特許第5907984号(P5907984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5907984
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】車両のルート及びルート構築方法
(51)【国際特許分類】
   B60M 7/00 20060101AFI20160412BHJP
   H02J 50/00 20160101ALI20160412BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160412BHJP
   E01B 25/28 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   B60M7/00 X
   H02J17/00 B
   B60L11/18 C
   E01B25/28 Z
   B60M7/00 U
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-540330(P2013-540330)
(86)(22)【出願日】2011年11月22日
(65)【公表番号】特表2014-504225(P2014-504225A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2011070716
(87)【国際公開番号】WO2012069494
(87)【国際公開日】20120531
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】1019799.4
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508352595
【氏名又は名称】ボンバルディアー トランスポーテーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】チャインスキー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フィーツケ,オリファー
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05207304(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00289868(EP,A2)
【文献】 特表2001−520962(JP,A)
【文献】 特表2013−514929(JP,A)
【文献】 特表2012−519104(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0129246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60M 1/00− 7/00
E01B 25/28
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート(1)の表面を走行する車両、特に自動車のためのルート(1)であって、
−ルート(1)は、1以上の電線(507、508、509)の複数のラインセクション(310)を位置決め及び/又は保持するための複数の成形ブロック(304)を有し、
−各々の成形ブロックは、空間を形成する凹部(315、316、317)及び/又はラインセクション(310)の少なくとも1を受容するための空間を区切る突起部(319)を有し、
−電線又は電線群(507、508、509)は、空間を通して延在し、
−電線又は電線群(507、508、509)は、ルート(1)上を走行する車両の走行方向に及び/又は近くでルート(1)の表面に沿って延在し、
−成形ブロック(304)及び電線又は電線群(507、508、509)は、ルート(1)のベース層(31)により支持され、
−成形ブロック(304)及び電線又は電線群(507、508、509)は、ルート(1)のカバー層(35)により覆われ、
−カバー層(35)の材料は成形ブロック(304)及びカバー層(35)がベース層(31)の上部に統合層を形成するように前記成形ブロックの横のルートの領域にもまた位置して該成形ブロック(304)の横の領域を形成し、
該成形ブロック(304)の横のカバー層(35)の厚さが該成形ブロック(304)の上部のカバー層(35)の厚さよりも大きいことを特徴とするルート。
【請求項2】
中間層(33)がベース層(31)と統合層(304、35)の間に載置され、中間層(33)は、統合層とベース層(31)を分離、特に振動及び/又は異なる熱膨張/収縮による相対移動を分離することを特徴とする請求項1に記載のルート。
【請求項3】
カバー層(35)の材料は、ラインセクション(37)と凹部(315、316、317)によって形成される及び/又は突起部(319)により区切られる空間の表面との間のギャップを埋めることを特徴とする請求項1又は2に記載のルート。
【請求項4】
成形ブロック(304)とカバー層(35)に同種の材料が使用されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のルート。
【請求項5】
