特許第5907515号(P5907515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907515
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】グラム陽性細菌用抗菌剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/785 20060101AFI20160412BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20160412BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   A61K31/785
   A61K9/16
   A61P31/04
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-134258(P2014-134258)
(22)【出願日】2014年6月30日
(62)【分割の表示】特願2009-548023(P2009-548023)の分割
【原出願日】2008年12月22日
(65)【公開番号】特開2014-177493(P2014-177493A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2007-337382(P2007-337382)
(32)【優先日】2007年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507066884
【氏名又は名称】城武 昇一
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城武 昇一
【審査官】 光本 美奈子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−123278(JP,A)
【文献】 特表2002−510049(JP,A)
【文献】 Chem Pharm Bull,vol.56, p.137-138 (Published online November 7, 2007)
【文献】 J Appl Microbiol, vol.89, p.397-403 (2000)
【文献】 J Colloid Interface Sci, vol.103, p.154-163 (1985)
【文献】 「Physical and functional properties of novel polysaccharide films(新規多糖フィルムの物性と機能)」,大阪府立大学 博士(応用生命科学)論文要旨,2008年 2月20日,URL,http://www.osakafu-u.ac.jp/data/open/cnt/3/1828/1/o1196.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00〜33/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラム陽性細菌の細胞壁に接着し、哺乳動物の細胞膜には接着しない、粒径が5μm以下の粒子であって、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない粒子(ただし、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を全く含まない粒子を除く)を有効成分として含有する、グラム陽性細菌用抗菌剤であって、前記粒子は、繰り返し単位中に下記一般式(II)
【化1】
[式中、Zはシアノ基であり、Rはヒドロキシ基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。]
で表される構造を有するポリマー粒子である、グラム陽性細菌用抗菌剤
【請求項2】
前記粒子の粒径が1μm以下である請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】
前記粒子の平均粒径が20nm〜500nmである請求項2記載の抗菌剤。
【請求項4】
前記粒子の平均粒径が20nm〜300nmである請求項3記載の抗菌剤。
【請求項5】
前記粒子のゼータ電位が-3mV〜-80mVである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項6】
前記一般式(II)において、Rはn-ブトキシ基である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項7】
前記ポリマー粒子は、下記一般式(III)
【化3】
[Z及びRは上記一般式(II)における定義に同じであり、X及びYはそれぞれ独立して末端に炭素−炭素二重結合を有する原子団を表すか、又はX及びYが一緒になってメチリデン基を表す。]
