(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907533
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】エネルギー収穫のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
H02N2/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-532638(P2012-532638)
(86)(22)【出願日】2010年10月8日
(65)【公表番号】特表2013-507894(P2013-507894A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】FI2010050785
(87)【国際公開番号】WO2011042611
(87)【国際公開日】20110414
【審査請求日】2013年9月30日
(31)【優先権主張番号】20096034
(32)【優先日】2009年10月8日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】512091040
【氏名又は名称】ヴィーティーアイ テクノロジーズ オーワイ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】カルカイネン,アンナ‐マイジャ
(72)【発明者】
【氏名】キナライネン,ジュッカ
(72)【発明者】
【氏名】ロシェア,リーフ
(72)【発明者】
【氏名】クイスマ,ヘイッキ
【審査官】
小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−526176(JP,A)
【文献】
特開2006−294947(JP,A)
【文献】
特開平11−098868(JP,A)
【文献】
特開平11−125145(JP,A)
【文献】
特開2014−128161(JP,A)
【文献】
特表2009−524387(JP,A)
【文献】
特表2008−518573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動、ひずみ、回転および/または打撃からのエネルギー収穫のための装置(100)であって、前記装置は、
‐本質的に互いに平行に配置される2つのコンデンサ板(102a、102b)を備え、前記コンデンサ板のうちの少なくとも1つ(102a)が他のコンデンサ板(102b)と本質的に垂直方向に振動、ひずみ、回転および/または打撃に起因する運動をするように適合され、それにより、前記コンデンサ板の間に可変隙間(103)を形成し、前記コンデンサ板の間の電気容量を変えて電源出力部に電力を生成するコンデンサ収穫モジュールと、
‐前記コンデンサ板(102a、102b)の間に配置される誘電体薄膜(104)と、
‐振動および/またはひずみから前記コンデンサ収穫モジュールへバイアス電圧を生成するように適合される圧電素子(105)と、
を備えることを特徴とし、
前記コンデンサ板の少なくとも1つ(102a)は、前記コンデンサ板の少なくとも1つ(102a)が前記他のコンデンサ板(102b)に関して前後に振動することを、ばね要素(106)が可能にするように、前記ばね要素に関連し、前記ばね要素のばね定数は、前記隙間(103)が、前記装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間に、最小化および最大化されるように、任意に選択され、前記誘電体薄膜の厚みが最大で25nmである、装置。
【請求項2】
前記圧電素子(105)も、振動および/またはひずみから前記電源出力部へ電力を生成するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンデンサ板(102a、102b)の間の隙間(103)は、前記装置(100)の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、継続的に最小化および最大化されるように適合される、請求項1〜2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
質量要素(107)は、少なくとも1つのコンデンサ板(102a、102b)に関連し、前記質量要素は、前記コンデンサ板の少なくとも1つが前記他のコンデンサ板に関して前後に振動することを可能にし、前記質量は任意に選択され、前記隙間は、前記装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記コンデンサ板(102a、102b)は、前記コンデンサ板が、前記誘電体薄膜(104)のみによって本質的に分離される半接触モードへと互いに関して動くように適合され、前記コンデンサ板は、誘電体薄膜(104)によってのみ本質的に分離される、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