成形ブロック(304)のカバー層(35)に向かう境界面は、異物からきれいにされ及び/又はカバー層(35)の材料が統合層を形成するために成形ブロック(304)の隣に載置される前に部分的に取り除かれることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のルート。
【請求項6】
ルート(1)は、成形ブロック(304)の少なくとも1の表面から突出する第1の突出部(294)を有し、ここで第1の突出部(294)は、カバー層(35)の材料に完全に埋め込まれることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のルート。
【請求項7】
ルート(1)は、成形ブロック(304)の少なくとも1の表面から突出し、隣接する成形ブロック(304)のポケット(290)に入ると第2の突出部を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のルート。
【請求項8】
磁性コア材料(39)は、統合層に統合されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のルート。
【請求項9】
磁性コア材料(39)は、凹部(95)により形成される及び/又は成形ブロック(304)の突出部により区切られるコア空間内に載置されることを請求項8に記載のルート。
【請求項10】
コア空間は、ルート(1)を走行する車両の走行方向に延在することを特徴とする請求項9に記載のルート。
【請求項11】
電気的に導電材料の遮蔽層(20)は、成形ブロック(304)の下部に設置されることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のルート。
【請求項12】
ルート(1)の表面を走行する車両、特に自動車のためのルート(1)を構築する方法であって、以下の工程、
−成形ブロック(304)及び電線又は電線群(507、508、509)を支持するためのルート(1)のベース層(31)を準備する工程、
−1以上の電線(507,508、509)の複数のラインセクション(310)を位置決め及び/又は保持するため複数の成形ブロック(304)を準備する工程、ここで、各々の成形ブロック(304)は、空間を形成する凹部(315、316、31)を及び/又は少なくとも1のラインセクション(310)を受容するための空間を区切る突出部(319)を有し、
−電線又は電線群(507、508、509)を、空間を通して延在するように、及びルート(1)上を走行する車両の走行方向に及び/又は近くにルート(1)の表面に沿って延在するように敷設する工程、
−成形ブロック(304)及び電線又は電線群(507、508、509)を、ルート(1)のカバー層(35)により覆う工程、
−カバー層(35)の材料を成形ブロック(304)とカバー層(35)がベース層の上部に統合層を形成するように前記成形ブロックの横のルートの領域にもまた位置させて該成形ブロック(304)の横の領域を形成する工程
を実行し、
前記成形ブロック(304)の横のカバー層(35)の厚さが前記成形ブロック(304)の上部のカバー層(35)の厚さよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項13】
中間層(33)は、ベース層(31)と統合層(304、35)の間に載置され、中間層(33)は、統合層(31)とベース層(35)を互に分離、特に振動及び/又は異なる熱膨張/熱収縮による相対移動を分離することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ラインセクション(37)と空間の表面との間のギャップは、凹部(315、
316、317)によって形成される及び/又は突起部(319)により区切られ、カバー層(35)の材料により埋められることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
成形ブロック(304)とカバー層(35)に同種の材料が使用されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
成形ブロック(304)のカバー層(35)に向かう境界面は、異物からきれいにされ及び/又はカバー層(35)の材料が統合層を形成するために成形ブロック(304)の隣に載置される前に部分的に取り除かれることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の突出部(294)が準備され、これは成形ブロック(304)の少なくとも1の表面から突出し、第1の突出部(294)は、カバー層(35)の材料に完全に埋め込まれることを特徴とする請求項12から16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
第2の突出部(294)が、成形ブロック(304)の少なくとも1の表面から突出し、隣接する成形ブロック(304)のポケット(290)に入ることを特徴とする請求項12から17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
