特許第5907448号(P5907448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5907448
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】水素含有水の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/46 20060101AFI20160412BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   C02F1/46 Z
   C02F1/68 510B
   C02F1/68 520B
   C02F1/68 520G
   C02F1/68 520D
   C02F1/68 540B
   C02F1/68 540Z
   C02F1/68 540E
   C02F1/68 540D
   C02F1/68 530A
【請求項の数】13
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2015-173508(P2015-173508)
(22)【出願日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年10月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509312846
【氏名又は名称】奥長良川名水株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515242272
【氏名又は名称】野口 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆春
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−139645(JP,A)
【文献】 特開2012−061418(JP,A)
【文献】 特開2015−009175(JP,A)
【文献】 特開2001−070944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46
C02F 1/68
C25B 1/02−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、
前記調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程と、
前記酸性にした分散液をアルカリの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、
前記アルカリ混合後の分散液に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起することにより水が電気分解されて水素が生成される電圧印加工程と
を具備し、
前記分散液を調製するときに、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したことを特徴とする水素含有水の製造方法。
【請求項2】
前記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種は、前記水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されたことを特徴とする請求項1に記載の水素含有水の製造方法。
【請求項3】
マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、
前記調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程と、
前記酸性にした分散液をアルカリの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、
前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起することにより水が電気分解されて水素が生成される電圧印加工程と
を具備し、
前記分散液を調製するときに、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に、糖類及び/または多糖類を混合したことを特徴とする水素含有水の製造方法。
【請求項4】
前記糖類及び/または多糖類は、前記水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたことを特徴とする請求項3に記載の水素含有水の製造方法。
【請求項5】
マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、
前記調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程と、
前記酸性にした分散液をアルカリの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、
前記アルカリ混合後の分散液を再度酸の混合によりpH1以上、pH5未満とする第2の酸混合工程と、
前記再度酸が混合された分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起することにより水が電気分解されて水素が生成される電圧印加工程と、
を具備することを特徴とする水素含有水の製造方法
【請求項6】
更に、前記電圧印加工程後の前記分散液に再度アルカリを混合する第2のアルカリ混合工程を具備することを特徴とする請求項5に記載の水素含有水の製造方法
【請求項7】
前記酸の添加総量は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項8】
前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して調製する分散液100重量部とするとき、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種が、5〜20重量部の範囲内で配合され、前記リン酸及び/またはリン酸塩が、10〜30重量部の範囲内で配合されたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項9】
更に、前記分散液を調製するときに、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に金属の塩化物を混合したことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項10】
更に、前記電圧印加工程後に水で10〜1000倍に希釈したことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項11】
更に、前記電圧印加工程後に水で10〜1000倍に希釈した後、再度陽極及び陰極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧で励起したことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項12】
更に、前記分散液を調製するときに、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したことを特徴とする請求項3乃至請求項11の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【請求項13】
更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に糖類及び/または多糖類を混合したことを特徴とする請求項5乃至請求項12の何れか1つに記載の水素含有水の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を豊富に含む水素含有水に関するもので、特に、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水の製造方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
近年、還元力が高い水素には、強い酸化力によってタンパク質やDNA等に損傷を与えて癌、糖尿病、高血圧、心臓病等の生活習慣病を引き起こすとされている活性酸素を除去する働きがあることがわかってきており、健康志向の高まりと相俟って、水素が豊富に含まれている水(所謂、水素水と呼ばれるものである)に高い注目が集められている。
【0003】
このような水素水への関心が高まるにつれ、水素水の製造手法も様々開発されており、例えば、水の電気分解により水素水を製造する方法、マグネシウム等の金属と水の反応により水素水を製造する方法、水素ガスを加圧により水に溶解させることで水素水を製造する方法(加圧溶解法/マイクロ・ナノバブル法)等が知られている。
しかし、一般的に、水素は分子が小さく水に溶けにくいため散逸しやすく、例えば、水に水素(ガス)を溶解した水素水や電解により生成した水素水をPETボトルに充填した場合には、水素(分子)がPETボトルから容易に抜け出てしまい、水素水の水素濃度(溶存水素量)を高い状態で長期間維持することは非常に困難である。
また、従来の方法により製造された水素水では、PETボトルよりも分子が小さく水素が抜け難いとされているアルミパウチ等のアルミ容器に充填した場合でも、開封直後から水素が大気中に散逸してしまい、開封後に直ぐに飲まなければ水素が急激に減ってしまっていた。更に、スティック等の袋体に入れたマグネシウム等の金属を水が入ったプラスチック等の容器に入れてまたは容器の蓋に取り付けて密閉し、飲用直前に容器を振って金属を接触(浸漬)させることで水素水を生成するものもあるが、生成する水素濃度を一定にするのが困難であるうえ、やはり直ぐに飲まなければ水素が大気中に散逸して急激に減少してしまっていた。商品形態が電解等により水素を生成する家庭用や工業用の所謂、水サーバー等の設置型のものでも、水素が生成直後から散逸してしまうことは同様である。
【0004】
したがって、従来、水素水の水素濃度(溶存水素量)を高いままで長期間維持するのは難しく、また、水素濃度が高い状態で摂取することも困難であった。このため、水素ガスを効率的に体内に取り入れて水素ガスの病気予防や健康増進等といった有用な効能効果を得るのは難しいとされていた。
【0005】
ここで、特許文献1及び特許文献2において、フッ素系カチオン交換膜からなる隔膜でアノード室とカソード室に分けてアノード電極及びカソード電極をフッ素系カチオン交換膜からなる隔膜に密着させた構造の電解槽にてカソード電解により生成した水素と、糖類やポリフェノールからなる還元性ヒドロキシル基を有する物質(細胞抽出成分)とを水に含有させた水素水について開示されている。この特許文献1及び特許文献2の水素水によれば、糖類やポリフェノールからなる還元性ヒドロキシル基を有する物質を溶存水素分子安定化剤として、水素分子を含有する電解還元水素水と相互作用させることで、溶存水素の寿命を長くできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015―009175号公報
【特許文献2】再表2008/062814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、実施例において、細胞抽出物質が添加されていないものと比較して、細胞抽出物質が添加されているものは24時間後において、酸化還元電位の増大が少なくなっているが、24時間後以降は不明である。また、ペットボトルに入れた6カ月後においても、細胞抽出物質が添加されていないものと比較して、酸化還元電位の増大が少なくなってはいるものの、製造直後の酸化還元電位は維持されていない。特に、還元性ヒドロキシル基を有する物質を添加しているため、酸化還元電位の指標のみでは、溶存水素の残存量が不明である。
【0008】
そこで、本発明は、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水の製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の水素含有水の製造方法は、混合工程において、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製し、酸混合工程にて、前記調製した分散液に酸を混合して酸性にし、アルカリ混合工程において、前記酸性にした分散液にアルカリを混合し、電圧印加工程において、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したものであり、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したものである。
【0010】
ここで、上記酸混合工程は、酸の混合により分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする工程である。
また、上記アルカリ混合工程は、アルカリの混合により分散液をpH3以上、pH8未満とする工程である。
更に、上記電圧印加工程は、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0011】
そして、上記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種は、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するとき、及び/または、混合工程、酸混合工程、アルカリ混合工程、電圧印加工程のうちの何れかの工程後の分散液に混合されたものであり、上記何れか1以上の段階で混合されればよい。
【0012】
請求項2の水素含有水の製造方法は、前記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種は、前記水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0013】
請求項3の水素含有水の製造方法は、混合工程において、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製し、酸混合工程にて、前記調製した分散液に酸を混合して酸性にし、アルカリ混合工程において、前記酸性にした分散液にアルカリを混合し、電圧印加工程において、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したものであり、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に糖類及び/または多糖類を混合したものである。
【0014】
ここで、上記酸混合工程は、酸の混合により分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする工程である。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。
また、上記アルカリ混合工程は、アルカリの混合により分散液をpH3以上、pH8未満とする工程である。
更に、上記電圧印加工程は、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0015】
そして、糖類及び/または多糖類は、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するとき、及び/または、混合工程、酸混合工程、アルカリ混合工程、電圧印加工程のうちの何れかの工程後の分散液に混合されたものであり、上記何れか1以上の段階で混合されればよい。
【0016】
請求項4の水素含有水の製造方法は、前記糖類及び/または多糖類は、前記水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0017】
請求項5の水素含有水の製造方法は、混合工程において、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製し、酸混合工程にて、前記調製した分散液に酸を混合して酸性にし、アルカリ混合工程において、前記酸性にした分散液にアルカリを混合し、第2の酸混合工程において、前記アルカリ混合後の分散液に再度酸を混合し、電圧印加工程において、前記再度の酸が混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したものである。
【0018】
ここで、上記酸混合工程は、酸の混合により分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする工程である。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。
また、上記アルカリ混合工程は、アルカリの混合により分散液をpH3以上、pH8未満とする工程である。
更に、上記第2の酸混合工程は、再度の酸の混合により分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH3以上、pH5未満とする工程である。好ましくは有機酸が使用される。
加えて、上記電圧印加工程は、前記再度の酸が混合後の陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0019】
請求項6の水素含有水の製造方法は、請求項5の構成において、更に、前記電圧印加工程後の分散液に再度アルカリを混合する第2のアルカリ混合工程を具備するものである。
ここで、上記第2のアルカリ混合工程では、再度アルカリと混合し使途に応じてpH調製、例えば、飲用に適した風味となるようにpH調整する。
【0020】
請求項7の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項6の何れか1つの構成において、前記酸の添加総量は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内としたものである。
【0021】
請求項8の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項7の何れか1つの構成において、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して調製する分散液100重量部とするとき、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少の何れか1つなくとも1種が、5〜20重量部の範囲内で配合され、前記リン酸及び/またはリン酸塩が、10〜30重量部の範囲内で配合されたものである。
【0022】
請求項9の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項8の何れか1つの構成において、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に金属の塩化物を混合したものである。
ここで、上記金属の塩化物としては、例えば、マグネシウムの塩化物(塩化マグネシウム)、カルシウムの塩化物(塩化カルシウム)、ナトリウムの塩化物(塩化ナトリウム)等が挙げられる。
【0023】
請求項10の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項9の何れか1つの構成において、更に、前記電圧印加工程後に水で10〜1000倍に希釈したものである。
ここで、電圧印加工程後に第2のアルカリ混合工程を有する場合には、第2のアルカリ混合工程の後に希釈するのが望ましい。
【0024】
請求項11の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項9の何れか1つの構成において、更に、前記電圧印加工程後に、水で10〜1000倍に希釈した後、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したものである。
ここで、電圧印加工程後に第2のアルカリ混合工程を有する場合には、第2のアルカリ混合工程の後に希釈し、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起するのが望ましい。
【0025】
請求項12の水素含有水の製造方法は、請求項3乃至請求項11の何れか1つの構成において、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したものである。
ここで、上記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合とは、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液を再度酸と混合した段階、アルカリと混合した分散液または再度酸と混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した段階、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された分散液を再度アルカリと混合した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、再度酸と混合した後の分散液、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された後の分散液、再度アルカリと混合した後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【0026】
請求項13の水素含有水の製造方法は、請求項5乃至請求項12の何れか1つの構成において、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れかの工程後の分散液に糖類及び/または多糖類を混合したものである。
ここで、上記糖類及び/または多糖類が混合とは、糖類及び/または多糖類が、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液を再度酸と混合した段階、アルカリと混合した分散液または再度酸と混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した段階、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された分散液を再度アルカリと混合した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、再度酸と混合した後の分散液、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された後の分散液、再度アルカリと混合した後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明の水素含有水の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、前記調製した分散液を酸との混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にする酸混合工程と、前記酸性にした分散液をアルカリとの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程とを具備し、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れか1以上の工程後の分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したものである。
【0028】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持されペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0029】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0030】
特に、分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合されたことにより水素濃度が増大し、長い間高い水素濃度が維持されるのは、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わりマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化することも考えられる。これにより、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持された。
【0031】
したがって、請求項1の発明の水素含有水の製造方法によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水が得られる。
【0032】
請求項2の発明の水素含有水の製造方法は、前記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種は、前記水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0033】
鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を上記範囲内とすることで、請求項1の効果に加えて、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な水素濃度の維持効果を示し飲用にも好適な水素含有水が得られる。
【0034】
請求項3の発明の水素含有水の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、前記調製した分散液を酸との混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にする酸混合工程と、前記酸性にした分散液をアルカリとの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、前記アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程とを具備し、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れか1以上の工程後の分散液に糖類及び/または多糖類を混合したものである。
【0035】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、糖類及び/または多糖類を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0036】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0037】
特に、糖類及び/または多糖類の混合により、糖類及び/または多糖類とリン酸及び/またはリン酸塩との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大すると考えている。これにより、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持された。
【0038】
したがって、請求項3の発明の水素含有水の製造方法によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水が得られる。
【0039】
