(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路基板は、前記給電・充電端子の前記固定部を受容する端子受容孔を備えており、該端子受容孔は、前記給電・充電端子の前記固定部と前記接点部とを結ぶ線分に沿った方向に拡大された長孔形状となっており、
前記回路基板が前記筐体に固定された後に、該筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記固定部が、該回路基板の前記端子受容孔に挿通およびハンダ付けされることにより、該給電・充電端子は、該固定部の該端子受容孔に対する位置ズレを許容しつつ、該回路基板に固定される請求項1に記載の充電台。
前記回路基板は、該回路基板を前記筐体にネジ止めするためのネジを挿通させるネジ止め孔を備えており、該ネジ止め孔は、前記給電・充電端子の前記固定部と前記接点部とを結ぶ線分に沿った方向に拡大された長孔形状となっており、
前記筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記固定部が前記回路基板に固定された後に、該給電・充電端子と一体となった該回路基板が、前記ネジ止め孔を介して該筐体にネジ止めされることにより、該回路基板は、該給電・充電端子の該筐体に対する位置ズレを許容しつつ、該筐体に固定される請求項1に記載の充電台。
【背景技術】
【0002】
充電ホルダやクレードルとも呼ばれるこの種の充電台は、電子機器を取り外し可能に受容(支持)する筐体と、筐体に内蔵され、給電・充電回路が搭載された回路基板とを有している。尚、充電台における給電・充電回路への電源供給は、筐体に内蔵された電源回路からなされるか、あるいは、充電台とは別体に用意されたACアダプタ、DCアダプタ、もしくは、パーソナルコンピュータに接続されたUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等から、コネクタを介してなされようになっている。
【0003】
この種の充電台はさらに、非接触式の充電台を除き、筐体が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触する給電・充電端子を備えている。筐体に受容された電子機器の給電・充電接点に給電・充電端子が接触することにより、充電台の給電・充電回路と、電子機器の被給電・充電回路とが電気的に接続され、充電台から電子機器に給電や充電がなされる。
【0004】
ここで、充電台の給電・充電端子の形態の一つとして、片持ちバネ式の給電・充電端子がある。片持ちバネ式の給電・充電端子は、例えばコイルバネ付きのプローブ式等、他の端子形態に比べて構造が簡素であり、この種の充電台に多用されている。
【0005】
片持ちバネ式の給電・充電端子は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、給電・充電回路が形成された回路基板に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される固定部と、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能な接点部とを備えている。さらに、片持ちバネ式の給電・充電端子は、多くの場合、バネ長を延長することによって電子機器の給電・充電接点に対する接触力の適正化を図るため、固定部と接点部との間に形成されたコイル部をさらに備えている。
【0006】
片持ちバネ式の給電・充電端子を有する充電台は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された充電台において、片持ちバネ式の給電・充電端子は、固定部(他端部)と接点部との間に、コイル部を備えており、このコイル部は、円筒状のスペーサを介して主軸に挿通および保持されている。換言すれば、主軸は、スペーサを介してコイル部の内径(内周)を保持している。
【0007】
また、特許文献2には、給電・充電端子ではなく、あくまでも、テープカセットの構造部品としてであるが、両端のアーム部と、両アーム部間に設けられたコイル部とを備えたバネが開示されている。特許文献2に開示されたテープカセットにおいて、このバネのコイル部は、カセット筐体の構成要素としての下ハーフに形成された井戸部内に挿入されると共に、同じくカセット筐体の構成要素としての上ハーフに押さえ付けられることによって保持されている。換言すれば、下ハーフの井戸部と上ハーフとは、コイル部の外径(外周)を保持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような給電・充電端子をも含め、弾性線材を曲げ加工して成る片持ちバネは、量産した際に製品個々で、寸法にバラツキを生じる可能性がある。特に、バネ長を延長すべくコイル部を備えたバネは、寸法のバラツキが大きい傾向にある。
