特許第5907455号(P5907455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5907455-プラズマトーチ 図000002
  • 特許5907455-プラズマトーチ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907455
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】プラズマトーチ
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/32 20060101AFI20160412BHJP
   B23K 10/00 20060101ALI20160412BHJP
   H05H 1/28 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   H05H1/32
   B23K10/00 504
   H05H1/28
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-37846(P2012-37846)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2012-178348(P2012-178348A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2012年2月23日
【審判番号】不服2015-915(P2015-915/J1)
【審判請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0016315
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512046431
【氏名又は名称】エムエーケイ カンパニー,リミテット
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャンホ
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 土屋 知久
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−192842(JP,A)
【文献】 特開平10−286676(JP,A)
【文献】 実開昭59−165779(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H1/26-1/44
B23K10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に円錐形の空間部が形成され、陽極として作用するノズルと;
上記空間部の内側上部に突出して形成され、陰極として作用する電圧棒と;
前記ノズルと前記電圧棒の間の空間部に電気的アークを発生させるアーク発生部と;
前記電圧棒の外側に形成され反応ガス注入を通じて、前記空間部に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と;
プラズマ発生による前記電圧棒の高温状態を冷却させるために、前記電圧棒の内部に形成された冷却通路を通じて、前記電圧棒の内部に冷却媒体を供給して循環させる冷却媒体供給手段と;
前記アーク発生部の電圧棒に付着した異物を除去するために、前記反応ガス通路の外側に形成されたクリーン空気通路を通じて、前記反応ガスの噴出方向及び前記電気的アークの発生方向とは異なる方向で記空間部に露出した前記電圧棒の底表面向かって、圧縮された高圧のクリーン空気を噴射するクリーン空気供給手段と;
を含むことを特徴とするプラズマトーチ。
【請求項2】
前記クリーン空気供給手段は、
外周面に形成されてクリーン空気が投入されるクリーン空気注入口と、
前記クリーン空気注入口に投入されたクリーン空気を前記アーク発生部に送るために内部に形成されたクリーン空気通路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマトーチ。
【請求項3】
前記クリーン空気は、
高圧の圧縮空気であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマトーチ。
【請求項4】
前記クリーン空気供給手段は、
プラズマ処理が終了した場合、クリーン空気注入口から圧縮されたクリーン空気を注入、前記クリーン空気をクリーン空気通路とアーク発生部を通じて、前記反応ガスの噴出方向及び前記電気的アークの発生方向とは異なる方向で、前記電圧棒の底部表面に向かって吹き付けることにより、異物を除去することを特徴とする請求項2に記載のプラズマトーチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマトーチに関し、特に、高電圧アーク放電時、電極に異物やほこりが付着してアーク放電効果が低下することを防止するために装置を分解しなくても、電極の異物の除去が可能なプラズマトーチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマトーチは、電気を用いて20,000℃以上の高温のプラズマジェット(火炎)を噴出する装置であって、化学元素の分析、鋼板切断、有害気体の分解などに広く使われている。
【0003】
前記プラズマトーチは、プラズマを生成して電気エネルギーを熱エネルギーに変換する装置であって、プラズマガスを電極間に保有する電気アークを通過させることにより、電極と気体がアーク放電によってエネルギーが発生し、気体が高温のアーク間を通過しながらプラズマ状態に転移する原理を利用する。
【0004】
従来のプラズマトーチは、電極に数千から数万ボルトの高周波数の高電圧が印加されてアーク放電を生成するので、前記電極の電圧棒にほこりや異物が付着し、これによりアーク放電効果が低下するという問題があった。
【0005】
上記のような問題を解決するためには、周期的に前記プラズマトーチを分解して電圧棒を掃除しなければならないので、メンテナンスが非常に煩わしいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、プラズマを生成するための反応ガスと、冷却のための冷却空気と、別の電圧棒の異物を除去するための空気注入口と、前記空気注入口を通じて流入した空気を前記電圧棒に印加する空気通路とを構成することにより、掃除およびメンテナンスが容易なプラズマトーチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明に係るプラズマトーチは、陽極で形成されたノズルと、陰極で形成された電圧棒と、前記二つの電極間に電気的アークを発生させるアーク発生部と、前記アーク発生部に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、プラズマの発生による高温状態を冷却させるための冷却媒体供給手段と、前記アーク発生部の電圧棒に付着した異物を除去するためのクリーン空気供給手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記クリーン空気供給手段は、外周面に形成されてクリーン空気が投入されるクリーン空気注入部と、前記クリーン空気注入部に投入されたクリーン空気を前記アーク発生部に送るために内部に形成されたクリーン空気通路とを含むことを特徴とする。