第2の突出部(291)は、カバー層(35)が成形ブロック(304)及び電線又は電線群(507、508、509)の上に載置される前に、隣り合う成形ブロック(304)のそれぞれのポケット(290)に固定されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
磁性コア材料(39)は、統合層に統合されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
磁性コア材料(39)は、凹部(95)により形成される及び/又は成形ブロック(304)の突出部により区切られるコア空間内に載置されることを請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コア空間は、ルート(1)を走行する車両の走行方向に延在することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
電気的に導電材料の遮蔽層(20)は、成形ブロック(304)の下部に設置されることを特徴とする請求項12から22の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルート及びルート構築方法に関する。車両は、例えば、車両の運転者によって舵を取ることが可能な車輪を有する道路自動車である。しかし、ルートに埋め込まれたレール上を走行する鉄道車両等のルート上を走行するトラックバウンド車両も可能である。
【背景技術】
【0002】
ルートを走行する間、車両は、車両の牽引を生成しない補助装置の駆動のためのエネルギーを必要とする。そのような補助装置として、例えば、照明システム、加熱及び/又は空調システム、換気及び旅客情報システムがある。トラックバウンド車両(例えば、電車等)のみならず、道路自動車は電気エネルギーを使用して動作させることができる。もし、走行中の車両とルートに沿う電気レール又はワイヤの間の連続電気接点が望まれていない場合、電気エネルギーは、オンボードのエネルギー貯蔵から引き出すか、ルートの電気線の配置から誘導によって受け取ることができる。
【0003】
誘導による車両への電気エネルギーの伝達は、本発明の背景を形成する。ルート側(1次側)導体の配置は、電磁場を生成する。電磁場は、車両のオンボードコイル(2次側)で受信され、電磁場は誘導によって電圧を生成する。伝達されたエネルギーは、車両の推進及び/又は他の目的、例えば、エネルギーで車両の補助システム(例えば、加熱と換気システム)を供給するために使用される。
【0004】
一般的に言えば、車両は、電気的に操作される駆動モータを有する車両であっても良い。しかし、車両は、ハイブリッドドライブシステムを備えた車両であっても良い。そのシステムは、例えば、電気エネルギーによって、又は他のエネルギーによって動作させることができる。他のエネルギーは、燃料(例えば、天然ガス、ディーゼル燃料、ガソリン又は水素)を使用して提供されエネルギーである。
【0005】
特許文献1は、電気自動車が車道からエネルギーを供給されるシステムが開示されている。全電気自動車は、例えば、電気機械バッテリのネットワーク等の電流から得られたエネルギーを急速に充電又は供給できる1又は複数のオンボードエネルギー貯蔵要素又はデバイスを有する。エネルギー貯蔵要素は、車両が操作中に充電される。充電は、例えば、トラックに埋め込まれたコイル等の電力結合要素のネットワークを介して生じる。誘導コイルは、乗客の安全性を高めるために、乗員の停留所に配置されている。
【0006】
対照的に、本発明の焦点は、車両がルート上を移動中に車両に連続的にエネルギーを伝達することである。特許文献2は、車両の運行路に沿う1以上の電線の複数のラインセクションを位置決め及び/又は保持するための成形ブロックを開示している。ここで、成形ブロックは複数の凹部及び/又は凸部を有する。ラインセクションの凹部及び/又は凸部のエッジは、各々空間の境界を形成し、そこにラインセクションの1が持ち込まれる。それ故、それは空間の長手方向に延在している。そして、空間の長手方向は、凹部の境界及び/又は凸部の境界によって拘束され、共通の平面内に互いに略平行に延びている。
【0007】
電線に交流電流が流れる場合、運行路を走行する車両の受信機に電流を誘導する電磁場が生成される。成形ブロックは、運行路に電線を敷設することを容易にする。特許文献2は、鉄道車両の鉄道に成形ブロックを統合する方法を開示している。例えば、成形ブロックは、レールの間に配置されている。電線は、ブロックにより規定される空間に載置される。そして、ブロックは蓋で覆われる。
【0008】
特許文献3は、道路上を走行する結合車両に電力を送り、結合車両を誘導的に制御する電気的なモジュラー道路システムを開示している。このシステムは、複数の細長い電気的接続されたインダクタモジュールを有する。インダクタモジュールは、連続した車両路を形成するために、端から端まで離して整列した状態で配置されている。各々のモジュールは、上記道路の表面上に延びる磁界を生成する磁気コアと電力巻線を有する。モジュールは、車両が走行できるように路面と同一の高さで地面に埋め込まれる。各々のモジュールは、最小の労力と装置で路盤に簡単に取り付けられ、容易に数多く生産できるように、均一の幅と厚さの細長い構造である。各々のモジュールは、鉄のコア部を有し、その周りに連続した電力巻線が巻かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 95/30556 A2
