特許第5907584号(P5907584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907584
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】止着タイプ使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20160412BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   A41B13/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-214747(P2010-214747)
(22)【出願日】2010年9月27日
(65)【公開番号】特開2012-65935(P2012-65935A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年8月29日
【審判番号】不服2015-771(P2015-771/J1)
【審判請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】越智 美幸
【合議体】
【審判長】 栗林 敏彦
【審判官】 渡邊 豊英
【審判官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−160843(JP,A)
【文献】 特開平11−276523(JP,A)
【文献】 特開2002−330994(JP,A)
【文献】 特表2005−514111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15,A61F 13/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股間部と、股間部の前側に延在する腹側部分と、股間部の後側に延在する背側部分とを有し、
腹側部分から背側部分にかけて幅方向中央に沿って延在する吸収体と、この吸収体の表側を覆う液透過性のトップシートと、前記吸収体の裏側を覆うバックシートとを有し、
腹側部分から背側部分にかけて前記吸収体の両側にそれぞれ延出する部分である左右一対のサイドフラップ部と、背側部分の左右のサイドフラップ部にそれぞれ設けられた、当該サイドフラップ部の側縁から幅方向外側に突出するファスニングテープと、このファスニングテープにおける前記サイドフラップ部から突出する先端側部分に設けられた、腹側部分の外面に対して係止される係止部とを有し、
装着に際して、背側部分のサイドフラップ部を腹側部分のサイドフラップ部の外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側部分の外面に係止する、テープタイプ使い捨ておむつであって、
前記バックシートの両側縁は前記トップシートの両側縁よりも幅方向外側であって、かつ前記サイドフラップ部の幅方向中間にそれぞれ位置しており、
前記背側部分から前記腹側部分にわたる前後方向中間領域の両サイドフラップ部の側縁に、脚周りに沿うように前記バックシートの側縁よりも幅方向外側に離間した位置まで括れた脚周り縁を有し、
前記腹側部分における前記ファスニングテープの係止部の係止箇所は、前記脚周り縁の括れの幅方向範囲よりも幅方向中央側に位置しており、
前記サイドフラップ部のうち、前後方向において前記腹側部分における脚周り縁の縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向において前記バックシートの側縁からおむつの側縁までを含む領域が、縦方向及び横方向に1.5〜3倍伸長する伸縮不織布のみからなる腹側脚周り弾性伸縮領域とされ
前記サイドフラップ部のうち、前後方向において前記背側部分における脚周り縁の縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向において前記バックシートの側縁からおむつの側縁までを含む領域が、伸縮不織布からなる背側脚周り弾性伸縮領域とされ、
前記サイドフラップ部のうち、前記腹側脚周り弾性伸縮領域内又はその近傍から前記背側脚周り弾性伸縮領域内又はその近傍までの領域が、細長状弾性伸縮部材が前後方向に沿って伸長状態で固定された中間部弾性伸縮領域とされ、

前記中間部弾性伸縮領域の内面側に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部とを有し、延出部の前後端部が起立しない固定部とされ、この前後の固定部間は起立するように非固定の自由部とされ、この自由部に細長状弾性伸縮部材が前後方向に沿って伸長状態で固定されて形成され、前記中間部弾性伸縮領域の前後方向範囲内に収まる立体ギャザーを備え、
前記腹側脚周り弾性伸縮領域及び背側脚周り弾性伸縮領域が、それぞれ前記立体ギャザーの前側及び後側まで、おむつの幅方向中央側に延在している、
ことを特徴とする止着タイプ使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着タイプ使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
止着タイプ使い捨ておむつの代表例であるテープタイプ使い捨ておむつは、背側の両側部にファスニングテープがそれぞれ設けられるとともに、腹側外面にターゲットテープが設けられており、ファスニングテープをターゲットテープに係止することで装着を行うものである。
このようなテープタイプ使い捨ておむつにおいては、脚周りのフィット性を向上させるために、両側部に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を前後方向に沿って取り付けることが行われている(例えば特許文献1参照)。
また、この両側部の弾性伸縮部材を脚周りに沿うように湾曲させて取り付けることも行われている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−154928号公報
