特許第5906500号(P5906500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イマジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5906500-分析装置 図000002
  • 特許5906500-分析装置 図000003
  • 特許5906500-分析装置 図000004
  • 特許5906500-分析装置 図000005
  • 特許5906500-分析装置 図000006
  • 特許5906500-分析装置 図000007
  • 特許5906500-分析装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906500
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/63 20060101AFI20160407BHJP
   G01N 21/68 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   G01N21/63 A
   G01N21/68
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-534003(P2012-534003)
(86)(22)【出願日】2011年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2011070773
(87)【国際公開番号】WO2012036137
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2010-207384(P2010-207384)
(32)【優先日】2010年9月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504293528
【氏名又は名称】イマジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕二
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−349832(JP,A)
【文献】 特開2010−025869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0008139(US,A1)
【文献】 米国特許第7821634(US,B2)
【文献】 米国特許第6008897(US,A)
【文献】 金子昌司 他,マイクロ波アシストブレイクダウン分光法の研究,自動車技術会 学術講演会 前刷集,2009年 5月20日,No.18-09,pp.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62−21/74
G01N 21/31−21/39
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象物質にエネルギーを瞬間的に与えて該分析対象物質をプラズマ状態にした初期プラズマを生成し、該初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ生成手段と、
上記初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波により維持される電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報、又は電磁波の照射を停止した後の発光強度に関する情報を用いて分析対象物質の成分を同定する光分析手段とを備え
該光分析手段は、上記初期プラズマの発光に対する上記電磁波プラズマの発光の遅れ時間を用いて、分析対象物質の成分を同定することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
上記光分析手段は、上記初期プラズマの発光の直後に上記電磁波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の単位時間当たりの増加量を用いて、分析対象物質の成分を同定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
流体に含まれる分析対象物質にエネルギーを与えて該分析対象物質をプラズマ状態に変化させる初期プラズマ生成手段と、該初期プラズマ生成手段により生成された初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ維持手段とを備えたプラズマ生成手段と、
上記プラズマ生成手段により生成されるプラズマから発せられる光に含まれる上記分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、上記分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方を検出する光分析手段とを備え、