振動、ひずみ、回転および/または打撃からのエネルギー収穫のための方法であって、前記方法において、
‐コンデンサ収穫モジュールにおいて互いに本質的に平行に配置される2つのコンデンサ板(102a、102b)のうちの少なくとも1つは、他のコンデンサ板に対して本質的に垂直方向の振動、ひずみ、回転および/または打撃によって動かされ、前記コンデンサ板の間の可変隙間(103)を形成して前記コンデンサ板の間の前記電気容量を変えて電源出力部へ電力を生成し、
‐誘電体薄膜(104)は、前記コンデンサ板(102a、102b)の間に使用され、
‐圧電素子(105)は、振動および/または打撃からコンデンサ収穫モジュールへバイアス電圧を生成する、
ことを特徴とし、前記コンデンサ板(102a、102b)の間の前記隙間(103)は、前記装置の前記振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、継続的に最小化および最大化され、前記誘電体薄膜(104)の厚みが最大で25nmである、方法。
【請求項7】
前記圧電素子(105)は、また、振動および/または打撃から前記電源出力へ電力を生成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ばね要素(106)は、少なくとも1つの前記コンデンサ板(102a、102b)で接続され、前記ばね要素(106)は、前記コンデンサ板が前記他のコンデンサ板に関して前後に振動することを可能にし、前記ばね要素(106)の前記ばね定数は、任意に選択され、前記隙間(103)は、前記装置(100)の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される、請求項6〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
質量要素(107)は、少なくとも1つの前記コンデンサ板(102a、102b)に関連し、前記質量要素は、前記コンデンサ板が前記他のコンデンサ板に関して前後に指導することを可能にし、前記質量は、任意に選択され、隙間(103)は、前記装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記コンデンサ板(102a、102b)は、前記コンデンサ板が、前記誘電体薄膜(104)のみによって本質的に分離される半接触モードへと互いに関して動かされる、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかの装置(100)を備える、システム(300)。
【請求項12】
前記システムは、例えば、加工産業における車輪、タイヤ、およびパイプラインまたは他の機器のような、発振、振動、往復運動、回転および/または打撃システム(302)である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれかに記載の装置(100)の製造方法であって、
‐前記コンデンサ板の少なくとも1つ(102a)は、前記他のコンデンサ板(102b)に関して本質的に垂直方向に振動、ひずみ、回転および/または打撃に起因して動いて、前記コンデンサ板の間の可変隙間(103)を形成し、前記コンデンサ板の間の前記電気容量を変えて、電源出力へ電力を生成するように、2つのコンデンサ板(102a、102b)をコンデンサ収穫モジュールへ互いに本質的に平行に配置することと、
‐前記コンデンサ板(102a、102b)の間の誘電体薄膜(104)を配置することと、
‐振動および/または打撃から前記コンデンサ収穫モジュールへバイアス電圧を生成するために圧電素子(105)を配置することと、
を備える、方法。
【請求項14】
前記方法は、少なくとも1つの前記コンデンサ板(102a、102b)へばね(106)および/または質量(107)要素を接続し、前記ばねおよび/または質量要素は、前記他のコンデンサ板に関して前後に振動することを可能にすることをさらに備え、前記ばね定数および/または質量は、任意に選択されて、前記隙間(103)は、前記装置(100)の前記振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動、ひずみ、回転および/または打撃からのエネルギー収穫のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたり、例えば、無線センサーに電力供給する必要は、環境からのエネルギー収穫に関する研究活動を惹起してきた。エネルギーが有線で供給される場合、または限られた動作時間、かさばる大きさ、および大重量を有する電池がある場合、無線通信機能を十分に活用することができない。
