特許第5907577号(P5907577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907577
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】卓上機器の無段階角度調節機構
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20160412BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   H05K5/02 B
   G06F1/16 313F
   G06F1/16 313B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-145843(P2014-145843)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-25101(P2016-25101A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅樹
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−257562(JP,A)
【文献】 特開平06−310873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
F16M 11/06−11/14
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上機器の装置本体と、
前記装置本体に回動自在に枢支する面部及び前記面部中央に形成されたスリットを有する支脚と、
前記支脚とは別の位置の前記装置本体に回動自在に枢支されたスライド板と、
前記支脚と前記スライド板とを連結する連結部とを有し、
前記スライド板は、前記装置本体に回動自在に枢支する軸部材を上端部に備えると共に、係合用のステーを下端部に備え、
前記連結部は、それぞれ開口を有する一端と、前記支脚の面部の左右方向に離間した位置に配置される他端とを備えた2枚のストッパと、
前記支脚の前記スリットに嵌入するピンと、前記ピンと結合するジョイントによって構成され、
前記ピン及び前記ジョイントは、前記スリット、前記2枚のストッパの開口、及び前記スライド板の前記ステーを通して結合されており、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記支脚の面部の左右方向に離間した位置に沿って摺動させるように組み立てられ、これによって、前記装置本体の角度を無段階に調整できる卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項2】
前記支脚の面部は、前記支脚の面部の左右方向に離間して前記面部の端部から突出するように設けた一対のフレームを備え、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記一対のフレームの内側に沿って摺動させることを特徴とする請求項1に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項3】
前記2枚のストッパは、ストッパの幅より大きな幅を有する板バネを前記支脚と反対側に延出するようにストッパの下端に有する第1のストッパと、前記板バネの上面で当接可能となる切欠き部を下端に有する第2のストッパを備え、
前記板バネの上面が前記切欠き部の下端を押し上げるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項4】
前記一対のフレームは、前記支脚の左右方向にフレームを貫通する一対の二つの開口部を備え、
前記貫通する一対の二つの開口部は、第1の開口部を前記一対のフレームの縦方向の略中間位置に備え、第2の開口部を前記一対のフレームの下方に備え、
前記2枚のストッパの他端を前記第1の開口部と第2の開口部に嵌入させて固定することができることを特徴とする請求項2に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項5】
前記2枚のストッパを前記支脚の左右方向に広げた時に前記2枚のストッパの他端の両端の幅は、前記一対のフレームの内側の幅より長いことを特徴とする請求項2記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項6】
前記2枚のストッパの他端が前記一対の開口部に嵌入させて固定した状態では、
前記2枚のストッパが前記支脚の左右方向に水平となることを特徴とする請求項4記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項7】
