(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目視検査により前記鉱物繊維製品の1つ又は2つ以上の領域が硬化不足状態にあるとは判定されなかった場合、前記鉱物繊維製品の別のサンプルを特定し、前記別のサンプルのみを定量的に評価して前記代表的なサンプルの過硬化度を判定するステップを更に含み、前記別のサンプルを定量的に評価するステップは、pH測定、臭気測定、光学測定、クロマトグラフィー、酸滴定、比色分析、水分分析、及び熱履歴の少なくとも一つを含む、請求項1記載の方法。
前記目視検査により前記鉱物繊維製品の1つ又は2つ以上の領域が硬化不足状態にあるとは判定されなかった場合、前記ブランケットの別のサンプルを特定し、前記別のサンプルのみを定量的に評価して前記代表的なサンプルの過硬化度を判定するステップを更に含む、請求項10記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、鉱物繊維及び結合剤を用いて製造された繊維状ブラケットの硬化状態を評価する方法に関する。一観点では、本発明は、鉱物繊維製品の硬化状態を判定する方法であって、
硬化状態について第1の定性的評価を行って代表的なサンプルを特定するステップと、
硬化状態について第2の定量的評価を行うステップとを含み、
第2の定量的評価を行うためのサンプル採取手順は、第1の定性的評価の結果で決まる。
【0008】
第1の定性的評価は、鉱物繊維製品中に異常な、明るい又は暗い色の又は高密度のスポットとして見える場合のある代表的なサンプル、例えば硬化不足領域に関する目視検査であるのが良い。変形例として、第1の定性的評価は、硬化不足状態を示す第1の色及び硬化状態を示す第2の色を呈する指示薬溶液である。
【0009】
第2の定量的評価は、第1の定性的評価から得られた情報又は結果を利用して代表的なサンプルを検査する。一変形例では、第1の定性的評価は、第2のサンプルをどのようにして採取するか又はサンプルをどこから採取するかに関する情報をもたらすことができる。例えば、硬化不足領域が知覚された場合、第2の検査は、硬化不足状態であるように思われる領域からサンプルを抽出するステップを含むのが良い。これとは逆に、第1の定性的評価の結果により硬化状態であることが分かると、第2の定量的評価の手順は、過硬化状態である可能性がある領域、例えば縁部又は外側層からサンプルを抽出するステップを含む。別の変形例では、第1の定性的評価は、第2の定量的評価として適用されるのがどの検査であるかについての情報を提供することができる。多くの定量評価の利用が可能であるが、都合の良い定量的評価の1つは、絶対pH測定に基づく。
【0010】
第2の定量的評価の結果は、一般に、鉱物繊維製品に関する少なくとも1つの決定を知らせ、例えば検査したバッチを合格にし若しくは不合格にし又は次の鉱物繊維製品を製造するために1つ又は2つ以上のプロセス調整を行うために用いられる。かくして、第2の観点では、本発明は、鉱物繊維製品の製造プロセスにおいて製造プロセス制御をモニタすると共に調節する方法であって、この方法は、
溶融状態の鉱物を細くして繊維の状態にするステップ、該繊維をランダムに配向された鉱物繊維のパックの状態に集めるステップ、結合剤を塗布するステップ、そしてパックを硬化させてブランケットを成形するステップを含み、ステップは全て、所定のプロセス制御限度を有するプロセス制御下で実施され、
ブランケットにつき硬化不足領域の存在の可能性があるかどうかについて第1の定性的評価を行うステップを含み、
ブランケットの硬化状態について第2の定量的評価を行うステップを含み、第2の定量的評価の手順内容は、第1の定性的評価の結果で決まり、
硬化状態の第2の定量的評価の結果に応答して少なくとも1つのプロセス制御を調整するステップを含む。
【0011】
第1の観点の場合と同様、第1の定性的評価は、鉱物繊維製品中に異常な、明るい又は暗い色の又は高密度のスポットとして見える場合のある代表的なサンプル、例えば硬化不足領域に関する目視検査であるのが良い。変形例として、第1の定性的評価は、硬化不足状態を示す第1の色及び硬化状態を示す第2の色を呈する指示薬溶液である。同様に、第2の定量的評価は、第1の定性的評価から得られた情報又は結果を利用して代表的なサンプルを検査する。第1の評価の結果は、検査用サンプルを採取する手順の場所及び/又は第2の定量的評価の性状を定めることができる。硬化不足結果又は知見の場合、これは、硬化不足状態であるように思われる領域からサンプルを抽出するステップを含むのが良い。これとは逆に、第1の定性的評価の結果により硬化状態であることが分かると、第2の定量的評価の手順は、過硬化状態である可能性がある領域、例えば縁部又は外側層からサンプルを抽出するステップを含む。多くの定量評価の利用が可能であるが、都合の良い定量的評価の1つは、絶対pH測定に基づく。
【0012】
硬化状態の第2の定量的評価の結果に応答して実施できるプロセス制御決定は、潜在的に、プロセス制御を調整してプロセスを所定のプロセス制御限度内に戻すステップを含み、これは、オーブン内か成形フード領域内かのいずれかで達成できる。例えば、プロセス調整は、硬化オーブンの少なくとも1つのゾーン内において、オーブンゾーン内の温度、空気流量及び滞留時間から選択された硬化オーブンパラメータを調整するステップであることを意味する場合がある。変形例として、プロセス調整は、成形領域内における冷却剤流量、結合剤流量、空気流量及び滞留時間から選択された少なくとも1つの成形領域パラメータを調整するステップを意味する場合がある。