【0003】
エネルギー収穫の機構は、環境および適用物に依存する。振動と同様に、様々なエネルギー源が提案されてきた:光、熱(温度勾配)、ひずみ、振動、電磁場、動力学、気流、圧力変動、および放射性物質。
【0004】
エネルギー収穫のための最も研究されている適用物の1つは、例えば、車のタイヤ圧力監視システム(TPMS)である。既に電池式の装置が市販されているが、収穫機は、これらのシステムの駆動時間を増加させるだろう。TPMSに必要な電力レベルは、現在は、100μ
Wの範囲内にある。これは、公開された典型的な最先端の装置による報告の少なくとも10倍である。しかしながら、当該適用物に必要な電力レベルは、収穫電力レベルが増加する間、絶えず減少している。1日のこれらのレベルが満たされるように思われる。
【0005】
例えば、US2007/0125176 A1が、その構造がいくつかの異なる振動周波数に応答することができるように、異なる周波数でそれぞれ共振する複数の部材で製作されたマイクロ電気機械構造を有するエネルギー収穫の装置を開示しているように、いくつかの先行技術のエネルギー収穫装置が知られている。圧電材料は、当該構造の少なくとも一部にわたりその振動を電圧差に変換する。
【0006】
さらに、WO 2007044443は、エネルギー収穫機に基づくタイヤ圧力を使用するタイヤ監視システムで電子装置に電力を供給する解決法を開示し、タイヤの回転に起因する圧力変化は、表面が導電層(1112)で覆われる枠を有する変換器で電力に変換され、極薄(おおよそ100nm)誘電体膜(1114)は、硬い導電隔膜が枠上に導電層で実質的に電気的接続を作らないことを確かにする。
【0007】
WO 2007044443は、また、圧力ベースのエネルギー収穫機として可変容量変換器を伝え、剛性枠(1110)は、エラストマー隔膜(1120)と剛性枠(1110)の間の空隙可変コンデンサを作成するために使用され、可変コンデンサは、振動板の寸法変化によってではなく、振動板と剛性枠の間の隙間の変化によって作成される。
振動板の表面は導電性である必要がある。
【0008】
さらに、WO 2007121092 A1は、環境振動からエネルギーを収穫することができる圧電発電機を開示している。当該発電機は、上部電極を有する圧電板と下部電極上に形成される圧電層と誘電体層と圧電層上で形成される先端質量とを支持する誘電フレームを含む。先端質量は、フレーム内で移動(振動)させる圧電板を引き起こす重さを提供し、電力の発生を引き起こす。当該発電機は、好ましくは、MEMS工程によって形成される。
【0009】
しかしながら、いくつかの欠点は、周知の従来技術の解決法に関する。例えば、エネルギー収穫機の多くは、特定の共振周波数のみに効率的に機能する。さらに、異なる振動周波数の数に応答するように設計される装置は、一般的に、異なる周波数でそれぞれ共鳴する複数の部材から構成される。しかしながら、複数の部材を有する装置は、製造がからり複雑になる。さらに、容量ベースのエネルギー収穫機は、適切に動作を開始するためのバイアス電圧の電池を必要とする。また、周知の収穫機の多くは、使用目的の制限を超える振動に対して脆弱である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特定の周波数のための収穫機の機械的共振周波数を制限することなく収穫されたエネルギーを最大化させるような、周知の従来技術の解決法に関する欠点を打開するまたは少なくとも軽減することである。さらに、本発明は、エネルギー収穫機の安易な製造工程を可能にすることを目指す。本発明の目的は、独立請求項に開示される特性によって満たされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によると、コンデンサ板は、収穫装置の収穫モジュールで互いに本質的に平行に配置され、隙間が板の間に形成される。第1板は、第2コンデンサ板へ本質的に垂直な方向(前後の動き)で振動、ひずみ、回転および/または打撃に起因して移動するように適合され、隙間の量は、交互に増減され、装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、断続的に有利に最小化および最大化される。前後の動きは、したがって、板の間の電気容量を変え、電力は、電源出力へ生成される。動作原理は、板動作がコンデンサ板に向かって本質的に垂直方向であるので、面外容量収穫である。