で表されるモノマー並びに水酸基を有する糖類及び/又はポリソルベートの共存下において、前記モノマーを重合させることにより製造される請求項ないしのいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項8】
前記一般式(III)において、X及びYは一緒になってメチリデン基を表す請求項記載の抗菌剤。
【請求項9】
前記一般式(III)で表されるモノマーがn-ブチル-2-シアノアクリレートである請求項記載の抗菌剤。
【請求項10】
前記糖類が、グルコース、リボース、フルクトース、マンノース、ラクトース、トレハロース、マルトース、スクロース、マンナン及び平均分子量70,000以上のデキストランからなる群より選択される少なくとも1種である請求項ないしのいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項11】
前記糖類が、グルコース、リボース、ラクトース、トレハロース及び平均分子量70,000以上のデキストランからなる群より選択される少なくとも1種である請求項10記載の抗菌剤。
【請求項12】
前記ポリソルベートがポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである請求項ないし11のいずれか1項に記載の抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない粒子を有効成分として含有する、グラム陽性細菌用抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの抗生剤が続々と開発されて細菌感染症は克服されたかと錯覚を抱く今日であるが、細菌は多様な抗生物質に対する防御機構を一つ一つ身につけて生き延び、院内感染の原因菌として重大な事態を引き起こしている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめ、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)やバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、さらに多剤耐性緑濃菌(MDRP)など、耐性菌の多くは現存するほとんどすべての抗生剤に耐性であり、早急なる対策が世界的に望まれている。
【0003】
抗生物質の耐性機構はそれぞれの抗生物質に対して特異的なメカニズムであり、多剤耐性菌はその多様な仕組みを駆使して、抗生物質の多剤併用療法から生き延びている。この問題に答えるべく、新しい抗生物質の探索や構造改変、薬物送達方法の改善や、耐性菌の全ゲノム解析からプロテオミクス手法、Multi-locus sequence typing手法や、常在菌干渉作用など様々な方策を用いた多様な研究が始まっている。それらの成績は未だ充分なものでなく、複数の耐性機構を同時に封じ込める対策が必要である。
【0004】
薬物のデリバリーシステム(DDS)や徐放化による薬物の効果向上を目的に、薬剤の微粒子化の研究が進んでおり、例えばシアノアクリレートポリマー粒子に薬剤を抱合させたDDSが公知である(特許文献1、2及び非特許文献1)。しかしながら、現在までのいずれの研究においても、薬物のDDSと徐放化が目的であって、微粒子単体の抗菌作用については全く知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特表平11−503148号公報
【特許文献2】特表2002−504526号公報
【非特許文献1】Christine Vauthier et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 55, 519-548 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、耐性菌が身につけた多様な抗生物質耐性機構を超えて、種々の多剤耐性菌に対して抗菌作用を発揮することができる新規な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、抗菌薬のアクリル系ナノカプセル抱合による薬物送達方法の研究を行なってきたが、今回その研究から得られたノウハウを基に、抗菌薬を抱合しない粒子単体を細菌に初めて適用したところ、粒子と細菌の細胞壁との特異的な接着に次ぐ溶菌現象を見出し、本願発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、グラム陽性細菌の細胞壁に接着し、哺乳動物の細胞膜には接着しない、粒径が5μm以下の粒子であって、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない粒子(ただし、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を全く含まない粒子を除く)を有効成分として含有する、グラム陽性細菌用抗菌剤であって、前記粒子は、繰り返し単位中に下記一般式(II)
