特許第5907557号(P5907557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECネットワークプロダクツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5907557-電子機器及び電子機器の冷却方法 図000002
  • 特許5907557-電子機器及び電子機器の冷却方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907557
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
   H05K7/20 H
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-48036(P2012-48036)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-183136(P2013-183136A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390001074
【氏名又は名称】NECネットワークプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田口 篤
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−109068(JP,A)
【文献】 特開2000−174474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を挟んで第1及び第2の空間が形成された筐体と、
前記筐体の前面から第1の空間に外気が取り込まれる第1の開口部と、
前記筐体の前面から第2の空間に外気が取り込まれる第2の開口部と、
前記第1の空間に配置されたファンユニットと、を備え、
前記基板は前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第3の開口部を有し、
前記第1の空間に配置された電源ユニットと、
導風部材と、
前記電源ユニットの吸気口近傍において、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第4の開口部と、をさらに備え、
前記導風部材は、前記第2の空間に取り込まれた外気を前記基板の第3の開口部と第4の開口部とに分離して導く電子機器。
【請求項2】
前記電源ユニットの吸気口と前記第4の開口部との空気の流路以外からの空気の流入を妨げるカバー部材をさらに備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の空間に取り込まれた外気の前記ファンユニットへの吸気を妨げる遮蔽部材をさらに備える請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
基板を挟んで第1及び第2の空間が形成された筐体と、
前記筐体の前面から第1の空間に外気が取り込まれる第1の開口部と、
前記筐体の前面から第2の空間に外気が取り込まれる第2の開口部と、
前記第1の空間に配置されたファンユニットと、
前記基板に形成され、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第3の開口部と、を有する電子機器を構成し、
前記第2の開口部を介して前記第2の空間に取り込まれた外気を、前記第3の開口部から前記第1の空間に導き、前記ファンユニットに吸気させ、
前記第1の空間に配置された電源ユニットと、
導風部材と、
前記電源ユニットの吸気口近傍において、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第4の開口部と、をさらに備え、
前記導風部材は、前記第2の空間に取り込まれた外気を前記基板の第3の開口部と第4の開口部とに分離して導く電子機器の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器及び電子機器の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型通信装置等の電子機器は、基板上の発熱部品を冷却することができる構成とされている。
例えば特許文献1の電子機器は、筐体が第1の空間と第2の空間とに基板によって分離されており、ファンユニットが第2の空間に配置されている。そして、第1の空間に形成された開口部から取り込んだ外気を、基板の通気孔を介して第2の空間に導き、ファンユニットに吸気させている。これにより、第1の空間に配置された発熱部材及び第2の空間に配置された発熱部材を冷却することを試みている。
【0003】
特許文献2の電子機器は、偏風部を有するダクトを備え、当該ダクトによって吸気口の下段から取り込んだ外気を、吸気口側に配置された発熱部材に導き、吸気口の上段から取り込んだ外気を、排気口側に配置された発熱部材に導いている。これにより、筐体内の吸気口側に配置された発熱部材と同様に、温度上昇していない空気で排気口側に配置された発熱部材を冷却することを試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−109068号公報
【特許文献2】特開2001−189584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電子機器は、第1の空間に形成された開口部のみから外気を取り込む構成とされている。そのため、発熱部材を冷却するのに十分な空気を取り込むことが難しく、発熱部材が良好に冷却されない可能性がある。
【0006】
