(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに反対側に位置する第1の面及び第2の面を含む外面を有する誘電体ブロックと、該誘電体ブロックに前記第1の面から前記第2の面にかけて形成された複数の貫通孔と、該貫通孔の内面に形成された内導体と、前記貫通孔に対応して形成される共振器同士を結合させるように前記誘電体ブロックの第1の面にて形成された結合電極と、前記共振器のうちのいずれかと結合するように前記誘電体ブロックの外面にて形成された入出力電極と、前記誘電体ブロックの外面にて、前記入出力電極から離隔され、前記第2の面では前記内導体と接続されるように形成された外導体と、該外導体に接続され前記第1の面を覆うように配置された電磁シールドカバーと、該電磁シールドカバーの外面に取り付けられた同軸コネクタと、を具備し、
前記同軸コネクタは、前記電磁シールドカバーに接続された外部導体接続部と、該外部導体接続部から電気的に絶縁され且つ前記入出力電極に接続された内部導体接続部とを有する誘電体共振部品であって、
前記同軸コネクタの外部導体接続部は平面部を有し、前記外部導体接続部及び前記電磁シールドカバーのうちの一方に絞り加工により円柱構造に形成され、前記外部導体接続部の平面部に対して略垂直に延びるように構成されている2つの突出部を有し、該突出部を他方に形成された孔に挿通し前記突出部の先端部分を外向きにカールさせながら変形させるカシメにより、前記同軸コネクタの外部導体接続部と前記電磁シールドカバーとが互いに接合されていることを特徴とする誘電体共振部品。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの移動体通信機器に用いられる機能性電子部品である誘電体フィルタや誘電体送受共用器としては、セラミック製の誘電体ブロックを用い、これに複数の共振器を作り込んでなる一体型のものがしばしば用いられる。
【0003】
近年、移動体通信機器、特に基地局用途のものにおいて高性能化が要請されており、これに伴い移動体通信機器に用いられる機能性電子部品にも高性能化が要請されている。このような機能性電子部品の高性能化のためには、作り込む共振器の数を増加させ誘電体ブロックを大型化することが考えられる。
【0004】
このような大型の機能性電子部品をたとえば樹脂製の実装基板に半田付けなどで表面実装して使用する場合、セラミック製の誘電体ブロックと樹脂製実装基板との線膨張係数が異なるため、たとえば温度変化などの使用環境変化によって実装部分に応力が掛かり、半田やセラミック製誘電体ブロックが割れるという問題が生ずる。また、以上のような実装形態の大型機能性電子部品では、前記実装基板上での、例えばストリップラインによる伝送路上の性能(VSWR等)の低下の問題がある。
【0005】
即ち、大型の機能性電子部品では、実装基板のストリップライン等の伝送路を用いて外部との電気的接続を行うと、電気的特性及び接合部の機械的強度の双方が不十分なものとなる。
【0006】
特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、機能性電子部品において、前記ストリップライン等の伝送路の代わりに同軸ケーブルを用い、同軸コネクタを介して外部との接続を行うことが記載されている。これにより、以上のような問題の少なくとも一部は回避される。
【0007】
一方、特許文献5には、誘電体フィルタにおいて誘電体ブロックの開放端面を覆うようにシールドカバーを配置することで所要の特性を得ることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかるに、特許文献1に記載されている機能性電子部品においては、同軸コネクタを誘電体ブロックに直接取り付けており、環境変化により接合部の強度が低下しやすく、機械的強度の経時劣化を来しやすいという難点がある。
【0010】
また、特許文献2〜4に記載されている機能性電子部品においては、同軸コネクタを誘電体ブロックの収容のための筐体またはケースに取り付けており、これらの筐体またはケースは構造が複雑であり、同軸コネクタ取り付け部の部品点数が多く、或いは同軸コネクタ取り付け作業が面倒であり、ひいては機能性電子部品がコスト高になるという難点がある。
【0011】
