【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて使用するためのユーザ機器識別情報検出器を提供しており、ユーザ機器は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて提供されるネットワーク・ノードと通信するように動作可能であり、その検出器は、所定の検出領域の内部のユーザ機器の配置を検出するように動作可能な近接センサと、その所定の検出領域において検出されるユーザ機器にIDについての表示を要求するように、またユーザ機器識別情報ユニットに対してIDについてのその表示を通信するように動作可能な問い合わせユニット(interrogation unit)とを備える。
【0010】
第1の態様は、ユーザ機器と、現実の世界のオブジェクトとの間で双方向サービスを信頼できるように提供するためには、ユーザ機器と、現実の世界のオブジェクトとの間のローカルな相互作用が、すぐ近くのユーザ機器の通過によってトリガされないことと、現実の世界のコンテンツをダウンロードしたい、またはそうでなければ現実の世界のコンテンツにアクセスしたいと思うユーザ機器だけが、現実の世界のオブジェクトから情報を受信するように構成されることとが、必要とされることを認識するものである。
【0011】
第1の態様は、検出器が、所定の体積の空間の内部でモバイル電話を信頼できるように検出することを可能にしており、またこれらのネットワークに対する外乱を最少にすることにより同じ周波数リソースを再使用しながら、マクロ・セルラー方式のネットワークとの現実の世界の相互作用についての共存を可能にする、近接センサと、問い合わせユニットとを有する、例えば、セルラー方式の短距離センサと、対応するアーキテクチャとを有する信頼できる検出器を提供している。そのようなアプローチは、既存のセルラー方式のネットワーク・インフラストラクチャが、顕著な中断なしに補完されることを可能にし、また新しいサービスが、ユーザ機器と、現実の世界のオブジェクトとの間のローカルな相互作用に基づいて提供されることを可能にする。
【0012】
第1の態様は、検出器と、ユーザ機器との間の相互作用が、例えば、マクロ基地局、またはフェムト基地局によってサービスされるより大きな地理的エリアの内部の小さな領域だけに有利に限定され得ることを認識している。第1の態様による検出器のカバレッジ領域は、一般的に、検出器の周囲の数センチメートルだけ伸びている。
【0013】
第1の態様は、近接センサを提供することにより、検出器のオペレーションが、近接センサが関連のある領域の内部でユーザ機器を検出する状況だけに限定され得ることを認識している。問い合わせユニットは、ユーザ機器が、関連のある領域の内部の近接センサによって検出されるときに、識別子を要求するように動作するだけである。検出器から離れたユーザ機器との望ましくない相互作用は、このようにして最小限にされることが可能である。
【0014】
一実施形態においては、近接センサは、所定の検出領域の内部におけるユーザ機器の配置の検出のすぐ後に、問い合わせユニットをアクティブにするように動作可能である。
【0015】
したがって、問い合わせユニットは、ユーザ機器が、任意の相互作用が起こるのに十分に近くなることが決定されるまで非アクティブである可能性がある。そのような構成は、ユーザ機器が単に検出器を通り過ぎるだけの可能性のある相互作用を制限する。
【0016】
さらに、そのような構成は、問い合わせユニットのハードウェアが、ユーザ機器が近接センサにより検出されるまでオフにされることを可能にし、エネルギーの節約を可能にしている。そのような構成は、検出器が、限られた電源の上で、例えば、バッテリまたは他の動力電池(power cell)の上で動作している場合に、とりわけ有用である可能性がある。
【0017】
一実施形態においては、近接センサは、前記所定の検出領域の内部の前記ユーザ機器の配置に起因した測定可能な量における変化を測定するように動作可能である。
【0018】
したがって、近接センサは、測定可能な量を監視することができ、またその量における所定の変化を、検出器のすぐ近くにあるユーザ機器の物理的配置に起因した変化を監視することができる。
【0019】
一実施形態においては、近接センサは、測定を定期的に反復するように動作可能である。したがって、測定を反復すること、およびこのようにして定期的に検出ステップを反復することにより、近接センサからの測定値を使用して、ユーザ機器が、検出器の検出領域の中にあるままであることを検査することができる。検出器は、例えば、測定可能な量における変化が、ユーザ機器が検出領域の中に存在していることをそれが決定し、またそれが検出を報告する前に、所定の期間にわたって実質的に一定であるように測定されることを必要とする。近接センサは、ある期間にわたって検出のステータスを監視するように、それによってユーザ機器が検出されたままであるかどうかを決定するように動作することができ、このようにして検出器と、ユーザ機器との間の通信が確立されており、または確立されるときには継続している可能性があるかどうかを示している。
