(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後輪の舵角の検出は、車両の走行と密接に関わっている。そのため、特許文献1に記載の装置は、高い信頼性や優れた耐久性等を有するポテンショメータを内蔵する必要があった。しかし、このポテンショメータは比較的高価であるため、装置の製造コストが高くなるおそれがあった。
【0007】
また、特許文献1に記載の装置では、後輪の操舵機構とポテンショメータとが、ギアを介して機械的に接続された。そのため、装置の機械的構造が複雑になるおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、製造コストを抑えつつ、簡素な機械的構造を有する装置で後輪の舵角を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る舵角検出装置は、
車両が直進している状態を検出する直進状態検出手段と、
車両が走行することにより生じる加速度の方向を検出する加速度方向検出手段と、
前記直進状態検出手段によって車両が直進している状態が検出された場合に、前記加速度の方向と、車体の正面方向とのなす角度を、後輪の舵角として出力する後輪舵角出力手段と、
後輪の舵角の変化量を検出する舵角変化量検出手段と、
前記後輪舵角出力手段によって出力された前記角度に、前記変化量を加算することにより、現在の後輪の舵角を算出する現在舵角算出手段と、
を備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る舵角検出方法は、
車両が直進している状態を検出する直進状態検出ステップと、
車両が走行することにより生じる加速度の方向を検出する加速度方向検出ステップと、
前記直進状態検出ステップにおいて車両が直進している状態が検出された場合に、前記加速度の方向と、車体の正面方向とのなす角度を、後輪の舵角として出力する後輪舵角出力ステップと、
後輪の舵角の変化量を検出する舵角変化量検出ステップと、
前記後輪舵角出力ステップにおいて出力された前記角度に、前記変化量を加算することにより、現在の後輪の舵角を算出する現在舵角算出ステップと、
を含む。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
車両が直進している状態を示す直進情報を取得する直進情報取得手段、
車両が走行することにより生じる加速度に関する加速度情報を取得する加速度情報取得手段、
前記直進情報を取得した場合に、前記加速度情報に基づいて、前記加速度の方向と、車体の正面方向とのなす角度を、後輪の舵角として算出する後輪舵角算出手段、
後輪の舵角の変化量を取得する舵角変化量取得手段、
前記後輪舵角算出手段によって算出された前記角度に、前記変化量を加算することにより、現在の後輪の舵角を算出する現在舵角算出手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、加速度に基づいて、後輪の舵角が算出される。加速度は、走行している車両の状態を示す基本的な指標である。そのため、車両の走行を支援する種々のシステムは、加速度を検出するための加速度センサ等を備えていることが多い。また、加速度センサ等は、後輪の操舵機構と機械的に接続されずに、独立して加速度を検出する。したがって、種々のシステムが備える既存の加速度センサ等を利用することにより、製造コストを抑えつつ、簡素な機械的構造を有する装置で後輪の舵角を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。また、説明の便宜上、
図1に示されるように、車体11の前後方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する方向をY軸方向とする。また、加速度ベクトルを、単に加速度と表記する。なお、速さは、速度の大きさを表す。
【0015】
本実施形態に係る車両10は、前輪21、22を操舵する前輪操舵機構20と、後輪31、32を操舵する後輪操舵機構30と、車速センサ41と、ヨーレートセンサ42と、加速度センサ43と、ECU(Electronic Control Unit)50と、を有している。
【0016】
前輪操舵機構20は、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギアボックスである。前輪操舵機構20は、ステアリングホイール23の回転角(以下、ステア角という)θsに応じて、ラック軸24を移動させることにより、前輪21、22を操舵する。なお、
図1には、ステア角θsがゼロ度であって、前輪21、22の舵角(以下、前輪舵角という)θfがゼロ度である状態が示されている。この前輪舵角θfは、例えば−40〜+40度の範囲内で変化する。
