特許第5907820号(P5907820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907820
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/54 20060101AFI20160412BHJP
   E04D 13/03 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   E06B9/54
   E04D13/03 P
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-141727(P2012-141727)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-5643(P2014-5643A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 達明
(72)【発明者】
【氏名】三橋 歩
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−295987(JP,A)
【文献】 特開平7−97886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/54
E04D 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を2つのスクリーンのいずれかにより選択的に覆うためのスクリーン装置であって、
前記開口の一側に設けられ、第1スクリーンを巻き取る第1ロール装置と、
前記開口の前記一側の反対側に設けられ、第2スクリーンを巻き取る第2ロール装置と、
前記開口の前記一側および前記反対側とは異なる側に設けられるガイドレールと、
前記第1スクリーンの端部に接続され、前記ガイドレールを摺動する第1スライダと、
前記第2スクリーンの端部に接続され、前記ガイドレールを摺動する第2スライダと、
前記ガイドレールに沿って移動され、前記第1スクリーンを引き出すとき及び前記第1スクリーンを巻き取るときには前記第1スライダに係合する一方、前記第1スクリーンが完全に巻き取られた後は前記第1スライダから離脱する第1係合離脱部材と、
前記ガイドレールに沿って移動され、前記第2スクリーンを引き出すとき及び前記第2スクリーンを巻き取るときには前記第2スライダに係合する一方、前記第2スクリーンが完全に巻き取られた後は前記第2スライダから離脱する第2係合離脱部材と、
前記第1係合離脱部材および前記第2係合離脱部材を移動させる単一の移動手段と、
を有することを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
駆動源と、
前記駆動源によって駆動されるワイヤと、
を有し、
前記第1係合離脱部材および第2係合離脱部材を前記ワイヤに取付けることで、前記第1係合離脱部材および前記第2係合離脱部材を移動させることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記第1係合離脱部材は、かしめにより前記ワイヤに取付けられる金属部品からなり、
前記ワイヤを挿通させる一方、前記金属部品を係止するワイヤ挿通金属部品係止手段を前記第1スライダに設けることで、前記第1スクリーンを引き出すとき及び前記第1スクリーンを巻き取るときには前記第1スライダに係合する一方、前記第1スクリーンが完全に巻き取られた後は前記第1スライダから離脱することを特徴とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記第2係合離脱部材は、かしめにより前記ワイヤに取付けられる金属部品からなり、
