(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多結晶超硬質構造が、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料、多結晶立方窒化ホウ素(PCBN)材料、炭化ケイ素結合ダイヤモンド(SCD)材料、又は超硬質粒体を含む合着された炭化物材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
容器、予備焼結アセンブリー及び予備焼結アセンブリーの構成要素の種々の配列及び組合せ、及び方法の変形が、本開示により構想される。限定にならず網羅的でない例を下に記載する。
【0010】
容器は、超高圧高温炉(超高圧高温のプレス、又は単にHPHTプレスとも称する)のチェンバー中に挿入するために成形することができる。チェンバー(圧力チェンバーと称してもよい)は、容器を収納するように成形され、HPHTプレスはチェンバー中の容器に荷重をかけて容器の内容物内に圧力を発生させることができるように配置される。幾つかの例の配列において、HPHTプレスは、ベルトタイプのプレスであってもよく、チェンバーは、一般的に円筒状で、合着された炭化物材料を含むダイスにより形状を定められてもよく、荷重は、容器の反対側の端部で突き当たる反対側に移動する鉄床により容器にかけることができる。そのような配列において、ダイスは、容器が鉄床により荷重をかけられたときに容器のために外部の横方向の支持を提供する。
【0011】
力は、予備焼結アセンブリーに対して縦に又は3軸にかけることができる。
【0012】
幾つかの例の配列において、スペーサ構造は、基材の一体化した部分であることができる(言い換えれば、スペーサ構造と基材の残部は一体を形成することができる)。通常細長い基材は、基材の縦の芯構造から横方向に伸びるスペーサ構造を含むことができる。スペーサ構造が基材の一部により提供される配列は、凝集物から超硬質粒体がスペーサ構造と芯構造の間に突き出ることが多分少ない態様(スペーサ構造と芯構造の間に間隙がないであろうから)を有すると思われる。
【0013】
幾つかの例の配列において、スペーサ構造は、基材と直接接触してもよく、及び又は中間構造(例えば支持又は封じ込め構造)が基材の少なくとも一部とスペーサ構造の少なくとも一部の間に存在してもよい。
【0014】
スペーサ構造は、直接空洞壁に接してもよく、及び又は中間構造(例えば、支持又は封じ込め構造)がスペーサ構造の少なくとも一部と空洞壁の少なくとも一部の間に存在してもよい。
【0015】
該方法は、基材に沿ってそれぞれの異なった縦の位置に各々配列された2つ以上のスペーサ構造を使用することができる。
【0016】
幾つかの例の配列において、スペーサ構造は、環形の又は輪状の構造を含むことができ、又はスペーサ構造は、基材の端部と一体に形成された、又は端部に付いた、又は端部と接した端部円板として一般的に配置することができる。
【0017】
幾つかの例の配列において、スペーサ構造は、基材の一部を挿入することができる摺動し得るリングを含むことができる。摺動し得るリングは、基材の端部に、又は基材の端部から遠い軸上の位置に、例えば、基材の軸の中心に又はその近くなどに配置することができる。2つ以上のリングが使用されて、基材に沿って異なった軸の位置、例えばそれらの反対側の端部に配置されてもよい。超硬質粒体の凝集物は、摺動し得るリングと接するように予備焼結アセンブリー中に配置されてもよい。リングは、基材中に含まれるものと同じか又は異なった材料を含んでもよい。リングは、超硬質構造物の製造中に、特に多結晶超硬質構造を焼結するステップ中に基材に接合することができる。リングは、例えば放電機械加工(EDM)又は研削により構造物から除去することもできる。
【0018】
幾つかの例の配列において、基材は、細長い芯構造、及び基材の近接した端部表面を規定して芯構造を越えて横方向の限度を広げる端部キャップを含むことができる。幾つかの例において、横方向の限度は、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm又は少なくとも約3mmであってもよい。横方向の限度は、最大で約10mm又は最大で約5mmであってもよい。端部キャップは、スペーサ構造を提供することができる。
【0019】
幾つかの例の配列において、基材は、縦軸の周りに回転対称性であってもよい(容器中で組み立てられる場合)。
【0020】
幾つかの例の配列において、基材は、刃又は(比較的鋭利というより寧ろ)丸みを帯びた若しくは面取りしたコーナーを有してもよい。これにより、該構造物から製造される構造物又は工具の亀裂のリスクを減少させることができる。
【0021】
幾つかの例の配列において、基材は、第1の断面の横方向の寸法(例えば第1の直径)と、第2の横方向の寸法(例えば第2の直径)を有する一端で半径方向に伸びる末端構造を有する細長い芯構造を含んでいてもよく、第2の寸法は第1の寸法より実質的に大きく、基材の断面の横方向の寸法は第1の寸法から第2の寸法へと連続的に変わる。幾つかの例において、横方向の寸法の変化は、基材の側面の曲率半径を規定し得る。曲率半径は、少なくとも約2mm及び又は最大で約20mmであってもよい。小さい芯直径から大きい端部直径への連続した推移は、基材内の内部応力を減少させる効果を有することができて、凝集物の超高圧焼結の冷圧縮段階中(即ち、その間、圧力が超高圧へと増大し且つ温度は従前通り比較的低い)に基材が破裂するリスクを減少させると思われる。
