(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の給水予熱システムによれば、蓄熱量をできる限り多くするために、予め想定される給水量に耐え得る比較的大容量の蓄熱槽を採用するとともに、蓄熱槽内の温度を給水温度に比べて高温(60度〜83度)に保つのが一般的である。
【0005】
しかしながら、上記の理由により、大容量の蓄熱槽を採用すると、給水予熱システムの設置コストが上昇するばかりか設置スペースが大きくなってしまうという課題がある。また、蓄熱槽が高温となることから、こうした高温に耐え得る蓄熱槽を採用することも設置コストが上昇する一つの要因となっている。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、比較的小さな蓄熱槽において、特に30〜60度程度の低温であっても、効率的に給水予熱を行うことが可能な給水予熱システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の給水予熱システムは、太陽熱集熱器と、前記太陽熱集熱器の集熱作用によって加温された第1の熱媒が循環する第1熱媒循環路と、前記第1熱媒循環路に接続された集熱用熱交換器と、前記集熱用熱交換器に接続され、前記第1の熱媒との間で熱交換される第2の熱媒が循環する第2熱媒循環路と、前記第2熱媒循環路に接続され、前記第1の熱媒との熱交換により加温された前記第2の熱媒が貯留される蓄熱槽と、前記第2熱媒循環路に接続され、前記蓄熱槽の上流から下流へと前記第2の熱媒をバイパスするバイパス路と、前記第2熱媒循環路に
おける前記蓄熱槽および前記バイパス路の下流側に接続され、
該蓄熱槽または
該バイパス路から導かれる第2の熱媒と、給水源から供給される給水との間で熱交換可能な給水予熱用熱交換器と、前記バイパス路と前記第2熱媒循環路との接続部に設けられ、前記集熱用熱交換器と前記給水予熱用熱交換器との間で前記バイパス路を介して第2の熱媒が循環する直接給水予熱経路、または、前記集熱用熱交換器と前記給水予熱用熱交換器との間で前記蓄熱槽を介して第2の熱媒が循環する間接給水予熱経路に切り換え可能な切換弁と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記蓄熱槽はスプリンクラーヘッドに接続された消火用補給水槽であるとよい。
【0009】
また、給水を予熱する給水予熱の要求有無を検知する給水予熱要求検知手段と、前記蓄熱槽の温度を検知する蓄熱槽温度検知手段と、前記集熱用熱交換器で第1の熱媒と熱交換された後の第2の熱媒の温度を検知する第2熱媒温度検知手段と、前記切換弁を切り換え制御する切換弁制御手段と、を備え、前記切換弁制御手段は、少なくとも前記給水予熱要求検知手段によって検知された給水予熱の要求有無と、前記蓄熱槽温度検知手段によって検知された前記蓄熱槽の温度と、前記第2熱媒温度検知手段によって検知された第2の熱媒の温度とに基づいて、前記切換弁を制御して前記第2の熱媒の循環経路を前記直接給水予熱経路または前記間接給水予熱経路にするとよい。
【0010】
また、前記切換弁制御手段は、前記蓄熱槽の温度が予め設定された温度であり、給水予熱の要求がある場合に、前記切換弁を制御して前記第2の熱媒の循環経路を前記間接給水予熱経路にするとよい。
【0011】
また、前記切換弁制御手段は、前記蓄熱槽の温度が予め設定された温度よりも低く、給水予熱の要求がない場合に、前記切換弁を制御して前記第2の熱媒の循環経路を前記間接給水予熱経路にするとよい。
【0012】
また、前記切換弁制御手段は、前記蓄熱槽の温度が予め設定された温度よりも低く、給水予熱の要求があり、かつ、前記第2の熱媒の温度が前記蓄熱槽の温度よりも高い場合に、前記切換弁を制御して前記第2の熱媒の循環経路を前記直接給水予熱経路にするとよい。
【0013】
