(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907981
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】触媒化微粒子フィルターの製造方法及び触媒化粒子フィルター
(51)【国際特許分類】
B01J 29/85 20060101AFI20160412BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20160412BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20160412BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20160412BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20160412BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20160412BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20160412BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B01J29/85 AZAB
B01J37/02 301C
B01D53/94 222
B01D53/94 241
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/022 C
F01N3/035 A
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-537014(P2013-537014)
(86)(22)【出願日】2011年7月1日
(65)【公表番号】特表2014-508631(P2014-508631A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2011003258
(87)【国際公開番号】WO2012059145
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】PA201000991
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】PA201001111
(32)【優先日】2010年12月9日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン・ケルド
【審査官】
佐藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0229391(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0175372(US,A1)
【文献】
特表2011−510899(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0196812(US,A1)
【文献】
特表2010−519020(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0058746(US,A1)
【文献】
特表2010−519039(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/106523(WO,A2)
【文献】
特開平09−173866(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0256936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/94
F01N 3/022
F01N 3/035
F01N 3/08
F01N 3/10
F01N 3/28
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒化微粒子フィルターの製造方法であって、
a)分散側及び透過側を有する多孔質フィルター本体を提供する工程;
b)窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒組成物の粒子と共に、一酸化炭素及び炭化水素及びアンモニアの酸化において活性な第二の触媒組成物の粒子及び該第二の触媒組成物と組み合わせて、アンモニアの窒素への選択酸化において活性な第三の触媒粒子組成物を一緒に含有する触媒ウォッシュコートを提供する工程であって、該第一の触媒組成物の粒子が、該微粒子フィルターの平均細孔径よりも小さい最頻粒度を有し、そして、第二及び第三の触媒組成物が、該微粒子フィルターの平均細孔径よりも大きい最頻粒度有する、該工程;
c)該ウォッシュコートを該透過側のアウトレット端中へ導入することにより、該フィルター本体を該触媒ウォッシュコートで被覆する工程;及び
d)該被覆されたフィルター本体を乾燥及び熱処理して、触媒化微粒子フィルターを得る工程、
を含む、上記の方法。
【請求項2】
前記第一の触媒組成物が、鉄及び/又は銅促進ゼオライト、シリカリン酸アルミナ、イオン交換ゼオライト又はシリカリン酸アルミナの少なくとも一つ、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体又はシリカ担体及びそれらの混合物上の酸化タングステンと混合される酸化セリウムのうちの少なくとも一つの触媒担体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼオライトがベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナが、銅で促進されたSAPO 34触媒である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の触媒組成物が、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ及びジルコニア担体の少なくとも一つ上に担持された白金及びパラジウムの混合物を含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記第三の触媒組成物が、菱沸石構造を有する、銅及び/又は鉄促進ゼオライト又は銅及び/又は鉄促進シリカリン酸アルミナを含む、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルターが、長手方向の多孔質壁により分割される複数の長手方向経路、開放インレット端及び栓で塞がれるアウトレット端を有する該経路の分散側、及び栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する該経路の透過側を有する、ウォールフローモノリスの形態である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ウォッシュコートが、前記透過側のアウトレット端から導入される、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記ウォッシュコートが、前記透過側のインレット端が栓で塞がれる前に適用される、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能の触媒化ディーゼル微粒子フィルターに関する。