前記ワイヤを挿通させる一方、前記金属部品を係止するワイヤ挿通金属部品係止手段を前記第2スライダに設けることで、前記第2スクリーンを引き出すとき及び前記第2スクリーンを巻き取るときには前記第2スライダに係合する一方、前記第2スクリーンが完全に巻き取られた後は前記第2スライダから離脱することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を覆うことのできるスクリーン装置に関し、特に、住宅等の屋根に設けられた天窓の開口を2つのスクリーンのいずれかにより選択的に覆うためのスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根等には、採光や換気のために天窓が設けられることがある。天窓には、採光量を調整するために開閉可能なシェードを設置することが望まれ、開閉式の天窓には、さらに、虫除けのために開閉可能な網戸を設置することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、窓部の対向両側縁に設置された2つのロール手段と、透明シート、不透明シート及び網状シートを連接した1枚の布状体とを有するロールブラインドが開示されている。布状体は、2つのロール手段に巻架配設されており、駆動チェーンによりロール手段を回転させると、布状態が移動し、窓部の正面に配置されるシートを順次切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−80093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロールタイプのスクリーンを天窓に設ける場合は、ロールの軸をロールの厚さの分だけ天窓の側縁から離して設置する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、複数のシートを連接して1枚の布状体としているため、一方のロール手段に布状体が巻き取られた状態においてはロール厚が大きくなる。すると、居住者に圧迫感を与えるため美観上好ましくないだけでなく、窓枠とシートとの間の隙間が大きくなって、太陽光の漏れや虫の侵入のおそれが高くなる。また、常に、何れかのシートが天窓を覆っているため、開閉式の天窓においては、換気機能を妨げる。
【0006】
一方、2種類のスクリーン(シート)をそれぞれ独立に異なるロール手段に巻架し、そのそれぞれに移動手段を設けることにより、ロール厚を小さくする共に、解放状態を可能にして換気機能を発揮させることもできるが、このような構成とするとコストが増大する。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、1つの移動手段によって、2つのロール手段にそれぞれ巻架されたスクリーンを選択的に開閉できるスクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるスクリーン装置(1)は、開口を2つのスクリーンのいずれかにより選択的に覆うためのスクリーン装置(1)であって、前記開口の一側に設けられ、第1スクリーン(3)を巻き取る第1ロール装置(4)と、前記開口の前記一側の反対側に設けられ、第2スクリーン(6)を巻き取る第2ロール装置(6)と、前記開口の前記一側および前記反対側とは異なる側に設けられるガイドレール(2)と、前記第1スクリーン(3)の端部に接続され、前記ガイドレール(2)を摺動する第1スライダ(20)と、前記第2スクリーン(6)の端部に接続され、前記ガイドレール(2)を摺動する第2スライダ(21)と、前記ガイドレール(2)に沿って移動され、前記第1スクリーン(3)を引き出すとき及び前記第1スクリーン(3)を巻き取るときには前記第1スライダ(20)に係合する一方、前記第1スクリーン(3)が完全に巻き取られた後は前記第1スライダ(20)から離脱する第1係合離脱部材(9)と、前記ガイドレール(2)に沿って移動され、前記第2スクリーン(6)を引き出すとき及び前記第2スクリーン(6)を巻き取るときには前記第2スライダ(21)に係合する一方、前記第2スクリーン(6)が完全に巻き取られた後は前記第2スライダ(21)から離脱する第2係合離脱部材(10)と、前記第1係合離脱部材(9)および前記第2係合離脱部材(10)を移動させる単一の移動手段(8)と、を有することを特徴とする。このような構成を有することにより、単一の移動手段(8)で、対向する第1及び第2ロール手段(4,6)からそれぞれ第1及び第2スクリーン(3,5)を選択的に引き出し、開口を覆うことができる。
【0009】