【0020】
一実施形態においては、近接センサは、容量性センサを備える。一実施形態においては、近接センサは、圧力センサを備える。一実施形態においては、近接センサは、赤外線ビーム・センサを備える。おのおのが、ユーザ機器が所定の領域に入っていることを示す1組の判断基準が満たされているときに検出を報告するようにプログラムされる様々な検出メカニズムが、利用されることが可能である。
【0021】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、所定のカバレッジ領域の内部でユーザ機器と通信するように動作可能なアンテナを備える。
【0022】
したがって、検出器は、前記ユーザ機器との無線リンクを確立することができ、それによって典型的なワイヤレス通信ネットワークと、ユーザ機器との間の通信と同じようにしてユーザ機器との通信を可能にしている。
【0023】
一実施形態においては、所定のカバレッジ領域と、所定の検出領域とは、実質的に相互に関連がある。したがって、問い合わせユニットは、近接センサの範囲の内部にあることが決定されたこれらのユーザ機器だけと相互作用するように、また通信するように実質的に動作可能である。そのような構成は、望ましくないユーザ機器の相互作用を最小限にする助けを行い、またワイヤレス通信ネットワークにおいてマクロ・セルに対する全般的な中断を最小限にする。
【0024】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、周囲の無線状態を検出するように、また検出された周囲の無線状態に従ってアンテナによって送信される無線チャネルのパワー設定を調整するように動作可能である。したがって、検出器は、それが配置されるワイヤレス通信ネットワークに従って無線の周波数またはチャネルを選択するように動作可能とすることができる。
【0025】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、周囲の無線状態を検出するように、また検出された周囲の無線状態に従ってアンテナによって送信されるべき伝送の周波数またはチャネルを選択するように動作可能である。したがって、周囲を取り巻くワイヤレス通信ネットワークの無線状態を検出することにより、検出器は、検出領域またはカバレッジ領域においてユーザ機器と通信すべきパイロット・チャネルを送信する適切なパワー設定を選択することができる。検出器が、ワイヤレス通信ネットワークにおいて基地局の近くに位置する場合、検出器が、マクロ基地局伝送の上で「聞かれる」ように高パワーで送信することが、必要な可能性がある。
【0026】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、周囲の無線状態を検出するように、またこれらの周波数の上のユーザ機器との通信を中断すべき1つまたは複数の無線周波数の上で妨害電波信号を送信するように動作可能である。したがって、ワイヤレス通信ネットワークにおいてその内部の検出器のロケーションに応じて、検出器は、周囲を取り巻く無線状態を感知し、また周囲を取り巻くネットワークからの信号が、検出領域および/またはカバレッジ領域の内部に位置するユーザ機器に到達しないようにするように動作可能とすることができる。そのような妨害電波信号により、検出器は、効果的に検出ゾーンおよびカバレッジ・ゾーンに位置するユーザ機器と通信することができるようになり、検出器は、周囲を取り巻くワイヤレス電気通信ネットワークにおいて起こる伝送の上で「聞かれる」ことが可能になる。
【0027】
一実施形態においては、妨害電波信号の強度は、検出された周囲の無線状態に従って決定される。
【0028】
一実施形態においては、アンテナは、所定のカバレッジ領域の内部でカバレッジを提供するように、またその領域の外側ではあまりカバレッジを提供しないように動作可能な指向性アンテナを備える。したがって、干渉は、最小限にされることが可能であり、またユーザ機器および検出器との相互作用は、しっかりと制御されることが可能である。
【0029】
一実施形態においては、アンテナは、コイル・アンテナ(coil antenna)を備える。一実施形態においては、アンテナは、パッチ・アンテナ(patch antenna)を備える。一実施形態においては、アンテナは、伝送線路(transmission line)を備える。伝送線路は、適切にマッチングされた負荷によって終端されることが可能である。そのようなアンテナは、一般的に実質的に平面的であり、またそれゆえに実質的に平面的な検出器の中に簡単に含められることが可能である。そのような検出器により、ユーザ機器は、それらに対して簡単に押しつけられることが可能になる。平面的なコンポーネントにより、ユーザ・インターフェース・タッチ・スクリーンや適切な近接センサなど、他の平面的なコンポーネントが、コンパクトなユニットへとアセンブリされることが可能になる。