該光分析手段は、上記プラズマ維持手段が電磁波の照射を停止した後にプラズマが消滅する際の発光強度の単位時間当たりの減少量を用いて、上記分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方を検出することを特徴とする分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマから発せられる光を分析することにより分析対象物質を分析する分析装置及び分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマから発せられる光を分析することにより分析対象物質を分析する分析装置及び分析方法が知られている。例えば特許文献1には、この種の分析装置が開示されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、レーザー誘起ブレイクダウン分光法(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)を利用した元素分析装置が記載されている。この元素分析装置では、レーザー発振器から発せられたパルスレーザー光を試料表面に集光させて、試料表面の一部をプラズマ化させる。試料表面の構成元素は励起状態の原子になる。この励起状態の原子は、下準位に遷移するときに蛍光を放出する。放出された蛍光は、光ファイバーを介して蛍光検出器に入射する。蛍光検出器は、蛍光の波長およびこの波長の強度に関する情報を電気信号に変換する。計測制御用コンピュータは、変換された電気信号に基づいて元素分析を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−38560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の分析装置では、プラズマから発せられるプラズマ光を分光分析し、発光強度が強い波長成分を見つけて分析対象物質を分析していた。それに対して、本願の発明者は、プラズマが形成されている期間にプラズマ光の発光強度がどのように変化をするかによって分析対象物質を分析できることを見つけだした。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラズマから発せられるプラズマ光を分析することにより分析対象物質を分析する分析装置において、プラズマが形成されている期間におけるプラズマ光の発光強度の変化を用いて分析対象物質を分析する分析装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、分析対象物質にエネルギーを瞬間的に与えて該分析対象物質をプラズマ状態にした初期プラズマを生成し、該初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ生成手段と、上記初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波により維持される電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報、又は電磁波の照射を停止した後の発光強度の情報を用いて分析対象物質の成分を同定する光分析手段とを備えている分析装置。
【0008】
第1の発明では、プラズマ生成手段が、分析対象物質にエネルギーを瞬間的に与えて初期プラズマを生成し、初期プラズマに電磁波を照射してプラズマ状態を維持する。ここで、プラズマが形成されている期間において、プラズマから発せられるプラズマ光の発光強度の時系列変化を見ると、例えば図3に示すように、まず初期プラズマによる発光強度のピークが瞬間的に見られ、発光強度が極小値まで一旦低下する。そして、発光強度が極小値になった後に、電磁波プラズマにより発光強度が再び増加し、電磁波の照射の停止に伴って発光強度が減少してゼロになる。本願発明者は、例えば、初期プラズマの発光に対する電磁波プラズマの発光の遅れ時間(T)、初期プラズマの発光の直後に電磁波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の単位時間当たりの増加量(ΔI/Δt)、電磁波の照射を停止した後に発光強度がゼロになるまでの時間、及び電磁波の照射を停止した後の発光強度の単位時間当たりの減少量などが、物質の種類によって異なることを見つけ出した。初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度の変化や、電磁波の照射を停止した後の発光強度の変化は、物質の種類によって異なる。そこで、第1の発明では、光分析手段が、初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報、又は電磁波の照射を停止した後の発光強度の情報を用いて分析対象物質の成分を同定する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記光分析手段が、上記初期プラズマの発光に対する上記電磁波プラズマの発光の遅れ時間を用いて、分析対象物質の成分を同定する。
【0010】
第2の発明では、初期プラズマの発光に対する電磁波プラズマの発光の遅れ時間(T)を用いて、分析対象物質の成分が同定される。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記光分析手段が、上記初期プラズマの発光の直後に上記電磁波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の単位時間当たりの増加量を用いて、分析対象物質の成分を同定する。