また、前記第1熱媒循環路内で第1の熱媒を循環させる第1ポンプと、前記第2熱媒循環路内で第2の熱媒を循環させる第2ポンプと、第1ポンプおよび第2ポンプを駆動制御するポンプ制御手段と、を備え、前記ポンプ制御手段は、前記蓄熱槽の温度が予め設定された温度以上であり、給水予熱の要求がある場合に、集熱がなく前記第1ポンプの駆動を停止している場合でも、前記第2ポンプのみを駆動するとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小容量または低温用の蓄熱槽を採用することが可能となり、効率的に給水予熱を行いながらも、設置コストや設置スペースを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態の給水予熱システムを説明する概念図である。本実施形態においては、商業用ビル、工場の建屋、マンション等の屋上に給水予熱システムが設置される場合について説明するが、給水予熱システムは、例えば、戸建て住宅の屋根や屋上、あるいは地面等に設置することも可能であり、その設置環境が限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の給水予熱システム1は、屋上に設置される太陽熱集熱器2を2基備えている。この太陽熱集熱器2は、集熱パネル内にパイプが配された太陽熱集熱部2aを複数(本実施形態では5つ)直列に接続して構成されている。太陽熱集熱部2aは周知の構成であるため詳細な説明は省略するが、この太陽熱集熱部2aは、集熱パネルによって集熱された太陽熱によって、パイプ内部を流通する熱媒を加温する機能を有している。
【0019】
この太陽熱集熱器2には、第1熱媒循環路3が接続されている。第1熱媒循環路3は、内部を第1の熱媒が流通可能な配管によって構成されており、2基の太陽熱集熱器2が第1熱媒循環路3において並列に接続されている。そして、第1熱媒循環路3には、第1ポンプP1が接続されており、この第1ポンプP1が駆動されると、第1の熱媒は、第1熱媒循環路3内を循環するとともに、その循環過程で太陽熱集熱器2内を通過することとなる。なお、本実施形態においては、夜間や冬季の凍結を防止するために、第1の熱媒として、プロピレングリコール水溶液やエチレングリコール水溶液等の不凍液を用いることとするが、第1の熱媒はこれに限らない。第1の熱媒が凍結するおそれのない温暖な設置環境であれば、例えば、第1の熱媒として水を用いてもよい。
【0020】
さらに、第1熱媒循環路3には、集熱用熱交換器4が接続されている。この集熱用熱交換器4には、内部を第2の熱媒(水)が流通可能な配管によって構成された第2熱媒循環路5が接続されており、集熱用熱交換器4によって、第1熱媒循環路3内を流通する第1の熱媒と、第2熱媒循環路5内を流通する第2の熱媒との間で熱交換がなされるように構成されている。
【0021】
第2熱媒循環路5には、第2ポンプP2が接続されており、この第2ポンプP2が駆動されると、第2の熱媒は、第2熱媒循環路5内を循環するとともに、その循環過程で集熱用熱交換器4内を通過する。したがって、第2ポンプP2が駆動されて第2の熱媒が第2熱媒循環路5内を循環しているときに、第1ポンプP1が駆動されると、第1熱媒循環路3内を循環する第1の熱媒は、太陽熱集熱器2の集熱作用によって加温された後に集熱用熱交換器4に導かれ、この集熱用熱交換器4において、第2熱媒循環路5内を流通する第2の熱媒との間で熱交換を行う。そして、第2の熱媒との間の熱交換によって温度が低下した第1の熱媒は、再び太陽熱集熱器2において加温され、以後、上記の循環を繰り返すこととなる。
【0022】
一方、第2熱媒循環路5には、集熱用熱交換器4よりも下流側に蓄熱槽6が接続されており、上記のようにして集熱用熱交換器4で加温された第2の熱媒が、蓄熱槽6に貯留されることとなる。また、第2熱媒循環路5であって、蓄熱槽6の下流側には、給水予熱用熱交換器7が接続されている。この給水予熱用熱交換器7には、不図示の給水源から給湯装置8へと給水を供給するための給水管9が接続されており、この給水予熱用熱交換器7によって、第2熱媒循環路5内を循環する第2の熱媒が、給湯装置8へ供給される給水を予熱するように構成されている。そして、給水予熱用熱交換器7によって予熱された給水は、給湯装置8においてさらに加温されて、供給管10から要求先に供給されることとなる。
【0023】
上記のように、第2ポンプP2が駆動されると、第2熱媒循環路5内を循環する第2の熱媒は、まず、集熱用熱交換器4において、第1の熱媒との間で熱交換によって加温された後に蓄熱槽6に貯留される。このとき、蓄熱槽6の上部に貯留されている高温の第2の熱媒が給水予熱用熱交換器7に導かれ、給湯装置8へと供給される給水を予熱するとともに、この給水予熱によって温度が低下した第2の熱媒が、再び集熱用熱交換器4において加温され、以後、上記の循環を繰り返すこととなる。
【0024】
