特許第5907855号(P5907855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5907855-居住者サポートシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907855
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】居住者サポートシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20160412BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20160412BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20160412BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   H04M9/00 D
   G08B25/04 K
   G08B25/10 D
   G08B25/00 510E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-261322(P2012-261322)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-107816(P2014-107816A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸正
(72)【発明者】
【氏名】若林 一磨
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 和美
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−309062(JP,A)
【文献】 特開2007−235220(JP,A)
【文献】 特開2006−340021(JP,A)
【文献】 特開2011−206342(JP,A)
【文献】 特開2010−061414(JP,A)
【文献】 特開2010−141445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00−31/00
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸の居住者に対して体調の確認を実施するための体調確認装置と、
前記体調確認装置と伝送線を介して接続されて体調確認対象の各住戸に設置され、前記体調確認装置から送信される体調確認信号の受信/応答を行うための住戸端末と、
体調確認対象の個々の居住者が携行して前記体調確認装置と通信を実施し、前記体調確認装置から送信される体調確認信号の受信/応答を行うための携帯端末と、
実施された体調確認の応答状況を表示する表示装置とを有し、
前記体調確認装置は、携帯電話通信網を介して前記携帯端末と通信する外部通信部を備えると共に、前記携帯端末或いは前記住戸端末から前記体調確認信号に対する応答信号を受けたら、前記表示装置に通知して応答状況を表示させる確認制御部を有し、
前記体調確認信号を受信して、前記携帯端末は報音動作を含む報知動作を開始する一方、前記住戸端末は報音による報知を開始せず、
前記確認制御部は、体調確認開始後、一定時間が経過しても応答信号の返信がない居住者に対して、関連する前記住戸端末に対して報音指示信号を送信して報音を伴う報知動作を実施させることを特徴とする居住者サポートシステム。
【請求項2】
前記住戸端末は、居住者の不在を前記体調確認装置に通知する不在設定部を有し、
前記確認制御部は、不在通知を受けた前記住戸端末に対しては体調確認信号を送信しないことを特徴とする請求項1記載の居住者サポートシステム。
【請求項3】
前記確認制御部は、体調確認動作中に、不在設定された前記住戸端末が不在キャンセル操作されてキャンセル信号の通知を受けたら、前記住戸端末へ体調確認信号の送信を実施することを特徴とする請求項2記載の居住者サポートシステム。
【請求項4】
前記体調確認装置は、居住者の服薬時刻を登録する服薬時間記憶部を有し、
前記確認制御部は、登録された前記服薬時刻になったら該当する居住者の前記住戸端末及び前記携帯端末に対して服薬通知信号を送信することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の居住者サポートシステム。
【請求項5】
前記住戸端末が、集合住宅の個々の住戸に設置されて集合玄関に設置された集合玄関機による来訪者の呼び出しに応答するための居室親機であると共に、