請求項4の発明の水素含有水の製造方法は、前記糖類及び/または多糖類は、前記水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0040】
糖類及び/または多糖類を上記範囲内とすることで、請求項3の効果に加えて、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な水素濃度の維持効果を示す飲用に好適な水素含有水を得ることができる。
【0041】
請求項5の発明の水素含有水の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して分散液を調製する混合工程と、前記調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程と、前記酸性にした分散液をアルカリの混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程と、前記アルカリ混合後の分散液を再度酸の混合によりpH1以上、pH5未満とする第2の酸混合工程と、前記再度酸が混合された分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程とを具備するのである。
【0042】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する前において、前記アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とした分散液を再度酸と混合してpH1以上、pH5未満としてから、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0043】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0044】
特に、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とした分散液を再度酸と混合してpH1以上、pH5未満としてから陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことにより、錯体状物の形成が促進されたり、錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されたと考えている。また、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで、水の電気分解による水素生成量が増大したことも考えられる。
【0045】
したがって、請求項5の発明の水素含有水の製造方法によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水が得られる。
【0046】
請求項6の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記電圧印加工程後の分散液に再度アルカリを混合する第2のアルカリ混合工程を具備し、pHを上昇させることができることから、請求項5の効果に加えて、飲用に適した風味の水素含有水を得ることができる。
【0047】
請求項7の発明の水素含有水の製造方法は、請求項1乃至請求項6の何れか1つの構成において、前記酸の添加総量は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内としたものである。
【0048】
酸の添加総量を上記範囲内とすることで、請求項1乃至請求項6の何れか1つの効果に加えて、確実に高い水素濃度を長い間維持することができ、かつ、風味や透明性が良好で飲用に好適な水素含有水が得られる。
【0049】
請求項8の発明の水素含有水の製造方法は、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して調製する分散液100重量部とするとき、前記マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少の何れか1つなくとも1種が、5〜20重量部の範囲内で混合され、前記リン酸及び/またはリン酸塩が、10〜30重量部の範囲内で混合されたものである。
【0050】
マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種を上記範囲内の配合とすることで、また、リン酸及び/またはリン酸を上記範囲内の配合とすることで、請求項1乃至請求項7の何れか1つの効果に加えて、確実に、高い水素濃度を長い間維持でき、かつ、風味や透明性が良好で飲用に好適な水素含有水が得られる。
【0051】
請求項9の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れか1以上の工程後の分散液に金属の塩化物を混合したことから、請求項1乃至請求項8の何れか1つの効果に加えて、微生物の増殖を抑制できて保存性を向上できる水素含有水が得られる。
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物を混合することで、微生物の増殖が防止され保存性が向上されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが微生物の増殖防止に関与し、特に、錯体状物がイオン交換能を有し、錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても微生物の増殖を防止する効果が持続的に発揮される。
【0052】
請求項10の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記電圧印加工程後に、水で10〜1000倍に希釈したことから、請求項1乃至請求項9の何れか1つの効果に加えて、風味が良好で飲用に適する水素含有水が得られる。
【0053】
請求項11の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記電圧印加工程の後に、水で10〜1000倍に希釈した後、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことから、請求項1乃至請求項9の何れか1つの効果に加えて、風味が良好で飲用に適し、また、確実に高い水素濃度を維持できる水素含有水が得られる。
【0054】
請求項12の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れか1以上の工程後の分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合したことから、請求項3乃至請求項11の何れか1つの効果に加えて、より高い水素濃度の維持効果を示す水素含有水が得られる。
鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の混合により、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が取り込まれマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化することも考えられる。これにより、水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持される。
【0055】
請求項13の発明の水素含有水の製造方法によれば、更に、前記分散液を調製するとき、及び/または、前記何れか1以上の工程後の前記分散液に糖類及び/または多糖類を混合したことから、請求項5乃至請求項12の何れか1つの効果に加えて、更に高い水素濃度の維持効果を示す水素含有水が得られる。
糖類及び/または多糖類を混合することで、糖類及び/または多糖類とリン酸及び/またはリン酸塩との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大すると考えている。これにより、水素濃度が更に増大し、顕著に高い水素濃度が長い間維持される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は本発明の実施の形態1に係る水素含有水の製造工程を示すフローチャートである。
図2図2は本発明の実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る水素含有水において経時的に水素濃度を測定した結果を比較例1及び比較例2と比較して示すグラフである。
図3図3は本発明の実施の形態1の実施例2に係る水素含有水について、製造11カ月または12カ月経過後に水素濃度を経時的に測定した結果を示すグラフである。
図4図4は本発明の実施の形態1の実施例3及び実施例4に係る水素含有水において経時的に水素濃度を測定した結果を比較例3と比較して示すグラフである。
図5図5は本発明の実施の形態2に係る水素含有水の製造工程を示すフローチャートである。
図6図6は本発明の実施の形態2の実施例5に係る水素含有水において経時的に水素濃度を測定した結果を比較例4と比較して示すグラフである。
図7図7は本発明の実施の形態2の実施例5及び実施例6に係る水素含有水において経時的に水素濃度を測定した結果を示すグラフである。
図8図8は本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る水素含有水を天然水で希釈し加熱殺菌した後に容器に充填して密閉することにより、加熱殺菌して密閉容器入り水素含有水を製造する製造工程を示すフローチャートである。
図9図9は本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る水素含有水を天然水で希釈し加熱殺菌することなく容器に充填して密閉することにより、非加熱で密閉容器入り水素含有水を製造する製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0058】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る水素含有水の製造方法について、図1を参照して説明する。
本発明の実施の形態1の水素含有水1の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩のリン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を有機酸50の添加により酸処理して酸性にする酸混合工程(ステップS20)と、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合するアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60が混合された分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS40)を具備する。
そして、本実施の形態1では、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70が混合される。
【0059】
以下、図1のフローチャートを参照して、本実施の形態1の水素含有水1の製造方法を具体的に説明する。
本実施の形態1では、最初に、混合工程(ステップS10)にて、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30等を混合して分散液40を調製する。
【0060】
ここで、マグネシウム/カルシウム10は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物から選ばれる1種または2種以上であればよく、マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、塩化マグネシウム(MgCl)等が挙げられ、カルシウム化合物としては、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられる。水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。
本発明を実施する場合、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物は、そのままの形態で混合することも可能であるし、水と混合しマグネシウム/カルシウム分散液として混合することも可能である。
【0061】
リン酸/リン酸塩20は、リン酸及びリン酸塩のうちの何れか1種以上が使用され、リン酸塩としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛等が挙げられる。水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。
本発明を実施する場合、リン酸、リン酸塩は、そのままの形態で混合することも可能であるし、水と混合しリン酸/リン酸塩水溶液として混合することも可能である。
また、本実施の形態1で使用する水30としては、純水、滅菌水、蒸留水、イオン交換水、濾過水等の精製水が好適である。
【0062】
そして、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製する分散液40を100重量部とするとき、マグネシウム/カルシウム10が、5〜20重量部の範囲内で配合され、リン酸/リン酸塩20が、10〜30重量部の範囲内で配合されるのが好ましい。上記範囲内の配合とすることで、確実に、高い水素濃度を長い間維持でき、かつ、風味や透明性が良好で飲用に好適な水素含有水1が得られる。
【0063】
この混合工程(ステップS10)において、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合することで、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20が反応して、マグネシウム/カルシウムーリン酸の錯体状物やマグネシウム/カルシウムのリン酸塩が形成されたり、マグネシウム/カルシウムイオンが生成したりする。
【0064】
続いて、本実施の形態1では、酸混合工程(ステップS20)にて、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40に有機酸50を混合し、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40とする。より好ましくは、pH2以上、pH4以下である。
ここで、分散液40のpHは、pHメーターよりもpH試験紙で測定することで、共存イオンの影響を排除して正確なpHを測定できることから、pH試験紙で測定したものである。
【0065】
有機酸50としては、クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸及びそれらの水溶性の塩等が挙げられ、水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。有機酸50は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
【0066】
ここで、有機酸50の添加量は、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20との合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内とするのが好ましい。また、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30を混合して作製した分散液(40)100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
有機酸50の添加量を上記範囲内とすることで、その後の処理操作性も高くなり、確実に高い水素濃度を長く維持できる水素含有水1が得られ、また、風味や透明性が良好で飲用に好適なものとなる。
なお、有機酸50は、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合して有機酸水溶液(例えば、3〜20質量%濃度)の形態で、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40に混合してもよい。
【0067】
酸混合工程(ステップS20)において、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50で酸処理して酸性にすることで、分散液40の分散性が高まって反応が促進されやすくなり、その後の処理操作性も良く、水素の生成や吸着固定に関与する錯体状物の形成が促進されたり安定性が高められたりするため、水素濃度が高い水素含有水1が得られる。また、濁度が低下して透明度が増す。
【0068】
次いで、本実施の形態1では、アルカリ混合工程(ステップS30)にて、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40にアルカリ60を混合して、pH試験紙による測定でpH3以上、pH8未満の分散液40とする。より好ましくは、pH5以上、pH8未満である。
【0069】
アルカリ60としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられ、水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。アルカリ60は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
【0070】
なお、アルカリ60の添加量は、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と有機酸50の合計配合量100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
アルカリ60の添加量を上記範囲内とすることで、確実に高い水素濃度を長く維持できる水素含有水1が得られ、また、風味や透明性が良好で飲用に好適なものとなる。
また、アルカリ60は、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合してアルカリ水溶液(例えば、1〜12質量%濃度)の形態で、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40に混合してもよい。
【0071】
アルカリ混合工程(ステップS30)において、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合することで、確実に高い水素濃度を長い間維持できる水素含有水1が安定的に得られ、また、風味が良好で飲用に好適な水素含有水1とすることができる。
【0072】
次に、本実施の形態1では、電圧印加工程(ステップS40)にて、アルカリ混合工程(ステップS30)でアルカリ60が混合された分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起している。
このときの陰極及び陽極は、不活性な電極であれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることかできる。このときの陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良く(例えば、3〜20V)、電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定される(例えば、5A〜10A)。電圧を印加し、励起する時間は、溶液量、溶液中の成分量、電圧をかけた後の所望とする水素濃度(溶存水素量、水素含有量)等を考慮して適宜設定される(例えば、1〜200分間)。
【0073】
電圧印加工程(ステップS40)において、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に電圧を印加し、励起することで、電荷(電子)移動が生じ、水素の生成や吸着固定に関与する錯体状物の電荷バランスが調整され安定性が増し、錯体状物への水素分子(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されやすくなったり安定したりする。また、水が電気分解され、水の電気分解により水素(H)が生成する。
【0074】
そして、本実施の形態1の水素含有水1の製造においては、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70が添加される。鉄/亜鉛70を混合することで、後述するように、水素濃度が増大し、より高い水素濃度が長い間維持される。
【0075】
ここで、鉄/亜鉛70は、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物から選ばれる1種または2種以上であればよく、鉄化合物としては、例えば、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、硫酸第1鉄(FeSO・7HO)、酸化鉄(II)(FeO)、四酸化三鉄(Fe)、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム等が挙げられる。亜鉛化合物としては、塩化亜鉛(ZnCl)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸亜鉛(ZnSO)、グルコン酸亜鉛(C122214Zn)等が挙げられる。水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。
本発明を実施する場合、鉄/亜鉛70は、そのまま添加することも可能であるし、水と混合し鉄/亜鉛水溶液として添加することも可能である。
【0076】
鉄/亜鉛70を添加するタイミングは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して分散液40を調製するときでも良いし、これらを混合して分散液40を調製した後でも良いし、有機酸50と混合して酸性の分散液40とした後でも良いし、アルカリ60と混合した後の分散液40であっても良いし、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起した後の分散液40であっても良い。
特に、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起することによって電子の移動(供受)が促進されることから、電圧印加を行う前までに分散液40に鉄/亜鉛70を添加した場合、鉄/亜鉛70による高い水素濃度の増大効果が期待できる。更には有機酸50と混合する前の分散液40を調製する段階で添加した場合、鉄/亜鉛70によるより高い水素濃度の増大効果が期待できる。
【0077】
また、鉄/亜鉛70は、水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されることが好ましい。
鉄/亜鉛70の配合を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に高い水素濃度の維持効果が得られる。なお、水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内とは、後述するミネラルウォータ等の水で希釈される前の水素含有水1の1L当たりに対して1〜100mgの範囲内で鉄/亜鉛70が配合されることを示す。
【0078】
このように、本実施の形態1では、混合工程(ステップS10)において、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製し、酸混合工程(ステップS20)において、調製した分散液40を有機酸50の添加により酸性にし、アルカリ混合工程(ステップS30)において、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合し、電圧印加工程(ステップS40)において、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することにより、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30を混合して分散液40を調製するときから電圧印加後に至るまでの間に、分散液40に鉄/亜鉛70を添加し、水素含有水1を製造した。
【0079】
このようにして製造した水素含有水1について、水素濃度(水素含有量、溶存水素量)を測定すると、製造直後では、例えば、100〜1500μg/Lであり、その後、継続して測定を行った(測定時には攪拌を行った)ところ、数日間は水素濃度が高いままであった。更に、製造後に、水素含有水1をペットボトルに充填し密閉して放置し、12カ月経過後にペットボトルを開封して水素濃度を測定したところ、製造直後の水素濃度と同等以上の高い水素濃度を示し、ペットボトル開封後も数日間は高い水素濃度が維持された。
【0080】
また、水素含有水1を飲用とする場合には、電圧印加工程(ステップS40)後に、ミネラルウォータ(天然水)等の水で、例えば、10〜1000倍に希釈することで、風味的に飲用に好適なものとなる。
そして、本発明においては、水で希釈しても、希釈倍率で換算される値よりも高い水素濃度が数日間維持された。また、ペットボトルに充填して密閉した場合、12カ月経過後も高い水素濃度を示し、ペットボトル開封後も数日間は高い水素濃度が維持された。
特に、希釈後に再度陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起することにより、安定して高い水素濃度が得られて所定の高い水素濃度が維持された。
なお、水素濃度の測定は、共栄電子研究所製KM2100DH(電極は隔膜式ポーラロ方式、溶存水素を定量的に測定する)によって測定したものである。また、測定時には水素含有水1を攪拌してから測定を行っている。
【0081】
このような製造方法によって得られた水素含有水1において、ペットボトル等の容器に入れて密封した場合では、12カ月以上もの長期間高い水素濃度が維持され、更に開放系(ペットボトル開封時の圧力変化や攪拌等の物理的衝撃が加えられる状態)でも数日間高い水素濃度が維持される理由については必ずしも明らかではないが、製造後も水素(H)を生成する反応が生じて多くの水素(H)が生成され、また、水素(H)や、電子(e-)と結び付いて水素(H)となる水素イオン(H)が水素含有水1中の分散物、詳しくは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の混合により形成されるマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に吸着して固定されることで散逸し難くなっているためであると発明者らは考えている。
【0082】
本発明者の実験研究では、上述した製造方法によって製造された水素含有水1において、製造直後から経時的に水素濃度を測定したところ、製造直後よりも水素濃度が上昇する場合があることを確認しており、特に、水で希釈した後、再度陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけなくとも、希釈倍率で換算される値より高い水素濃度が製造後数日間維持された。
したがって、水の電気分解によって水素が生成されることに加え、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物、特に、鉄/亜鉛70の混合により形成されるマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛の錯体状物の触媒的作用によっても、以下の反応式(1)と(2)に示した反応が促進されて水素が生成されるものと推測される。