【0013】
本発明の種々の観点は、添付の図面に照らして好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を読むと当業者には明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関する当業者によって一般に理解されているのと同一の意味を有する。本明細書において説明する方法及び材料と同様又は均等な方法及び材料を本発明の実施又は検査に用いることができるが、本明細書においては好ましい方法及び材料について説明する。本明細書において言及する文献(特許文献及び非特許文献)を全て引用し、これらの各々の記載内容全体を本明細書の一部とし、かかる文献としては、本、雑誌、公開された米国又は外国特許出願公開明細書、発行された米国又は外国特許明細書及び任意他の文献が挙げられ、上述の記載内容全体は、引用された文献に提供されている全てのデータ、表、図及びテキストを含む。
【0016】
図中、線、層及び領域の厚さは、分かりやすくするために誇張されている場合がある。
【0017】
別段の指定がなければ、大きさの範囲を表すあらゆる数値、例えば角度、シート速度、成分の量、特性、例えば分子量、反応条件、本明細書及び特許請求の範囲に用いられているその他の数値は、あらゆる場合において「約」という用語で修飾されたものとして理解されるべきである。したがって、別段の指定がなければ、本明細書及び特許請求の範囲に記載された数値に関する特性は、本明細書の実施形態で得られるべき所望の特性に応じてばらつきがあって良い近似値である。本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載された数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、全ての数値は、これらのそれぞれの測定値に見出される誤差に起因して必然的に生じる或る特定の誤差を本来的に含む。全ての数値範囲は、当該範囲の外側の境界内の考えられる全ての小刻みな小範囲を含むものと理解されるべきである。かくして、30度〜90度の範囲は、例えば、35度〜50度、45度〜85度及び40度〜80度等を開示している。
【0018】
「結合剤(バインダー)」は、ガラス繊維を圧縮可能であるが圧縮が除かれるとそのロフトを再び得る3次元構造体の状態に互いにくっつけるために用いられる熱硬化性有機作用剤又は化学物質、多くの場合ポリマー樹脂を意味するものとして当業界では周知である。「結合剤送り出し量」は、ガラス繊維に送り出される「結合剤化学物質」、例えば「結合剤固体」の質量又は重量を意味する。これは、典型的には、当該技術分野においては「強熱減量(loss on ignition)」すなわち“LOI”により測定され、これは、繊維状鉱物を燃え尽きさせる有機材料の尺度である。繊維パックを計量し、次にこれに極めて高い熱を及ぼして有機結合剤化学物質を燃え尽きさせ、次に再計量する。重量差を初期重量で除算して得られた値(×100)は、%LOIである。
【0019】
結合剤送り出し量は、質量/時間単位、例えばグラム/分で固形物として適正に考慮される。しかしながら、結合剤は、代表的には、結合剤化学物質の水性分散体として送り出され、これは、水中に溶けていても良く溶けていなくても良い。かくして、「結合剤分散体」は、媒体又はビヒクル中の結合剤化学物質の混合物を意味し、実際問題として、結合剤「分散体」の送り出しは、分散体の体積/時間、例えばリットル/分、即ちLPM(liters/minuteの略)の流量で与えられる。これら2つの送り出しに関する表現は、単位体積当たりの結合剤の質量、即ち結合剤分散体の濃度によって互いに相関が取られる。かくして、毎分Zリットルの送り出し量で流れる1l当たりXグラムの結合剤化学物質を含む結合剤分散体は、結合剤化学物質のX・Zグラム/分を送り出す。分散体は、真溶液並びにコロイド、乳濁液又は懸濁液を含む。
【0020】
特定の一形式の結合剤分散体(「結合剤濃縮物」と呼ばれる)は、比較的高い一定濃度の、例えば20%〜40%の結合剤固形物を含む原分散体であり、かかる原分散体を次に、低い濃度、例えば10%の結合剤を含む希釈「結合剤分散体」を生じさせるよう結合剤「希釈剤」(代表的には、水)で希釈するのが良い。この希釈された「最終的な」結合剤分散体をガラス繊維上に吹き付け又は定量吐出する。結合剤化学物質の一定送り出し量(グラム/分)を依然として、高い流量の希釈度の高い結合剤分散体によって達成するのが良い。「結合剤分散体」という用語は、最終的な希釈形態と濃縮原液形態の両方について総称的な用語である。25〜30%固形分の結合剤分散体を幾つかの市販製品に用いることができ、5〜15%固形分の結合剤分散体を他の製品、例えば家庭用品に用いることができる。成形フード内の結合剤粘着性及び粘度は、製品特性に影響を及ぼす重要な特性であり、しかも濃度(%固形分)、特定の結合剤化学的性質及び温度で決まる。
【0021】