前記表示装置が、集合住宅の管理室に設置されて来訪者や居住者と通話が可能な管理室親機であり、
更に前記体調確認装置が、前記集合玄関機、前記居室親機、前記管理室親機の各機器の間の通話を制御する制御機であり、集合住宅に設置された集合住宅インターホンシステムと一体に構成されて成ることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の居住者サポートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住者が携行する携帯端末を利用して居住者の体調等を確認可能として居住者の健康をサポートする居住者サポートシステムに関し、特に高齢者向けの集合住宅に適した居住者サポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターホンを利用して居住者の安否を確認するシステムがある。例えば特許文献1では、集合住宅の各住戸に設置された居室親機に、体調確認の応答をする応答ボタンや緊急事態の発生を通知する緊急呼出ボタンを備え、更に人感センサ等のパッシブセンサが接続されて安否信号を自動生成して居住者の状態を通知する機能を設ける一方、管理室親機に安否信号を受信して応答結果を表示する機能を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−309062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のシステムは、パッシブセンサの動作信号を受けて居住者の安否情報を入手できるため、居住者の応答ボタン操作が無くても体調確認を行うことができた。しかしながら、居住者に異常が発生しているにも関わらずパッシブセンサの誤動作により信号が出力されると、異常は発生していないと判断されてしまい異常発生を認識できない問題があったし、居住者が不在を通知せずに外出した場合は、逆に異常発生と判断してしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、センサに頼らず居住者からの応答により居住者の体調を把握することでセンサの誤動作による誤報を無くし、更に居住者が不在通知を忘れて外出しても異常発生と判断されることのない居住者サポートシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、複数の住戸の居住者に対して体調確認を実施するための体調確認装置と、体調確認装置と伝送線を介して接続されて体調確認対象の各住戸に設置され、体調確認装置から送信される体調確認信号の受信/応答を行うための住戸端末と、体調確認対象の個々の居住者が携行して体調確認装置と通信を実施し、体調確認装置から送信される体調確認信号の受信/応答を行うための携帯端末と、実施された体調確認の応答状況を表示する表示装置とを有し、体調確認装置は、携帯電話通信網を介して携帯端末と通信する外部通信部を備えると共に、携帯端末或いは住戸端末から体調確認信号に対する応答信号を受けたら、表示装置に通知して応答状況を表示させる確認制御部を有し、体調確認信号を受信して、携帯端末は報音動作を含む報知動作を開始する一方、住戸端末は報音による報知を開始せず、確認制御部は、体調確認開始後、一定時間が経過しても応答信号の返信がない居住者に対して、関連する住戸端末に対して報音指示信号を送信して報音を伴う報知動作を実施させることを特徴とする。
この構成によれば、居住者は携帯端末と住戸端末の双方から体調確認の通知を受けるため、通知に気づきやすく応答し易い。また、体調確認の通知を受けて携帯端末から応答できるため、外出した状態でも応答でき、居住者の在不在に関わらず体調確認ができ誤報が生じ難い。そして、確認結果が表示装置に表示されるため、管理者は居住者の状況を把握し易い。
【0007】
更に、まず携帯端末のみが報音することから室内に設置された住戸端末が報音して居住者を驚かせるのを防止できるし、応答がない場合には住戸端末も報音するため、居住者が聞き逃すことを防ぐことができる。
【0008】
請求項の発明は、請求項1に記載の構成において、住戸端末は、居住者の不在を体調確認装置に通知する不在設定部を有し、確認制御部は、不在通知を受けた住戸端末に対しては体調確認信号を送信しないことを特徴とする。
この構成によれば、居住者が外出等で不在の住戸では住戸親機が報音することを防ぐことができ、近隣に不安を抱かせるのを防ぐことができるし、住戸親機からの応答操作を待つ必要が無く体調確認を簡略にできる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項に記載の構成において、確認制御部は、体調確認動作中に、不在設定された住戸端末が不在キャンセル操作されてキャンセル信号の通知を受けたら、住戸端末へ体調確認信号の送信を実施することを特徴とする。
