【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1に係る圧着端子付き電線1の分解斜視図である。
図2は、
図1に示した網目状の導電部30が展開された状態を説明するための図である。
図3は、
図1にし示した網目状の導電部30の素線挿通孔31aに金属素線11を挿通させた状態を金属素線11の先端面側から視た図である。
図4は、
図1に示した圧着端子付き電線1の一部断面を示した側面図である。
図5は、
図4に示した圧着端子付き電線1のA−A線断面図である。
本発明の実施例1に係る圧着端子付き電線1は、電線10の導体部12に圧着端子20が導電部30とともに圧着されてなる。
【0018】
まず、電線10について説明する。
電線10は、複数の金属素線11が束ねられてなる導体部12が絶縁被覆部13によって覆われてなる。
金属素線11は、例えばアルミニウム材からなり、複数本束ねられて導体部12として機能するようになっている。
絶縁被覆部13は、合成樹脂等の絶縁性の材料からなり、導体部12の外周を覆うように形成されることによって、導体部12を絶縁可能に保護するものである。
この電線10は、電線10の端末部10aの絶縁被覆部13が除去され、露出された導体部12に圧着端子20が接続されるようになっている。
【0019】
次に、圧着端子20について説明する。
圧着端子20は、例えば銅合金の平板が所定の形状に金型プレス加工され、さらに折り曲げ加工されることによって所定の形状に形成される。この圧着端子20は、不図示の相手接続先との接続部分となる相手接続部21と、電線10の露出された導体部12に圧着されるワイヤーバレル部22と、電線10の絶縁被覆部13に圧着されるインシュレーションバレル部23とを有してなる。
【0020】
相手接続部21は、外形円形状の平板の略中央に円形状の貫通孔21aが形成されてなり、この貫通孔21aにボルト等の固定部材が挿通されて不図示の接続先に固定されるようになっている。
【0021】
ワイヤーバレル部22は、相手接続部21とインシュレーションバレル部23との間に形成され、圧着端子20と導体部12との接続がなされる部分である。このワイヤーバレル部22は、底面を形成する壁からなる底壁部22aと、底壁部22aの両縁が起立された一対の片状壁からなる側壁部22bとを有してなる。この側壁部22bが圧着用の冶具を用いて内側に曲げられることによって圧着端子20が導体部12に圧着されるようになっている。
【0022】
インシュレーションバレル部23は、圧着端子20の相手接続部21とは逆側の端部を形成し、絶縁被覆部13に圧着されることによって電線10を保持する部分である。このインシュレーションバレル部23は、ワイヤーバレル部22の底壁部22aと共通の底壁部23aと、底壁部23aの両縁が起立された一対の片状側壁からなる側壁部23bとを有してなる。この側壁部23bが圧着用の冶具を用いて内側に曲げられることによって圧着端子20が絶縁被覆部13に圧着されるようになっている。
【0023】
導電部30は、導体部12と圧着端子20とを導通可能に接続させるものである。この導電部30は、導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔31aが面内に分散配置されてなる直交面導電部31を含む。
導電部30は、より具体的には、導体線31bが網目状に配置されてなる導電シート31cが、
図2に示すように、導体部12の延在方向に直交する面を形成するように角筒状に折り曲げされてなる。
直交面導電部31は、導体部12の延在方向に直交する平面に導体線31bが網目状に張り巡らされ、導体線31b間の隙間が素線挿通孔31aとして機能され、この素線挿通孔31aに一または複数本の金属素線11が挿通されるようになっている。
なお、この実施例1の圧着端子付き電線1は、導電部30が角筒状に形成されることによって、一対の直交面導電部31が形成され、各金属素線11がこの一対の直交面導電部31に形成された素線挿通孔31aの両方の素線挿通孔31aに挿通されるようになっている。
【0024】
この導電部30は、各素線挿通孔31aに各金属素線11が挿通された状態で、ワイヤーバレル部22に圧着されることによって、複数の金属素線11に圧着されるようになっている。
また、導電部30は、直交面導電部31が導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔31aが面内に分散配置されてなるので、
図5に示すように、導体部30の径方向内側から外側に配置されてなる各金属素線11に接続されるようになっている。
【0025】
次に、
図6を用いて圧着端子付き電線1の圧着端子20と電線10との組み付け手順について説明する。
図6は、圧着端子付き電線1の圧着端子20と電線10との組み付け手順を示した図である。
まず、作業者は、導体線31bが網目状に配置されてなる導電シート31cを折り曲げることによって導電部30を角筒状に成形する(