特許文献5には同軸コネクタによる外部との接続に関する記載はなく、もちろんそのような接続のためにシールドカバーを利用することについても示唆はない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同軸コネクタを介して外部との接続を行う誘電体共振部品において、高性能化に応えるべく誘電体共振部品の共振器数が増大した場合においても、構造が簡単で、少ない部品点数で同軸コネクタの取り付けができ、同軸コネクタ取り付け作業が容易で、機械的強度が大きく且つその経時変化が少なく、電気特性の経時劣化が少なく、ひいては信頼性が良好で、低コスト化が容易な誘電体共振部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
互いに反対側に位置する第1の面及び第2の面を含む外面を有する誘電体ブロックと、該誘電体ブロックに前記第1の面から前記第2の面にかけて形成された複数の貫通孔と、該貫通孔の内面に形成された内導体と、前記貫通孔に対応して形成される共振器同士を結合させるように前記誘電体ブロックの第1の面にて形成された結合電極と、前記共振器のうちのいずれかと結合するように前記誘電体ブロックの外面にて形成された入出力電極と、前記誘電体ブロックの外面にて、前記入出力電極から離隔され、前記第2の面では前記内導体と接続されるように形成された外導体と、該外導体に接続され前記第1の面を覆うように配置された電磁シールドカバーと、該電磁シールドカバーの外面に取り付けられた同軸コネクタと、を具備し、
前記同軸コネクタは、前記電磁シールドカバーに接続された外部導体接続部と、該外部導体接続部から電気的に絶縁され且つ前記入出力電極に接続された内部導体接続部とを有する誘電体共振部品であって、
前記同軸コネクタの
外部導体接続部は平面部を有し、前記外部導体接続部及び前記電磁シールドカバーのうちの一方に
絞り加工により円柱構造に形成され
、前記外部導体接続部の平面部に対して略垂直に延びるように構成されている2つの突出部を
有し、該突出部を他方に形成された孔に挿通し前記突出部の先端部分を
外向きにカールさせながら変形させるカシメにより、前記同軸コネクタの外部導体接続部と前記電磁シールドカバーとが互いに接合されていることを特徴とする誘電体共振部品、
が提供される。
【0014】
本発明の一態様においては、前記同軸コネクタの外部導体接続部は平面部を有し、該平面部が前記電磁シールドカバーの外面と接触することで前記外部導体接続部と前記電磁シールドカバーとの電気的接続がなされる。本発明の一態様においては、前記突出部は根本部分が前記外部導体接続部の平面部に対して略垂直に延びるように構成されている。本発明の一態様においては、前記同軸コネクタの外部導体接続部と前記電磁シールドカバーとが、導電性接合剤を介して互いに接合されている。
【0015】
本発明の一態様においては、前記電磁シールドカバーは、厚みが0.2mmから1.0mmまでの範囲内にある。本発明の一態様においては、前記電磁シールドカバーは、前記誘電体共振部品の実装のための取付穴を備えた固定用突出部を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、同軸コネクタの外部導体接続部と電磁シールドカバーとがカシメにより互いに接合されているので、これら外部導体接続部及び電磁シールドカバーの恒久的な電気的且つ機械的接続が実現され、高性能で経時変化が少なく耐環境性が良く、経時劣化が十分に抑制され、部品点数が少なく、構造が簡単で、及び組立工数低減が可能な誘電体共振部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は本発明による誘電体共振部品の第1の実施形態を示す模式的分解斜視図であり、
図2は本実施形態の同軸コネクタと電磁シールドカバーとの接合部分を示す部分平面/断面図である。本実施形態においては、誘電体共振部品は誘電体フィルタである。
【0020】
本実施形態の誘電体フィルタは誘電体ブロック2を有する。誘電体ブロック2の材質としては、たとえば誘電体セラミックを使用することができ、特に比誘電率ε
rが10程度のフォルステライト系セラミックを使用することができる。
【0021】
誘電体ブロック2は、互いに反対側に位置し互いに略平行な第1の面21及び第2の面22を有する。誘電体ブロック2は、更に、互いに反対側に位置し第1の面21及び第2の面22に略直交し且つ互いに略平行な第3の面23及び第4の面24を有する。誘電体ブロック2は、更に、互いに反対側に位置し第1の面21及び第2の面22並びに第3の面23及び第4の面24に略直交し且つ互いに略平行な第5の面25及び第6の面26を有する。かくして、誘電体ブロック2の外面は、第1の面21〜第6の面26を含んでなる。
