(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907219
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】繊維シート
(51)【国際特許分類】
B32B 5/26 20060101AFI20160412BHJP
D04H 3/14 20120101ALI20160412BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20160412BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B32B5/26ZBP
D04H3/14
D04H3/16
B65D77/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-167539(P2014-167539)
(22)【出願日】2014年8月20日
(62)【分割の表示】特願2010-508240(P2010-508240)の分割
【原出願日】2009年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-6798(P2015-6798A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2008-109634(P2008-109634)
(32)【優先日】2008年4月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396015057
【氏名又は名称】大紀商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮原 文夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 充範
(72)【発明者】
【氏名】山口 南生子
【審査官】
横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−217833(JP,A)
【文献】
再公表特許第2004/003277(JP,A1)
【文献】
国際公開第2007/057942(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0155556(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0255768(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/035443(WO,A1)
【文献】
特開2008−013881(JP,A)
【文献】
特許第3462155(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 77/00
D04H 3/14、3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紗に不織布が積層されてなる繊維シートであって、
紗が、経糸繊度5〜40デニール、経糸密度40〜100本/インチ、緯糸繊度5〜40デニール、緯糸密度20〜100本/インチを満たし、
不織布が、繊度4.0デニール以下のメルトブロー不織布又はスパンボンド不織布からなり、不織布の目付が1〜3g/m2であり、
繊維シートの目付が7.5〜20g/m2である繊維シート。
【請求項2】
不織布がメルトブロー不織布である請求項1記載の繊維シート。
【請求項3】
不織布の構成繊維の融点が、紗の構成繊維の融点よりも低い請求項1又は2記載の繊維シート。
【請求項4】
次式、
Lt=Lw−Lb
(式中、Lb:繊維シートの裏側に黒板をおいたものの白色光の反射率(%)
Lw:繊維シートの裏側に標準白色板をおいたものの白色光の反射率(%) )
で算出される透明度Ltが60%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維シート。
【請求項5】
紗がポリ乳酸又は脂肪族若しくは芳香族ポリエステル系生分解性繊維からなり、不織布がポリ乳酸、コハク酸系生分解性繊維又は芳香族ポリエステル系生分解性繊維からなる請求項1〜4のいずれかに記載の繊維シート。
【請求項6】
紗が、芯部と鞘部がそれぞれポリ乳酸から形成された芯鞘型複合糸からなり、芯部のポリ乳酸の融点が鞘部のポリ乳酸の融点に対して20℃以上高い請求項1〜5のいずれかに記載の繊維シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の繊維シートからなるティーバッグ用フィルター材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶、緑茶等のティーバッグのフィルター材料として好適な繊維シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紅茶、緑茶等のティーバッグ等のフィルター材料としては、高融点不織布層と低融点不織布層を積層した不織布製フィルターシート(特許文献1)や、ナイロン糸を平織にしたナイロン紗が使用されている。不織布製フィルターシートはナイロン紗に比して安価であり、広く使用されているが、透明性が劣るため、ユーザーには、ティーバッグ内の茶葉の性状がわかりにくいという問題点がある。