2HO→2H+2OH・・・(1)
2H+2e→H・・・(2)
【0083】
また、混合工程(ステップS10)におけるマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30の混合により、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の反応でMg2+、Ca2+が生じ(以下、Mg2+の例で示すが、Ca2+も同様である)、例えば、以下の反応式(3)、(4)に示した反応によって水素が生成された可能性もある。
Mg2++4e+H0→2H+2MgO・・・(3)
Mg2++2HO+2e→Mg(OH)+H・・・(4)
【0084】
更に、酸混合工程(ステップS20)での有機酸50による酸処理で、MgH(PO)、Mg(POが生じ、その後のアルカリ混合工程(ステップ30)でのアルカリ60の混合によって以下の反応式(5)と(6)に示した反応が生じ、この反応によっても水素が生成された可能性もある。
Mg(PO+5H0+Mg+4H
→Mg10(PO(OH)+12H・・・(5)
12H+12e→6H・・・(6)
【0085】
また、本発明の水素含有水1においては、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20が混合されたことで、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物(例えば、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH)の錯体状物や、Mg10(PO(OH)の錯体状物等)が形成され、特に、鉄/亜鉛70の混合により、マグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛の錯体状物も形成され、このような錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着して固定されており、それによって、水素が散逸し難く、例えばぺットボトルに充填して密閉した後も、水素や水素イオンが吸着固定された錯体状物がぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であることで水素がペットボトルから抜け難くなっていると考えられる。
【0086】
そして、特に、鉄/亜鉛70を混合することで、鉄/亜鉛70を混合しないときと比べて、水素濃度が顕著に増大して高い水素濃度が長い間維持された。
これは、鉄/亜鉛70の混合によってマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わりマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物が形成され、このマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わって形成されたマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物により、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されたためであると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したことも考えられる。
【0087】
更に、本発明者の実験研究によれば、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に、糖類及び/または多糖類80を添加することによっても、水素濃度が顕著に増大して高い水素濃度が長い間維持されることを確認した。
【0088】
これは、糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20の結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されたことに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大したためであると考えている。
【0089】
このような糖類/多糖類80としては、例えば、ブドウ糖、果糖、砂糖、乳糖、麦芽糖糖の糖類や、オリゴ糖、デキストリン、でんぷん等の多糖類が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよいし、両者を併用することも可能である。
本発明を実施する場合、糖類/多糖類80は、そのまま添加することも可能であるし、水と混合して糖類/多糖類水溶液の形態で添加することも可能である。
【0090】
糖類/多糖類80を添加するタイミングは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して分散液40を調製するときでも良いし、これらを混合して分散液40を調製した後でも良いし、有機酸50が混合されて酸性の分散液40とした後でも良いし、アルカリ60混合後の分散液40であっても良いし、電圧印加後の分散液40であっても良い。
特に、電圧の印加によって電子の移動(授受)が促進されることから、電圧印加を行う前までに分散液40に糖類/多糖類80を添加した場合、糖類/多糖類80による高い水素濃度の増大効果が期待できる。更には有機酸50と混合する前の分散液40を調製する段階で添加した場合、糖類/多糖類80によるより高い水素濃度の増大効果が期待できる。
【0091】
糖類/多糖類80の配合は、水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されるのが好ましい。
糖類/多糖類80の配合を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に高い水素濃度の維持効果が得られる。なお、水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内とは、後述するミネラルウォータ等の水で希釈される前の水素含有水1の1L当たりに対して10〜100mgの範囲内で糖類/多糖類80が配合されることを示す。
【0092】
加えて、本発明者の実験研究によれば、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ナトリウム(NaCl)等の塩化物90を混合することで、細菌、カビ等の微生物の増殖が抑制され保存性(日持ち)が向上した。
これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが細菌、カビ等の微生物の増殖抑制に関与しており、特に、上記のマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物がイオン交換能を有し、この錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても微生物の増殖を抑制する効果が持続的に発揮される。
なお、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等はマグネシウム/カルシウム10として使用することも可能であり、マグネシウム/カルシウム10として塩化マグネシウム、塩化カルシウム使用した場合でも同様の効果が得られる。塩化物90として塩化マグネシウム、塩化カルシウムを使用する場合には、電圧印加工程(ステップ40)に至るまでの間に分散液40に混合されることで塩化マグネシウムのマグネシウムや塩化カルシウムのカルシウムが錯体状物の形成に関与し、水素濃度の増大を期待できる。
【0093】
更に、本発明を実施する場合、電圧印加工程(ステップS40)後の分散液40にミネラルを添加することも可能である。ミネラルを添加することで、水素含有水1を飲用とした場合には、ミネラルの摂取による栄養補給が可能となる。特に、ミネラルとして硫酸銅を添加した場合、細菌、カビ等の微生物の増殖を抑制でき保存性(日持ち)を向上できる。本発明者の実験研究では、硫酸銅を、例えば、電圧印加工程(ステップS40)後の分散液(40)100重量部に対し0.0002重量部〜0.02重量部の範囲内で添加することで、水素含有水1を製造後加熱することなく蓋をして放置した場合、6カ月経過後も濁度が上昇することなく微生物の増殖が抑制されることを確認している。
【0094】
このように本実施の形態1の水素含有水1によれば、ペットボトル等の容器に入れ密閉した場合には、長期間高い水素濃度を維持でき、また、ペットボトル等の密閉容器に入れて開封した後も、即ち、開封時の圧力変化や攪拌等の物理的衝撃が生じた後でも、長時間高い水素濃度を維持できることから、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。したがって、水素を効率的に体内に取り入れることが可能であり、水素の病気予防や健康増進等といった有用な効能効果が期待できる。特に、上述したアパタイト系(Ca10(PO(OH)やMg10(PO(OH)等)の錯体状物は生体親和性が高く、これに水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されて体内に摂取されることで水素による高い効能効果が期待できる。
【0095】
次に、本発明の実施の形態1に係る水素含有水1の実施例を具体的に説明する。
まず、実施例1及び実施例2に係る水素含有水1、並びに、比較例1及び比較例2に係る水素含有水について説明する。
図1のフローチャートにしたがい、表1に示した配合内容で実施例1及び実施例2に係る水素含有水1を製造した。また、比較のために表1に示した配合内容の比較例1及び比較例2にかかる水素含有水を製造した。
表1に実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2の配合内容について示す。表1の数値は各配合成分を重量部〔g〕で示したものである。
【0096】
【表1】
【0097】
具体的に、実施例1においては、まず、マグネシウム/カルシウム10としての酸化マグネシウム(MgO)と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム分散液Aを作製し、このマグネシウム分散液Aを、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bに加えて攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置して分散液40を調製することで、混合工程(ステップS10)を実施した。得られた分散液40は、混合直後はコロイド状に白濁し、静置後には白い沈殿物と透明な上澄みに分かれた。
【0098】
次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して酸処理を行うことで、酸混合工程(ステップS20)を実施した。酸処理後の分散液40は、殆ど透明であり、pH試験紙による測定でpH=2〜3であった。
【0099】
続いて、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40と、アルカリ50としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40は、殆ど透明であり、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
【0100】
次いで、アルカリ混合工程(ステップS30)でアルカリ60が混合された分散液40に対して4〜7Vで7Aの直流を5分間流して電圧印加を行い、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
そして、実施例1では、電圧印加後に精製水で100倍に希釈した後、鉄/亜鉛70としての鉄を添加することで、実施例1に係る水素含有水1を得た。鉄を混合する際には、表1に示した配合量の鉄を精製水と混合し鉄水溶液として混合した。なお、得られた水素含有水1は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0101】
実施例2においては、アルカリ混合工程(ステップS30)までは実施例1と同様に行い、アルカリ60混合後の分散液40に塩化物90として塩化マグネシウム(MgCl)を添加した後に、3〜4Vで7Aの直流を5分間流して電圧印加を行い、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。そして、実施例2においても、電圧印加後に精製水で100倍に希釈した後、鉄/亜鉛70としての鉄を添加し、実施例2に係る水素含有水1を得た。鉄を混合する際には、表1に示した配合量の鉄を精製水と混合し鉄水溶液として混合した。なお、得られた水素含有水1は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0102】
また、比較のために比較例1及び比較例2として、鉄/亜鉛70を添加しない水素含有水を製造した。
比較例1は、鉄/亜鉛70を添加しない以外は、実施例1と同様の配合内容及び製造手順で製造したものである。
比較例2は、鉄/亜鉛70を添加しない以外は、実施例2と同様の配合内容及び製造手順で製造したものである。
【0103】
そして、このようにして製造した実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2に係る水素含有水について経時的に水素濃度の測定を行った。
測定に際しては、製造した水素含有水をペットボトルに充填し、キャップを閉めた状態で暗所常温下に放置したものについて行い、測定時には開封してペットボトル内の水素含有水を測定用の容器に移し攪拌しながら測定した。開封したペットボトルは再度キャップを閉めて次の測定時まで暗所常温下で放置した。このときの測定結果を図2のグラフに示す。
【0104】
ここで、実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2においては、電圧印加工程(ステップS40)後であって、精製水で100倍希釈する前の段階にて水素濃度を測定したところ、水素濃度が100〜200μg/Lであった。
そして、実施例1及び実施例2においては、電圧印加工程(ステップS40)後に精製水で100倍希釈し、更に鉄70を添加したところ、100倍希釈したのにも関わらず、図2のグラフに示したように、実施例1では、最高で水素濃度の測定値が180μg/Lを示し、希釈倍率で換算される値よりも水素濃度が増大しており、更に製造日から4日経過しても22μg/Lを示した。また、実施例2では、最高で水素濃度の測定値が210μg/Lを示し、製造日から4日経過しても25μg/Lの測定値が得られた。
これに対し、鉄70を添加していない比較例1及び比較例2では、100倍希釈によって水素濃度が10μg/L未満となり、水素濃度の増大も見られなかった。
【0105】
このように鉄70を添加した実施例1及び実施例2では、振とうや攪拌等の物理的衝撃が加わったり、ペットボトル開封等の気圧変動が生じたりしても、数日間は高い水素濃度が維持されることが分かる。
そして、本発明者の実験研究では、実施例1及び実施例2の水素含有水1を製造直後にペットボトルに入れて密閉し、常温下で放置して、12カ月経過した後に、ペットボトルを開封して数日間水素濃度を上記と同様に測定した場合でも、最高で水素濃度の測定値が50μg/Lを示し、開封後4〜5日間は高い水素濃度が維持されることを確認している。
また、電圧印加工程(ステップS40)後に精製水で100倍希釈することなく鉄を添加した製造直後にペットボトルに入れて密閉し、常温下で放置して、12カ月経過した後に、ペットボトルを開封して精製水で100倍希釈してから数日間水素濃度を上記と同様に測定した場合でも、高い水素濃度を示した。
念のため、図3において、実施例2の水素含有水1について、電圧印加工程(ステップS40)後に精製水で100倍希釈することなく鉄を添加し、その製造直後にペットボトルに入れて密閉し、常温下で放置して、11カ月または12カ月経過後に、ペットボトルを開封して精製水で100倍希釈してから数日間水素濃度を測定した結果のグラフを示す。図3において、実施例2aは製造後11カ月経過した水素含有水1を精製水で100倍希釈したものについての測定であり、実施例2bは、製造後11カ月経過した水素含有水1を精製水で100倍希釈した後に90℃で30分間加熱したものについての測定である。また、実施例2cは製造後12カ月経過した水素含有水1を精製水で100倍希釈したものについての測定であり、実施例2dは、製造後12カ月経過した水素含有水1を精製水で100倍希釈した後に90℃で30分間加熱したものについての測定である。電圧印加工程(ステップS40)直後の測定では、水素濃度が100〜200μg/Lであり、それを製造11カ月または12カ月経過後に100倍希釈したのにも関わらず、図3のグラフに示すように、製造11〜12カ月経過後も、最高で水素濃度の測定値が65〜70μg/Lを示し、開封後4〜7日間は高い水素濃度が維持されていることが分かる。また、加熱を行っても高い水素濃度が維持されていた。
【0106】
これは、上述したように、ぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であるマグネシウムーリン酸系の錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されることで水素がペットボトルから抜け難くなっているうえ、希釈倍率で換算される値よりも水素濃度が増大していることから、製造後でもこの錯体状物によって上記の反応式で示したような反応が促進されて水素の生成が生じているためと思われる。特に、鉄70が添加されたことで、マグネシウムーリン酸―鉄―錯体状物が形成され、それによって電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進され、また、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したと推測される。これにより、実施例1及び実施例2では、比較例1及び比較例2よりも高い水素濃度が長い間維持されたと思われる。
なお、本発明者の実験研究によれば、第2塩化鉄(FeCl)や第3塩化鉄(FeCl)を添加しても同様に水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持されることを確認している。
このように実施例1及び実施例2に係る水素含有水1によれば、ペットボトル等の密閉容器に入れても長期間高い水素濃度を維持でき、容器開封後でも、即ち、容器開封等による圧力変化や攪拌等することによる外力(物理的衝撃)が加わっても、水素濃度が急激に減ることなく高い水素濃度が長時間維持されることで、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
【0107】
なお、本発明者は、水素含有水1をペットボトル等の容器に入れて密閉された状態では、容器内の圧力が高いために上述した水素生成の反応が極めて遅く、しかも、ぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であるマグネシウムーリン酸系の錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されていることで、長期間高い水素濃度が維持されると考えている。
そして、ペットボトル等の容器を開封等することによる圧力変化、また、攪拌等することによる外力(物理的衝撃)によって、上述した水素生成の反応が促進されたり、錯体状物に吸着固定されていた水素や水素イオンが遊離したりすることで、水素測定器による測定で高い水素濃度が検出されたと考えている。
また、製造日から1日〜3日経過後に水素濃度が高い数値を示す傾向があるが、これは上記圧力変化や物理的刺激によって水素発生量が増大したことや、水素濃度測定器の磁気スタラーの磁気エネルギーを誘導するのに時間がかかることにその要因があると考えられる。
【0108】
更に、塩化マグネシウムを添加した実施例2及び比較例2では、微生物の増殖が抑えられ製造後に開放状態で1年間放置しても、微生物の繁殖による濁度上昇が見られなかった。
【0109】
次に、実施例3及び実施例4に係る水素含有水1、並びに、比較例3に係る水素含有水について説明する。
図1のフローチャートにしたがい、表2に示した配合内容で実施例3及び実施例4に係る水素含有水1を製造した。また、比較のために表2に示した配合内容の比較例3に係る水素含有水も製造した。
表2に実施例3及び実施例4並びに比較例3の配合内容について示す。表2の数値は各配合成分を重量部〔g〕で示したものである。
【0110】
【表2】
【0111】
実施例3においては、まず、マグネシウム/カルシウム10としての炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム/カルシウム分散液Aを作製し、このマグネシウム/カルシウム分散液Aを作製する際に、鉄/亜鉛70としてのグルコン酸亜鉛(C122214Zn)を混合した。混合の際には、表2に示した配合量のグルコン酸亜鉛を精製水と混合しグルコン酸亜鉛水溶液としてマグネシウム/カルシウム分散液Aに混合した。そして、このグルコン酸亜鉛が混合されたマグネシウム/カルシウム混合液Aと、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bとを混合し攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置し、更に、塩化マグネシウム(MgCl)(マグネシウム/カルシウム10や塩化物90に相当)を添加し攪拌して分散液40を調製し、混合工程(ステップS10)を実施した。
ここで、グルコン酸亜鉛は、有機酸の一種であるグルコン酸の金属塩であり、有機酸50にも相当する。したがって、グルコン酸亜鉛を混合することで、酸混合工程(ステップS20)を実施することにもなるが、実施例3では、このように調製した分散液40に、別途有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cを混合し攪拌することでも酸混合工程(ステップS20)を実施した。酸混合工程(ステップS20)後の分散液40は、沈殿物がなくて濁度も極めて低く、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
【0112】
続いて、このようにして酸性にした分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び水酸化ナトリウム(NaOH)並びに精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH=4〜5であった。
【0113】
次いで、アルカリ混合工程(ステップS30)でアルカリ60が混合された分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に4〜5Vで5Aの直流を60分間流して励起する電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
更に、電圧をかけた後に水素含有水1を精製水で100倍に希釈し、実施例3に係る水素含有水1を得た。なお、得られた水素含有水1は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0114】
実施例4では、更に、糖類/多糖類80としてグルコースを添加した。
実施例4においては、初めに、マグネシウム/カルシウム10としての炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム/カルシウム分散液Aを作製する際に、糖類/多糖類80としてグルコースを混合した。混合の際には、表2に示した配合量のグルコースを精製水と混合しグルコース水溶液としてマグネシウム/カルシウム分散液Aに混合した。そして、このグルコースが混合されたマグネシウム/カルシウム分散液Aと、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bとを混合し攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置し、更に、塩化マグネシウム(MgCl)(マグネシウム/カルシウム10や塩化物90に相当)を添加し攪拌して分散液40を調製し、混合工程(ステップS10)を実施した。
【0115】
次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して、酸混合工程(ステップS20)を実施した。酸処理後の分散液40は、沈殿物がなく濁度が低下し、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
【0116】
続いて、酸混合工程(ステップS20)で酸処理した分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び水酸化ナトリウム(NaOH)並びに精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH=4〜5であった。
そして、本実施例4においては、アルカリ60混合後の分散液40に鉄/亜鉛70としてのグルコン酸亜鉛(C122214Zn)を混合した。混合の際には、表2に示した配合量のグルコン酸亜鉛を精製水と混合してグルコン酸亜鉛水溶液として分散液40に混合した。
【0117】
次いで、このようにしてアルカリ60及びグルコン酸亜鉛が混合された分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に4〜5Vで5Aの直流を60分間流して、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
更に、電圧をかけて励起した後に精製水で100倍に希釈し、実施例4に係る水素含有水1を得た。なお、得られた水素含有水1は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0118】
また、比較のために比較例3として、鉄/亜鉛70及び糖類/多糖類80を添加しない水素含有水を製造した。
比較例3では、マグネシウム/カルシウム10としての炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム/カルシウム分散液Aを作製し、この分散液Aを、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bに混合し攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置し、更に、塩化マグネシウム(MgCl)(マグネシウム/カルシウム10や塩化物90に相当)を添加し攪拌して分散液40を調製し、混合工程(ステップS10)を実施した。
次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して、酸混合工程(ステップS20)を実施した。
続いて、酸混合工程(ステップS20)で酸処理した分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。
【0119】
次いで、アルカリ60混合後の分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に5〜6Vで5Aの直流を50分間流して、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