【0022】
第1の面21は上面である。第2の面22は、下面であり、第1の面21と反対向き且つ略平行に位置している。第3の面23及び第4の面24は、一対の側面であり、互いに反対向きに位置している。第5の面25及び第6の面26は、一対の端面であり、互いに反対向きに位置している。誘電体ブロック2の寸法は、所要の特性に応じて、適宜設定することができるが、たとえば、高さ(第1の面21と第2の面22との間の距離)が4mm〜25mmで、幅(第3の面23と第4の面24との間の距離)が10mm〜50mmであり、長さ(第5の面25と第6の面26との間の距離)が45mm〜130mmである。一例を挙げれば、高さが約8mmで、幅が約17mmで、長さが約60mmである。
【0023】
誘電体ブロック2には、第1の面21から第2の面22にかけて貫通する複数の貫通孔41が形成されている。貫通孔41の内面には内導体42が形成されている。誘電体ブロック2の第1の面21を除く外面には、外導体43が形成されている。図示されるように、外導体43の一部は第1の面21にまで延び出ていてもよい。内導体42は第2の面22において外導体43に接続されている。第1の面21には、内導体42に接続され、貫通孔41に対応して形成される1/4波長型の共振器同士を結合させる結合電極44が形成されている。この結合電極44の形状は、図示されるものに限定されず、所要の結合が得られるものであれば適宜変更してもよい。結合電極44により互いに隣接する共振器同士の所要の結合がとられる。
【0024】
複数の貫通孔41は、誘電体ブロック2の第1の面21及び第2の面22並びに第3の面23及び第4の面24に沿った方向(即ち第5の面25及び第6の面26に直交する方向)に配列されている。誘電体ブロック2の第1の面21から第3の面23にかけて、以上のような貫通孔配列(即ち共振器配列)の一方端及び他方端の貫通孔41に対応して形成される共振器と結合するように、それぞれ入出力電極即ち第1入出力電極47及び第2入出力電極48が形成されていることが好ましい。第1入出力電極47及び第2入出力電極48は、一方が入力電極として機能し、他方が出力電極として機能する。これにより、一方端から他方端までの共振器配列を有する誘電体フィルタが構成される。尚、本実施形態では、外導体43は、結合電極44及び入出力電極47,48のいずれからも離隔されている。但し、本発明においては、以上のような結合電極44に代えて、または以上のような結合電極44に加えて更に、外導体43と接続された結合電極を設けてもよい。
【0025】
本実施形態の誘電体フィルタは、外導体43に接続された電磁シールドカバー10を備えている。電磁シールドカバー10は、誘電体ブロック2の第1の面21を略覆うように配置されていることが好ましい。具体的には、電磁シールドカバー10は、誘電体ブロック2の第1の面21の開放域(導体が形成されていない領域部)から隔てられて少なくとも該開放域を覆うように配置されており、たとえば厚み0.2mm〜1.0mm程度の金属板を成形したものからなる。電磁シールドカバー10の材質は、導電性であれば良く、例えば鉄系の金属、特に表面をすずめっきした鉄などを用いることができる。電磁シールドカバー10は、誘電体ブロック2の第3の面23〜第6の面26のいずれかに付された外導体43に接合されている。この接合には、たとえば半田または導電性接着剤が用いられる。これにより、第1の面(開放域)21からの電波漏洩を抑制し、良好な電磁シールド効果を発揮して、高い電気特性を得ることができる。
【0026】
本実施形態では、電磁シールドカバー10は、誘電体ブロック2の第1の面21に対向する主平面部101、該主平面部に接続され誘電体ブロック2の第3の面23及び第4の面24にそれぞれ対向する側面部102,103、主平面部101に接続され誘電体ブロック2の第5の面25及び第6の面26にそれぞれ対向する端面部104,105、及び、該端面部にそれぞれ接続された固定用突出部106,107を有する。尚、固定用突出部106,107には、それぞれ、誘電体フィルタを実装基板などに実装する際に利用される取付穴108,109が形成されている。本実施形態では、外導体43と電磁シールドカバー10との接合は、誘電体ブロック2の第3の面23及び第4の面24に形成された外導体43に対する電磁シールドカバー10の側面部102,103の内面(即ち誘電体ブロック2に対向する面)の接合により、なされている。
