(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエータが、前記絶縁ハウジングから前記印刷配線基板に沿った方向に離間した初期位置から前記絶縁ハウジングに接触する作用位置までスライド移動されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
前記アクチュエータが前記作用位置まで移動された状態で、前記絶縁ハウジング及び前記アクチュエータを覆う両シールドシェル同士の一部が重なり合うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルには、前記絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体に接触するグランド部材が弾性変形可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
前記アクチュエータを覆うシールドシェルには、当該アクチュエータが前記作用位置まで移動された状態で、前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルに接触するグランド部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルには、前記導電コンタクト部材に接触するグランド部材が弾性変形可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡易な構成で、信号伝送媒体から導電コンタクト部材に至る伝送経路を良好にシールドし、効率的な組立て性を得つつ良好な操作性をも得ることができるようにした電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、内部に導電コンタクト部材が配置された絶縁ハウジングにアクチュエータが往復移動可能に取り付けられたものであって、前記アクチュエータを
、前記絶縁ハウジングの上面から立ち上がる初期位置から
前記絶縁ハウジングの上面に沿って延在する傾倒位置である作用位置まで
回動させて、前記絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体を前記導電コンタクト部材に電気的に接続させることで、前記信号伝送媒体から前記導電コンタクト部材を通して印刷配線基板に至る伝送経路を形成するように構成された電気コネクタにおいて、前記絶縁ハウジング及びアクチュエータに、当該絶縁ハウジング及びアクチュエータの外表面の少なくとも一部を覆う導電性金属部材からなるシールドシェルが装着されたものであって、前記アクチュエータを作用位置まで移動させた際に、当該アクチュエータ側のシールドシェルと、前記絶縁ハウジング側のシールドシェルとが、前記信号伝送媒体から導電コンタクト部材を通して印刷配線基板に至る前記伝送経路を連続的に覆うように接触する配置関係になされている。
【0008】
このような構成を有する本発明によれば、アクチュエータが作用位置まで
回動されることによって、アクチュエータ側のシールドシェルと、絶縁ハウジング側のシールドシェルとが接触するという簡易な構成によ
り、信号伝送媒体から導電コンタクト部材を通して印刷配線基板に至る伝送経路が連続的に覆われて、良好なシールド性が得られる。
【0010】
また、本発明においては、前記アクチュエータが、前記絶縁ハウジングから前記印刷配線基板に沿った方向に離間した初期位置から、前記絶縁ハウジングに接触する作用位置までスライド移動されるように構成されていることが可能である。
【0011】
また、本発明においては、前記アクチュエータが前記作用位置まで移動された状態で、前記絶縁ハウジング及び前記アクチュエータを覆う両シールドシェル同士の一部が重なり合うように構成されていることが望ましい。
【0012】
このような構成を有する本発明によれば、アクチュエータ側のシールドシェルと、絶縁ハウジング側のシールドシェルとが隙間なく接触することとなり、シールドシェルによる電磁波遮断作用が、さらに向上される。
【0013】
また、本発明における前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルには、前記アクチュエータが前記作用位置まで
回動された状態で、前記アクチュエータを覆うシールドシェルに接触するグランド部材が弾性変形可能に設けられていることが可能である。
【0014】
また、本発明における前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルには、前記絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体に接触するグランド部材が弾性変形可能に設けられていることが可能である。
【0015】
また、本発明における前記アクチュエータを覆うシールドシェルには、当該アクチュエータが前記作用位置まで移動された状態で、前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルに接触するグランド部材