より詳細には、本発明は、公知の選択接触還元(SCR)法による窒素酸化物の除去における活性及び排気ガス中に含有される炭化水素及び一酸化炭素を水及び二酸化炭素に酸化転化し、かつ、該SCRにおいて還元剤として使用された過剰アンモニアを窒素に転化するための酸化活性の両方を有する、触媒化微粒子フィルターの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、触媒化微粒子フィルターであって、そのインレット/分散側及びフィルター壁においてSCR触媒で触媒化され、そして、フィルターのアウトレット/透過側においてアンモニアスリップ触媒で酸化触媒と一緒に触媒化される、該触媒化微粒子フィルターを提供する。
【背景技術】
【0003】
ディーゼル排気は、非燃焼炭化水素に加えて、窒素酸化物(NOx)及び粒状物質を含む。NOx、炭化水素及び粒状物質は、健康及び環境上の危険を示す材料及び化学化合物であり、排気ガスを粒子フィルター及びいくつかの触媒ユニットを通過させることにより、エンジン排気ガスから低減するか又は除去されなければならない。
【0004】
典型的に、これらのフィルターはハニカムウォールフローフィルターであり、その際、粒状物質は該ハニカムフィルターの隔壁上又はそれらの中に捕捉される。
【0005】
当技術分野において開示されている排気ガス浄化システムは、粒子フィルターに加えて、窒素へのアンモニアとの反応による、NOxの選択還元において活性な触媒ユニット以外に、及びディーゼル酸化触媒を含む。
【0006】
SCRで使用するために排気ガス中に噴射された過剰アンモニアを除去するために、公知の多数の排気ガス浄化システムは、アンモニアの窒素への転化に触媒作用を及ぼす下流の触媒ユニット(いわゆる、アンモニアスリップ触媒)を追加的に含む。
【0007】
上述の反応に触媒作用を及ぼす触媒で被覆された多機能のディーゼル微粒子フィルターは、当技術分野において既知である。
【0008】
既知の多機能フィルターにおいては、異なる触媒は、フィルターの異なる区域でセグメント又は区域被覆される。
【0009】
フィルターへの異なる触媒のセグメント又は区域被覆は高価であり、そして製造プロセスが困難である。
【0010】
米国特許出願公開第2010/0175372号明細書(特許文献1)は、一実施形態において、フィルターの分散側にSCR触媒で触媒作用を与え、そして、透過側には、アンモニア酸化触媒及びディーゼル酸化触媒で触媒作用を与えた該フィルターによる、ディーゼル排気ガス処理システムを開示している。SCR触媒は、フィルター基板全体上にウォッシュコートされ、その後、アウトレットフィルターチャネルにおいてアンモニア酸化触媒が適用される。ディーゼル酸化触媒は、アウトレットチャネルにおいて、アンモニア酸化触媒の外層(overlayer)として適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0175372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
公知の技術と比較すると、本発明は、アンモニアでの窒素酸化物の選択還元のための、そして炭化水素、一酸化炭素及び過剰アンモニアを除去するための異なる触媒で触媒化された微粒子フィルターを製造するためのより簡単な方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、次の工程を含む触媒化微粒子フィルターを製造する方法を提供する。
a)分散側及び透過側を有する多孔質フィルター本体を提供する工程;
b)窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒組成物の粒子と共に、一酸化炭素、炭化水素及びアンモニアの酸化において活性な第二の触媒組成物の粒子及び該第二の触媒組成物と組み合わせて、アンモニアの窒素への選択酸化において活性な第三の触媒粒子組成物を一緒に含有する触媒ウォッシュコートを提供する工程であって、該第一の触媒組成物の粒子が、該微粒子フィルターの平均細孔径よりも小さい最頻粒度を有し、そして、第二及び第三の触媒組成物が
、該微粒子フィルターの平均細孔径よりも大きい最頻粒度有する、該工程;
c)該ウォッシュコートを該透過側のアウトレット端中へ導入することにより、該フィルター本体を該触媒ウォッシュコートで被覆する工程;及び
d)該被覆されたフィルター本体を乾燥及び熱処理して、触媒化微粒子フィルターを得る工程。
【0014】
上記及び以下で使用される場合、“インレット端”という語は、未ろ過のガスに接触するフィルターの端部及びチャネルを意味し、そして“アウトレット端”という語は、ろ過されたガスがフィルター本体を出るフィルターの端部及びチャネルを意味する。
【0015】
“分散側”及び“透過側”という語は、ここで使用される際、微粒子を含有する排気ガスに面するフィルターの流路、及びろ過された排気ガスに面する流路をそれぞれ示す。
【0016】
本発明方法の主たる利点とは、フィルターが、異なる反応に触媒作用を及ぼす三種類の触媒処方を含む単一のウォッシュコートで被覆できることである。ウォッシュコートを、透過側のアウトレット端中へ導入する場合、SCR触媒粒子は、多孔質のフィルター壁中へそして透過側へ拡散し、そしてその一方で、炭化水素/一酸化炭素酸化触媒及びアンモニア酸化触媒粒子は、フィルター透過側における隔壁の細孔の外側に保持される。それにより、多機能の触媒化フィルターの製造は、より簡単でかつ安価な製造セットアップという観点でずっと改善される。
【0017】
触媒粒子の混合物の形態の、異なる種類の触媒でフィルターを被覆することのさらなる利点は、改善された熱伝達及び低温始動時の暖機に見られる。その結果、還元剤の噴射及びSCR
のNOx反応除去が、始動後に、これまで知られているよりも早く開始することが可能である。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、NOxの選択接触還元において活性な、ウォッシュコート中の第一の触媒粒子は、ゼオライト、シリカリン酸アルミニウム、イオン交換ゼオライト又は鉄及び/又は銅で促進されたシリカリン酸アルミニウムの少なくとも一つ、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体又はシリカ担体上の酸化タングステンと混合される酸化セリウムの少なくとも一つの触媒担体を含む。