【0027】
本実施形態の誘電体フィルタは、更に、電磁シールドカバー10の外面(即ち誘電体ブロック2に対向する面である内面とは反対側の面)に取り付けられた同軸コネクタ12,13を備えている。具体的には、これら同軸コネクタ12,13は、電磁シールドカバー10の側面部102に取り付けられており、それぞれ入出力電極47,48に対応して配置されている。
【0028】
電磁シールドカバー10に対する同軸コネクタ12の取り付け構造及び同軸コネクタ12と入出力電極47との関係は、電磁シールドカバー10に対する同軸コネクタ13の取り付け構造及び同軸コネクタ13と入出力電極48との関係と同等である。そこで、以下、同軸コネクタ13に関する説明を省略し、同軸コネクタ12に関してのみ説明する。
図1においては、説明の便宜上、同軸コネクタ12が電磁シールドカバー10から離隔し後述のカシメ接合の実施前の状態にて示されている。
【0029】
同軸コネクタ12は、電磁シールドカバー10に接続された外部導体接続部121と、外部導体接続部121から電気的に絶縁され且つ入出力電極47に接続された内部導体接続部122とを有する。内部導体接続部122は同軸コネクタ12に結合される外部入出力同軸ケーブルの芯線(内部導体)と接続される部分であり、外部導体接続部121は外部入出力同軸ケーブルの外部導体と接続される部分である。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、電磁シールドカバー10には、同軸コネクタ12の内部導体接続部122を通すための開口110が形成されている。開口110は、入出力電極47に対応する位置にあり、従って、電磁シールドカバー10は入出力電極47には接触していない。
【0031】
同軸コネクタ12の外部導体接続部121は平面部121Aを有し、該平面部が電磁シールドカバー10の側面部102の外面と接触することで、外部導体接続部121と電磁シールドカバー10との電気的接続がなされている。
【0032】
ここで、同軸コネクタの外部導体接続部121と電磁シールドカバー10との接合は、これら外部導体接続部121及び電磁シールドカバー10のうちの一方(本実施形態においては電磁シールドカバー10)に形成された突出部(本実施形態においては電磁シールドカバー突出部10P)を他方(本実施形態においては外部導体接続部121)に形成された孔(本実施形態においては外部導体接続部孔121H)に挿通し突出部の先端部分を変形させるカシメによりなされている。
【0033】
即ち、電磁シールドカバー10には外方へと向けて突出する2つの突出部10Pが形成されている。これらの突出部に対応して、同軸コネクタ12の外部導体接続部121の平面部121Aには2つの孔121Hが形成されている。突出部10Pはそれぞれ孔121Hに挿通されており、突出部10Pの先端部分を変形させるカシメにより、同軸コネクタの外部導体接続部121と電磁シールドカバー10とが互いに堅固に接合されている。以上のように、突出部10Pは、根本部分が外部導体接続部121の平面部121Aに対して略垂直になり互いに平行に延びるように構成されている。
【0034】
同軸コネクタの外部導体接続部と前記電磁シールドカバーとの電気的接続をより向上させるため、上記カシメに加えて、更にこれらを導電性接合剤を介して互いに接合してもよい。
【0035】
次に、以上のようなカシメによる電磁シールドカバー10への同軸コネクタ12の取り付けにつき、説明する。
【0036】
図3〜
図6は以上のようなカシメによる接合を実現するためのプロセスフローを示す図であり、
図3では斜視図により示し、
図4〜
図6では断面図により示す。
【0037】
先ず、
図3に示すように、前加工として、電磁シールドカバー10用の板状基材(10)を所要寸法に切り出し且つ所要形状に折り曲げ加工したものに対して、所要位置に開口110及び突出部形成用下穴10P’をあける。
【0038】
開口110は、インピーダンスマッチングを大きく損なう事なく同軸コネクタ12の内部導体接続部122を挿通できる十分な寸法のものとする。その形状としては、例えば
図3に示されるように円形状のものであってもよいし、或いは