【0022】
幾つかの例において、スペーサ構造及び又は基材は、周囲温度(約20から約30℃)で及び又は少なくとも約1,000℃の温度で少なくとも約300GPa又は少なくとも約500GPaのヤング率を有する材料を含むか又は本質的にそれからなることができる。
【0023】
幾つかの例において、スペーサ構造は、合着された炭化タングステン材料などの硬質金属;アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム(ジルコニア)又は酸化タンタルなどのセラミック材料;Inconel(商標)などのニッケル系超合金材料;超硬質材料及び超硬質粒体を含む材料,例えば、分散したダイヤモンド又は立方窒化ホウ素(cBN)の粒体を中に含む硬質金属又はセラミック材料などを含むことができる。基材は、合着された炭化タングステン材料などの合着された炭化物材料を含むか又はそれらから本質的に構成されることができる。
【0024】
容器及び又は中間支持構造は、ピロフィライト、ムライト、カイアナイト、カオリナイト、カリウム塩(例えば塩化カリウム)などの塩又は酸化マグネシウムなどのセラミック材料を含むことができる。ピロフィライトは、アルミニウムシリケートヒドロキシド(Al
2Si
4O
10(OH))を含む。ポーセラナイトとも呼ばれるムライトは、希少シリケート鉱物であり、2種の化学量論形態3Al
2O
3(2SiO
2)又は2Al
2O
3SiO
2を形成することができる。カオリナイト(Al
2Si
2O
5(OH)
4)は、カオリンを含む岩石組成中に見出すことができる鉱物である。カイアナイトは、多形アンダルサイト及び多形シリマナイトも含むアルミノシリケートシリーズのメンバーである。
【0025】
超硬質粒体は、天然又は合成ダイヤモンド及び又は立方窒化ホウ素(cBN)を含むことができ、また、焼結された多結晶超硬質構造は、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料、多結晶立方窒化ホウ素(PCBN)材料、炭化ケイ素結合ダイヤモンド(SCD)材料、及び又は超硬質粒体を含む合着された炭化物材料を含むことができる。
【0026】
超高圧は、少なくとも約4GPa、少なくとも約5GPa、少なくとも約7GPa又は少なくとも約8GPaであってもよい。高温は少なくとも約1,000℃又は少なくとも約1,200℃であってもよい。
【0027】
構造物は、回転機械工具のカッター要素をそれから製造することができる素体のためのものであることができる。例えば、構造物は、くり抜き機又は底刃カッターのためのカッター要素を形成するために加工できるように形成することができる。
【0028】
凝集物は、実質的にばらばらの超硬質粒体を含んでいても又は粒体を結合して一緒にするための結合剤材料と組み合わされた超硬質粒体を含んでいてもよい。凝集物は、超硬質粒体を含む多数のフィラメント、ホイル又はシートを含むことができる。本発明の方法は、シートを細断又はそうでなければ断片化して、顆粒を提供することを含む。凝集物は、超硬質粒体を含む押出物体を含むことができる。一般的に、粒体が結合剤材料により一緒に保たれている集合体は、粒体が予備焼結構造の構成要素と容器の間に引っかかるリスク又は凝集物の形状が歪むリスクが減少した態様を有すると思われる。
【0029】
本発明の方法は、超硬質粒体を含む顆粒を提供し、基材に対して顆粒を組み合わせて圧縮することを含むことができる。
【0030】
幾つかの例において、本発明の方法は、超硬質粒体を含むスラリーを製造して、そのスラリーを射出成形して凝集物を提供することを含むことができる。
【0031】
幾つかの例の配列において、基材は、凝集物を堆積することができる側面を有する細長い芯構造を含むことができる。凝集物は、基材の少なくとも一端から少なくとも約1mm又は少なくとも約2mmの間隔をおいて離れていてよい。幾つかの配列において、凝集物は、基材の端部からスペーサ構造により隔てられて間隔をおくこともできる。
【0032】
幾つかの例の配列において、凝集物は、周辺に、例えば、基材の少なくとも一部の周囲の円周に全面的に広がっていてもよい。
【0033】
本発明の方法は、超硬質構造を加工して切削刃を提供することを含むことができる。
【0034】
本発明の方法は、構造物の端部を工具担体にろう付けすることを含むことができる。
【0035】
本発明の方法は、工具担体に取り付けるための取り付け手段を構造物に備え付けることを含むことができる。例えば、取り付け手段は、ネジ(溝を付けたネジを手段としての取り付け)、フランジ又は穿孔を含む。
【0036】