【0017】
前輪操舵機構20には、移動量センサ25が取り付けられている。移動量センサ25は、例えばポテンショメータを含んで構成され、ラック軸24の移動量Dpを検出する。また、移動量センサ25は、検出した移動量DpをECU50へ通知する。
【0018】
ステアリングホイール23の操舵軸には、ステア角センサ26が取り付けられている。ステア角センサ26は、例えばロータリーエンコーダを含んで構成され、ステア角θsを検出する。また、ステア角センサ26は、検出したステア角θsをECU50へ通知する。
【0019】
移動量Dp及びステア角θsそれぞれは、前輪舵角θfに比例するため、前輪舵角θfを示す検出値としてECU50に利用される。
【0020】
後輪操舵機構30は、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギアボックスである。後輪操舵機構30は、モータ33がモータ軸34を回転させると、この回転に応じてラック軸35を移動させる。これにより、後輪31、32が操舵される。なお、
図1には、後輪31、32の舵角(以下、後輪舵角という)θrがゼロ度である状態が示されている。後輪舵角θrは、例えば−5〜+5度の範囲内で変化する。
【0021】
モータ33は、例えば、三相誘導モータである。モータ33は、ECU50から供給された電力に従って、モータ軸34を回転させる。このモータ軸34の回転力は、ハイポイドギアを介して、後輪操舵機構30へ伝達される。
【0022】
モータ33には、磁極センサ36が取り付けられている。磁極センサ36は、例えば3個のホールIC(Integrated Circuit)を含んで構成される。この磁極センサ36は、モータ軸34の回転角を示すホール信号を、ECU50へ送信する。
【0023】
ホール信号により示される回転角は、0〜360度の範囲内の角度であって、モータ軸34が360度以上回転する場合には、一意に定まらない。しかし、ある程度短い時間におけるホール信号の変化は、モータ軸34の回転角の変化量と一対一に対応する。さらに、この回転角の変化量は、後輪舵角θrの変化量(以下、舵角変化量という)θvと一対一に対応する。そのため、ホール信号は、舵角変化量θvを示す信号としてECU50に利用される。
【0024】
続いて、車速センサ41、ヨーレートセンサ42、及び加速度センサ43について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0025】
図2には、ステア角θs、前輪舵角θf、及び後輪舵角θrのすべてがゼロ度よりも大きい状態が示されている。また、
図2に示される前輪舵角θfと後輪舵角θrとは、互いにほぼ等しい。この状態における車両10は、前輪舵角θf又は後輪舵角θrが変化しない限り、前輪舵角θf及び後輪舵角θrによって決まる方向へ直進する。
【0026】
本来、車両10が直進する場合には、
図1に示されるように、前輪舵角θf及び後輪舵角θrが共にゼロ度である状態が想定されている。この状態では、車両10は、車体11の正面方向(+X方向)へ直進する。しかし、後輪舵角θrがゼロ度以外の角度であるときに、車両10を直進させようとするドライバーがステアリングホイール23を操作した結果、
図2に示される状態で車両10が直進することがある。
【0027】
車速センサ41は、例えばトランスミッションの出力軸に取り付けられ、この出力軸の回転角の変化量に基づいて、車両10の速さSpを検出する。また、車速センサ41は、検出した速さSpを、ECU50へ通知する。
図1、2に示される状態では、車速センサ41は、車両10が直進する速さSpを検出する。
【0028】
ヨーレートセンサ42は、例えば振動式ジャイロセンサを含んで構成される。ヨーレートセンサ42は、車両10の重心Cgを中心として、車両10のヨーレート(角速度)ωを検出する。また、ヨーレートセンサ42は、検出したヨーレートωをECU50へ通知する。
【0029】
図1、2に示される状態では、車両10が直進しているため、検出されるヨーレートωはほぼゼロ度/s(又はrad/s)である。なお、
図2において、重心Cgの周囲の矢印は、ヨーレートωの大きさを示さずに、ヨーレートωの回転方向のみを示している。
【0030】
加速度センサ43は、例えば、静電容量型の2軸加速度センサである。加速度センサ43は、車両10の加減速により生じる加速度Gaのうち、X軸方向の加速度成分Gxと、Y軸方向の加速度成分Gyとを検出する。また、加速度センサ43は、検出した加速度成分Gx、GyをECU50へ通知する。
【0031】