が設けられていることが望ましい。
【0016】
このような構成を有する本発明によれば、グランド抵抗の低減によって、グランド特性の向上が図られるようになっている。
【0017】
また、本発明における前記絶縁ハウジングを覆うシールドシェルには、前記導電コンタクト部材に接触するグランド部材が弾性変形可能に設けられていることが望ましい。
【0018】
このような構成を有する本発明によれば、グランド回路を構成する電気経路が多点接触状態となり、グランド抵抗が低減される。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように本発明にかかる電気コネクタは、絶縁ハウジング及びアクチュエータの外表面の少なくとも一部を導電性金属部材からなるシールドシェルにより覆い、作用位置まで移動させたアクチュエータ側のシールドシェルを、絶縁ハウジング側のシールドシェルに接触させて、信号伝送媒体から導電コンタクト部材を通して印刷配線基板に至る伝送経路を連続的に覆うことで、アクチュエータの
回動によって両シールドシェルを接触させるという簡易な構成で、伝送経路に対する良好なシールド性が得られるように構成したものであるから、効率的な組立て性を得つつ良好な操作性をも得ることができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
[コネクタ全体構造について]
まず、
図1〜
図7に示された本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ10は、図示を省略した印刷配線基板上に実装して用いられるリセプタクルコネクタからなるものであって、細長状に延在する絶縁性部材からなる絶縁ハウジング(インシュレータ)11を備えている。この絶縁ハウジング11は、平面略長方形状をなす薄厚の中空状筐体から形成されており、当該絶縁ハウジング11において互いに対向する長辺側両端縁の一方側(
図6及び
図7左端側)、すなわちコネクタ前端縁部分には、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)やフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等からなる信号伝送媒体F(
図17参照)が挿入される前方側挿入口11aが、横細長状の開口形状を有するように設けられている。
【0023】
また、その前方側挿入口11aとは反対側(
図6及び
図7の右端側)の他端側縁、すなわちコネクタ後端縁部分には、後述する導電コンタクト12,13や、接続操作手段としてのアクチュエータ14を装着するための後方側開口部が設けられており、上述した前方側挿入口11aから後方側開口部に至るまでの間部分に、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが挿入されることで収容される媒体収容通路11bが形成されている。
【0024】
以下において、上述した絶縁ハウジング11の長手方向に相当する方向を「コネクタ長手方向」と呼ぶとともに、前方側挿入口11aと後方側開口部とが対向する方向を「コネクタ前後方向」と呼ぶこととし、また、それら「コネクタ長手方向」及び「コネクタ前後方向」の双方に直交する方向を「コネクタ上下方向」と呼ぶこととする。
【0025】
一方、上述した絶縁ハウジング11には、当該絶縁ハウジング11の外表面を覆う導電性の板状金属部材からなるハウジングシェル(シールドシェル)11cが装着されている。このハウジングシェル11cは、絶縁ハウジング11の外表面における上面部分からコネクタ長手方向の両側壁面にかけての部位に装着されており、上述した前方側挿入口11a、後方側開口部、及び底面部を除いた部位を覆うように配置された状態で、当該ハウジングシェル11cのコネクタ長手方向における両端の側壁板に貫通形成された複数体の固定穴11c1が、絶縁ハウジング11の外表面に突設された固定突起11c2に係合されることによって、ハウジングシェル11c全体の固定が行われるようになっている。
【0026】
このようなハウジングシェル(シールドシェル)11cにおけるコネクタ前端縁部分には、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの上側表面に対して弾性的に接触するバネ状部材からなる前端グランド接触片(グランド部材)11dが、コネクタ長手方向に沿って複数体設けられている。これらの各前端グランド接触片11dは、前方側挿入口11aの内方側に向かって折り下げるように形成されており、その前方側挿入口11aの内方側から更にコネクタ後方側に向かって折り返すように形成されている。
【0027】