【化5】
[式中、Zはシアノ基であり、Rはヒドロキシ基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。]
で表される構造を有するポリマー粒子である、グラム陽性細菌用抗菌剤を提供する
【発明の効果】
【0009】
本発明により、公知の抗生物質とは全く異なる機構による新規な抗菌手段が提供された。抗生物質を使わない殺菌剤としては消毒薬があるが、これらは外用薬であり、その毒性ゆえに体内投与することはできず、感染症治療に用いることはできない。本発明で用いられる粒子は、既に人体への安全性が確認され実用されている素材を用いて調製することができるので、感染症治療にも使用可能である。本発明の抗菌剤は、細菌の薬剤耐性機構を超越した抗菌剤であるため、MRSAやVREに代表される多剤耐性を示すグラム陽性細菌にも適用可能であり、また、抗生物質の使用において大きな問題となる新たな多剤耐性菌の出現を回避することもできる。本発明によって、多剤耐性菌感染症に対する治療の途が拓かれるばかりか、抗菌薬の研究開発に全く新しい分野が創造され、抗菌薬研究に革新的な展開が生じるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】VSE及びVREの菌体のSEM像である。
図2】バンコマイシン処理したVRE NCTC12201株のSEM像である。
図3】製造例1で調製した0.01NHCl-Dex70+Glucose粒子で処理した、VRE NCTC12201株のSEM像である(粒子処理から1時間後、3時間後及び6時間後)。
図4】製造例1で調製した0.01NHCl-Dex70+Glucose粒子で処理した、VRE NCTC12201株及びGTC02000株のSEM像である(粒子処理から1時間後)。
図5】製造例1で調製した0.01NHCl-Dex70+Glucose粒子で処理した、MRSA JCM8703菌株のSEM像である(粒子処理から1時間後、3時間後及び6時間後)。
図6】製造例3で製造した各粒子の粒径分布のグラフである。
図7】製造例3で製造した各粒子のゼータ電位分布のグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のグラム陽性細菌用抗菌剤は、グラム陽性細菌の細胞壁に接着し、哺乳動物の細胞膜には接着しない粒子であって、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない粒子を有効成分として含有するものである。
【0012】
本発明で用いられる粒子は、グラム陽性細菌の細胞壁に接着し、哺乳動物の細胞膜には接着しないという特徴を有する。粒子が細胞壁や細胞膜等の細胞表面に接着するか否かの判断は、以下のようにして行なわれる。粒子を生理食塩水又はMueller Hinton Broth等の培養液に懸濁し(6μg/ml)、市販の24ウェル細胞培養プレート(通常は1ウェル当たりの容量3.29ml、底面培養表面積1.91cm2)を用いて、1ウェル当たり105個〜106個/1ml程度のグラム陽性細菌又は哺乳動物細胞数に該懸濁液を1ml添加する。少なくとも1時間放置後、生理食塩液をマイクロピペットで1ウェル当たり1mlを加えて2〜3回プレートをゆっくり振盪後、上澄洗浄液を吸引除去する。さらに、同様の洗浄操作を2回繰り返す。こうして得られる細胞試料を電子顕微鏡を用いて観察し、細胞表面に粒子を認める場合を接着する、認めない場合を接着しないと判断する。なお、かかる処理により細胞内に粒子が侵入する場合があるが、細胞内への侵入の有無は接着性の評価において考慮しないものとする。哺乳動物細胞は、周知の通り表面に細胞壁を有さず細胞膜で覆われており、該細胞膜の構造は脂質二分子層から成るが、このような哺乳動物細胞の表面構造はいずれの動物種ないしは組織由来であっても基本的に同一である。従って、哺乳動物の細胞膜に接着するか否かの判断に用いられる哺乳動物細胞の種類は特に限定されない。また、生体から採取した組織細胞塊又はそれを分離して調製した細胞であってもよいし、株化された培養細胞であってもよい。例えば、下記実施例に記載されるように、ヒト培養細胞株であるHeLa細胞あるいはハムスターCHO細胞等の細胞を用いて、哺乳動物細胞膜への接着性を評価することができる。以下、本明細書において、哺乳動物細胞膜には接着せずにグラム陽性細菌細胞壁に接着する該粒子の接着性を「特異的接着」ということがある。
【0013】