【0003】
ナイロン紗は透明性に優れ、素材の高級感もあることから、高品質の茶に適している。しかしながら、ナイロン紗の生産速度は、一般的に1.5〜2m幅で0.1m/分程度であり、不織布製のシートが1〜3m幅で100〜300m/分程度であるのに対して著しく遅く、その分コスト高になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2513153号公報
【特許文献2】特開2000−128233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ナイロン紗のように透明性に優れ、高級感を有しつつ、不織布製フィルターシートのように高い生産性をあげることのできる新たな繊維シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、繊維密度を特定範囲に大きく低下させた紗に特定の不織布を積層すると、紗の風合いを有すると共に従前の不織布製フィルターシートよりも透明性と破断強度に優れた繊維シートを得ることができ、かつこの繊維シートは従前の紗に対して顕著に高い生産性を実現できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、紗に不織布が積層されてなる繊維シートであって、紗が、経糸繊度5〜40デニール、経糸密度40〜100本/インチ、緯糸繊度5〜40デニール、緯糸密度20〜100本/インチを満たし、不織布が、繊度4.0デニール以下のメルトブロー不織布、スパンボンド不織布又はカーディング不織布からなり、繊維シートの目付が7.5〜20g/m
2である繊維シートを提供し、また、この繊維シートからなるティーバッグ用フィルター材料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の繊維シートは、経糸と緯糸から形成される紗の風合いにより高級感を有する。
【0009】
また、不織布製フィルターシートに比して高い透明性を有する。したがって、この繊維シートを用いて作製したティーバッグによれば、ティーバッグ内の茶葉の広がりを容易に観察することが可能となる。
【0010】
また、本発明の繊維シートは、従前の不織布製フィルターシートに比して破断強度に優れ、さらに、従前のナイロン紗に比して生産速度を高めることができ、かつ熱シール特性や超音波シール特性にも優れる。したがって、本発明の繊維シートによれば、ティーバッグの生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維シートは、紗に不織布が積層されたものである。ここで、紗としては、本発明の繊維シートに、ティーバッグ用フィルターシート材料として必要なシート強度と、望ましい透明性を付与する点から、経糸繊度5〜40デニール、経糸密度40〜100本/インチ、緯糸繊度5〜40デニール、緯糸密度20〜100本/インチを満たすものを使用する。
【0012】
経糸や緯糸の繊度が細すぎると紗を織ることができず、また、ティーバッグに製袋するために必要な破断強度も得られなくなる。紗の破断強度を向上させるためには経糸密度や緯糸密度を高めればよいが、これらの密度を高めると透明性や生産性が低下する。反対に、経糸や緯糸の繊度が太すぎると、同じ経糸密度あるいは緯糸密度のシートに対して使用する繊維重量が増え、資材の低減化の要請に反する。これに対し、本発明では、経糸及び緯糸の繊度を5〜40デニール、好ましくは15〜30デニールとすることにより、本発明の繊維シートに透明性とティーバッグに製袋するために必要な破断強度を付与する。
【0013】
紗の糸密度は、低すぎると紗の織り目がずれ、繊維シートからティーバッグを製造した場合に粉漏れが生じやすくなる。粉漏れをなくすには、紗に不織布を厚く積層することが考えられるが、不織布を厚く積層すると透明性が低下する。反対に、糸密度を高くすると紗を織るのに時間がかかり、生産コストが上昇する。特に、緯糸密度と紗の織りの速度は反比例するため、緯糸密度は織り目のずれ等が問題にならない限り低くすることが好ましい。これに対し、本発明では、経糸密度を40〜100本/インチ、緯糸密度を20〜100本/インチ、好ましくは経糸密度を40〜70本/インチ、緯糸密度を30〜60本/インチとすることにより、繊維シートから製造したティーバッグにおいて粉漏れを解消し、かつ従来よりも透明性や生産性を大きく向上させることを可能とする。より具体的には、100〜200mm幅の紗の生産速度を従前の紗の抽出シートよりも速い0.1〜0.5m/分にすることができる。