「酸性結合剤」又は「低pH結合剤」と言った場合、これら用語は、水性分散体では、pHが7未満、一般的には約6以下、より一般的には約4以下であるような解離定数(Ka)を有する結合剤であることを意味している。
【0022】
「鉱物繊維」は、繊維の状態に引き出すことができ又は細くすることができる溶融鉱物を形成するよう溶解させることができる鉱物材料を意味している。ガラスは、繊維断熱目的向きの最も一般的に用いられている鉱物繊維であり、以下の説明は、主として、ガラス繊維に関するが、他の有用な鉱物繊維としては、岩石、スラグ及び玄武岩が挙げられる。
【0023】
「製品特性」は、断熱バットが備える一連の試験可能な物理的特性を意味している。これら製品特性としては、少なくとも以下の一般的な特性を含む場合がある。
・「回復」‐これは、バット又はブランケットが包装又は貯蔵中、圧縮からの解除に続き元の又は設計された厚さを再び取る能力である。これは、既知の又は意図された公称厚さの生成物の圧縮後高さを測定することによって又は他の適当な手段によって試験可能である。
・「剛性(剛さ)」又は「垂下(サグ)」‐これは、バット又はブランケットが剛体のままであってその直線的な形状を保持することができる能力を意味している。これは、一定長さ区分をてこの上に垂らし掛け、撓みの角度的広がり又は垂下を測定することによって測定される。低い値は、より堅く且つより望ましい製品特性であることを意味している。他の手段を用いることができる。
・「引張り強度」‐これは、繊維製品を2つに引き裂くのに必要な力を意味している。これは、典型的には、縦方向(MD)と幅又は横方向(“CD”又は「XMD」)の両方で測定される。
・「横方向重量分布」(LWD又は「クロスウェイト」)‐これは、製品のその幅全体を通じた相対一様性又は均質性である。これは、製品の密度の一様性と考えることも可能であり、これは、製品を長手方向に幅(及びサイズ)の等しいバンドの状態に切断してバンドを計量することにより、核密度計により又は他の適当な手段によって測定可能である。
・「縦方向重量分布」(VWD)‐これは、製品のその厚さ全体を通じた相対一様性又は均質性である。これは、製品の密度の一様性と考えることも可能であり、これは、製品を水平方向に厚さ(及びサイズ)の等しい層の状態に切断して層を計量することにより、核密度計により又は他の適当な手段によって測定可能である。
当然のことながら、最終製品の評価において他の製品特性をも使用できるが、上述の製品特性は、断熱製品の消費者にとって重要であることが分かっている特性である。
【0024】
「判定」、「評価」及び「試験」という名詞並びにその動詞及び形容詞形態は、パック又はブランケットの硬化状態を推定し又は判定するプロセスについて述べる場合には区別なく使用できる。
【0025】
図1は、フォアハース10、成形フードコンポーネント又は区分12、ランプ(傾斜路)コンベヤ区分14及び硬化オーブン16を含むガラス繊維断熱製品製造ラインを示している。炉(図示せず)からの溶融ガラスを流路又はチャネル18に通して複数個の繊維化ステーション又はユニット20に導き、これら繊維化ステーション又はユニットは、
図1に矢印19で示されているように縦方向に直列に配置されている。各繊維化ステーションのところではフローチャネル18に設けられた穴22により、溶融ガラスの流れ24がスピナ26中に流れることができ、スピナ26は、オプションとして、バーナ(図示せず)によって加熱されるのが良い。繊維化スピナ26は、高速でモータ30によってシャフト28回りに回転し、その結果、溶融ガラスがスピナ26の円周方向側壁に設けられた細かい穴を通過して一次繊維を形成するようになる。ブロワ32がガス流、代表的には空気を実質的に下向きの方向に差し向けてこれを繊維に当て、繊維を下方に方向転換し、そしてこれら繊維を細くして二次繊維にし、これら二次繊維は、下方に押し下げられるベール60を形成する。繊維は、機械式又は空気式「ラッパ(lapper)」(図示せず)によって幅方向に分布して配置され、最終的に多孔質コンベヤ64上に繊維層62が形成される。層62は、直列繊維化ユニットからの追加の繊維の堆積により質量を増し(そして典型的には厚さを増し)、かくして層が成形領域46を通って縦方向19に移動しているときに繊維「パック」66になる。
【0026】
1つ又は2つ以上の冷却リング34が液体冷却剤、例えば水をベール60に吹き付けてベール内の繊維を冷却する。当然のことながら、他の形態の冷却剤噴霧器又は吹き付け装置の使用が可能であるが、リングは、液体冷却剤を多数の方向及び角度からベール60全体にわたって繊維に送り出すという利点を有する。結合剤定量吐出システムは、結合剤をベール60の繊維に吹き付ける結合剤噴霧器36を含む。例示の冷却剤スプレーリング及び結合剤スプレーリングがクーパー(Cooper)名義の米国特許出願公開第2008‐0156041(A1)号明細書に開示されている。かくして、各繊維化ユニット20は、スピナ26、ブロワ32、1つ又は2つ以上の冷却用液体噴霧器34及び1つ又は2つ以上の結合剤噴霧器36を有する。
図1は、3つのかかる繊維化ユニット20を示しているが、任意の数を使用することができる。断熱製品の場合、代表的には、1つのラインについて1つの成形フードコンポーネントに2個〜約15個のユニットが用いられる場合がある。
【0027】