また、該粒子は、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない粒子(ただし、グラム陽性細菌に対する抗菌活性成分を全く含まない粒子を除く)である。「抗菌活性成分」とは、グラム陽性細菌の代謝経路ないしは生理機能に生化学的に作用して該細菌の発育を阻止することができる化学物質成分をいい、具体的には、グラム陽性細菌の抗菌に利用可能な抗生物質その他の化学物質成分を言う。「実質的に含まない」とは、抗菌活性成分を全く含まないか、含んでいるとしても、その抗菌活性成分に対し感受性であるグラム陽性細菌を抗菌することができない程度の微量にしか該抗菌活性成分を含んでいないことを意味する。「抗菌することができない程度の微量」とは、粒子単位体積当たりに含まれる粒子中の抗菌活性成分量を粒子中の含有濃度と定義し、この含有濃度と同濃度の抗菌活性成分を粒子に抱合させず単独で感受性グラム陽性細菌に作用させた場合に、該感受性グラム陽性細菌の発育を阻止できない量のことを意味する
【0014】
本発明の抗菌剤は、抗生物質の抗菌活性を利用するものではなく、粒子の細胞壁への接着作用により溶菌を生じさせ、細菌の発育を阻止するものである。粒子の上記した特異的接着性が溶菌を生じる原理の詳細は不明であり、本発明の範囲は理論に拘束されるものではないが、以下のことが考えられる。すなわち、細胞壁合成の基本はUDP−MurNAc−ペンタペプチドと、次に、細胞膜の脂肪酸と結合し後にGluNAcと結合した脂質−MurNAc(GluNAc)−ペンタペプチドを形成し、そのMurNAcが合成中のペプチドグリカンのGluNAcと結合して多枝構造の細胞壁が構築される。その細胞壁合成は細胞壁の外側で施工されているので、粒子が細菌表面に接着することで細胞壁合成を妨害し、溶菌に導いているものと考えられる。
【0015】
本発明の抗菌剤の抗菌作用は、上記粒子の粒径とゼータ電位に影響される(下記実施例参照)。本発明に用いられる粒子の粒径は5μm以下であり、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。なお、粒径の下限は特に限定されないが、例えば下記実施例に記載されるような方法でアクリレート系モノマーの重合によりアクリレート系ポリマー粒子を製造する場合には、粒子の粒径は通常7nm程度以上となる(図6)。抗菌剤に含有される粒子全体の平均粒径は、好ましくは20nm〜500nm、特に好ましくは20nm〜300nmである。また、ゼータ電位とは、粒子表面の電荷を示すもので、粒子の分散性の指標となる。本発明で用いられる粒子は、数百nm〜数μm程度のサイズの細菌表面に接着して作用するため、凝集が生じない程度の分散性を有することが好ましく、特に限定されないが、ゼータ電位が好ましくは-3mV〜-80mVである。粒子サイズ及びゼータ電位は、下記実施例に記載するとおり、He・Neレーザーを用いた市販の装置(実施機種:Zetasizer Nano, Malvern Inst.UK社製)により容易に測定することができる。該装置によれば、図6及び図7に示されるような粒径分布及びゼータ電位分布のグラフが得られ、平均粒径とゼータ電位が算出される。なお、この装置による平均粒径の測定原理は、粒子のブラウン運動により散乱されたレーザー光の強度の変動から粒子径を求める光子相関法(動的散乱法)により算出するものであり、また、ゼータ電位の測定原理は、粒子の電気泳動である。
【0016】
上記した特異的接着性を有する粒子は、下記一般式(I)
【0017】
【化1】
【0018】
(式中、Zは電子供与基を示す)
で表される構造を繰り返し単位中に有するポリマー粒子である。式中の波線は、一般式(I)で示される構造が結合している、ポリマー構造中の他の構造部分を示す。電子供与基とα位に存在するカルボキシル基とを有する一般式(I)の構造は、糖タンパク質と高い親和性を示す。そのため、細菌細胞表層に存在するペプチドグリカンからなる細胞壁多枝構造と親和性を示し、上記した特異的接着性を好ましく発揮し得る。
【0019】
電子供与基Zはシアノ基である
【0020】
一般式(I)で示される構造は、下記一般式(II)で示される構造である
【0021】
【化2】
【0022】
(式中、Zは上記一般式(I)における定義に同じであり、Rはヒドロキシ基又は炭素数1から10のアルコキシ基である
【0023】
一般式(II)の中でも、Rがn-ブトキシ基である構造が好ましい
【0024】
本発明で用いられる粒子のうち、繰り返し単位中に上記一般式(II)で表される構造を有するポリマー粒子は、例えば、下記一般式(III)
【0025】
【化3】
【0026】
[Z及びRは上記一般式(II)における定義に同じであり、X及びYはそれぞれ独立して末端に炭素−炭素二重結合を有する原子団を表すか、又はX及びYが一緒になってメチリデン基を表す。]
で表されるモノマーを、水酸基を有する糖類及び/又はポリソルベートの共存下において重合させることにより製造することができる。このような構造を有するモノマーとしては、例えばアクリレート系モノマーが挙げられるが、アクリレート系モノマーは種々のものが市販されており、そのような市販品を好ましく用いることができる。また、その他のモノマーは、例えば市販のアクリレート系モノマーから化学合成分野における周知の常法を用いて容易に調製することができる。
【0027】