更に、電圧を印加した後に精製水で100倍に希釈して比較例3に係る水素含有水1を得た。なお、得られた水素含有水1は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0120】
そして、このようにして製造した実施例3及び実施例4並びに比較例3に係る水素含有水についても、経時的に水素濃度の測定を行った。測定に際しては、製造した水素含有水をペットボトルに充填し、キャップを閉めた状態で暗所常温下に放置したものについて行い、測定時にはペットボトル内の水素含有水を測定用の容器に移し攪拌しながら測定した。開封したペットボトルは再度キャップを閉めて次の測定時まで暗所常温下で放置した。このときの測定結果を図4のグラフに示す。
【0121】
ここで、電圧印加工程(ステップS40)後であって、精製水で100倍希釈する前の段階にて水素濃度を測定したところ、グルコン酸亜鉛が添加された実施例3では、水素濃度が500〜600μg/lであり、グルコン酸亜鉛及びグルコースが添加された実施例4では、水素濃度が500〜700μg/lであり、グルコン酸亜鉛もグルコースも添加されていない比較例3では、水素濃度が100〜120μg/lであった。
【0122】
そして、上述したように、電圧印加工程(ステップS40)後に精製水で100倍希釈しペットボトルに充填して経時的な水素濃度の測定を行ったところ100倍希釈したのにも関わらず、図4のグラフに示したように、グルコン酸亜鉛が添加された実施例3では、最高で水素濃度の測定値が40μg/Lを示し、希釈倍率で換算される値よりも水素濃度が増大しており、更に製造日から5日(120h)経過しても25μg/Lを示した。また、グルコン酸亜鉛及びグルコースが添加された実施例4でも、最高で水素濃度の測定値が50μg/Lを示し、製造日から5日(120h)経過しても33μg/Lの測定値を示し、実施例1よりもより高い水素濃度が長時間維持された。
これに対し、グルコン酸亜鉛70及びグルコース80を添加していない比較例3では、100倍希釈によって水素濃度が10μg/L未満となり、水素濃度の増大も殆ど見られなかった。
【0123】
このようにグルコン酸亜鉛70を添加した実施例3及びグルコン酸亜鉛70とグルコース80を添加した実施例4では、攪拌等の物理的衝撃が加わったり、ペットボトル開封等の気圧変動が生じたりしても、数日間高い水素濃度が維持されることが分かる。
【0124】
なお、本発明者は、実施例3及び実施例4において、100倍希釈した後、再度陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧(4〜5V、5A、60分間)をかけて励起した水素含有水1について測定用のガラス容器またはペットボトルに入れて蓋を閉めることなく開放状態とし、1時間毎に水素濃度の測定を攪拌下で行った。その結果、24時間後でも、水素濃度の低下は2〜4μg/lであり、製造後3日経過しても水素濃度が10μg/l以上あった。したがって、開放状態で放置した場合でも長時間水素濃度が維持される。特に、希釈後に再度の陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起した場合には、安定して高い水素濃度が得られた。
【0125】
また、実施例3において、100倍希釈した後の水素含有水1を再度の電圧印加を行わずにペットボトルに入れ密閉してそのまま常温下で放置し、15日後に、攪拌下で測定を行ったところ、100倍希釈した段階で水素濃度が17μg/Lであったの対し、15日後の測定では66μg/Lを示した。その後、1日毎に測定したところ、製造15日後にペットボトルを開封し測定を開始した日から24時間後においては、45μg/Lを示し、測定開始日から72時間経過後も38〜42μg/Lの水素濃度が維持されていた。 なお、測定に際しては、ペットボトル内の水素含有水を測定用の容器に移し攪拌しながら測定し、開封したペットボトルは再度キャップを閉めて次の測定時まで暗所常温下で放置した。更に、製造12カ月経過した後に、ペットボトル(充填後未開封のもの)を開封して数日間水素濃度を上記と同様に測定した場合でも、最高で水素濃度の測定値が40μg/Lを示し、開封後4〜5日間は高い水素濃度が維持された。実施例4についても同様であり、実施例4ではより高い水素濃度が維持された。
【0126】
このように実施例3及び実施例4に係る水素含有水1においても、ペットボトル等の密閉容器に入れた場合には長期間高い水素濃度を維持でき、容器開封後も、即ち、開封等による気圧変動が生じたり攪拌等の物理的衝撃が加わったりしても、水素濃度が急激に減ることなく高い水素濃度が維持されることで、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
実施例3及び実施例4でもぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であるマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されることで水素がペットボトルから抜け難くなっているうえ、希釈倍率で換算される値よりも水素濃度が増大していることから、製造後でもこの錯体状物によって上記の反応式で示したような反応が促進されて水素の生成が生じているためと思われる。特に、グルコン酸亜鉛が添加されたことで、マグネシウム/カルシウムーリン酸―亜鉛―錯体状物が形成され、それによって電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進され、また、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したと推測される。そして、そのことによって、実施例3及び実施例4では、比較例3よりも高い水素濃度が長い間維持されたと思われる。
【0127】
更に、実施例4においては、グルコース80が添加されたことによって、水素濃度が顕著に増大してより高い水素濃度が長い間維持された。これは、グルコースとリン酸の結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されたことに加え、グルコースが水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとにしても水素が生成されたためと推測される。特に、実施例4では、生体内のエネルギー代謝である解糖系、クエン酸回路、ペントースリン酸回路に関与するグルコン酸(グルコン酸亜鉛)、グルコース、クエン酸が使用されていることで、より一層リン酸との結合・解離反応により電子移動が促進されて上記反応式で示したような電子授受がより円滑に行われることで水素の生成が促進され、高い水素濃度が得られたと考えられる。
【0128】
ここで、グルコン酸亜鉛は、有機酸の一種であるグルコン酸の金属塩であり、有機酸50としての機能も有する。したがって、アルカリ混合工程(ステップ30)後にグルコン酸亜鉛を添加してから陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間に所定の電圧をかけた場合には、後述する実施の形態2のように、錯体状物の形成が促進されたり、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起したことにより調整される錯体状物の電荷バランスが向上して、錯体状物の安定性が増したりすることで、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことにより、安定して高い水素濃度が得られ、長い間維持されたことも考えられる。更に、pHの低い分散液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけたことで水の電気分解による水素生成量も増大したものと思われる。
【0129】
なお、実施例3及び実施例4でも、塩化マグネシウムを添加していることで、製造後に開放状態で6カ月放置しても濁度上昇が見られず微生物の繁殖が抑制されていた。
【0130】
ところで、本発明者の実験研究によれば、マグネシウム/カルシウム10としてマグネシウム化合物、特に酸化マグネシウムを使用した場合、より水素濃度が高い水素含有水1が得られる。これは、カルシウム及び/またはその化合物とリン酸との反応により形成されるカルシウムーリン酸系の錯体状物よりも、マグネシウム及び/またはその化合物とリン酸との反応により形成されるマグネシウムーリン酸系の錯体状物の方がその構造物が小さくて分散しやすいことで、反応性を高くできることにその一因があると考えている。
【0131】
このように上記実施の形態1の水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより得られた水素含有水1であって、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70が混合されてなるものである。
【0132】
また、上記実施の形態1の水素含有水1の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を酸としての有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程(ステップS20)と、酸性にした分散液40をアルカリ60の混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する電圧印加工程(ステップS40)を具備し、分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合したものである。
【0133】
したがって、本実施の形態1の水素含有水1及びその製造方法によれば、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても、水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合では高い水素濃度が長期間維持される。
【0134】
これは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されるためと考えている。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、上記の反応式で示した反応が促進されて水素が生成され、製造後もこの水素生成反応が生じているためと考えている。
そして、特に、鉄/亜鉛70の混合によって、このマグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わって形成されたマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物により、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進され、また、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したために、水素濃度が顕著に増大して高い水素濃度が長い間維持されたと考えられる。
このように、本実施の形態1の水素含有水1及びその製造方法によれば、長い間高い水素濃度を維持できることから、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
【0135】
また、上記実施の形態1の水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより得られた水素含有水1であって、糖類及び/または多糖類80が混合されてなるものである。
【0136】
そして、上記実施の形態1の水素含有水1の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を酸としての有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程(ステップS20)と、酸性にした分散液40をアルカリ60の混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する電圧印加工程(ステップS40)を具備し、分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に、糖類及び/または多糖類80を混合したものである。
【0137】
糖類及び/または多糖類80を混合することでも水素濃度が顕著増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても、水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合では高い水素濃度が長期間維持される。
これは、糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20の結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されたことに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大したためと考えている。
【0138】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る水素含有水の製造方法について、図5を参照して説明する。
本発明の実施の形態2の水素含有水100の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩のリン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を有機酸50の添加により酸処理して酸性にする酸混合工程(ステップS20)と、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合するアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60混合後の分散液40に再度有機酸500を混合する第2の酸混合工程(ステップ120)と、再度の有機酸500混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する電圧印加工程(ステップS40)と、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられ、励起された分散液40に再度アルカリ600を混合する第2のアルカリ混合工程(ステップS130)とを具備する。
【0139】
以下、図5のフローチャートを参照して、本実施の形態2の水素含有水100の製造方法を具体的に説明する。
本実施の形態2でも、最初に、混合工程(ステップS10)にてマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30等を混合して分散液40を調製する。
続いて、酸混合工程(ステップS20)にて、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40に有機酸50を混合し、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40とする。
次いで、アルカリ混合工程(ステップS30)にて、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40にアルカリ60を混合して、pH試験紙による測定でpH3以上、pH8未満の分散液40とする。より好ましくは、pH5以上pH8未満である。
【0140】
そして、本実施の形態2では、第2の酸混合工程(ステップS120)にて、アルカリ60混合後の分散液40に再度有機酸500を混合して酸処理を行い、pH試験紙による測定でpH1以上、pH5未満の分散液40とする。
【0141】
このときの有機酸500としては、有機酸50と同様、クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸及びそれらの水溶性の塩等が挙げられ、水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。有機酸500は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。酸混合工程(ステップS20)で使用した有機酸50と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0142】
本実施の形態2においては、有機酸50と有機酸500の添加総量が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内とするのが好ましい。また、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30を混合して作製した分散液(40)100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
有機酸50と有機酸500の添加総量を上記範囲内とすることで、その後の処理操作性も高くなり、確実に高い水素濃度を長い間維持することができる水素含有水100が得られ、また、風味や透明性が良好な飲用に好適なものとなる。
有機酸500も、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合して有機酸水溶液(3〜20質量%濃度)の形態で添加してもよい。
【0143】
このように、本実施の形態2では、混合工程(ステップS10)にて、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製し、酸混合工程(ステップS20)にて、調製した分散液40を有機酸50の添加により酸性にし、アルカリ混合工程(ステップS30)にて、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合してpH3以上、pH8未満とし、更に、第2の酸混合工程(ステップS120)にて、pH3以上、pH8未満とした分散液40に再度有機酸500を混合してpH1以上、pH5未満としてから電圧印加工程(ステップS40)にて、pH1以上、pH5未満とした分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することで、水素含有水100を製造した。
【0144】
このようにして製造した水素含有水100について、水素濃度を測定すると、製造直後では、例えば、100〜1500μg/Lであり、その後、開放状態で継続して測定を行った(測定時には攪拌を行った)ところ、数日間は水素濃度が高いままであった。更に、製造後に、水素含有水1をペットボトルに充填し密閉して放置し、6カ月経過後にペットボトルを開封して水素濃度を測定したところ、水素濃度が高い値を示し、ペットボトル開封後も数日間は高い水素濃度が維持された。
【0145】
特に、水素含有水100を飲用とする場合には、第2のアルカリ混合工程(ステップS120)にて、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられた分散液40に再度アルカリ600を混合して、pH試験紙による測定でpH3以上、pH8未満の分散液40として、風味が良好で飲用に好適な水素含有水1とするpH調整を行う。
このときのアルカリ600としては、アルカリ60と同様、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられ、水素含有水1を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。アルカリ600は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。アルカリ混合工程(ステップS30)で使用したアルカリ60と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0146】
本実施の形態2では、アルカリ60及びアルカリ600の添加総量が、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の合計配合量100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
アルカリ60及びアルカリ600の添加総量を上記範囲内とすることで、確実に高い水素濃度が長い間維持される水素含有水100が得られ、また、風味や透明性が良好で飲用に好適なものとなる。
なお、アルカリ600も、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合してアルカリ水溶液(例えば、1〜12質量%濃度)の形態で添加してもよい。
【0147】
更に、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)を実施した後、ミネラルウォータ(天然水)等の水で、例えば、10〜1000倍に希釈することで、風味的に飲用に好適なものとなる。
そして、本発明においては、水で希釈しても、希釈倍率で換算される値よりも高い水素濃度が数日間維持された。また、ペットボトルに充填して密閉した場合、12カ月経過後も高い水素濃度を示し、ペットボトル開封後も数日間は高い水素濃度が維持された。
特に、希釈後に再度陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することで、安定して高い水素濃度が得られて所定の高い水素濃度が維持された。
【0148】
本発明者は、このような製造方法によって得られた水素含有水100において、ペットボトル等の容器に入れて密封した場合では、12カ月以上もの長期間高い水素濃度が維持され、更に開放系(ペットボトル開封時の圧力変化や攪拌等の物理的衝撃が加えられる状態)でも数日間高い水素濃度が維持される理由について、必ずしも明らかではないが、製造後も水素(H)を生成する反応が生じて多くの水素(H)が生成され、また、水素(H)や電子(e-)と結び付いて水素となる水素イオン(H)が水素含有水100中の分散物、詳しくは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の混合により形成されるマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に吸着して固定されることで散逸し難くなっているためであると考えている。
本発明者の実験研究では、上述した製造方法によって製造された水素含有水100において、製造直後から経時的に水素濃度を測定したところ、製造直後よりも水素濃度が上昇する場合があることを確認しており、特に、水で希釈した後、再度電圧印加を行わずとも、希釈倍率で換算される値よりも高い水素濃度が製造後数日間維持された。
したがって、水の電気分解によって水素が生成されることに加え、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物の触媒的作用によっても、以下の反応式(1)と(2)に示した反応が促進されて水素が生成されるものと推測される。
2HO→2H+2OH・・・(1)
2H+2e→H・・・(2)
【0149】
また、混合工程(ステップS10)におけるマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30の混合により、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の反応でMg2+、Ca2+が生じ(以下、Mg2+の例で示すが、Ca2+も同様である)、例えば、以下の反応式(3)、(4)に示した反応によって水素が生成された可能性もある。
Mg2++4e+H0→2H+2MgO・・・(3)
Mg2++2HO+2e→Mg(OH)+H・・・(4)
【0150】
更に、酸混合工程(ステップS20)での有機酸50や第2の酸混合工程(ステップS120)による酸処理で、MgH(PO)、Mg(POが生じ、酸混合工程(ステップS20)後のアルカリ混合工程(ステップS30)でのアルカリ60の混合や第のアルカリ混合工程(ステップS130)によって以下の反応式(5)と(6)に示した反応が生じ、この反応によっても水素が生成された可能性もある。
Mg(PO+5H0+Mg+4H
→Mg10(PO(OH)+12H・・・(5)
12H+12e→6H・・・(6)
【0151】
また、本発明の水素含有水100においては、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20が混合されたことで、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物(例えば、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH)の錯体状物や、Mg10(PO(OH)の錯体状物等)が形成され、この錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着して固定されており、それによって、水素が散逸し難く、例えばぺットボトルに充填して密閉した後も、水素や水素イオンが吸着固定された錯体状物がぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であることで水素がペットボトルから抜け難くなっていると考えられる。
【0152】
そして、特に、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の添加により酸性にし、その後アルカリ60を混合することによってpH3以上、pH8未満とした分散液40に、再度有機酸500を混合してpH1以上、pH5未満とし、このようにしてpH変化をさせたpH1以上、pH5未満の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持された。
この理由は明らかではないが、調製した分散液40を酸性にした後、アルカリ60を混合してpH3以上、pH8未満とし、更に、再度の有機酸500の添加によりpH1以上、pH5未満にしてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより錯体状物の形成が促進されたり、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することによって調整される錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ水素濃度が長い間維持されたと考えている。pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで水の電気分解による水素生成量も増大しことも考えられる。
【0153】
更に、本発明者の実験研究によれば、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、第2の酸混合工程(ステップS120)、電圧印加工程(ステップS40)、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)の何れか1以上の工程後の分散液40に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合することで水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持された。