【0019】
本発明における使用に好ましいゼオライトは、ベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトである。
【0020】
本発明における使用に好ましい菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナは、銅で促進されたSAPO 34である。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態によれば、炭化水素、一酸化炭素及びアンモニアの酸化において活性な第二の触媒組成物は、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ及びジルコニアの少なくとも一つ上に担持された白金及びパラジウムの混合物を含む。
【0022】
本発明のさらなる実施形態において、アンモニアの窒素への選択酸化において活性な第三の触媒組成物は、銅及び/又は鉄促進ゼオライト又は菱沸石構造を有する銅及び/又は鉄促進シリカリン酸アルミナを含み、好ましくは、促進ゼオライトはベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトである。
【0023】
本発明において使用するためのウォッシュコートを形成するために、通常粒子の形態の第一、第二及び第三の触媒組成物は、要求される粒度に粉砕されるか又は凝集化され、そして、任意に、バインダー、増粘剤、発泡剤又はその他の処理助剤の添加と共に、水又は有機溶媒中で懸濁される。
【0024】
ウォッシュコートは、第一、第二及び第三の触媒粒子を、単一の懸濁物として懸濁させることによるか、又は三つの異なる懸濁物を調製し、ここで、第一は、SCR触媒粒子、第二は炭化水素/一酸化炭素/アンモニア酸化触媒粒子、及び第三は選択アンモニア酸化触媒粒子であり、そして要求される第一、第二及び第三の触媒粒子を有するウォッシュコートを製造するような体積比でそれら三つの懸濁物を混合することにより製造される。
【0025】
すでに上述したように、フィルターをウォッシュコートで被覆する間に、隔壁中にSCR触媒粒子を効率的に拡散させるために、そして、酸化触媒組成物が透過側から分散側へ拡散するのを防止するために、SCR触媒は、フィルターの平均細孔径よりも小さい平均粒度を有し、そして、アンモニア及び炭化水素/一酸化炭素酸化触媒組成物は、該平均細孔径よりも大きい平均粒度を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、フィルターは、複数の長手方向経路が、長手方向の多孔質壁により分割され、該経路の分散側が、開放インレット端及び栓で塞がれる(pluged with plugs)アウトレット端を有し、そして該経路の透過側が、栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する、ウォールフローモノリスの形態である。
【0027】
フィルター本体は、フィルターを介した真空吸引の適用、ウォッシュコートの加圧又は浸漬被覆を含む慣用法によってウォッシュコートされる。
【0028】
真空ウォッシュコートプロセスを用いる場合、真空は、分散側のインレット端上に作り出される。
【0029】
浸漬被覆プロセスを用いる場合、フィルターは、最初に、透過側のアウトレット端が、ウォッシュコートの浴中に漬けられ、そしてそれに続いて浸される。このプロセスにおいて、透過側のインレット端は、被覆の間栓で塞がれていなくて(unplugged)もよい。
【0030】
本発明はさらに、本発明の上述の実施形態のいずれかに従って製造される、触媒化微粒子フィルターを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明における使用に適したフィルター材料の例は、シリコンカーバイド、チタン酸アルミニウム、コージライト、アルミナ、ムライト又はそれらの組合せである。
【0032】
フィルター上の第一の触媒の量は、典型的に、20〜180g/lであり、そしてフィルター上の第二及び第三の触媒組成物の組み合わせた量は、典型的に、10〜80g/lである。フィルターに投入される(loading)全触媒は、典型的に、40〜200g/lの範囲である。
【0033】
そのように製造されたフィルターの利点とは、別個にフィルター及び触媒ユニットを備える公知の排気ガス浄化システムと比較して、低減された圧力損失及び改善された燃料節約である。
【実施例】
【0034】
約60%の多孔率及び約18μmの壁の平均細孔径を有する、慣用的な高い多孔率の、栓で塞がれた(plugged)SiCウォールフローフィルターが適用される。
【0035】
第一の触媒の懸濁物を、2%銅で促進された100gのシリカリン酸アルミニウムのSAPO−34を、フィルター1リットル当たり200mlの脱塩水中で混合及び分散させることによって製造する。分散剤Zephrym PD−7000及び消泡剤を添加する。懸濁物をビーズミル中で粉砕する。懸濁物の平均粒度は5〜10μmであり、そして、ウォールフローフィルターの壁中の細孔の平均細孔径よりも小さい。
【0036】
第一の工程において、第二の触媒組成物の懸濁物を、フィルター壁の平均細孔径よりも大きい平均粒度のアルミナ粒子上に堆積させた白金パラジウム(モル比3:1)の混合物から製造する。混合物の懸濁物を、20gのこの粉末を、フィルター1リットル当たり40mlの脱塩水中で混合することによって製造する。第二の工程において、第三の触媒組成物の懸濁物を、1.0%銅を有する、フィルター壁の平均細孔径よりも大きい最頻粒度を有するベータゼオライト粉末から、製造する。該懸濁物は、20gの銅ベータゼオライト粉末を、フィルター1リットル当たり40mlの脱塩水に混合及び分散させることにより製造される。分散剤Zephrym PD−7000及び消泡剤を添加する。二つの工程からの懸濁物は、次いで、混合され、そしてさらに分散される。最終的な懸濁物の最頻粒度は、ウォールフローフィルターの壁中の細孔の平均細孔径よりも大きい。
【0037】
組み合わされた第二の触媒及び第三の触媒組成物の懸濁物は、その後、第一のSCR触媒組成物の懸濁物中へ混合され、それにより、最終的なウォッシュコート触媒懸濁物が得られる。
【0038】
最終的な触媒懸濁物は、標準的なウォッシュコート法により、フィルター透過側のアウトレット端からフィルター上にウォッシュコートされる。被覆されたフィルターは、それから乾燥され、そして750℃でか焼される。