前記一対のフレームの両側に設けた第1の開口部と第2の開口部の間は開口部のない側面を備え、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記開口部のない側面の内側に沿って摺動させることを特徴とする請求項4に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項8】
前記2枚のストッパの他端は、前記一対の開口部への収納や開口部からの離脱がスムーズになるように前記2枚のストッパの他端に丸みを帯びたR状端部を有するように形成ことを特徴とする請求項4に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【請求項9】
前記支脚の前記一対のフレームと下端を有するように前記面部と一体に構成する断面コの字型フレームを備えていることを特徴とする請求項2に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上機器における無段階角度調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、卓上機器の設置角度を変更する方法として、例えば、卓上機器の筐体の底部に回動自在に枢支されたスタンドと、このスタンドに回動自在に枢支されたアームとを備え、該アームに対する該スタンドの係合位置を変えることによって設置角度を2段階変更可能にした機構のものがある(特許文献1参照)。さらには、卓上機器に回転摩擦利用型ダンパを付設して、卓上機器の表示パネルの仰角を任意の所望の位置に無段階調節可能にした機構のものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4120424号公報
【特許文献2】特許第3681247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示す、設置角度が調節可能な卓上機器は、予め決められた角度に変更が可能になっている。即ち、設定角度は制限されている為、さらなる設定角度の選択肢を増やすには、スタンドの受け手側のアームにたくさん溝を設ける必要があるのでアームの構造が複雑になり製造コストが増大するという問題がある。また、特許文献1のようなスタンドとアームが接離自在に係合し合うような機構は、卓上機器の背面に据え付けられたスタンドを持ち上げて行う為、確実にスタンドがアームに嵌っているかの確認する場合、側面又は背面を見る場合もあるから作業は煩雑になる。
【0005】
特許文献2は、前述の問題点に鑑み所望の位置に無段階に設定角度を調節できるように改善されている。しかしながら、無段階の角度調節を可能にするために備えた回転摩擦利用型ダンパの構造が複雑である。例えば、特許文献2の図8は、内綸と外輪との相対運動に伴い回転トラックと該回転トラックの内側に配列された複数のロールとのころがり摩擦作用による制動力を利用する回転摩擦利用型ダンパを示している。このように、ダンパを使用した場合、複数のロール相互間隔を不定状態になるように、配列する必要が有り、また、所望の摩擦強度を得るためのロールの配列の精密な調節が難しい。このため、摩擦強度にバラツキが生じる可能性があるので、量産性が低くなる。さらには、ダンパ構造の卓上機器は、設置角度を変えるために幾度か動かすうちに回転摩擦力が弱くなるという欠点も有る。一旦、弱くなった回転摩擦力を所望の摩擦力に戻すためには、ロールを元の位置に戻すなど煩雑な作業が必要である。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するものである。具体的には、本発明の目的は、構造が簡素な卓上機器における無段階角度調節機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、卓上機器の装置本体と、前記装置本体に回動自在に枢支する面部及び前記面部中央に形成されたスリットを有する支脚と、前記支脚とは別の位置の前記装置本体に回動自在に枢支されたスライド板と、前記支脚と前記スライド板とを連結する連結部とを有し、前記スライド板は、前記装置本体に回動自在に枢支する軸部材を上端部に備えると共に、係合用のステーを下端部に備え、前記連結部は、それぞれ一端に開口を備えた2枚のストッパと、前記支脚の前記スリットに嵌入するピンと、前記ピンと結合するジョイントによって構成され、前記ピン及び前記ジョイントは、前記スリット、前記2枚のストッパの開口、及び前記スライド板の前記ステーを通して結合されており、前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記支脚に沿って摺動させるように組み立てられ、これによって、前記装置本体の角度を無段階に調整できる機構を構成する。
【0008】