図1に示されるように矩形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。円形状の開口110の場合には、例えばφ4.5mmのキリ穴として構成することができる。
【0039】
突出部形成用下穴10P’に関しては、例えば、同軸コネクタ12の外部導体接続部121の平面部121Aの孔121Hが内径φ2.6mmで高さ1.7mmであり且つ電磁シールドカバー10の厚みが0.5mmである場合には、φ1.1mmの下穴10P’を穿孔することができる。
【0040】
次いで、
図4に示されるように、以上のようにして形成された下穴10P’に、プレス機等により誘電体ブロック2の配置される側(内面側)から外面側へと外向きにパンチP1を押し込むことにより、下穴10P’の近傍部分の電磁シールドカバー用板状基材(10)に対する絞り加工を行い、外径φ2.5mmで高さ2.0mmで板厚0.15mmの円筒構造の突出部10Pを形成することができる。
【0041】
次いで、
図5に示されるように、以上のようにして開口110及び突出部10Pを形成した電磁シールドカバー10に対して、外側(
図5では左側)から同軸コネクタ12を適合させる。その際、同軸コネクタ12の外部導体接続部121の平面部121Aが、電磁シールドカバー10の側面部102の外面と接触する。また、電磁シールドカバー突出部10Pが、外部導体接続部孔121Hに挿通される。尚、電磁シールドカバー突出部10Pの先端は、外部導体接続部孔121Hから更に外方へと突出している。
【0042】
次いで、
図6に示されるように、電磁シールドカバー10と同軸コネクタ12の外部導体接続部121とをプレス機により強く挟み、外部導体接続部121より0.3mm程度突出した突出部10Pの先端を外側よりテーパー状のパンチP2で押すことにより、突出部10Pの先端を外向きにカールさせながら変形させて、カシメを実行する。
【0043】
これにより、電磁シールドカバー10と同軸コネクタ12の外部導体接続部121との機械的接合および電気的接合を半永久的に維持できる。
【0044】
以上のようにして得られた同軸コネクタ12付きの電磁シールドカバー10を誘電体ブロック2に対して組み付けることで、上記
図1及び
図2に関し説明したような誘電体フィルタが得られる。この組付けの際には、同軸コネクタ12の内部導体接続部122の先端部と入出力電極47とを半田などの導電性接合剤を用いて接合することができる。また、電磁シールドカバー10の側面部102,103の内面と外導体43とを半田などの導電性接合剤を用いて接合することができる。
【0045】
以上のような構造にすることで、同軸コネクタを電磁シールドカバー10に接合するに際して、固定用のねじなどの接合用の部品を付加する必要がないので、部品点数低減が可能となり、コストダウンに寄与する。また、半田などの導電性接合剤のみにより接合する場合に比べ、機械的強度が強く信頼性の高い接合が可能となる。
【0046】
[第2の実施形態]
図7は本発明による誘電体共振部品の第2の実施形態を示す模式的分解斜視図である。本実施形態においては、誘電体共振部品は誘電体フィルタである。
【0047】
本実施形態は、電磁シールドカバー10及び同軸コネクタ12,13の構成並びにこれらの結合形態において、上記第1の実施形態と異なる。以下の説明では、主として第1の実施形態と異なる事項につき、説明する。
【0048】
本実施形態では、電磁シールドカバー10は、誘電体ブロック2の第1の面21に対向する主平面部101、及び、該主平面部に接続され誘電体ブロック2の第3の面23及び第4の面24にそれぞれ対向する側面部102,103を有する。本実施形態では、外導体43と電磁シールドカバー10との接合は、第1の実施形態と同様に誘電体ブロック2の第3の面23及び第4の面24に形成された外導体43に対する電磁シールドカバー10の側面部102,103の内面(即ち誘電体ブロック2に対向する面)の接合により、なされている。
【0049】
本実施形態の誘電体フィルタでは、同軸コネクタ12,13は、電磁シールドカバー10の主平面部101に取り付けられており、それぞれ入出力電極47,48に対応して配置されている。
【0050】
電磁シールドカバー10に対する同軸コネクタ12の取り付け構造及び同軸コネクタ12と入出力電極47との関係は、電磁シールドカバー10に対する同軸コネクタ13の取り付け構造及び同軸コネクタ13と入出力電極48との関係と同等である。そこで、以下、同軸コネクタ13に関する説明を省略し、同軸コネクタ12に関してのみ説明する。