この構成によれば、体調確認動作中に居住者が帰宅したら、住戸端末も体調確認動作を開始するため、居住者は体調確認の通知を確実に認識できる。
【0010】
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載の構成において、体調確認装置は、居住者の服薬時刻を登録する服薬時間記憶部を有し、確認制御部は、登録された服薬時刻になったら該当する居住者の住戸端末及び携帯端末に対して服薬通知信号を送信することを特徴とする。
この構成によれば、服薬の時刻になったことが通知されるので、居住者は服薬忘れを防止できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至の何れかに記載の構成において、住戸端末が、集合住宅の個々の住戸に設置されて集合玄関に設置された集合玄関機による来訪者の呼び出しに応答するための居室親機であると共に、表示装置が、集合住宅の管理室に設置されて来訪者や居住者と通話が可能な管理室親機であり、更に体調確認装置が、集合玄関機、居室親機、管理室親機の各機器の間の通話を制御する制御機であり、集合住宅に設置された集合住宅インターホンシステムと一体に構成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、集合住宅に設置された集合住宅インターホンシステムを居住者サポートシステムとして機能させるため、別途居住者サポートシステムを設置する必要がないし、機器間の通信や報音部等は共通する回路を使用でき、安価に構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、居住者は携帯端末と住戸端末の双方から体調確認の通知を受けるので居住者が気づきやすく応答し易い。また、体調確認を受けて携帯端末から応答できるため、外出した状態でも応答でき、居住者の在不在に関わらず体調確認ができ誤報が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る居住者サポートシステムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の居住者サポートシステムを組み込んだ集合住宅インターホンシステムの構成図を示し、1は来訪者が居住者を選択して呼び出すためにエントランス等の集合玄関に設置された集合玄関機、2は集合玄関機1からの呼び出しを受けて居住者が応答するために各住戸内に設置された居室親機、3は来訪者や居住者と管理人が通話するために管理室に設置された管理室親機、4は集合玄関機1、居室親機2、管理室親機3の各機器の間の通話を制御する制御機、5は個々の住戸玄関に設置されて居住者を呼び出すための玄関子機、6は制御機4と通信を実施する携帯端末である。
【0015】
集合玄関機1、管理室親機3は、それぞれ伝送線L1,L2を介して制御機4に接続され、居室親機2は親機幹線L3を介して制御機4に接続されている。携帯端末6は、携帯電話会社が構築する携帯電話通信網Nを介して制御機4と通信を実施する。
【0016】
集合玄関機1は、訪問先の居住者の住戸を選択して呼出操作する操作部11、来訪者を撮像するカメラ12、呼出先と通話するための通話部13等を備えている。
【0017】
居室親機2は、集合玄関機1のカメラ12が撮像した来訪者映像を表示するモニタ21、通話すると共に呼出音等を報音する音響部22、通話操作や体調確認の応答操作等を行う操作部23、居室親機2を制御する居室CPU24、制御機4と通信するための居室IF25等を備えている。尚、26は居室親機2に接続された火災センサや人感センサ等のセンサを示している。
【0018】
管理室親機3は、居室親機2の呼出操作等各種操作を行う操作部31、来訪者映像を表示するモニタ32、通話するための音響部33、管理室親機3を制御する管理室CPU34、制御機4と通信するための管理室IF35等を備えている。そして、操作部31は、管理者が体調確認する際の操作部であるし、モニタ32は体調確認結果を表示する表示部でもある。
【0019】
制御機4は集合玄関機1と通信する集玄IF41、居室親機2と通信する居室IF42、管理室親機3と通信する管理室IF43、集合玄関扉(図示せず)の電気錠と通信する電気錠IF44、携帯端末6と通信するために携帯電話通信網Nと接続する外部通信IF45、携帯端末アドレス等の通信先情報や体調確認情報等を記憶する記憶部46、機器間の通信に加えて、居室親機2や管理室親機3の表示を制御し、更に管理室親機3の操作を受けて或いは所定の時間間隔(例えば24時間間隔)で居室親機2と携帯端末6に対して体調確認を実施する制御部47等を備えている。