これは、鉄/亜鉛70の混合によって形成されたマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物により、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されたためであると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したことも考えられる。
【0154】
また、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、第2の酸混合工程(ステップS120)、電圧印加工程(ステップS40)、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)の何れか1以上の工程後の分散液40に、糖類または多糖類の何れか1種以上の糖類/多糖類80を添加することによっても、水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持された。
これは、糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20の結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されたことに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大したためと考えている。
【0155】
また、本発明者の実験研究によれば、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、第2の酸混合工程(ステップS120)、電圧印加工程(ステップS40)、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)の何れか1以上の工程後の分散液40に塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ナトリウム(Nacl)等の塩化物90を混合することで、細菌、カビ等の微生物の増殖が抑制され保存性(日持ち)が向上した。
これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが細菌、カビ等の微生物の増殖抑制に関与し、特に、上記錯体状物がイオン交換能を有し、上記錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても細菌、カビ等の増殖を防止する効果が持続的に発揮される。
なお、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等はマグネシウム/カルシウム10として使用することも可能であり、マグネシウム/カルシウム10として塩化マグネシウム、塩化カルシウム使用した場合でも同様の効果が得られる。塩化物90として塩化マグネシウム、塩化カルシウムを使用した場合には、電圧印加工程(ステップ40)に至るまでの間に分散液40に混合されることで塩化マグネシウムのマグネシウムや塩化カルシウムのカルシウムが錯体状物の形成に関与し、水素濃度の増大を期待できる。
【0156】
更に、本発明を実施する場合、電圧印加工程(ステップS40)後の分散液40にミネラルを添加することも可能である。ミネラルを添加することで、水素含有水100を飲用とした場合には、ミネラルの摂取による栄養補給が可能となる。特に、ミネラルとして硫酸銅を添加した場合、細菌、カビ等の微生物の増殖を抑制でき保存性(日持ち)向上できる。本発明者の実験研究では、硫酸銅を、例えば、電圧印加工程(ステップS40)後の分散液(40)100重量部に対し0.0002重量部〜0.02重量部の範囲内で添加することで、水素含有水100を製造後加熱することなく蓋をして放置しても、6カ月経過後も濁度が上昇することなく微生物の増殖が抑制されることを確認した。
【0157】
このように本実施の形態2の水素含有水100においても、ペットボトル等の容器に入れ密閉した場合には、長期間高い水素濃度を維持でき、また、ペットボトル等の密閉容器に入れて開封した後も、即ち、開封時の圧力変化や攪拌等の物理的衝撃が生じた後でも、長時間高い水素濃度を維持できることから、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。 したがって、水素を効率的に体内に取り入れることが可能であり、水素の病気予防や健康増進等といった有用な効能効果が期待できる。特に、上述したアパタイト系(Ca10(PO(OH)やMg10(PO(OH)等)の錯体状物は生体親和性が高く、これに水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されて体内に摂取されることで水素による高い効能効果が期待できる。
【0158】
次に、本発明の実施の形態2に係る水素含有水100の実施例を具体的に説明する。
まず、実施例5及び実施例6、並びに、比較例4にかかる水素含有水100について説明する。
図5のフローチャートにしたがい、表3に示した配合内容で実施例5及び実施例6に係る水素含有水100を製造した。また、比較のために表3に示した配合内容の比較例4に係る水素含有水も製造した。
表3に実施例5及び実施例6、並びに、比較例4の配合内容について示す。表3の数値は各配合成分を重量部〔g〕で示したものである。
【0159】
【表3】
【0160】
具体的に、実施例5においては、まず、マグネシウム/カルシウム10としての酸化マグネシウム(MgO)と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム分散液Aを作製し、このマグネシウム分散液Aをリン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bに加えて攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置して分散液40を調製することで、混合工程(ステップS10)を実施した。得られた分散液40は、混合直後はコロイド状に白濁し、静置後には白い沈殿物と透明な上澄みに分かれた。
【0161】
次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して酸混合工程(ステップS20)を実施した。有機酸50混合後の分散液40は、濁度が低下し、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
【0162】
続いて、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0163】
次いで、実施例5では、アルカリ60混合後の分散液40に塩化物90として塩化マグネシウム(MgCl)を加えた後、有機酸500としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液C1とを混合し攪拌して、第2の酸混合工程(ステップS120)を実施した。第2の酸混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
【0164】
その後、第2の酸混合工程(ステップS120)で再度の有機酸500が混合された分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に4〜5Vで7Aの直流を20〜40分間流して励起し、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
更に、実施例5では、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられて励起した分散液40に、アルカリ600としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液D1を混合し攪拌して、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)を実施した。第2のアルカリ600混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH=4〜5であった。
そして、第2のアルカリ600混合後に精製水で100倍に希釈し、実施例5に係る水素含有水100を得た。なお、得られた水素含有水100は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0165】
実施例6においては、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)までは実施例5と同様に行い、アルカリ600混合後の分散液40を精製水で100倍に希釈した後、鉄/亜鉛70としての鉄を添加して、実施例6に係る水素含有水100を得た。鉄を混合する際には、表3に示した配合量の鉄を精製水と混合し鉄水溶液として混合した。なお、得られた水素含有水100は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0166】
これらに対し、比較例4として、第2の酸混合工程(ステップS120)及び第2のアルカリ混合工程(ステップS130)を実施せず、実施例5や実施例6で使用した有機酸50(クエン酸)及び有機酸500(クエン酸)の総量のマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20に対する配合割合と同じ割合でクエン酸を酸混合工程(ステップS20)で一度に加え、その後、アルカリ60を混合し、そのままアルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、更に精製水で100倍に希釈し、鉄/亜鉛70を添加することなく、比較例4に係る水素含有水を製造した。
【0167】
即ち、比較例4では、マグネシウム/カルシウム10としての酸化マグネシウム(MgO)と、水30としての精製水とを混合してマグネシウム分散液Aを作製し、このマグネシウム分散液Aをリン酸/リン酸塩20としてのリン酸(HPO)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bに加えて攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置して分散液40を調製することで、混合工程(ステップS10)を実施した。次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、表3に示した配合内容で有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して、酸混合工程(ステップS20)を実施した。酸混合後の分散液40は、濁度が低下し、pH試験紙による測定でpH=2〜3であった。
【0168】
続いて、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40は、pH試験紙による測定でpH6〜7であった。
次いで、アルカリ60混合後の分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に4〜5Vで7Aの直流を20〜40分間流して励起し、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。そして、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起した後に精製水で100倍に希釈し、比較例4に係る水素含有水を得た。このときの水素含有水は、pH試験紙による測定でpH=6〜7であった。
【0169】
そして、このようにして製造した実施例5及び実施例6並びに比較例4に係る水素含有水について経時的に水素濃度の測定を行った。測定に際しては、製造した水素含有水をペットボトルに充填し、キャップを閉めた状態で暗所常温下で放置したものについて行い、測定時には開封してペットボトル内の水素含有水を測定用の容器に移し攪拌しながら測定した。開封したペットボトルは再度キャップを閉めて次の測定時まで暗所常温下で放置した。
【0170】
測定について、実施例5においては、水素含有水100をペットボトルに充填し、蓋を閉めた状態で常温暗所下に置いたもの(図6のグラフにおいて実施例5a〈常温〉、実施例5b〈常温〉)と、37℃の暗所下に置いたもの(図6のグラフにおいて実施例5c〈37℃〉、実施例5d〈37℃〉)との合計4つの測定を行った。
比較例4においては、水素含有水をペットボトルに充填し、蓋を閉めた状態で常温暗所下に置いたもの(図6のグラフにおいて比較例4a〈常温〉)と、37℃の暗所下に置いたもの(図6のグラフにおいて比較例4b〈37℃〉、比較例4c〈37℃〉)との合計3つの測定を行った。
図6のグラフにおいて、実施例5の測定結果を、比較例4と比較して示す。
【0171】
また、実施例6においては、100倍希釈した後の水素含有水100をペットボトルに充填し、蓋を閉めた状態で常温暗所下に置いたものについて3つ(図7のグラフにおいて実施例6a〈常温〉、実施例6b〈常温〉、実施例6c〈常温〉)の測定を行った。なお、実施例6では、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)後に100倍希釈することなく、表3に示した配合量で鉄を加えた実施例6の変形例に係る水素含有水100も製造し、そのような実施例6の変形例に係る水素含有水100ついてもペットボトルに充填し、蓋を閉めた状態で常温暗所下に置いて(図7のグラフにおいて、実施例6(変形例))経時的な水素濃度の測定を行った。
図7のグラフにおいて、実施例6及びその変形例の測定結果を、実施例5a〈常温〉及び実施例5b〈常温〉と比較して示す。
【0172】
ここで、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)後であって、精製水で100倍希釈する前の段階にて水素濃度を測定したところ、実施例5及び実施例6では、水素濃度が平均150μg/Lであり、比較例4では、水素濃度が105μg/Lであった。
【0173】
そして、図6のグラフで示したように、実施例5においては、第2のアルカリ混合工程(ステップS40)後に精製水で100倍希釈したのにも関わらず、製造日から4日経過しても常温下に置いたもの(実施例5a〈常温〉、実施例5b〈常温〉)では水素濃度が19〜20μg/Lを示し、また、37℃下に置いたもの(実施例5c〈37℃〉、実施例5d〈37℃〉)でも13〜15μg/Lを示していた。
これに対し、比較例4では、最大でも常温下に置いたもの(比較例4a〈常温〉)で12μg/Lであり、37℃下に置いたもの(比較例4b〈37℃〉、比較例4c〈37℃〉)にあっては、5μg/L未満で極めて低い値であった。
【0174】
このように、実施例5と比較例4では、クエン酸のマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20に対する配合割合を同一としているが、実施例5においては、クエン酸を2回の工程(酸混合工程(ステップS20)及び第2の酸混合工程(ステップS120))に分けて添加し、第2の酸混合工程(ステップS120)後に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起している。即ち、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40に対し、まず有機酸50を添加しpH1以上、pH5未満の酸性にする酸混合工程(ステップS20)を実施し、更に酸性にした分散液40にアルカリ60を混合してpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程(ステップS30)を実施した後、このアルカリ60混合後の分散液40に対し、再度有機酸500を添加してpH1以上、pH5未満の分散液40とする第2の酸混合工程(ステップS130)を行って、このようにしてpHの変化をさせたpH1以上、pH5未満の分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起したことで、比較例4よりも、安定して高い水素濃度が得られ、長時間維持されている。
特に、比較例4では、37℃の高温下に置いた場合では、常温のときよりも更に水素濃度の値が小さくなってしまうのに対し、実施例5では、37℃の高温下に置いた場合でも高い水素濃度が得られ、周囲環境温度条件によらず安定して高い水素濃度が長い間維持されている。
【0175】
また、図7のグラフで示すように、実施例6においては、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)後に鉄70が添加されたことで、実施例5よりも水素濃度が顕著に増大した。
第2のアルカリ混合工程(ステップS130)実施直後(精製水で100倍希釈する前の段階)の水素濃度の測定では、水素濃度が平均150μg/Lであったの対し、100倍希釈した後に鉄70を添加した実施例6では、100倍希釈したのにも関わらず、製造日から4日経っても、65〜110μg/Lの水素濃度が確認され、実施例5よりも水素濃度が増大していた。
また、実施例6の変形例で示すように、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)後に100倍希釈せずに塩化鉄を加えたものでは、最高で2000μg/Lの水素濃度の増大が確認され、製造後3日経ってもその濃度が維持され、更に製造後10日経っても水素濃度が900μg/Lであった。
【0176】
このように、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30を混合して調製した分散液40を有機酸50の添加により酸性にした後、アルカリ60を混合してpH3以上、pH8未満とし、更に、再度の有機酸500の添加によりpH1以上、pH5未満にしてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起して製造された実施例5及び実施例6(変形例を含む)では、攪拌等の物理的衝撃が加わったり、ペットボトル開封等の気圧変動が生じたりしても、安定して高い水素濃度が得られ、数日間は高い水素濃度が維持されることが分かる。
そして、本発明者の実験研究では、実施例5及び実施例6の水素含有水100を製造直後にペットボトルで入れて密閉し、常温下で放置して、12カ月経過した後に、ペットボトルを開封して数日間水素濃度を上記と同様に測定した場合でも、最高で水素濃度の測定値が30μg/Lを示し、開封後4〜5日間は高い水素濃度が維持されることを確認している。
【0177】
これは、上述したように、ぺットボトルのPET樹脂よりも高分子であるマグネシウムーリン酸系の錯体状物に水素(H)や水素イオン(H)が吸着固定されることで水素がペットボトルから抜け難くなっているうえ、希釈倍率で換算される値よりも水素濃度が増大していることから、製造後でもこの錯体状物によって上記の反応式で示したような反応が促進されて水素の生成が生じているためと思われる。
【0178】
特に、調製した分散液40を酸性にした後、アルカリ60を混合してpH3以上、pH8未満とし、更に、再度の有機酸500の添加によりpH1以上、pH5未満にしてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することにより製造された実施例5及び実施例6では、錯体状物の形成が促進されたり、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することによって調整される錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されたと考えている。 pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで水の電気分解による水素生成量も増大しことも考えられる。
【0179】
また、実施例6及びその変形例から、鉄70を添加することで、水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持されることが分かる。
これは、鉄70が添加されることで、マグネシウムーリン酸―鉄―錯体状物が形成され、それによって電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進され、また、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したと推測される。
なお、本発明者の実験研究によれば、第2塩化鉄(FeCl)や第3塩化鉄(FeCl)を添加しても同様に水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持されることを確認している。
このように実施例5及び実施例6に係る水素含有水100によれば、ペットボトル等の密閉容器に入れても長期間高い水素濃度を維持でき、容器開封後でも、即ち、容器開封等による圧力変化や攪拌等することによる外力(物理的衝撃)が加わっても、水素濃度が急激に減ることなく高い水素濃度が維持されることで、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
【0180】
このように上記実施の形態2の水素含有水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、再度酸としての有機酸500と混合してから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより得られたものである。
【0181】
また、上記実施の形態2の水素含有水100の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を酸としての有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性とする酸混合工程(ステップS20)と、酸性にした分散液40をアルカリ60の混合によりpH3以上、pH8未満とするアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ混合後の分散液40を再度酸としての有機酸500の混合によりpH1以上、pH5未満とする第2の酸混合工程(ステップS120)と、再度の有機酸500が混合された分散液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する電圧印加工程(ステップS40)とを具備するものである。
【0182】
したがって、本実施の形態2の水素含有水100及びその製造方法によれば、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合では高い水素濃度が長期間維持される。
【0183】
これは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためと考えている。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、上記の反応式で示した反応が促進されて水素が生成され、製造後もこの水素生成反応が生じているためと考えている。
そして、特に、アルカリ50と混合してpH3以上pH8未満とした分散液40を再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより、錯体状物の形成が促進されたり、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することによって調整される錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されたと考えている。また、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで水の電気分解による水素生成量も増大したことが考えられる。
このように、本実施の形態2の水素含有水100及びその製造方法によれば、長い間高い水素濃度を維持できることから、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
【0184】
また、上記実施の形態2に係る水素含有水100及びその製造方法によれば、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起した後に再度アルカリ600を混合してなることから、pHを上昇させることができ、飲用に適した風味とすることができる。
【0185】
更に、上記実施の形態2の実施例6に係る水素含有水100の製造方法で得られた水素含有水100は、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70が混合されてなることから、より高い水素濃度の維持効果を示す。
鉄/亜鉛70の混合によって形成されたマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物により、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進され、また、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したために、水素濃度が顕著に増大して高い水素濃度が長い間維持されたと考えられる。
【0186】
加えて、上記実施の形態2に係る水素含有水100及びその製造方法によれば、更に、糖類及び/または多糖類80が混合されることでより高い水素濃度の維持効果を示す。
これは、糖類/多糖類80を混合することで、糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大するためと考えられる。
【0187】
以上説明してきたように、実施の形態1及び実施の形態2に係る水素含有水1,100によれば、製造後でも長時間高い水素濃度が維持され、ペットボトル等のような容器に充填し密閉した場合には長期間高い水素濃度が維持されるため、例えば、サーバー等の形態や容器に充填した形態での飲用や、化粧品等の塗布用に供することができる。特に、ペットボトル等の容器に充填し密閉した後も長期間高い水素濃度が維持され、開封後も長時間高い水素濃度が維持されることから、ペットボトル等の密閉容器に入れた製品の形態で飲用に供するのにも適する。
そこで、上述のようにして得られた実施の形態1及び実施の形態2に係る水素含有水1,100を用いて密閉容器入り水素含有水を製造する方法について図8及び図9を参照しながら説明する。
【0188】
最初に、加熱殺菌を行って密閉容器入り水素含有水を製造する方法について、製造方法の概略工程図を示した図8を参照して説明する。
【0189】
加熱殺菌を行って密閉容器入り水素含有水1,100を製造する方法においては、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有水1,100を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水1,100に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水1,100を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素含有水1,100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)と、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1,100が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを有する。