実用的又は経済的理由のために、超硬質の回転カッター要素を、合着された炭化物材料などの硬度の低い材料から製造された芯の胴体の側部の周りに配列された超硬質構造物を含んでいてもよい前駆体構造(素体と呼ばれることもある)を加工することにより製造することが望ましいこともある。そのような加工は、超硬質構造を切削又は研削して、一枚の切削刃又は複数の切削刃を提供することを含むことができる。この手法が経済的であるために、非常に高度の寸法精度が前駆体構造物に求められると思われる。残念ながら、超硬質粒体を細長い基材の側面に焼結することは大きい実際的困難を課すと一般的に予想することができる。予備焼結アセンブリーの調製は、凝集物を基材の側部に対して圧縮することを含み、その工程中に基材が位置ずれを起こすことがあり又は超硬質材料の粒体が予備焼結アセンブリー内の望ましくない位置に引っかかることがありそうである。凝集物が超高圧で焼結されたときに、そのような位置ずれ及び歪みは、構造物中でおそらく永久に定着する。僅かな位置ずれ及び歪みでさえ、構造が位置ずれしている場合に必要になる超硬質構造の加工の比較的高いコストのために、重大であり得る。本開示による方法は、予備焼結アセンブリーの調製及び又は超高圧における凝集物を焼結するステップ中の基材及び又は凝集物の変形及びその結果として超硬質構造の変形のリスクの低下した態様を有する。
【0037】
本開示は、素体の近接した端部表面から間隔をおいて離れていて、細長い芯構造の側面に接合した超硬質構造を含み、少なくとも芯構造の部分、不活性なろう付け合金などのろう付け合金に接合され得る材料を含む近接した端部表面の少なくとも一部を封入している、回転機械工具のカッター要素のための素体を提供することができる。不活性なろう付け合金の使用は、ろう付けに必要な温度が活性なろう付け合金について必要な温度より低い態様を有し、熱応力及びその結果として起こる工具の不具合のリスクを減少させると思われる。
【0038】
幾つかの例の配列において、端部表面の限界を定める芯構造の一部は、円板状又は中実の円筒様形態を含んでいてもよく、その末梢の輪状体積は、超硬質構造を端部表面から分離していてもよい。
【0039】
幾つかの例の配列において、超硬質構造は、芯構造の体積を完全に封入していてもよく、又は超硬質構造は、芯構造の体積を部分的に封入して(又は囲って)いてもよい。
【0040】
幾つかの例の配列において、素体は、中心の縦軸を有していてもよく、その軸について芯構造及び又は超硬質構造は回転対称性である。
【0041】
幾つかの例の配列において、超硬質構造は、素体の外側の面積を規定することができ且つ芯構造の体積の周りに連続的に広がることができる。
【0042】
開示された素体及びカッター要素は、素体又はカッター要素が工具担体にろう付けされたときの超硬質構造物の亀裂又は層間剥離のリスクが減少する態様を有することができる。
【0043】
限定にならない例配列を、添付図面を参照して下で説明することにする。
【0044】
図1Aを参照すると、ベルトタイプの超高圧炉(示していない)のチェンバー中に挿入するための例の容器20は、予備焼結アセンブリーを含み、縦軸Lを規定する円筒状空洞24を有する円筒状の管22を一般的に含む。空洞24は、反対側の端部24a、空洞壁26により接続された24bを有する。示した特定の例において、円板28a、28bはそれぞれの端部24a及び24bで空洞24に近い管の各端部に設けられている。この例において、管22及び円板28a、28bはピロフィライトを含む。さらに
図1Bを参照すると、例の予備焼結アセンブリー30は、基材32の側面36、及びスペーサ構造38の周囲に円周状に配列された多数の超硬質粒体を含む凝集物34を含む円筒状に対称性の基材32を含む。基材32は、コバルトで合着された、硬質金属材料の1例である炭化タングステン材料から本質的に構成される。基材32は円筒形に成形された芯構造33を含み、その一端からスペーサ構造38が半径方向に広がる。この特定の例において、スペーサ構造38は、基材32と一体の部分であり、基材32の芯構造33の周りに円周状に同じ半径方向の距離に広がる。スペーサ構造38は、ヤング率約400GPaの合着された炭化物材料から本質的に構成される。それに加えて、
図1Cを参照すると、予備焼結アセンブリー30(
図1B)は、容器20の空洞24中に挿入され、基材32は実質的に縦に整列され、スペーサ構造38は基材32の芯構造33の側面36と空洞壁26との間に配置されている。
【0045】
幾つかの例において、ダイヤモンド粒体の凝集物34は、基材32中に含まれるコバルトの存在下で、予備焼結アセンブリー30を、コバルトを溶融するのに十分な温度に加熱して、コバルトの一部を凝集物34中に浸透させて、少なくとも約5.5GPaの超高圧を予備焼結アセンブリーにかけることにより焼結することができる。幾つかの例において、凝集物34は、コバルト又はダイヤモンドのための他の触媒材料を含むことができる。圧力は、予備焼結アセンブリー30に円板28a、28bを通して十分大きい向かい合う縦方向の力Fをかけることにより発生させることができる。熱は、電流をアセンブリー10に通すことにより与えることができ、ヒータ要素(示していない)は、アセンブリー10中に、この目的のために多分予備焼結アセンブリー30中に、備えることができる。スペーサ構造38は、基材32のための幾らかの横方向の支持を提供するであろう。
【0046】