成形領域46は、成形フードを包囲するよう側壁40及び端壁48(1つ示されている)によって更に画定されている。側壁40及び端壁48は各々、好都合には、ローラ44又は50,80周りにそれぞれ回転する連続ベルトによって形成されている。「成形フード壁」、「フード壁」及び「フードウォール」は、本明細書では区別なく使用されている場合がある。必然的に、結合剤及び繊維は、フード壁上に局所塊状態で堆積し、場合によっては、これら塊は、パック中に落下して硬化するのが困難な異常な高密度領域又は「ウェットスポット」を生じさせる場合がある。
【0028】
コンベヤチェーン64は、リンクが成長中の繊維パックを支持した状態で空気流を通過させることができる多くの小さな開口部を有する。ダクト72を介してファン又はブロワ(図示せず)に連結された吸引ボックス70は、負圧を生じさせて成形領域内に注入された空気を除去するようコンベヤチェーン64の下に配置された追加の製造コンポーネントである。コンベヤチェーン64がそのローラ68の周りに回転しているとき、未硬化パック66は、出口ローラ80の下から成形区分12を出て、下方に差し向けられる空気流及び負圧(オプションとして、図示していないパックリフトファンによって支援される)が存在していないので、パックは、その自然な非圧縮状態の高さ又は厚さを再び取ることができる。次の支持コンベヤ又は「ランプ」82が繊維パックをオーブン16に向かって且つ別の組の多孔質圧縮コンベヤ84相互間に導き、かかる多孔質圧縮コンベヤは、パックをオーブン16内での硬化のために所望の厚さに付形する。硬化したパック又は「ブランケット」(図示せず)は、オーブン16から出ると、切断及び包装ステップのために下流側に運ばれる。幾つかの製品に関し、ブランケットは、長手方向に多数のレーンに分割され、次に「バット」と呼ばれている短いセグメントに細断される。これらは、包装のために束にされ又は巻かれるのが良い。
【0029】
本発明によれば、硬化ブランケット又はバットは、硬化度を定量的な仕方で判定するようサンプル採取される。
図2を参照すると、本発明の方法の第1の実施形態が記載されている。符号100で示されているように所定の頻度でブランケット又はバットをサンプル採取する。プロセスは、最初の(第1の)定性的評価を行い、その後次の(第2の)定量的判定を行うという点で2段階で行われる。第1の段階により、代表的なサンプルを選択し、第2の段階では、この結果に基づいて定量的測定を行い、それによりもし結果が仕様及び/又はプロセス制御限度内に収まっていない場合、プロセス変化の方向及び大きさについて指導を行う。
【0030】
第1の定性的評価は、符号100のところで示されているように適当で代表的なサンプルを見つけるための目視検査であるのが良い。目視検査は、ブランケットの色、テキスチャ又は稠度(コンシステンシー)に基づく評価を含むのが良い。オーウェンス・コーニング(Owens Corning)社製の製品に関し、代表的には、染料が結合剤に添加され、硬化不足領域は、ピンク色の淡い影として見える。他の製造業者の場合、色及び影は、様々な場合があり、或いは、目視検査は、圧縮された又は高密度の領域又は硬化不足状態を示す他の凸凹又はスポットを利用する場合がある。当業者は、硬化不足領域がある場合にかかる硬化不足領域を突き止めるのに熟練を要する。
【0031】
単なる目視検査の代替手段として、指示薬溶液が用いられる場合がある。チェン等(Chen et al.)に付与された米国特許第7,063,983号明細書で注目されるように、希釈ニトラジン溶液がpHを定性的に推定するための指示薬溶液として用いられる場合がある。ニトラジン指示薬溶液は、pHが6.5〜6.8の値よりも小さいか又はこれを超えるかどうかに応じて黄色又は紫色に変わる。このバイナリー手法は、硬化度について簡単な定性的尺度を与えるが、硬化に関する完全な定量的情報を与えるものではなく、過硬化状態に関する真の情報を与えるものではない。目視検査は、最も簡単であるが、当業者が硬化繊維パック又は「ブランケット」から代表的なサンプルを選択するように導く他の定性的評価も又採用できる。
【0032】
定性的評価の結果に応じて、次に、少なくとも1つの定量的評価を実施し、第2の定量的評価をどのように実施するかについての詳細は、第1の定性的試験の結果によって導かれる。この指針は、少なくとも2つの形態で提供されている。一実施形態では、第1の評価からの情報又は結果は、サンプルをどのように採取するか又はブランケットをどの部分から取り出すかを導く。第2の実施形態では、第1の評価からの情報又は結果は、第2の評価としてどの第2の試験を実施すべきかを導く。
【0033】
第1の実施形態では、第1の定性的評価により硬化不足状態であることが分かると、硬化不足度を定量化しようとするサンプル採取手順が用いられる。かかるサンプル採取手順は、第1の評価において硬化不足であるように思われるブランケットの1つ又は2つ以上の領域を更に検査するよう選択する。これとは逆に、定性的評価により硬化不足状態がないことが分かると、過硬化状態の度合い(もしあれば)を定量化しようとするサンプル採取手順が用いられる。この場合、サンプル採取手順は、過硬化状態でありがちである端部、縁部、頂部層若しくは底部層又は他の露出領域を検査する。次に、これらサンプル領域に硬化状態についての第2の定量的評価を実施する。過硬化があるかどうかについて評価する要望は、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、カルボヒドレート等で作られた天然素材結合剤の場合に特に重要である。というのは、これら結合剤の過硬化は、望ましくない製品特性、例えば変色又は悪臭のある製品を生じさせる場合があるからである。かかる天然素材結合剤は、米国特許出願公開第2011/008657号明細書として2011年4月14日に公開された2010年10月8日付け出願の共通所有の米国特許出願第12/900,540号明細書に開示されている。