【特許文献2】特開2010−022588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の止着タイプ使い捨ておむつにおいては、装着後ある程度時間が経過したり、サイズが適正より小さいものであったりすると、図9及び図10に丸で囲んで示すように、脚周りのフィット性が低いことにより、脚周り部分Nが装着者の鼠蹊線や臀部に食い込み、装着感が悪化したり、腹側部分又は背側部分が幅方向に縮んだ状態になり、横漏れし易くなったりするといった問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、止着タイプ使い捨ておむつにおける脚周りのフィット性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
股間部と、股間部の前側に延在する腹側部分と、股間部の後側に延在する背側部分とを有し、
腹側部分から背側部分にかけて幅方向中央に沿って延在する吸収体と、この吸収体の表側を覆う液透過性のトップシートと、前記吸収体の裏側を覆うバックシートとを有し、
腹側部分から背側部分にかけて前記吸収体の両側にそれぞれ延出する部分である左右一対のサイドフラップ部と、背側部分の左右のサイドフラップ部にそれぞれ設けられた、当該サイドフラップ部の側縁から幅方向外側に突出するファスニングテープと、このファスニングテープにおける前記サイドフラップ部から突出する先端側部分に設けられた、腹側部分の外面に対して係止される係止部とを有し、
装着に際して、背側部分のサイドフラップ部を腹側部分のサイドフラップ部の外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側部分の外面に係止する、テープタイプ使い捨ておむつであって、
前記バックシートの両側縁は前記トップシートの両側縁よりも幅方向外側であって、かつ前記サイドフラップ部の幅方向中間にそれぞれ位置しており、
前記背側部分から前記腹側部分にわたる前後方向中間領域の両サイドフラップ部の側縁に、脚周りに沿うように前記バックシートの側縁よりも幅方向外側に離間した位置まで括れた脚周り縁を有し、
前記腹側部分における前記ファスニングテープの係止部の係止箇所は、前記脚周り縁の括れの幅方向範囲よりも幅方向中央側に位置しており、
前記サイドフラップ部のうち、前後方向において前記腹側部分における脚周り縁の縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向において前記バックシートの側縁からおむつの側縁までを含む領域が、縦方向及び横方向に1.5〜3倍伸長する伸縮不織布のみからなる腹側脚周り弾性伸縮領域とされ
前記サイドフラップ部のうち、前後方向において前記背側部分における脚周り縁の縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向において前記バックシートの側縁からおむつの側縁までを含む領域が、伸縮不織布からなる背側脚周り弾性伸縮領域とされ、
前記サイドフラップ部のうち、前記腹側脚周り弾性伸縮領域内又はその近傍から前記背側脚周り弾性伸縮領域内又はその近傍までの領域が、細長状弾性伸縮部材が前後方向に沿って伸長状態で固定された中間部弾性伸縮領域とされ、
前記中間部弾性伸縮領域の内面側に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部とを有し、延出部の前後端部が起立しない固定部とされ、この前後の固定部間は起立するように非固定の自由部とされ、この自由部に細長状弾性伸縮部材が前後方向に沿って伸長状態で固定されて形成され、前記中間部弾性伸縮領域の前後方向範囲内に収まる立体ギャザーを備え、
前記腹側脚周り弾性伸縮領域及び背側脚周り弾性伸縮領域が、それぞれ前記立体ギャザーの前側及び後側まで、おむつの幅方向中央側に延在している、
ことを特徴とする止着タイプ使い捨ておむつ。
【0006】
(作用効果)
このように伸縮不織布からなる腹側脚周り弾性伸縮領域を設けることによって、脚周り縁が幅方向だけでなく、縦方向や斜め方向等、あらゆる方向に弾性伸縮し、脚周りのフィット性が顕著に向上する。その結果、止着タイプにありがちな装着者の鼠蹊線への食い込み、及びそれによる装着感の悪化、あるいは腹側部分の幅方向収縮による横漏れ等の問題を効果的に抑制することができる。
【0008】
(作用効果)
このように、サイドフラップ部を前後方向に3つの領域に分割し、腹側脚周り弾性伸縮領域、背側脚周り弾性伸縮領域、及びこれらを繋ぐ中間部弾性伸縮領域を設けることで、伸縮不織布の使用量を抑えながら、脚周りの全体に対するフィット性を向上することができる。
【0010】
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、内面の左右両側にいわゆる立体ギャザーを設けることが一般的となっている。立体ギャザーはおむつの前後方向全体にわたり設けられることが一般的であるが、立体ギャザーを中間部弾性伸縮領域の前後方向範囲内に収まるように短縮し、空いた部分(立体ギャザーの前側及び後側)まで、腹側脚周り弾性伸縮領域及び背側脚周り弾性伸縮領域を幅方向中央側に延在させることで、全方向に伸縮してフィットする伸縮不織布の領域を拡大することができ、脚周りに対するフィット性がより一層のものとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、本発明によれば、止着タイプ使い捨ておむつにおける脚周りのフィット性が向上する、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】止着タイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図2】止着タイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図3図1の6−6線断面図である。
図4図1の7−7線断面図である。
図5図1の8−8線断面図である。
図6図1の9−9線断面図である。
図7】本発明に係る止着タイプ使い捨ておむつのサンプルをダミー人形に履かせた状態の写真である。
図8】本発明に係る止着タイプ使い捨ておむつのサンプルをダミー人形に履かせた状態の写真である。