さらに、上述したハウジングシェル(シールドシェル)11cにおけるコネクタ長手方向の両側部には、図示を省略した印刷配線基板から立ち上がるように配置される側壁部を有しているが、それらの各側壁部の後端部分には、コネクタ内方側(コネクタ中心側)に向かって張り出すバネ状部材からなる側端グランド接触片(グランド部材)11e,11eが一体的に形成されている。これらの各側端グランド接触片11eは、コネクタ後方側に向かって折り返すように延出しており、後述するアクチュエータシェル14cの一部が電気的に接触する構成になされている。
【0028】
[導電コンタクトについて]
また、絶縁ハウジング11に設けられた媒体収容通路11bの内部には、略H字形状を直角横向きに倒した側面形状を有する複数体の導電コンタクト(コンタクト部材)12,13が、コネクタ前後方向に延在するように挿入されている。それらの各導電コンタクト12,13は、薄板状の金属製部材から形成されており、絶縁ハウジング11の横幅方向(コネクタ長手方向)に適宜の間隔で凹設された装着溝内に、多極状をなして並列するように配置されている。これらの導電コンタクト12,13は、互いに異なる形状のものが交互に配置された、いわゆる千鳥配列構成になされたものであって、後述するように一方の導電コンタクト12の前端部分(
図6の左端部分)が、印刷配線基板(図示省略)上に半田接合されるとともに、他方の導電コンタクト13の後端端部分(
図6の右端部分)が、印刷配線基板上に半田接合されることで、信号伝送用又はシールド用のいずれかとして使用されるようになっている。
【0029】
このような導電コンタクト12,13の各々は、上述したようにコネクタ前端側及び後端側からコネクタ後方側(
図6の右方側)及び前方側(
図7の左方側)に向かって押し込むようにして装着されており、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの表面又は裏面に形成された信号伝送用導電路(信号線)又はシールド用導電路(シールド線)のいずれかからなる導電路に対応した位置に当該導電コンタクト12,13のそれぞれが配置されている。これらの各導電コンタクト12,13は、信号伝送媒体Fの挿抜方向(
図6及び
図7の左右方向)に沿って延在する一対の細長状ビーム部材からなる可動コンタクトビーム12a,13a及び固定コンタクトビーム12b,13bをそれぞれ有している。
【0030】
これらの可動コンタクトビーム12a,13a及び固定コンタクトビーム12b,13bは、上述した絶縁ハウジング11に設けられた媒体収容通路11bの内方側空間において、コネクタ上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向した状態に配置されており、コネクタ前後方向(
図6及び
図7の左右方向)に沿って細長状をなすように延在している。そのうちの固定コンタクトビーム12b,13bは、前記絶縁ハウジング11の底部内壁面に沿って延在するように配置されていて、当該絶縁ハウジング11の内部で略不動状態となるように保持されている。
【0031】
その固定コンタクトビーム12b,13bには、コネクタ前後延在方向(
図6及び
図7の左右方向)における中央部分よりやや後方側(
図6及び
図7の右方側)に、略鉛直方向(
図6及び
図7の上下方向)に延在する細幅板状の連結支柱部12c,13cが一体的に連結されている。そして、その連結支柱部12c,13cの上端部分には、上述した可動コンタクトビーム12a,13aがコネクタ前後方向(
図6及び
図7の左右方向)に延在するように一体的に連結されている。この可動コンタクトビーム12a,13aは、連結支柱部12c,13cの近傍を中心として弾性変形し、それによって固定コンタクトビーム12b,13bに対して可動コンタクトビーム12a,13aが弾性的な可撓性を有する構成になされている。これらの各可動コンタクトビーム12a,13aの弾性変形は、
図6及び
図7の紙面を含む延在平面内において行われ、当該可動コンタクトビーム12a,13aの延在方向における両端部分が、図示上下方向に弾性変位される構成になされている。
【0032】
さらに、上述した可動コンタクトビーム12a,13aの前端部分(
図6及び
図7の左端側部分)には、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの図示上面側に形成された信号伝送用又はシールド用の導電路F2(
図17参照)のいずれかからなる導電路に接続される接点部として端子接触凸部12a1,13a1が図示下向きの突形状をなすように設けられている。そして、この可動コンタクトビーム12a,13aに設けられた端子接触凸部12a1,13a1と、その直下位置に対面するように配置された固定コンタクトビーム12b,13bどうしの間に、前記信号伝送媒体Fが挟持されるようになっている。
【0033】