図1に示される状態では、加速度センサ43により検出される加速度成分Gyはほぼゼロm/s
2である。また、
図1、2に示されるように、車両10が直進している状態において、加速度Gaの方向と加速度成分Gxの方向(+X方向)とのなす角度θaは、後輪舵角θrに等しい。
【0032】
ECU50は、
図3に示されるように、ラック軸24の移動量Dp、ステア角θs、舵角変化量θv、速さSp、ヨーレートω、及び加速度成分Gx、Gyを取得する。また、ECU50は、イグニッション電源により動作する。そして、ECU50は、モータ33へ電力を供給することにより、後輪舵角θrを制御する。
【0033】
なお、ECU50、移動量センサ25、ステア角センサ26、磁極センサ36、車速センサ41、ヨーレートセンサ42、及び加速度センサ43は、舵角検出装置12を構成する。
【0034】
ECU50は、各センサの検出値を取得するインタフェース51、マイクロプロセッサ52、主記憶部53、補助記憶部54、及びモータドライバ55を有している。
【0035】
マイクロプロセッサ52は、各センサの検出値を、インタフェース51を介して取得する。また、マイクロプロセッサ52は、補助記憶部54に記憶されるプログラム56に従って、後述の処理を実行する。そして、マイクロプロセッサ52は、所定のPWM(Pulse Width Modulation)信号をモータドライバ55へ送信する。
【0036】
主記憶部53は、RAM等から構成される。主記憶部53は、補助記憶部54に記憶されるプログラム56をロードし、マイクロプロセッサ52の作業領域として用いられる。
【0037】
補助記憶部54は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリから構成され、プログラム56を記憶する。また、補助記憶部54は、マイクロプロセッサ52の指示に従って、マイクロプロセッサ52が利用するデータをマイクロプロセッサ52に供給し、マイクロプロセッサ52から供給されたデータを記憶する。
【0038】
モータドライバ55は、マイクロプロセッサ52から送信されたPWM信号に従って、所定の電力をモータ33へ供給する。
【0039】
続いて、マイクロプロセッサ52の構成について、
図4を用いて説明する。マイクロプロセッサ52は、後輪舵角算出部521、現在舵角算出部522、記憶処理部523、目標舵角演算部524、及びモータサーボ制御部525を有している。
【0040】
後輪舵角算出部521は、移動量Dp、ステア角θs、ヨーレートω、速さSp、及び加速度成分Gx、Gyを、取得する。後輪舵角算出部521は、取得した検出値に基づいて、車両10が直進している状態が検出された場合に、角度θaを算出する。そして、後輪舵角算出部521は、算出した角度θaを、後輪舵角θrとして現在舵角算出部522へ通知する。
【0041】
現在舵角算出部522は、舵角変化量θvを取得する。現在舵角算出部522は、通知された後輪舵角θrに舵角変化量θvを順次加算することにより、現在の後輪舵角(以下、現在舵角という)θcを算出する。そして、現在舵角算出部522は、現在舵角θcを、記憶処理部523及びモータサーボ制御部525へ通知する。
【0042】
また、現在舵角算出部522は、記憶処理部523から現在舵角θcを取得する。例えば、イグニッション電源がECU50に供給された直後には、後輪舵角算出部521から後輪舵角θrが通知されない。このときに、現在舵角算出部522は、記憶処理部523から取得した現在舵角θcに、舵角変化量θvを順次加算することで、現在舵角θcを新たに算出する。
【0043】
記憶処理部523は、イグニッション電源の供給が終了する直前に、現在舵角算出部522から取得した現在舵角θcを、補助記憶部54に記憶させる。これにより、補助記憶部54に記憶される現在舵角θcは、イグニッション電源の供給が終了するたびに更新される。また、イグニッション電源がECU50に供給された直後に、記憶処理部523は、補助記憶部54から現在舵角θcを読み出して、現在舵角算出部522へ通知する。
【0044】
目標舵角演算部524は、ステア角θs及び速さSpをインタフェース51から取得する。そして、目標舵角演算部524は、取得した検出値に基づいて、後輪舵角θrの目標値(以下、目標舵角という)θtを求め、モータサーボ制御部525へ通知する。
【0045】
モータサーボ制御部525は、PID(Proportional Integral Derivative)制御を実行する。具体的には、モータサーボ制御部525は、現在舵角θc及び目標舵角θtに基づいて所定のPWM信号を生成して、モータドライバ55へ送信する。
【0046】
続いて、後輪舵角算出部521により実行される後輪舵角検出処理について、