ここで、本実施形態においては、第2熱媒循環路5に接続され、蓄熱槽6の上流から下流へと第2の熱媒をバイパスするバイパス路11が設けられており、このバイパス路11と第2熱媒循環路5との接続部に、三方弁からなる電動の切換弁12が設けられている。この切換弁12は、第2熱媒循環路5内を流通する第2の熱媒の循環経路(予熱経路)を、集熱用熱交換器4と給水予熱用熱交換器7との間でバイパス路11を介して第2の熱媒が循環する直接給水予熱経路、および、集熱用熱交換器4と給水予熱用熱交換器7との間で蓄熱槽6を介して第2の熱媒が循環する間接給水予熱経路のいずれかに切り換えるものである。
【0025】
より詳細には、第2の熱媒の循環経路が切換弁12によって間接給水予熱経路に維持されている場合、上記のように、第2の熱媒は、集熱用熱交換器4で加温された後に蓄熱槽6に導かれるとともに、蓄熱槽6内に貯留されている第2の熱媒が給水予熱用熱交換器7に導かれる。一方、第2の熱媒の循環経路が切換弁12によって直接給水予熱経路に切り換えられている場合、第2の熱媒は、集熱用熱交換器4で加温された後に、バイパス路11を介して、直接、給水予熱用熱交換器7に導かれる。つまり、第2の熱媒の循環経路が直接給水予熱経路に切り換えられている場合、第2の熱媒は、蓄熱槽6を経由することなく、直接、給水予熱用熱交換器7に導かれることとなる。このように、直接給水予熱経路および間接給水予熱経路のいずれに切換弁12を切り換えるかは、給湯装置8における給水予熱の要求有無、蓄熱槽6の温度、集熱用熱交換器4内で熱交換後の第2の熱媒の温度等によって決定されるが、その詳細については後述する。
【0026】
また、第2の熱媒が貯留される蓄熱槽6は、太陽熱集熱器2と同様に、屋上に設置されることもあるが、本実施形態においては、蓄熱槽6を消火用補給水槽によって構成することとしている。具体的には、本実施形態においては、給水予熱システム1が設けられる建物に閉鎖型湿式スプリンクラー設備20が設けられている。この閉鎖型湿式スプリンクラー設備20は、建物の地下や地上に設けられた貯水槽21と、この貯水槽21に蓄えられた水を汲み上げる加圧送水装置であるスプリンクラーポンプ22と、このスプリンクラーポンプ22に接続された設備配管23と、この設備配管23に設けられ、火災発生時に水を散水落下させるスプリンクラーヘッド24と、を備えている。
【0027】
閉鎖型湿式スプリンクラー設備20は、火災発生を検知するとスプリンクラーポンプ22を駆動するが、このとき、即座にスプリンクラーヘッド24から水を散水落下させるためには、設備配管23内に水を加圧充填させておく必要がある。
【0028】
一般的な閉鎖型湿式スプリンクラー設備においては、消火用補給水槽が建物の屋上等、スプリンクラー設備の鉛直上方に設置されており、この消火用補給水槽を設備配管に接続することで、設備配管内の水が加圧状態に維持されている。このように、消火用補給水槽を設けることにより、火災発生の検知後、即座にスプリンクラーヘッドから水を散水落下させることが可能となり、また、スプリンクラーポンプが故障等によって正常に駆動しなかったとしても、消火用補給水槽に貯水された水をスプリンクラーヘッドから散水落下させることが可能となっている。
【0029】
そして、本実施形態においては、スプリンクラーヘッド24に接続され、閉鎖型湿式スプリンクラー設備20を構成する消火用補給水槽に、蓄熱槽6としての機能を併せ持たせている。換言すれば、給水予熱を行うための蓄熱槽6が、閉鎖型湿式スプリンクラー設備20の消火用補給水槽によって構成されている。消火用補給水槽は、火災が発生した場合にのみ機能するものであるため、通常は稼働することがないが、こうした普段稼働することのないものを利用することにより、設備の有効利用を図ることが可能となる。また、もともと消火用補給水槽が設置されている建物や、消火用補給水槽の設置予定がある建物に給水予熱システム1を採用する場合には、給水予熱システム1の設置コストや設置スペースを抑制することが可能となる。
【0030】
なお、太陽熱を利用した小規模および中規模業務用の給水予熱システムにおいては、集熱面積に応じ、大凡0.2tから2t程度の容量の蓄熱槽が採用されるのが一般的であるが、本実施形態においては、集熱面積40m
2蓄熱槽6として0.15tの容量の消火用補給水槽を採用している。
【0031】
