(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906851
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】ペダル部構造
(51)【国際特許分類】
G10H 1/32 20060101AFI20160407BHJP
G10D 13/00 20060101ALI20160407BHJP
G10D 13/02 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
G10H1/32 A
G10D13/00 191
G10D13/02 100
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-62001(P2012-62001)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-195657(P2013-195657A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆二
【審査官】
冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−039506(JP,A)
【文献】
特開2009−282956(JP,A)
【文献】
実開昭56−148729(JP,U)
【文献】
実公昭51−026129(JP,Y1)
【文献】
特開2007−256626(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0037661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00−7/12
G10D 13/00−17/00
G10B 1/00−3/22
G05G 1/30
G05G 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に平行な軸支部を有するベース部と、前記ベース部の前記軸支部に対して一端部が軸支され、踏み込みされて回動する板型のフットボードとを有するペダル部構造であって、
前記フットボードは、上面と下面とを有する樹脂部と、前記樹脂部の前記上面を覆うと共に踏み込み操作される平坦な踏み込み面を有する板状の表面部を有する金属部とを有し、
前記金属部には、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の左右の側部の少なくとも一部を覆う側片部が設けられ、
前記樹脂部の前記上面は平坦で、前記金属部の下面に沿うとともに、前記樹脂部の左右の側面はそれぞれ、前記金属部の左右の前記側片部の各内側面に沿っていることを特徴とするペダル部構造。
【請求項2】
前記金属部にはさらに、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の自由端側の部分の少なくとも一部を覆う端片部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のペダル部構造。
【請求項3】
前記端片部は、前記表面部の先端が下方において折り返されて前記フットボードの長手方向に重なった複数の片部からなることを特徴とする請求項2記載のペダル部構造。
【請求項4】
左右方向に平行な軸支部を有するベース部と、前記ベース部の前記軸支部に対して一端部が軸支され、踏み込みされて回動する板型のフットボードとを有するペダル部構造であって、
前記フットボードは、上面と下面とを有する樹脂部と、前記樹脂部の前記上面を覆って踏み込み面となる板状の表面部を有する金属部とを有し、
前記金属部には、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の左右の側部の少なくとも一部を覆う側片部が設けられ、
前記金属部にはさらに、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の自由端側の部分の少なくとも一部を覆う端片部が設けられ、
前記端片部は、前記表面部の先端が下方において折り返されて前記フットボードの長手方向に重なった複数の片部からなることを特徴とするペダル部構造。
【請求項5】
前記樹脂部の前記下面には、複数のリブが前記フットボードの長手方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペダル部構造。
【請求項6】
前記樹脂部の前記上面には、複数のリブが前記フットボードの長手方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペダル部構造。
【請求項7】
前記樹脂部の前記複数のリブのうち少なくとも1つには、補強用の金属材が前記フットボードの長手方向に延設されるよう固定されていることを特徴とする請求項5または6記載のペダル部構造。
【請求項8】
前記フットボードは、打楽器用に構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のペダル部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器等に適用されるペダル部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打楽器等に用いられるペダル装置は一般に、ベース部にフットボードが回動自在に軸支され、フットボードが踏み込み操作により回動する。フットボードは、直接に踏み込まれる踏み込み面を有し、板型に構成される。ペダル部構造としては、下記特許文献1等に示されるように、フットボードが金属製としたものが広く知られている。
【0003】