図6(a)参照)。これにより、導体部12の延在方向に直交する平面に導体線31bが張り巡らされ、かつ素線挿通孔31aが面内に分散して配置される形状に導電部30が成形される。
【0026】
その後、作業者は、導電部30の各素線挿通孔31aに各金属素線11を挿通させる(
図6(b)参照)。これにより、径方向内側から外側に配置されてなる複数の金属素線11の各金属素線11が導電部30に接続可能に配置される。ここで、各素線挿通孔31aに挿通される金属素線11の本数は一以上であればよい。
【0027】
その後、作業者は、圧着端子20を電線10に圧着し、圧着端子20と電線10との組み付け作業が完了される(
図6(c)、
図6(d)参照)。圧着端子20を電線10に圧着する場合、不図示のクリンパ等の圧着冶具を用いて圧着端子20のワイヤーバレル部22が、導体部12に圧着され、インシュレーションバレル部23が絶縁被覆部13に圧着される。ワイヤーバレル部22が、導体部12に圧着されることによって、導電部30が導体部12に圧着される。これにより径方向内側から外側に配置されてなる複数の金属素線11の各金属素線11が導電部30に接続される。
【0028】
本発明の実施例1に係る圧着端子付き電線1は、導電部30の直交面導電部31が導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔31aが面内に分散配置されてなるので、導体部12の径方向内側から外側に配置されてなる各金属素線11に接続されることによって、束ねられる金属素線11の数が増大した場合においても圧着端子20と金属素線11との接続安定性の低下を防ぐことができる。
【0029】
また、本発明の実施例1に係る圧着端子付き電線1は、直交面導電部31が延在方向に沿って複数箇所に形成されることによって、導体部12の径方向内側から外側に配置されてなる各金属素線11が直交面導電部31との接続部分を増加させることができるので、圧着端子20と金属素線11との接続安定性の低下を防ぐ効果をより高めることができる。
【0030】
(変形例)
次に、
図7および
図8を用いて本発明の実施例1に係る圧着端子付き電線1の変形例について説明する。
図7は、本発明の実施例1の変形例に係る圧着端子付き電線2の分解斜視図である。
図8は、
図7に示した圧着端子付き電線2の一部断面を示した側面図である。
この変形例の圧着端子付き電線2は、導電部30に代わって導電部40を有してなる点で実施例1の圧着端子付き電線1と異なる。
なお、その他の構成は実施例1と同様であり、実施例1と同一構成部分には同一符号を付している。
【0031】
導電部40は、直交面導電部41が延在方向に沿って複数箇所に形成されるように蛇腹状に折り曲げられてなる。
直交面導電部41は、導体部12の延在方向に直交する平面に導体線41bが網目状に張り巡らされ、導体線41b間の隙間が素線挿通孔41aとして機能され、この素線挿通孔41aに一または複数本の金属素線11が挿通されるようになっている。
【0032】
この変形例の圧着端子付き電線2は、実施例1の圧着端子付き電線1と同様な効果を奏することができるとともに、導電部40が蛇腹状に折り曲げられてなるので、直交面導電部41を延在方向に沿って複数箇所に形成されることが容易になる。
【実施例2】
【0033】
次に、
図9−
図13を用いて本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3について説明する。
図9は、本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3の一部断面を示した側面図である。
図10は、
図9に示した、圧着端子50の上面図である。
図11は、
図10に示した圧着端子50を相手接続部51とは逆側の端部から視た図である。
図12は、
図10に示した圧着端子50のA−A線断面図である。
この実施例2の圧着端子付き電線3は、導電部40が圧着端子50に一体的に設けられてなる点で実施例1の圧着端子付き電線1と異なる。
なお、その他の構成は実施例1と同様であり、実施例1と同一構成部分には同一符号を付している。
【0034】
圧着端子50は、不図示の相手接続先との接続部分となる相手接続部51と、電線10の露出された導体部12に圧着されるワイヤーバレル部52と、導電部40とを有してなる。
なお、相手接続部51およびワイヤーバレル部52は、実施例1の圧着端子20と略同様であるためその説明を省略する。
【0035】
導電部60は、ワイヤーバレル部52の底壁部52aに連接される連接部61と、直交面導電部62とを有してなる。
連接部61は、ワイヤーバレル部52と直交面導電部62とを一体的に繋げる部分である。この連接部61は、ワイヤーバレル部52の相手接続部51とは逆側の端部から突出され、直交面導電部62がワイヤーバレル部52内に配置されるようにワイヤーバレル部52内部に向けて屈曲されてなる。