また、前記支脚の面部は、前記支脚面部の左右方向に離間して前記面部の端部から突出するように設けた一対のフレームを備え、前記2枚のストッパは、ストッパの幅より大きな幅を有する板バネを前記支脚と反対側に延出するようにストッパの下端に有する第1のストッパと、前記板バネの上面で当接可能となる切欠き部を下端に有する第2のストッパを備え、前記板バネの上面が前記切欠き部の下端を押し上げるように構成されている状態において、前記本体装置の自重がスライド板と平行に下方へ掛かる時に、前記2枚のストッパの他端と前記一対のフレームの内側との間を付勢させて前記装置本体を所望の設定角度に固定する機構を構成する。
【0009】
また、前記板バネの上面が前記切欠き部の下端と当接してない状態においては、前記2枚のストッパの他端と前記一対のフレームの内側との間の付勢が解除する機構を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、卓上機器の本体装置を手前側に引き起すような動作によって容易に所望な位置で卓上機器の設置角度の調節が可能になる。つまり卓上機器の本体装置の背面に据え付けられた無段階角度調節機構を気にせずに手前側で容易に無段階に設置角度の調節が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る卓上機器における無段階角度調節機構の各部品の組み立て前と組立後の構成を示す斜視図である。(a)は、無段階角度調節機構の各部品の組み立て前の斜視図であり、(b)は、無段階角度調節機構の各部品の組み立て後の構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の無段階角度調節機構を有する卓上機器の構成部品の面部を有する支脚の拡大斜視図である。
図3図3は、本発明の無段階角度調節機構を有する卓上機器の構成部品の連結部の構成を示す拡大斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る卓上機器における無段階角度調節機構の構成及び動作の一部である卓上機器を上方に引き起こす動作をする前の状態を示す図であり、 (a)は、卓上機器の設定角度が最小の状態における側面図、(b)は、その状態を示す斜視図である。
図5】(a)は、卓上機器を上方に引き起こす動作を開始した状態における側面図、(b)は、その状態の斜視図である。
図6】(a)は、卓上機器を上方に引き起こして卓上機器を所望の設置角度で固定した状態における側面図、(b)は、その状態の斜視図である。
図7】(a)は、卓上機器を上方に引き起こして卓上機器の設置角度が最大となる状態における側面図、(b)は、その状態における斜視図である。
図8】(a)は、卓上機器を下方に押し戻す動作を開始した状態の側面図、(b)は、その状態の斜視図である。
図9】(a)は、卓上機器を下方に押し戻す動作の途中の状態を示す側面図、(b)は、その状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の無段階角度調節機構を卓上機器に適用した図示の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る卓上機器100における無段階角度調節機構の構成部品は、基本的に装置本体1、支脚2、及びスライド板7(図1(a)参照)と連結部(図3参照)によって構成されており、各部品が所定の位置で係合し合って、卓上機器の無段階角度調節機構を構成している。図1(a)では、矢印Z1方向が卓上機器の手前側で矢印Z2方向が卓上機器の後ろ側を示している。また、卓上機器を後ろ側から見て左側がX1方向で右側がX2方向を示している。卓上機器の一番手前側には、つまりZ1方向に装置本体1を備えている。装置本体1は、装置本体1の手前側から装置本体背面10に向かって後ろ側に延出するような縦長の直方体を形成している。装置本体1の底部には装置本体の底面13を有している。また、装置本体の底面13のZ2側のX1からX2方向に装置本体底面の一辺14を有する。図4以降で後述するが、装置本体底面の一辺14は、卓上機器100の設置角度を変更する時の基点となる。
【0014】
また、装置本体背面10は、上下に離間させて装置本体背面10から凸状に突出するように設けた二組のブラケットを備えている。なお、実施形態1では、二組のブラケットは、上側に第1のブラケット11、下側に第2のブラケット12を備え、さらにそれぞれのブラケットは、第1の円状開口部111と第2の円状開口部121を有しており、それぞれのブラケットに設けられた第1の円状開口部111や第2の円状開口部121に、後述する支脚2の小軸23やスライド板7の軸部材71の両端に一対に設けた延出部711と回動自在に枢支(即ち、回動)可能に連結されている。また、上記した第1のブラケット11及び第2のブラケット12は、装置本体背面10の左右方向(即ち、X1−X2方向)の両端よりやや内側に装置本体背面10と一体に設けられている。
【0015】
以下に、図1(a)と図2の面部を有する支脚2について説明する。
【0016】