幾つかの例の配列において、予備焼結アセンブリーは、例えば、少なくとも約1,480℃の融点を有するニオブ、タンタル又はモリブデンなどの耐火性金属を含んでいてもよい金属の入れ物内に収納した基材、凝集物及びスペーサ構造を含むことができる。容器は、外管及び外管の一部に接する同心円の内管を含むことができ、該内管が予備焼結アセンブリーを収納するための容器の円筒状空洞の境界を定める。内管は、高温で圧力を伝達することができる塩化ナトリウム又はある種の他の塩などの材料を含むことができる。予備焼結アセンブリーは、内管により境界を定められる空洞中に挿入することができ、その結果金属の入れ物の末梢の外面が内管の内面(即ち空洞壁)に接する。そのような例の配列において、金属の入れ物の部分は、その中に含まれるスペーサ構造と空洞壁の間に配置されるであろう。
【0047】
図2を参照すると、特定の例の基材32は、約8mmの直径D1を有する円筒状の芯構造33及び約12.5mmの直径D2を有する一端で半径方向に広がる末梢端部構造38を含む。基材32の直径は、芯構造33の小さい方の直径D1から端部構造38のより大きい直径D2へ連続して移行し、その移行は約7.95mmの曲率Rの半径を定める。
図2に例示した特定の例において、L1は約17.5mmであり、L2は約15であり.5mm、L3は約10mmであり、端部構造38の斜面の高さHは約0.5mmである。
【0048】
図3ないし
図11を参照すると、回転切削工具(示していない)のための素体(又は前駆体)として使用するのに適当な構造物40の例の配列は、合着された炭化タングステンから本質的に構成される基材42の側面46に接合された多結晶超硬質構造44を含む。幾つかの例において、超硬質構造は、PCD又はPCBNから本質的に構成されてよい。
【0049】
図3を参照すると、例の構造物40は、基材42の芯構造43から構造物40の直近の端部に位置する外側に半径方向に突き出た端部構造48を含む。端部構造48は、構造物40が上で開示されたようにして製作されたときに、スペーサ構造として役立った。PCD構造44は、上記のように凝集物を焼結することから生ずる。端部構造48と超硬質構造44は、超硬質構造44が、端部構造48により構造物40の端部から約1mmの間隔をおくように、互いに関して配列される。超硬質構造44は、構造物40の遠位の端部で露出して、同心円的に芯構造43を取り囲む。
【0050】
図4、
図5及び
図6を参照すると、例の構造物40は、構造物40のそれぞれの遠位の端部41の境界を定める基材胴体42のそれぞれの芯構造43のそれぞれの遠位の端部を覆って広がる超硬質構造44を含む。
図3に例示した幾つかの変形において、超硬質構造44は、構造物40の遠位の端部41における頂点を定めることができる。
図5に例示した幾つかの変形において、超硬質構造44は、構造物40の実質的に平坦な遠位の端部表面41を定めることもできる。平坦な端部41は、末梢の面取りを備えてもよい。
図6に例示した幾つかの変形において、超硬質構造44は、構造物40の凸に丸い端部41の境界を定めることができる。
【0051】
図7を参照すると、例の構造物40は、円筒状芯構造43を有する合着された炭化物基材42及び反対側の端部で半径方向に突き出た端部構造48、48a、及び端部構造48、48aに接続して、芯構造43の周囲全体に円周状に広がった超硬質構造44を有することができる。端部構造48、48aは、芯構造43から半径方向に約2mm突き出て、その周囲に円周状に広がっていてもよい。端部構造48、48aは、軸方向に約1mm厚くてよく、したがって、構造物40のそれぞれの端部49、41と超硬質構造の間に間隔を入れる。端部構造48、48aは、本開示による構造物40の製造中にそれぞれのスペーサ構造として機能した。本発明の構造物は、例えば、切削又は研削により加工処理して、くり抜き機又は底刃カッターなどの回転切削工具のための工具要素を製造するために、超硬質構造44に少なくとも1枚の切削刃を付けることができる。端部構造48、48aの少なくとも1つは、工具要素の一部として残してもよく(示していない)、それは、特に、超硬質構造44がダイヤモンド材料を含む場合に、超硬質構造44を熱劣化させるリスクを小さくして構造物を工具担体にろう付けにより容易に接合することを可能にする態様を提供する。これは、ある種の超硬質材料、特にダイヤモンド材料以外の合着された炭化物をろう付けすることがより実質的に容易であるからでもあり、また超硬質構造44はろう付けされる端部との間隔を開けると、それにより熱による損傷のリスクが低下するからでもある。幾つかの例において、端部構造48、48aの少なくとも1つは、構造物40を切削又は研削することにより除去されてもよい。
【0052】
図8を参照すると、例の構造物40は、一般的に凸の円筒状に成形された芯構造43(樽形と記載することもできる)及び一端で半径方向に突き出た端部構造48、及び端部構造48の外側の末梢側部と実質的に端がそろった円筒状の外側の側部を有する超硬質構造44を有する基材42を含むことができる。
【0053】
図9を参照すると、例の構造物40は、一般的に凹の円筒形の芯構造43(砂時計形ということもできる)を有する基材42、及び一端に半径方向に突き出た端部構造48、及び端部構造48の外側の末梢側部と実質的に端がそろった円筒状の外側の側部を有する超硬質構造44を含むことができる。
【0054】