図9】従来の止着タイプ使い捨ておむつのサンプルをダミー人形に履かせた状態の写真である。
図10】従来の止着タイプ使い捨ておむつのサンプルをダミー人形に履かせた状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
【0014】
図1図6はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図3及び図4は、図1における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図5及び図6は、図1における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。このテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向中央に位置する股間部バックシートと、股間部バックシートの前側に延在する腹側部分Fと、股間部バックシートの後側に延在する背側部分Bとを有しており、腹側部分Fから背側部分Bにかけて吸収体56が幅方向中央に沿って延在するとともに、この吸収体56の表側を覆う液透過性のトップシート30と、吸収体56の裏側を覆うバックシート11とが設けられている。また、吸収体56の前側及び後側にそれぞれ延出する腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEと、腹側部分Fから背側部分Bにかけて吸収体56の両側にそれぞれ延出する左右一対のサイドフラップ部SF,SFとを有しており、サイドフラップ部SFにおける前後方向中間領域の側縁には、脚周りに沿うように括れた脚周り縁Nが形成されており、背側部分Bにおけるサイドフラップ部SF,SFには、腹側部分Fの外面に対して係止される係止部としてのファスニングテープ13が設けられている。
【0015】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部F,Fの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側にバックシート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこのバックシート11の内面側に、吸収体56を包装シート58で包んでなる吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30およびバックシート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、バックシート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。またバックシート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されており、その両側縁はトップシート30の両側縁よりも幅方向外側であって、かつサイドフラップ部SFの幅方向中間にそれぞれ位置している。
【0016】
外装シート12は、腹側部分Fにおける脚周り縁Nの縦方向中間位置からウエスト縁までの第1前後方向領域81、背側部分Bにおける脚周り縁Nの縦方向中間位置からウエスト縁までの第2前後方向領域82、及びこれらの間の第3前後方向領域83の3領域に分割されており、第1前後方向領域81及び第2前後方向領域82をなす伸縮不織布12F,12Bと、第3前後方向領域83をなす非伸縮不織布12Cとを継ぎ合わせて形成している。
【0017】
サイドフラップ部SFは、第1前後方向領域81及び第2前後方向領域82では伸縮不織布12F,12Bを内側に折り返して二重にして形成し、第3前後方向領域83ではその幅方向全体にわたり立体ギャザー60の基端部を張り合わせて形成している。
【0018】
そして、このような構造とすることにより、サイドフラップ部SFのうち、前後方向において腹側部分Fにおける脚周り縁Nの縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向においてバックシート11の側縁からおむつの側縁までを含む領域が、伸縮不織布12Fからなる腹側脚周り弾性伸縮領域91とされ、背側部分Bにおける脚周り縁Nの縦方向中間位置からウエスト縁まで、かつ幅方向においてバックシート11の側縁からおむつの側縁までを含む領域が、伸縮不織布12Bからなる背側脚周り弾性伸縮領域92とされている。伸縮不織布からなる腹側脚周り弾性伸縮領域91及び背側脚周り弾性伸縮領域92を設けることによって、図7及び図8に示すように、脚周り縁Nが幅方向だけでなく、縦方向や斜め方向等、あらゆる方向に弾性伸縮し、脚周りのフィット性が顕著に向上する。その結果、止着タイプにありがちな装着者の鼠蹊線や臀部への食い込み、及びそれによる装着感の悪化、あるいは腹側部分F及び背側部分Bの幅方向収縮による横漏れ等の問題を効果的に抑制することができる。
【0019】
伸縮不織布12F,12Bからなる腹側脚周り弾性伸縮領域91及び背側脚周り弾性伸縮領域92は、背側については非伸縮不織布で形成しても良く、その場合、第3前後方向領域83及び第2前後方向領域82を一体の不織布で形成することができる。また、図示例では、伸縮不織布12F,12Bが幅方向全体にわたり設けられており、その結果としてバックシート11と重なる非伸縮の部分にまで伸縮不織布12F,12Bが存在しているが、バックシート11と重なる部分については、非伸縮不織布を設ける又は何も設けずにバックシート11を露出する等して、バックシート11の両側にのみ伸縮不織布12F,12Bを設けても良い。
【0020】
以下、各部の素材等について更に説明する。
(外装シート)
外装シート12は、トップシート30からバックシート11までの本体部分を支持し、着用者に装着するための部分であり、前述のとおり、伸縮不織布及び非伸縮不織布を前後方向に継ぎ合わせて形成したものである。
【0021】