【特許文献2】WO 2010031596 A2
【特許文献3】US 4,836,344
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ルート上を走行する車両に走行エネルギーを誘導的に送るための少なくとも1の電線を含む車両にルートを備えることにある。ここで、経路は、堅牢でなければならず、それは、低労力でルートを構築することが可能でなければならない。特に、車両は、電線や電線群が敷設されているルートを横切ることが可能でなければならない。
【0011】
モジュールを覆う蓋を有する特許文献2に開示されているモジュールと配置は、鉄道車両のトラックを構築するのに適しているが、道路車両のルートで使用することを意図していない。
【0012】
特許文献3の開示に関しては、モジュールの配置は、堅牢性の減少と車道の構築及びメンテナンスのための労力を増加するという欠点を含むというのが、本発明の基本的な知見である。モジュールは、ルートに敷設される前に予め製造されるが、連続したモジュール間は、現場で電気的に接続される必要がある。そのため、汚れや水が特に冬場に腐食や亀裂の原因となる。そして、車両がルート上を走行する間に常に生じる振動により増長される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
予め製造された成形モジュール、特に特許文献2に記載された実施の形態のモジュールを使用すること、成形モジュール及びルートが構築される現場に少なくとも1の電線を置くこと、及び成形ブロック及び電線又は電線群をルートのカバー層により覆うことは、本発明の基本的な概念である。特に、カバー層の材料としては、例えば、アスファルト、コンクリート、又は道路を構築するための周知の他の材料等の任意の適切な材料であっても良い。
【0014】
特に、以下が提案されている:ルートの表面を走行する車両、特に道路自動車のためのルートであって:ここで、
−ルートは、1以上の電線の複数のラインセクションを位置決め及び/又は保持するために適合する複数の成形ブロックを有し、
−各々の成形ブロックは、空間を形成する凹部及び/又は少なくともラインセクションの1を受ける空間を区切る凸部を有し、
−電線又は電線群は、空間を通して延在し、
−電線又は電線群は、ルートの表面に沿って、ルート上を走行している車両の走行方向に及び/又は近くに延在しており、
−成形ブロック及び電線又は電線群は、ルートのベース層により支持されており、
−成形ブロック及び電線又は電線群は、ルートのカバー層により覆われており、
−カバー層の材料は、成形ブロックとカバー層がベース層の上部で統合された層を形成するように、成形ブロックの横のルート領域に配置される。
【0015】
カバー層又は少なくとも1の付加的な任意のカバー層は、上部を車両が走行することができる表面を形成する。コンクリートの場合には、単一のカバー層が好ましい。カバー層は、成形ブロックと電線(群)を覆う。そして、成形ブロックの横の領域を形成する。それ故、カバー層の厚さは、成形ブロックの上部のカバー層の厚さに比較して、成形ブロックの横よりも大きい。結果として、成形ブロック及び電線(群)は、カバー層の材料によって固定されている。ルートを構築するこの方法は、実行するのが特に容易である。何故なら、カバー層を製造するための標準的な手順及び機械が、本発明のカバー層を製造するために使用できるためである。
【0016】
特許文献3に開示されている道路建設に比べて、及び同様の構造に比べて、成形ブロックと電線(群)は、統合された層に堅固に統合される。したがって、車両は、通常の運行方向に延在する連続した成形ブロックのラインを横切ることを含め、成形ブロック上を走行することができる。例えば、車両が道路を運行する場合、及び成形ブロックの連続ラインが敷設されているトラックを外す又は結合する場合に相当する。加えて、カバー層は成形ブロックを完全に覆うため、成形ブロック及び電線(群)は、汚れ、水及びカバー層の種類に応じて水分に対して保護される。
【0017】
好ましくは、ルートは、運行方法でルートの連続したセクション間のギャップを含む。ここで、ギャップは、運行方向に対して垂直に延在し、地面の移動による、及び/又は熱膨張及び熱収縮によるルートの連続セクション間の相対的な動きを許容する。一般的に、これらのギャップは、弾性変形可能な材料によって充填される。なお、これらのギャップのうちの少なくとも1は、連続する成形モジュールのギャップと一致することが望ましい。成形モジュールは、ルートの運行方向に延在する連続した成形モジュールのラインの一部分である。さらに、連続する成形ブロックの空間により受け止められている電線又は電線群は、連続するルートのセクション間のギャップ及び/又は連続する成形ブロック間のギャップを横切って連続的に延在する。これは、ギャップで電気的な接続、例えば、電気的なコネクタ又ははんだによる電気的な接続等の異なる電線の接続が無いことを意味する。加えて、電線又は電線群は、例えば、ギャップを横切って連続的に延在する外側層等の電気的な絶縁を形成する連続する外側層を有すること好ましい。絶縁も含めて電線は、一般にある程度弾性変形可能であるので、ギャップを横切って延在する電線は、ギャップの引張又は圧縮変形に対応する仕方で変形する。このルートの好ましい実施の形態は、簡単に実施することができる。最初に連続する成形ブロックを敷く。そして、電線又は電線群を敷き、ギャップを残したままカバー層の材料との配置をカバーする。そして、ギャップを通常の方法、例えば、弾性変形可能な材料で埋めることにより処置する。電線群間のどんな接続も、成形モジュールの長手方向に延長するルートの横の領域、及び/又は成形モジュールのカットアプ又は空洞で好ましく為される。