【0010】
一方で、片持ちバネ式の給電・充電端子は、一般に、
図6(a)に示されるように、固定部31が回路基板(図示せず)に固定され、さらに、その回路基板が筐体(図示せず)に固定されるため、この固定部31が、給電・充電端子の位置基準となる。この場合、上記のごとく片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法にバラツキがあると、接触対象(電子機器の給電・充電接点)への作用点である接点部32の位置(基準点から距離S)もバラつくことになる(公差T
S)。その結果、充電台の使用時に、給電・充電端子30が筐体に受容された電子機器の給電・充電接点に正しく接触せず、電気的な接続が正常になされないことになる。特に、近年の電子機器の薄型化に伴い、接触対象である給電・充電接点のサイズは狭小になって来ており、接点部の僅かな位置ズレでも正常な接触がなされないことになる。
【0011】
このため、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキを吸収でき、電子機器に対して正常に電気的な接続をなすことができる充電台が望まれている。
【0012】
尚、特許文献1に開示された給電・充電端子は、
図6(a)に示されたものとは異なり、コイル部の内径がシャフトによって保持されており、このコイル部が位置基準となっているかも知れない。しかし、特許文献1の
図2等を見れば明らかなように、給電・充電端子周りが大変複雑な構造であるし、また、特許文献1は、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキを吸収すべきことについてだけではなく、曲げ加工によって形成され、さらにコイル部を備えた片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキ自体についてすら、全く言及していない。
【0013】
また、特許文献2に開示されたバネは、
図6(a)に示されたものとは異なり、コイル部の外径が保持されており、このコイル部が位置基準となっているかも知れない。しかし、特許文献2のバネは、電気的な接続とは無関係の、あくまでもテープカセットの構造部品であり、また、特許文献2は、曲げ加工によって形成され、さらにコイル部を備えたバネの寸法のバラツキ自体についても、全く言及していない。
【0014】
それ故、本発明の課題は、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキを吸収でき、電子機器に対して正常に電気的な接続をなすことができる充電台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、電子機器を取り外し可能に受容し、受容した電子機器に対して給電や充電を行う充電台であって、電子機器を取り外し可能に受容する筐体と、給電・充電回路が形成されていると共に、前記筐体内に固定される回路基板と、前記筐体が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と前記回路基板の前記給電・充電回路とを電気的に接続する片持ちバネ式の給電・充電端子とを有し、前記給電・充電端子は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、前記回路基板に固定され、かつ、前記給電・充電回路に電気的に接続される固定部と、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能な接点部と、前記給電・充電端子のバネ長を延長すべく前記固定部と前記接点部との間に形成されたコイル部とを備え、前記筐体は、前記給電・充電端子の前記コイル部の外径および内径の少なくとも一方を保持するコイル保持部を備え、前記コイル部が前記コイル保持部に保持されることによって前記筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記回路基板への固定、もしくは、前記筐体に仮止めされた前記給電・充電端子が固定された前記回路基板の前記筐体への固定が、当該固定位置のズレを許容しつつなされることにより、前記給電・充電端子の寸法バラツキを吸収するように構成されていることを特徴とする充電台が得られる。
【0016】
前記コイル保持部は、前記給電・充電端子の前記コイル部を受容することによって該コイル部の前記外径を保持するボックス部、または、前記給電・充電端子の前記コイル部内を貫通することによって該コイル部の前記内径を保持するシャフト部であってもよい。前記コイル保持部が前記ボックス部である場合に、該ボックス部は、受容した前記給電・充電端子が該ボックス部から抜けないように前記コイル部の内径を保持する爪を備えていてもよい。