本発明のある側面によれば、前記移動手段(8)は、駆動源(7)と、前記駆動源によって駆動されるワイヤ(44,45)と、を有し、前記第1係合離脱部材(9)および第2係合離脱部材(10)を前記ワイヤ(44,45)に取付けることで、前記第1係合離脱部材(9)および前記第2係合離脱部材(10)を移動させることを特徴とする。このような構成は、第1及び第2スライダ(20,21)と第1及び第2係合離脱部材(9,10)との係合離脱関係を実現する1つの具体的手段である。
【0010】
本発明のある側面によれば、前記第1係合離脱部材(9)は、かしめにより前記ワイヤ(44,45)に取付けられる金属部品(9)からなり、前記ワイヤ(44,45)を挿通させる一方、前記金属部品(9)を係止するワイヤ挿通金属部品係止手段(22)を前記第1スライダ(20)に設けることで、前記第1スクリーン(3)を引き出すとき及び前記第1スクリーン(3)を巻き取るときには前記第1スライダ(20)に係合する一方、前記第1スクリーン(3)が完全に巻き取られた後は前記第1スライダ(20)から離脱することを特徴とする。
【0011】
本発明のある側面によれば、前記第2係合離脱部材(10)は、かしめにより前記ワイヤ(44,45)に取付けられる金属部品(10)からなり、前記ワイヤ(44,45)を挿通させる一方、前記金属部品(10)を係止するワイヤ挿通金属部品係止手段(22)を前記第2スライダ(21)に設けることで、前記第2スクリーン(6)を引き出すとき及び前記第2スクリーン(6)を巻き取るときには前記第2スライダ(21)に係合する一方、前記第2スクリーン(6)が完全に巻き取られた後は前記第2スライダ(21)から離脱することを特徴とする。これらの構成は、第1及び第2スライダ(20,21)と第1及び第2係合離脱部材(9,10)との係合離脱関係を実現するさらに具体的な1つの手段である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1つの移動手段で、2つのロール装置に巻き取られたスクリーンを引き出すことができる。その際、第1係合離脱部材が第1スクリーンの横バーに係合するタイミングと、第2係合離脱部材が第2スクリーンの横バーに係合するタイミングとが異なるため、2つのスクリーンを選択的に引き出すことができ、何れかのスクリーンが引き出された状態や、何れのスクリーンも引き出されていない状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るスクリーン装置の概略平面図
図2】実施形態に係るスクリーン装置をガイドレールを省略して示す平面図
図3図2中のIII−III断面図
図4】実施形態に係るスクリーン装置の機能を示す拡大平断面図
図5】実施形態に係るスクリーン装置の横バー及びスライダの要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るスクリーン装置1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、説明に当たって、スクリーンの可動方向を前後方向と言い、これに直交する方向を横方向と言う。また、図面の表示は、説明の便宜上、部材ごとに縮尺率が異なる。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るスクリーン装置1を模式的に示した概略平面図である。(a)は第1スクリーン3によって開口が覆われた状態、(b)は開口が覆われていない状態、(c)は第2スクリーン5によって開口が覆われた状態を示す。スクリーン装置1は、図示しない住宅の屋根の天窓の室内側に設置される。特に、開閉可能な天窓に適しているが、窓が開閉しない固定式の天窓にも適用できる。以下、天窓の窓枠が長方形又は正方形である場合を例に説明する。また、船舶の甲板の天窓や、自動車のサンルーフ、サンルームの天井に対して設置することもできる。
【0016】