【0012】
第3の発明では、初期プラズマの発光の直後に電磁波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の単位時間当たりの増加量(ΔI/Δt)を用いて、分析対象物質の成分が同定される。つまり、初期プラズマの発光の直後に電磁波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度のグラフの傾き(図3参照)を用いて、分析対象物質の成分が同定される。
【0013】
第4の発明は、流体に含まれる分析対象物質にエネルギーを与えて該分析対象物質をプラズマ状態にするプラズマ生成手段と、上記プラズマ生成手段により生成されたプラズマから発せられる光に含まれる上記分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、上記分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方を検出する光分析手段とを備えている分析装置。
【0014】
第4の発明では、プラズマ光に含まれる分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量(増加量と減少量のどちらでもよい)を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方が検出される。ここで、特定の分析対象物質がプラズマ化された場合に、プラズマ光に含まれる波長成分の中で、分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量は、分析対象物質の濃度や物質量に応じて異なる値をとる。この変化量は、分析対象物質の濃度が高いほど小さくなり、分析対象物質の物質量が多いほど小さくなる。この知見は、分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量から、分析対象物質の濃度や物質量を検出可能であることを意味している。そこで、第4の発明では、プラズマ光に含まれる分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方が検出される。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、上記プラズマ生成手段が、上記分析対象物質にエネルギーを与えて上記分析対象物質をプラズマ状態に変化させる初期プラズマ生成手段と、該初期プラズマ生成手段により生成された初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ維持手段とを備え、上記光分析手段が、上記プラズマ維持手段が電磁波の照射を停止した後にプラズマが消滅する際の発光強度の単位時間当たりの減少量を用いて、上記分析対象物質の濃度又は物質量を検出する。
【0016】
第5の発明では、プラズマ維持手段が電磁波の照射を停止した後にプラズマが消滅する際の発光強度の単位時間当たりの減少量を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方が検出される。
【0017】
第6の発明は、分析対象物質にエネルギーを瞬間的に与えて該分析対象物質をプラズマ状態にした初期プラズマを生成し、該初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ生成ステップと、上記初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波により維持される電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報、又は電磁波の照射を停止した後の発光強度に関する情報を用いて分析対象物質の成分を同定する光分析ステップとを備えている分析方法。
【0018】
第7の発明は、流体に含まれる分析対象物質にエネルギーを与えて該分析対象物質をプラズマ状態にするプラズマ生成ステップと、上記プラズマ生成ステップにより生成されるプラズマから発せられる光に含まれる上記分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、上記分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方を検出する光分析ステップとを備えている分析方法。
【発明の効果】
【0019】
第1,第2,第3,第6の各発明では、初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度の変化や、電磁波の照射を停止した後の発光強度の変化が、物質の種類によって異なるので、初期プラズマの発光強度のピークから、電磁波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報、又は電磁波の照射を停止した後の発光強度の情報を用いて、分析対象物質の成分が同定される。従って、プラズマが形成されている期間におけるプラズマ光の発光強度の変化を用いて分析対象物質の成分を同定可能な分析装置を実現することができる。
【0020】