一般式(III)に示すモノマーの中でも、Rがヒドロキシ基又は炭素数1から10のアルコキシ基であるモノマー、すなわち、電子供与基Zで置換されたアクリレート系モノマーが好ましい。また、電子供与基Zは、上記した通りシアノ基である。すなわち、上記モノマーとしては、シアノアクリレート系モノマーが特に好ましい。シアノアクリレート系モノマーの好ましい例としては、例えば、下記式で表されるn-ブチル-2-シアノアクリレート(nBCA)を挙げることができる。nBCAは外科領域において傷口の縫合のための接着剤として従来から用いられているものであり、人体への安全性は保証されている。

【0028】
【化4】
【0029】
上記モノマーはアニオン重合により重合することができる。アニオン重合では、特に限定されないが、重合開始及び重合安定化のために糖類及び/又はポリソルベートを用いることができる。従って、本発明で用いることができる「ポリマー粒子」には、糖類やポリソルベートのような重合開始及び安定剤を含むものも包含される。糖類及び/又はポリソルベートを用いることで、粒径のばらつきの少ない均一な粒子を好ましく調製することができる。
【0030】
糖類は特に限定されず、水酸基を有する単糖類、水酸基を有する二糖類及び水酸基を有する多糖類のいずれであってもよい。単糖類としては、例えばグルコース、マンノース、リボース及びフルクトース等が挙げられる。二糖類としては、例えばマルトース、トレハロース、ラクトース及びスクロース等が挙げられる。多糖類としては、従来公知のシアノアクリレートポリマー粒子の重合に用いられているデキストランや、マンナン等を用いることができる。これらの糖は、環状、鎖状のいずれの形態であってもよく、また、環状の場合、ピラノース型やフラノース型等のいずれであってもよい。また、糖には種々の異性体が存在するがそれらのいずれでもよい。通常、単糖は、ピラノース型又はフラノース型の形態で存在し、二糖は、それらがα結合又はβ結合したものであり、このような通常の形態にある糖をそのまま用いることができる。また、ポリソルベートとしては、特に限定されず、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名 Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名 Tween 80)等の公知のTween系界面活性剤のいずれであってもよい。単糖類、二糖類及び多糖類並びにポリソルベートは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。上記した糖類及びポリソルベートのうち、グルコース、リボース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、Tween 20(商品名)が好ましく、デキストランとしては、平均分子量7万以上の重合度であるデキストランが好ましい。デキストランの分子量の上限は特にないが、通常、分子量50万程度以下である。
【0031】
重合反応の溶媒は、通常、水が用いられる。アニオン重合は、水酸イオンにより開始されるので、反応液のpHは、重合速度に影響する。反応液のpHが高い場合には、水酸イオンの濃度が高くなるので重合が速く、pHが低い場合には重合が遅くなる。通常、pHが2〜4程度の酸性下で適度な重合速度が得られる。反応液を酸性にするために添加する酸としては、特に限定されないが、反応に悪影響を与えず、反応後に揮散する塩酸を好ましく用いることができる。
【0032】
反応開始時の重合反応液中のモノマーの濃度は、特に限定されないが、通常、0.5v/v%〜2.0v/v%程度、好ましくは0.8v/v%〜1.5v/v%程度である。重合反応に糖類及び/又はポリソルベートを用いる場合、反応開始時の重合反応液中の糖類及び/又はポリソルベートの濃度(複数種類用いる場合はその合計濃度)は、特に限定されないが、通常、0.5%〜10%程度、好ましくは0.75%〜7.5%程度である。なお、糖類の濃度はw/v%、ポリソルベートの濃度はv/v%を意味し、例えば糖類を単独で用いる場合には、上記した濃度範囲はそれぞれ「0.5w/v%〜10w/v%」、「0.75w/v%〜7.5w/v%」を意味する。また、糖類を5w/v%、ポリソルベートを1v/v%で併せて用いる場合には、これらの合計濃度を6%というものとする。ただし、単糖類(例えばグルコース)のみを用いる場合には、2.5w/v%〜10w/v%程度で用いることが好ましい。また、反応温度は、特に限定されないが、室温で行なうことが簡便で好ましい。反応時間は、特に限定されないが、通常、15分〜4時間程度、好ましくは、30分〜3時間程度である。重合反応は、撹拌下に行なうことが好ましい。なお、粒子は、通常、中性の粒子として用いられるので、反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を反応液に添加して中和することが好ましい。
【0033】