【0013】
さらに、誘電体薄膜は、収穫エネルギーを最大化する(および半接触モードで収穫操作を可能にする)ためにコンデンサ板の間で使用される。さらに、圧電素子は、コンデンサ収穫モジュールの機能を可能にするために、振動および/または打撃からコンデンサ収穫モジュールへバイアス電圧を生成するために収穫装置に関する発明に従って使用される。コンデンサ収穫モジュールは、静止位置から開始するためにバイアス電圧を必要とする。
【0014】
実施形態に係る圧電素子は、また、バイアス電圧を生成することに加えて、振動および/またはひずみから電源出力へ電力を生成するために使用される。これは、出力電源が容量と圧電機能の両方を生成させるので、収穫装置の効率を向上させる。
【0015】
本発明の実施形態に係るばね要素は、コンデンサ板へ接続される。ばね要素は、板が他のコンデンサ板に関して前後に振動することを可能にするために使用される。例えば、打撃が均衡から板をそらす場合、ばねは、従って交互動作を作るために板を元に返す。ばね定数は、有利に選択され、共鳴板の最大振幅は、到達し、隙間は、装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される。
【0016】
本発明の更なる実施形態に係る装置は、質量要素で提供される。質量要素は、前記コンデンサ板が質量慣性による前記他のコンデンサ板に関してより効率的に前後に振動することを可能にする。質量は、有利に選択され、共振板の最大振幅に到達し、隙間は、装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される。より重い質量は、より多くのエネルギーが収穫されるので、一般的に、質量は、可能な限り重いものとして選択される。これは、質量をより大きくするため運動エネルギーも大きくなり、従って、動作から収穫されたエネルギーも大きくする。質量要素が単独か、さらにはこの文書で前に議論したばね要素に使用され得ることに気付くべきである。
【0017】
さらに、本発明の実施形態によれば、当該コンデンサ板は、半接触モードに互いに関連して移動される。言い換えれば、当該板は、隙間が誘電体薄膜によってのみ本質的に最小化され分離される場合に可能であるよりも互いに近い誘電体膜または打撃は、機械的なストッパーとして機能し、それにより、摩耗および短絡に対してコンデンサ板を保護し、収穫機は、使用目的の制限を超える振動下の破壊から構築する。膜の高誘電率は、適度なばねの変位振幅を有する開閉位置で容量さを最大化する。当該誘電体膜は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムまたはDLC(ダイヤモンド様炭素)を備えることがある。膜厚は、実施形態によれば、有利には、最大で25nmである。ばねおよび質量は、収穫機の特定の配置/位置で、可能であれば収穫機の定常状態で、少なくともその通常の使用において、電極が誘電体膜を通って互いに接触するように設計されることが望ましい。例えば、収穫機がその通常使用において回転している場合、収穫期は、全ての回転の間、このような位置に達するように配置される。従って、電極は、すべての回転で膜を通って接触し、高/最大容量は、収穫期のこの荷重期間で達成される。作業時間で、電極が互い別々に遠ざかる場合、高/最大エネルギーは、このように得られる。振動使用中、例えば、荷重期間および作業時間は、振動サイクルの間、対応したやり方で繰り返され、電極が振動の荷重期間で互いに接触する。荷重期間の間、バイアス電圧は、好ましくは、電極に適用される。
【0018】
本発明は、車輪またはタイヤ、または何か他の振動機械および装置、加工産業における危機およびパイプラインのような、発動、振動、往復運動、回転および/または打撃システムで適用され得る。
【0019】
本発明の容量エネルギー収穫機は、例えば、マイクロシステム技術(MST)を使用して製造することができ、従って、電子機器と一体化することができる。本発明は、小さい、統合された、手ごろな低出力適用物のためのエネルギー収穫機を可能にする。
【0020】
本発明は、例えば、半接触モードによる最大化され収穫されたエネルギーおよび誘電体薄膜の使用による容量変化を最大にするような、既知の従来技術の解決法よりも明らかな利点を提供する。さらに、追加の電池は、圧電フィルムがコンデンサ収穫のためにバイアス電圧を生成するのに使用されるので、コンデンサ収穫の機能させることを可能にするために必要とされない。さらに、本発明に係る収穫機は、コンデンサ板の間の隙間が打撃ごとに開閉するので、構成部の機械的共振周波数から独立している。また、当該収穫機の構造は、大きな加速で移動する部分を保護する内蔵のストッパーのために耐久性がある。板の間の薄膜は、また、摩耗および短絡に対してコンデンサ板を保護し、どうように、また、使用目的の制限を超える振動下の破壊から収穫機構造の一部を保護する。収穫機構造は、また、SOI(シリコン・オン・インシュレータ技術)またはMEMS(微小電気機械システム)技術のような、現在の方法および工具で処理され得るので、製造することが単純で簡易であり費用対効果がある。