【0014】
なお、繊維シートからティーバッグを製造する製袋充填機に対する繊維シートの機械適性の点からは、経糸密度と緯糸密度は等しくすることが好ましいが、緯糸密度が紗の生産速度に大きく影響することから、製袋充填機への機械適性が損なわれない限り緯糸密度を経糸密度に対して低くしても良い。
【0015】
紗の織り糸の構成繊維としては、一般的な織物用の長繊維を使用することができるが、変色しにくく、不用な溶出物が生じない点、及びティーバッグに製袋する際のヒートシール適性に優れている点、織りがずれないように熱で繊維同士を定着させることが容易な点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ乳酸又は脂肪族ポリエステル系若しくは芳香族ポリエステル系生分解性繊維等が好適である。
【0016】
さらに、使用後の廃棄処理の点から生分解性繊維が好適であり、中でも、通常の使用状況では加工性、耐熱性及び耐久性等に優れ、廃棄処理後は微生物により速やかに生分解される特性から、芳香族ポリエステル系生分解性繊維がより好適である。例えば、芳香族ポリエステル系生分解性繊維としては、テレフタル酸、スルホン酸金属塩、脂肪族ジカルボン酸、エチレングリコール及びジエチレングリコールから成る繰り返し単位を有し、酸成分中、テレフタル酸が約50モル%〜約90モル%、スルホン酸金属塩が約0.2モル%〜約6モル%、及び脂肪族ジカルボン酸が約4モル%〜約49.8モル%であり、グリコール成分中、エチレングリコールが約50モル%〜約99.9モル%、及びジエチレングリコールが約0.1モル%〜約50モル%である芳香族ポリエステル共重合体等があげられ、具体的には、デュポン(株)より入手可能なアペクサ(Apexa)(登録商標)等があげられる。
【0017】
紗の織り糸には、モノフィラメント、複数本のフィラメントを撚ったマルチフィラメント、複数本のフィラメントを撚らずに束ねた繊維束、低融点の芯部と高融点の鞘部とからなる芯鞘型複合糸等を使用することができる。芯鞘型複合糸の使用により、繊維同士を強固に定着させることができるので、繊維シートを製袋充填機に掛けた場合のシートの蛇行を防止することができる。また、複数本のフィラメントを撚らずに束ねた繊維束を緯糸として使用することにより、織りにかかる時間を短縮することができる。
【0018】
芯鞘型複合糸を使用する場合、芯部と鞘部との融点差を20℃以上とすることが好ましい。例えば、融点200〜250℃の高融点ポリ乳酸を芯部に使用し、融点160〜180℃の低融点ポリ乳酸を鞘部に使用したり、融点250〜270℃のポリエチレンテレフタレートを芯部に使用し、融点180〜220℃の低融点ポリエステルを鞘部に使用したり、融点160〜170℃のポリプロピレンを芯部に使用し、融点135〜145℃のエチレンプロピレン共重合体あるいは融点120〜140℃のポリエチレンを鞘部に使用したりすることにより、繊維同士を熱により定着させることができる。なお、繊維同士の定着は、織り上がり後に熱風の吹き付けによって行う他、不織布としてメルトブロー不織布を積層する際の熱風でも行うことができる。
【0019】
一方、紗と積層する不織布は、繊度4.0デニール以下のメルトブロー不織布、スパンボンド不織布又はカーディング不織布とする。中でも、不織布の繊度は、透明性の確保と粉漏れ防止の観点から、3.0デニール以下が好ましく、2.0デニール以下がより好ましい。また、不織布の形態は、不織布の構成繊維を紗の上に直接吐出することにより不織布の形成と紗との積層を同時に行える点から、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布が好ましい。
【0020】
また、不織布の構成繊維の繊度が4.0デニールよりも大きいと、不織布を上述の紗と積層するにあたり、不織布の厚さを、繊維シートに透明性を確保できる厚さにすると、その繊維シートにおいて粉漏れを防止することが困難となるが、4.0デニール以下とすることにより、不織布を、繊維シートに透明性を確保できる薄さに形成し、かつ繊維シートの粉漏れを防止することができる。この繊維シートの透明性の確保と粉漏れ防止のバランスは、不織布の構成繊維の繊度を3.0デニール以下とするとより好適となり、2.0デニール以下とするとさらに好適となる。なお、不織布の構成繊維の繊度について、下限は特になく、0.1デニール以上であれば入手が容易である。
【0021】
紗と不織布とを積層した本発明の繊維シートの表面において、紗の構成繊維はその織り目の部分のみに存在するのに対し、不織布の構成繊維は積層面の全体に均一に存在することから、繊維シートのヒートシール性は不織布にもたせることが均一なシール強度を得る点で好ましい。また、ヒートシールにより繊維シートを製袋する場合、シートの重ね合わせ部分の外側の層を高融点、内側の層を低融点とすることが必要である。そこで、不織布の構成繊維の融点を、紗の構成繊維の融点よりも低くし、双方の融点差を40℃以上とすることが好ましい。