特許文献2の電子機器は、取り込む空気を吸気口側の発熱部材を冷却するための空気と、排気口側の発熱部材を冷却するための空気と、に分けるので、各発熱部材に対して導かれる空気の容量自体は少なく、発熱部材が良好に冷却されない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、冷却性能に優れた電子機器及び電子機器の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る電子機器は、基板を挟んで第1及び第2の空間が形成された筐体と、前記筐体の前面から第1の空間に外気が取り込まれる第1の開口部と、前記筐体の前面から第2の空間に外気が取り込まれる第2の開口部と、前記第1の空間に配置されたファンユニットと、を備え、前記基板は前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第3の開口部を有する。
【0009】
本発明の一形態に係る電子機器の冷却方法は、基板を挟んで第1及び第2の空間が形成された筐体と、前記筐体の前面から第1の空間に外気が取り込まれる第1の開口部と、前記筐体の前面から第2の空間に外気が取り込まれる第2の開口部と、前記第1の空間に配置されたファンユニットと、前記基板に形成され、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させる第3の開口部と、を有する電子機器を構成し、前記第2の開口部を介して前記第2の空間に取り込まれた外気を、前記第3の開口部から前記第1の空間に導き、前記ファンユニットに吸気させる。
【発明の効果】
【0010】
以上、説明したように、本発明によると、冷却性能に優れた電子機器及び電子機器の冷却方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の内部構造を示す上方斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電子機器の内部構造を示す下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る電子機器及び電子機器の冷却方法について説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0013】
本実施の形態の電子機器は、例えば小型通信装置等の電子装置である。図1及び図2に示すように、電子機器1は、筐体2、基板3、ファンユニット4、電源ユニット5及び6、導風部材7、カバー部材8、遮蔽部材9を備えている。
【0014】
筐体2は、底部(図示を省略)及び左右の側部21、22を備えている。筐体2の上部は、蓋材(図示を省略)で覆われる。筐体2の前部は、インターフェイスコネクタ10が複数左右方向に並べられている。つまり、複数のインターフェイスコネクタ10が筐体2の前部を形成している。そして、筐体2の底部は、当該筐体2内を上下方向に第1の空間23と第2の空間24とに分割する基板3を支持する。また、筐体2の底部には、ファンユニット4及び電源ユニット5、6が固定されている。
【0015】
インターフェイスコネクタ10は、電子機器1と外部モジュール(図示を省略)とを接続する配線に設けられたコネクタが捻じ込まれるソケット11を多数備えている。そして、インターフェイスコネクタ10におけるソケット11の上部に第1の開口部12が形成されている。第1の開口部12から取り込まれた空気は第1の空間23に導かれる。また、インターフェイスコネクタ10におけるソケット11の下部に第2の開口部13が形成されている。第2の開口部13から取り込まれた空気は第2の空間24に導かれる。
【0016】
基板3は、電子機器1の機能を司り、発熱部材31が搭載されている。発熱部材31は、例えば第1の空間23に配置されている。そして、基板3の左右両側部には、第3の開口部32が形成されている。第3の開口部32は、第1の空間23と第2の空間24とを連通させる。本実施の形態の第3の開口部32は、基板3の側部を切り欠くことによって形成されている。この第3の開口部32は、発熱部材31よりも筐体2の前方側に配置されていることが好ましい。
【0017】
また、基板3は、ファンユニット4及び電源ユニット5、6よりも筐体2の前方側に配置されている。そして、基板3の後端部には、ファンユニット4との間に第4の開口部33が形成され、さらに電源ユニット5、6との間に第5の開口部34が形成されている。
【0018】
ファンユニット4は、軸流ファン(但し、ファンの構成は特に限定されない。)を複数備えている。ファンユニット4は、筐体2内の空気を外部に排気するように動作する。ファンユニット4は、筐体2内において基板3よりも後方側に配置されており、筐体2の後部の一部を成す。
【0019】
ファンユニット4の吸気口41は、筐体2の前方側に向かって配置されている。この吸気口41は、第1の空間23に配置されている。そして、ファンユニット4の排気口(図示を省略)は、筐体2の後方側に向かって配置されている。このファンユニット4は、電源ユニット5と6との間に配置されている。
【0020】
電源ユニット5、6は、基板3及びファンユニット4等に電源を供給する。電源ユニット5、6は、筐体2内において基板3よりも後方側に配置されており、筐体2の後部の一部を成す。
【0021】
この電源ユニット5、6は、内部を冷却するために、吸気口(図1では電源ユニット5の吸気口51のみを図示している。)から空気を内部に導いて、温まった空気を排気口(図示を省略)から排気する構成とされている。
【0022】
電源ユニット5の吸気口51及び電源ユニット6の吸気口は、筐体2の前方側に向かって配置されている。この電源ユニット5の吸気口51及び電源ユニット6の吸気口は、第1の空間23に配置されている。そして、電源ユニット5、6の排気口(図示を省略)は、筐体2の後方側に向かって配置されている。
【0023】