支脚2は装置本体背面10と近接する位置に設けられ、装置本体1のブラケット12に回動自在に枢支する面部21及び面部中央に形成された縦長孔のスリット22を有している。支脚2の面部は、支脚2の面部の左右方向(X1−X2方向)に離間して面部の端部から突出するように設けた一対のフレーム24と下端27(図2)を有し、これらフレーム24及び下端27は面部21と一体に構成され、フレーム24は断面コの字型形状を備えている。下端27は、面部21側に平滑な上面271を有し、上面271の反対側に支脚2の底面272を備えている。
【0017】
X1−X2方向に離隔した配置された一対のフレーム24は、一対のフレーム24の上端に内側に突出するように設けた一対の小軸23と、一対のフレーム24の略中央に第1の開口部25と、一対のフレームと下端27と連接する一対のフレーム24の下端側に第2の開口部26を有し、第1の開口部25と第2の開口部26との間に側面部241を備えている。また、一対のフレーム24の内側側面に設けた一対の小軸23は、ブラケット12の外面で回動自在に枢支可能に連結される。
【0018】
スライド板7は、図1(a)に示す通り、装置本体背面10に設けられた第1のブラケット11と回動自在に枢支可能に連結する円筒状を有する軸部材71を上端部に備えると共に、後述する連結部(図3参照)と係合するための円筒形ステー74を下端部に備え、上端部と下端部を面で支えている面部72を中間に有している。軸部材71の両端は、スライド板7の左右方向の幅よりも外側に延出させた一対の延出部711を備え、一対の延出部711が、第1のブラケット11の第1の円状開口部121の内側に回動自在に枢支可能に連結されている。さらに、ステー74は、スライド板7の下端部の中央に下方に向かって突出するように、X1からX2方向に離間するように形成された2本の支承部73と、下端部とを有している。また、ステー74と2本の支承部73とスライド板7の下端部の間に隙間75が設けられている。
【0019】
以下に、図1(a)と図3を参照して、連結部101の構成を説明する。
【0020】
連結部101は、それぞれ一端に開口(32,42)を備えた2枚のストッパ(3,4)と、支脚のスリット22に嵌入するピン6と、ピン6と結合するジョイント5によって構成されている。また、ピン6及びジョイント5は、支脚のスリット22、2枚のストッパの開口(32,42)及びスライド板7のステー74を通して連結されており、ピン6及びジョイント5は、2枚のストッパ(3,4)を開口(32,42)の位置で回動自在に枢着可能に連結されている。また、本実施形態1においては、連結部101は、Z1からZ2方向に向かって、装置本体背面10側にピン6、支脚2のスリット22、第1のストッパ3、第2のストッパ4、ジョイント5の順番に配列するように構成されている。
【0021】
さらに、支脚2の面部21と対接するように第1のストッパ3と第2のストッパ4は組み立てられる。また、ピン6は、支脚のスリット22の幅よりも大径を有する円板61と円板61の中心には、円筒状の凸部62が一体に突設されている。ジョイント5の中心には、円筒状の凸部62と嵌入結合可能な円筒部材52が設けられ、円筒部材52の端部は、X1からX2方向に溝51を有する四角状の軸受けを構成し、溝51の上下に一対の平面部53を備えている。このように溝51と一対の平面部53を有する軸受けは、一対の平面部53の上側をステー7の隙間75の中に挿通させながら円筒形のステー74を溝51と嵌入結合させることができる。
【0022】
2枚のストッパは、Z1からZ2方向に厚みを有する板状のストッパである。図3に示すように、第1のストッパ3は、ストッパの厚みより大きな幅を有する板バネ33を有している。当該板バネ33は第1のストッパ3の下端に支脚2に対して反対側のZ2方向に延出している。一方、第2のストッパ4は、板バネ33の上面331で当接可能となる切欠き部43を下端431に有している。第1のストッパ3及び第2のストッパ4は、それぞれの一端(X1−X1方向の中央)に開口部(32,42)を備えている。
【0023】
なお、図3においては、板バネ33を有する第1のストッパ3の一端の下端に切欠き部を設けて、切欠き部を設けた第1のストッパ3の下端330と板バネ33上面が対接する位置に隙間332を有するように、板バネ33を第1のストッパ3に設けているが、板バネ33を第1のストッパ3の一端の下端330に接するように構成することもできる。
【0024】
さらに、板バネ33を切欠き部43の中に収めるために、板バネ33の下端から第1のストッパ3の下端330までのY1とY2方向の距離と第2のストッパ4の下端に有する切欠き部43のY2からY1方向の深さは、同じ長さを有している。
【0025】
また、第1のストッパ3と、第2のストッパ4のそれぞれの他端は、丸みを帯びたR状端部(34,44)を有するように形成されている。また、第1のストッパ3の一端は、Y1からY2方向に縦長の壁部35を備え、第2のストッパ4の一端は、他端に形成させたR状端部44より小径なR状端部45を備えている。
【0026】