【0022】
紗の構成繊維と不織布の構成繊維との間に融点差を設ける手段としては、融点が異なる繊維素材を用いる他に、紗の構成繊維を延伸繊維とし、不織布の構成繊維を未延伸繊維とすることにより、繊維の結晶性の違いにより融点差を設けることなどがあげられる。
【0023】
不織布の構成繊維の種類は、前述の紗の織り糸の構成繊維として例示された繊維を使用するが、紗と親和性のあるものを使用するのが好適である。
【0024】
紗の構成繊維と不織布の構成繊維の好ましい組み合わせとしては、例えば、紗をポリエチレンテレフタレートとし、不織布を低融点ポリエステルとする態様、紗をポリプロピレンとし、不織布をエチレンポリプロピレン共重合体又はポリエチレンとする態様、紗をポリ乳酸とし、不織布をポリ乳酸又はコハク酸系生分解樹脂とする態様、紗を芳香族ポリエステル系生分解性繊維(延伸)とし、不織布を芳香族ポリエステル系生分解性繊維(未延伸又は半延伸)とする態様等をあげることができる。
【0025】
不織布の目付は、繊維シートから製造したティーバッグの粉漏れ防止の点から0.5g/m
2以上が、透明性の観点から5g/m
2以下が好ましく、双方の観点から1〜3g/m
2がより好ましい。
【0026】
また、紗に不織布を積層した本発明の繊維シートの目付は、生産性、粉漏れ防止及び透明性の観点から7.5〜20g/m
2が好ましい。
【0027】
これにより、この繊維シートから製造したティーバッグに茶葉の粉末を充填した場合にも、粉漏れがなく、かつティーバッグ内の茶葉の状態を視認することが可能となる。
【0028】
紗と不織布との積層方法は、紗の生産速度が不織布の生産速度に比して低いため、まず、紗を製造し、その後、紗と不織布とを積層することが好ましい。より具体的には、予め製造した紗の上に溶融した繊維状樹脂を吹きつけることにより紗と不織布を積層し、そのまま定着させる。あるいは、紗と不織布の接着強度をより高めるため、紗と不織布の積層後にエンボス加工あるいはカレンダー加工を施す。紗と不織布を積層後そのまま定着させた場合には、ティーバッグとして製袋し、茶葉等の内容物を充填した後に、その内容物が不織布表面の繊維の毛羽に貼り付き、ティーバッグの美観が損なわれることがあるが、カレンダー加工を施すと、不織布表面の繊維同士を接着させ、毛羽立ちを抑制できるので、ティーバッグの美観の点から好ましい。
【0029】
なお、カレンダー加工における処理温度は不織布の構成繊維に応じて適宜設定する。例えば、低融点ポリエチレンテレフタレートの場合、延伸ないし繊維化を約300℃で行い、その繊維を紗の上に積層後定着させるためのエンボス加工やカレンダー加工を約140〜200℃で行う。
【0030】
こうして、本発明の繊維シートは、従前のティーバッグ用フィルターシートとして使用されているナイロン紗に対して2〜10倍の生産速度で製造することができる。
【0031】
本発明の繊維シートは、JIS L1906一般長繊維不織布試験方法、引張強さ及び伸び率の測定法による破断強度を、縦30〜300N/50mm、横20〜300N/50mm、好ましくは、縦100〜300N/50mm、横50〜300N/50mmを満たし、かつ、次式、
Lt=Lw−Lb
(式中、Lb:繊維シートの裏側に黒板をおいたものの白色光の反射率(%)
Lw:繊維シートの裏側に標準白色板をおいたものの白色光の反射率(%) )
で算出される透明度Ltが60%以上、好ましくは70%以上を満たすものとなり、ティーバッグ用フィルターシートとして必要な破断強度と望ましい透明性を兼ね備えたものとなる。したがって、製袋充填機に掛けたり、表面に仮貼着したタグを剥がしたりしても、破断することがなく、また、ティーバッグ内の内容物が視認し易いものとなる。
【0032】
また、表面に孔径50〜300μm、好ましくは孔径100〜200μmの孔を均一に有するので、通水性は良好であるが、茶葉の粉漏れ等生じず、茶等の抽出用フィルターとして好適なものとなる。
【実施例】
【0033】
実施例1
(1)繊維シートの製造
以下の仕様で紗の上に不織布が積層されている繊維シートを製造した。
【0034】
紗
・繊維素材:芯鞘構造
芯部 ポリエチレンテレフタレート50%
鞘部 イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート50%
・繊維密度:1.38
・繊度:25デニール
・経糸密度:50本/インチ、 緯糸密度:50本/インチ
【0035】
不織布
・繊維素材:ポリエチレンテレフタレート
・種類:メルトブロー不織布
・繊度:0.8デニール
・目付:2g/m
2
【0036】
(2)評価
得られた繊維シートの目付は13g/m