【0021】
さらに、本発明のエネルギー収穫機は、さまざまな種類の電子機器と統合され得る。本発明の収穫機は、従来の電池と電源を置き換えるため、当該収穫機は、電池を交換および/または電源を載せる必要も取り除く。特に、当該収穫機は、無線適用物に電力を供給するのに理想的である。さらに、例えば、MEMSの使用は、同時に小規模生産を可能にする収穫機の構成部を製造するための小型で費用対効果のある解決法を提供する。
【0022】
次に、本発明は、添付の図面に従って例示的な実施形態を参照してさらに詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A-B】本発明の有利な実施形態に係る振動、ひずみ、回転および/または打撃からのエネルギー収穫のための例示的な装置を示す。
【
図2】本発明の有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置における例示的なばねおよび/または構成を示す。
【
図3】本発明の有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置の例示的なフリップチップ取り付けを示す。
【
図4】本発明の有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置の例示的な切り換え図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1A〜Bは、本発明の有利な実施形態に係る振動、ひずみ、回転および/または打撃からエネルギー収穫のための例示的な装置100を示し、
図1A〜Bは、また、装置100の動作原理を示し、装置は開いた位置であり、
図1Bにおいては閉じた位置である。
【0025】
装置100は、本質的に互いに平行に配置される2つのコンデンサ板102a、102bを備えるコンデンサ収穫モジュールを有利に備え、少なくとも1つの板102aは、他のコンデンサ板102bに対して本質的に垂直方向で振動、ひずみ、回転および/または打撃による移動をするように適合される。距離の変化により板102a、102bの間の容量も変化する。例えば、装置100が車輪に利用される場合、コンデンサは、車輪の打撃ごとまたは回転ごとに開閉し、従って、収穫機の機械的共振周波数から独立している。
【0026】
当該装置は、コンデンサ板102a、102bの間に配置され収穫エネルギーを最大化して半接触モードにおいて収穫機操作を可能にする誘電体薄層または膜104も有利に備え、板は、この文書で前に説明されている、誘電体薄膜によってのみ本質的に分離される。誘電体膜104の厚さd2は、有利には最大で25nmであるが、異なる選択をしてもよい。しかしながら、より薄いフィルムで板のより近くは、互いに移動することができ、従ってまた、より強いエネルギー収穫が可能となる(後述されるように)。
【0027】
さらに、装置100は、少なくとも1つの圧電素子105も備え、それは圧電膜として有利である。圧電素子は、
図1Aの静止位置であるが、弾性ばね構造106が振動および/または圧力下でたわむ場合、また、圧電素子105は、装置の弾性構造106に沿ってたわみ、電圧を生成する。起動するためにはバイアス電圧が必要なので、電圧は、バイアス電圧として使用され、容量収穫の機能を可能にするために装置の容量収穫モジュールへ給電する。さらに、圧電素子105は、バイアス電圧だけでなく、振動および/またはひずみからまた電源出力へ電力を生成するために適合され得る。
【0028】
構造106の少なくとも一部は、
図1A〜Bに示されるようなばねのような、弾性ばね要素として形成されてもよい。また、他の種類の解決法は、板102a、102bが振動することを可能にするために提供され得る。しかしながら、本発明に係る少なくとも1つのコンデンサ板102aは、ばね要素106に関し、ばね要素は、板102aが他の板102bに関して前後に指導することを可能にする。要素106のばね定数は、有利に選択され、隙間は、装置100の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最小化される。
【0029】