また、第4,第5,第7の各発明では、プラズマ光に含まれる分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量が分析対象物質の濃度や物質量により異なるので、その分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量の少なくとも一方が検出される。従って、プラズマが形成されている期間におけるプラズマ光の発光強度の変化を用いて分析対象物質の濃度や物質量を検出可能な分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態1の分析装置の概略構成図である。
図2図2は、実施形態1のプラズマ生成維持動作を説明するための図である。
図3図3は、実施形態1のプラズマ生成装置により生成されたプラズマから発せられる光の発光強度の時系列変化を示すグラフである。
図4図4は、実施形態1のプラズマ生成装置により生成されたプラズマから発せられる光に複数の物質の発光が含まれている場合の発光強度の時系列変化を示すグラフである。
図5図5は、実施形態2の分析装置の概略構成図である。
図6図6は、実施形態3の分析装置の概略構成図である。
図7図7は、実施形態3のプラズマ生成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
【0023】
本実施形態1の分析装置10は、図1に示すように、プラズマ生成装置11、キャビティー12、光分析装置13及び制御装置14を備えている。制御装置14は、プラズマ生成装置11及び光分析装置13を制御する。なお、本実施形態1の分析装置10は、プラズマ生成装置11によりプラズマ状態にすることができる物質であれば、固体、液体、及び気体の相状態を問わず、分析対象物質として分析することができる。
−プラズマ生成装置の構成−
【0024】
プラズマ生成装置11は、レーザー光源21、集光光学系22、マイクロ波発振器23、マイクロ波伝送路24〜27、アンテナ28、及びパルス電源29を備えている。プラズマ生成装置11は、分析対象物質15にエネルギーを瞬間的に与えて分析対象物質15をプラズマ状態にした初期プラズマを生成し、初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ生成手段を構成している。レーザー光源21及び集光光学系22は、分析対象物質15にエネルギーを与えて分析対象物質15をプラズマ状態に変化させる初期プラズマ生成手段を構成している。マイクロ波発振器23、マイクロ波伝送路24〜27、アンテナ28、及びパルス電源29は、初期プラズマ生成手段により生成された初期プラズマに電磁波を所定の時間に亘って照射してプラズマ状態を維持するプラズマ維持手段を構成している。
【0025】
レーザー光源21は、分析対象物質15をプラズマ状態にするためのレーザー光を発振する。レーザー光源21から発振されたレーザー光は、集光光学系22を通過し、集光光学系22の焦点に集光される。集光光学系22の焦点は、キャビティー12内に位置している。なお、レーザー光源21には、例えば、Nd:YAGレーザー光源が用いられる。集光光学系22には、例えば、凸レンズが用いられる。
【0026】
プラズマ生成装置11は、集光光学系22の焦点に集光されたレーザー光のエネルギー密度が分析対象物質15のブレイクダウン閾値以上になるように構成されている。すなわち、レーザー光の出力は、焦点に存在する分析対象物質15がプラズマ化するのに必要な値以上に設定されている。
【0027】
マイクロ波発振器23は、マイクロ波伝送路24〜27を介してアンテナ28に接続されている。マイクロ波伝送路24〜27は、マイクロ波発振器23に接続された導波管24と、導波管24に接続されたアイソレータ25と、アイソレータ25に接続された同軸導波管変換器26と、同軸導波管変換器26に接続された同軸ケーブル27により構成されている。また、マイクロ波発振器23は、パルス電源29に接続されている。マイクロ波発振器23は、パルス電源29から電力の供給を受けるとマイクロ波を発振する。
【0028】
アンテナ28は、同軸ケーブル27に接続されている。アンテナ28の先端は、集光光学系22の焦点位置に向けられている。マイクロ波発振器23から発振されたマイクロ波は、マイクロ波伝送路24〜27を経て、アンテナ28から集光光学系22の焦点位置に向けて照射される。
【0029】
なお、マイクロ波発振器23には、例えば、2.45GHzのマイクロ波を発振するマグネトロンが用いられる。また、アンテナ28には、マイクロ波発振器23から発振されたマイクロ波に対して十分な利得を有するアンテナとして、例えば、3/4波長モノポールアンテナが用いられる。また、パルス電源29には、例えば、インバータ方式の電源装置が用いられる。
【0030】
キャビティー12は、マイクロ波の共振構造を有する略筒状の容器であり、マイクロ波が外部へ漏洩することを阻止する。キャビティー12には、分析対象物質15を支持する支持部材(図示省略)が設けられている。キャビティー12には、レーザー光源21から発振されたレーザー光を導入するための導入窓が設けられている。キャビティー12には、レーザー光源21から発振されたレーザー光が入射される。キャビティー12の内側では、レーザー光により分析対象物質15がプラズマ状態になる。また、キャビティー12の内側では、プラズマ状態の分析対象物質15にアンテナ28からマイクロ波が照射される。
