備えてもよい。
【0045】
この温度センサとしては、各種の温度センサを使用することができ、例えば、木質材料90の表面から放射される赤外線の強度を測定することによって、この木質材料90の温度を測定する放射温度計を用いることができる。圧力センサとしては、各種の温度センサを使用することができ、例えば、静電容量式ダイアフラムセンサや、加圧時のシリコンチップの歪みの変化に基づいて圧力の変化を検出するシリコンダイアフラムセンサを用いることができる。
【0046】
検出部6が検出した温度及び/又は圧力に基づいて、半炭化炉1内の温度又は圧力が上昇した場合には、制御部4は、凝縮部5による揮発成分ガスの凝縮を積極的に促すことによって、揮発成分ガスの凝縮量を増大させて、半炭化炉1内の温度(圧力)を低下させ、この半炭化炉1内の温度又は圧力を低下させる方向に制御できることとなる。
【0047】
また、検出部6が検出した温度及び/又は圧力に基づいて、半炭化炉1内の温度又は圧力が下降した場合には、この制御部4は、この凝縮部5による揮発成分ガスの凝縮を有意に抑制することによって、揮発成分ガスの凝縮量を減少させて、この半炭化炉1内の温度(圧力)を上昇させ、この半炭化炉1内の温度又は圧力を上昇させる方向に制御できることとなる。
【0048】
このように、検出部6が検出した温度及び/又は圧力に基づいて、半炭化炉1の温度(圧力)をほぼ一定に(例えば、所定の中心温度から誤差±5℃の範囲内で)維持することが可能となる。
【0049】
このように、検出部6が、半炭化炉1内の温度及び/又は圧力を検出することから、制御部4が、経時的に変動する温度及び/又は圧力の検出値に基づいて、凝縮部5による揮発成分ガスの凝縮作用を高精度に制御できることとなり、半炭化物に対する加熱温度がこの凝縮作用によって最適且つ一定に維持され、高い品質の半炭化物を高効率に製造することができる。
【0050】
特に、制御部4が、半炭化炉1の内部温度を、誤差±5℃の範囲内で中心温度275℃に保持されることによって、半炭化物に対する最適な加熱温度が高精度で一定に維持されることとなり、良質な半炭化物を高効率に製造することができる。
【0051】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る半炭化物製造装置は、前記第2の実施形態と同様に、半炭化炉1と、外殻部2と、供給部3と、制御部4と、凝縮部5と、検出部6とを備え、さらに加えて、図4に示すように、凝縮部3により生成された凝縮液を供給部3に送り込む液送給部7を備え、供給部3が、この液送給部7から送給された凝縮液を用いて水分を加熱し、過熱蒸気を生成する構成を有するものである。
【0052】
液送給部7は、凝縮部3により生成された凝縮液(すなわち、上述したバイオオイル)を供給部3に循環的に送給する。このバイオオイルが、供給部3の水を加熱する熱源用の燃料として再利用される。
【0053】
このように、この液送給部7が、凝縮部5により生成されたバイオオイル(凝縮液)を供給部3に送り、供給部3の水を加熱する熱源用の燃料としてバイオオイルを再利用することで、過熱蒸気を得るために他の燃料を燃焼させて熱源とすることが不要となり、より低コストで良質な半炭化物を効率よく製造することができる。
【0054】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る発電システムを前記図5に基づいて説明する。
本発明の第4の実施形態に係る発電システム50は、前記第1の実施形態と同様の半炭化物製造装置10、すなわち、半炭化炉1と、外殻部2と、供給部3と、制御部4と、凝縮部5とを備える装置、を用いて得られた半炭化物を燃料として燃焼させて熱源とし、こうした熱源と作動流体(水)とを熱交換させて、作動流体の相変化を繰り返させる蒸気動力サイクルにより動力を生じさせ、この動力で発電機を作動させて発電を行う一方、蒸気動力サイクルで生じた蒸気の一部を利用して半炭化物の原料となる木質材料の加熱、乾燥を実行し、さらに、半炭化物の燃焼により生じて排出された高温のガスで半炭化物製造装置10の半炭化炉1を加熱し、木質材料の半炭化を進行させるものである。
【0055】
具体的には、この発電システム50は、前記半炭化物製造装置10の他に、半炭化物を燃焼させ、蒸気動力サイクルの作動流体をなす水を加熱蒸発させて蒸気を生成するボイラ51と、このボイラ51を出た蒸気を導入されて、蒸気の保有する熱エネルギを動力に変換する膨張段を複数段有すると共に、一又は複数の段間から所定温度の蒸気の一部を抽気可能とされる膨張機としてのタービン52と、このタービン52の回転動力で駆動されて発電を行う発電機53と、タービン52を出た蒸気を所定の低温熱源と熱交換させ、蒸気を凝縮させて水を得る凝縮器54と、この凝縮器54を出た水を加圧してボイラ51へ送り込むポンプ55と、タービン52で抽気された蒸気を熱源として、半炭化物製造装置10に導入される木質材料を加熱し乾燥させる乾燥装置56とを備える構成である。
【0056】
この発電システム50のうち、発電に係るボイラ51、タービン52、発電機53、凝縮器54、及びポンプ55の各構成については、水を作動流体とした蒸気動力サイクルによる発電装置として公知のシステムに用いられるものと同様であり、詳細な説明については省略する。なお、凝縮器54における低温熱源としては、海水や河川水等の冷却水の他、冷却塔を作動させて循環冷却される所定の冷媒を用いることができる。
また、発電動力を得る蒸気動力サイクルとしては、簡略なランキンサイクルの例を示しているが、これに限られるものではなく、例えば再熱サイクルや再生サイクルなど、他の蒸気動力サイクルを採用するようにしてもかまわない。