【0190】
図8において、原水の地下水としては、ミネラルウォータと呼ばれている天然水Wが使用される。天然水Wは、地下水汲み上げ用の市販の汲み上げポンプ等によって汲み上げられ、一次フィルタ111に通過させる濾過工程(ステップS111)に入り、一次フィルタ111によって異物、不純物等が除去される。
一次フィルタ111は、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が30μm〜20μm以下の1種または2種以上のフィルタからなり、殆どの天然水に入っている鉱物種類の粒子等の異物、不純物が除去できるようになっている。
この一次フィルタ111によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水1,100が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が上述した錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。また、下流側のフィルタの負荷を軽減する。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
【0191】
そして、図8においては、汲み上げポンプ等で汲み上げられ一次フィルタ111を通過して濾過された天然水Wは、一時的な汲み上げ用の天然水補助タンク121に収容される流れとなっている。
なお、天然水補助タンク121は、一次フィルタ111からの濾過水(濾過した天然水W)を逆流させて一次フィルタ111の洗浄、所謂、逆洗を行う容量を少なくとも有する濾過水のタンクであり、逆洗を行う一次フィルタ111を使用するために必要なもので、使い捨てのフィルタを使用する場合には必要でない。
一時的な汲み上げ用の天然水補助タンク121に収容され、所定容量を満たしたのちは、天然水補助タンク121の下流側に配設された混合タンク123に供給される。
【0192】
本発明を実施する場合には、後述する1μm以下のファイナルフィルタ114の負荷を軽減して寿命を延ばすために、また、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減するために、必要に応じて、天然水補助タンク121と混合タンク123と間に、二次フィルタ112や三次フィルタ113が配設される。
【0193】
二次フィルタ112は、一次フィルタ111よりも濾過精度の高いフィルタ、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が30μm〜10μm以下の1種または2種以上のフィルタからなり、三次フィルタ113は、二次フィルタ112よりも更に濾過精度の高いフィルタ、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が10μm〜1μm以下の1種または2種以上のフィルタからなり、この二次フィルタ112や三次フィルタ113を一次フィルタ111の下流側で混合タンク123の直前の入力側に設けることによって、一次フィルタ111のときよりも更に細かい異物、不純物、細菌等が除去される。また、後述する1μm以下のファイナルフィルタ114の負荷を軽減して寿命を延ばすことができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク等の設備における衛生管理の負担をより軽減できる。
【0194】
なお、一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113の濾過精度(ポアサイズ)については、上述のように限定されることなく、密閉容器入り水素含有水の製造工程の各機能が効率よく動作するように設定されればよい。原水の汲み取り場所によっては、また、後述のファイナルフィルタ114を短期間に交換することを好む場合には、何れかを省略することも可能であり、結果的に、水素含有水1,100と混合される前段階で天然水Wに入っている鉱物種類の粒子等の不純物を除去できていればよい。勿論、二次フィルタ112、三次フィルタ113についても逆洗可能なフィルタとすることも可能である。このような一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113としては、例えば、ポリプロピレン製ワインドフィルタカートリッジ等を使用できる。各フィルタにおいて、2種以上のフィルタを組み合わせて使用する場合には、フィルタの負荷を軽減するために、上流側から下流側にむかってポアサイズが順に小さくなるように配置するのが望ましい。
【0195】
このように汲み上げポンプ等で汲み上げられた天然水Wは、濾過工程(ステップS111)において、一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113を順に通過させることにより濾過されたのち、混合タンク123に流れ込み、収容される。
【0196】
そして、混合工程(ステップS112)において、一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113にて濾過されて混合タンク123に収容された天然水Wに、上述の図1図5に示した製造工程を経て製造され水素含有水1,100が混合される。 即ち、上述した製造工程を経て製造された水素含有水1,100は、一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113にて濾過されて混合タンク123に収容された天然水Wに混合されることで希釈される。
ここで、図8において、上述した製造工程を経て製造された水素含有水1,100は、一時的な貯留用の水素含有水貯留タンク122に所定量収容され、水素含有水貯留タンク122から混合タンク123に収容された天然水Wに供給される。
そして、天然水Wと混合される水素含有水1には、図1で示した混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップ40)を経て得られたものが使用される。
また、天然水Wと混合される水素含有水100には、図5で示した混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、第2の酸混合工程(ステップS120)、電圧印加工程(ステップ40)、第2のアルカリ混合工程(ステップS130)を経て得られたものが使用される。
【0197】
この混合工程(ステップS112)においては、例えば、製造した水素濃度100〜1500μg/Lである水素含有水1,100の総量1Lに対して、濾過された天然水が9〜999L混合され、水素含有水1,100が濾過された天然水Wとの混合により10〜1000倍に希釈されるようにする。即ち、水素濃度100〜1500μg/lである水素含有水(1,100)1Lに対し、水素含有水(1,100)の9〜999倍量の天然水Wが混合される。これにより、天然水W本来の風味が生かされて、かつ、高い水素濃度を長い間維持できる密閉容器入りの水素含有水が得られる。
【0198】
また、この混合工程(ステップS112)では、所定の容積を有し、一次フィルタ111、二次フィルタ112、三次フィルタ113を通過した天然水Wが収容され、この天然水Wに対応した供給量で水素含有水貯留タンク122から水素含有水1,100が添加される混合タンク123において、電動機で回転させる攪拌ファン等からなる撹拌手段によって、天然水Wと水素含有水1,100が撹拌され均一になるようにしている。
【0199】
そして、図8において、混合タンク123にて天然水Wと混合された水素含有水1,100(以下、水素含有水W1とする)は、紫外線殺菌工程(ステップS113)にて、紫外線装置が組み込まれた紫外線タンク装置内に収容され、所定時間紫外線殺菌される。 後述する加熱殺菌工程(ステップS115)前に紫外線殺菌工程(ステップS113)を組み込むことにより、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減でき、衛生面での製造管理が容易となる。
【0200】
続いて、紫外線殺菌を終えた水素含有水W1は、電圧印加工程(S114)にて、電圧印加装置が組み込まれたタンク装置内に収容され、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧が所定時間かけられる。陰極及び陽極は、不活性な電極であれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることかできる。陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良く(例えば、3〜20V)、電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定される(例えば、5A〜10A)。電圧印加時間は、溶液量、溶液中の成分量、電圧をかけた後の所望とする水素濃度(溶存水素量、水素含有量)等を考慮して適宜設定される(例えば、1〜200分間)。
これにより、所定の高い水素濃度を安定的に確保して、容器への充填後も安定的に高い水素濃度を維持し、安定した品質を確保できる。
【0201】
そして、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられ励起された水素含有水W1は、加熱殺菌工程(S115)にて、プレートヒータや加熱管路が配設された加熱タンク内に収容され、例えば、85〜135℃の温度で30分間加熱殺菌される。
そして、加熱殺菌を終えた水素含有水W1は、精密濾過工程(S116)におけるファイナルフィルタ114に供給される。
【0202】
ファイナルフィルタ114は、例えば、少なくとも精密濾過により異味、異臭、不純物や、水素含有水1,100の製造段階で生成した沈殿物を除去できる程度の濾過性能を有していればよく、濾過精度(ポアサイズ)が1μm以下のフィルタを使用する。負荷の軽減のためには、例えば、1μm〜5μmのフィルタと0.5μm以下のフィルタとを併用して実施できる。
このファイナルフィルタ114としては、例えば、濾材をポリサルホンとしたポリサルホン製のメンブレンフィルタカートリッジ等が使用できる。
特に、ファイナルフィルタ114の前に加熱殺菌を行っている場合には、加熱殺菌の余熱(例えば、85℃〜135℃、30分保持した余熱)が存在するから、ファイナルフィルタ114において微生物の繁殖が抑制され、長寿命化を図ることができる。
【0203】
そして、精密濾過工程(S116)において、ファイナルフィルタ114を通過させることにより精密濾過された水素含有水W1は、クリーンルーム内の充填タンク124に供給される。
充填タンク124に収容された水素含有水W1は、容器充填工程(ステップS117)において、クリーンルーム内にて、所定の充填速度で、液体充填機130によりペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶、ガラスや陶器のビン等の容器130aに充填される。そして、液体充填機130では、容器130aに水素含有水W1を充填し、充填した後に容器130aのキャップ130bで密閉する。キャップ130bには、例えば、バキュームで異物を吸い取った後に、紫外線殺菌処理がなされたものを使用した。なお、必要に応じてスチーム殺菌や無菌エアーブロー処理が行われることもある。また、容器130aは、消毒薬により殺菌洗浄がなされた後、殺菌洗浄液を除去する濯ぎ洗浄を行って薬剤等を完全に落とし、その後、ビンロウ紫外線処理がなされたものを使用した。このときの洗浄には、濾過した天然水Wや水素含有水W1を使用している。
【0204】
更に、水素含有水W1が充填された容器130aをキャップ130bで密閉した後は、加熱殺菌の余熱(85℃〜135℃、30分保持した余熱)が存在するから、必要に応じて、水素含有水W1が充填された容器130aを転倒することにより、キャップ130bの裏を殺菌することができる。また、図8においては、低温殺菌・冷却工程(ステップS118)にて、パストライザー等を使用し時間をかけながら低温殺菌し、冷却する。これにより、水素含有水W1の味を変化させないようにすることできる。その他、キャップ130bで密栓した容器130aごと水槽内を潜らせることにより、冷却を行っても良い。そして、この低温殺菌・冷却工程(ステップS118)を経た後、出荷される。
なお、高い水素濃度を維持し、品質の安定化を図るために、この一連の製造工程は、20℃±15℃の常温下で行うのが望ましい。
このようにして、密閉容器入り水素含有水1,100が製造される。
こうして製造された密閉容器入り水素含有水1,100は、長期間高い水素濃度が維持され、開封後も長時間高い水素濃度が維持される。
特に、上記の図1図5で示した製造方法で製造された実施の形態1及び実施の形態2に係る水素含有水1,100は、加熱されても水素濃度が大きく低下することはなく、安定して長い間高い水素濃度が維持される。
【0205】
ところで、本発明を実施する場合には、加熱殺菌のタイミングは、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1,100を混合した後から、容器充填工程(ステップS117)に至るまでの間であればよく、例えば、混合タンク123にジャケットを有する加熱タンク等を使用して加熱殺菌を行ってもよいし、ファイナルフィルタ114を通過後に加熱殺菌を行っても良い。加熱手段も特に限定されることなく、例えば、ヒータや熱交換が可能な所定の蒸気圧の螺旋状の加熱管路をタンクに配設し加熱蒸気で加熱殺菌を行うことも可能である。加熱タンクには通常、温度を均一化するための撹拌手段が設けられる。
【0206】
上記実施の形態1においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水1を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、精密濾過工程(ステップS116)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、精密濾過した水素含有水W1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。また、この間の、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)を設けて加熱殺菌する。そして、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合したものである。
【0207】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水W1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素含有水W1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)と、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを具備し、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合してなる密閉容器入り水素含有水1の製造方法として捉えることができる。
【0208】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォータと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて、励起する工程である。
更に、上記精密濾過工程は、水素含有水を1μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記1μm以下のフィルタとは、本工程では、除去の対象が、主に、異味、異臭、不純物等の微粒子であることから、かかる微粒子を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が1μm以下と規定したものである。特に、0.2μm以下のフィルタを用いることで除菌も可能となる。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、フィルタの目詰まりを少なくして負荷が軽減されるよう、天然水が濾過性能の低い濾フィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設する構成とし、順次細かいものを除去するのが望ましい。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。
また、上記加熱殺菌工程は、天然水と水素含有水が混合された後から容器充填工程に至る間に135℃、30分の加熱を設け、そこで殺菌を行う工程である。
【0209】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水1では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、鉄/亜鉛70を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0210】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されたと推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0211】
特に、分散液40に鉄/亜鉛70を混合することにより水素濃度が増大し、長い間高い水素濃度が維持されるのは、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わりマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されるためと考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したためとも考えられる。
【0212】
そして、この水素含有水1は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水1が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
更に、混合工程(ステップS112)で水素含有水1を天然水Wと混合し、また、混合後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)によって菌を死滅させることで、薬剤による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水Wの本来の風味を生かした水素含有水1とすることができる。
加えて、水素含有水1と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水1とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水1が得られる。
【0213】
そして、鉄/亜鉛70は、水素含有水(1)1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合することで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に高い水素濃度が長い間維持される水素含有水1が得られる。
【0214】
また、上記実施の形態1においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水1を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、精密濾過工程(ステップS116)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、精密濾過した水素含有水1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。また、この間の、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)を設けて加熱殺菌する。そして、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、糖類及び/または多糖類80を混合したものである。
【0215】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS11)と、濾過した天然水Wに水素含有原水1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素含有水1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)と、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1が混合された後から容器充填工程ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを具備し、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、糖類及び/または多糖類80を混合してなる密閉容器入り水素含有水1の製造方法として捉えることができる。
【0216】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォータと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて、励起する工程である。
更に、上記精密濾過工程は、水素含有水を1μm以下のフィルタに通過させることに よって精密濾過処理を施し異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記1μm以下のフィルタとは、本工程では、除去の対象が、主に、異味、異臭、不純物等の微粒子であることから、かかる微粒子を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が1μm以下と規定したものである。特に、0.2μm以下のフィルタを用いることで除菌も可能となる。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、フィルタの目詰まりを少なくして負荷が軽減されるよう、天然水が濾過性能の低い濾フィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設する構成とし、順次細かいものを除去するのが望ましい。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。
また、上記加熱殺菌工程は、天然水と水素含有水が混合された後から容器充填工程に至る間に135℃、30分の加熱を設け、そこで殺菌を行う工程である。
【0217】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起して得られた水素含有水1では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、糖類/多糖類80を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0218】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されたと推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0219】
特に、分散液40に糖類/多糖類80を混合することにより糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大すると考えている。
【0220】
そして、この水素含有水1は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水1が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
加えて、混合工程(ステップS112)で水素含有水1を天然水Wと混合し、また、混合後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)によって菌を死滅させることで、薬剤による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水の本来の風味を生かした水素含有水1とすることができる。
更に、水素含有水1と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水1とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水1が得られる。
【0221】
そして、糖類/多糖類80は、水素含有水(1)1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたものであり、当該範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な水素濃度の維持効果を示す水素含有水1が得られる。
【0222】
また、上記実施の形態2においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水100を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水100に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、精密濾過工程(ステップS116)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、精密濾過した水素含有水W1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。また、この間の、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水100が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)を設けて加熱殺菌する。そして、水素含有水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、その分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、その後、再度アルカリ600と混合してなるものである。
【0223】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水100を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水100に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水W1を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素含有水100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130b密閉する容器充填工程(ステップS117)と、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水100が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを具備し、水素含有水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、その後、再度アルカリ600と混合することによって得られた密閉容器入り水素含有水100の製造方法として捉えることができる。