導風部材7は、図2に示すように、基板3の裏面に設けられている。導風部材7は、詳細は後述するが、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気を、第3の開口部32と第5の開口部34とに分離する。これにより、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気が、第3の開口部32と第5の開口部34とに確実に導かれる。
【0024】
カバー部材8は、図1に示すように、第5の開口部34を覆う。電源ユニット5の吸気口51又は電源ユニット6の吸気口は、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気を第5の開口部34から吸気する。
【0025】
このとき、第1の開口部12から第1の空間23に取り込まれた空気は、発熱部材31近傍を通過して温まった状態で、電源ユニット5の吸気口51又は電源ユニット6の吸気口に吸気されてしまう。
【0026】
そこで、第1の空間24の温まった空気が電源ユニット5の吸気口51又は電源ユニット6の吸気口から吸気されないように、第5の開口部34周辺をカバー部材8で覆う。つまり、カバー部材8は、第5の開口部34と電源ユニット5の吸気口51又は電源ユニット6の吸気口との空気の流路以外からの空気の流入を略防ぐ。
【0027】
これにより、電源ユニット5、6は、第1の開口部12から第1の空間23に取り込まれ、温められた空気を吸気することなく、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気を、未だに温められていない状態で吸気することができる。
【0028】
遮蔽部材9は、図2に示すように、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気が、基板3とファンユニット4との隙間部分である第4の開口部33から当該ファンユニット4に吸気されることを防ぐ。遮蔽部材9は、基板3の下面に設けられている。遮蔽部材9は、第4の開口部33における筐体2の前方側に配置されている。これにより、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気は、第5の開口部34から確実に電源ユニット5、6に導かれる。
【0029】
このような構成の電子機器1は、以下のように発熱部材31を冷却する。第1の開口部12から第1の空間23に導かれた空気は、基板3の上面に沿って後方に移動する。このとき、当該空気は発熱部材31と接触して当該発熱部材31を冷却する。発熱部材31の熱を吸収した空気は、ファンユニット4の吸気口41に吸気されて排気口から排気される。
【0030】
一方、第2の開口部13から第2の空間24に導かれた空気は、図2に示すように、導風部材7によって第3の開口部32に導かれる空気Aと、第5の開口部34に導かれる空気Bと、に分離される。これにより、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気を、導風部材7によって第3の開口部32と第5の開口部34とに確実に導くことができる。
【0031】
第3の開口部32に導かれた空気は、図1に示すように、基板3の上面に導かれて後方に移動する。このとき、当該空気は発熱部材31と接触して当該発熱部材31を冷却する。発熱部材31の熱を吸収した空気は、ファンユニット4の吸気口41に吸気されて排気口から排気される。
【0032】
また、第5の開口部34に導かれた空気は、電源ユニット5の吸気口51又は電源ユニット6の吸気口から電源ユニット5又は6の内部に導かれる。当該空気は、電源ユニット5又は6内の発熱部材と接触して当該発熱部材を冷却する。電源ユニット5又は6内の発熱部材の熱を吸収した空気は、電源ユニット5又は6の排気口から排気される。
【0033】
ここで、第5の開口部34はカバー部材8で覆われているので、電源ユニット5、6は、第1の開口部12から第1の空間23に取り込まれ、温められた空気を吸気することなく、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれ空気を未だに温められていない状態で吸気することができる。
【0034】
また、第4の開口部33よりも前方側に遮蔽部材9が配置されているので、第2の開口部13から第2の空間24に取り込まれた空気を、第5の開口部34から電源ユニット5又は6に確実に導くことができる。
【0035】
以上より、本実施の形態の電子機器及び電子機器の冷却方法は、第1の開口部12から第1の空間23に取り込んだ空気と、第2の開口部13から第2の空間24に取り込んだ空気と、を用いて発熱部材31を冷却することができるので、冷却性能に優れている。そのため、発熱部材31を冷却するためのヒートシンクや冷却用の部材が少なくて済み、電子機器の小型化に寄与できる。
【0036】
しかも、インターフェイスコネクタ10のソケット11の空いている上部領域に第1の開口部12を形成し、下部領域に第2の開口部13を形成した。空いている領域を有効活用して、冷却性能に優れた電子機器を実現することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、ファンユニットや電源ユニットの個数は特に限定されない。
例えば、本実施の形態の発熱部材31は基板3の上面に配置したが、下面に配置しても良い。この場合、少なくともファンユニットが第2の空間24に配置される。
例えば、本実施の形態の電源ユニット5、6は第1の空間23に配置したが、第2の空間24に配置しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 電子機器
2 筐体、21 側部、22 側部、23 第1の空間、24 第2の空間
3 基板
4 ファンユニット、41 吸気口
5 電源ユニット、51 吸気口
6 電源ユニット
7 導風部材
8 カバー部材
9 遮蔽部材
10 インターフェイスコネクタ、11 ソケット
12 第1の開口部
13 第2の開口部
31 発熱部材
32 第3開口部
33 第4開口部
34 第5開口部
図1
図2