【0017】
また、前記回路基板は、前記給電・充電端子の前記固定部を受容する端子受容孔を備えており、該端子受容孔は、前記給電・充電端子の前記固定部と前記接点部とを結ぶ線分に沿った方向に拡大された長孔形状となっており、前記回路基板が前記筐体に固定された後に、該筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記固定部が、該回路基板の前記端子受容孔に挿通およびハンダ付けされることにより、該給電・充電端子は、該固定部の該端子受容孔に対する位置ズレを許容しつつ、該回路基板に固定されるものであってもよい。
【0018】
あるいは、前記回路基板は、該回路基板を前記筐体にネジ止めするためのネジを挿通させるネジ止め孔を備えており、該ネジ止め孔は、前記給電・充電端子の前記固定部と前記接点部とを結ぶ線分に沿った方向に拡大された長孔形状となっており、前記筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記固定部が前記回路基板に固定された後に、該給電・充電端子と一体となった該回路基板が、前記ネジ止め孔を介して該筐体にネジ止めされることにより、該回路基板は、該給電・充電端子の該筐体に対する位置ズレを許容しつつ、該筐体に固定されるものであってもよい。
【0019】
もしくは、前記筐体は、前記回路基板を、前記給電・充電端子の前記固定部と前記接点部とを結ぶ線分に沿った方向の移動を許しつつ、保持する爪部を備えており、前記筐体に仮止めされた前記給電・充電端子の前記固定部が前記回路基板に固定された後に、該給電・充電端子と一体となった該回路基板が、該筐体の前記爪部によって保持されることにより、該回路基板は、該給電・充電端子の該筐体に対する位置ズレを許容しつつ、該筐体に固定されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明による充電台は、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキを吸収でき、電子機器に対して正常に電気的な接続をなすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による充電台は、スマートフォン等の携帯型または可搬型の電子機器を取り外し可能に受容し、受容した電子機器に対して給電や充電を行う充電台であって、筐体と、給電・充電回路が形成された回路基板と、片持ちバネ式の給電・充電端子とを有している。
【0023】
筐体は、電子機器を取り外し可能に受容する。回路基板は、筐体内に固定される。給電・充電端子は、筐体が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と回路基板の給電・充電回路とを電気的に接続する。
【0024】
給電・充電端子は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、固定部と、接点部と、コイル部とを備えている。固定部は、回路基板に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される。接点部は、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能である。コイル部は、給電・充電端子のバネ長を延長すべく固定部と接点部との間に形成されている。
【0025】
特に、本充電台において、筐体は、給電・充電端子のコイル部の外径および内径の少なくとも一方を保持するコイル保持部を備えている。
【0026】
また、本充電台は、コイル部がコイル保持部に保持されることによって筐体に仮止めされた給電・充電端子の回路基板への固定、もしくは、筐体に仮止めされた給電・充電端子が固定された回路基板の筐体への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収するように構成されている。
【0027】
図6(b)に示されるように、本充電台における給電・充電端子30は、コイル部33が筐体(図示せず)のコイル保持部によって保持されるため、コイル部33が、給電・充電端子の位置基準となる。この場合、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法にバラツキがあったとしても、接触対象(電子機器の給電・充電接点)への作用点である接点部32の位置(基準点から距離s1)もバラつく(公差T
s1)ことになる。また、固定部31の位置(基準点から距離s2)もバラつく(公差T
s2)ことになる。ここで、接点部32の位置(基準点から距離s1)もバラつき(公差T
s1)は、
図6(a)に示された関連技術による給電・充電端子30の接点部32の位置(基準点から距離S)のバラつき(公差T