このとき、上述した可動コンタクトビーム12a,13aの端子接触凸部12a1,13a1に対応して、固定コンタクトビーム12b,13b側にも、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの図示下面側に形成された信号伝送用又はシールド用の導電路(図示省略)のいずれかに接続される端子接触凸部を図示上向きの突形状をなすように設けることも可能である。また、それらの端子接触凸部同士は、互いの位置をコネクタ前方側(図示左方側)或いはコネクタ後方側(図示右方側)にずらして配置することも可能である。さらに、本実施形態における固定コンタクトビーム12b,13bは、基本的に不動状態となるように保持されているが、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fとの接触圧力を安定化する等の目的で、例えば当該固定コンタクトビーム12b,13bの前端部分が絶縁ハウジング11の底壁面から僅かに浮き上がるように形成して弾性変位可能となるように構成することも可能である。
【0034】
このような固定コンタクトビーム12bにおけるコネクタ前端側部分(
図6の左端側部分)及び固定コンタクトビーム13bにおけるコネクタ後端側部分(
図7の右端側部分)には、上述した印刷配線基板上に形成された導電路(図示省略)に半田接続される基板接合端子部12b1,13b1が形成されていて、当該基板接合端子部12b1,13b1を介して印刷配線基板に対する電気的接続が行われるようになっている。
【0035】
さらに、固定コンタクトビーム12b,13b及び可動コンタクトビーム12a,13aのコネクタ後端部分には、後述するようにアクチュエータ(接続操作手段)14に一体的に設けられた回動軸14aが、両コンタクトビーム12,13同士の間部分に挟まれるようにして回転可能に保持されている。より具体的には、固定コンタクトビーム12b,13bにおけるコネクタ後端部分の上端縁は、略水平に延出する平坦面をなすように形成されており、その平坦面からなる固定コンタクトビーム12b,13bの後端側上縁部分に、アクチュエータ14の回動軸14aが、上方側から回転可能かつ滑動自在に接触するように配置されている。
【0036】
一方、可動コンタクトビーム12a,13aの下端縁には、側面視において下方側に向かって略山形状をなすようにして突出するカム作用部12a2,13a2が、コネクタ後端部分にそれぞれ設けられている。そして、それらのカム作用部12a2,13a2が有するコネクタ前方側(
図6及び
図7の左方側)の湾曲状端縁部分と、そのカム作用部12a2,13a2の湾曲状端縁部分が可動コンタクトビーム12a,13aの下端縁に連続する部位との間部分に、上述したアクチュエータ14の回動軸14aが回転可能に配置されている。
【0037】
このように可動コンタクトビーム12a,13aに設けられたカム作用部12a2,13a2は、アクチュエータ(接続操作手段)14の回動軸14aを回転可能に支持する構成になされたものであるが、当該カム作用部12a2,13a2が設けられていることによって、アクチュエータ14の回動軸14aが、コネクタ後方側に向かって脱落することなく保持されているとともに、コネクタ前方側に向かう方向においては滑動可能となっている。すなわち、このアクチュエータ14の回動軸14aは、可動コンタクトビーム12a,13aの下端縁及び固定コンタクトビーム12b,13bの上端縁に対しては、滑動による移動可能となっており、それによってアクチュエータ14の全体が、コネクタ前方側に向かって移動可能となるように構成されている。この点については後段において詳細に説明する。
【0038】
このとき、アクチュエータ(接続操作手段)14の回動軸14aにおける軸方向の両端部分は、絶縁ハウジング11に設けられた軸受け部(図示省略)に、回動可能かつコネクタ前後方向に往復移動可能となるように支持されており、これによってアクチュエータ14は、絶縁ハウジング11から上方に向かって立ち上げられた「初期位置」(
図1〜
図9参照)から、絶縁ハウジング11に沿って略水平に延在する「傾倒位置」(
図10及び
図11参照)まで、コネクタ後方側に向かって押し倒されるように回動されるとともに、その「傾倒位置」に至るまで回動された後のアクチュエータ14は、コネクタ前方側(
図6及び
図7の左方側)に向かって押し込まれることで、後述する「押込み作用位置」までスライド移動される構成になされている。
【0039】
そして、上述したようにアクチュエータ(接続操作手段)14が、「傾倒位置」からコネクタ前方側に向かって「押込み作用位置」まで押し込まれる操作が行われることによって、可動コンタクトビーム12a,13aの弾性変位が行われ、当該可動コンタクトビーム12a,13aと固定コンタクトビーム12b,13bとの間に、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが挟持されるようになっている。この点については後段において詳細に説明する。
【0040】
[ロック部材について]
一方、絶縁ハウジング11のコネクタ長手方向における両端部分、すなわち上述した導電コンタクト12,13の両側外方部分には、当該絶縁ハウジング11の内部に挿入された信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの抜止めを行う一対のロック部材15,15が、コネクタ前端側から後方側に向かって押し込むようにして装着されている。