第1前後方向領域及び第2前後方向領域を形成する伸縮不織布としては、縦方向及び横方向に1.5〜3倍伸長するものが用いられ、縦方向引張強さ及び横方向引張強さ(幅40mmの試料を非伸長状態から縦方向又は横方向に2倍の長さまで300mm/minの伸長速度で伸長した時の引張強さ)が2〜6N/40mm程度のものが好ましい。また、伸縮不織布の繊維目付は20〜100g/m2程度のものが好ましく、厚みは1mm以下であるのが好ましい。不織布の製法は特に限定されないが、エアスルー法、スパンボンド法、スパンレース法によるものが好ましい。伸縮不織布は一枚で使用する他、複数枚張り合わせて使用することもできる。
【0022】
第3前後方向領域を形成する非伸縮不織布としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等により形成した公知の不織布を用いることができ、その繊維目付けは8〜30g/m2、特に10〜20g/m2程度とするのが好ましい。特に、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。非伸縮不織布は一枚で使用する他、複数枚張り合わせて使用することもできる。
【0023】
(バックシート)
バックシート11の素材は、液不透過性である限り特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とでバックシート11が構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、バックシート11として用いることができる。
【0024】
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0025】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0026】
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートともいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
【0027】
中間シート40としては、嵩の高い不織布や、孔開き樹脂フィルム等、公知の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合には、ホットメルト接着剤の他、ヒートエンボスや超音波溶着を用いることもできる。
【0028】
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよく、要はバックシート11より幅が狭ければ良い。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0029】
(立体ギャザー)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
【0030】
この立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0031】
ギャザーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、バックシート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されて、吸収体56の側方に延出するサイドフラップ部SFの一部をなしている。
【0032】
脚周りにおいては、立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0033】
図示形態と異なり、ギャザーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
【0034】
特に図示例では、ギャザーシート62の固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる細長状弾性伸縮部材64が前後方向に沿って伸長状態で挟持固定されており、この細長状弾性伸縮部材64によって、サイドフラップ部SFのうち腹側脚周り弾性伸縮領域91内又はその近傍から背側脚周り弾性伸縮領域92内又はその近傍までの領域が中間部弾性伸縮領域93とされている。このように、サイドフラップ部SFを前後方向に3つの領域に分割し、腹側脚周り弾性伸縮領域91、背側脚周り弾性伸縮領域92、及びこれらを繋ぐ中間部弾性伸縮領域93を設けることで、伸縮不織布12F,12Bの使用量を抑えながら、脚周りの全体に対するフィット性を向上することができる。
【0035】
また、図示例では、立体ギャザー60は、中間部弾性伸縮領域93の前後方向範囲内(つまり、腹側脚周り弾性伸縮領域91と背側脚周り弾性伸縮領域92との間)に収まるように、前後長がおむつの全長より短い構造とされており、腹側脚周り弾性伸縮領域91及び背側脚周り弾性伸縮領域92が、それぞれ立体ギャザー60の前側及び後側まで、幅方向中央側に延在している。このように、立体ギャザー60を中間部弾性伸縮領域93の前後方向範囲内に収まるように短縮し、空いた部分(立体ギャザー60の前側及び後側)まで、腹側脚周り弾性伸縮領域91及び背側脚周り弾性伸縮領域92を幅方向中央側に延在させることで、全方向に伸縮してフィットする伸縮不織布12F,12Bの領域を幅方向中央側に拡大することができ、脚周りに対するフィット性がより一層のものとなる。
【0036】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介してバックシート11の内面に接着することができる。
【0037】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0038】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
【0039】
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
【0040】
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0041】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0042】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0043】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0044】