また、上記したように、消火用補給水槽は、その特性上、内部に貯留された水がスプリンクラーヘッド24から散水落下する可能性がある。そのため、消火用補給水槽としての蓄熱槽6に高温の水を貯留してしまうと、スプリンクラーヘッド24から散水落下する水によって火傷をするおそれがある。そこで、本実施形態においては、蓄熱槽6上部に貯留される水の温度が一定温度(本実施形態では50度)以上にならないように、第1ポンプP1、第2ポンプP2および切換弁12が制御されることとなる。業務用給湯のように日中の給湯負荷が多い場合は、直接給水予熱経路にて給水予熱できることから、蓄熱槽6は、比較的低温小容量の水を貯留すれば足り、従来の給水予熱システムに比べて安価な設備を採用することができる。
【0032】
なお、
図1において、符号S1は、太陽熱集熱器2の温度、より詳細には、太陽熱集熱器2内の第1の熱媒の温度T1を検出する集熱器温度センサである。符号S2は、第2熱媒循環路5内を流通する第2の熱媒、より詳細には、集熱用熱交換器4で第1の熱媒と熱交換されて加温された第2の熱媒の温度T2を検出する第2熱媒温度センサである。符号S3は、蓄熱槽6の温度、より詳細には、蓄熱槽6の上部に貯留された第2の熱媒の温度T3を検出する蓄熱槽温度センサである。符号S4は、給水管9内を流通する給水の温度T4を検出する給水温度センサである。
【0033】
給水予熱システム1においては、上記の各センサS1〜S4によって検出される温度T1〜T4と、給湯装置8における給水予熱の要求有無とに基づいて、第1ポンプP1、第2ポンプP2および切換弁12が制御されるが、以下では、給水予熱システム1の制御について詳細に説明する。
【0034】
図2は、給水予熱システム1の制御ブロック図である。この図に示すように、給水予熱システム1は、種々のプログラムが格納されたROM、ROMからプログラムを読み出して各種の演算処理を実行するCPU、CPUの処理領域として機能するRAMを有する制御部15を備えている。この制御部15の入力側には、集熱器温度センサS1、第2熱媒温度センサS2、蓄熱槽温度センサS3、給水温度センサS4が接続されており、これら各センサS1〜S4から、第1の熱媒の温度T1、第2の熱媒の温度T2、蓄熱槽6内の温度T3、給水温度T4が入力される。なお、各温度T1〜T4は、常時、制御部15に入力されている。
【0035】
また、制御部15の入力側には給湯装置8が接続されている。給湯装置8においては、要求先から要求された給水の温度や、供給すべき給水量等から、給水を予熱する給水予熱の要求有無を検知する給水予熱要求検知手段が設けられており、給水予熱の要求がある場合に、給湯装置8から制御部15に給水予熱要求信号が継続的に入力される。なお、ここでは、給湯装置8において、要求先から要求された給水の温度や給水量から給水予熱を行う必要があるか否かを判断することとしたが、例えば、給水管9や供給管10に流量計を設け、給水管9や供給管10内において一定量の流量が検出された場合に、給水予熱の要求があると判断することとしてもよい。
【0036】
一方、制御部15の出力側には、第1ポンプP1、第2ポンプP2および切換弁12が接続されており、各センサS1〜S4から入力される各温度T1〜T4と、給湯装置8(給水予熱要求検知手段)から入力される給水予熱要求信号と、に基づいて、制御部15が第1ポンプP1および第2ポンプP2の駆動制御を行うとともに、切換弁12に対して、直接給水予熱経路および間接給水予熱経路の切り換え制御を行う。
【0037】
図3は、給水予熱システム1の具体的な制御を説明する第1のフローチャートであり、
図4は、給水予熱システム1の具体的な制御を説明する第2のフローチャートである。なお、制御部15は、計時手段としてのタイマ装置を備えており、タイマ装置によって、例えば数ミリ秒〜数秒が計時されるたびに、
図3および
図4に示す処理が行われる。すなわち、
図3および
図4に示す処理は、一定の間隔(数ミリ秒〜数秒間隔)で繰り返し行われることとなる。
【0038】
(S100)
まず、制御部15は、蓄熱槽6内の温度T3が50度よりも低いか否かを判定する。その結果、蓄熱槽6内の温度T3が50度よりも低いと判定した場合にはステップS101に処理を移し、蓄熱槽6内の温度T3は50度よりも低くない(蓄熱槽6内の温度T3が50度以上である)と判定した場合には、
図4に示すステップS200に処理を移す。
【0039】
(S101)