【0041】
これらの各ロック部材15も、信号伝送媒体Fの挿入方向(
図6及び
図7の右方向)に沿って延在する一対の細長状ビーム部材からなる可動ロックビーム及び固定ロックビームをそれぞれ有している(図示省略)。それらの各ロック部材15を構成している可動ロックビーム及び固定ロックビームは、絶縁ハウジング11の媒体収容通路11bにおけるコネクタ長手方向の両側部分に、上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向した状態に配置されており、コネクタ前後方向(
図6及び
図7の左右方向)に細長状に延在するように配置されている。該可動ロックビームのコネクタ前端部分には、信号伝送媒体Fに嵌合する係止ロック爪が設けられている。
【0042】
一方、前述したようにして絶縁ハウジング11に設けられた媒体収容通路11bの内部空間に挿入された信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fは、例えば
図17に示されているような構成を備えており、その幅方向(コネクタ長手方向)における両端縁部が、上述したロック部材15の固定ロックビームと可動ロックビームとの間部分に挿入される構成になされている。そのロック部材15に設けられた係止ロック爪に対応して、信号伝送媒体Fの端末部分には、当該信号伝送媒体Fの幅方向(コネクタ長手方向)両側の端縁部分に、切り欠き状の凹部からなる係合位置決め部F1,F1がそれぞれ形成されている。
【0043】
そして、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fがコネクタ奥側(
図6及び
図7の右方側)に向かって押し込まれていき、当該信号伝送媒体Fの挿入方向の先端縁部が、上述したロック部材15の連結支柱部に突き当てられて停止されたときに、その信号伝送媒体Fに設けられた係合位置決め部F1が、ロック部材15に設けられた係止ロック爪の直下位置に配置される位置関係に設定されており、その信号伝送媒体Fの突き当て停止状態から、
図10及び
図11のように「傾倒位置」に至るまで回動されたアクチュエータ14が、
図12〜
図16のようにコネクタ前方側の「押込み作用位置」まで押し込まれる操作が行われることで、ロック部材15の係止ロック爪が下降して、信号伝送媒体Fの係合位置決め部F1に係合状態(ロック状態)となり、それによって信号伝送媒体Fの抜止めが行われる。
【0044】
[アクチュエータについて]
上述した接続操作手段としてのアクチュエータ14は、絶縁材料により細長状に形成された回動操作枠体14bと、その回動操作枠体14bの外表面の一部を覆うように装着されたアクチュエータシェル(シールドシェル)14cとを備えている。回動操作枠体14bの基端部分には、前述したようにコネクタ長手方向に延在する回動軸14aが設けられており、その回動軸14aが、絶縁ハウジング11のコネクタ後方側の端縁部分(
図6及び
図7の右端部分)に沿って回動自在となるように取り付けられている。また、その回動軸14aからは、細幅の板状部材からなる回動アーム14gが、回動軸14aの回動半径外方側に向かって櫛歯状をなすように延出しており、それら回動アーム14gの延出方向(回動半径外方向)における先端部分に、上述した板状部材からなる回動操作枠体14bが一体的に連結された構成になされている。
【0045】
より具体的には、上述した回動操作枠体14bは、回動軸14aの軸方向(コネクタ長手方向)に沿って細長状に延在する板状部材から形成されており、当該回動操作枠体14bにおける内方側の端面、すなわち前述した絶縁ハウジング11側に対面する端面と、回動軸14aとの間には、複数の回動アーム14g,14g,・・・がコネクタ長手方向に所定の間隔をなして並列するように配置されている。それらの各回動アーム14gは、前述した導電コンタクト12,13との間部分に配置されているが、コネクタ長手方向に隣り合う一対の回動アーム14g,14g同士の間部分、すなわち導電コンタクト12,13に対応する位置には、それら両導電コンタクト12,13との干渉を回避するための複数のスリット14dが、同間隔で櫛歯状をなすように形成されている。
【0046】
このように、回動アーム14g及びスリット14dが、櫛歯状をなすように設けられていることによって、アクチュエータ(接続操作手段)14は、導電コンタクト12,13の特に可動コンタクトビーム12a,13aに対して干渉を生じることなく回動操作されることとなり、
図1〜
図9に示されているような略鉛直上方に向かって立設状態にある「初期位置」から、
図10及び
図11に示されているようなコネクタ後方側(図示右方側)に向かって押し倒された「傾倒位置」まで、回動操作される構成になされている。
【0047】