【0057】
前記乾燥装置56は、公知の熱分解炉、例えば、二重筒構造とされて内筒と外筒との間の空間に高温熱源となるガスを導入して、内筒内側の炉内空間を炉壁としての内筒を介して外から加熱する、外熱式のロータリーキルン型の熱分解炉とされるものである。この乾燥装置56は、高温熱源として、所定温度(例えば、約150℃)の蒸気を用い、炉内に収容した加熱対象物としての木質材料を蒸気で炉外から加熱して、木質材料に含まれる水分を蒸発させて木質材料から分離することで、木質材料の乾燥を図る装置である。
乾燥装置56に対しては、タービン52における複数の膨張段間から蒸気を一部抽気して、この抽気した蒸気を供給する仕組みとなっている(図5参照)。
【0058】
乾燥装置56で木質材料の加熱、乾燥に用いられた後の蒸気は、凝縮して水となり、乾燥装置56から排出された後、必要に応じて一旦水タンク等に溜められる過程を経て、所定の管路を通じてボイラ51に送られることとなり、水はあらためて加熱されて蒸気として蒸気動力サイクルで循環使用される。水をボイラ51へ送るにあたっては、水を加圧して送出すポンプ(図示を省略)が管路の所定箇所に配設されて用いられるが、このポンプについては、一般的な管路系統で用いられるのと同様の公知の装置であり、詳細な説明を省略する。
【0059】
この乾燥装置56で乾燥された後取出された木質材料が、半炭化物製造装置10に移送され、半炭化炉1内に収容され、加熱されて半炭化される工程に進むこととなる。一方、乾燥装置56で木質材料から分離された水分は、外部に取出され、必要に応じて回収されて再利用されるか、そのまま廃棄される。
【0060】
この他、半炭化物製造装置10の供給部3は、加熱用ガスとして、前記各実施形態のような過熱蒸気に代えて、ボイラ51から排出された半炭化物の燃焼ガスを導入し、この燃焼ガスを外殻部2内に供給可能とする構成である。外殻部2内では、このボイラ51からの燃焼ガスが加熱用ガスとして半炭化炉1を加熱することとなる。
【0061】
ボイラ51で半炭化物を燃焼させ、ボイラ51から排出された燃焼ガスの一部を、供給部3が外殻部2内に供給するようにして、所定温度(例えば、約300℃)の燃焼ガスの保有する熱を半炭化炉1の加熱、すなわち半炭化炉1内での木質材料の半炭化に利用することで、熱を有効活用して半炭化物の製造を効率よく行えると共に、半炭化炉を加熱する加熱用ガスの生成に別の熱源を用いずに済む分、コストを抑えられる。
【0062】
次に、本実施形態に係る発電システムの稼動状態について説明する。
あらかじめ乾燥装置56で乾燥された木質材料が半炭化物製造装置10に供給されて、前記各実施形態同様に半炭化物製造装置10で半炭化物が製造される。この製造された半炭化物がボイラ51に投入されて燃焼する。こうして半炭化物の燃焼で生じた高温の燃焼ガスと作動流体としての水がボイラ51で熱交換し、水は温度上昇により相変化(蒸発)して蒸気となる。
【0063】
この相変化した水(蒸気)が、ボイラ51を出た後、タービン52を作動させ、発電機53に発電を行わせる。蒸気は、タービン52を出てから、凝縮器54で凝縮されて全て液相となった後、ポンプ55であらためてボイラ51に送られ、これ以降も蒸気動力サイクルとして相変化を繰返すことで、発電機53における発電が継続されることとなる。
【0064】
そして、蒸気動力サイクルにより発電のための動力が取り出される中、タービン52の段間から一部の蒸気が抽気され、この蒸気が乾燥装置56に導入され、木質材料の乾燥に供される。
また、ボイラ51で、半炭化物の燃焼により生じた燃焼ガスは、水と熱交換した後、ボイラ51から排出されるが、燃焼ガスの一部は、半炭化物製造装置10の供給部3に導入され、供給部3から外殻部2内に供給されて半炭化のための加熱に供される。
【0065】
なお、前記実施形態においては、半炭化物製造装置10の供給部3から外殻部2内に供給する加熱用ガスとして、ボイラ51から排出された燃焼ガスを使用しているが、燃焼ガスのボイラ51からの排出温度が低すぎるなど加熱用ガスとしての使用に適さない場合、所望の温度の燃焼ガスを取得するために、ボイラにおける燃焼ガス排出経路の任意の中間位置から燃焼ガスを取り出すようにすることもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 半炭化炉
2 外殻部
3 供給部
4 制御部
5 凝縮部
6 検出部
7 液送給部
10 半炭化物製造装置
50 発電システム
51 ボイラ
52 タービン
53 発電機
54 凝縮器
55 ポンプ
56 乾燥装置
90 木質材料
【要約】
【課題】木質材料に対して穏やかで最適な加熱条件を維持し、高品質な半炭化物を効率よく製造できる半炭化物製造装置、及びこれを用いた発電システムを提供する。
【解決手段】乾燥された木質材料90を半炭化炉1に収容し、この半炭化炉1を収容する外殻部2内に供給部3で加熱用ガスを導入して、半炭化炉1を加熱し、半炭化炉1内で発生した揮発成分ガスを取り出して凝縮部5で凝縮させる中、制御部4で凝縮部5における凝縮状態を制御して、半炭化炉1の内部環境を変化させ、半炭化炉1の内部温度を適切な温度範囲に調整保持することから、木質材料に対して半炭化炉1の炉壁を介した穏やかな加熱が行えると共に、木質材料を半炭化させる半炭化炉1内部の最適温度が、制御部4の揮発成分ガスの凝縮状態制御に基づいて外部から容易に調整維持でき、高い品質の半炭化物の製造を効率よく進められる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5