スクリーン装置1は、天窓の左右の窓枠に固定されて前後方向に延在する1対のガイドレール2と、ガイドレール2に沿って出没する第1スクリーン3と、ガイドレール2の一端側に設けられて第1スクリーン3をばね力で巻き取る第1ロール装置4と、ガイドレール2に沿って出没する第2スクリーン5と、ガイドレール2の他端側に設けられて第2スクリーン5をばね力で巻き取る第2ロール装置6と、第1スクリーン3の先端部に接続され、ガイドレール2を摺動する1対の第1スライダ20と、第2スクリーン5の先端部に接続され、ガイドレール2を摺動する1対の第2スライダ21と、第1及び第2スクリーン3,5を引き出すための駆動源たるモータ7及びモータ7により駆動されガイドレール2に沿って移動する部材を含む単一の移動手段8と、移動手段8に設けられ、ガイドレール2に沿って移動する第1係合離脱部材9及び第2係合離脱部材10とを備える。
【0017】
1対のガイドレール2の各々は、その上面11又は外側側面12において、図示しない開口を画定する窓枠の対向する側枠に固定される。また、各ガイドレール2の内側側面13には、第1及び第2スクリーン3,5を摺動させるための図示しない1つの溝が設けられている。また、ガイドレール2の各々の、両端部付近には、第1及び第2スクリーン3,5が最大引き出し位置まで引き出されたことを検出するセンサ30が取り付けられている(図3参照)。ガイドレール2は、例えばアルミニウム合金材の押出加工により形成される。
【0018】
第1及び第2ロール装置4,6は、ガイドレール2の互いに相反する側の端部近傍に位置し、窓枠又は天井に固定される。第1及び第2ロール装置4,6の各々は、第1又は第2スクリーン3,5の基端側を挟持するロール軸15を有する。ロール軸15は、横方向に配置され、第1又は第2スクリーン3,5を基端側から巻き取るように、図示しないばねで付勢されている。
【0019】
第1スクリーン3は、長方形又は正方形の第1シート16を有する。また、第2スクリーン5は、長方形又は正方形の第2シート17を有する。第1及び第2シート16,17は、互いに異なる機能又は特性を有するシートからなることが好ましい。例えば、虫除け用の網状シート、光の透過率が0%以上100%以下の何れかに設定されてシェード等として機能する不透明又は透明シート、特定の波長帯の光(例えば赤外線・紫外線)のみを吸収する無色透明又は有色半透明シート、すだれ、及びシャッター等から選択される。図1に示す実施形態では、第1シート16は網状シートからなり、第2シート17は不透明シート(シェード)からなる。第1及び第2シート16,17に用いるシートの種類の組み合わせは、他の組み合わせでもよい。
【0020】
第1及び第2スクリーン3,5の各々は、第1又は第2シート16,17の先端に取り付けられた横バー18をさらに有する。図4及び図5に示すように、横バー18は、横方向に延在して第1又は第2シート16,17の先端が取り付けられたハンドル19と、ハンドル19の両端上面から突出した突起29とを有する。ハンドル19の両端には、ガイドレール2を摺動する1対の第1スライダ20又は第2スライダ21が取り付けられ、1対の第1及び第2スライダ20,21の各々には、ワッシャ22が取り付けられる。ここで、図4は、第1スクリーン3の拡大平断面図であり、図5は、横バー18及び第1(第2)スライダ20(21)の斜視図である。
【0021】
第1及び第2スライダ20,21は、ガイドレール2の溝に摺動可能に取り付けられる形状に構成される。また、第1及び第2スライダ20,21の上面23及び下面24には、後述する2本のワイヤ44,45が挿通される上ワイヤ溝25,下ワイヤ溝26が、ガイドレール2に平行に設けられている。1対のガイドレール2の各々には、第1及び第2スライダ20,21が1つずつ摺動可能に取り付けられているが(図1)、一方のガイドレール2に取り付けられた第1及び第2スライダ20,21の上ワイヤ溝25には、各々、1つのワッシャ22が取り付けられ、他方のガイドレール2に取り付けられた第1及び第2スライダ20,21の下ワイヤ溝26には、各々、1つのワッシャ22が取り付けられている。各ワッシャ22は、ワイヤ44,45を挿通させ、第1及び第2係合離脱部材9,10を係止する係止手段である。ワッシャ22の取付位置を図4を用いて説明する。上ワイヤ溝25及び下ワイヤ溝26には、2つの拡幅部27が設けられている。各スライダ20,21に取り付けられるワッシャ22は、そのスライダ20,21を有する第1又は第2スクリーン3,5が巻き取られる方向側に設けられた拡幅部27の中の、そのスクリーン20,21が引き出される方向側の拡幅壁面28に固定される。なお、各スライダ20,21に合計4つの拡幅部27を設けたのは、4つのスライダ部品の共通化のためである。よって、ワッシャ22を設ける位置にのみ拡幅部27を設けても良い。また、拡幅部27を設けず、各スライダ20,21の上ワイヤ溝25又は下ワイヤ溝25部分の側壁にワッシャを取り付けても良い。
