(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906554
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20160407BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B17/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-159726(P2013-159726)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-203450(P2014-203450A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2013年8月5日
(31)【優先権主張番号】201310111288.5
(32)【優先日】2013年4月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513103438
【氏名又は名称】シェンヅェン グァンドン ファイア‐ファイティング アンド デコレーション エンジニアリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Guangan Fire−Fighting & Decoration Engineering Co., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】リ シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ウェングアン
(72)【発明者】
【氏名】フア ウェンフイ
【審査官】
芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−296836(JP,A)
【文献】
特開平07−182579(JP,A)
【文献】
特開2001−126171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 25/00
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の異なる場所に設置されており、それぞれが識別用のアドレスコードを有する複数の火災感知器(10)と、
前記複数の火災感知器(10)に直流給電可能に接続され、公共安全監視制御用のパスワードが設定され、消防制御室に設置された火災警報制御メインユニット(20)と、
前記火災警報制御メインユニット(20)に接続され、対応する前記火災感知器(10)と同じアドレスコードを有する複数の映像監視記録装置(30)とを備え、
前記複数の火災感知器(10)のそれぞれには、対応する前記映像監視記録装置(30)に接続されている映像採集器(31)及び連動スイッチ(40)が設けられ、
前記連動スイッチ(40)は、前記火災感知器(10)の出力端子に接続され且つ対応する前記映像監視記録装置(30)の電源スイッチに接続された常開継電器であり、前記火災感知器(10)の出力信号の制御を受けて、対応する前記映像監視記録装置(30)を起動させ、
前記複数の火災感知器(10)のうちのいずれかが火災発生を検知して前記火災警報制御メインユニット(20)に信号を出力すると、当該火災感知器(10)の出力電流により前記連動スイッチ(40)の常開接点が閉合することで、対応する前記映像監視記録装置(30)が通電されて起動し、当該起動した映像監視記録装置(30)が対応する前記映像採集器(31)により火災の発生から消火までの経過の映像を撮影させて当該映像を記録し、
前記火災警報制御メインユニット(20)に前記パスワード及び前記アドレスコードが入力されると、入力された前記アドレスコードに対応した1つ又は複数の前記映像監視記録装置(30)が起動されることによって、公共安全の監視制御が可能となることを特徴とする火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項2】
前記火災感知器(10)は、煙感知器、熱感知器、火炎感知器、特殊ガス感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項3】
前記煙感知器は、イオン式煙感知器、光電式煙感知器、吸気式煙感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項4】
前記熱感知器は、定温式感知器、温差式感知器、差定温式感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項5】
前記火炎感知器は、紫外線式感知器、赤外線式感知器、紫外線・赤外線混合感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項6】
前記特殊ガス感知器は、不燃且つ無毒の無機ガス、可燃又は有毒の無機ガス又は有機ガスを検知する感知器であることを特徴とする請求項2に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項7】
前記映像採集器(31)は、火災感知器(10)の底部に設けられたビデオカメラであることを特徴とする請求項1に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【請求項8】