S)に比べて小さい。よって、関連技術に比べ、本充電台の使用時に、給電・充電端子30が筐体に受容された電子機器の給電・充電接点に正しく接触せずに電気的な接続が正常になされない虞が低減される。このことは、近年の電子機器の薄型化に伴う、接触対象である給電・充電接点のサイズは狭小化に対しても、有意義なことである。
【0028】
尚、
図6(b)に示された本充電台においては、
図6(a)に示された関連技術と異なり、固定部31の位置(基準点から距離s2)がバラつく(公差T
s2)ことになるが、そのバラつきは、
図6(a)に示された関連技術のバラつき(公差T
S)よりも小さいことに加え、筐体に仮止めされた給電・充電端子30の回路基板(図示せず)への固定、もしくは、筐体に仮止めされた給電・充電端子30が固定された回路基板の筐体への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、固定部31の位置(基準点から距離s2)のバラつき(公差T
s2)は吸収される。
【0029】
上記構成により、本発明による充電台は、給電・充電端子がコイル部を備え、バネ長が比較的長いけれども、
図6(a)に示された関連技術に比べ、バラツキが小さく、片持ちバネ式の給電・充電端子の寸法のバラツキを吸収でき、電子機器と正常に電気的な接続をなすことができる。
【0030】
また、コイル保持部によって給電・充電端子を筐体に仮止めすることが可能であり、治具を用意および使用することなく、容易に組み立てることができる。
【0031】
よって、給電・充電端子固定用部品や治具を使用しなくても給電・充電端子を基板固定できるため、部品コスト、組立工数、治具作成コストが削減できる。
【0032】
以下、図面を参照して、本発明に係る充電台のより具体的な実施例を説明する。
【実施例1】
【0033】
図1および
図2を参照すると、本発明の実施例1に係る充電台は、スマートフォン等の携帯型または可搬型の電子機器(図示せず)を取り外し可能に受容し、受容した電子機器に対して給電や充電を行う充電台であって、筐体10と、給電・充電回路(図示せず)が形成された回路基板20と、正極および負極としての2個の片持ちバネ式の給電・充電端子30とを有している。尚、外部から本充電台における給電・充電回路に電源供給をするためのコネクタや、筐体10の底面を覆うボトムカバー、後述するネジ止め箇所に用いるネジ等については、説明の便宜上、図示を省略している。
【0034】
筐体10は、電子機器を取り外し可能に受容する。また、回路基板20は、筐体10内に固定される。尚、回路基板20において、図示を省略しているが、給電・充電回路を構成する電子部品は、
図1中、上側面に搭載されている。他方、回路基板20の
図1中、下側面は、平坦であると共に、下側面のうち、少なくとも給電・充電端子30に接するか臨む領域には、絶縁層または絶縁フィルムが設けられている。
【0035】
給電・充電端子30は、筐体10が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と回路基板20の給電・充電回路とを電気的に接続する。
【0036】
給電・充電端子30は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、固定部31と、接点部32と、コイル部33とを備えている。固定部31は、回路基板20に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される。接点部32は、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能である。コイル部33は、給電・充電端子のバネ長を延長すべく固定部31と接点部32との間に形成されている。
【0037】
さて、本充電台において、筐体10は、給電・充電端子30のコイル部33の外径(外周)または内径(内周)を保持するコイル保持部を備えている。コイル保持部は、本充電台の給電・充電端子の位置基準として機能する他に、本充電台の組み立て工程中には、給電・充電端子の仮止め手段としても機能するものである。
【0038】
より具体的には、本実施例において、筐体10は、コイル保持部として、給電・充電端子30のコイル部33の外径を保持するボックス部17を備えている。さらに、ボックス部17は、仮止め時をも含め、受容した給電・充電端子30(のコイル部33)がボックス部17から抜けないようにコイル部33の内径を保持する爪17cを備えている(
図2(a)、(c))。
【0039】
さらに、本充電台は、コイル部33がボックス部17に保持されることによって筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の回路基板20への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収するように構成されている。