【0022】
図3に示すように、図中右側に配置された第1スクリーン3が引き出され、第1スクリーン3の突起29の上端側31が対応する図中左側の第1スクリーン3用のセンサ30の検出部14の下端側32に接触すると、モータ7が止まり、第1スクリーン3がそれ以上引き出されることを防止する。同様に、図中左側に配置された第2スクリーン5が引き出され、第2スクリーン5の突起29の上端側31が対応する図中右側の第2スクリーン5用のセンサ30の検出部14の下端側32に接触すると、モータが止まり、第2スクリーン5がそれ以上引き出されることを防止する。そのため、第1スクリーン3の突起29は、横方向において、第1スクリーン3用の検出部14に整合しているが、第2スクリーン5用の検出部14とは、ずれており、第2スクリーン5の突起29は、横方向において、第2スクリーン5用の検出部14に整合しているが、第1スクリーン3用の検出部14とは、ずれている。
【0023】
突起29と検出部14とが接触すると、検出部14は、その上端側33がピン34で固定されているため、ピン34を軸に回動する。そのため、第1又は第2スクリーン3,5が最大引き出し位置に到達したことがわかる。検出部14は、対応する突起29が離脱したとき、元の位置に戻るように対応する突起29が存在する方向にばねで付勢されても良い。
【0024】
次に、図2及び図3を用いて、移動手段8を説明する。図2及び図3は、ガイドレール2の主要部等を省略した、スクリーン装置1の平面図及び断面図である。
【0025】
移動手段8は、第1及び第2スクリーン3,5を引き出すための単一の駆動源であるモータ7を含む。モータ7に代えて、公知の手動の駆動手段を設けてもよい。
【0026】
移動手段8は、さらに、モータ7によって駆動されるプーリ43と、プーリ43に巻き取られる2本のワイヤ44,45と、ワイヤ44,45が窓枠の開口周りに環状に張設されるように配置された4つのワイヤガイド46とを含む。
【0027】
プーリ43は、モータ7から動力を受けて回転する。プーリ43は、モータ7の回転方向を変えることにより反転する。プーリ43のワイヤ44,45を巻き取る面は、円筒の側面からなり、周長は一定である。プーリ43は、前後方向においては、第2ロール装置6の外側、すなわち第2ロール装置6に対して第2スクリーン5が引き出される方向と反対側に配置され、横方向においては、両ガイドレール2間のほぼ中央に配置されることが望ましい。なお、プーリ43を、第1スクリーン3の外側に配置してもよい。
【0028】
4つのワイヤガイド46は、それぞれ、ガイドレール2のほぼ延長線上、かつ第1及び第2ロール装置4,6の外側に配置される。プーリ43の横方向に設置される2つのワイヤガイド46は、プーリ43と横方向において1列に並んでいることが望ましい。各ワイヤガイド46は、上下に上段プーリ47及び下段プーリ48を備えることが望ましく、両プーリ47,48は、互いに逆方向に回転可能である。各々の上段プーリ47は、一方のワイヤ44をガイドし、各々の下段プーリ48は、他方のワイヤ45をガイドする。
【0029】
2つのワイヤ44,45の各々は、両端がプーリ43に固定され、かつ両端側が所定の回数だけプーリ43に巻き取られている。一方のワイヤ44は、両端側とも前後方向の外側からプーリ43に巻き取られ又は巻き出され、他方のワイヤ45は、両端側とも前後方向の内側からプーリ43に巻き出され又は巻き取られている。両ワイヤ44,45が巻き取られ又は巻き出される位置は、プーリ43と隣接するワイヤガイド46とを結ぶ線に対して内側と外側とに分かれていれば良い。本実施形態では、その位置はプーリ43側面の円周においてほぼ180°ずれている。また、ワイヤ44,45は、4つのワイヤガイド46で湾曲し、両ガイドレール2及び第1スクリーン3付近に張設された部分は、互いに上下に重なっている。したがって、本実施形態では、ワイヤ44は、長方形又は正方形の一辺が外側に折れ曲がった5角形の環状を呈し、ワイヤ45は、長方形又は正方形の一辺が内側に折れ曲がった5角形の環状を呈する。以上の構成により、プーリ43が一方向に回転すると、2本のワイヤ44,45の5角形の環状部分は、互いに逆の周方向に移動する。