上記の重合反応により、モノマーがアニオン重合してポリマー粒子が生成する。生成した粒子は、遠心式限外ろ過等の常法により回収することができる。上記方法によれば、平均粒径が20nm〜500nm程度、好ましくは20nm〜300nm程度であって、ゼータ電位が-3mV〜-80mV程度であるポリマー粒子を得ることができ、該粒子を上記した粒子として本発明に好ましく用いることができる。なお、粒子のサイズは、反応液中のモノマーの濃度や反応時間を調節することにより調節することが可能である。また、重合開始・安定剤として糖類及び/又はポリソルベートを用いる場合には、該重合開始・安定剤の濃度や種類を変えることによっても、粒子サイズを調節することができる(下記実施例参照)。
【0034】
本発明の抗菌剤が抗菌作用を示す菌は、グラム陽性細菌である。グラム陽性細菌であれば特に限定されず、MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)やVSE(バンコマイシン感受性腸球菌)等のように抗生物質に感受性の細菌であっても、また、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)等の多剤耐性菌であっても、本発明の抗菌剤により抗菌することができる。本発明の抗菌剤は、グラム陽性細菌の抗生物質耐性とは無関係に、上記粒子の特異的接着によってグラム陽性細菌を溶菌させ増殖を抑制するものである。従って、本発明の抗菌剤によれば、現存する多剤耐性菌をも抗菌することができるほか、新たな多剤耐性菌を出現させるおそれがないため、臨床応用上も極めて有利である。
【0035】
本発明の抗菌剤は、上記粒子のみから成るものであってもよく、また、グラム陽性細菌感染症の治療に用いる場合には、公知の賦形剤、担体等と混合し、投与方法に適した形態に調製したものであってもよい。該粒子は、単一種類の粒子のみからなるものであってもよく、また、2種類以上の粒子を混合して用いてもよい。本発明の抗菌剤の投与方法としては、皮下、筋肉内、腹腔内、動脈内、静脈内、直腸内等への非経口投与の他、経口投与が挙げられる。具体的には、例えば、生理緩衝食塩水に粒子を懸濁し、注射等により非経口投与することができ、また、カプセル剤やシロップ剤などとして経口投与することができるが、これらに限定されない。また、本発明の抗菌剤を医療器具等の殺菌に用いる場合には、例えば、水やアルコール溶媒等に上記粒子を分散させ、これに医療器具等を浸漬すればよい。上記粒子を生体に投与又は器具類等と接触させることにより、抗菌すべきグラム陽性細菌と上記粒子とを接触させることで、グラム陽性細菌を抗菌することができる。
【0036】
上記粒子の抗菌活性の強さ(MIC値及びMBC値)は、粒子の粒径やゼータ電位等に影響され、また、耐性菌の種類に応じても異なるが、通常、該粒子はインビトロで0.01mg/ml〜25mg/ml程度の濃度で抗菌作用を示す。例えば、下記実施例に記載されるシアノアクリレートポリマーから成る粒子は、下記実施例で用いられている各種黄色ブドウ球菌株及び腸球菌株に対し、インビトロで0.025mg/ml〜6.4mg/ml程度の濃度で抗菌作用を示す。本発明の抗菌剤を感染症治療に用いる場合には、特に限定されないが、上記粒子を成人に対し1回当たり通常0.1g〜100g程度、特に0.1g〜25g程度投与すればよい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0038】
製造例1
シアノアクリレート系ポリマー粒子の製造
(デキストラン、デキストラン+グルコース反応系)
モノマーとしてnBCA(Histoacryl(登録商標)、Braun社、独国Melsungen)を用いてシアノアクリレート系ポリマー粒子を製造した。重合開始・安定剤として、デキストラン単独、又はデキストラン+グルコースを用いた。デキストランは平均分子量70Kのものを用いた(Dex70)。
【0039】
100mlの塩酸に(1) 1gのDex70、又は(2) 1gのDex70と5gのグルコースを溶解した。塩酸濃度は、0.05N、0.01N、0.001Nの3通りとした。それぞれの溶液を撹拌下、1.2mLのnBCAを加え(反応液中濃度1.2v/v%)、室温で2時間撹拌を続けて(600rpm)重合反応を行なった。重合後の反応液に0.1N NaOHを加えて中和し、その後15分間撹拌した。該反応液を5μmサイズのMilexフィルター(商品名、MILLIPORE社)で濾過後、濾液をCentriprepフィルター(商品名、MILLIPORE社)を用いて3000rpm/15分間にて遠心濾過した。Centriprepフィルターを通過しなかった液について、更にDWを加え懸濁後3000rpm/15分間遠心し、同様の操作を3回行い、ポリシアノアクリレート粒子(0.05NHCl-Dex70, 0.05NHCl-Dex70+Glucose, 0.01NHCl-Dex70, 0.01NHCl+Glucose, 0.001NHCl-Dex70, 0.001NHCl-Dex70+Glucose)を得た。
【0040】