図5を用いて説明する。
【0047】
まず、後輪舵角算出部521は、速さSpが閾値以上で、かつ前輪舵角θfが一定で、かつヨーレートωがゼロ度/sであるか否かを判定する(ステップS1)。これにより、車両10が直進している状態であるか否かが判定される。
【0048】
具体的には、速さSpが30km/h以上であるときに、後輪舵角算出部521は、速さSpが閾値以上であると判定する。
【0049】
また、ステア角θsの変化幅が、過去3秒間に渡って1度以下の場合に、後輪舵角算出部521は、前輪舵角θfが一定であると判定する。
【0050】
また、ヨーレートωの大きさが1度/s(=0.017rad/s)よりも小さいときに、後輪舵角算出部521は、ヨーレートωがゼロ度/sであると判定する。
【0051】
ステップS1の判定が否定された場合(ステップS1;No)、後輪舵角算出部521は、ステップS1の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS1の判定が肯定された場合(ステップS1;Yes)、後輪舵角算出部521は、速さSpを時間微分することにより、加速度Gaの大きさを算出する(ステップS2)。
【0053】
次に、後輪舵角算出部521は、加速度Gaの方向を示す角度θaを算出する(ステップS3)。具体的には、後輪舵角算出部521は、加速度センサ43により検出された加速度成分Gxと、ステップS2で算出した加速度Gaの大きさとを用いて、以下の式(1)に基づいて角度θaを算出する。なお、|Ga|は、加速度Gaの大きさを表す。
【0055】
次に、後輪舵角算出部521は、算出された角度θaを、後輪舵角θrとして現在舵角算出部522へ出力する(ステップS4)。その後、後輪舵角算出部521は、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0056】
以上説明したように、本実施形態にかかる舵角検出装置12は、後輪操舵機構30と機械的に接続されない車速センサ41及び加速度センサ43の検出値に基づいて、後輪舵角θrを検出した。これにより、後輪操舵機構30とセンサ類(例えば車速センサ41や、加速度センサ43、ポテンショメータ等)とを機械的に接続する構成が不要となり、舵角検出装置12の機械的構造を簡素化することができる。
【0057】
また、車速センサ41は、スピードメータを備える一般的な自動車等の構成要素である。また、加速度センサ43は、ABS(Antilock Brake System)やトラクション制御システム等に用いられる。したがって、舵角検出装置12は、種々のシステムが有する既存の車速センサ41及び加速度センサ43を利用することで、製造コストを抑えることができる。
【0058】
また、舵角検出装置12は、ヨーレートセンサ42の検出値に基づいて、車両が直進している状態を検出した。ヨーレートセンサ42は、横滑り防止システム等に用いられる。したがって、舵角検出装置12は、横滑り防止システム等が有する既存のヨーレートセンサ42を利用することで、製造コストを抑えることができる。
【0059】
また、舵角検出装置12は、ステア角センサ26の検出値に基づいて、車両が直進している状態を検出した。ステア角センサ26は、ステアリング制御システム等に用いられる。そのため、舵角検出装置12は、ステアリング制御システム等が有する既存のステア角センサ26を利用することで、製造コストを抑えることができる。
【0060】
また、現在舵角算出部522は、後輪舵角θr及び舵角変化量θvに基づいて、現在舵角θcを算出した。これにより、舵角検出装置12は、車両10が直進していない時にも、後輪31、32の舵角を検出することができる。
【0061】
また、現在舵角算出部522が算出した現在舵角θcと、後輪31、32の実際の舵角との間に誤差が生じることがある。この誤差は、例えば、イグニッション電源がECU50に供給されていない間に、外力によって発生する。しかし、後輪舵角θrが通知された場合に、現在舵角算出部522は、この後輪舵角θrに基づいて現在舵角θcを新たに算出した。これにより、現在舵角算出部522は、上述の誤差を解消して、現在舵角θcを補正することができる。
【0062】
また、磁極センサ36が故障した場合には、現在舵角算出部522が算出した現在舵角θcと、後輪舵角算出部521から通知された後輪舵角θrとの間の誤差が大きくなる。この誤差の大きさを監視することで、現在舵角算出部522は、磁極センサ36の故障を検知することができる。
【0063】