図10を参照すると、例の構造物40は、一般的に凸の円筒形の芯構造43(樽型ということもできる)を有する基材42、及び一端に半径方向に突き出た端部構造48、及び芯構造43の形状と実質的に共形の及び同心円の円筒状の外側を有する超硬質構造44(即ち、超硬質構造42も、凸の樽型の外側を有する)を含むことができる。
【0055】
図11を参照すると、例の構造物40は、一般的に凹の円筒形の芯構造43(砂時計形ということもできる)を有する基材42、及び一端で半径方向に突き出た端部構造48、及び芯構造43の形状と実質的に共形の及び同心円の円筒状の外側を有する超硬質構造44(即ち、超硬質構造44も凹の砂時計形外側を有することができる)を含むことができる。
【0056】
図12を参照すると、例の構造物40は、一般的に凹の段のついた円筒形の芯構造43を有する基材42、及び一端で半径方向に突き出た端部構造48、及び構造物40に直近の端部49の境界を定める端部構造48の外側の末梢側部と実質的に端がそろった円筒状の外側を有する超硬質構造44を含むことができる。この例において、芯構造43は、互いに対して軸方向に配置された各々異なった半径を有する複数の直円筒状領域を含むことが見えるであろう。構造物40は、芯構造43の遠位の端部に接合し、構造物40の遠位の端部41の境界を定める端部円板45を含むことができる。端部構造48は、超高圧における該構造物の製造に先立って、予備焼結アセンブリー中で、芯構造43と一緒になって一体の基材42を形成しており(即ち、端部構造48は、芯構造43と一体化している)、一方、端部円板45は、予備焼結アセンブリー中で基材から分離した構成要素であった。端部構造48と端部円板49は両方とも、構造物40の製造中に予備焼結アセンブリー中でスペーサ構造として機能した。端部構造48又は端部円板45の一方又は両方は、構造物40の後の加工処理により除去されてもよく、又は切削工具要素の一部として残してもよい。
【0057】
図13を参照すると、例の構造物40は、芯構造43及びやや複雑な形状を有する超硬質構造44を含む実質的に非円筒状形状を有していてもよい。本開示による方法は、スペーサ構造又は構造が製造行程中の、特に予備焼結アセンブリーの調製中の形状歪みのリスクを多分減少させるので、さらに複雑な形状を有する超硬質構造物を提供することをより容易にするであろう。
図13に示した例において、構造物40の製造で使用されるスペーサ構造は除去されている。
【0058】
素体を製造する例の方法を、ここで、より詳細に簡単に説明することにする。
【0059】
ダイヤモンド粒体の凝集物は、各々、有機結合剤により一緒に保たれている少なくとも約0.1ミクロン及び最大で約30ミクロンの平均サイズを有するダイヤモンド粒体を含む多数のシートの形態で提供することができる。シートの少なくとも幾つかは、炭化タングステン粒体も含んでいてもよい。シートは、押出し法又はダイヤモンド粒体と結合剤材料とを含むスラリーが表面に塗られて乾燥するに任されるテープキャスティング法などの当技術分野において知られた方法により製造することができる。ダイヤモンド担持シートを製造する他の方法も使用することができ、例えば、米国特許第5,766,394号及び第6,446,740号に記載された方法などである。ダイヤモンド担持層を堆積させる代替法として、高温噴霧などの噴霧法が挙げられる。幾つかの例において、凝集物は、ダイヤモンド粒体とCo、Ni、Fe、Mnなどのダイヤモンドのための触媒材料の混合物を含むことができて、その混合物は、粉砕(例えばボールミル)により一緒に組み合わされて、PMMA、DBPなどの可塑剤結合剤材料を使用して流延してシートにすることができる。幾つかの例において、超硬質粒体は、cBN粒体であり、超硬質構造は、PCBN材料を含むことができる。そのような例において、凝集物は、窒化ホウ素粉末とTi、Al、W又はCoを含有する結合剤材料との混合物を含むことができて、混合物は可塑剤材料を使用して流延されシートになる。
【0060】
そのどちらか又は両方は本開示に記載された例のいずれかによることができる(しかし、それらにより限定されない)基材及びスペーサ構造が提供されるであろう。幾つかの例の配列において、基材は、細長い芯構造及び一端に端部構造を含むことができる。端部構造は、芯構造から半径方向の遠方に広がり、芯構造の周囲に配置されて本開示によるスペーサ構造として機能することができる。幾つかの例の配列において、スペーサ構造は、基材の周囲に配置されたリングを含むことができるか、又はスペーサ構造は基材の端部に配置された円板を含むことができる。
【0061】
ダイヤモンド粒体を含むシートは、芯構造の周りに合うサイズに切ることができ、予備焼結アセンブリーは、芯構造の周りをシートで包むことにより構築することができる。幾つかの例において、シートの反対側の縁は遠位の端部で露出してもよく、又はシートの反対側の縁は、基材の反対側の端部でそれぞれのスペーサ構造に接していてもよい。幾つかの例の配列において、ダイヤモンド粒体と炭化タングステン粒体を両方含有するシートは、芯構造に接して置くことができ、及び炭化タングステン粒体を含まないシートは芯構造から遠くに置くことができ、したがって、炭化物含有シートは芯構造と炭化物を含有しないシートの中間に配置される。焼結されると、これらの中間シートは、それらの性質のあるものはPCDと合着された炭化物材料の中間の性質であるから、PCD構造と芯構造の間の応力を減少させるのに役立つことができる。