得られた粒子について、He・Neレーザー散乱光方式を利用した市販の測定装置(実施機種:Zetasizer Nano, Malvern Inst.UK社製)を用いて、平均粒径とゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1
シアノアクリレート系ポリマー粒子の抗菌活性
(デキストラン、デキストラン+グルコース反応系)
製造例1で製造した粒子の各種菌株に対する抗菌活性(最小発育阻止濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC))を調べた。ポジティブコントロールとしてアンピシリン(ABPC)を使用した。測定方法は微量液体希釈法(NCCLS)に準拠した。すなわち、APBCについては256μg/mlを原液(1倍希釈)とし、粒子については6.4mg/mlを原液(1倍希釈)として、それぞれ2倍希釈〜2048倍希釈までの12段階の希釈系列を調製して抗菌活性を評価した。96ウェルプレートにこれらの希釈系列を添加して、各ウェルに菌株を105 CFU/mlとなるように加えて35℃で18時間インキュベートし、目視にて濁りが観察された場合を菌株の発育ありとして、発育が認められなかった最低濃度をMICとした。発育が認められなかったウェルから溶液を採取して、抗生物質を含まない培地に添加し、35℃にて18時間インキュベートした後、目視にて濁りの有無を観察した。濁りが観察されなかった最低濃度をMBCとした。結果を表2〜表4に示す。表中の数値は、ABPC:μg/ml、ポリマー粒子:mg/ml、カッコ内は希釈倍率を表す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
デキストラン反応系とデキストラン+グルコース反応系では、得られた粒子の抗菌活性は同程度であった。塩酸濃度は、0.01Nの方が0.05Nよりも抗菌活性が高くなる傾向があった。
【0047】
黄色ブドウ球菌に対するMICは0.025〜0.4mg/mlであり、MSSAとMRSAに同程度の抗菌活性を示した。MBCは株間にて異なっていた。
【0048】
また、腸球菌に対するMICは0.1〜0.2mg/mlであり、VSEとVREに対する抗菌活性に差はなかった。MBCは株間で有意差が認められる場合があった(1.6mg/mlと0.1mg/ml)。
【0049】
製造例2
シアノアクリレート系ポリマー粒子の製造
(グルコース、リボース、ラクトース、トレハロース反応系)
モノマーとしてnBCA(Histoacryl(登録商標)、Braun社、独国Melsungen)を用いてシアノアクリレート系ポリマー粒子を製造した。重合開始・安定剤として、グルコース、リボース、ラクトース、トレハロースを用いた。
【0050】
糖類として上記した単糖類及び二糖類のいずれかを5g用いた他は製造例1と同様にして、ポリシアノアクリレート粒子(0.05NHCl-Glucose, 0.05NHCl-Ribose, 0.05NHCl-Lactose, 0.05NHCl-Trehalose, 0.01NHCl-Glucose, 0.01NHCl-Ribose, 0.01NHCl-Lactose, 0.01NHCl-Trehalose, 0.001NHCl-Glucose)を製造した。
【0051】
得られた粒子について、市販の測定装置(上述)を用いてHe・Neレーザー散乱光解析を行ない、平均粒径とゼータ電位を測定した。結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
実施例2
シアノアクリレート系ポリマー粒子の抗菌活性
(グルコース、リボース、ラクトース、トレハロース反応系)
実施例1と同様にして、製造例2で製造した粒子の各種菌株に対する抗菌活性(最小発育阻止濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC))を調べた。結果を表6〜表8に示す。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
単糖系と二糖系とを比較すると、ポリマー粒子の抗菌活性は単糖系の方が高かった。塩酸濃度の影響についてみると、抗菌活性は単糖系においては0.01NHCl系>0.05NHCl系、二糖系においては0.01NHCl系≦0.05NHCl系であった。
【0058】
黄色ブドウ球菌に対するMICは0.4〜3.2mg/mlであり、MSSAとMRSAに同程度の抗菌活性を示した。MBCは株間にて異なっていた。
【0059】
腸球菌に対するMICは1.6〜3.2mg/mlであり、VSEとVREに対する抗菌活性に差はなかった(データ示さず)。MBCは株間で有意差が認められる場合があった(1.6mg/mlと>6.4mg/ml)。
【0060】
製造例3
シアノアクリレート系ポリマー粒子の製造
(Tween20、Tween20+グルコース反応系)