【0009】
そして、前記クリーン空気は、高圧の圧縮空気であることを特徴とする。このために、圧縮空気を提供するエアーコンプレッサが前記クリーン空気注入部に連結されて圧縮空気を提供する。
【0010】
また、前記クリーン空気供給手段は、プラズマ処理が終了した場合、前記クリーン空気注入口にクリーン空気を注入させ、前記クリーン空気がクリーン空気通路とアーク発生部を通じて前記電圧棒に加圧して異物を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明に係るプラズマトーチは、プラズマの生成のための反応ガスと、冷却のための冷却空気と、別の電圧棒の異物を除去するための空気注入口と、前記空気注入口を通じて流入した空気を前記電圧棒に印加する空気通路とを構成することにより、掃除およびメンテナンスが容易であり、トーチの寿命を長くすることができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の望ましい実施例に係るプラズマトーチを概略的に示す断面図である。
図2】本発明の望ましい実施例に係るプラズマトーチ内部の反応ガス、冷却空気およびクリーン空気の循環の流れを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の望ましい実施例について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の望ましい実施例に係るプラズマトーチを概略的に示す断面図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明に係るプラズマトーチは、陽極で形成されたノズル20と、陰極で形成された電圧棒10と、前記二つの電極間に電気的アークを発生させるアーク発生部と、前記アーク発生部に反応ガスを供給する反応ガス供給手段30と、プラズマの発生による高温を冷却させるための冷却空気供給手段40と、前記アーク発生部の電圧棒に付着した異物を除去するためのクリーン空気供給手段50とを含んで構成することができる。
【0016】
前記ノズル20は、一般に、電解質銅で製造され、前記陰極の電圧棒10は、タングステン材で製造することができる。
【0017】
前記反応ガス供給手段30は、反応ガスが注入される反応ガス注入口310と、前記反応ガスがトーチの内部を通じて前記アーク発生部に注入される反応ガス通路320とを含んで構成することができる。
【0018】
前記反応ガスは、反応ガスタンクが前記反応ガス注入口310と連結されて前記反応ガス注入口310を通じて反応ガスが供給される。
【0019】
ここで、反応ガスは、酸素、窒素、アルゴンなどの処理に必要な機能に応じて様々に選択することができる。
そして、前記冷却空気供給手段40は、冷却空気が注入される冷却空気注入口410と、前記冷却空気注入口に流入した冷却空気が内部を循環して電極で発生した高温の熱を冷却する冷却通路420と、前記冷却空気が外部に流出される冷却空気出口430とを含んで構成することができる。
【0020】
前記冷却空気は、冷却空気タンクと前記冷却空気注入口410とが連結されて前記冷却空気タンク内部の冷却空気が前記冷却空気注入口410を通じて注入される。
【0021】
本発明は、高温のプラズマトーチを空気によって冷却させる空冷式についての実施例であるが、その他にも流体によって冷却させる水冷式にも適用できるということは自明である。
【0022】
また、前記クリーン空気供給手段50は、プラズマ処理時、電圧棒10に付着した異物を除去する役割をする。
【0023】
より具体的に、前記クリーン空気供給手段50は、空気が流入するクリーン空気注入口510と、前記クリーン空気注入口を通じて注入されたクリーン空気を前記アーク発生部に送るためのクリーン空気通路520とを含んで構成される。
【0024】
上記のように、アーク発生部にクリーン空気が送られるとアーク発生部を通じて電圧棒10にクリーン空気が加圧されて電圧棒に付着した異物を除去することができる。
【0025】
ここで、前記電圧棒10に付着した異物の除去効果を高めるために、前記クリーン空気は高圧の圧縮空気を用いることが望ましい。
【0026】
このために、圧縮空気を受容したエアーコンプレッサが前記クリーン空気注入部510と連結され、前記クリーン空気注入部510を通じて圧縮空気が供給される。
【0027】
前記クリーン空気供給手段50は、プラズマトーチ内に一つだけを形成するが、異物の除去効果を高めるために二つ以上を形成しても良い。
【0028】
以下、本発明に係るプラズマトーチの動作方法について説明する。
【0029】
図2は、本発明の望ましい実施例に係るプラズマトーチ内部の反応ガス、冷却空気およびクリーン空気の循環の流れを概略的に示す図である。
【0030】
図2を参照すると、プラズマ処理のために陽極のノズルと陰極の電圧棒に高電圧が印加され、反応ガス供給手段によって反応ガスが図2のようにアーク発生部に供給されると、前記電極間に導入された反応ガスをイオン化させて電気エネルギーを熱エネルギーに変換させてアークプラズマを生成する。
【0031】
上記のように、アークプラズマが生成されるプラズマトーチの電極内部が高温になって溶融される可能性があるので、冷却空気供給手段により、図2のように冷却空気をプラズマトーチの内部に循環させて内部の高熱を放出して冷却させる。
【0032】
上記のような動作によりプラズマ処理を行い、プラズマ処理が終了すると前記クリーン空気供給手段によりクリーン空気をアーク発生部に流入させ、クリーン空気がアーク発生部を通じて電圧棒に送られて電圧棒に付着したほこりや異物を除去することになる。
【0033】
したがって、本発明は、電圧棒に付着した異物の除去のためにプラズマトーチを分解する必要がなく、クリーン空気の注入のみで異物の除去が可能であるので、清掃が容易であり、かつメンテナンスが非常に容易であるという特徴を有する。
【符号の説明】
【0034】
10 電圧棒
20 ノズル
30 反応ガス供給手段
40 冷却空気供給手段
50 クリーンガス供給手段
図1
図2