【0030】
一実施形態においては、IDについての表示は、前記ユーザ機器のIMSIを備える。ユーザ機器のIMSIは、既に、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいてユーザ機器についての固有の識別子として動作している。その識別子の使用により、エンド・ユーザについてのより深い既に使用可能な情報が、利用されることが可能になる。現実の世界のオブジェクトとユーザ機器との間の相互作用が、特定のエンド・ユーザを対象とすることができるように、IMSIの使用により、ユーザ・データが、ネットワークの上で、他のデータベースから引き込まれることが可能になることができる。
【0031】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、ユーザ機器キャンピング手順(user equipment camping procedure)を開始するように動作可能である。それに応じて、問い合わせユニットは、検出器が位置しているマクロ・セルとは異なるロケーション・アドレスを送信するように動作可能である。ユーザ機器が、問い合わせユニットのカバレッジ領域の中にあり、問い合わせユニットが、アクティブであり、またそれゆえにそのようなロケーション・アドレスを含むパイロット信号を送信するときに、ユーザ機器は、「新しい」ロケーション・アドレスを含むパイロットを検出する。ユーザ機器は、その間に問い合わせユニットが、ユーザ機器にIDを、一般的にはユーザ機器のIMSIを質問するという知られている「キャンピング」手順を開始する。キャンピング手順は、一般的に、ユーザ機器がワイヤレス・ネットワークとの良好な通信リンクを得ることができるように動作し、そのようにしてユーザ機器が、それ自体が妥当な信号強度で(例えば、検出器から)パイロット・チャネルを受信していることを見出す場合に、キャンピング手順を使用して、ユーザ機器と通信することができる。
【0032】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、キャンピング手順の完了の前に開始されたキャンピング手順を終了させるように動作可能である。それに応じて、問い合わせユニットが通信しているユーザ機器は、それ自体を検出器にアタッチせず、検出器それ自体は、ネットワーク・サービスをユーザ機器に対して提供することができない。マクロ・セルは、短期間にわたって、キャンピング手順が検出器によって利用されている間に、ユーザ・データを送信するように、または受信するように動作可能でない可能性があるので、キャンピング手順の使用は、ユーザ機器のネットワーク・オペレーションに対して短期間の中断を引き起こす。キャンピング手順の終了は、どのような中断も最小限にされることを保証する。
【0033】
一実施形態においては、ユーザ機器識別情報検出器は、ユーザ機器識別情報ユニットを備える。例えば、一実施形態においては、ユーザ機器識別情報ユニットは、検出器と一体的に形成される。それに応じて、検出器は、それからユーザ機器を識別すべき内部ルックアップ・ユニットを有することができる。その構成は、それに応じてレイテンシーを低減させることができ、これは、いくつかの相互作用において、例えば、ユーザ機器に応じてドアを開放することにおいて有利な可能性がある。ユーザ機器の内部データベースを保持することは、どれが、ドアが迅速に開けられることを保証するドア開放判断基準を満たすかを識別する。
【0034】
一実施形態においては、問い合わせユニットは、ユーザ機器識別情報ユニットを含むワイヤレス電気通信ネットワークと通信するように動作可能なセルラー方式トランシーバをさらに備える。一実施形態においては、問い合わせユニットは、ユーザ機器識別情報ユニットを含むワイヤレス電気通信ネットワークと通信するように動作可能な有線バックホール・コネクタ(wired backhaul connector)をさらに備える。ユーザ機器識別情報ユニットは、検出器に対してリモートに位置することができる。
【0035】
したがって、検出器は、典型的なマクロ・セル・ネットワーク、または類似したものと通信するように動作可能とすることができ、またIDについてのユーザ機器インジケータは、検出器からネットワークへと伝えられる。識別情報ユニットは、ネットワークの上で提供されることが可能である。そのような構成は、検出器が、オペレーションおよび構成において比較的単純であることを可能にしており、またユーザ機器に関連するエンド・ユーザについての情報が、ネットワークの内部の様々なソースから蓄積されることを可能にする。さらに、ネットワークを通して識別子を受け渡すことは、ユーザ機器の検出に応じて、一連の応答が、実装されることを可能にしており、例えば、SMSメッセージについて送信すること、ユーザ機器料金を経由してエンド・ユーザに課金すること、検出器それ自体ではなくてマクロ・セル・ネットワークから直接に送信されている情報を後の時刻または日付に送信することを可能にする。