上記ステップS100において、蓄熱槽6内の温度T3が50度よりも低いと判定した場合には、制御部15は、(第1の熱媒の温度T1)−(蓄熱槽6内の温度T3)≧3度を満たすか否か、すなわち、第1の熱媒の温度T1が、蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高いか否かを判定する。その結果、第1の熱媒の温度T1が、蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高いと判定した場合にはステップS102に処理を移し、第1の熱媒の温度T1は、蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高くないと判定した場合には、
図4に示すステップS200に処理を移す。
【0040】
(S102)
上記ステップS101において、第1の熱媒の温度T1が、蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高いと判定した場合には、制御部15は、第1ポンプP1を駆動する。なお、既に第1ポンプP1が駆動中である場合には、そのままステップS103に処理を移す。
【0041】
(S103)
次に、制御部15は、第2ポンプP2を駆動する。なお、既に第2ポンプP2が駆動中である場合には、そのままステップS104に処理を移す。
【0042】
(S104)
次に、制御部15は、給水予熱要求があるか、すなわち、給湯装置8(給水予熱要求検知手段)から給水予熱要求信号が入力されているか否かを判定する。その結果、給水予熱要求信号が入力されており、給水予熱要求があると判定した場合にはステップS105に処理を移し、給水予熱要求信号が入力されておらず、給水予熱要求がないと判定した場合にはステップS109に処理を移す。
【0043】
(S105)
上記ステップS104において、給水予熱要求があると判定した場合には、制御部15は、(第2の熱媒の温度T2>蓄熱槽6内の温度T3)を満たすか否か、すなわち、第2の熱媒の温度T2が、蓄熱槽6内の温度T3よりも高いか否かを判定する。その結果、第2の熱媒の温度T2が、蓄熱槽6内の温度T3よりも高いと判定した場合にはステップS106に処理を移し、第2の熱媒の温度T2は蓄熱槽6内の温度T3よりも高くないと判定した場合にはステップS109に処理を移す。
【0044】
(S106)
上記ステップS105において、第2の熱媒の温度T2が、蓄熱槽6内の温度T3よりも高いと判定した場合には、制御部15は、(第2の熱媒の温度T2<給水予熱要求温度)を満たすか否か、すなわち、第2の熱媒の温度T2が、給水予熱要求温度と同じか、給水予熱要求温度よりも低いか否かを判定する。その結果、第2の熱媒の温度T2が、給水予熱要求温度と同じか、給水予熱要求温度よりも低いと判定した場合にはステップS107に処理を移し、第2の熱媒の温度T2が給水予熱要求温度よりも高くて過熱すると判定した場合にはステップS109に処理を移す。ただし、第2の熱媒流量より給水流量が多く、過熱の虞がない場合は、この限りではない。
【0045】
(S107)
上記ステップS106において、第2の熱媒の温度T2が、給水予熱要求温度と同じか、給水予熱要求温度よりも低いと判定した場合には、制御部15は、(第2の熱媒の温度T2>給水温度T4)を満たすか否か、すなわち、第2の熱媒の温度T2が給水温度T4よりも高いか否かを判定する。その結果、第2の熱媒の温度T2が給水温度T4よりも高いと判定した場合にはステップS108に処理を移し、第2の熱媒の温度T2が給水温度T4よりも低いと判定した場合にはステップS109に処理を移す。
【0046】
(S108)
上記ステップS107において、第2の熱媒の温度T2が給水温度T4よりも高いと判定した場合には、制御部15は、集熱用熱交換器4と給水予熱用熱交換器7とがバイパス路11を介して接続されるように切換弁12を制御し、第2の熱媒の循環経路を直接給水予熱経路に切り換える。なお、第2の熱媒の循環経路が既に直接給水予熱経路に維持されている場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0047】
(S109)