また、フットボードが金属製でないものも知られている。例えば、ゲーム機用のペダル装置において、フットボードの全体を樹脂で構成したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−145464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フットボードをアルミダイキャスト等の金属製とした場合は、材料費や加工費がかかりコスト高なペダル部構造となる。
【0006】
一方、フットボードを樹脂製とした場合は、強度や耐久性が劣る。特に、フットボードは主に長手方向中央部が踏み込まれるが、樹脂製では長手方向の曲げ剛性が低いために変形しやすくなる。
【0007】
例えば、上記特許文献1のように、フットボードの自由端部に、ベースプレートと当接するリミットストッパを設けた構成においては、踏み込みされるときには、フットボードがベースプレートに軸支される位置と自由端部との2箇所で支持される。すなわち、離間した2点支持の形となるため、踏み込み操作されるフットボードの長手方向中央付近が最も大きく撓もうとするので、高い剛性が必要となる。そのため樹脂製では適切な剛性を確保するのが容易でない。
【0008】
また、樹脂は金属に比し軽量であるため、軸支部周りのフットボード全体の慣性質量が小さくなり、特にキックペダルに用いた際には踏み込み荷重が小さく感じられ、演奏感が悪くなる。さらに樹脂部が外観全体として現れるため、質感の点でも金属製に劣る。
【0009】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、フットボードの長手方向の高い曲げ剛性を確保しつつコストを削減することができるペダル部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の請求項1のペダル部構造は、左右方向に平行な軸支部(21)を有するベース部(11)と、前記ベース部の前記軸支部に対して一端部(20a)が軸支され、踏み込みされて回動する板型のフットボード(20)とを有するペダル部構造であって、前記フットボードは、上面(30a)と下面(30b)とを有する樹脂部(30)と、前記樹脂部の前記上面を覆
うと共に踏み込み操作される平坦な踏み込み面(41a)
を有する板状の表面部(41)を有する金属部(40)とを有し、前記金属部には、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の左右の側部(30c)の少なくとも一部を覆う側片部(42)が設けられ
、前記樹脂部の前記上面は平坦で、前記金属部の下面に沿うとともに、前記樹脂部の左右の側面はそれぞれ、前記金属部の左右の前記側片部の各内側面に沿っていることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記金属部にはさらに、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の自由端側の部分(30d)の少なくとも一部を覆う端片部(43)が設けられ
る。
【0012】
好ましくは、前記端片部(43)は、前記表面部の先端が下方において折り返されて前記フットボードの長手方向に重なった複数の片部(43A、43B)からな
る。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の請求項4のペダル部構造は、左右方向に平行な軸支部を有するベース部と、前記ベース部の前記軸支部に対して一端部が軸支され、踏み込みされて回動する板型のフットボードとを有するペダル部構造であって、前記フットボードは、上面と下面とを有する樹脂部と、前記樹脂部の前記上面を覆って踏み込み面となる板状の表面部を有する金属部とを有し、前記金属部には、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の左右の側部の少なくとも一部を覆う側片部が設けられ、前記金属部にはさらに、前記表面部から屈曲して前記樹脂部の自由端側の部分の少なくとも一部を覆う端片部が設けられ、前記端片部は、前記表面部の先端が下方において折り返されて前記フットボードの長手方向に重なった複数の片部からなることを特徴とする。
好ましくは、前記樹脂部の前記下面(30b)には、複数のリブ(31)が前記フットボードの長手方向に形成されてい
る。
【0014】
好ましくは、前記樹脂部の前記上面(30a)には、複数のリブ(32)が前記フットボードの長手方向に形成されてい
る。
【0015】
好ましくは、前記樹脂部の前記複数のリブのうち少なくとも1つには、補強用の金属材(44、45)が前記フットボードの長手方向に延設されるよう固定されてい
る。
【0016】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0017】
本発
明によれば、フットボードの長手方向の高い曲げ剛性を確保しつつコストを削減することができる。
【0018】
請求項2によれば、フットボードの左右方向の曲げ剛性を高めると共に、大きな慣性質量を確保することができる。
【0019】
請求項3によれば、フットボードの慣性質量を効率的に大きくすることができる。
【0020】
請求項
5によれば、フットボードの長手方向の曲げ剛性を確保しつつ樹脂材料を削減することができる。また、樹脂部での音鳴りを抑制することができる。
【0021】
請求項
6によれば、フットボードの長手方向の曲げ剛性を確保しつつ樹脂材料を削減することができる。また、踏み込みにより樹脂部が左右に開くことを抑制すると共に、下側からの見栄えを良くすることができる。
【0022】
請求項
7によれば、フットボードの長手方向の曲げ剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るペダル部構造が適用されるペダル装置の模式的な側面図(図(a))、フットボードの側面図(図(b))である。