【0224】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォータと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する工程である。
更に、上記精密濾過工程は、水素含有水を1μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記1μm以下のフィルタとは、本工程では、除去の対象が、主に、異味、異臭、不純物等の微粒子であることから、かかる微粒子を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が1μm以下と規定したものである。特に、0.2μm以下のフィルタを用いることで除菌も可能となる。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、フィルタの目詰まりを少なくして負荷が軽減されるよう、天然水が濾過性能の低い濾フィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設する構成とし、順次細かいものを除去するのが望ましい。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。
また、上記加熱殺菌工程は、天然水と水素含有水が混合された後から容器充填工程に至る間に135℃、30分の加熱を設け、そこで殺菌を行う工程である。
【0225】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起して得られた水素含有水100では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける前において、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とした分散液40を再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0226】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されたと推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0227】
特に、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とした分散液40を再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することにより、錯体状物の形成が促進されたり、錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されたと考えている。また、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40に対して陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで水の電気分解による水素生成量が増大したことも考えられる。
【0228】
そして、この水素含有水100は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水100が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
加えて、混合工程(ステップS112)で水素含有水100を天然水Wと混合し、また、混合後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)によって菌を死滅させることで、薬剤による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水の本来の風味を生かした水素含有水100とすることができる。
更に、水素含有水100と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水100とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水100が得られる。
【0229】
次に、加熱殺菌を行わず非加熱で密閉容器入り水素含有水を製造する方法について、製造方法の概略工程図を示した図9を参照して説明する。
非加熱で密閉容器入り水素含有水1,100を製造する方法においては、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水1,100を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS122)と、天然水Wと混合した水素含有水W1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水1,100を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116)と、除菌濾過した水素含有水1,100を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)とを有する。
【0230】
非加熱で密閉容器入り水素含有水を製造する場合においては、ファイナルフィルタ114Aに0.2μm以下のフィルタを使用して除菌機能を持たせることにより、水素含有水W1を非加熱除菌し、クリーンルーム内で容器130aに充填した。
即ち、図9に示したように、非加熱で密閉容器入り水素含有水1,100を製造する場合、加熱殺菌を行う図8と比較して、電圧印加工程(ステップS114)までは形式的には同一であり、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられ励起された後の水素含有水W1を、0.2μm以下のファイナルフィルタ114Aを通過させることにより、異味、異臭、不純物の除去に加え除菌を行うことで、加熱殺菌工程を省略している。それ以降の処理は、図8と同様、除菌されたクリーンルームで行われ、ファイナルフィルタ114Aを通過した水素含有水W1は、クリーンルーム内の充填タンク124に収容され、所定の充填速度で、充填タンク124から液体充填機130で容器130aとしてのペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等に非加熱状態の常温で充填され、充填後に容器130aのキャップ130bで密閉された後、出荷される。
【0231】
このときのファイナルフィルタ114Aは、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が0.1μm〜1μmの1種または2種以上の精密濾過フィルタからなるが、非加熱で水素含有水W1の除菌効果があることが確認されている少なくとも0.2μm以下のフィルタを使用することによって、異味、異臭、不純物の除去に加え除菌を行い、加熱殺菌工程を省略できる。この0.2μm以下のフィルタとしては、例えば、濾材をポリサルホンとしたポリサルホン製のメンブレンフィルタカートリッジ等が使用できる。
特に、0.2μm以下のフィルタの前に、それよりも2.5倍〜5倍以上の濾過精度の開きがあるフィルタを配設することにより、0.2μm以下のフィルタの負荷を軽減して非加熱での除菌効果を上げることができる。即ち、0.2μm以下のフィルタの負荷の軽減のためには、それの5倍以下の濾過精度のフィルタを前に配設するのが好適であり、それによって、水素含有水W1の非加熱での除菌効果を上げることができる。このため、0.2μm以下のフィルタの上流側に、1μm〜0.5μmの濾過精度のフィルタを配設するのが好ましい。
しかし、ファイナルフィルタ114Aについては、0.2μm以下のフィルタの機能があれば、フィルタの組合せは上記に限定されない。勿論、ファイナルフィルタ114Aについても逆洗可能なフィルタとしてもよい。
【0232】
このように、図9では、0.2μm以下のファイナルフィルタ114Aを通過させることによって除菌及び異味、異臭、不純物を除去し、塩素処理等の薬剤による殺菌処理及び加熱による殺菌処理を行うことなく容器130aに非加熱除菌常温充填した。
特に、殺菌のために温度を上昇させないから、薬剤処理及び加熱処理による風味の劣化もなく、天然水Wの本来の風味をより生かすことができる。
【0233】
このようにして製造された密閉容器入り水素含有水1,100においても、長期間高い水素濃度が維持され、開封後も長時間高い水素濃度が維持される。
【0234】
上記実施の形態1においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水1を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、除菌濾過工程(ステップS116A)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、除菌濾過した水素含有水1を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。そして、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合したものである。
【0235】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116A)と、除菌濾過した水素含有水1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)を具備し、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛70を混合してなる密閉容器入り水素含有水1の製造方法として捉えることができる。
【0236】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォーターと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する工程である。
更に、上記除菌濾過工程は、水素含有水を0.2μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し除菌及び異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記0.2μm以下のフィルタとは、本工程での除去の対象が、主に、一般細菌及び真菌の微生物等であることから、一般細菌及び真菌の微生物等を除去できる能力を持つフィルタとして濾過精度が0.2μm以下と規定したものであり、除菌効果がある0.2μm以下のフィルタを使用することで、加熱殺菌を不要とすることができる。特に、0.2μm以下のフィルタの前に、0.2μm以下のフィルタの2.5倍〜5倍の濾過精度の開きがある1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタを設け、水素含有水を1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタ及び0.2μm以下のフィルタの順に通過させる2段構成とすることにより、0.2μm以下のフィルタの目詰まりを少なくして負荷を軽減し、非加熱で除菌効果を上げることができる。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に非加熱除菌常温充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。上記非加熱除菌常温充填とは、水素含有水をクリーンルーム等の除菌された(無菌の)常温下で充填するものであればよい。
【0237】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて得られた水素含有水1では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、鉄/亜鉛70を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0238】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されたと推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0239】
特に、分散液40に鉄/亜鉛70が混合されたことにより水素濃度が増大し、長い間高い水素濃度が維持されるのは、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わりマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化したためとも考えられる。
【0240】
そして、この水素含有水1は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水1が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
加えて、混合工程(ステップS112)で水素含有水1を天然水Wと混合し、また、0.2μm以下のフィルタ114Aを通過させることによって除菌及び異味、異臭、不純物が除去されることから、塩素処理等の薬剤による殺菌処理及び加熱による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水Wの本来の風味を生かした水素含有水1とすることができる。
更に、水素含有水1と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水1とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水1が得られる。
【0241】
そして、鉄/亜鉛70は、水素含有水(1)1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されたことで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な水素濃度の維持効果を示す水素含有水1が得られる。
【0242】
また、上記実施の形態1においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水1を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、除菌濾過工程(ステップS116A)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、除菌濾過した水素含有水W1を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。そして、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、糖類及び/または多糖類80を混合したものである。
【0243】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水1に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116A)と、除菌濾過した水素含有水1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)を具備し、水素含有水1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、糖類及び/または多糖類80を混合してなる密閉容器入り水素含有水1の製造方法として捉えることができる。
【0244】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォーターと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する工程である。
更に、上記除菌濾過工程は、水素含有水を0.2μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し除菌及び異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記0.2μm以下のフィルタとは、本工程での除去の対象が、主に、一般細菌及び真菌の微生物等であることから、一般細菌及び真菌の微生物等を除去できる能力を持つフィルタとして濾過精度が0.2μm以下と規定したものであり、除菌効果がある0.2μm以下のフィルタを使用することで、加熱殺菌を不要とすることができる。特に、0.2μm以下のフィルタの前に、0.2μm以下のフィルタの2.5倍〜5倍の濾過精度の開きがある1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタを設け、水素含有水を1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタ及び0.2μm以下のフィルタの順に通過させる2段構成とすることにより、0.2μm以下のフィルタの目詰まりを少なくして負荷を軽減し、非加熱で除菌効果を上げることができる。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に非加熱除菌常温充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。上記非加熱除菌常温充填とは、水素含有水をクリーンルーム等の除菌された(無菌の)常温下で充填するものであればよい。
【0245】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて得られた水素含有水1では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、糖類及び/または多糖類80を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0246】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されたと推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0247】
特に、分散液40に糖類/多糖類80を混合することにより糖類/多糖類80とリン酸/リン酸塩20との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類80が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大すると考えている。
【0248】
そして、この水素含有水1は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水1が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
加えて、混合工程(ステップS112)で水素含有水1を天然水Wと混合し、また、0.2μm以下のフィルタ114Aを通過させることによって除菌及び異味、異臭、不純物が除去されることから、塩素処理等の薬剤による殺菌処理及び加熱による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水Wの本来の風味を生かした水素含有水1とすることができる。
更に、水素含有水1と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水1とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水1が得られる。
【0249】
そして、糖類/多糖類80は、水素含有水(1)1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたものであり、当該範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な水素濃度の維持効果を示す水素含有水1が得られる。
【0250】
また、上記実施の形態2においては、天然水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した天然水Wに水素含有水100を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で天然水Wが混合された水素含有水100に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、除菌濾過工程(ステップS116A)で、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、除菌濾過した水素含有水W1を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する。そして、水素含有水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、その後、再度アルカリ600と混合してなるものである。
【0251】
即ち、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する天然水濾過工程(ステップS111)と、濾過した天然水Wに水素含有原水100を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、天然水Wと混合した水素含有水100に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、電圧印加工程後の水素含有水W1を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116A)と、除菌濾過した水素含有水W1を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密閉する容器充填工程(ステップS117)を具備し、水素含有水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合してpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、その後、再度アルカリ600と混合することによって得られた密閉容器入り水素含有水100の製造方法として捉えることができる。
【0252】
ここで、上記天然水濾過工程は、汲み上げた原水としての天然水を30μm以下のフィルタに通過させることによって、殆どの天然水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、天然水には、通常、ミネラルウォーターと呼ばれているものも含まれる。
上記30μm以下のフィルタは、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、天然水に含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、天然水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程は、前記濾過された天然水と水素含有水を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、天然水と水素含有水が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質の混合液(水素含有水)とすることができる。
また、上記電圧印加工程は、前記天然水に水素含有水が混合されて得られた水素含有水に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する工程である。
更に、上記除菌濾過工程は、水素含有水を0.2μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し除菌及び異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記0.2μm以下のフィルタとは、本工程での除去の対象が、主に、一般細菌及び真菌の微生物等であることから、一般細菌及び真菌の微生物等を除去できる能力を持つフィルタとして濾過精度が0.2μm以下と規定したものであり、除菌効果がある0.2μm以下のフィルタを使用することで、加熱殺菌を不要とすることができる。特に、0.2μm以下のフィルタの前に、0.2μm以下のフィルタの2.5倍〜5倍の濾過精度の開きがある1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタを設け、水素含有水を1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタ及び0.2μm以下のフィルタの順に通過させる2段構成とすることにより、0.2μm以下のフィルタの目詰まりを少なくして負荷を軽減し、非加熱で除菌効果を上げることができる。
加えて、上記容器充填工程は、水素含有水をペットボトル、アルミニウム缶、スチール缶等の容器に非加熱除菌常温充填し、当該容器を栓で密閉する工程である。上記非加熱除菌常温充填とは、水素含有水をクリーンルーム等の除菌された(無菌の)常温下で充填するものであればよい。
【0253】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて得られた水素含有水100では、ペットボトル等の容器130aに入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける前において、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とした分散液40を再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0254】
ここで、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、水の電気分解によって水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0255】
特に、アルカリ60と混合してpH3以上、pH8未満とした分散液40を再度有機酸500と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより、錯体状物の形成が促進されたり、錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されたと考えている。また、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけることで水の電気分解による水素生成量が増大したことも考えられる。
【0256】
そして、この水素含有水100は30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された天然水Wと混合されて攪拌手段によって攪拌された後も、水素が消失することなく、更に、電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することで、一定の水素濃度を確保して、容器130aへの充填後も安定的に高い水素濃度が維持され、安定した品質が得られる。