また、そのようなアクチュエータ(接続操作手段)14の回動操作枠体14bに櫛歯状に設けられた各スリット14dは、前述した絶縁ハウジング11側に向かって開口しているとともに、当該開口部から、回動操作枠体14bの回動半径方向における外方側に向かって延びているが、そのスリット14dの内部空間を形成している奥側の壁面にはフック状突起部14eが設けられている。このフック状突起部14eは、上述したようにスリット14dにおける奥側の壁面から、回動操作枠体14eの回動中心である回動軸14aに向かって近接するように片持ち状に延出する板状部材から形成されており、当該フック状突起部14eにおける延出側、すなわち回動操作枠体14bの回動半径方向における内方側の先端部分、押圧カム部14e1が形成されている。
【0048】
このとき、アクチュエータ(接続操作手段)14が、
図10及び
図11示されているようなコネクタ後方側(図示の右方側)に押し倒された「傾倒位置」に位置した状態において、可動コンタクトビーム12a,13a及び固定コンタクトビーム12b,13bの後端部分に対して、上述したフック状突起部14eが、コネクタ後方側から対面する配置関係になされている。より詳細には、そのフック状突起部14eにおける延出側の先端部分に設けられた押圧カム部14e1が、可動コンタクトビーム12a,13aの後端部分に設けられたカム作用部12a2,13a2に対して、コネクタ前後方向(水平方向)にやや離間して対向する配置関係になされている。
【0049】
そして、上述したようにカム作用部12a2,13a2に対する押圧カム部14e1の離間対向状態から、アクチュエータ(接続操作手段)14の全体をコネクタ前方側に向かってスライド移動させるように操作力が付与されることでフック状突起部14eがコネクタ前方側に前進すると、そのフック状突起部14eの押圧カム部14e1を構成している傾斜面が、可動コンタクトビーム12a,13aのカム作用部12a2,13a2を構成している傾斜面に当接する。そして、カム作用部12a2,13a2の傾斜面に発生する上方向への分力によって、可動コンタクトビーム12a,13aのコネクタ後端側部分が上方側に持ち上げられるように変位していき、それに伴って、コネクタ前端側に設けられた端子接触凸部12a1,13a1が下方に押し下げられていく構成になされている。
【0050】
すなわち、アクチュエータ(接続操作手段)14が「初期位置」にある状態(
図1〜
図9参照)で、絶縁ハウジング11の前方側挿入口11aを通して信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが媒体収容通路11bの内部に挿入され、その後にアクチュエータ14がコネクタ後方側に向かって傾倒される操作が施されて、略水平状態となる「傾倒位置」まで回動される(
図10及び
図11参照)。次いで、そのような水平状態にあるアクチュエータ14に対して、コネクタ前方側への押し込み操作力が付与され、最終位置である「押込み作用位置」までコネクタ前方側へスライド移動されることで、導電コンタクト12,13の可動コンタクトビーム12a,13aが、前述したように弾性変形され、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの表面に形成された信号伝送用又はグランド用の各導電路F2 (
図17参照)のいずれかに対して、上述した可動コンタクトビーム12a,13aの端子接触凸部12a1,13a1が圧接された状態に維持され、それによって印刷配線基板Bに対する電気的な接続が行われる構成になされている。
【0051】
また、前述したアクチュエータ(接続操作手段)14の回動操作枠体14bの外表面を覆うアクチュエータシェル(シールドシェル)14cは、導電性の金属板状部材から形成されており、アクチュエータ14が「傾倒位置」まで回動された状態(
図10及び
図11参照)において、当該回動操作枠体14bの上面から、コネクタ後端面に相当する外表面を覆うように装着されている。
【0052】
このアクチュエータシェル(シールドシェル)14cが、絶縁ハウジング11側に向かって対面する内方側の端縁部分は、上述した「傾倒位置」において、前述した絶縁ハウジング11のハウジングシェル(シールドシェル)11cの後端縁部分に対して、コネクタ前後方向に所定の隙間を形成するように配置される構成になされている。そして、アクチュエータ14が、前述した最終の「押込み作用位置」までスライド移動された際に、当該アクチュエータシェル14cの半径方向内端縁部は、ハウジングシェル11cの後端縁部に対して上方側から重なり合うようにして電気的な接触状態になされる。
【0053】
さらに、上述したアクチュエータシェル(シールドシェル)14cにおける内方側の端縁部分には、コネクタ長手方向の両側部分に、略直角下方に折り曲げられた側端グランド接触片14f,14fが形成されている。これらの各側端グランド接触片14fは、「傾倒位置」において下方に向かって延出するように折り曲げられており、より具体的には、アクチュエータ14が、前述した最終の「押込み作用位置」までスライドするようにして移動された際に、当該アクチュエータシェル14cの側端グランド接触片14f,14fが、絶縁ハウジング11のハウジングシェル11cに設けられた側端グランド接触片11e,11eに対して、コネクタ内方側(コネクタ中心側)から電気的に接触される配置関係になされている。