【0040】
より具体的には、本実施例において、回路基板20は、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収する構成として、給電・充電端子30の固定部31を受容する端子受容孔22e(
図1)を備えている。端子受容孔22eは、給電・充電端子30の固定部31と接点部32とを結ぶ線分に沿った方向Aに拡大された長孔形状となっている。尚、図示はしないが、端子受容孔22eの周囲には、給電・充電端子30の固定部31とをハンダ付けするための導体ランドが形成されており、この導体ランドは、回路基板20上に形成された給電・充電回路に電気的に接続されている。
【0041】
これにより、回路基板20が筐体10の4本のボス16にネジ止め固定された後に(ネジは図示せず)、筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が、長孔形状の端子受容孔22eに挿通およびハンダ付けされることにより、給電・充電端子30は、固定部31の端子受容孔22eに対する位置ズレを許容しつつ、回路基板20に固定される。
【0042】
次に、
図1および
図2に
図3(a)〜(c)を併せ参照して、本充電台の組み立て方法の要点を説明する。
【0043】
図3(a)に示されるように、2個の給電・充電端子30(1個のみ、図示)はそれぞれのコイル部33が、筐体10のボックス部17に挿入される。
【0044】
コイル部33が筐体10のボックス部17に挿入されると、
図3(b)に示されるように、コイル部33の外径がボックス部17の内壁面によって保持されると共に、コイル部33の内径が爪17cによって保持され、給電・充電端子30が筐体10に仮止めされた状態が維持される。仮止めされた給電・充電端子30は、当該片持ちバネの自由端が、筐体10の内側面に形成された座部14に、所定のバイアス圧力で当接すると共に、接点部32が、筐体10に形成されたスリット13を介して筐体10の外部に突出する。
【0045】
次いで、
図3(c)に示されるように、回路基板20が、ネジ止め孔21(
図1)を介して筐体10の4本のボス16(1本のみ図示)に図示しないネジを用いてネジ止めされる。この後、筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が、長孔形状の端子受容孔22eに挿通およびハンダ付けされることにより、給電・充電端子30は、固定部31の端子受容孔22eに対する位置ズレを許容しつつ、回路基板20に固定される。
【0046】
その後、筐体10に、図示しないボトムパネルを取り付ける工程等を経て、本充電台の組み立てが完了する。
【実施例2】
【0047】
本発明の実施例2に係る充電台は、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収する構成が、実施例1と異なっている。このため、実施例1と同一または同様の部分については、実施例1における説明および図面を援用することとし、詳細な説明は省略する。
【0048】
図4を参照すると、本発明の実施例2に係る充電台は、実施例1と同様に、筐体10と、給電・充電回路(図示せず)が形成された回路基板20’と、正極および負極としての2個の片持ちバネ式の給電・充電端子30とを有している。尚、外部から本充電台における給電・充電回路に電源供給をするためのコネクタや、筐体10の底面を覆うボトムカバー、後述するネジ止め箇所に用いるネジ等については、説明の便宜上、図示を省略している。
【0049】
筐体10は、電子機器を取り外し可能に受容する。また、回路基板20’は、筐体10内に固定される。尚、回路基板20’において、図示を省略しているが、給電・充電回路を構成する電子部品は、
図4中、上側面に搭載されている。他方、回路基板20’の
図4中、下側面は、平坦であると共に、下側面のうち、少なくとも給電・充電端子30に接するか臨む領域には、絶縁層または絶縁フィルムが設けられている。
【0050】
給電・充電端子30は、筐体10が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と回路基板20’の給電・充電回路とを電気的に接続する。
【0051】
給電・充電端子30は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、固定部31と、接点部32と、コイル部33とを備えている。固定部31は、回路基板20’に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される。接点部32は、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能である。コイル部33は、給電・充電端子のバネ長を延長すべく固定部31と接点部32との間に形成されている。