【0018】
車両の提案ルートに対して、車両のルートを構築する方法が提案されている。ここで、以下の工程が為される。
− 成形ブロックと電線又は電線群を支持するためのルートのベース層を設ける工程、
− 1以上の電線の複数のラインセクションを位置決め及び/又は支持するための複数の成形ブロックを準備する工程、ここで各々の成形ブロックは、空間を形成する凹部及び/又は少なくともラインセクションの1を受ける空間を区切る凸部を有する。
−電線又は電線群を、空間を通して延在するように、及びルート上を走行する車両の走行方向及び/又は近くのルート(ルート群)の表面に沿って延在するように、敷設する工程、
−成形ブロック及び電線又は電線群をルートのカバー層により覆う工程、
−カバー層の材料を成形ブロックの横のルートの領域に、成形ブロック及びカバー層がベース層の上部に統合層を形成するように設置する工程。
【0019】
ルート及び対応する構築方法の実施形態及び利点は互いに従う。
【0020】
ベース層は、任意の適切なベース層、特に砂セメントで作られたベース層であっても良い。カバー層及び/又は成形ブロックの材料は、例えば、リーンコンクリートであっても良い。
【0021】
ベース層と統合層との間に位置する中間層が存在する。この中間層は、統合層とベース層とを互いに分離する。特に、振動を分離するため、及び/又は異なる熱膨張/収縮による相対移動を分離するためである。例えば、中間層は、アスファルトで構成されても良い。
【0022】
このような中間層は、応力を低減し、したがって、統合層の耐久性を増大する。
【0023】
特に、カバー層の材料は、ラインセクションと空間の表面とのギャップを埋めることができる。空間は、凹部により形成され、及び/又は凸部により区切られる。したがって、統合層内の空洞は避けられ、電線又は電線群は、統合層内に固定される。このルートの実施の形態は、特に簡単に実施できる。なぜならば、成形ブロックは最初にサイトに並べることができ、そして電線又は電線群が敷設され、そしてカバー層の材料はギャップを埋めるため、同時にカバー層を形成するために設置されるからである。
【0024】
好ましく、材料の同じ型は成形ブロック及びカバー層に使用される。例えば、成形ブロックがアスファルトで構成されれば、カバー層もアスファルトで構成される。コンクリートの場合、古典手な外装を含まない型のコンクリートが好ましい。むしろファイバコンクリートが好ましい。カバー層に及び成形ブロックに同じ材料を使用することは、同じ種類のコンクリート又は同じ種類のアスファルトを使用することを意味する。
【0025】
統合層は、成形ブロックと同じ種類のカバー層の任意の材料を有するので、物理材料特性は同じであり、したがって、堅牢性及び耐久性は向上する。しかし、成形ブロックとカバー層の相互接続が以下により更に向上させ得る。カバー層に向かって成形ブロックの境界面は、カバー層の材料が統合層を形成するために隣なりの成形ブロックに設置される前に、異物のために洗浄され及び/又は部分的に取り除かれる。もし、成形ブロックの境界面がこのように処理されれば、成形ブロックの材料とカバー層の材料は、カバー層と成形ブロックとの間の境界において付加的な異物なしに、連続した層を形成する。この実施の形態は、成形ブロックの製造は結果として成形ブロックの表面に異物層が形成されることを発見したことに基礎を置いている。
【0026】
成形ブロックとカバー層を有する複合物は、第1の突起部により更に強化され得る。この突起部は、少なくとも1の成形ブロックの表面から突起している。ここで、第1の突起部は、カバー層の材料に完全に埋め込まれている。特別に、第1の突起部は、例えば金属製のアンカーを挿入し固定することで構成することができる。アンカーは、ロッドの形でも良い。ここで、長手方向のロッドの一部は成形ブロックの凹部又は穴部に挿入され、成形ブロックに固定される。特別には、アンカーと凹部又は穴部との間に残っているギャップに接着剤を充填することで固定される。接着剤は、2成分接着剤でも良い。アンカーの他の部分は、それは成形ブロックの境界面から突出しているが、カバー層に埋め込まれる。細長い形状を有するアンカー(例えばロッド)の場合、アンカーの長手方向は、好ましく水平方向又は大凡水平方向に延在している。
【0027】