【0054】
このような構成を有する本実施形態によれば、「初期位置」から「傾倒位置」まで回動されたアクチュエータ14が、最終位置である「押込み作用位置」までコネクタ前方側へスライド移動されることで、信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fに対して導電コンタクト12,13が電気的に接続される操作が完了するが、その時点で、アクチュエータ14に装着されたアクチュエータシェル(シールドシェル)14cは、絶縁ハウジング11に装着されたハウジングシェル(シールドシェル)11cに対して上方側から重合するようにして電気的な接触状態になされる。その結果、信号伝送媒体Fから導電コンタクト12,13を通して印刷配線基板に至る伝送経路が、ハウジングシェル11cとアクチュエータシェル14cとにより連続的に覆われることとなり、良好なシールド性が得られる。
【0055】
特に、本実施形態においては、上述したようにアクチュエータ14が絶縁ハウジング11側に向かって押し込まれた状態で、絶縁ハウジング11及びアクチュエータ14を覆う両シールドシェル11c,14c同士の一部が重なり合う構成になされていることから、両シールドシェル11c,14cによる電磁波遮断作用が、さらに向上されるようになっている。
【0056】
さらに、本実施形態にかかるリセプタクルコネクタ10の組み立て工程において、当該リセプタクルコネクタ10を上方側から所定の治具を用いて吸着する場合に、絶縁ハウジング11の上面を覆うハウジングシェル11cに対して、例えば、本発明の第2実施形態を表した
図25の斜線で示されている領域(吸着エリア)に対して、治具による吸着を直接的に行うことが可能となり、その結果、良好な組立て性が得られる。
【0057】
さらにまた、本実施形態においては、アクチュエータ14を覆うシールドシェル14cに、当該アクチュエータ14が絶縁ハウジング11側に向かって押し込まれた状態で、印刷配線基板上の導電路に接触するグランド部材としての側端グランド接触片11e,11eが弾性変形可能に設けられていることから、グランド特性の向上が図られるようになっている。
【0058】
[第2の実施形態について]
一方、上述した第1の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図18〜
図24にかかる第2の実施形態において採用されたアクチュエータ24は、上述した第1の実施形態のように回動操作を行うものではなく、スライド移動の操作する構成になされている。より具体的には、絶縁ハウジング11の後端縁部に対してコネクタ後方側に離間するように配置された「初期位置」から、コネクタ前方側に押し込まれた「押込み作用位置」まで、アクチュエータ24がスライド移動される構成になされている。
【0059】
以下の説明においては、上述した第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、主として相違する構成についての説明を行うこととする。
【0060】
より具体的には、本実施形態におけるアクチュエータ24のスライド操作枠体24bに、コネクタ前方側(
図21及び
図22の左方側)に向かって突出するように設けられたフック状突起部24eは、絶縁ハウジング11の内方側に入り込むように延出している。そして、そのフック状突起部24eがコネクタ後方側に引き出された「初期位置」にある状態において、当該フック状突起部24eにおける延出側の先端部分、つまり絶縁ハウジング11の内方側に延出する部分(内端部分)に設けられた抜止め突部24e1が、可動コンタクトビーム12a,13aと固定コンタクトビーム12b,13bとの間部分に入り込んだ構成になされている。すなわち、可動コンタクトビーム12a,13aの後端部分に設けられたカム作用部12a2,13a2に対して、上述したフック状突起部24eの抜止め突部24e1が、コネクタ前方側から接触した配置関係になされており、それによってアクチュエータ24がコネクタ後方側に脱落しないように保持されている。
【0061】
また、そのときのフック状突起部24eには、上述した抜止め突部24e1からコネクタ後方側に至る部分に、上方に向かって突出する山形状の押圧カム部24e2が形成されている。そして、「初期位置」にあるアクチュエータ14の全体が、コネクタ前方側にスライドするように移動操作された際に、上述したフック状突起部24eの押圧カム部24e2の傾斜面が、可動コンタクトビーム12a,13aのカム作用部12a2,13a2の傾斜面に対して後方側から当接し、そのカム作用部12a2,13a2の傾斜面に発生する上方向への分力によって、可動コンタクトビーム12a,13aのコネクタ後端側部分が上方側に持ち上げられるように弾性変位し、それに伴って、コネクタ前端側に設けられた端子接触凸部12a1,13a1が下方に押し下げられていく構成になされている。
【0062】
すなわち、アクチュエータ24が「初期位置」にある状態(
図21及び