【0052】
本充電台においても、筐体10は、給電・充電端子30のコイル部33の外径(外周)または内径(内周)を保持するコイル保持部を備えている。コイル保持部は、本充電台の給電・充電端子の位置基準として機能する他に、本充電台の組み立て工程中には、給電・充電端子の仮止め手段としても機能するものである。
【0053】
より具体的には、本実施例において、筐体10は、コイル保持部として、給電・充電端子30のコイル部33の外径を保持するボックス部17を備えている。さらに、ボックス部17は、仮止め時をも含め、受容した給電・充電端子30(のコイル部33)がボックス部17から抜けないようにコイル部33の内径を保持する爪(図示せず)を備えている。
【0054】
さらに、コイル部33がボックス部17に保持されることによって筐体10に仮止めされた給電・充電端子30が固定された回路基板20’の筐体10への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収するように構成されている。
【0055】
より具体的には、本実施例において、回路基板20’は、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収する構成として、回路基板20’を筐体10にネジ止めするためのネジ(図示せず)を挿通させる4個のネジ止め孔21eを備えている。ネジ止め孔21eは、給電・充電端子30の固定部31と接点部32とを結ぶ線分に沿った方向Aに拡大された長孔形状となっている。
【0056】
これにより、筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が回路基板20’の端子受容孔22に挿通されると共に、端子受容孔22eの周囲に形成された図示しない導体ランドにハンダ付けされることによって固定された後に、この給電・充電端子30と一体となった回路基板20’が、ネジ止め孔21eを介して筐体10の4本のボス16にネジ止め固定されることにより(ネジは図示せず)、回路基板20’は、給電・充電端子30の筐体10に対する位置ズレを許容しつつ、筐体10に固定される。
【0057】
次に、
図4を参照して本充電台の組み立て方法の要点を説明する。
【0058】
まず、2個の給電・充電端子30はそれぞれのコイル部33が、筐体10のボックス部17に挿入される。
【0059】
コイル部33が筐体10のボックス部17に挿入されると、コイル部33の外径がボックス部17の内壁面によって保持されると共に、コイル部33の内径が爪(図示せず)によって保持され、給電・充電端子30が筐体10に仮止めされた状態が維持される。仮止めされた給電・充電端子30は、当該片持ちバネの自由端が、筐体10の内側面に形成された座部14に、所定のバイアス圧力で当接すると共に、接点部32が、筐体10に形成されたスリット13を介して筐体10の外部に突出する。
【0060】
次いで、筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が回路基板20’の端子受容孔22に挿通およびハンダ付けされることによって固定される。この後、この給電・充電端子30と一体となった回路基板20’が、ネジ止め孔21eを介して筐体10の4本のボス16にネジ止め固定されることにより、回路基板20’は、給電・充電端子30の筐体10に対する位置ズレを許容しつつ、筐体10に固定される。
【0061】
その後、筐体10に、図示しないボトムパネルを取り付ける工程等を経て、本充電台の組み立てが完了する。
【実施例3】
【0062】
本発明の実施例3に係る充電台は、筐体が備えている、給電・充電端子のコイル部を保持するコイル保持部の構造が、実施例1、2と異なっている。このため、実施例1、2と同一または同様の部分については、実施例1、2における説明および図面を援用することとし、詳細な説明は省略する。
【0063】
図5を参照すると、本発明の実施例3に係る充電台は、実施例1、2と同様に、筐体10’と、給電・充電回路(図示せず)が形成された回路基板20と、正極および負極としての2個の片持ちバネ式の給電・充電端子30とを有している。尚、外部から本充電台における給電・充電回路に電源供給をするためのコネクタや、筐体10’の底面を覆うボトムカバー、後述するネジ止め箇所に用いるネジ等については、説明の便宜上、図示を省略している。
【0064】
筐体10’は、電子機器を取り外し可能に受容する。また、回路基板20は、筐体10’内に固定される。尚、回路基板20において、図示を省略しているが、給電・充電回路を構成する電子部品は、
図5中、上側面に搭載されている。他方、回路基板20の
図5中、下側面は、平坦であると共に、下側面のうち、少なくとも給電・充電端子30に接するか臨む領域には、絶縁層または絶縁フィルムが設けられている。