【0030】
図1を再度参照すると、第1及び第2係合離脱部材9,10が、各々、2つのワイヤ44,45上に取り付けられている。一方のワイヤ44に取り付けられた第1及び第2係合離脱部材9,10は、ガイドレール2に沿って移動する時は、他方のワイヤ45に取り付けられた第1及び第2係合離脱部材9,10と、前後方向の中心線に対して左右対称な位置に配置される。第1及び第2係合離脱部材9,10は、金属部品からなり、かしめによりワイヤ44,45に取り付けられている。同一のワイヤ44,45上に設けられた第1及び第2係合離脱部材9,10間のワイヤ44,45に沿った距離は、第1及び第2スクリーン3,5が第1及び第2ロールに収納された状態での2つの横バー18間の距離以上、すなわち前後方向の開口幅以上である。第1及び第2係合離脱部材9,10は、スライダ20の上ワイヤ溝25及び下ワイヤ溝26に侵入できるが、ワッシャ22には係合する大きさである。なお、図1では、第1及び第2係合離脱部材9,10の配置を説明するために、両ワイヤ44,45をずらして描いてあるが、実際は、ワイヤ44,45は、図2に示すように、第2ロール装置6側では、互いにプーリ43の側面の反対側から張設されてワイヤガイド46に至り、それ以外の部分では互いに上下に重なっている。
【0031】
次に、図1を参照して、本発明にかかるスクリーン装置1の作動状況について説明する。
【0032】
スクリーン装置1の操作は、図示しないリモコン又は室内の壁に取り付けられた図示しない有線の操作盤によって行われる。
【0033】
モータ7を作動させると、プーリ43が回転する。プーリ43が右回りに回転すると、一方のワイヤ44は、プーリ43の右側に位置する部分がプーリ43に巻き取られると同時に、プーリ43に巻き取られていた部分が左側から巻き出される。巻き取られる部分の長さと巻き出される部分の長さが等しいため、ワイヤ44の環状部分は、環状を保ったまま右回りに回転する。この時、他方のワイヤ45は、プーリ43の左側に位置する部分がプーリ43に巻き取られると同時に、プーリ43に巻き取られていた部分が右側から巻き出される。巻き取られる部分の長さと巻き出される部分の長さが等しいため、ワイヤ45の環状部分は、環状を保ったまま左回りに回転する。
【0034】
プーリ43が左回りに回転すると、一方のワイヤ44と他方のワイヤ45との動きが逆になる。すなわち、一方のワイヤ44は、プーリ43の左側に位置する部分がプーリ43に巻き取られると同時に、プーリ43に巻き取られていた部分が右側から巻き出される。巻き取られる部分の長さと巻き出される部分の長さが等しいため、ワイヤ44の環状部分は、環状を保ったまま左回り回転する。この時、他方のワイヤ45は、プーリ43の右側に位置する部分がプーリ43に巻き取られると同時に、プーリ43に巻き取られていた部分が左側から巻き出される。巻き取られる部分の長さと巻き出される部分の長さが等しいため、ワイヤ45の環状部分は、環状を保ったまま右回りに回転する。
【0035】
プーリ43のワイヤ44,45を巻き取る面の円周が一定であるため、両ワイヤ44,45が移動する速さは互いに等しい。すると、一方のワイヤ44上の第1及び第2係合離脱部材9,10は、少なくともガイドレール2に沿って移動する時は、他方のワイヤ45上の第1及び第2係合離脱部材9,10と左右対称を保ったまま移動する。よって、1対の第1係合離脱部材9と第1スライダ20との係合又は離脱は、同時に行われ、1対の第2係合離脱部材10と第2スライダ21との係合又は離脱は、同時に行われる。
【0036】
図1(b)は、第1及び第2スクリーン3,5が巻き取られた状態である。この状態から、プーリ43を右回りに回転させると、一方のワイヤ44の環状部分が右回りに移動し、他方のワイヤ45の環状部分が左回りに移動するため、2つの第1係合離脱部材9は、第1スライダ20に取り付けられた2つのワッシャ22に同時に係合する。すると、第1ロール装置4のばね力に抗して、1対の第1スライダ20がガイドレール2上を図1の下方に摺動し、第1スクリーン3が引き出される。この間、2つの第2係合離脱部材10は、第2スライダ21から離脱しており、プーリ43にワイヤ44,45と共に巻き取られる。そのため、第2スクリーン5は、第2ロール装置6に巻き取られた状態を保つ。図1(a)は、第1スクリーン3が完全に引き出された状態を示す。この時、第1スクリーン3の横バー18の突起29が、対応する検出部14に係合しており、モータ7及びプーリ43は停止する。