走行方向に延在する成形ブロックのラインで連続成形ブロック(“隣接成形ブロック”と呼ぶこともできる)の接続のために、同様な実施の形態が提案されている。第2の突起部を有するルートである。この第2の突起部は、成形ブロックの少なくとも1の表面から隣接成形ブロックのポケットに突き出ている。この実施の形態は、前述した第1の突起部が無くとも実現できる。しかし、第2の突起部を成形ブロックに接続する方法及び第2の突起部の種類は、第1の突起部について前述した内容と同じである。特に、アンカーは成形ブロックの凹部又は穴部に挿入されて成形ブロックに固定されても良い。そして、隣接成形ブロックは、第2の突起部又は複数の第2の突起部が、第2の成形ブロックの凹部又は穴部に延びるように第1の成形ブロックの隣に設置される。そして、突起部は第2の成形ブロックに、例えば、2成分接着剤等の接着剤を用いて固定される。
【0028】
統合層には磁性コア材料が統合されている。特に磁性コア材料(例えばフェライト)が成形材料の凹部によって形成された及び/又は成形材料の凸部によって区切られたコア空間に設置される。例えば、溝部が車両の走行方向で成形ブロックの上側に延在しても良い。磁性コア材料は、それぞれのコア空間に最初に設置される。次いで、電線又は電線群がそれぞれの空間に設置される。そして、カバー層が製作される。結果として、磁性コア材料は、上から見た場合、磁性コアを跨る電線(群)のラインセクションの下に設置されるのが好ましい。
【0029】
この実施の形態は、磁性コアの周りに電線(群)を包む必要はないことを発見したこと(特許文献3と比較)に基礎を置く。
【0030】
特に、上述したように、コア空間はルート上を走行する車両の走行方法に延び、電線(群)のセクションはコア空間の拡張と直交して伸びている。例えば、電線又は電線群は、走行方向に伸びる蛇行パスに従う。
【0031】
もし、電線又は電線群より生成される電磁界をシールドするシールド層がEMCの電磁互換性に関する要求を満たすように存在すれば、成形ブロックの下、好ましくは中間層の下に設置される電気的に導電性の材料(例えばアルミニウム)のシールド層をルートが有することは好ましい。例えば、他の電線群又は配管をルートの下の地面に埋めても良い。
【0032】
磁性コア材料及び、付加的にシールド層があることが特別に好ましい。
【0033】
ルートには、導体配置(導体配置は統合層内に配置された電線又は電線群を有する)を操作するために採用された電気及び/又は電子デバイスが具備されている。デバイスの1は、直流電流から交流電流を生成するインバータである。直流電流は、導体配置に電気エネルギーを供給する供給ラインにより搬送される。交流電流は、電磁界を生成するために導体配置により搬送される電流である。比較的高い電力が車両により要求されるので(もし、優先的に推進モータがエネルギーで操作されるなら)、対応するパワーインバータは、熱電力の形で顕著な損失を生み出す。しかし、導体配置を操作する電気及び/又は電子デバイスは、他の種類のデバイスを含む。例えば、導体配置のセクションをスイッチオン及びオフするパワースイッチ、電線又は電線群を介して定電流を供給する定電流デバイス、車両の存在を検知する検知デバイス、複数の電気位相ラインを電気的に接続するスターポイントコネクション及び他のデバイスである。
【0034】
これらのデバイスは、地上で箱又は他のケーシングにアレンジされる。したがって、デバイスによって生成された熱損失は、容易に周囲の空気に転送され得る。しかし、もしデバイスの強制冷却のためにベンチレータを使用するならば、許容できないノイズが結果として発生することになる。更に、町の歴史的な地区では、地上のケーシングは許容されない。したがって、デバイスの少なくとも幾つかは地面に埋める。例えば、ルートの横及び/又は成形ブロックの少なくとも1でのカットアウト又は空洞内である。特別に、成形ブロックのカットアウト又は空洞は、電磁界の環境への放射を減じるために使用される。好ましく、成形ブロックはルート上を走行する車両よりも狭い(走行方向と垂直な方向において)。したがって、車両は、成形ブロックからの及びカットアウト又は空洞内のデバイスからの放射に対して環境をシールドする。例えば、導体配置(例えば以下を参照のこと)の異なる位相ラインのスターポイントコネクションは、カットアウト又は空洞に設置することができる。
【0035】
電磁界を生成するルートの導体配置は、
−車両の走行路に沿って蛇行する仕方で延在する少なくとも1の電線を有する(例えば、走行方向に延在するラインのセクションは、各々の場合、走行方向に対して横方向に延在するセクションが接続される。順番に、そのセクションは、再び、走行方向に延在するセクションが接続される。以下同じ。);複相システムでは、導体配置の全てのラインは、この方法でアレンジされる;”蛇行”の表現は、曲がった形状を有するライン及び/又は隣接するセクションに対して曲がった遷移ゾーンを持つ真っ直ぐなセクションを有するラインをカバーする;真っ直ぐなセクションは好ましい。何故ならそれらはより均一な界を生成するからである。”蛇行する仕方”の別の表現は”曲がりくねり”である。
−少なくとも2の電線を有する。ここで、各々のラインは、交流電流の異なる相を搬送するために採用される。好ましくは、導体配置は3のラインを有し、各々のラインは交流電流の異なる3の相を搬送する;