記憶部46は、具体的には携帯端末アドレスに加えて、住戸番号と居室親機とを関連付けた居室親機テーブル、居室親機と居住者とを関連付けた居室親機テーブル、携帯端末と居住者とを関連付けた携帯端末テーブル、更に居住者の不在設定等を記憶する。
【0020】
携帯端末6は、体調確認要求を受けて応答操作する表示切り替え、及び通信動作を実行するアプリ(アプリケーションソフトウェア)がインストールされた携帯型の通信機器であり、各種情報を表示するディスプレイ6a、ディスプレイ6aに一体に設けられているタッチパネルから成る操作部6bを備え、制御機4からの体調確認信号に基づいて、体調確認要求情報をディスプレイ6aに表示し、体調確認要求に対する応答情報を操作部6bから入力する。
具体的に携帯端末6は、例えばiPad(登録商標)やAndroid(登録商標)等のタブレット型の端末、或いはiPhone(登録商標)やAndroid(登録商標)搭載型のスマートフォンが使用される。
【0021】
上記の如く構成された集合住宅インターホンシステムにおいて、本発明の居住者サポートシステムとして居住者の体調確認を行う動作を以下説明する。居住者の体調確認は、制御機4から定期的に体調確認信号を各居室親機2及び携帯端末6に対して一斉送信して実施する場合と、管理室親機3の操作によって体調確認信号が一斉に送信される場合と、管理室親機3の操作により選択した住戸に対してのみ体調確認信号が送信される場合の3通りがあるが、個々の居住者に対する確認動作は同様であるため、一斉に実施する場合を中心に説明する。尚、後述する不在設定はされていないものとする。
【0022】
管理室親機3から所定の体調確認操作が実施されると、確認要求信号が制御機4に送信され、制御部47の制御により全ての居室親機2及び居住者の携帯端末6に対して、安否応答を要求する体調確認信号が送信される。また、制御機4において設定された体調確認時刻になると、同様に制御部47の制御で全ての居室親機2及び居住者の携帯端末6に対して、体調確認信号が送信される。
具体的に体調確認信号の送信は、制御部47が記憶部46から居住者に関連付けられている携帯端末6のメールアドレス、及び携帯端末6が保持しているアプリを起動させるためのID等の識別符号を読み出し、全ての携帯端末6に対して体調確認の応答を要求する体調確認信号を送信する。体調確認信号は、外部通信IF45から携帯電話通信網Nを介して携帯端末6に送信される。
また、同時に制御部47は体調確認信号を居室親機2に対しても送信し、親機幹線L3を介して各居室親機2に伝送される。
【0023】
体調確認信号を受信した携帯端末6は、体調確認のためのアプリが起動し、起動したアプリによりディスプレイ6aに例えば「体調確認の入力を行なって下さい」のメッセージが表示され、更にメロディ等の音響鳴動を開始させて報音通知し、応答要求動作を実施する。
一方、体調確認信号を受信した居室親機2は、居室CPU24の制御で体調確認動作を開始し、モニタ21に携帯端末6と同様に例えば「体調確認の入力を行なって下さい」のメッセージが表示される。この居室親機2にも、携帯端末6にインストールしたアプリと同一のユーザーインターフェースを有するソフトウェアが予めインストールされている。
【0024】
尚、この最初の段階で居室親機2は体調確認の表示のみで報音は行わない。また、体調確認信号を受けて表示するメッセージは、更に選択項目を設けて選択させても良く、例えば「1.良好です。2.普通です。3.あまり良くありません。」と表示して選択させても良い。
【0025】
報音通知により携帯端末6の表示を確認した居住者が、携帯端末6の操作部6bを応答操作すると、体調確認の応答信号が携帯電話通信網Nを介して制御機4に返信される。同時に報音動作も停止する。応答信号を受信した制御機4は、記憶部46に応答情報を記憶し、応答信号送信元の携帯端末6に関連付けられている居室親機2に対して体調確認の終了信号を送信する。この終了信号を受信した居室親機2は、体調確認の応答要求動作を終了する。
【0026】
一方、居室親機2で返信しても良く、その場合は以下の様である。居室親機2と携帯端末6の双方で体調確認のメッセージを表示している状態で、居住者が居室親機2の操作部23を操作して返信すると、応答信号が制御機4に送信される。この応答信号を受信した制御機4は、制御部47の制御で記憶部46に応答情報を記憶するとともに、携帯電話通信網Nを介して応答操作した居室親機2に関連付けられている携帯端末6に対して、体調確認を終了する終了信号を送信する。終了信号を受信した携帯端末6は、ディスプレイ6aの表示を停止するとともに音響鳴動を停止し、応答要求動作を終了する。