つまり、上述した卓上機器における無段階角度調節機構の構成部品を組み立てると、図1(b)に示すような本体装置1の背面に無段階角度調節機構を有するように卓上機器100を組み立てることが可能になる。
【0027】
さらに、本発明の一実施形態に例示するピン6及びジョイント5は、支脚2のスリット22、第1のストッパ3の開口32、第2のストッパ4の開口42及びスライド板7のステー74を通して結合されているので、ジョイント5を支脚のスリット22に沿って移動させた場合、第1のストッパ3と第2のストッパ4の他端を支脚2の一対のフレームの内側241に沿って摺動させるように組み立てることができる。即ち、これらの機構を装置本体の背面に設けることにより、本体装置1をZ1方向に引き起こす動作又はZ2方向に押し戻す動作をすると、第1のストッパ3と第2のストッパ4の他端を支脚の一対のフレームの内側241に沿って摺動させるように動作させることが可能になる。
【0028】
次に、図4図9を用いて、本実施形態1の無段階角度調節機構を有する卓上機器の設置角度調節ついて詳細に説明する。
【0029】
卓上機器100が水平面を有する台座102に置かれた状態で装置本体底面の一辺14を基点に装置本体1をZ1方向に引き起こすと、図4図7のように装置本体の底面13と支脚2の断面コの字型フレームの下端の底面272が台座102と当接した状態でだんだんに人字状に起立した状態になる。
【0030】
また、卓上機器100が水平面を有する台座102に設置した状態で装置本体1をZ2方向に押し戻すと、図8図9のように装置本体の底面13と断面コの字型フレームの下端の底面272が台座102と当接するように起立した人字状からだんだんに俯せさせた状態になる。なお、本実施形態1においては、装置本体底面の一辺14を基点に台座102と装置本体1によって構成する角度をθと呼ぶ。つまり角度θは、卓上機器100の設置角度を表す。
【0031】
図4は、卓上機器の設定角度が最小値となるθminの状態を示す。この状態で、卓上機器に備える2枚のストッパは、卓上機器の左右方向と水平になるように支脚2の断面コの字型フレームの下端に設けられた開口部26の内側で第1のストッパ3と第2のストッパ4のそれぞれの他端(34,44)が、接するように固定されている状態を示している。また、この状態において、第1のストッパ3と第2のストッパ4の下端が支脚2の断面コの字型フレームの下端の上面271に当接している。
【0032】
図5は、卓上機器100を装置本体底面の一辺14を基点に上方に引き起こす動作を開始した状態を示す。この状態においてジョイント5は、支脚のスリット22に沿って上方に移動を始め、同時に、第1のストッパ3と第2のストッパ4は、ジョイント5を中心にハの字状(図5(b)参照)に変形しながら第1のストッパ3の他端34と第2のストッパ4の他端44が第2の開口部26から離脱する。また、この状態では、板バネ33の上面331が切欠き部43の下端431を押し上げている。さらに、支脚の下端部の底面272は、矢印のZ1方向に装置本体底面の一辺14に向かうように動作する。
【0033】
図6は、卓上機器100を装置本体底面の一辺14を基点に上方に引き起こして所望の設置角度θで固定した状態を示す。まず、本体装置1をZ1方向に卓上機器100が所望な設置角度θまで引き起こすと、本体装置の背面に設けられた、板バネ33の上面331が切欠き部43の下端431を押し上げた状態になる。つまり、第1のストッパ3と第2のストッパ4は、ジョイント5を中心にハの字状に変形しながら第1のストッパ3の他端34と第2のストッパ4の他端が支脚2の断面コの字型フレームの一対のフレームの内側241と付勢するようになり、最後にスライド板7と平行にA方向に本体装置1の自重がかかるような状態にすると、設置角度θで卓上機器100を固定させることができる。この状態では、図5に示した支脚の下端部の底面272の位置よりも、装置本体底面の一辺14に対してさらに矢印のZ1方向に接近する。
【0034】
図7は、卓上機器100を装置本体底面の一辺14を基点に上方に引き起こして卓上機器の設置角度が最大値のθmaxとなる状態を示し、卓上機器に備える第1のストッパ3と第2のストッパ4は、X1からX2方向に装置本体1の左右方向と水平になるように支脚2の断面コの字型フレームの略中央に設けられた開口部25の内側で第1のストッパ3と第2のストッパ4のそれぞれの他端(34,44)が、接するように固定されている状態を示している。この状態において、装置本体底面の一辺14と支脚の下端部の底面272との距離が最小になる。
【0035】
つまり、図4図7に示すように、実施形態1に示す本発明の無段階角度調節機構を有する卓上機器100は、開口26から開口25との間で無段階に卓上機器100の設置角度を調節することができる。
【0036】