【0062】
幾つかの例において、シートは、細断して多数の板の様な顆粒を提供することができ、又は顆粒は他の手段により提供することができ、及び顆粒は一緒に基材の側面に対して圧縮して凝集物を形成させることができる。幾つかの例において、本発明の方法は、超硬質粒体を含むスラリーを提供し、スラリーを射出成形することにより凝集物を製造することを含むことができる。
【0063】
本発明の方法の他の例の変形において、芯構造は、内壁が端部構造の側面の形状及び寸法に対応した実質的な寸法に合わせて成形されたカップなどの入れ物の中に入れることができて、実質的にばらばらの超硬質粒体を中央のカラムと入れ物の内壁の間にこのように形成された間隙中に注ぎ込むことができる。大量の可塑剤及び又は結合剤材料及び又は超硬質粒体を焼結するための触媒材料も、このように凝集物中に導入することができて、凝集物を圧縮することができる。入れ物は、予備焼結アセンブリーの一部を形成することができる。
【0064】
予備焼結アセンブリーは、組み立てて超高圧炉(又はプレス)のためのカプセル中に入れ、炉中で加熱して揮発性ガスを除去し及び又は結合剤材料を焼却して、少なくとも約5GPaの圧力及び少なくとも約1,300℃の温度にかけることができ、焼結されて一緒になったダイヤモンド粒体は、芯構造に接合した一般的に管のようなPCD構造を含み、且つ芯構造の中央のカラムを封入して焼結された構造物を形成する。ダイヤモンドの焼結を促進し且つ中間層(複数可)の粒体を固めるためのコバルトは、合着された炭化物基材を供給源とすることができる。
【0065】
超高圧における焼結プロセスの後、焼結された構造物は、超高圧装置から回収し、カプセル材料はそこから取り出すことができる。次に、該構造物は、例えば研削により加工処理して素体を提供することができる。素体は、さらに加工して、超硬質構造上に少なくとも切削刃を形成させることを含む方法により、回転工具のためのカッター要素を形成することができる。1例の配列において、素体は、超硬質構造により輪郭を定められた一般的に丸められた又はドーム形に作られた遠位の端部を有していてもよく、複雑な空洞をフライス加工するためのボール刃を製造するために適することができる。そのような工具は、横方向の断面の直径を約10mmから約25mmの範囲内に有することができる。
【0066】
回転機械工具のためのカッター要素を製造する例の方法は、合着された炭化物の芯構造に接合された超硬質構造(超硬質構造が芯構造の中央のカラムの末梢側部の実質的に周囲に堆積される)を含む素体を提供することを含むことができる。超硬質構造は、超硬質構造と基材の間の3つの中間層により、合着された炭化物基材に接合され得る。中間層は、コバルトを含むマトリックス中に分散した炭化タングステンの粒体及び超硬質材料の粒体を含むことができる。中間層中のコバルト含有率は、層における含有率より少ない 層における含有率より少ない。各中間層は、厚さが少なくとも約0.2mm及び最大で約0.3mmである。超硬質構造の部分を除去して除去された部分の下にあった基材材料を露出させることもできて、末梢側部にあって間隔をおいた、超硬質構造により規定される切削刃を提供し、前駆体の末梢側部で連続する切削刃は、互いに間隔をおいている。幾つかの例において、切削刃は、互いに最大で約10mmの間隔をおいて円周状にあってもよい。
【0067】
例の方法において、素体は、PCD又はPCBNを含んでいてもよい超硬質構造により境界を定められる一般的に凸の、丸い又はドーム型の遠位の端部を有していてもよい。複数の切削刃は、機械加工法(放電機械加工、レーザ切削又は研削など)によりPCD又はPCBN構造中に形成することができて、ボール型のカッター要素を形成する。切削刃の数は、用途に応じて選択することができる。1実施形態において、刃は一般的に螺旋状に成形されてチップの制御を改善するための螺旋状「掃引」を提供する。例えば、ボール型カッター要素は、PCBN構造中に形成された切削刃を有する。
【0068】
開示されたカッター要素を含む例の機械工具は、加工中の製品、特に金属、セラミック材料、複合材料、木材、石材、コンクリート又は石積みなどの硬質の又は研磨剤の材料を含む加工中の製品をフライス加工するか又は溝を付けるためのものであることができる。例えば、機械工具は、繊維で強化されたプラスチック材料を含む刃をトリミングする体部のための圧縮くり抜き機、又は螺旋多溝くり抜き機又は複合材料を含む刃を仕上げる体部のための穴ぐり機であってもよい。カッター要素は、溝付け工具、又は体部、特に炭素繊維で強化された材料を含む体部の刃に歯を刻むか又はトリミングするための工具であってもよい。他の例において、カッター要素はボール刃のためのものである。
【0069】
開示された方法は、超硬質構造が歪んで形成されて、歪みを修正する処理が必要になるリスク又は構造物が廃棄されるリスクが減少した態様を有すると思われる。比較的高価になる傾向がある超硬質材料の加工は、一般的に望ましくない。スペーサ構造は、基材の位置ずれを減少させる効果を有することができ、微小な位置ずれは、変形した超硬質構造及び形状を修正するための高いコストをもたらし得るので、スペーサ構造を使用する利益は非常に実質的であり得る。
【実施例】
【0070】