【0034】
一形態では、第1の定性的評価により硬化不足状態があることが分かると、この情報は、第2の定量的検査の性状を導くことができる。例えば、この情報は、上述のpH試験又は目視検査若しくは光学検査を含む場合があり、これに対し、過硬化の第1の指標は、pH、臭気、光学技術、クロマトグラフィー技術又は他の分析技術を利用する第2の評価をトリガする場合がある。かかる多くの第2の定量的検査が可能であるが、最も簡単な検査は、pH試験であり、定量的pH試験の例を以下の説明において用いる。他の定量的検査としては、ラインが稼働している間に連続的に行われるか定期的又はランダムなサンプルを選択することによって間欠的に行われる酸ニトロ化、比色分析、水分分析及び熱履歴が挙げられる。上述したように、第2の定量的検査は、定性的検査の結果及びこの第1の試験により示唆されるサンプルに応じて同一であっても良く又は異なっていても良い。
【0035】
依然として
図2の実施形態を参照すると、サンプル採取の方法は、第1の定性的評価の結果に応じて様々であるが、定性的評価の方法は、この実施形態では、様々であるというわけではない。ステップ104は、定性的検査の結果について、即ち、硬化不足領域が見つかったか又はその存在が疑われたかを尋ねる。イエスである場合、ステップ106は、第2の定量的検査のためのサンプルをどのように調製するかについて命令を出す。具体的に説明すると、所定サイズ、例えば8×8×2インチ(1インチは、2.54cm)のサンプルを硬化度の最も小さい領域であると思われる領域から採取する。このサンプルサイズは、当然のことながら、様々であって良いが、代表的なサンプルを生じさせるほど大きく且つ試薬が品質管理試験において過度に消費されることのないほど小さいものであるべきである。さらに、ブランケットの互いに異なるレーン及び/又は互いに異なる領域、例えば縁又は内部、頂部又は底部等から取った部分を配合することによって単一のサンプルを調製することができる。場合によっては、多数のレーントップ区分を一サンプルとして配合しても良く、多数のレーン底部区分を一サンプルとして配合しても良い。
【0036】
硬化不足領域が定性的検査の際に見つからなかった場合、ステップ108に示されているようにサンプルを別の仕方で調製する。この場合、第2段階検査では、硬化不足ではなく、過硬化状態について検討し、或る特定の領域(端面、頂部及び底部層等)は、他の領域よりも過硬化状態である可能性が多分にある。第2段階検査の場合、サンプルを過硬化状態の可能性がある領域、例えば端面(長手方向又は横方向面)又は頂部若しくは底部層又は端部分のうちの1つから選択する。所定寸法のサンプルを各バットから取り出し、結果の歪曲を回避するため、硬化度の高い底部層を検査に先立って取り出す。底部層は、様々な考えられる理由により硬化度が一層高い場合がある。かかる理由としては、例えば、オーブンの初期ゾーン内における高温空気の上方への対流及びパックがオーブンを通過するときのコンベヤチェーン64からの追加の熱の伝導が挙げられる。
【0037】
サンプルは、次に、第2段階としての定量的評価に進み、かかる第2段階としての定量的評価は、上述したように、好都合には絶対pH試験であるのが良い。絶対pH判定に用いられる特定の手順は、重要ではないが、較正済みpHプローブは、1つの可能な手法である。一実施形態では、バットサンプルを計量し(112)、所与の量の蒸留水を添加する。十分な蒸留水が繊維パックから未硬化結合剤を溶解させるために用いられるべきであり、例えば、ステップ112は、バットの重量の10倍を示唆している。水及び繊維パックは、未硬化結合剤がガラス繊維から取れて溶解することができるようにするのに十分な期間をかけて混合されるべきである。ステップ114では、繊維パック又は「ウール」を混練して少なくとも5分間浸水させる。所定の十分な時間が経過した後、ウールを取り出して絞り、それにより水を適当な容器中に抽出する(ステップ116)。しかる後、ステップ118において、結果として得られた抽出溶液のpHを定量的に測定して絶対pH値を得る。上述したように、pHプローブは、pHを定量的に測定する1つの可能な手法である。
【0038】
絶対pH値を入手した状態で、パック又はバットの硬化状態が高い精度で知られ、硬化状態としては、硬化不足又は過硬化(もしあれば)の程度又は大きさに関する情報が挙げられる。これにより、製造業者に必要に応じてプロセス制御を調節するための有用且つ作用可能なデータが提供される。例えば、製造業者は、所定の製品仕様を備えており、かかる範囲に含まれない製品は、「仕様外れ(out of spec )」と呼ばれ、一般に破棄されなければならない。これを本明細書において「不合格(reject)」状況ともいう。さらに、たいていの製造業者は、プロセス制御を有すると共にこれらプロセスのばらつきに対して所定の限度を設定している。これらパラメータは、例示の値と共に以下の表1にまとめられている。