2であった。また、経糸と緯糸から形成される紗の高級な風合いを有していた。
【0037】
次に、この繊維シートの(a)破断強度、(b)透明度、(c)孔径分布を下記のようにして測定した。
【0038】
(a)破断強度
JIS L1906一般長繊維不織布試験方法、引張強さ及び伸び率の測定法にしたがって測定した。その結果、縦80N/50mm、横80N/50mmであった。
【0039】
(b)透明度
繊維シートの裏面に黒板を置いた場合と標準白色板を置いた場合のそれぞれについて、反射率をマクベス分光光度計(CE-3000、サカタインクス製)を測定し、次式により透明度Ltを求めた。
【0040】
Lt=Lw−Lb
(式中、Lb:繊維シートの裏側に黒板をおいたものの白色光の反射率(%)
Lw:繊維シートの裏側に標準白色板をおいたものの白色光の反射率(%) )
【0041】
その結果、透明度は82%であった。
【0042】
(c)孔径分布
バブルポイント法(JIS K 3832) による細孔径分布測定器により測定した。その結果、140〜200μmに孔径分布を有していた。
【0043】
実施例2
(1)繊維シートの製造
以下の仕様で紗の上に不織布が積層されている繊維シートを製造した。
【0044】
紗
・繊維素材:ポリ乳酸モノフィラメント
・繊維密度:1.24
・繊度:25デニール
・経糸密度:50本/インチ、 緯糸密度:45本/インチ
【0045】
不織布
・繊維素材:ポリ乳酸
・種類:メルトブロー不織布
・繊度:0.6デニール
・目付:2g/m
2
【0046】
(2)評価
得られた繊維シートの目付は12g/m
2であった。また、経糸と緯糸から形成される紗の高級な風合いを有していた。
【0047】
実施例1と同様に繊維シートの(a)破断強度、(b)透明度、(c)孔径分布を測定したところ次の結果が得られた。
【0048】
(a)破断強度 縦65N/50mm、横60N/50mm
(b)透明度 85%
(c)孔径分布 180〜220μm
【0049】
実施例3
(1)繊維シートの製造
以下の仕様で紗の上に不織布が積層されている繊維シートを製造した。
【0050】
紗
・繊維素材:芳香族ポリエステル系生分解性繊維(延伸繊維)(デュポン(株)製アペクサ)
・繊維比重:1.38
・繊度:30デニール
・経糸密度:45本/インチ、 緯糸密度:45本/インチ
【0051】
不織布
・繊維素材:芳香族ポリエステル系生分解性繊維(未延伸繊維)(デュポン(株)製アペクサ)
・種類:スパンボンド不織布
・繊度:3.0デニール
・目付:3g/m
2
【0052】
(2)評価
得られた繊維シートの目付は15g/m
2であった。また、経糸と緯糸から形成される紗の高級な風合いを有していた。
【0053】
実施例1と同様に繊維シートの(a)破断強度、(b)透明度、(c)孔径分布を測定したところ次の結果が得られた。
【0054】
(a)破断強度 縦70N/50mm、横70N/50mm
(b)透明度 79%
(c)孔径分布 160〜250μm
【0055】
比較例1
ポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布(目付12g/m
2、繊度2デニール)の(a)破断強度、(b)透明度、(c)孔径分布を実施例1と同様に測定したところ、次の結果が得られた。
【0056】
(a)破断強度 縦30N/50mm、横13N/50mm
(b)透明度 57%
(c)孔径分布 100〜450μm
【0057】
比較例2
ポリプロピレン、ポリエチレン芯鞘複合繊維からなる乾式サーマルボンド不織布(目付12g/m
2、繊度2デニール)の(a)破断強度、(b)透明度、(c)孔径分布を実施例1と同様に測定したところ、次の結果が得られた。
【0058】
(a)破断強度 縦50N/15mm、横18N/15mm
(b)透明度 52%
(c)孔径分布 250〜600μm
【0059】
以上の実施例1,2,3及び比較例1,2から、紗と不織布が積層されている本発明の繊維シートによれば、不織布のみからなるシートと同様の目付にした場合に、不織布のみからなるシートに比して破断強度も透明度も向上させることができ、かつ孔径も均一であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の繊維シートは、製袋充填機にかけるのに十分な強度を有し、公知の低速乃至高速の任意の熱シール型製袋充填機や超音波型製袋充填機にかけることができ、それにより、矩形、ピラミッド型、その他種々の形状のバッグを製造することができる。また、目が細かいため、この繊維シートから製造したティーバッグには粉末の茶葉を封入することができる。さらに、透明性が高いためティーバッグ内が見える。したがって、本発明の繊維シートは、緑茶、紅茶等のティーバッグ用フィルターとして特に有用となる。また、本発明の繊維シートは、だし、コーヒー、入浴剤等のフィルター材料としても有用である。