【0065】
給電・充電端子30は、筐体10’が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と回路基板20の給電・充電回路とを電気的に接続する。
【0066】
給電・充電端子30は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、固定部31と、接点部32と、コイル部33とを備えている。固定部31は、回路基板20に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される。接点部32は、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能である。コイル部33は、給電・充電端子のバネ長を延長すべく固定部31と接点部32との間に形成されている。
【0067】
本充電台においても、筐体10’は、給電・充電端子30のコイル部33の外径(外周)または内径(内周)を保持するコイル保持部を備えている。コイル保持部は、本充電台の給電・充電端子の位置基準として機能する他に、本充電台の組み立て工程中には、給電・充電端子の仮止め手段としても機能するものである。
【0068】
より具体的には、本実施例において、筐体10’は、コイル保持部として、給電・充電端子30のコイル部33の内径を保持するシャフト部19を備えている。
【0069】
尚、図示はしないが、仮止め時をも含め、シャフト部19に挿通させた給電・充電端子30(のコイル部33)がシャフト部19から抜けないように、給電・充電端子30のシャフト部19への挿通を許す一方、抜けを規制する爪部を、筐体10’のフャフト部19付近に形成するようにしてもよい。あるいは、仮止め時には有効ではないが、回路基板20を筐体10’に固定した時に、シャフト部19の先端に位置して給電・充電端子30の抜けを規制するように、回路基板20上に金属板を他の搭載電子部品と同一工程でハンダ付けして予め設けておくか、あるいは、回路基板20上に樹脂製の板を楔部の圧入によって予め取り付けておくようにしてもよい。
【0070】
さらに、本充電台は、コイル部33がボックス部17に保持されることによって筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の回路基板20への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収するように構成されている。
【0071】
より具体的には、本実施例においては、実施例1と同様に、回路基板20は、給電・充電端子30の寸法バラツキを吸収する構成として、給電・充電端子30の固定部31を受容する端子受容孔22e(
図1)を備えている。端子受容孔22eは、給電・充電端子30の固定部31と接点部32とを結ぶ線分に沿った方向Aに拡大された長孔形状となっている。尚、図示はしないが、端子受容孔22eの周囲には、給電・充電端子30の固定部31とをハンダ付けするための導体ランドが形成されており、この導体ランドは、回路基板20上に形成された給電・充電回路に電気的に接続されている。
【0072】
これにより、回路基板20が筐体10の4本のボス16にネジ止め固定された後に(ネジは図示せず)、筐体10に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が、長孔形状の端子受容孔22eに挿通およびハンダ付けされることにより、給電・充電端子30は、固定部31の端子受容孔22eに対する位置ズレを許容しつつ、回路基板20に固定される。
【0073】
次に、
図5を参照して本充電台の組み立て方法の要点を説明する。
【0074】
まず、2個の給電・充電端子30はそれぞれのコイル部33が、筐体10’のシャフト部19に挿通される。
【0075】
コイル部33が筐体10’のシャフト部19に挿通されると、コイル部33の内径がシャフト部19の外周面によって保持され、給電・充電端子30が筐体10’に仮止めされた状態が維持される。仮止めされた給電・充電端子30は、当該片持ちバネの自由端が、筐体10’の内側面に形成された座部14に、所定のバイアス圧力で当接すると共に、接点部32が、筐体10’に形成されたスリット13を介して筐体10’の外部に突出する。
【0076】
次いで、回路基板20が、ネジ止め孔21を介して筐体10’の4箇所のネジ孔部18に図示しないネジを用いてネジ止めされる。この後、筐体10’に仮止めされた給電・充電端子30の固定部31が、長孔形状の端子受容孔22eに挿通およびハンダ付けされることにより、給電・充電端子30は、固定部31の端子受容孔22eに対する位置ズレを許容しつつ、回路基板20に固定される。
【0077】