−プラズマ生成装置の動作−
プラズマ生成装置11は、制御装置14の指示に従って、分析対象物質15をプラズマ状態にしてプラズマ状態を維持するプラズマ生成維持動作を行う。
【0031】
プラズマ生成維持動作では、パルス電源29が、制御装置14から出力された開始信号を受けるとマイクロ波発振器23への電力の供給を開始する。これにより、マイクロ波発振器23はマイクロ波の発振を開始し、アンテナ28からキャビティー12内の分析対象物質15にマイクロ波が照射される。キャビティー12内では、マイクロ波が共振し定在波を形成する。分析対象物質15のレーザー照射面付近は、定在波の腹となって強電場領域となる。
【0032】
続いて、レーザー光源21が、制御装置14から出力された発振信号を受けるとパルス状のレーザー光を1発だけ発振する。レーザー光は、マイクロ波の照射開始直後に発振される。レーザー光源21から発振されたレーザー光は、集光光学系22により分析対象物質15の表面に集光される。分析対象物質15には、瞬間的に高密度のエネルギーが与えられる。
【0033】
分析対象物質15の表面では、レーザー光の照射領域のエネルギー密度が上昇して分析対象物質15のブレイクダウン閾値を超える。そうすると、図2に示すように、レーザー光の照射領域の物質が電離し、プラズマ状態になる。すなわち、分析対象物質15を原料とするプラズマが生成される。なお、以下では、レーザー光により生成されるプラズマを「レーザープラズマ」という。レーザープラズマは、初期プラズマに相当する。
【0034】
レーザー発振終了の直後は、マイクロ波の照射が継続されている。従って、レーザープラズマは、図2に示すように、マイクロ波のエネルギーを吸収して拡大する。拡大したプラズマは、マイクロ波により維持される。以下では、マイクロ波により維持されるプラズマを「マイクロ波プラズマ」という。マイクロ波プラズマは、電磁波プラズマに相当する。
【0035】
その後、パルス電源29が、制御装置14から出力された停止信号を受けるとマイクロ波発振器23への電力の供給を停止する。これにより、マイクロ波発振器23はマイクロ波の発振を停止する。マイクロ波発振器23は、レーザー光の発振後に停止される。マイクロ波の照射は、レーザー光の発振の終了から例えば5秒後に停止される。そうすると、電子の再結合が起こり、マイクロ波プラズマが消滅する。
【0036】
なお、パルス電源29は、開始信号を受けてから停止信号を受けるまでの間に亘って、パルス波(又はバースト波)を繰り返しマイクロ波発振器23へ供給する。パルス電源29は、所定のデューティー比(オン/オフのデューティー比)で電力をマイクロ波発振器23へ供給する。マイクロ波発振器23は、マイクロ波の発振と停止を所定のデューティー比で繰り返す。マイクロ波プラズマは、熱プラズマになることがなく、非平衡プラズマで維持される。本実施形態1では、マイクロ波の発振開始は、最初のパルス波を受けた時点であり、マイクロ波の発振終了は、最後のパルス波を受けた時点である。開始信号を受けてから停止信号を受けるまでの間は、マイクロ波の照射期間としている。また、マイクロ波の単位時間当たりのエネルギーは、マイクロ波の照射期間に亘って、調節されることなく一定に保たれる。
【0037】
また、本実施形態1では、マイクロ波の発振開始タイミングは、レーザー光の発振前であるが、レーザープラズマが消滅する前であればレーザー光の発振後であってもよい。
【0038】
ここで、プラズマが形成されている期間において、プラズマから発せられるプラズマ光の発光強度の時系列変化を見ると、図3に示すように、まずレーザープラズマによる発光強度のピークが瞬間的に見られ、発光強度がゼロ近くの極小値まで低下する。そして、発光強度が極小値となった後、マイクロ波プラズマにより発光強度が再び増加し、マイクロ波プラズマの消滅が開始されるまで、発光強度がある程度一定の強さに保たれる。
【0039】
なお、本明細書では、レーザープラズマによる発光強度のピーク直後の極小値までのプラズマを「レーザープラズマ」と定義し、極小値以降のプラズマを「マイクロ波プラズマ」と定義する。本実施形態1では、レーザープラズマの方がマイクロ波プラズマよりも発光強度の最大値が大きくなるように、プラズマ生成装置11が構成されている。レーザープラズマよりもマイクロ波プラズマの方がプラズマにおけるエネルギー密度が高くなるように、レーザー光源21の出力とマイクロ波発振器23の出力が設定されている。
−光分析装置の構成−
【0040】
光分析装置13は、プラズマ生成維持動作中にプラズマから発せられるプラズマ光を分析する。光分析装置13は、レーザープラズマの発光強度のピークから、マイクロ波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報を用いて分析対象物質15の成分を同定する光分析手段を構成している。光分析装置13は、ビームサンプラー30、第1パワーメータ31A、第2パワーメータ31B、光学素子32、光ファイバー33、分光器34、光検出器35、及び信号処理装置36を備えている。
【0041】