【0036】
第2の態様は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいてユーザ機器を検出し、また識別する方法を提供しており、ユーザ機器は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて提供されるネットワーク・ノードと通信するように動作可能であり、本方法は、所定の検出領域の内部でユーザ機器の配置を検出するステップと、所定の検出領域において検出されるユーザ機器にIDについての表示を要求するステップと、IDについての表示をユーザ機器識別情報ユニットに対して通信するステップとを備える。
【0037】
一実施形態においては、本方法は、所定の検出領域の内部でユーザ機器の配置の検出のすぐ後に問い合わせユニットをアクティブにするステップをさらに備える。
【0038】
一実施形態においては、検出するステップは、所定の検出領域の内部のユーザ機器の配置に起因した測定可能な量における変化を測定するステップをさらに備える。
【0039】
一実施形態においては、本方法は、測定を定期的に反復するステップをさらに備える。
【0040】
一実施形態においては、配置の検出は、容量性センサを備える近接センサによって実行される。一実施形態においては、近接センサは、圧力センサを備える。一実施形態においては、近接センサは、赤外線ビーム・センサを備える。
【0041】
一実施形態においては、IDについての表示を要求するステップは、問い合わせユニットによって実行され、問い合わせユニットは、所定のカバレッジ領域の内部のユーザ機器と通信するように動作可能なアンテナを備える。
【0042】
一実施形態においては、所定のカバレッジ領域と、所定の検出領域とは、実質的に相互に関連がある。
【0043】
一実施形態においては、本方法は、周囲の無線状態を検出するステップと、検出された周囲の無線状態に従ってアンテナによって送信される無線チャネルのパワー設定を調整するステップとをさらに備える。
【0044】
一実施形態においては、本方法は、周囲の無線状態を検出するステップと、検出された周囲の無線状態に従ってアンテナによって送信されるべき伝送の周波数またはチャネルを選択するステップとをさらに備える。
【0045】
一実施形態においては、本方法は、周囲の無線状態を検出するステップと、これらの周波数の上のユーザ機器との通信を中断させるために1つまたは複数の無線周波数の上で妨害電波信号を送信するステップとをさらに備える。
【0046】
一実施形態においては、本方法は、検出された周囲の無線状態に従って妨害電波信号の強度を決定するステップをさらに備える。
【0047】
一実施形態においては、アンテナは、所定のカバレッジ領域の内部でカバレッジを提供するように、またその領域の外側ではあまりカバレッジを提供しないように動作可能な指向性アンテナを備える。
【0048】
一実施形態においては、アンテナは、コイル・アンテナを備える。一実施形態においては、アンテナは、パッチ・アンテナを備える。一実施形態においては、アンテナは、伝送線路を備える。
【0049】
一実施形態においては、IDについての表示は、ユーザ機器のIMSIを備える。
【0050】
一実施形態においては、IDについての表示を要求するステップは、ユーザ機器キャンピング手順の開始を備える。
【0051】
一実施形態においては、本方法は、キャンピング手順の完了の前に、開始されたキャンピング手順を終了させるステップをさらに備える。
【0052】
一実施形態においては、本方法は、前記ユーザ機器識別情報ユニットを含むワイヤレス電気通信ネットワークと通信するステップをさらに備える。
【0053】
一実施形態においては、ワイヤレス電気通信ネットワークと通信するステップは、前記ユーザ機器識別情報ユニットを含むワイヤレス電気通信ネットワークと通信するように動作可能な有線バックホール・コネクタを使用して実行される。一実施形態においては、セルラー方式トランシーバ・バックホールが、利用される。
【0054】
第3の態様は、コンピュータの上で実行されるときに、第2の態様の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品を提供している。
【0055】
本発明のさらなる特定の態様および好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項の中で詳しく説明される。従属請求項の特徴は、必要に応じて独立請求項の特徴と結合され、また特許請求の範囲の中で明示的に詳しく説明されるこれら以外の他の特徴と組み合わされることが可能である。
【0056】
本発明の実施形態が、次に、添付の図面を参照してさらに説明されるであろう。