下にさらに詳細な例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0071】
実施例1
PCD底刃カッター又はくり抜き機をそれから製造することができる輪状の未完成の構造物は、以下のように製作することができる。
【0072】
少なくとも約1ミクロンの平均サイズ及び最大で約15ミクロンのサイズを有するダイヤモンド粒子を含む凝集物は、ダイヤモンド粒子とダイヤモンドのためのコバルト触媒材料を含む粉末とをブレンドすることにより調製することができる。PMMA又はDBPなどの可塑剤材料は、キャストすることができるのに十分粘稠なスラリーを製造するために、ブレンド中に導入することができる。ブレンドはボールミルにより達成することができる。スラリーは、キャストしてシートにすることができて、それは乾燥して細断し多数の板様顆粒を提供することができる。
【0073】
円筒形に成形されたコバルトで合着された約8mmの直径を有する炭化タングステンロッドを提供することができる。輪状のPCD構造のための基材としての役目を果たすことになるそのロッドは、粉末を圧縮するための円筒状ダイス内で同心円に置くことができて、ダイスの直径は12.5mmである。約1mmの厚さを有する第1の合着された炭化物スペーサリングは、ロッドの位置を維持するために、ダイスの底でロッドとダイス壁に接して、ロッドとダイス壁の間でロッドの周りに入れることができる。ダイヤモンド含有顆粒はロッドとダイス壁の間の空間中に注ぎ入れることができて、ロッドとダイスの間にぴったり合うように成形された輪状のプレスデバイスにより繰り返し圧縮される。圧縮された顆粒でその空間が部分的に満たされたとき、第2の合着された炭化物スペーサリングを、顆粒より上のダイスの上端部でロッドの周りに入れることができる。第2のスペーサリングの内径は、第2のスペーサリングが、下で記載する焼結ステップ中に超高圧に置かれたときに、ロッドを滑り落とせるように、僅かにロッドの直径より約0.05mm大きくあるべきである。これは、凝集物の不均一な圧縮及び構造物の平坦でない端部の形成というリスクを減少させるであろう。第2のスペーサリングは、少なくとも約900℃の温度で高いクリープ耐性を有するセラミック又は金属合金材料で製造することができる。
【0074】
輪状のプレスデバイスは、第2の(上部の)スペーサリングに適用することができて、荷重をそのプレスデバイスにかけることができ、顆粒は圧縮されて、輪状の形状を有してロッドを取り囲む濃緑色の物体の凝集物(即ち、未だ可塑剤を含む成形され圧縮された凝集物)を提供することができる。圧縮後、ロッド、緑色物体凝集物及びスペーサリングをロッドの反対側の端部に含むアセンブリーを取り出して、耐火金属製のカップ中に入れることができる。アセンブリーは、ガス抜きすることにより可塑剤の結合剤材料を除去するために、真空中約1,050℃で熱処理することができる。次に、耐火金属製の第2のカップは、向かい合うカップの対が互いに重なり、その結果アセンブリーを完全に包んで完成した予備焼結アセンブリーを提供するように、アセンブリーのキャップをしていない端部の上に置くことができる。カップの対は、カップが重なる予備焼結アセンブリーの円周の周りで、電子ビーム溶接装置により溶接されて一緒になる。他の例において、予備焼結アセンブリーは、均衡を保って圧縮され、カップに機械的に接合され得る。
【0075】
次に、予備焼結アセンブリーは、組み立てて、ベルトタイプの超高圧プレスのためのカプセルに入れることができる。カプセルは、ピロフィライトを含む外管及び塩化ナトリウムを含む内管を含むことができ、予備焼結アセンブリーは、金属のケースの外面が内管の内面に接するように内管中に挿入される。予備焼結アセンブリーは、十分な期間約5.5GPaの超高圧に及び約1,300℃の温度にすると、基材中及び凝集物中のコバルトが溶融して凝集物のダイヤモンド粒体が互いに連晶し、合着された炭化物芯に接合したPCDリングを形成することができる。圧力及び温度を環境条件に下げて、カプセル及び金属のキャップ材料をサンドブラスト及び又は酸処理により除去して、その反対側の端部に炭化物リングが接合された炭化物ロッドを取り巻くPCD構造を含む構造物を提供することができる。該構造物は、PCD構造に付いた切削刃を形成することを含むさらなる加工により、底刃カッター又はくり抜き切削工具を製造するための未加工材料として使用することができる。
【0076】
実施例2
素体は、ロッド構造とスペーサ構造が一体であり得ることを除いて、実質的に例1に記載されたようにして製造することができる。言い換えれば、基材は、ロッド構造と一端に第1のスペーサリングの代わりに円周の半径方向に突き出た端部構造とを含むことができる。基材の中心を通して縦の断面で見ると、それは「T」形の構造のように見えるであろう。基材は、顆粒をロッド構造とダイス壁の間の空間中に注ぎ込むことができるように、底に端部構造を有するダイス中に挿入される。
【0077】
実施例3
素体は、円板スペーサ構造を第1のスペーサリングの代わりに使用できることを除いて、実質的に例1に記載されたようにして製造することができる。言い換えれば、円板はダイスの底に置くことができ、ロッドは、それと同心円の円板の上に置くことができる。端部のスペーサの円板が、製造されて合着された炭化物又は金属合金であれば、それは超高圧及び高温における焼結ステップ中にロッドに接合されると思われる。必要とあれば、それは研削又は切削により除去することができる。