【0039】
硬化状態をこれらの限度に関して定量的に知ることは、製造業者にとって重要な結果である。上述したように、「仕様外れ」の製品は、一般に、スクラップにされる。しかしながら、製造業者に利用できる情報として、pHが「低い」、即ち、製品が硬化不足状態であることだけである場合、製造業者は、これが低いけれども依然としてLSLを超えている場合に製品を不必要にスクラップにする場合がある。具体的に説明すると、試験結果としてUSL及びLSL外れの製品は、依然としてスクラップにされなければならないが、試験結果としてUSLとUCLとの間又はLCLとLSLとの間の製品は、依然として使用でき、スクラップにはされない。これは、有用な情報である。というのは、製造業者は、誤って良好な製品をスクラップにする頻度が少なくなるからである。
【0040】
おそらくは更に重要なこととして、製造業者は今や、上述の限度のうちのどれからも製品がどのように離れているかについての定量的情報を得ている。従来、製品が仕様の範囲内にある場合、これが保持され、そしてプロセスは、許容可能であると見なされて必ずしも調整されなかった。制御限度の範囲外にある(即ち、>UCL又は<LCL)依然として仕様範囲内にある(即ち、>LSL且つ<USL)製品試験は、製造業者にプロセス制御を調節してより厳しい制御下でプロセスを戻す機会を与える。これは、「反応」状況とも呼ばれ、試験結果を定量的に知ることにより、反応状況においてプロセス制御をどれほど多く調整すべきかについての情報が得られる。換言すると、定量的結果により、プロセス変化の方向に関するだけでなく、かかる方法変化の大きさについての情報が得られる。単純な定性的検査手順ではこのどれもが可能ではない。
【0041】
再び
図2を参照すると、製造プロセス上の決定を行うためのかかる定量的情報の仕様がステップ120で始まる状態で示されている。ステップ120は、検査サンプルpHが「仕様内」であり、即ち、LSL<pH<USLが真であるかどうかを尋ねる。“no”の場合、製品は、「仕様外れ」であり、破棄されなければならない。加うるに、ステップ122で示されているように、「仕様外れ」製品を製造する製造ラインが問題を改善することができるまで止められる。しかしながら、ステップ120からの応答が“yes”である場合、ステップ124で別の質問、即ち、試験サンプルpHがプロセス制御限度内にあるかどうか、即ちLCL<pH<UCLが真であるかどうかという質問がなされる。“no”であれば、製品は、仕様内であり、破棄される必要はないが、プロセスは、「管理外れ」であり、プロセス調整がプロセスを制御状態にし(126)、即ち、プロセス制御限度内の許容可能なばらつきを生じさせる状態に戻すようなされるべきである。ステップ124での応答が“yes”であれば、製品は、仕様内且つプロセス制御限度内である(ステップ128)、これは、所望の状態である。製品及びそのpHに関する詳細を記録した後(ステップ130)、この製品は、包装及び販売に進むことができる。サイクルは、所定のサンプル採取頻度に従って繰り返し実施される(ステップ100)。
【0042】
第2の定量的評価(例えば、pH)に応答してプロセスに対してなされ得る可能な調節は、非常にばらつきがあり、硬化オーブンに対する調節並びに成形プロセスそれ自体に対する調節を含む。硬化オーブン調節としては、温度設定値、空気流量及びオーブン内における滞留時間が挙げられる。硬化オーブンは、ゾーンに区分される場合が多く、かかる調節は、オーブンゾーンのうちの1つ、幾つか又は各々について実施される場合がある。成形フードに対して行われる場合のある調節は、例えば、幾分かの液体冷却剤、幾分かの液体結合剤の使用、上述の溶液のうちの任意のもののpHの変更、成形フード内における滞留時間を変更するための成形コンベヤの速度の変更及びブロワ及び負圧吸引ボックスにより生じる空気流量の変更が挙げられる。
【0044】
この手順は、硬化のための断熱製品を評価するために用いられる。製品は、製品pHがLSL(5.25)未満又はUSL(6.9)を超える場合に保留にされ/スクラップにされる。製品は、最初に、以下の低硬化定性的評価手順を用いて硬化不足があるかどうかについて判断される(ステップ1)。硬化不足領域が発見された場合、低硬化定量的評価手順を実施する(ステップ2)が、硬化不足領域が存在しない場合、検査者は、次のセクションで説明するように高硬化評価を続ける(ステップ3)。検査者は、両方の定量的評価を実施するのではなく、該当する検査のみを実施すべきである。検査は、全てのレーンから同時にバットを収集することによって毎時間に一度実施されるべきである。
【0045】
1.低硬化定性的評価:(a)検査者は、未硬化(暗いピンク色)領域があるかどうか又は硬化不足領域(最も明るいピンク色)があるかどうかについて全てのレーンからのバットを目視検査する。(b)検査者は、オプションとして、pH指示薬溶液を硬化度の最も小さいバットの疑わしい領域に吹き付けることによって硬化に関してこれらバットを検査する。いずれの場合においても、検査者は、明らかに落下したフード壁塊又は「ウェットスポット」とは別に最も悪いスポットがあるかどうかについて全てのレーンの縁部を検査すべきである。