また、記憶処理部523は、補助記憶部54に記憶されている現在舵角θcを更新する。これにより、イグニッション電源が供給されずに、ECU50が動作していないときにも、舵角検出装置12は、現在舵角θcを保持することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。
【0065】
第1の実施形態に係る後輪舵角算出部521は、速さSpの時間微分を用いて、角度θaを算出した。これに対して、本実施形態に係る後輪舵角算出部521は、加速度センサ43により検出された加速度成分Gyを用いて、角度θaを算出する。
【0066】
本実施形態に係る後輪舵角算出部521は、ステップS1の判定が肯定された場合(ステップS1;Yes)、ステップS2を省略して、ステップS3へ移行する。
【0067】
ステップS3にて、後輪舵角算出部521は、加速度センサ43により検出された加速度成分Gx、Gyを用いて、以下の式(2)に基づいて、角度θaを算出する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る舵角検出装置12は、加速度成分Gyを用いて角度θaを算出した。加速度成分Gyを検出する加速度センサ43は、横滑り防止装置等に用いられる。したがって、舵角検出装置12は、横滑り防止システム等が有する既存の加速度センサ43を利用することで、製造コストを抑えることができる。また、速さSpの時間微分を求める処理を省き、計算負荷を軽くすることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。
【0071】
例えば、後輪舵角算出部521は、速さSpの時間微分(|Ga|)と、加速度成分Gyとを用いて、以下の式(3)に基づいて角度θaを算出してもよい。
【0073】
例えば、第1の実施形態に係る加速度センサ43は、加速度成分Gx、Gyを検出する2軸加速度センサであったが、加速度成分Gxのみを検出する1軸加速度センサであってもよい。
【0074】
例えば、第1、第2の実施形態に係る加速度センサ43は、X軸方向やY軸方向の成分を検出したが、これには限られない。例えば、X軸方向やY軸方向以外の任意の2方向の成分を検出し、これらに簡単な線形変換を施すことで、実質的に加速度成分Gx、Gyを得ることもできる。
【0075】
例えば、第1、第2の実施形態に係る後輪舵角算出部521は、ヨーレートω及び前輪舵角θfに基づいて、車両10が直進している状態を検出したが、これには限られない。例えば、前輪21、22及び後輪31、32それぞれの車輪速を計測する車輪速センサを車両10が備える場合に、後輪舵角算出部521は、車輪速センサの出力がすべて等しいときに、車両10が直進していると判定してもよい。
【0076】
例えば、第1、第2の実施形態に係る後輪舵角算出部521は、ステップS2において、ステア角θsの推移に基づいて、前輪舵角θfが一定であるか否かを判定した。これには限られず、後輪舵角算出部521は、移動量Dpの推移に基づいて、ステップS2の判定を行ってもよい。
【0077】
また、車両10が直進している状態において、後輪舵角θrは比較的小さい。この状態では、アッカーマン機構により生じる左右の舵角の差も小さくなる。そこで、理解を容易にするため、上記実施形態の説明では、前輪21、22、及び後輪31、32は、左右で同一の舵角を有するものと想定した。しかしながら、左右の舵角の差が生じた場合であっても、後輪31、32それぞれの舵角と、角度θaとはほぼ一対一に対応するため、舵角検出装置12は、後輪31、32の舵角を検出することができる。
【0078】
上記実施形態に係る舵角検出装置12の機能は、専用のハードウェアによっても、また、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
【0079】
上記実施形態において、補助記憶部54に記憶されているプログラム56は、フレキシブルディスク、CD−ROM(CompactDiskRead-OnlyMemory)、DVD(DigitalVersatileDisk)、MO(Magneto-Opticaldisk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラム56をコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することとしてもよい。
【0080】
また、プログラム56は、全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、プログラム56により実行される処理に関する情報を、通信ネットワークを介して送受信しながら、上述の処理を実行することとしてもよい。
【0081】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。