複数の火災感知器(10)は、入力バスにより前記火災警報制御メインユニット(20)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防設備に関し、具体的には、火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工業化、都市化の進展が日増しに加速するのに伴い、大都市で高層ビルが林立し、人口が密集し、都市の負担が日増しに重くなっている。急増する人口及び工業の発達により、電力消費が大幅に増加しているが、電気使用設備の経年劣化、人々の安全意識の希薄化、安全防護措置の不十分、人為的な要因及びテロ襲撃等は、ともに都市の建物火災が起こる潜在的な脅威となっている。火災発生時、最も重要なのは、火災の初期段階で火災を検知することが可能か否かであるので、人々は、例えば、煙を検知する煙感知器、一定範囲内への温度の変化を検知する熱感知器、燃焼する火炎の光度と火炎の明滅頻度を検知する火炎感知器、及び、可燃又は有毒ガスを検知する特殊ガス感知器等、様々な火災感知器を開発してきた。また、現在、多数の建物の廊下、通路等に安全監視制御用のビデオカメラ等の撮像装置も設置されている。しかしながら、従来の火災感知器及び撮像装置は、いずれも互いに独立したシステムであり、火災感知器は、火災発生だけを検知することができるが、火災発生及びその全経過を記録することができないので、火災の原因と事故責任の分析及び精査には不利である。一方、廊下、通路等は、通常、火災発生地ではないので、廊下、通路内に設置されたビデオカメラ等の撮像装置では、火災現場を撮影することができない。したがって、同じく火災の原因及び事故責任の分析と精査には不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した課題を解決するために、火災発生を有効に検知することができるとともに、火災発生が検知されると同時に、映像監視記録装置を起動することができ、また、必要に応じて公安官が映像監視記録装置を起動して公共安全の監視制御を行うことができ、故に火災を全面的に監視制御することができる火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的を実現するために、本発明は、火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システムを提供する。当該システムは、建物の異なる場所に設置されており、それぞれが識別用のアドレスコードを有する複数の火災感知器と、前記複数の火災感知器に
直流給電可能に接続され、公共安全監視制御用のパスワードが設定され、消防制御室に設置された火災警報制御メインユニットと、前記火災警報制御メインユニットに接続され、対応する前記火災感知器と同じアドレスコードを有する複数の映像監視記録装置とを備え、
前記複数の火災感知器
のそれぞれには、対応する前記映像監視記録装置に接続されている映像採集器及び連動スイッチが設けられ、前記連動スイッチは、前記火災感知器の出力端子に接続さ
れ且つ対応する前記映像監視記録装置
の電源スイッチに接続され
た常開継電器であり、
前記火災感知器の出力信号の制御を受けて、対応する前記映像監視記録装置を起動させ、前記複数の火災感知器のうちのいずれ
かが火災発生を検知
して前記火災警報制御メインユニットに信号を出力すると
、当該火災感知器(10)の出力電流により前記連動スイッチ
の常開接点が閉合することで、対応する前記映像監視記録装置
が通電されて起動
し、
当該起動した映像監視記録装置(30)が対応する前記映像採集器により火災の発生から消火までの経過
の映像を撮影
させて当該映像を記録し、前記火災警報制御メインユニットに前記パスワード及び前記アドレスコードが入力されると、入力された前記アドレスコードに対応した1つ又は複数の前記映像監視記録装置が起動されることによって、公共安全の監視制御が可能となる。
【0005】
火災感知器は、煙感知器、熱感知器、火炎感知器、特殊ガス感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。
【0006】
煙感知器は、イオン式煙感知器、光電式煙感知器、吸気式煙感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。
【0007】
熱感知器は、定温式感知器、温差式感知器、差定温式感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。
【0008】
火炎感知器は、紫外線式感知器、赤外線式感知器、紫外線・赤外線混合感知器のうちの1つ又は複数の組み合わせであることが好ましい。
【0009】
特殊ガス感知器は、不燃且つ無毒の無機ガス、可燃又は有毒の無機ガス又は有機ガスを検知する感知器であることが好ましい。
【0010】
映像採集器は、火災感知器の底部に設けられたビデオカメラであることが好ましい。
【0011】
連動スイッチは、火災感知器の出力端子に接続され、且つ映像監視記録装置の電源スイッチに接続されている常開継電器であることが好ましい。
【0012】
複数の火災感知器は、入力バスにより火災制御装置に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、火災を監視検知するための高効率な手段を提供する。火災感知器には映像監視記録装置が設置されているので、火災感知器が火災発生を検知すると、警報信号を火災警報制御メインユニットに送信するとともに、映像監視記録装置を起動して火災発生及びその全経過を映像によりリアルに記録する。したがって、火災発生の動きを把握して火災を迅速に制御・消火することができるだけでなく、火災の原因及び事故責任を分析・精査することもできる。また、本発明は、公共安全を監視制御するための有効な手段を提供し、公安官又は警備員が必要に応じて本発明のシステムにより監視制御を必要とする場所に対して映像による監視制御を行うことができる。本発明には、簡単な構成を有し、実施しやすい等のメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の構成全体のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施例は、本発明に対して更に解釈及び説明をするものであり、本発明は、これらの実施例に限られるものではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の火災映像監視記録及び公共安全監視制御可能な火災検知システムは、火災感知器10と、火災警報制御メインユニット20と、映像監視記録装置30と、連動スイッチ40とを備える。