【0046】
2.低硬化定量的評価:(a)視覚的に示され又は指示薬溶液が青色から黄色に変化することによって示された3インチ直径の円(〜9平方インチ)の等価面積よりも広い硬化不足領域が存在しない場合、このステップは、スキップされ、ステップ3がその代わりに実施される。しかしながら、かかる硬化不足領域が視覚的に又は指示薬溶液が青色から黄色に変化することによって示された場合、pH試験は、各レーンに関して硬化度の最も小さいスポットについて実施されるべきである。このためには、バットを半分に引き裂いて硬化度の最も小さなスポットを探すと共にバットから8インチ平方分を切断する。(b)pHプローブを24時間毎に新たに調製された標準緩衝液又はpH標準液への各使用の直前に較正する。少なくとも2つのpH値、例えばpH7及びpH4の標準緩衝液を調製する。プローブを第1の緩衝溶液中に挿入し、第1の緩衝溶液を少なくとも20秒間撹拌し又はかき混ぜ、その後機械較正のためのボタンを押す。プローブを蒸留水ですすぎ洗いし、そしてこれを吸い取って各緩衝溶液相互間で乾燥させる。(c)pH試験は、較正直後に実施されるべきであり、経時的な潜在的pHシフトを回避するために全ての試験をできるだけ迅速に完了させるべきである。バットから採取したサンプルを計量し、かかるサンプルは、少なくとも5グラムの重量をもつべきである。サンプルをその重量の10倍の(±10%)蒸留水と十分に混練し、5分後、サンプルを絞って5分間内にpH試験される最低30gの抽出物を得る。プローブを蒸留水ですすぎ洗いし、そしてこれを拭き取って乾燥させ、次の試験に用いる。
【0047】
pH試験の結果は、次のように用いられる。目標のpHは、全てのレーン全体にわたって5.8〜6.2である。未硬化レベルが検出された場合、影響を受けたレーンの硬化レベルを増大させるためのステップが取られるべきである。個々のレーンpHがLCL(5.5)未満である場合、プロセスは、硬化レベルを増大させるよう調節されるべきである。pHがLSL(5.25)未満である場合、最後の良好な結果が得られてから作られた材料を隔離してこれをスクラップしなければならない。各レーンのpHは、調節がいったんプロセスに加えられると、再チェックされるべきであり、そしてpHは、安定する。
【0048】
3.高硬度定量的評価:ステップ1において視覚的に検出され又は指示薬溶液の吹き付けによって低硬化領域が存在しない場合、オペレータは、次のように進行すべきである(そして、硬化度の最も低いスポットを検査しない)。(a)各レーンからの各バットの端部から2インチ片を切断し、必要ならば、底面から1/2インチ以下分を除去して過硬化影響をなくす。(b)上述のステップ2(b)及び1(c)にかいつまんで示されているように標準pH試験手順を用いてこのサンプルにpH試験を行う。
【0049】
次のようにpH試験結果に反応する。目標のpHは、全てのレーン全体について5.8〜6.2である。どれか単一レーンのpHがUSL(6.9)を超えている場合、最後に良好な結果が得られた時点から作られた材料を隔離してこれをスクラップにしなければならない。どれか個々のレーンpHがUCL(6.6)を超える場合、プロセスは、硬化度を減少させるよう調節されるべきである。オペレータは、pH結果に基づいてプロセス調節を行うべきであるが、何をすべきかの入力としてEOL剛性及び回復結果並びに横方向重量分布(又は「クロスウェイト」)を考慮すべきである。非一様な横方向重量分布に対処するためには、成形領域ラッパは、調節を必要とする場合がある。調節後、オーブンがいったん落ち着くとpHを再びチェックすべきである。
【0050】
注記:全体的硬化度を減少させる第1ステップは、空気流量又は温度のようなオーブンパラメータを減少させることである。ただし、ライン終端(end of line:“EOL”)製品特性がこれを可能にすることを条件とする。しかしながら、オーブンパラメータを減少させても所望の硬化状態が達成されない場合、これに代えて、成形フード内における冷却剤又は他の液体調節を必要とする場合がある。
【0052】
別の実施形態が
図3A及び
図3Bに示されている。この実施形態は、5レーン製造ラインについて有用であり、この場合、成形フード内で形成され、オーブン内で硬化されるパックは、幅が数フィートであり、しかも上述したようにバットの5つの「レーン」を支持するのに十分である。ナイフがブランケットを長手方向にスライスして5つのレーンの状態にし、そして2つの外側のレーン(便宜上、「右側」及び「左側」で示されている)からのバットを3つの内側のレーンからのバットから分離する(ステップ140)。外側のバットの最も外側の縁部の区分を第1の2つのサンプルとして取り出す。任意的に、右側バットからのサンプル1(142)及び左側バットからのサンプル2(144)を採取する。これらサンプルは、任意形状又はサイズのものであって良いが、バットの最も外側の縁部を含むべきである。長さ約12インチ、バット中への入り込み長さが2インチのストリップが適切であることが判明した。
【0053】
次に、いずれかの順番で、内側バットを頂部(T)及び底部(B)側半部の状態に2等分し(146)又は端部の一部分を内側バットの各々から切断する(148,150)。結果は、6つの半高さ端部分である。頂部側半部からの3つを組み合わせてサンプル3を作り(148)、底部側半部からの3つを組み合わせてサンプル4を作る(150)。端部分は、バットの全幅を含むべきであり且つ端部中に約1〜2インチ延びるべきである。