ビームサンプラー30は、レーザー光源21におけるレーザー光の出射部と集光光学系22との間に配置されている。ビームサンプラー30は、レーザー光源21から発振されたレーザー光の一部を分離する。第1パワーメータ31Aは、ビームサンプラー30により分離された光を受光する。第1パワーメータ31Aの出力信号は、信号処理装置36に入力される。一方、第2パワーメータ31Bは、レーザー光源21に対してキャビティー12の反対側に配置され、キャビティー12を通過したレーザー光を受光する。第2パワーメータ31Bの出力信号は、信号処理装置36に入力される。
【0042】
光学素子32は、光が透過するレンズ等により構成されている。光学素子32には、例えば、集光光学系のものが使用される。その場合は、光学素子32は、その焦点がマイクロ波プラズマの形成領域に位置するように配置される。
【0043】
分光器34は、光ファイバー33を介して光学素子32に接続されている。分光器34には、光学素子32に入射したプラズマ光が取り込まれる。分光器34は、回折格子又はプリズムを用いて、入射したプラズマ光を波長に応じて異なる向きに分散させる。
【0044】
光検出器35は、分光器34により分散されたプラズマ光のうち所定の波長帯域の光を受光するように配置されている。光検出器35は、制御装置14から出力された指令信号に応答して、受光した波長帯域の光を電気信号に変換して出力する。光検出器35には、例えば、光電子増倍管(PMT)が用いられる。光検出器35から出力された電気信号は、信号処理装置36に入力される。なお、光検出器35としては、時間応答性が高いものであれば、光電子増倍管以外のものを使用してもよい。
【0045】
信号処理装置36は、光検出器35から出力された電気信号に基づいて、光検出器35が受けた光の強度の時系列変化を検出する。信号処理装置36は、例えば図3に示すような発光強度の時系列変化を示すグラフを作成する。
【0046】
また、信号処理装置36は、レーザープラズマの発光に対するマイクロ波プラズマの発光の遅れ時間(T)を算出する。そして、信号処理装置36は、その遅れ時間(T)を用いて分析対象物質15の成分を同定する。
【0047】
また、信号処理装置36は、第1パワーメータ31Aの出力値と、ビームサンプラー30によるレーザー光の分離率とを用いて、レーザー光源21から発振されたレーザー光のエネルギーを検出する。また、信号処理装置36は、第2パワーメータ31Bの出力値を用いて、キャビティー12を通過したレーザー光のエネルギーを検出する。信号処理装置36は、レーザー光源21から発振されたレーザー光のエネルギーと、キャビティー12を通過したレーザー光のエネルギーとの差から、プラズマに吸収されたエネルギーを検出する。
−光分析装置の動作−
【0048】
光分析装置13は、制御装置14の指示に従って、プラズマから発せられるプラズマ光を分析する光分析動作を行う。光分析動作は、プラズマ生成維持動作に連動して行われる。
【0049】
具体的に、光分析装置13では、プラズマから発せられるプラズマ光が、光学素子32、光ファイバー33を順番に通過して分光器34に入射する。分光器34では、入射したプラズマ光が波長に応じて異なる向きに分散される。そして、所定の波長帯域のプラズマ光が光検出器35に到達する。光検出器35では、受光した波長帯域のプラズマ光が電気信号に変換されて出力される。信号処理装置36では、光検出器35の出力信号に基づいて、プラズマ光の発光強度の時系列変化が検出される。そして、信号処理装置36では、レーザープラズマの発光に対するマイクロ波プラズマの発光の遅れ時間(T)が算出され、その遅れ時間(T)に基づいて分析対象物質15の成分が同定される。同定された物質の名称は、信号処理装置36のモニターに表示される。
【0050】
ここで、信号処置装置36は、複数の物質に対応する遅れ時間(T)をメモリーに記憶している。信号処置装置36が記憶する遅れ時間(T)は、所定の温度及び圧力条件下において、マイクロ波の単位時間当たりのエネルギーを本実施形態1のマイクロ波発振器23の出力にした時の値である。信号処置装置36は、遅れ時間(T)に対応する物質をメモリーから読み出し、その物質を分析対象物質15の成分とする。
【0051】
また、遅れ時間(T)の算出は、レーザープラズマのピーク後の発光強度の極小値(Imin)よりも大きく、マイクロ波プラズマが概ね一定値になるときの発光強度(I)よりも小さい発光強度(I)を用いて行われる。信号処理装置36は、レーザープラズマの発光強度が減少する過程で発光強度がIになる時点から、マイクロ波プラズマの発光強度が増加する過程で発光強度がIになる時点までの時間を遅れ時間(T)として算出する。なお、レーザープラズマのピーク時点を遅れ時間(T)の開始時点としてもよいし、レーザープラズマのピーク後に発光強度が極小値(Imin)になる時点を遅れ時間(T)の開始時点としてもよい。また、マイクロ波プラズマにより発光強度が一定値に達した時点を遅れ時間(T)の終了時点としてもよいし、マイクロ波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の変曲点の時点を遅れ時間(T)の終了時点としてもよい。
【0052】
なお、光検出器35が受光した光に、複数の物質の発光が含まれている場合には、図4に示すように、マイクロ波により発光強度が増加する際に、発光強度が階段状に変化する。そのような場合は、発光強度の変化点などの情報から発光強度のラインを分離することで、それぞれのラインの遅れ時間(TS1,TS2)を検出でき、各遅れ時間(TS1,TS2)に対応する物質を対象物質の成分として同定することができる。