【0036】
直交面導電部62は、導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔62aが面内に分散配置されてなる。
直交面導電部62は、より具体的には、直線状の導電性部材である直線状導電部材62bが導体部12の延在方向に直交する平面に網目状に張り巡らされ、直線状導電部材62b間の隙間が素線挿通孔62aとして機能され、この素線挿通孔62aに一または複数本の金属素線11が挿通されるようになっている。
【0037】
この導電部60は、各素線挿通孔62aに各金属素線11が挿通された状態で、ワイヤーバレル部52の一対の片状側壁からなる側壁部52bとともに圧着されることによって、ワイヤーバレル部52および複数の金属素線11に圧着されるようになっている。
また、導電部60は、直交面導電部62が導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔62aが面内に分散配置されてなるので、導体部60の径方向内側から外側に配置されてなる各金属素線11に接続されるようになっている。
【0038】
次に、
図13を用いて圧着端子付き電線3の圧着端子50と電線10との組み付け手順について説明する。
図13は、圧着端子付き電線3の圧着端子50と電線10との組み付け手順を示した図である。
まず、作業者は、導電部60の各素線挿通孔62aに各金属素線11を挿通させる(
図13(a)参照)。これにより、径方向内側から外側に配置されてなる複数の金属素線11の各金属素線11が導電部60に接続可能に配置される。ここで、各素線挿通孔62aに挿通される金属素線11の本数は一以上であればよい。
【0039】
その後、作業者は、圧着端子50を電線10に圧着し、圧着端子50と電線10との組み付け作業が完了される(13(b)参照)。圧着端子50を電線10に圧着する場合、不図示のクリンパ等の圧着冶具を用いて圧着端子50のワイヤーバレル部52が、導体部12に圧着される。ワイヤーバレル部52が、導体部12に圧着されることによって、導電部60が導体部12に圧着される。これにより径方向内側から外側に配置されてなる複数の金属素線11の各金属素線11が導電部60に接続される。
【0040】
本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3は、実施例1の圧着端子付き電線1と同様に、束ねられる金属素線11の数が増大した場合においても圧着端子20と金属素線11との接続安定性の低下を防ぐことができる。
しかも、本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3は、導電部60が圧着端子50と一体的に設けられてなるので、圧着端子50と導電部60との接続安定性が向上され、結果的に圧着端子50と金属素線11との接続安定性の低下を防ぐ効果をより高めることができる。
【0041】
(変形例)
次に、
図14および
図15を用いて本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3の変形例について説明する。
図14は、本発明の実施例2に係る圧着端子付き電線3の変形例の圧着端子70を相手接続部51とは逆側の端部から視た図である。
図15は、
図14に示した導電部80のA−A線断面図である。
この変形例の圧着端子70は、導電部60に代わって導電部80を有してなる点で実施例2の圧着端子50と異なる。
なお、その他の構成は実施例2と同様であり、実施例2と同一構成部分には同一符号を付している。
【0042】
導電部80は、直交面導電部81が導体部12の延在方向に直交する平面に広がって形成され、かつ一または複数本の金属素線11が挿通可能な素線挿通孔81aが面内に分散配置されてなる。
この直交面導電部81は、より具体的には、円形平板状の導電性部材が導体部12の延在方向に直交する平面を形成するように配置され、円形状の素線挿通孔81aに一または複数本の金属素線11が挿通されるようになっている。
【0043】
素線挿通孔81aは、孔内径が金属素線11挿入側の端面81cに向けて拡大されるように孔内面がテーパ状に形成されてなるテーパ部81bを有してなる。このテーパ部81bによって、各素線挿通孔81a内に各金属素線11がガイドされながら挿入されるようになっている。
【0044】
この変形例の圧着端子50は、素線挿通孔81aに金属素線11を容易に挿通させることができる。
【0045】
なお、本発明の実施例1,2に係る圧着端子付き電線1,2,3は、相手接続部21,51が外形円形状の平板の略中央に円形状の貫通孔21aが形成されてなるものを例示したが、これに限らない。例えば、棒状に突出された雄型端子、あるいは箱型形状をなしその内部に弾性接触片が形成されてなる雌型端子であっても構わない。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。