【0027】
但し、応答信号を受信しない場合は以下のように動作する。制御部47は、体調確認信号を送信後、所定時間(例えば1分間)応答信号がなければ、該当する住戸の居室親機2に対して、報音指示信号を含む体調確認信号に切り替えて送信する。この体調確認信号を受信した居室親機2は、居室CPU24の制御によりモニタ21に「体調確認の入力を行なって下さい」とのメッセージを引き続き表示させるとともに、音響部22よりメロディ等の音響鳴動を開始させて応答要求動作を実施する。
尚、この居室親機2での音響鳴動は、その後も居住者の応答操作が無ければ、音響部22の音響鳴動の音量を上げて、居住者の応答を促しても良い。
【0028】
こうして居室親機2と携帯端末6の双方で体調確認のメッセージを表示し、且つ報音している状態で、居住者が居室親機2の操作部23を応答操作すると、居室CPU24が応答信号を制御機4に出力し、体調確認動作を終了する。制御機4の制御部47は居室親機2からの応答信号を受けて、記憶部46に応答情報を記憶し、居室親機2に関連付けられている携帯端末6に対して、体調確認を終了する終了信号を送信する。終了信号を受信した携帯端末6は、ディスプレイ6aの表示を停止するとともに、音響部の音響鳴動を停止して応答要求動作は終了する。
【0029】
制御部47は、体調確認信号を送信した後、応答を待つ一定時間(例えば3分)が経過したら、その間返信された応答信号を元に管理室親機3に体調確認の応答結果を送信し、管理室親機3のモニタ32に結果である体調確認情報を表示させる。管理人はこの表示を見ることで体調確認の結果を把握することができる。尚、この表示は、応答信号を受信した順に順次管理室親機3に送信して表示させても良い。
【0030】
また制御部47は、体調確認信号を送信してから所定時間(例えば5分)が経過したら体調確認動作を終了し、その間応答が無かった居住者が居る場合は管理室親機3に異常発生信号を送信し、管理室親機3はモニタ32に異常発生の表示(異常発生住戸番号と居住者名の表示)を行なうと共に、音響部33から警報報知を行なう。この結果、管理人が異常発生を認識して居住者の住戸に赴き、居住者の異常事態に対応することができる。
【0031】
このように、居住者は携帯端末6と居室親機2の双方から体調確認の通知を受けるため、気づきやすく応答し易い。また、体調確認を受けて携帯端末6から応答できるため、外出した状態でも応答でき、居住者の在/不在に関わらず体調確認ができ誤報が生じ難い。そして、確認結果が管理室親機3に表示されるため、管理者は居住者の状況を把握し易い。
また、まず携帯端末6のみが報音することから室内に設置された居室親機2が報音して居住者を驚かせるのを防止できるし、応答がない場合には居室親機2も報音するため、居住者が聞き逃すことを防ぐことができる。
そして、集合住宅に設置された集合住宅インターホンシステムを居住者サポートシステムとして機能させるため、別途居住者サポートシステムを設置する必要がないし、機器間の通信等は共通する回路を使用でき、安価に構成できる。
【0032】
次に、不在設定した場合の動作を説明する。
これまでの動作は居住者が在室の場合、或いは不在設定せずに携帯端末6を携行して外出した場合の動作を説明したが、居住者が居室親機2を操作して不在設定して外出した場合の体調確認動作を次に説明する。
先ず、居室親機2で所定の操作で或いは専用の不在設定ボタンを操作することで不在設定が成されると、居室親機2から制御機4に対して不在信号が送信され、制御機4において不在信号送信元の居住者が不在である旨が記憶部46に記憶される。この記憶は、居室親機2からキャンル信号が送信されるまで維持される。
【0033】
この不在設定された居室親機2が存在する状態で体調確認が開始されると、制御機4は全ての居住者の携帯端末6と不在設定された居室親機2を除く他の全ての居室親機2に対して体調確認信号を送信する。制御部47は、居住者が在室であるか不在であるか記憶部46から読み取り、不在設定されている居室親機2には体調確認信号を送信しない。
以下、不在設定されていない居室親機2及びその住戸の居住者が携行する携帯端末6に関しては上記動作と同様であるため説明を省略し、不在設定された居室親機2及びその住戸の居住者が携行する携帯端末6の動作を説明する。
【0034】
居室親機2にて不在設定操作した居住者が携行する携帯端末6は、体調確認信号を受信して体調確認のためのアプリを起動し、ディスプレイ6aに例えば「体調確認の入力を行なって下さい」とのメッセージを表示するとともに、メロディ等の音響鳴動を行なう。