図8は、卓上機器100をZ2方向に本体装置1を装置本体底面の一辺14を基点に下方に押し戻して、設置角度θmaxから設置角度θminに戻す動作を開始した状態を示している。この状態において、ジョイント5は、支脚のスリット22に沿って下方に移動を始め、同時に、第1のストッパ3と第2のストッパ4は、ジョイント5を中心にVの字状に変形しながら第1のストッパ3の他端34と第2のストッパ4の他端44が第1の開口部25から離脱する。さらに、支脚の下端部の底面272は、矢印のZ2方向に装置本体底面の一辺14と離れるように動作する。
【0037】
図9は、卓上機器100をZ2方向に本体装置1を下方に押し戻す動作の途中の状態を示す。この状態では、板バネ33の上面331は、切欠き部43の下端431と当接しないような状態になるので、第1のストッパ3の他端34及び第2のストッパ4の他端44と支脚2の断面コの字型フレームの一対のフレームの内側の側面241との付勢が解除されて状態になり、設置角度θminになる位置まで押し戻すと動作が停止する。つまり、設置角度θminが、卓上機器100の最も低い設置角度となり、またその位置が一番低く固定できる位置となる。さらに支脚の下端部の底面272の位置と装置本体底面の一辺14との距離が最大になる。そして設置角度θmaxが、卓上機器100の最も高い設置角度となり、またその位置が一番高く固定できる位置となる。
【0038】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0039】
例えば、支脚2の面部21は、支脚2の面部21の左右方向に離間して面部21の端部から突出するように設けた一対のフレームの内側241に摩擦力を高めるゴム材を貼設しジョイント5を支脚のスリット部22に沿って移動させた場合、2枚のストッパの他端をゴム材を貼設した一対のフレーム内側に沿って摺動させるように組み立てられることもできる。また、連結部101の構造も、図示されたジョイント5とピン6とによる連結に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、POS端末、電話機、電子計算機、パーソナルコンピュータのキーボード等のような設置角度の設定を有する卓上機器に適用できる。
【0041】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0042】
(付記1)
卓上機器の装置本体(1)と、
前記装置本体に回動自在に枢支する面部及び前記面部中央に形成されたスリットを有する支脚(2)と、
前記支脚とは別の位置の前記装置本体に回動自在に枢支されたスライド板(7)と、
前記支脚と前記スライド板とを連結する連結部とを有し、
前記スライド板は、前記装置本体に回動自在に枢支する軸部材を上端部に備えると共に、係合用のステーを下端部に備え、
前記連結部は、それぞれ一端に開口を備えた2枚のストッパ(3,4)と、
前記支脚の前記スリットに嵌入するピン(6)と、 前記ピンと結合するジョイント(5)によって構成され、
前記ピン及び前記ジョイントは、前記スリット、前記2枚のストッパの開口、及び前記スライド板の前記ステーを通して結合されており、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記支脚に沿って摺動させるように組み立てられ、これによって、前記装置本体の角度を無段階に調整できる卓上機器の無段階角度調節機構。
【0043】
(付記2)
前記支脚の面部は、前記支脚の面部の左右方向に離間して前記面部の端部から突出するように設けた一対のフレームを備え、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記一対のフレームの内側に沿って摺動させることを特徴とする付記1に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0044】
(付記3)
前記2枚のストッパは、ストッパの幅より大きな幅を有する板バネを前記支脚と反対側に延出するようにストッパの下端に有する第1のストッパと、前記板バネの上面で当接可能となる切欠き部を下端に有する第2のストッパを備え、
前記板バネの上面が前記切欠き部の下端を押し上げるように構成されていることを特徴とする付記2に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0045】
(付記4)
前記板バネの上面が前記切欠き部の下端を押し上げるように構成されている状態において、前記本体装置の自重がスライド板と平行に下方へ掛かる時に、前記2枚のストッパの他端と前記一対のフレームの内側との間を付勢させながら固定することができることを特徴とする付記3に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0046】
(付記5)
前記板バネの上面が前記切欠き部の下端と当接してない状態においては、前記2枚のストッパの他端と前記一対のフレームの内側との間の付勢が解除することを特徴とする付記3に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0047】
(付記6)