−実施形態1の効果−
【0053】
本実施形態1では、レーザープラズマの発光強度のピークから、マイクロ波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度の変化が物質の種類によって異なるので、レーザープラズマの発光強度のピークから、マイクロ波プラズマにより発光強度が増加して概ね一定値に達するまでの発光強度に関する情報を用いて分析対象物質15の成分が同定される。従って、プラズマが形成されている期間におけるプラズマ光の発光強度の変化を用いて分析対象物質15の成分を同定可能な分析装置10を実現することができる。
−実施形態1の変形例1−
【0054】
実施形態1の変形例1では、信号処理装置36が、レーザープラズマの発光の直後にマイクロ波プラズマにより発光強度が増加する際の発光強度の単位時間当たりの増加量(以下、「対象増加量」という。)を用いて、分析対象物質15の成分を同定する。信号処置装置36は、複数の物質に対応する対象増加量をメモリーに記憶している。光分析動作では、信号処理装置36が、対象増加量(ΔI/Δt)を算出した後に、その対象増加量(ΔI/Δt)に対応する物質をメモリーから読み出し、その物質を分析対象物質15の成分として同定する。
【0055】
なお、対象増加量(ΔI/Δt)を算出する区間は、図3に示すように、マイクロ波により発光強度が増加する過程の任意の2点を選んでもよいし、レーザープラズマのピーク後に発光強度が極小値(Imin)になる時点から、マイクロ波プラズマにより発光強度が一定値に達した時点までとしてもよい。
−実施形態1の変形例2−
【0056】
実施形態1の変形例2では、信号処理装置36が、マイクロ波の照射を停止した後の発光強度の減少量(以下、「対象減少量」という。)を用いて、分析対象物質15の成分を同定する。信号処置装置36は、複数の物質に対応する対象減少量をメモリーに記憶している。光分析動作では、信号処理装置36が、対象減少量を算出した後に、その対象減少量に対応する物質をメモリーから読み出し、その物質を分析対象物質15の成分として同定する。
【0057】
変形例2では、光分析装置13が、電磁波の照射を停止した後の発光強度の情報を用いて分析対象物質15の成分を同定する光分析手段を構成している。
なお、信号処理装置36は、マイクロ波の照射を停止した時点から発光強度がゼロになるまでの時間を用いて、分析対象物質15の成分を同定してもよい。
《実施形態2》
【0058】
本実施形態2の分析装置10は、ガスに含まれる特定の物質(例えば、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、OHラジカル)を分析対象物質として、その物質量及び濃度を検出する装置である。
【0059】
本実施形態2では、プラズマ生成装置11が、流体に含まれる分析対象物質にエネルギーを与えて分析対象物質をプラズマ状態にするプラズマ生成手段を構成している。光分析装置13が、プラズマ生成手段により生成されたプラズマから発せられる光に含まれる分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量を検出する光分析手段を構成している。
【0060】
プラズマ生成装置11は、実施形態1と同じ構成である。光分析装置13は、図5に示すように、分光器34の代わりに、プラズマ光から分析対象物質に対応する波長の光を抽出するための光学フィルター38が用いられている。
【0061】
光分析動作では、プラズマから発せられるプラズマ光が、光学素子32、光ファイバー33、光学フィルター38を順番に通過して、光検出器35に到達する。光検出器35は、分析対象物質に対応する分析波長の光を受光し、その分析波長の光を電気信号に変換して出力する。信号処理装置36では、光検出器35の出力信号に基づいて、分析波長の光の発光強度の時系列変化を検出する。そして、信号処理装置36は、マイクロ波プラズマが消滅する際の分析波長の発光強度の単位時間当たりの減少量(以下、「消滅時の減少量」という。)を算出し、その消滅時減少量を用いて、分析対象物質の物質量を検出する。
【0062】
ここで、信号処置装置36は、分析対象物質の物質量の複数の値のそれぞれに対応する消滅時の減少量の値をメモリーに記憶している。信号処置装置36が記憶する値は、所定の温度及び圧力条件下において、マイクロ波の単位時間当たりのエネルギーを本実施形態2のマイクロ波発振器23の出力にした時の値である。分析対象物質の物質量が多いほど、プラズマの消滅に要する時間が長くなるので、消滅時の減少量が小さな値になっている。信号処置装置36は、検出した消滅時減少量に対応する分析対象物質の物質量の値をメモリーから読み出し、その値を分析対象物質の物質量とする。
【0063】
また、信号処理装置36は、マイクロ波の形成領域のうち光学素子32からプラズマ光を取り込む領域の体積をメモリーに記憶している。信号処理装置36は、メモリーから読み出した体積で、検出した物質量を除することにより、分析対象物質の濃度(モル濃度)を算出する。
【0064】
なお、信号処理装置36が、レーザー光源21から発振されたレーザー光のエネルギーの検出値を用いて、消滅時減少量から算出した物質量を補正してもよいし、プラズマに吸収されたエネルギーの検出値を用いて、消滅時減少量から算出した物質量を補正してもよい。
