(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907327
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】液体移送システム
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20160412BHJP
F03G 4/00 20060101ALI20160412BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
F04B49/06 311
F03G4/00
F03G7/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2010-124719(P2010-124719)
(22)【出願日】2010年5月31日
(65)【公開番号】特開2011-252396(P2011-252396A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2013年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】500356267
【氏名又は名称】志幸技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏二
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−41462(JP,A)
【文献】
特開2007−162659(JP,A)
【文献】
特開2010−115571(JP,A)
【文献】
特開平09−280179(JP,A)
【文献】
特開2001−028847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F03G 4/00
F03G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光のクリーンエネルギーから発電する発電機能部と、発電機能部から発電された電力に基づいて液体を移送する移送機能部とを備えたことを特徴とするとともに、
移送元の液体の量を測定するセンサー部を移送機能部の外部又は内部に設けたことを特徴とする極めて単純な構造で、無電源の場所で且つ危険又は災害の場所に貯留した溜水を常時、人間の立会や監視がなくても太陽が出ている間に連続排水することができる持ち運び可能な携帯型の液体移送システム。
【請求項2】
発電機能部、移送機能部及びセンサー部を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の液体移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、雨水などの液体を移送するための液体移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、災害時や停電時や火気厳禁の場所にあっても安全でかつだれでも容易に消火、排水、給水、揚水等の送水作業を行うことのできる無電源給排水装置が開示されている。具体的には、
図3に示すように、液化された二酸化炭素を貯留するガスボンベ2と、ガスボンベから減圧弁5を通じて送出される高圧の炭酸ガスのみを動力源とし、一方に配設した第1の吸引ホース8で吸引した水を他方に配設した排出ホース9から排出する気体ポンプ7と、ガスボンベから気体ポンプへ送出される高圧の炭酸ガスが通る管体12を気体ポンプが吸引する水の一部若しくは全部が流通する容器13内に配設して熱交換する熱交換器11とから構成された無電源給排水装置1である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−51000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、特許文献1に開示されている無電源給排水装置1は、商用電源の使用できない災害時や停電時や火気厳禁の場所にあっても安全でかつだれでも容易に消火、排水、給水、揚水等の送水作業を行うことのできる点で優れた装置であるかもしれない。
しかしながら、液化された二酸化炭素を貯留するガスボンベ2から減圧弁5を通じて送出される高圧の炭酸ガスのみを動力源としているために、ガスボンベ2内の二酸化炭素が無くなれば作動させることができず、動力源の部分に問題を抱えている。
【0005】
これに対して、本願発明は、商用電源の無い無電源場所において使用できるとともに、省エネルギー・低コストのエコ対応の流体移送システムの提供を目的として、本願発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の第1の発明は、太陽光・太陽熱・地熱・風力・波力などのクリーンエネルギーから発電する発電機能部と、発電機能部から発電された電力に基づいて液体を移送する移送機能部とを備えたことを特徴とする液体移送システムである。
第2の発明は、液体の量を測定するセンサー部を移送機能部の外部又は内部に設けたことを特徴とする同液体移送システムである。
第3の発明は、発電機能部、移送機能部及びセンサー部を制御する制御部を備えたことを特徴とする同液体移送システムである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)発電機能部を備えることで、商用電源の無い無電源場所において使用できる。
(2)その発電機能部が、太陽光・太陽熱・地熱・風力・波力などのクリーンエネルギーから発電するものとしたことで、温暖化ガスを排出せず、省エネルギー・低コストのエコ対応を実現できる。
(3)移送機能部を備えることで、液体を目的とする場所に移送できる。
(4)液体の量を測定するセンサー部を移送機能部の外部又は内部に設けたことで、液体の量によって移送機能部のON・OFFを確実に切り替えることができる。
(5)発電機能部、移送機能部及びセンサー部を制御する制御部を備えたことで、液体移送システムの運転を確実に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願発明に係る液体移送システムの構成を示す説明図。
【
図2】本願発明に係る液体移送システムの実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本願発明に係る液体移送システムの構成を示す説明図である。
図1に示すように、液体移送システム10は、太陽光・太陽熱・地熱・風力・波力などのクリーンエネルギーから発電する発電機能部20と、発電機能部20から発電された電力に基づいて液体を移送する移送機能部30と、移送機能部30の外部又は内部に設けた液体の量を測定するセンサー部40と、発電機能部20・移送機能部30・センサー部40を制御する制御部50を備えるものである。ここで、センサー部40及び制御部50は必ずしも必要ではなく、最小限必要なのは、発電機能部20と移送機能部30である。
【0010】
図2は、本願発明に係る液体移送システムの実施形態を示す説明図である。
図2に示す実施形態(本実施形態)は、移送元Aに貯留している水60を移送先Bへ移送するために、液体移送システム10を利用したものである。
本実施形態では、発電機能部20として太陽光から発電するソーラーパネル21を使用した。ソーラーパネル21を使用することで、温暖化ガスを発生させずにクリーンに発電できるとともに、太陽光の利用により低コストで半永久的な発電を実現できる。
【0011】
また、移送機能部30として排水ポンプ31を使用した。基本的に、ソーラーパネル21によって発電した電力で排水ポンプ31を稼動させ、移送元Aに貯留している水60を移送先Bへ移送するので、極めて単純な構造でエネルギー効率の良い省エネルギーを実現できる。
なお、センサー部40として水位センサー41を使用し、制御部50として制御盤51を使用した。
【産業上の利用可能性】
【0012】
上記「液体移送システム」は、以下のような場合に特に有効に利用できる。
(1)無電源の場所、例えば、鉄塔敷地内等に「液体移送システム」を利用することで、洞道部・マンホール部・ハンドボール部・ケーブルピット部等に貯留した溜水を常時、太陽が出ている間に連続排水することができる。これによって、地中送電ケーブルの保守や緊急の点検時に溜水を排水することなく、安全・確実に作業が行える。
(2)危険な場所、例えば、屋根や屋上等の人間が簡単に立ち入ることの出来ない場所に「液体移送システム」を利用することで、人間の立会や監視等がなくても太陽が出ている間に自動的かつ半永久的に液体を移送できる。これによって、危険を回避して雨水の利用などが行える。
(3)災害の場所、例えば、水害等があった場所に「液体移送システム」を利用することで、人間の立会や監視等がなくても太陽が出ている間に自動的かつ半永久的に液体を移送できる。これによって、水害等の災害からの復旧を早急に進めることができる。
(4)持ち運び可能な携帯型の「液体移送システム」を利用することで、キャンプや川遊びの場所において池や川の水を安全・簡易に移送できる。
(5)その他
【符号の説明】
【0013】
10 液体移送システム
20 発電機能部
21 ソーラーパネル
30 移送機能部
31 排水ポンプ
40 センサー部
41 水位センサー
50 制御部
51 制御盤
60 水
A 移送元
B 移送先