【0017】
図1においては、前記火災警報制御メインユニット20は、いかなる周知の火災警報制御メインユニットであってもよく、建物の消防制御室内に設置され、火災感知器10により送信された火災信号を受信し、着火場所を指示し、関連情報を記録し、火災警報装置を起動し、自動消防消火制御装置により自動消火設備及び消防連動制御設備を起動する。同時に、火災警報制御メインユニットは、火災感知器10にDC24V直流を供給することができる。
【0018】
図1に示すように、火災警報制御メインユニット20には、映像監視記録装置30が設置され、当該映像監視記録装置30は、表示記録設備と、信号伝送回路とを備え、前記表示記録設備は、安全防備現場に設置される前端設備の制御装置と、前端設備により伝送されてきた映像信号及び警報信号等を記憶・処理・表示・伝送するための設備とを備える。前記前端設備の制御装置及び映像信号を処理・表示・伝送するための設備は、いずれも周知の映像制御及び処理装置であってもよい。前記信号伝送システムは、有線伝送方式、無線伝送方式、マイクロ波伝送方式、光ファイバー伝送方式、電話線伝送方式等の様々な伝送方式であってもよく、火災感知器10の火災警報信号及び映像監視記録装置30の前端設備の映像採集信号の伝送及び前端設備への制御信号の伝送等に用いられる。火災警報制御メインユニット20には、公共安全監視制御用の許可パスワードが設定され、公安官、警察官等の公共安全を守る人員は、必要に応じて許可パスワード及びアドレスコードにより1つ又は複数の映像監視記録装置30を起動して建物内の部分又は全部のエリアに対して映像による監視制御を行うことができる。
【0019】
図1に示すように、前記火災感知器10は、建物の異なるフロアー、異なる部屋内に分布される複数の火災感知器10を備え、それぞれは、建物内の各フロアーの一部又は全ての部屋内の天井に設置され、それぞれの部屋には、少なくとも1つの火災感知器10を設置することができる。複数の火災感知器10は、入力バスにより消防制御室に設置される火災警報制御メインユニット20に接続され、それぞれの火災感知器10は、他の火災感知器と区別できるための1つの識別用アドレスコードを有し、火災警報制御メインユニット20は、アドレスコードによりそれぞれの火災感知器10を制御する。本発明は、火災
感知器10の種類を制限するものではなく、煙感知器、熱感知器、火炎感知器及び特殊ガス感知器を含むいかなる周知の火災感知器であってもよく、単一機能の感知器であってもよく、混合式感知器であってもよく、例えば、煙感知・熱感知混合感知器であってもよく、または、そのうちのいくつかの組み合わせであってもよい。前記煙感知器は、イオン式煙感知器、光電式煙感知器又は吸気式煙感知器であってもよく、そのうちの一種類であってもよく、いくつかの組み合わせであってもよい。前記熱感知器は、定温式感知器、温差式感知器、差定温式感知器のうちの一種類又はいくつかの組み合わせであってもよい。前記火炎感知器は、紫外線式感知器、赤外線式感知器、紫外線・赤外線混合感知器のうちの一種類又はいくつかの組み合わせであってもよい。前記特殊ガス感知器は、不燃且つ無毒の無機ガス、可燃又は有毒の無機ガス又は有機ガスを検知する感知器である。
【0020】
図1、
図2に示すように、それぞれの火災感知器10には、映像採集器31が設置され、映像監視記録装置30の前端設備であり、それぞれの映像採集器31は、前記映像監視記録装置30に接続されている。前記映像採集器31は、マイクロビデオカメラであり、火災感知器10の底部に設置され、映像採集器の撮影角度は、部屋のエリアの大部分を覆うことが好ましい。それぞれの火災感知器10には、前記映像監視記録装置30に対して連動制御を行う1つの連動スイッチ40が設置されている。本実施例においては、当該連動スイッチ40は、常開継電器であり、その接点が通電状態ではないとき、常開であり、当該常開継電器は通常の方法により火災感知器10の出力端子及び映像監視記録装置30の電源スイッチにそれぞれ接続されているので、火災感知器10が火災を検知して火災警報制御メインユニット20に警報信号を送信する際、火災感知器10の出力電流により、連動スイッチ40の常開接点が閉合になり、映像監視記録装置30が通電されて起動され、映像採集器31により火災現場の映像を撮影し、火災感知器10の出力信号により映像監視記録装置30の起動を制御することを実現した。例えばハードディスク等の映像監視記録装置30の記憶装置は、火災感知器10により伝送されたデータを記憶してからデータ処理装置により処理を行うとともに、相応する制御指令を発する。
【0021】
建物内のある火災感知器10が火災発生を検出すると、火災警報制御メインユニット20に火災信号を出力するとともに、連動スイッチ40により映像監視記録装置30を起動し、映像監視記録装置30は、映像採集器31により火災発生から消火までの全経過を撮影し、消防がこれに基づいて火災の原因及び事故責任を精査することができる。公安官が必要に応じて許可パスワードにより1つ又は複数の映像監視記録装置30を起動して公共安全を監視制御することができる。
【0022】
上述した内容は、本発明の実施例であり、本発明は、これらの実施例に限られるものではない。本発明の主旨から逸脱しない限り、様々な変形や取り替えは、全て本発明の請求の範囲内に含まれる。