前記一対のフレームは、前記支脚の左右方向にフレームを貫通する一対の二つの開口部を備え、
前記貫通する一対の二つの開口部は、第1の開口部を前記一対のフレームの縦方向の略中間位置に備え、第2の開口部を前記一対のフレームの下方に備え、
前記2枚のストッパの他端を前記第1の開口部と第2の開口部に嵌入させて固定することができることを特徴とする付記2に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0048】
(付記7)
前記2枚のストッパの他端が、前記第1の開口部に固定された場合は、卓上機器の設置角度が最大となり、
前記2枚のストッパの他端が、前記第2の開口部に固定された場合は、卓上機器の設置角度が最小となることを特徴とする付記6に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0049】
(付記8)
前記2枚のストッパを前記支脚の左右方向に広げた時に前記2枚のストッパの他端の両端の幅は、前記一対のフレームの内側の幅より長いことを特徴とする付記2記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0050】
(付記9)
前記2枚のストッパの他端が前記一対の開口部に嵌入させて固定した状態では、
前記2枚のストッパが前記支脚の左右方向に水平となることを特徴とする付記6記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0051】
(付記10)
前記一対のフレームの両側に設けた第1の開口部と第2の開口部の間は開口部のない側面を備え、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記開口部のない側面の内側に沿って摺動させることを特徴とする付記6に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0052】
(付記11)
前記2枚のストッパの他端は、前記一対の開口部への収納や開口部からの離脱がスムーズになるように前記2枚のストッパの他端に丸みを帯びたR状端部を有するように形成ことを特徴とする付記6に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0053】
(付記12)
前記支脚の前記一対のフレームと下端を有するように前記面部と一体に構成する断面コの字型フレームを備えていることを特徴とする付記1に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0054】
(付記13)
前記卓上機器は、水平面を有する台座に設置した状態で前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、
前記装置本体の底面と前記コの字型フレームの下端の底面側が前記台座と当接するように人字状に立設することを特徴とする付記12に記載の卓上機器の無段階角度調節機構。
【0055】
(付記14)
前記支脚の面部は、前記支脚の面部の左右方向に離間して前記面部の端部から突出するように設けた一対のフレーム内側に摩擦力を高めるゴム材を貼設し、
前記ジョイントを前記スリットに沿って移動させた場合、前記2枚のストッパの他端を前記ゴム材を内側に貼設した一対のフレーム内側に沿って摺動させるように組み立てられることを特徴とする卓上機器の無段階角度調節機構。
【符号の説明】
【0056】
1 装置本体
2 支脚
3 第1のストッパ
4 第2のストッパ
5 ジョイント
6 ピン
7 スライド板
10 装置本体背面
11 第1のブラケット
12 第2のブラケット
13 装置本体底面
14 装置本体底面の一辺
21 支脚の面部
22 支脚のスリット部
23 支脚の一対の小軸
24 支脚の一対のフレーム
25 支脚の第1の開口部
26 支脚の第2の開口部
27 支脚の下端部
32 第1のストッパの開口部
33 板バネ
34 R状端部
35 壁部
42 第2のストッパの開口部
43 第2のストッパの切欠き部
44 R状端部
45 小径R状端部
51 溝
52 円筒部材
53 一対の平面部
61 円板
62 凸部
71 軸部材
72 スライド板の面部
73 一対の支承部
74 ステー
75 隙間
100 卓上機器
101 連結部
102 台座
111 第1の円状開口部
121 第2の円状開口部
241 支脚の一対のフレームの内側
271 支脚の下端部の上面
272 支脚の下端部の底面
330 第1のストッパの一端側の下端
331 板バネの上面
332 隙間
431 第2のストッパの一端側の下端
711 軸部材の延出部
X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2 方向
θ 設置角度
θmin 設置角度の最小値
θmax 設置角度の最大値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9