モノマーとしてnBCA(Histoacryl(登録商標)、Braun社、独国Melsungen)を用いてシアノアクリレート系ポリマー粒子を製造した。重合開始・安定剤として、Tween20、Tween20+グルコースを用いた。重合反応時間は1時間とし、製造例1で検討したDex70及びDex70+グルコースについても再度検討した。
【0061】
0.01Nの塩酸100mlに(1) Tween20を1ml、(2) Tween20を1mlとグルコース5g、(3) Dex70を1g、(4) Dex70を1gとグルコース5gを溶解した。それぞれの溶液を撹拌下、1.2mLのnBCAを加え(反応液中濃度1.2v/v%)、室温で1時間撹拌を続けて(600rpm)重合反応を行なった。重合後の反応液に0.1N NaOHを加えて中和し、その後15分間撹拌した。該反応液を5μmサイズのMilexフィルター(商品名、MILLIPORE社)で濾過後、濾液をCentriprepフィルター(商品名、MILLIPORE社)を用いて3000rpm/15分間にて遠心濾過した。Centriprepフィルターを通過しなかった液について、更にDWを加え懸濁後3000rpm/15分間遠心し、同様の操作を4回行い、ポリシアノアクリレート粒子(0.01NHCl-Tw20、0.01NHCl-Tw20+Glucose、0.01NHCl-Dex70(1hr)、0.01NHCl-Dex70+Glu(1hr))を得た。
【0062】
得られた粒子について、市販の測定装置(上述)を用いてHe・Neレーザー散乱光解析を行ない、平均粒径とゼータ電位を測定した。結果を表9に示す。該装置を用いた解析で得られた粒径分布のグラフを図6に、ゼータ電位分布のグラフを図7に示す。
【0063】
【表9】
【0064】
実施例3
シアノアクリレート系ポリマー粒子の抗菌活性
(Tween20、Tween20+グルコース反応系)
実施例1と同様にして、製造例3で製造した粒子の各種菌株に対する抗菌活性(最小発育阻止濃度(MIC))を調べた。結果を表10に示す。
【0065】
【表10】
【0066】
Tween20を用いた反応系では、グルコース使用の有無で得られるポリマー粒子の抗菌活性に差異はなく同程度であった。また、デキストランを用いた反応系と対比しても、ポリマー粒子の抗菌活性は同程度であった。黄色ブドウ球菌と腸球菌に対するMICは0.05〜0.1mg/mlであり、感受性と耐性菌共に同等の抗菌活性を示した。
【0067】
実施例4
ポリマー粒子の接着性及び溶菌現象の確認
製造例1で調製した0.01NHCl-Dex70+Glucose粒子を処理したグラム陽性細菌の形態変化を電子顕微鏡により観察した。ポリマー粒子による処理は、以下のとおりに行なった。
【0068】
上記粒子を生理食塩水に懸濁して粒子懸濁液(6μg/ml)を調製した。市販の24ウェル細胞培養プレートを用いて、1ウェル当たり105個〜106個/1ml程度のグラム陽性細菌又は哺乳動物細胞数に1ウェル当たり1mlの粒子懸濁液を添加し、ウェル中にて室温で1時間粒子と細菌を混合浮遊させた。その後、生理食塩水を1ml/ウェル添加してプレートを2〜3回振とうし、洗浄液を吸引除去した。この洗浄操作を2回繰り返して合計3回の洗浄操作を行ない、洗浄後の細菌を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
【0069】
バンコマイシン耐性の多剤耐性菌であるVREのNCTC12201株にバンコマイシンを作用させても、全く変化は認められないが(図2)、上記ポリマー粒子で処理すると、粒子が細菌表面に接着し、菌体が膨潤して溶菌する様子が観察された(図3)。VREの他の菌株においても同様に粒子の接着と溶菌現象が観察され、菌株間で形態変化に差異は認められなかった(図4)。メチシリン耐性の多剤耐性菌であるMRSAのJCM8703菌株においても、VREと同様に、ポリマー粒子の細菌表面への接着と溶菌現象が観察された(図5)。
【0070】
一方、哺乳動物細胞への接着性について検討するため、24ウェル細胞培養プレート中で培養したHeLa細胞あるいはCHO細胞に対して、上記と同様の粒子処理及び洗浄操作を行ない、SEMにて細胞を観察したところ、細胞表面への粒子の接着は認められなかった。このことから、該粒子は哺乳動物細胞膜への接着性を有しないことが確認された。なお、該粒子の生体への毒性について、マウスを用いて日局の亜急性毒性試験を行なったところ、毒性症状は認められなかった。
【0071】
参考例 ポリマー粒子洗浄外液の抗菌活性について
製造例1ないし3において、Centriprepフィルターを用いて遠心濾過によりポリマー粒子を洗浄した際の洗浄外液を用いて、ポリマー粒子からの溶出成分が抗菌活性を示している可能性を検討した。4回目の洗浄外液を用いて、実施例1に記載される方法と同様の方法により抗菌活性を調べた。その結果、製造例1ないし3で製造したいずれの粒子の洗浄外液を用いても、MSSA及びMRSAの増殖を抑制することはできなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7