−複数のセグメントを有する。ここで、各々のセグメントは車両の走行路の異なるセクションに沿って延在する。各々のセグメントは、少なくとも2のラインのセクションを有し、他のセグメントを独立にスイッチオン及びオフするために用いられる。各々のセグメントの相ラインは、連続するセグメントの対応する相ラインに電気的に接続されている(相ラインのシリーズ接続)。代替的に、連続するセグメントの相ラインを互いに絶縁し、例えば、各々のセグメントのセパレートインバータを介して電源に接続し得る(相ラインのパラレル接続)。パラレル接続された相ラインの場合、セグメントの全ての相ラインは、スターポイントで互いに接続される。セグメントの長さは、成形モジュールの長さとは異なる。相の電線を構成するケーブルは、好ましくは、セグメント内で連続したケーブルに接続されない。これは、建設の設立を容易にする。例えば、成形ブロックが準備できる。そして、ケーブルを敷設し、カバー層が確立される。
【0036】
実施例と好ましい位実施の形態は、図面を参照して詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】2のレーンを持つ道路の概略図である。ここで、電線はレーンの1の表面下に予め製作された成形ブロックを用いて敷設されている。
図2】ルートの好ましい実施の形態の縦断面図である。例えば、図1で示した道路の部分である。
図3図2に分解図である。
図4】成形ブロックの好ましい実施の形態の斜視図である。これは、電線、特にケーブルを支持する支持要素として使用できる。
図5】図に示した成形ブロックの上面図である。
図6図4及び図5のブロックの半分の縦断面図である。
図7図4から図6の2のブロックを整列させたものの上面図である。
図8】導体配置の連続するセグメントを示す。これは、ルート内に統合され、電磁界を生成する。
図9図4に示すブロックと同様の成形ブロックを示す。ただし、導体配置をマウントするのを容易にするためにカットアウトを有する。
図10】導体配置の2の連続するセグメントの遷移ゾーンにおける3相導体配置の好ましい実施の形態を示す。ここで、少なくとも1の成形ブロックのカットアウトは、ケーブルをルート内でデバイス及び/又はルートの横のコネクタに導くために使用される。
図11図10に示した導体配置と同様の導体配置を示す。ここで、カットアウトは、連続するセグメントの3相の2のスターポイント接続に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、2のレーン19a、19bを持つ道路1の魏略上面図を示す。レーン19は、外側マージンで実践3a、3bにより区切られている。そして、ラインセグメント9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9hでなる共通の破線で区切られている。その結果として、走行方向は、図1では右から左又は左から右に延在する。レーン19の幅は、車両がレーン19a又はレーン19bを走行できるように、又は2の車両がレーン19上を隣同士で走行できるように十分大きい。
【0039】
1のレーン、即ちレーン19aは、電磁界を生成するために導体配置7a、7b、7cが具備されている。導電体7(例えば導体配置のそれぞれのセグメントの3相ライン)及び成形ブロック4、これは所定の位置に導電体を保持する、はもし道路を上から見た場合、実際には見えない。しかし、図1は導電体7及び連続する成形ブロック4a、4b、4c、4d、4e、4f、4gを示している。連続する成形ブロックのラインは、図1のリミットを越えて右方向へ連続している。導体配置は、少なくとも3の連続するセグメント7a、7b、7cを有し、それらは互いに分離して操作できる。これは、例えば、導電体7aは、車両(図示していない)がセグメント上を通過する間、操作されることを意味する。一方、他のセグメント7b、7cは操作されない。もし車両がセグメント7に到達した場合、このセグメントはスイッチオンされ、セグメント7aはスイッチオフされる。対応するスイッチ及び/又はインバータは、図1の上部領域に示されているデバイス52、52b、52c内に統合されている。
【0040】
導電体7の好ましい敷設方法は、蛇行路(群)を形成することである。これは、導電体は走行方向と直交して延在するセクションを有することを意味する。例えば、導電体7aは、成形ブロック4aにおいて3の横方向に延在するセクションを有し、連続するブロック4bへの遷移ゾーンにおいて、1の横方向に延在するセクションを有し、ブロック4bの領域では3の横方向に延在するセクションを有し、導電体7aがデバイス52bに接続されているブロック4cにおいて1の横方向に延在するセクションを有する。実際には、導体配置の各々のセグメントに対して少なくとも2の相を使用することが好ましい。
【0041】
図1の中央部分に、走行方向に対して横方向に延在する2の平行ラインが存在する。これらのラインは、ルートセグメントの終端のラインであり、相対移動及び/又は熱膨張又は収縮を許容するために互いの間にギャップ200を有する。ギャップ200は、2の成形ブロック4c、4dの間に位置しており、導電体7bはギャップ200を横切って延在する。ギャップ200は、ビチューメン等の弾性変形可能な材料で埋められる。
【0042】