−実施形態2の効果−
【0065】
本実施形態2では、プラズマ光に含まれる分析波長の発光強度の単位時間当たりの変化量が分析対象物質の濃度と物質量により異なるので、その分析波長の発光強度の単位時間当たりの変化量を用いて、分析対象物質の濃度及び物質量が検出される。従って、プラズマが形成されている期間におけるプラズマ光の発光強度の変化を用いて分析対象物質の濃度及び物質量を検出可能な分析装置10を実現することができる。
−実施形態2の変形例−
【0066】
実施形態2の変形例では、信号処理装置36が、レーザー光により生成されたレーザープラズマから発せられる光に含まれる分析対象物質に対応する波長の発光強度の単位時間当たりの減少量を用いて、分析対象物質の濃度又は物質量を検出する。レーザープラズマの発光強度がピーク値から減少する過程の減少量を用いて、分析対象物質の濃度又は物質量が検出される。
【0067】
この場合は、プラズマ生成装置11は、マイクロ波によりプラズマを維持する必要がなく、少なくともレーザー光源21と集光光学系22を備えていればよい。
《実施形態3》
本実施形態3は、初期プラズマ生成手段が実施形態1及び実施形態2とは異なる。
【0068】
実施形態3では、分析対象物質をプラズマ状態に変化させるのに、放電装置(例えば、スパークプラグ)が用いられる。具体的に、図6及び図7に示すように、プラズマ生成装置11は、パルス電圧生成器51、マイクロ波発振器23、混合器52、整合器53、及びスパークプラグ54を備えている。図6に示すように、パルス電圧生成器51、混合器52、整合器53、及びスパークプラグ54は、一体化されて放電ユニット58を構成している(図6において整合器53の記載は省略している)。
【0069】
パルス電圧生成器51は、外部の直流電源60から直流電力の供給を受ける。パルス電圧生成器51は、制御装置14から出力された放電信号を受けると、高電圧のパルス電圧を生成して出力する。パルス電圧は、ピーク電圧が例えば6kV〜40kV程度のインパルス状の電圧信号である。パルス電圧の諸元は、スパークプラグ54にパルス電圧を印加した場合に絶縁破壊を生じるように適宜設定すればよい。
【0070】
混合器52は、パルス電圧生成器51からパルス電圧を受けると共に、マイクロ波発振器23からマイクロ波を受ける。混合器52は、パルス電圧とマイクロ波とを混合した混合信号を生成して出力する。混合信号は、整合器53を介してスパークプラグ54に伝送される。整合器53は、混合器52から出力されたマイクロ波のインピーダンス整合がとる。
【0071】
スパークプラグ54では、放電電極54aと接地電極54bの間に放電ギャップが形成されている。スパークプラグ54では、混合信号の印加を受けると、放電が生じると共に、マイクロ波が放射される。その結果、スパークプラグ54の先端の放電ギャップでは、放電により小規模の放電プラズマ(初期プラズマ)が形成され、その放電プラズマがマイクロ波のエネルギーを吸収して拡大する。拡大したプラズマは、マイクロ波プラズマとなる。マイクロ波は、所定の時間に亘って照射される。
【0072】
なお、本実施形態3では、マイクロ波の発振開始タイミングは、スパーク放電前であるが、放電プラズマが消滅する前であればスパーク放電後であってもよい。
本実施形態3では、図6に示すように、放電ギャップに分析対象物質15が配置される。分析対象物質15は、支持部材(図示省略)により支持されている。
【0073】
プラズマ生成維持動作では、プラズマ状態の分析対象物質15から発せられた光が、分析対象物質15に対面するように配置された光学素子32に入射し、実施形態1及び実施形態2と同様に、光分析装置13において分析対象物質15の分析が行われる。
《その他の実施形態》
上記実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0074】
上記実施形態において、レーザー光源21として、Nd:YAGレーザー光源以外の固体レーザー光源を用いてもよいし、液体レーザー光源、ガスレーザー光源、半導体レーザー光源、または、自由電子レーザー光源を用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、初期プラズマ生成手段は、ブレイクダウンを生じさせるのに十分なエネルギーを与えることができればよく、レーザー光源21やスパークプラグ54以外に、グロープラグなどの熱電子生成器、レーザーダイオード、高輝度発光ダイオード半導体発光素子などであってもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、マイクロ波発振器23として、半導体発振器などの他の発振器を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、プラズマから発せられる光を分析することにより分析対象物質を分析する分析装置及び分析方法について有用である。
【符号の説明】
【0078】
10 分析装置
11 プラズマ生成装置(プラズマ生成手段)
12 キャビティー
13 光分析装置(光分析手段)
21 レーザー光源
22 集光光学系
23 マイクロ波発振器
28 アンテナ
32 光学素子
33 光ファイバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7