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどのバックシートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどのバックシートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0045】
(ファスニングテープ)
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材13Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材13Aが設けられている。フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
【0046】
乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ13の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ13の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
【0047】
おむつの装着に際しては、背側部分Bのサイドフラップ部Fを腹側部分Fのサイドフラップ部Fの外側に重ねた状態で、ファスニングテープ13を腹側部分外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
【0048】
ファスニングテープ13は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ13の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0049】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲットを有するターゲットシート74を設けるのが好ましい。ターゲットシート74は、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。
【0050】
また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート74を省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、外装シート12の係止面に起毛処理、エンボス加工、スリットや開孔を形成する加工などを施して、フック材13Aが良好に係止するように構成すると良い。特に、外装シート12におけるフック材の係止部位が伸縮不織布からなる場合にはエンボス加工のように強度も向上する加工が好ましい。また、このようにフック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止する場合、ターゲットシート74を外装シート12とバックシート11との間に設けて、係止位置をターゲットシート74により視認できるようにしてもよい。
【0051】
また、図示例のように、ターゲットシート74の張り付け面が伸縮不織布12Fである場合、ターゲットシート74の固定強度を確保し難いため、接着剤の量を増加する、ヒートシール等の溶着手段を使用する等により、ターゲットシート74を伸縮不織布12Fだけでなく、その内側の部材、つまり図示例ではバックシート11に対して直接的に固定するのが好ましい。
【0052】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。
【0053】
また、背側伸縮シート70の両端部は左右の背側脚周り弾性伸縮領域92と重なる部位又はその近傍まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。
【0054】
また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部BEと吸収体56の境界線と重なるように配置されていると、吸収体56の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸長率(自然長を100%としたときの値を意味する)は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0055】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収体56を横断するように配置すると、吸収体56のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収体56の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0056】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0057】
背側伸縮シート70は、図示形態では、バックシート11の幅方向両側では伸縮不織布12B間に挟まれ、且つバックシート11と重なる部位では、バックシート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、バックシート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、また表面シート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、止着タイプ使い捨ておむつに利用可能なものである。
【符号の説明】
【0059】
11…バックシート、12…外装シート、12F,12B…伸縮不織布、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、70…背側伸縮シート、74…ターゲットシート、91…腹側脚周り弾性伸縮領域、92…背側脚周り弾性伸縮領域、93…中間部弾性伸縮領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10