【0037】
図1(a)の状態から、プーリ43を逆回転、すなわち左回りに回転させると、一方のワイヤ44の環状部分が左回りに移動し、他方のワイヤ45の環状部分が右回りに移動し、かつ第1ロール装置4のロール軸15が第1スクリーン3を巻き取る方向にばね付勢されているため、2つの第1係合離脱部材9は、第1スライダ20の2つのワッシャ22との係合を保った移動する。すると、1対の第1スライダ20がガイドレール2上を図1の上方に摺動し、第1スクリーン3が巻き取られ、図1(b)の状態に戻る。第1スクリーン3が完全に巻き取られるまでは、2つの第2係合離脱部材10は、第2スライダ21から離脱しているため、第2スクリーン5は、第2ロール装置6に巻き取られた状態を保つ。
【0038】
図1(b)の状態から、プーリ43をさらに左回りに回転させると、一方のワイヤ44の環状部分が左回りに移動し、他方のワイヤ45の環状部分が右回りに移動するため、1対の第2係合離脱部材10は、第2スライダ21のワッシャ22に同時に係合する。すると、第2ロール装置6のばね力に抗し、1対の第2スライダ21がガイドレール2上を図1の上方に摺動し、第2スクリーン5が引き出される。この間、2つの第1係合離脱部材9は、第1スライダ20から離脱しているため、第1スクリーン3は、第1ロール装置4に巻き取られた状態を保つ。図1(c)は、第2スクリーンが完全に引き出された状態を示す。この時、第2スクリーン5の横バー18の突起29が、対応する検出部14に係合しており、モータ7及びプーリ43は停止する。
【0039】
図1(c)の状態から、プーリ43を逆回転、すなわち右回りに回転させると、一方のワイヤ44の環状部分が右回りに移動し、他方のワイヤ45の環状部分が左回りに移動し、かつ第2ロール装置6のロール軸15が第2スクリーン5を巻き取る方向にばね付勢されているため、2つの第2係合離脱部材10は、第2スライダ21の2つのワッシャ22との係合を保った移動する。すると、第2スライダ21がガイドレール2上を図1の下方に摺動し、第2スクリーン5が巻き取られ、図1(b)の状態に戻る。第2スクリーン5が完全に巻き取られるまでは、2つの第1係合離脱部材9は、第1スライダ20から離脱しているため、第1スクリーン3は、第1ロール装置4に巻き取られた状態を保つ。
【0040】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、移動手段8は、プーリ43と、両端がプーリ43に巻き取られ環状を形成する2本のワイヤ44,45とを有するが、第1及び第2係合離脱部材9,10を固定でき、かつガイドレール2に沿って押し引き可能な他の手段を用いることができる。例えば、移動手段8を、モータと、モータによって回転駆動するドライブギヤと、前記ドライブキヤに噛み合うドリブンギヤと、前記ドリブンキヤに噛み合う1対のラックベルトとから構成しても良い。また、両端がプーリ43に巻き取られた環状の2本のワイヤ44,45の代わりに、両端が互いに結合した2本の無端環状のワイヤ又はベルトを用い、プーリとの間の摩擦力によって、ワイヤ又はベルトを動かしても良い。また、プーリ43と2本のワイヤ44,45の代わりに、スプロケットと1対のチェーンを用いても良い。これらの変更のほか、具体的形状などは、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 スクリーン装置
2 ガイドレール
3 第1スクリーン
4 第1ロール装置
5 第2スクリーン
6 第2ロール装置
7 モータ(駆動源)
8 移動手段
9 第1係合離脱部材
10 第2係合離脱部材
16 第1シート
17 第2シート
18 横バー
20 第1スライダ
21 第2スライダ
22 ワッシャ(係止手段)
43 プーリ
44,45 ワイヤ
46 ワイヤガイド
図1
図2
図3
図4
図5