一方、上記ステップS104において給水予熱要求はないと判定した場合、上記ステップS105において、第2の熱媒の温度T2は蓄熱槽6内の温度T3よりも高くないと判定した場合、上記ステップS106において、第2の熱媒の温度T2は給水予熱要求温度よりも高いと判定した場合、上記ステップS107において、第2の熱媒の温度T2が給水温度T4よりも低いと判定した場合には、制御部15は、集熱用熱交換器4と給水予熱用熱交換器7とが蓄熱槽6を介して接続されるように切換弁12を制御し、第2の熱媒の循環経路を間接給水予熱経路に切り換える。なお、第2の熱媒の循環経路が既に間接給水予熱経路に維持されている場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0048】
(S200)
また、上記ステップS100において、蓄熱槽6内の温度T3は50度よりも低くない、すなわち、蓄熱槽6内の温度T3が50度以上であると判定した場合、あるいは、上記ステップS101において、第1の熱媒の温度T1が、蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高くないと判定した場合には、制御部15は、
図4に示すように、第1ポンプP1が駆動中であるか否かを判定する。その結果、第1ポンプP1が駆動中であると判定した場合にはステップS201に処理を移し、第1ポンプP1は駆動中ではないと判定した場合にはステップS202に処理を移す。
【0049】
(S201)
上記ステップS200において、第1ポンプP1が駆動中であると判定した場合には、制御部15は、第1ポンプP1の駆動を停止する。
【0050】
(S202)
次に、制御部15は、給水予熱要求があるか、すなわち、給湯装置8(給水予熱要求検知手段)から給水予熱要求信号が入力されているか否かを判定する。その結果、給水予熱要求信号が入力されており、給水予熱要求があると判定した場合にはステップS203に処理を移し、給水予熱要求信号が入力されておらず、給水予熱要求がないと判定した場合にはステップS206に処理を移す。
【0051】
(S203)
上記ステップS202において、給水予熱要求があると判定した場合には、制御部15は、(蓄熱槽6内の温度T3>給水温度T4)を満たすか否か、すなわち、蓄熱槽6内の温度T3が、給水温度T4よりも高いか否かを判定する。その結果、蓄熱槽6内の温度T3が、給水温度T4よりも高いと判定した場合にはステップS204に処理を移し、蓄熱槽6内の温度T3は給水温度T4よりも高くないと判定した場合にはステップS206に処理を移す。
【0052】
(S204)
上記ステップS203において、蓄熱槽6内の温度T3が、給水温度T4よりも高いと判定した場合には、制御部15は、第2ポンプP2を駆動する。なお、既に第2ポンプP2が駆動中である場合には、そのままステップS205に処理を移す。
【0053】
(S205)
次に、制御部15は、集熱用熱交換器4と給水予熱用熱交換器7とが蓄熱槽6を介して接続されるように切換弁12を制御し、第2の熱媒の循環経路を間接給水予熱経路に切り換える。なお、第2の熱媒の循環経路が既に間接給水予熱経路に維持されている場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0054】
(S206)
一方、上記ステップS202において給水予熱要求はないと判定した場合、上記ステップS203において、蓄熱槽6内の温度T3は給水温度T4よりも高くないと判定した場合には、制御部15は、第2ポンプP2の駆動を停止する。なお、既に第2ポンプP2の駆動が停止されている場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0055】
次に、上記の処理により本実施形態の給水予熱システム1によって実現される作用効果について、
図1〜
図4を適宜参照しながら説明する。
【0056】
上記の給水予熱システム1によれば、蓄熱槽6の温度が予め設定された温度(50度)であり(ステップS100のNo)、給水予熱の要求がある場合(ステップS202のYes)に、切換弁12が制御されて、第2の熱媒の循環経路が間接給水予熱経路に切り換えられる(ステップS205)。したがって、この場合には、蓄熱槽6に貯留された50度の第2の熱媒によって給水予熱が効率的に行われることとなる。
【0057】