【0078】
実施例4
素体は、スラリーが、押出しにより射出成形され得るように十分粘稠に製造されていてよいことを除いて、例1、例2又は例3で記載されたようにして製造することができる。スラリーは、輪状の排出口を備える押出しデバイス中に押し込まれ、加圧されてスラリーを含む管を押し出すことができる。この例の幾つかの変形において、管は基材になるはずのロッドの周りに向かって押し出すことができる。他の変形において、管は押出しデバイスから遠い基材に運ばれてその上に置かれるために十分な剛直性を有するであろう。
【0079】
実施例5
それからPCBNの底刃カッター又はくり抜き機を製造することができるPCBNの輪状の素体は、スラリーがダイヤモンド粒子の代わりにcBN粒子を含み、それらが、cBN粒体のための結合剤材料を製造するためにTi、Al、W及び又はCoを含む粉末と組み合わされることを除いて、実質的に例1、例2、例3又は例4で記載されたようにして、PCD素体と同様にして製作することができる。cBN粒子のサイズ分布は、少なくとも約0.5ミクロン及び最大で約10ミクロンであることができる。
【0080】
本明細書において使用される幾つかの用語及び概念は簡単に説明すると以下のようである。
【0081】
機械工具とは、動力を供給される機械的デバイスであり、それは、金属、複合材料、木材又はポリマーなどの材料を含む構成要素を、機械加工により製造するために使用することができる。機械加工とは、物体又は加工中の製品から材料の選択的除去である。回転機械工具とは、カッター要素、例えば、使用時にそれ自体の軸の周りに回転するドリル穂先を含む機械工具である。カッター要素のすくい角面とは、工具が物体から材料を取り出すために使用されるときにチップが流れる表面(複数可)のことであり、すくい角面は新しく形成されたチップの流れを指示する。チップとは、物体の作業表面から、使用している機械工具により切り離された物体の断片である。カッター要素の逃げ面とは、機械工具により物体上に作られた表面の上を通る機械工具の表面(複数可)のことである。逃げ面は、物体からの除去を提供することができて、2つ以上の逃げ面を備えてもよい。切削刃とは、物体の切削を実施することを意図されたすくい角面の刃であり、縦溝は、使用時に工具が回転するにつれて切削刃からチップを運び去ることができる回転機械工具に設けられた凹所部分のことである。嘴子、ボール底刃カッター及び直底刃カッター(スロットドリルといわれることもある)などの例の回転機械工具は、6個以上の切削刃及び縦溝を有することもできる。螺旋縦溝(うず巻形縦溝ともいわれる)は、回転機械工具の回転軸に関して一般的に及び少なくとも部分的に螺旋状に配列された縦溝を含み、2方向の螺旋縦溝の形態は、異なった又は反対側の螺旋の向きを有する縦溝を含む。
【0082】
本発明において使用される超硬質材料は、少なくとも約28GPaのビッカース硬度を有する。ダイヤモンド及び立方窒化ホウ素(cBN)材料は、超硬質材料の例である。多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は、実質的部分が互いの間で直接結合してダイヤモンドの含有率が材料の少なくとも約80体積パーセントであるダイヤモンド粒体の集まり(多数の凝集物)を含む。ダイヤモンド粒体間の隙間は、合成ダイヤモンドのための触媒材料を含む結合剤材料で少なくとも部分的に満たされてもよく、又は実質的に空であってもよい。合成ダイヤモンドのための触媒材料は、合成若しくは天然ダイヤモンドが熱力学的に安定な温度及び圧力における合成ダイヤモンド粒体の成長及び又は合成若しくは天然ダイヤモンド粒体の連晶を促進することができる。ダイヤモンドのための触媒材料の例は、Fe、Ni、Co及びMn、及びこれらを含むある種の合金である。PCD材料を含む超硬質構造は、触媒材料が隙間から除去されて、ダイヤモンド粒体間の隙間に生じた気泡が残る領域を少なくとも含むことができる。ダイヤモンドのための触媒材料がなくなっているか、又は触媒材料が触媒としての活性が比較的低い形態にある少なくとも有意の領域を有するPCD構造は、熱的に安定なPCDといってもよい。
【0083】
PCBN材料は、金属又はセラミック材料を含むマトリックス中に分散した立方窒化ホウ素(cBN)粒体を含む。例えば、PCBN材料は、炭窒化チタンなどのTi含有化合物及び/又は、窒化アルミニウムなどのAl含有化合物、及び/又はCo及び/又はWなどの金属を含有する化合物を含む結合剤マトリックス材料中に分散した少なくとも約60体積パーセントのcBN粒体を含むことができる。PCBN材料の幾つかの変種(又は「品種」)は、少なくとも約80体積パーセント又はさらに少なくとも約85体積パーセントのcBN粒体を含むことができる。
【0084】
さらに一般的に、多結晶の超硬質(PCS)材料は、超硬質材料粒体の集団、及び充填剤若しくは結合剤材料で少なくとも部分的に満たされ得る超硬質粒体間の隙間を含み、超硬質粒体の含有率は材料の少なくとも約 体積パーセントであってもよい。粒体はダイヤモンド又は立方窒化ホウ素(cBN)を含むことができる。