その後、筐体10’に、図示しないボトムパネルを取り付ける工程等を経て、本充電台の組み立てが完了する。
【0078】
尚、本実施例においては、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収する構成を実施例1と同様としたが(長孔形状の端子受容孔22e)、を実施例2と同様に構成し(長孔形状のネジ止め孔)、実施例2と同様の順序で組み立てるようにしてもよい。
【実施例4】
【0079】
本発明の実施例4による充電台は、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収する構成が、実施例1〜3と異なっている。このため、実施例1〜3と同一または同様の部分については、実施例1における説明および図面を援用することとし、詳細な説明は省略する。
【0080】
図示はしないが、本発明の実施例4に係る充電台は、実施例1〜3と同様に、筐体と、給電・充電回路が形成された回路基板と、正極および負極としての2個の片持ちバネ式の給電・充電端子とを有している。
【0081】
筐体は、電子機器を取り外し可能に受容する。また、回路基板は、筐体内に固定される。
【0082】
給電・充電端子は、筐体が電子機器を受容したときに、電子機器に設けられた給電・充電接点に接触することにより、電子機器の被給電・充電回路と回路基板の給電・充電回路とを電気的に接続する。
【0083】
給電・充電端子は、弾性を有する金属線材を曲げ加工して成ると共に、固定部と、接点部と、コイル部とを備えている。固定部は、回路基板に固定され、かつ、給電・充電回路に電気的に接続される。接点部は、片持ちバネの自由端側に形成され、電子機器の給電・充電接点に接触可能である。コイル部は、給電・充電端子のバネ長を延長すべく固定部と接点部との間に形成されている。
【0084】
本充電台においても、筐体は、給電・充電端子のコイル部の外径(外周)または内径(内周)を保持するコイル保持部を備えている。コイル保持部は、本充電台の給電・充電端子の位置基準として機能する他に、本充電台の組み立て工程中には、給電・充電端子の仮止め手段としても機能するものである。
【0085】
より具体的には、本実施例においては、実施例1、2と同様に、筐体は、コイル保持部として、給電・充電端子のコイル部の外径を保持するボックス部を備えている。さらに、ボックス部は、仮止め時をも含め、受容した給電・充電端子(のコイル部)がボックス部から抜けないようにコイル部の内径を保持する爪を備えている。
【0086】
さらに、コイル部がボックス部に保持されることによって筐体に仮止めされた給電・充電端子が固定された回路基板の筐体への固定が、その固定位置のズレを許容しつつなされることにより、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収するように構成されている。
【0087】
より具体的には、本実施例においては、給電・充電端子の寸法バラツキを吸収する構成として、筐体は、回路基板を、給電・充電端子の固定部と接点部とを結ぶ線分に沿った方向の移動を許しつつ、保持する爪部を備えている。
【0088】
これにより、筐体に仮止めされた給電・充電端子の固定部が回路基板の端子受容孔に固定(挿入およびハンダ付け)された後に、給電・充電端子と一体となった回路基板が、前述した筐体の爪部によって保持されることにより、回路基板は、給電・充電端子の筐体に対する位置ズレを許容しつつ、筐体に固定される。本実施例では、ネジを用いることなく、回路基板を筐体に取り付けすることができる。
【0089】
次に、本充電台の組み立て方法の要点を説明する。
【0090】
まず、2個の給電・充電端子はそれぞれのコイル部が、筐体のボックス部に挿入される。
【0091】
コイル部が筐体のボックス部に挿入されると、コイル部の外径がボックス部の内壁面によって保持されると共に、コイル部の内径が爪によって保持され、給電・充電端子が筐体に仮止めされた状態が維持される。仮止めされた給電・充電端子は、当該片持ちバネの自由端が、筐体の内側面に形成された座部に、所定のバイアス圧力で当接すると共に、接点部が、筐体に形成されたスリットを介して筐体の外部に突出する。
【0092】
次いで、筐体に仮止めされた給電・充電端子の固定部が回路基板の端子受容孔に挿通およびハンダ付けされることによって固定される。この後、この給電・充電端子と一体となった回路基板が、前述した筐体の爪部によって保持されることにより、回路基板は、給電・充電端子の筐体に対する位置ズレを許容しつつ、筐体に固定される。
【0093】
その後、筐体に、図示しないボトムパネルを取り付ける工程等を経て、本充電台の組み立てが完了する。
【0094】
尚、本実施例においては、給電・充電端子のコイル部を保持するコイル保持部の構造を実施例1、2と同様としたが(ボックス部)、を実施例3と同様に構成してもよい(シャフト部)。