図22参照)において、絶縁ハウジング11の前方側挿入口11aを通して信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fが媒体収容通路11bの内部に挿入され、その後にアクチュエータ24に対して、コネクタ前方側への押し込み操作力が付与されることで、最終位置である「押込み作用位置」までコネクタ前方側へスライド移動されると、導電コンタクト12,13の可動コンタクトビーム12a,13aが、前述したように弾性変形され、信号伝送媒体Fの表面に形成された信号伝送用またはグランド用の導電路(図示省略)のいずれかに対して、上述した可動コンタクトビーム12a,13aの端子接触凸部12a1,13a1が圧接された状態に維持され、それによって印刷配線基板に対する電気的な接続が行われる構成になされている。
【0063】
また、絶縁ハウジング11に装着されたハウジングシェル11cには、媒体収容通路11bに向かって下方に切り起こされた片持ち状の弾性部材からなる複数の上面グランド接触片11fが形成されている。これらの各上面グランド接触片11fは、媒体収容通路11b内に挿入された信号伝送媒体(FPC又はFFC等)Fの上側表面に対してグランド接続されるように配置されている。
【0064】
さらに、本実施形態におけるアクチュエータ24にも、スライド操作枠体24bの外表面の一部を覆うようにしてアクチュエータシェル24cが設けられているが、アクチュエータ24が「初期位置」に引き出された状態において、アクチュエータシェル24cのコネクタ前方側の端縁部は、前述した絶縁ハウジング11に装着されたハウジングシェル11cの後端縁部からコネクタ後方側に離間した位置に配置されている。そして、アクチュエータ24が、前述した最終の「押込み作用位置」までコネクタ前方側にスライドするようにして移動された際には、当該アクチュエータシェル24cの前端縁部が、ハウジングシェル11cの後端縁部に対して下方側から当接する位置関係になされている。
【0065】
このようにアクチュエータシェル24cがハウジングシェル11cに当接するにあたっては、アクチュエータシェル24cの前端縁部分が、ハウジングシェル11cの後端縁部分に下方側から重なり合うように面接触された状態となる。このとき、アクチュエータシェル24cの前端縁部分には、上方に突出する小突起からなるピンプル24fが複数体にわたって形成されており、それらの各ピンプル24fが、ハウジングシェル11cに対して下方側から確実に当接される構成になされている。
【0066】
また、上述したアクチュエータシェル24cの下壁部分、すなわち印刷配線基板(図示省略)に対面する壁面には、片持ち状の弾性部材からなる下面グランド接触片24gが複数体にわたって形成されている。これらの下面グランド接触片24gは、印刷配線基板状に形成された導電路に対してグランド接続されるように配置されている。
【0067】
このような構成を有する第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と略同様な作用・効果が得られる。特に、本実施形態にかかるリセプタクルコネクタ10の組み立て工程において、当該リセプタクルコネクタ10を上方側から所定の治具を用いて吸着する場合に、絶縁ハウジング11の上面を覆うハウジングシェル11cにおける例えば
図25の斜線で示されている領域(吸着エリア)に対して、治具による吸着を、スペース的に余裕を持って直接的に行うことが可能となり、その結果、良好な組立て性が得られる。
【0068】
一方、
図26に示されている実施形態においては、前述した第1の実施形態における絶縁ハウジング11を覆うハウジングシェル(シールドシェル)11cの上部壁部に、弾性変形可能な接触バネ部材(グランド部材)11gが、下方に向かって張り出すように切起しにより形成されている。この接触バネ部材11gは、下方側への張り出し頂点部分にグランド接点部を有しており、グランド部材を構成している導電コンタクト12の可動コンタクトビーム12aに対して上方側から弾性的に接触するように配置されている。
【0069】
このような構成を有する実施形態によれば、グランド回路を構成する電気経路が多点接触状態となり、その分、グランド抵抗が低減される。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0071】
例えば、上述した各実施形態においては、電気コネクタに固定される信号伝送媒体として、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)、及びフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)を採用しているが、その他の信号伝送用媒体等を用いた場合に対しても本発明は同様に適用することができる。
【0072】
また、上述した実施形態にかかる電気コネクタは、形状が異なる導電コンタクトを用いたものであるが、同一形状の導電コンタクトを用いたものであっても本発明は同様に適用することが可能である。