また、30μm以下のフィルタ111、112、113によって天然水W中の異物、不純物等を除去することにより、天然水Wと水素含有水100が混合されたときに天然水W中の不純物に由来する化合物が錯体状物に吸着して水素(H)や水素イオン(H)が錯体状物に吸着するのを阻止して水素の散逸を招く事態を防止でき、高い水素濃度の維持を図ることができる。更に、微生物の栄養源でもある天然水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
加えて、混合工程(ステップS112)で水素含有水100を天然水Wと混合し、また、0.2μm以下のフィルタ114Aを通過させることによって除菌及び異味、異臭、不純物が除去されることから、塩素処理等の薬剤による殺菌処理及び加熱による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、天然水Wの本来の風味を生かした水素含有水100とすることができる。
更に、水素含有水100と混合する前に、天然水Wを1μm以下のフィルタ114で濾過することで、天然水Wと水素含有水100とを混合した混合工程(ステップS112)後の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
よって、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水100が得られる。
【0257】
そして、上記実施の形態1と実施の形態2に係る水素含有水1、100及びその製造方法や、密閉容器入り水素含有水の製造方法によれば、有機酸50、500の添加総量は、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内としたことで、確実に高い水素濃度を長期間維持することができる水素含有水1,100が得られ、風味や透明性が良好な飲料水として供することができる。
【0258】
また、上記実施の形態1と実施の形態2に係る水素含有水1,100及びその製造方法や、密閉容器入り水素含有水の製造方法によれば、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製する分散液400を100重量部とするとき、マグネシウム/カルシウム10が、5〜20重量部の範囲内で混合され、リン酸/リン酸塩20が、10〜30重量部の範囲内で混合されたことで、より確実に、高い水素濃度を長期間維持する水素含有水1,100を得ることができ、風味や透明性が良好な飲料水として供することができる。
【0259】
更に、上記実施の形態1と実施の形態2に係る水素含有水1,100及びその製造方法や、密閉容器入り水素含有水の製造方法によれば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物90が混合されることで、細菌、カビ等の微生物の増殖が抑制され、製造設備の衛生管理が容易となる。
これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが微生物の増殖抑制に関与しており、特に、上記錯体状物がイオン交換能を有し、上記錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても細菌、カビ等の微生物の増殖を防止する効果が持続的に発揮される。
【0260】
また、上記実施の形態1と実施の形態2に係る水素含有水1,100及びその製造方法によれば、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起した後に水で10〜1000倍に希釈する。例えば、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る密閉容器入り水素含有水の製造方法において、水素濃度が100〜1500μg/Lである水素含有水1,100に対し、9〜99倍の天然水Wを混合することで水素含有水1,100を10〜1000倍に希釈する。これにより、天然水W本来の風味が生かされ風味が良好で飲用に適し、かつ、高い水素濃度を長い間維持できる水素含有水1、100が得られる。
【0261】
また、上記実施の形態1と実施の形態2に係る水素含有水1,100及びその製造方法によれば、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起した後に水で10〜1000倍に希釈し、その後、再度陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する。例えば、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る密閉容器入り水素含有水の製造方法において、水素濃度が100〜1500μg/Lである水素含有水1,100に対し、9〜99倍の天然水Wを混合することで水素含有水1,100を10〜1000倍に希釈し、その後電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する。これにより、天然水W本来の風味が生かされ風味が良好で飲用に適し、かつ、安定して高い水素濃度を長い間維持できる水素含有水1、100が得られる。
【0262】
更に、上記実施の形態1と実施の形態2に係る密閉容器入り水素含有水の製造方法によれば、混合工程(ステップS112)で天然水Wと水素含有水1,100が混合された後から電圧印加工程(ステップS114)に至るまでに水素含有水1,100の紫外線殺菌を行う紫外線殺菌工程(ステップS113)を具備することから、混合工程後(ステップS112)の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
特に、加熱殺菌前に紫外線殺菌を行うことで、混合工程(ステップS112)後から加熱殺菌工程(ステップ115)までの細菌の増殖を抑制でき、製造設備の衛生管理が容易となる。
また、除菌濾過工程(ステップ116A)前に紫外線殺菌を行うことで、混合工程(ステップS112)後から除菌濾過工程(ステップ116A)までの細菌の増殖を抑制でき、製造設備、衛生管理が容易となり、特に、0.2μmフィルタ114Aの長寿命化を図ることができる。
【0263】
上記実施の形態1の水素含有水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸と混合して酸性にした後、アルカリと混合し、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間に所定の電圧を印加することにより励起してなる水素含有水であって、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合されてなるものである。
【0264】
ここで、上記酸と混合して酸性は、酸と混合して分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。
また、上記アルカリと混合は、アルカリと混合して分散液をpH3以上、pH8未満とする。
更に、上記所定の電圧を励起は、アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0265】
そして、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合とは、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧が励起された後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【0266】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸との混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0267】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0268】
特に、分散液に鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の混合により水素濃度が増大し、長い間高い水素濃度が維持されるのは、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わりマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化することも考えられる。これにより、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持される。
したがって、本発明の水素含有水の製造方法によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水が得られる。
【0269】
上記実施の形態1の水素含有水は、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種は、水素含有水1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0270】
鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に高い水素濃度の維持効果を得ることができ飲用にも適する。
【0271】
上記実施の形態1の水素含有水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸と混合して酸性にした後、アルカリと混合し、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素含有水であって、糖類及び/または多糖類が混合されてなるものである。
【0272】
ここで、上記酸と混合して酸性は、酸と混合して分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。
また、上記アルカリと混合は、アルカリと混合して分散液をpH3以上、pH8未満とする。
更に、上記所定の電圧を励起は、アルカリ混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0273】
そして、上記糖類及び/または多糖類が混合とは、糖類及び/または多糖類が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬しそれら電極間を所定の電圧で励起した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧が励起された後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【0274】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、糖類及び/または多糖類を混合することで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0275】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで、水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0276】
特に、糖類及び/または多糖類の混合により、糖類及び/または多糖類とリン酸及び/またはリン酸塩との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大したと考えている。これにより、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持された。
したがって、本発明の水素含有水の製造方法によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素含有水が得られる。
【0277】
上記実施の形態1の水素含有水は、糖類及び/または多糖類は、水素含有水1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されたものである。
【0278】
糖類及び/または多糖類を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著な高い水素濃度の維持効果を得ることができ、飲用にも適する。
【0279】
上記実施の形態2の水素含有水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸と混合して酸性にした後、アルカリを混合し、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素含有水であって、アルカリと混合した分散液を再度酸と混合してから陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間に所定の電圧を励起してなるものである。
【0280】
ここで、上記酸と混合して酸性は、酸と混合して分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH2以上、pH4以下とする。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。
また、上記アルカリと混合は、アルカリと混合して分散液をpH3以上、pH8未満とする。
更に、上記再度酸と混合してから酸性は、再度酸と混合して分散液をpH1以上、pH5未満、好ましくは、pH3以上、pH5未満とする。再度の酸にも、好ましくは有機酸が使用される。
加えて、上記所定の電圧を励起は、再度の酸混合後の分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
【0281】
本発明者は、鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液を酸の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とし、その後、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素含有水では、ペットボトル等の容器に入れて密閉しても水素が消失することなく長期間維持されることを見出し、更に、所定の電圧で励起する前において、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とした分散液を再度酸と混合してpH1以上、pH5未満としてから、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで、水素濃度が顕著に増大し、攪拌等の物理的衝撃(外力)が加わったり気圧変動が生じたりしても水素濃度が急激に減ることなく数日間は高い水素濃度が維持され、ペットボトル等の容器に入れて密閉した場合でも高い水素濃度が長期間維持されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0282】
ここで、本発明の水素含有水において、高い水素濃度が長い間維持されるのは、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩とが混合されたことでマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物が形成され、このような錯体状物に水素分子(H)や水素イオン(H)が吸着し固定されているためであると思われる。
また、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことに加え、錯体状物の触媒的作用によって、以下に示すような反応が促進されて水素が生成されると推測しており、製造後においてもこの反応が生じることで水素濃度が高い状態で維持されるものと考えている。
2HO→2H+2OH
2H+2e→H
【0283】
特に、アルカリと混合してpH3以上、pH8未満とした分散液を再度酸と混合してpH1以上、pH5未満としてから分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことにより、錯体状物の形成が促進されたり、錯体状物の電荷バランスが向上して錯体状物の安定性が増したりし、それによって、上記の反応式の反応が促進され、また、錯体状物への水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が促進されたり安定化したりしたことで、安定して高い水素濃度が得られ長い間維持されると考えている。また、pH1以上、pH5未満の酸性の分散液に対して、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことで水の電気分解による水素生成量も増大したことも考えられる。
したがって、本発明の水素含有水によれば、高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態で摂取を可能とする。
【0284】
上記実施の形態2の水素含有水は、分散液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起した後に再度アルカリを混合してなるものである。
ここで、上記再度アルカリと混合は、再度アルカリと混合し使途に応じてpH調製、例えば、飲用に適した風味となるようにpH調整する。
【0285】
本発明の水素含有水は、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した後に再度アルカリを混合してなることから、pHを上昇させることができ、飲用に適した風味とすることができる。
【0286】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、酸の添加総量を、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内としたものである。
【0287】
酸の添加総量を上記範囲内とすることで、確実に高い水素濃度を長い間維持することができ、また、風味や透明性が良好で飲用に適する。
【0288】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して調製する分散液100重量部とするとき、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少の何れか1つなくとも1種が、5〜20重量部の範囲内で混合され、リン酸及び/またはリン酸塩が、10〜30重量部の範囲内で混合されたものである。
【0289】
マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種を上記範囲内の配合とすることで、また、リン酸及び/またはリン酸を上記範囲内の配合とすることで、確実に、高い水素濃度を長い間維持することができ、風味や透明性が良好で飲用に適する。
【0290】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、更に、金属の塩化物が混合されてなるものである。
ここで、上記分散液に金属の塩化物が混合とは、金属の塩化物が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、酸と混合して酸性にした段階、アルカリと混合した段階、再度酸を混合した段階、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、再度の酸と混合後の分散液、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
上記金属の塩化物としては、例えば、マグネシウムの塩化物(塩化マグネシウム)、カルシウムの塩化物(塩化カルシウム)、ナトリウムの塩化物(塩化ナトリウム)等が挙げられる。
【0291】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、更に、金属の塩化物が混合されてなるものであるから、微生物の増殖を抑制でき保存性を向上できる。これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが微生物の増直抑制に関与し、特に、錯体状物がイオン交換能を有し、錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても微生物の増殖を防止する効果が持続的に発揮される。
【0292】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、更に、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起した後に、水で10〜1000倍に希釈されてなるものである。
なお、所定の電圧で励起した後に再度アルカリを混合する場合には、再度アルカリを混合した後に希釈するのが好ましい。
【0293】
本発明の水素含有水によれば、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した後に、水で10〜1000倍に希釈されてなることから、風味が良好で飲用に適する。
【0294】
上記実施の形態1,2の水素含有水は、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した後に、水で10〜1000倍に希釈され、その後、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなるものである。
なお、所定の電圧で励起した後に再度アルカリを混合する場合には、再度アルカリを混合した後に希釈し、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起するのが好ましい。
【0295】
上記実施の形態1,2の水素含有水によれば、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した後に、水で10〜1000倍に希釈し、その後、再度陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起したことから、風味が良好で飲用に適し、安定して高い水素濃度が得られる。
【0296】
上記実施の形態2の水素含有水は、更に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合されてなるものである。
ここで、上記鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合とは、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液を再度酸と混合した段階、アルカリと混合した分散液または再度酸と混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した段階、陰極及び陽極を浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された分散液を再度アルカリと混合した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、再度酸と混合した後の分散液、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された後の分散液、再度アルカリと混合した後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【0297】
本発明の水素含有水は、更に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種が混合されてなることから、より高い水素濃度の維持効果が得られる。
鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の混合により、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が取り込まれマグネシウム/カルシウムーリン酸―鉄/亜鉛―錯体状物となることで、電子移動が促進されやすくなり上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素生成反応が促進されると考えている。また、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に鉄/亜鉛が加わることで、錯体状物の安定性(電荷バランス等)が向上し、水素(H)や水素イオン(H)の吸着固定が安定化することも考えられる。これにより、水素濃度が顕著に増大し、より高い水素濃度が長い間維持される。
【0298】
上記実施の形態2の水素含有水は、更に、分散液に糖類及び/または多糖類が混合されてなるものである。
ここで、上記糖類及び/または多糖類が混合とは、糖類及び/または多糖類が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製する段階、分散液を調製した段階、調製した分散液を酸と混合して酸性にした段階、酸性にした分散液をアルカリと混合した段階、アルカリと混合した分散液を再度酸と混合した段階、アルカリと混合した分散液または再度酸と混合した分散液に陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起した段階、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された分散液を再度アルカリと混合した段階の何れか1以上の段階で混合されたことを意味する。即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種とリン酸及び/またはリン酸塩と水とを混合して分散液を調製するときに混合、及び/または、調製した分散液、酸と混合後の分散液、アルカリと混合後の分散液、再度酸と混合した後の分散液、陰極及び陽極が浸漬され、それら電極間が所定の電圧で励起された後の分散液、再度アルカリと混合した後の分散液のうち何れか1以上に混合されたものである。
【0299】
本発明の水素含有水は、更に、糖類及び/または多糖類が混合されてなることから、更に高い水素濃度の維持効果が得られる。
糖類及び/または多糖類を混合することで、糖類及び/または多糖類とリン酸及び/またはリン酸塩との結合・解離反応によって電子移動が促進されやすくなり、上記反応式に示したような電子授受が円滑に行われるようになって水素の生成が促進されることに加え、糖類/多糖類が水素原子を多く有することでそれらの水素原子をもとに水素が生成されて水素生成量が増大すると考えている。これにより、水素濃度が更に増大し、顕著に高い水素濃度が長い間維持される。
【符号の説明】
【0300】
1,100 水素含有水
10 マグネシウム/カルシウム
20 リン酸/リン酸塩
30 水
40 分散液
50,500 有機酸
60,600 アルカリ
70 鉄/亜鉛
80 糖類/多糖類
90 塩化物
【要約】
【課題】高い水素濃度を長い間維持でき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とすること。
【解決手段】水素含有水1は、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50の混合によりpH1以上、pH5未満の酸性にした後、アルカリ60の混合によりpH3以上、pH5未満とし、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することによって得られたものであり、かつ、鉄/亜鉛70が混合されてなるものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9