【0054】
残りの6つの内側半高さバット(3頂部及び3底部)に第1の定性的評価を施して未硬化又は硬化不足領域を探す(152)。6つの半高さバットの3つの最も暗い領域を第2の定量的評価を受けさせるものとして特定する(152)。3つの特定された領域中のバットの一部分を切除し、検査のために組み合わせる。この場合も又、任意サイズのサンプルを採取することができるが、8×8インチ正方形区分が適切であることが判明した。これら3つの正方形をサンプル5として組み合わせる(ステップ154)。全部で5つのサンプルを第2の定性的検査に進め(156)、これについては
図3Bを参照して更に説明する。
【0055】
図3Bは、
図2と同様であり、流れ図又はデシジョンツリー(決定木)を提供している。第1ステップ(160)は、検査サンプル1〜5のうちのどれかが5.29(LSL)以下のpHを有するかどうかを尋ねる。もしそうであれば、製品は、「仕様外れ」(硬化不足ステップ162)であり、これをスクラップにしなければならず、ライン是正が行われ、新たな製品を再検査する(164)。pHが少なくとも5.30であるが、5.60(LCL)以下である場合、ステップ166は、製品が「仕様内」であるがそうでありたいほど硬化されてはいないことを示し、従って、ライン調節が硬化レベルを増大させるために行われる(168)。使用される場合のある幾つかの特定のライン調節が実施例3に記載されている。製品を再検査する(170)。
【0056】
製品がLSL及びLCLを上回る試験結果である場合、これがUCL又はUSLを超えているかどうかを依然として考慮する必要がある。この実施形態では、UCLは、6.50であるが、USLは、縁部サンプル1,2に関し、内側サンプル3,4,5の場合とは異なっていることに注目されたい。ステップ172は、縁部サンプル1,2が6.5〜6.9のpHを有するかどうかについて質問する。“yes”であれば、これらサンプルは、「仕様内」であるが、理想的な目標範囲にはなく、従って、制御限度から「外れ」ている(174)。ステップ176は、縁部サンプル1,2のpHが6.9を超えているかどうか、かくして、USLを超えているかどうかについて質問する。もしそうであれば、外側レーンは、少なくとも、過硬化状態にあり(178)、これらをスクラップにしなければならない。是正行為及び再検査が必要である(180)。次に、ステップ182は、内側レーンサンプル3,4,5に関して同様な質問をする。これらのうちのどれかのpHが6.7以上である場合、これらは、「仕様外れ」であり、これらをスクラップにする(184,164)。もしそうでなければ、ステップ168は、これら内側サンプルが制御限度(UCL)に対してどれほどであるかについて質問する。これらのうちのどれかがpH6.5〜6.7である場合、製品は、「仕様内」であるが、プロセスは、制御内ではなく、従って硬化度を減少させる調節を実施する(174)。全ての検査ブロック(160,166,172,176,182,186)の結果が“no”の答えである場合、論理的に、製品は、5.61〜6.49の目標pH範囲内にあり、プロセスは、「管理内」であり、是正措置は不要である(188)。
【0057】
この実施例のpH試験の場合、pHプローブを実施例1で説明したように且つ/或いは器具のマニュアルに従って24時間毎に較正する。pH試験は、較正直後に実施されるべきであり、経時的な潜在的pHシフトを回避するために全ての試験をできるだけ迅速に完了させるべきである。バットから採取したサンプルを計量し、かかるサンプルの重量は、少なくとも5グラムであるべきである。サンプルをその重量の10倍の(±10%)蒸留水と十分に混練し、5分後、サンプルを絞って3分間内にpH試験される抽出物を得る。
【0058】
注記:全体的硬化度を減少させる第1ステップは、空気流量又は温度のようなオーブンパラメータを減少させることである。ただし、ライン終端(end of line:“EOL”)製品特性がこれを可能にすることを条件とする。しかしながら、オーブンパラメータを減少させても所望の硬化状態が達成されない場合、これに代えて、成形フード内における冷却剤又は他の液体調節を必要とする場合がある。
【0060】
以下の表は、種々のサンプルの硬化状態に応じて所与の状況で取られるべき幾つかの是正措置を記載している。
【0061】
プロセスの問題:内側バット中の明るいピンク色領域(硬化不足)
【0062】
プロセスの問題:内側頂部が硬化不足状態
【0063】
プロセスの問題:内側底部が硬化不足状態
【0065】
プロセスの問題:内側頂部が過硬化状態
【0066】
プロセスの問題:内側底部が過硬化状態
【0068】
プロセスの問題:全ての領域が硬化不足状態
【0069】
プロセスの問題:全ての領域が過硬化状態
【0070】
本発明の原理及び作用モードをその好ましい実施形態に関して説明すると共に図示した。しかしながら、本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく、具体的に説明すると共に図示した形態以外の形態で実施できることは理解されなければならない。