【
図2】フットボードの背面図(図(a))、裏面図(図(b))、左右方向に沿う模式的な断面図(図(c))である。
【
図3】第2の実施の形態におけるペダル装置のフットボードの背面図(図(a))、フットボードの左右方向に沿う模式的な断面図(図(b))である。
【
図4】第1、第2の実施の形態における変形例のフットボードの左右方向に沿う模式的な断面図(図(a)、(b))、慣性質量を高めるための構成を施した、変形例のフットボードの側面図(図(c)、(d))である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るペダル部構造が適用されるペダル装置の模式的な側面図である。
【0026】
このペダル装置は、例えば、打楽器としてのバスドラムに用いられるキックペダルやハイハットシンバルに用いられるハイハットペダルに好適であるが、それらに限定されず、例えば打楽器以外ではゲーム機のペダル操作子等にも適用可能である。
図1(a)では、ペダル装置の非踏み込み状態を示している。
【0027】
このペダル装置は、床面の上に設置されて、フットボード20の踏み込みにより演奏操作がされる。以降、ペダル装置の前後、上下方向は、水平な床面に載置された状態を基準とし、
図1(a)の右側、上側が、それぞれ前側、上側とする。
【0028】
図1(a)に示すように、ペダル装置は基台10を有し、基台10上に、略板型のフットボード20が配設される。基台10は、床面に水平なベース部11と、ベース部11から上方に突設されたカバー12とを有する。カバー12の後部は上方に延設される。
【0029】
基台10のベース部11の前部にはヒール19が設けられ、ヒール19に、左右方向(
図1(a)の奥行き方向)に沿って軸支部である回動軸21が設けられる。回動軸21に、フットボード20の一端部である前端部20aが軸支されている。これにより、フットボード20は、回動軸21を中心に自由端部である後端部20bが上下方向(
図1(a)の時計及び反時計方向)に回動自在になっている。
【0030】
フットボード20の後端部20bにはリミットストッパ22が設けられると共に、延設規制片23が後方に延設される。
【0031】
以降、フットボード20の回動方向については、後端部20bが反時計方向に回動する方向を「踏み込み方向」、時計方向に回動する方向(踏み込み方向の反対方向)を「踏み上げ方向」と呼称する。回動軸21の軸方向が左右方向であり、フットボード20の幅方向でもある。
【0032】
ベース部11の後半部上面には、アクチュエータ14と、センサパターンでなるセンサ(不図示)とが備えられる。アクチュエータ14は、フットボード20の押し子によって押圧され、上記センサによってフットボード20の動作が検出される。上記センサの検出信号は、不図示のジャックを通じて出力され、出力された信号は打楽器における楽音発生に供される。
【0033】
フットボード20とベース部11との間には不図示のコイルバネが配設され、コイルバネによってフットボード20は踏み上げ方向に付勢されると共に、カバー12の後部天井下部に設けられた不図示のストッパ部に延設規制片23が当接することで、非踏み込み状態におけるフットボード20の初期位置が規制される。また、踏み込みされたときには、リミットストッパ22がベース部11に当接して、踏み込み方向におけるフットボード20の回動限界が規制される。
【0034】
図1(b)は、フットボード20の側面図である。フットボード20は、樹脂部30と金属部40とが固定されてなる。
【0035】
図2(a)、(b)は、フットボード20の背面図、裏面図である。
図2(c)はフットボード20の左右方向に沿う模式的な断面図である。
【0036】
図1(b)、
図2(a)〜(c)に示すように、樹脂部30は、フットボード20全体の平面視形状とほぼ同様の形状を有し(
図2(b))、その自由端部30dを除く主部の上面30aは平坦である。樹脂部30の下面30bには、複数のリブ31がフットボード20の長手方向に一体に形成されている。リブ31は左右方向に並列に、互いに平行に配列される。
【0037】
金属部40は、板状の表面部41を有する。表面部41は樹脂部30の上面30aを覆い、表面部41の上面が、足で踏み込み操作される平坦な踏み込み面41aとなる。表面部41の左右方向の縁部、及び先端の縁部はいずれも下方に屈曲している。まず、樹脂部30の左右の側部30cをそれぞれ側方から覆う側片部42が、表面部41に連接して設けられる。また、樹脂部30の自由端部30dを後方から覆う端片部43が、表面部41に連接して設けられる。
【0038】
側片部42の延設方向は左右方向に対して垂直で踏み込み面41aにも垂直である。端片部43の延設方向はフットボード20の長手方向に対して垂直で踏み込み面41aにも垂直である。ただし、側片部42、端片部43は、踏み込み面41aに対して垂直に限られず斜めに傾斜していてもよい。金属部40はアルミや鉄板等の曲げ加工が容易な金属材料で構成され、左右の側片部42及び後部の端片部43はいずれも、表面部41の縁部を下方に折り曲げ加工することで一体に形成される。ただし、側片部42、端片部43は別途構成して溶接等で表面部41に固定してもよい。
【0039】
金属部40は、樹脂部30に対して例えば接着で固定されるが、それに限られない。例えば、ビス止め、あるいはカシメにより固定してもよい。
【0040】
本実施の形態によれば、フットボード20を金属部40及び樹脂部30で構成したので、全体を金属製とする場合に比し、材料費、加工費を削減することができる。しかも、金属部40において、表面部41から屈曲して側片部42を設けたので、フットボード20の長手方向における金属部40の曲げ剛性は高いものとなり、強度や耐久性は維持される。加工も容易である。よって、フットボード20の長手方向の高い曲げ剛性を確保しつつコストを削減することができる。