図7においては、説明の便宜上、同軸コネクタ12が電磁シールドカバー10から離隔し後述のカシメ接合の実施前の状態にて示されている。
【0051】
本実施形態では、同軸コネクタの外部導体接続部121と電磁シールドカバー10との接合は、これら外部導体接続部121及び電磁シールドカバー10のうちの一方(本実施形態においては外部導体接続部121)に形成された突出部(本実施形態においては外部導体接続部突出部121P)を他方(本実施形態においては電磁シールドカバー10)に形成された孔(本実施形態においては電磁シールドカバー孔10H)に挿通し突出部の先端部分を変形させるカシメによりなされている。
【0052】
即ち、外部導体接続部121には内方へと向けて突出する4つの突出部121Pが形成されている。これらの突出部に対応して、電磁シールドカバー10の主平面部101には4つの孔10Hが形成されている。これらの孔10Hは、開口110の4隅に連なって形成されている。突出部121Pはそれぞれ孔10Hに挿通されており、突出部121Pの先端部分を変形させるカシメにより、同軸コネクタの外部導体接続部121と電磁シールドカバー10とが互いに堅固に接合されている。以上のように、突出部121Pは、根本部分が外部導体接続部121の平面部121Aに対して略垂直になり互いに平行に延びるように構成されている。
【0053】
次に、以上のようなカシメによる電磁シールドカバー10への同軸コネクタ12の取り付けにつき、説明する。
【0054】
図8〜
図10は以上のようなカシメによる接合を実現するためのプロセスフローを示す斜視図である。
【0055】
先ず、
図8に示すように、板状基材を所要寸法に切り出し且つ所要形状に折り曲げ加工したものに対して、所要位置に開口110及び孔10Hをあけることで、電磁シールドカバー10を得る。
【0056】
次いで、
図9に示されるように、開口110及び孔10Hを有する電磁シールドカバー10に対して、外側(
図9では上側)から同軸コネクタ12を適合させる。その際、同軸コネクタ12の外部導体接続部121の平面部121Aが、電磁シールドカバー10の主平面部101の外面と接触する。また、外部導体接続部突出部121Pが、電磁シールドカバー孔10Hに挿通される。尚、外部導体接続部突出部121Pの先端は、電磁シールドカバー孔10Hから更に内方へと突出している。
【0057】
次いで、
図10に示されるように、電磁シールドカバー10と同軸コネクタ12の外部導体接続部121とをプレス機により強く挟み、外部導体接続部121より突出部121Pの先端を内側よりパンチP3で押すことにより、突出部121Pの先端を電磁シールドカバー10の内面に面接触するまで折り曲げ変形させて、カシメを実行する。
【0058】
これにより、電磁シールドカバー10と同軸コネクタ12の外部導体接続部121との機械的接合および電気的接合を半永久的に維持できる。
【0059】
以上のようにして得られた同軸コネクタ12付きの電磁シールドカバー10を誘電体ブロック2に対して組み付けることで、上記
図7に関し説明したような誘電体フィルタが得られる。この組付けの際には、同軸コネクタ12の内部導体接続部122の先端部と入出力電極47とを半田などの導電性接合剤を用いて接合することができる。また、電磁シールドカバー10の側面部102,103の内面と外導体43とを半田などの導電性接合剤を用いて接合することができる。
【0060】
以上のような構造にすることで、上記第1の実施形態と同様に、同軸コネクタを電磁シールドカバー10に接合するに際して、固定用のねじなどの接合用の部品を付加する必要がないので、部品点数低減が可能となり、コストダウンに寄与する。また、半田などの導電性接合剤のみにより接合する場合に比べ、機械的強度が強く信頼性の高い接合が可能となる。
【0061】
上記第1及び第2の実施形態では、誘電体共振部品が誘電体フィルタであるので、入出力電極の数及び同軸コネクタの数がそれぞれ2であるが、本発明は、誘電体共振部品が入出力電極の数及び同軸コネクタの数がそれぞれ3である誘電体送受共用器である場合にも同様に適用することができる。
【0062】
また、以上の実施形態では、寸法、個数及び形状などについて、特定のものが記載されているが、本発明は、それらに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。