また、このとき、第1ポンプP1の駆動が停止され(ステップS201)、第2ポンプP2のみが駆動される(ステップS204)ので、集熱用熱交換器4における第1の熱媒による第2の熱媒の加温が停止され、蓄熱槽6の温度がさらに上昇することはない。これにより、蓄熱槽6内の温度は常に上部で50度以下、下部では上部よりも低い温度に維持されることとなり、仮に、蓄熱槽6が消火用補給水槽として機能したとしても、スプリンクラーヘッド24からの散水落下によって火傷が生じるおそれはない。また、蓄熱槽6は比較的低温の熱に耐え得るものを採用することが可能となり、給水予熱システム1の設置コストを抑制することができる。
【0058】
また、蓄熱槽6の温度が予め設定された温度(50度)よりも低く(ステップS100のYes)、給水予熱の要求がない場合(ステップS104のNo)にも、切換弁12が制御されて、第2の熱媒の循環経路が間接給水予熱経路に切り換えられる。このとき、第1の熱媒の温度T1が蓄熱槽6内の温度T3よりも3度以上高ければ(ステップS101のYes)、第1ポンプP1および第2ポンプP2が駆動され(ステップS102、S103)、集熱用熱交換器4において第1の熱媒との間の熱交換で加温された第2の熱媒が蓄熱槽6に導かれ、これによって蓄熱槽6内の温度が高められる。
【0059】
一方、蓄熱槽6の温度T3が予め設定された温度(50度)よりも低く(ステップS100のYes)、給水予熱の要求があり(ステップS104のYes)、かつ、第2の熱媒の温度T2が蓄熱槽6内の温度T3よりも高い場合(ステップS105のYes)に、切換弁12が制御されて、第2の熱媒の循環経路が直接給水予熱経路に切り換えられる。これにより、蓄熱槽6内の温度T3が低下したとしても、蓄熱槽6内に貯留された第2の熱媒よりも高温の第2の熱媒によって給水予熱が行われることとなり、給水予熱の効率を向上することが可能となる。これにより、比較的小容量の蓄熱槽6を採用するとともに、蓄熱槽6内の上限温度を比較的低温に設定することで、当該蓄熱槽6内の温度T3が低下しやすくなったとしても、第2熱媒循環路5内を循環する相対的に高温の第2の熱媒が、バイパス路11を介して給水予熱用熱交換器7に直接導かれるので、給水予熱の効率が低下することがない。
【0060】
また、本実施形態においては、太陽熱集熱器2が接続された第1熱媒循環路3と、給水予熱用熱交換器7が接続された第2熱媒循環路5とを集熱用熱交換器4に接続し、この集熱用熱交換器4において第1の熱媒と第2の熱媒との間で熱交換を行うとともに、第1の熱媒と第2の熱媒とを個別に循環制御するようにしている。これにより、例えば、夜間等、太陽熱集熱器2から放熱されてしまう環境下において、給水予熱のために第2の熱媒を循環させたとしても、太陽熱集熱器2からの放熱による第2の熱媒の温度低下を抑制することが可能となり、給水予熱の効率を向上することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
したがって、例えば、上記実施形態においては、閉鎖型湿式スプリンクラー設備20の消火用補給水槽によって蓄熱槽6を構成することとしたが、蓄熱槽6の構成はこれに限定されず、給水予熱システム専用の設備を用いても構わない。また、上記の給水予熱システム1は、閉鎖型湿式スプリンクラー設備20が設けられていない場合にも適用可能であり、その設置条件や設置場所等は特に限定されるものではない。上記実施形態においては、消火用補給水槽によって蓄熱槽6を構成することとしたため、第2の熱媒として水を用いることとしたが、蓄熱槽6を消火用補給水槽とは別に設ける場合には、第2の熱媒は水に限らず、他の流体を用いることも可能である。また、蓄熱槽6を消火用補給水槽として用いる場合であっても、人に特段の悪影響を及ぼすものでなければ、水以外の流体を第2の熱媒として用いることも可能である。
【0063】
また、上記実施形態において、第1ポンプP1および第2ポンプP2の駆動制御、ならびに、切換弁12の切り換え制御は一例に過ぎない。したがって、フローチャートで説明した各処理の順番は特に限定されるものではなく、また、各処理の一部を省略してもよいし、これとは逆に、さらに他の処理や判断を追加して行うこととしてもよい。例えば、上記のフローチャートに加えて、各温度T1〜T4が所定の温度以上もしくは未満であれば、他の条件とは無関係に第1ポンプP1、第2ポンプP2、切換弁12を予め設定されたとおりに制御するといった処理を加えることも可能である。また、例えば、第2の熱媒の温度T2が所定温度(5度程度)よりも低い場合には、凍結防止の目的で第2ポンプP2を駆動し、一定時間内に切換弁12を切り換えるといった制御を行うとよい。