一方、不在設定された居室親機2は体調確認信号を受信しないため、応答要求動作を実施しない。
【0035】
この段階で不在設定した居住者が、外出先等で携帯端末6の操作部6bを応答操作すると、体調確認の応答信号が携帯電話通信網Nを介して制御機4に送信され、制御部47は記憶部46に応答情報を記憶し、この居住者に対する体調確認を終了する。
【0036】
しかし、体調確認信号を送信してから応答操作されずに居住者が帰宅した場合は以下のように動作する。たとえば、体調確認信号を送信してから確認動作を終了する5分が経過する前に、帰宅した居住者により居室親機2が不在設定解除操作が成されたら、不在設定を解除するキャンセル信号が制御機4に送信され、制御部47はこのキャンセル信号を受けて不在設定を解除すると共に、キャンセル信号の送信元居室親機2に対して体調確認信号の送信を開始する。
但し、この時送信される体調確認信号は報音指示信号を含み、受信した居室親機2は、居室CPU24の制御でモニタ21に例えば「体調確認の入力を行なって下さい」とのメッセージを表示させるとともに、音響部22よりメロディ等の音響鳴動を行なわせて応答要求動作を実施させる。
【0037】
この居室親機2の応答要求動作に気づいた居住者により、居室親機2から応答操作が成されたら、応答信号が制御機4に送信される。そして、この応答操作により居住者に対する体調確認は終了し、居室親機2、及び携帯端末6の双方の応答要求動作は終了する。
また、体調確認信号を送信してから所定時間(例えば5分)が経過したら体調確認動作を終了する。そして、その間応答が無かった居住者が居る場合は、上述したように制御機4から管理室親機3に異常発生信号が送信され、管理室親機3のモニタ32に異常発生が表示されて警報発報動作が実施される。
【0038】
このように、居住者が外出等で不在の住戸では居室親機2が報音することを防ぐことができ、近隣に不安を抱かせるのを防ぐことができるし、居室親機2からの応答操作を待つ必要が無く体調確認を簡略にできる。
また、体調確認時に居住者が帰宅したら、不在設定解除操作を受けて居室親機2も報音するため、居住者が携帯端末6の応答要求動作に気づかなくても、居室親機2の報音で確実に認識できる。
【0039】
尚、居室親機2に接続されているセンサ26が人感センサやドアセンサ等の人物の存在を検知できる場合は、このセンサ信号を受けて居室CPU24がキャンセル信号を出力し、不在設定を解除させても良く、居住者による不在設定の解除忘れを防止できるし、解除操作する前に居室親機2に応答要求動作させることができる。
また、上記実施形態では、集合住宅インターホンシステムを利用して居住者サポートシステムを構築しているが、専用のシステムを形成しても良いし、他の通信システムを利用して構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
上記居住者サポートシステムは、居住者の服薬管理システムとしても利用することができる。制御機4に服薬時間を記憶させ、合わせて関連アプリを起動させるID等を記憶させておき、投薬を通知する投薬名等を表示させるアプリを携帯端末6にインストールし、制御機4が所定の服薬時間になったら服薬確認信号を体調確認信号と同様に、対応する携帯端末6及び居室親機2に送信し、この信号を受信した携帯端末6及び居室親機2に、例えば「薬を飲む時間です」と表示させて確認信号の返信を行わせることで、居住者に対する服薬のサポートを実施でき、居住者の服薬忘れを防止できる。
【0041】
更に、この居住者サポートシステムは、居住者の脈拍や血圧等のバイタルデータの管理に使用することも可能である。制御機4にバイタルデータを入手するための関連アプリを起動させるID等を記憶させておき、バイタルデータを送信するよう表示させるアプリを携帯端末にインストールし、管理室親機の所定のバイタルデータ要求操作により検診通知信号を体調確認信号と同様に送信し、居住者自身が計測したデータを携帯端末6に入力することで管理室親機3のモニタ32に居住者の脈拍や血圧等のバイタルデータを表示させて健康管理をサポートすることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1・・集合玄関機、2・・居室親機(住戸端末)、3・・管理室親機(表示装置)、4・・制御機(体調確認装置)、6・・携帯端末、6a・・ディスプレイ、6b・・操作部、11・・操作部、13・・通話部、21・・モニタ、22・・音響部、23・・操作部(不在設定部)、31・・操作部、32・・モニタ、33・・音響部、34・・管理室CPU、45・・外部通信IF(外部通信部)、46・・記憶部(服薬時間記憶部)、47・・制御部(確認制御部)、N・・携帯電話通信網。
図1