さらにまた、質量要素107は、少なくとも1つのコンデンサ板102aに関し、質量要素は、板102aが他のコンデンサ板102bに関してより効率的に前後に振動することを可能にする。質量は、有利に選択され、隙間は、できる限り装置の振動、ひずみ、回転および/または打撃の間、最小化および最大化される。一般に、質量は、質量に関する移動板102aの運動エネルギーを最大にするために可能な限り大きく選択され、また装置100が変化した容量を通って運動エネルギーから電力を収穫するので収穫エネルギーを最大化する。
【0030】
収穫機のコンデンサ板102a、102bの変位xの関数としての容量Cのは、(1)であり、
【数1】
式中、ε
0は、真空の誘電率であり、ε
rは、誘電材料104の誘電率に関し、Aは、コンデンサ板102a、102bの面積である。サイクルごとの可変コンデンサに格納されたエネルギーは、一定の充電モードにある(2)、
【数2】
である。寄生容量が無視できてC
max>>C
minであると仮定すると、式2は(3)
【数3】
になる。収穫エネルギーはC
maxが最大化される時に最大化されることが式3から容易に分かり、それは誘電体層104の厚さ(d
2)が可能な限り薄い場合に起こる。当該厚さは、使用されるバイアス電圧にも依存する誘電材料の製造上の公差および電気絶縁破壊によって制限される。
【0031】
本発明のPZC収穫装置は、現在の最先端技術を大いに向上させるだろう。模倣された収穫機電源は、10Hzの周波数および100m/s
2の加速度で12μWである。一般に、10μWの範囲内で収穫する従来技術の装置は、kHzの範囲で(共振周波数モードで)動作しているか、あるいは規模が大きい(非MEMSまたはMEMSのようなもの)かのいずれかである。低周波数で操作するMEMS収穫機は、一般に、ナノワット範囲で収穫する。PZC収穫機は、低周波数で現在の最先端技術と小型の収穫機カテゴリを大いに増加させるだろう。
【0032】
図2は、本発明に有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置100における例示的なばねおよび/または質量構成200の上面図を示す。質量107は、コンデンサ板を移動するための前後の動きを最大にすることを可能にする中心部に有利に配置される。ばね要素構造106は、例えば、
図2に示されてもよく、ばね要素は、その角部で装置のハウジングで固定され、ばね構造は、中心部分で前後の動きを最大にすることが可能になってコンデンサ板を移動させる。
【0033】
実施形態に係る圧電素子105は、ばね要素106に固定されてもよく、圧電素子105は、振動および/または圧力下でばね要素106の前後にそってたわみ、従って、この文書の上述のように電圧を生成する。
【0034】
コンデンサ板は、例えば、環境と同様に、装置のハウジングから有利に電気的に絶縁される。
【0035】
図3は、本発明の有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置100の例示的なフリップチップ取り付け300を示し、装置は、フリップチップされるために互いに逆さまに取り付けられ、より耐える質量を提供する。この位置は、また、装置の上部の質量107のような、チップへ余分な質量を接着させることがより安易である。装置100は、この文書のどこか他に説明されたような、発振または振動構造302において、例えば、取り付け要素301を通って取り付けられてもよい。
【0036】
図3の装置100の部品および特徴の番号は、この文書の他の図面に関係して説明されている同じ部品の番号に対応している。
【0037】
図4は、本発明の有利な実施形態に係るエネルギー収穫装置100の例示的な切り換え
図400を示し、C(x)は、本発明に係る装置のコンデンサ板の移動による容量変化を示す。収穫装置100は、例えば、装置100の電源出力で接続される電子装置RLへ容量変化から有利に電力を生成するために適合される。コンデンサ板を備える容量モジュールは、スイッチSW2を通って電源出力で有利に接続される。
【0038】
さらに、圧電素子105は、容量モジュールが起動するためのバイアス電圧を必要とするので、バイアス電圧を生成するために適合され、容量収穫の機能を可能にするために装置100のコンデンサモジュールへ接続される。圧電素子モジュール105は、スイッチSW1を通ってコンデンサモジュールで有利に接続される。
【0039】
バイアス電圧に加えて、圧電素子105は、電気機器RLへ電力を生成するために構成され得、圧電素子105は、また、スイッチSW2を通って電源出力へ有利に接続される。
【0040】
本発明は、前述の実施形態を参照して上述されてきて、本発明のいくつかの利点が立証されてきた。本発明は、これらの実施形態に制限されることなく、発明の思想と以下の特許請求の範囲の精神と範囲内で全ての可能性の実施形態を含む。