【0041】
さらに、金属部40において、表面部41から屈曲して端片部43を設けたので、フットボード20の左右方向における金属部40の曲げ剛性も高いものとなり、フットボード20の左右方向における曲げ剛性を高めることができる。しかも、端片部43は、フットボード20の自由端部(後端部20b)に位置し、且つ大きな質量を与える部分となるため、軽量な樹脂部30を採用しつつも、フットボード20に回動軸21周りの大きな慣性質量を確保することができる。特にキックペダルに用いた際には踏み込み荷重が十分に大きく感じられ、演奏感が良好である。
【0042】
また、側片部42及び端片部43が、左右及び後方からの外観の一部となり、金属としての認識を高めるので、質感や見栄えの点でも有利となる。
【0043】
また、リブ31を設けたことで、フットボード20の長手方向の曲げ剛性を確保しつつ樹脂材料を削減することができる。また、リブ31は側面視において凸となるよう長手方向中央部が下方に突出している(
図1(b)参照)。これにより、曲げ剛性の確保を効果的にしている。また、リブ31が下方に延設され、樹脂部30の上面30aは表面部41の裏面に密着するので、箱型とはならず、樹脂部30での不要な共鳴(音鳴り)を抑制することができる。
【0044】
なお、側片部42及び端片部43が樹脂部30の側部30cや自由端部30d(自由端側の部分)を覆う領域は、少なくとも一部であればよい。
【0045】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、樹脂部30において、リブ31を下面30bに設けたが、本発明の第2の実施の形態では上面30aに設ける。その他の構成は第1の実施の形態のものと同様である。
【0046】
図3(a)、(b)は、第2の実施の形態におけるペダル装置のフットボード20の背面図、フットボード20の左右方向に沿う模式的な断面図である。
【0047】
図3(a)、(b)に示すように、樹脂部30の自由端部30dを除く主部の下面30bは平坦であり、上面30aに、複数のリブ32がフットボード20の長手方向に一体に形成されている。リブ32は左右方向に並列に、互いに平行に配列される。リブ32の上端は面一であり、リブ32の上端に金属部40の表面部41の裏面が密着し、リブ32を含む上面30aを表面部41が覆っている。
【0048】
本実施の形態によれば、フットボード20の長手方向及び左右方向における高い曲げ剛性を確保しつつコストを削減すること、及び、回動軸21周りの大きな慣性質量を確保することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0049】
また、リブ32が上方に突設され、下面30bが平坦となってフットボード20全体が箱型に構成される。これにより、第1の実施の形態に比し、踏み込みにより樹脂部30が圧縮力を受けた際、左右に開くことを抑制すると共に、下側からの見栄えを良くすることができる。
【0050】
ところで、
図4で説明するように、ペダル部構造の各種の変形例が考えられる。
【0051】
図4(a)、(b)は、第1、第2の実施の形態における変形例のフットボード20の左右方向に沿う模式的な断面図である。
【0052】
図4(a)に示すように、第1の実施の形態のペダル部構造において、樹脂部30の下側において、複数のリブ31のうち少なくとも1つに補強用の金属材44を設ける。また、第2の実施の形態のペダル部構造において、樹脂部30の上側において、複数のリブ32のうち少なくとも1つに補強用の金属材45を設ける。
図4(a)、(b)の例では、左右方向中央のリブ31−C(
図2(b)参照)、リブ32−C(
図3(b)参照)にそれぞれ金属材44、45を設けている。
【0053】
これら金属材44、45は、フットボード20の長手方向に延設されるようリブ31、32に圧入する等によって固定されるが、固定の手法は問わない。金属材44、45を設けたことで、フットボード20の長手方向の曲げ剛性を一層高めることができる。
【0054】
図4(c)、(d)は、慣性質量を高めるための構成を施した、変形例のフットボード20の側面図である。
図4(c)、(d)の構成は、第1、第2の実施の形態のいずれにも適用可能であり、
図4(a)、(b)の構成と組み合わせてもよい。
【0055】
図4(c)に示す変形例では、自由端部30dの後側において表面部41の先端が下方に折り曲げられ、さらにその先端が上方に折り返されている。すなわち、端片部43は、表面部41の先端が下方において折り返されてフットボード20の長手方向に重なった片部43A、43Bからなる。折り返しの回数は2以上でもよく、重なる片部は3枚以上でもよい。質量の大きな片部43A、43Bをフットボード20の自由端部(後端部20b)の位置で重ねることで、フットボード20の回動軸21周りの慣性質量を効率的に大きくすることができる。しかも折り返し曲げにより加工でき、製造コストの大きな上昇を招かない。
【0056】
図4(d)に示す変形例では、別部材の比重の大きな金属等の錘部材46がフットボード20の自由端部(後端部20b)に配設される。錘部材46は、樹脂部30に固定されるが、金属部40に固定してもよい。この構成により、フットボード20の回動軸21周りの慣性質量を一層大きくすることができる。
【0057】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
11 ベース部、 20 フットボード、 20a 前端部(一端部)、 21 回動軸(軸支部)、 30 樹脂部、 30a 上面、 30c 側部、 30d 自由端部、 31、32 リブ、 40 金属部、 41 表面部、 41a 踏み込み面、 42 側片部、 43 端片部、 43A、43B 片部、 44、45 金属材