図2は、ルートの好ましい実施の形態の縦断面を示す。ここで、ルート上を走行する車両の走行方向は、図2の紙面に垂直な方向に延在する。図2は、図1のレーン19aの断面を示し、デバイス52が示されている図1の上部領域に位置する緊急レーンの断面も示す。図2で示される緊急レーンは符号29が付されている。緊急レーン29の右側で横に、1のデバイス52が示されている。
【0043】
レーン19aは、ベース層31を有する。これは、例えば、厚さ20cmの層を持つ。ベース層31の上部には電気的に導電性のある材料(アルミニウム板等)が敷かれている。例えば、厚さは5mmである。層20の目的は、電時間を遮蔽するためである。即ち、層20の下部の電磁波が行かないようにする、又は減ずるためである。層20は、レーン19aの幅よりも狭く、層20の上部に載置された成形ブロック4の幅の範囲にある。
【0044】
遮蔽層20は、例えば、厚さが5cmの中間層33に埋め込まれる。中間層33の上部には、電線17を保持するために成形ブロック4が設置される。保持は、例えば、図1に示した配置と同様に蛇行する仕方で保持される。ブロック4は、例えば、15cmの厚さを持つ。電線17は、図2に示すように、ブロック4から下方へ向い中間層33の上部表面及び緊急レーン29を通り、デバイス22へ接続されている。
【0045】
ブロック4は、カバー層35に埋め込まれている。そして、20cmの厚さを持つ。付加的に、トップ層37がレーン19a及び緊急レーン29の表面を形成するように準備される。
【0046】
ベース層31は、レーン19aの全幅に亘り延在する。緊急レーン29は、同じ材料のベース層31aを持つ。しかし、例えば8cm程度少ない厚さを有することが好ましい。カバー層35は、レーン19aの全幅に亘り延在する。このことは、それはブロック4の両側に領域を持ち(前述した言い方では、成形ブロックの横の領域)、ブロック4の横のカバー層35の厚さが、ブロック4の上部のカバー層35の厚さよりも厚いことを意味する。緊急レーン29は、一定の厚さを有する同じ材料のカバー層35aを有する。しかし、導電体17の遮蔽のために、電気的な絶縁材料、例えばアルミニウム(例えば、1cmの厚さを有する)がカバー層35aの底部に導電体17に直接接触して載置される。緊急レーン29の全幅に亘り延在する遮蔽層21により、周囲に放射される電磁波は顕著に減じられる。もし、導体配置のセグメントが、車両がセグメントを走行中にだけ操作されるなら、車両は導体配置により生成される電磁界から周囲を遮蔽する。したがって、緊急レーン29と成形ブロック4との間の導電体17のセクションを遮蔽することは、結果として小さな改善である。
【0047】
ベース層は砂セメントで構成される。中間層33は、アスファルトで構成される。成形ブロック4及びカバー層33はファイバコンクリートで構成される。
【0048】
図3は、図2で示した構造に対応するレーン19aの構造の分解図である。同じ符号は、同じ構造の部品を指す。
【0049】
中間層33が製作される前に遮蔽層20が準備されるので、中間層33は、遮蔽層20が位置する凹部24を有する。
【0050】
同様に、成形ブロック4内の凹部は、上方を向いており、電線37a、37b、37cのセクションを包含する。そして、ブロック4の中央部の凹部95内に磁性コア材料39を包含する。そして、図3の上部領域に図示した材料ポーション41a、41b、41cを受ける。これらの材料領域は、好ましく電線セクション37間にギヤップを残したまま、又は磁性コア材料39及び凹部の壁部が全部埋められ又は略全部埋められる。
【0051】
図4は、成形ブロック304の斜視図を、図5は、成形ブロック304の上面図を示す。ここで、成形ブロックは、成形ブロック304を2に分割するセンターライン310に垂直に延在する6つの凹部315a−315fを有する。センターライン310は、もしブロック304が車両のためのルート部分を形成するなら、車両の走行方向に延在する。
【0052】
凹部315は、互に平行であり、図5の紙面に平行な同一水平面内に整列されている。凹部315は、幅方向(図5内の垂直方向)にブロック304の全幅の略3/4に亘り延在している。それらはセンターライン310に対して対象に配置されている。
【0053】
各々の凹部は、ケーブルを受容するためU字型の断面を有する。凹部315に沿って延在する図5内の波線は、凹部315のセンターラインである。直線凹部315の相対する2の端部には、双股に分岐した曲った凹部領域316が存在している。凹部領域316は、ブロック304の横方向端部に沿って延在する外面直線凹部317への遷移領域を形成している。ケーブルは、直線凹部315から曲った凹部領域316を通って外面直線凹部317へ連続して延在する仕方で敷設され得る。したがって、延在方向が走行方向に垂直な方向から走行方向に平行な方向に変化する。電線群(ケーブル)の配置の例は、図10図11に示されており後述される。
【0054】
曲った凹部領域316は、凹部315を通って延在するケーブルを、もし凹部315の直線方向から見た場合に、右又は左に連続するように載置し得る。例えば、ケーブル(図4及び図5に示されていない)は、凹部315bを通って延在し、右に曲り−凹部領域316を介して延在するが−そして、曲り凹部領域316の反対側で凹部315に対して垂直に延在する直線凹部317を通って延在する。ブロック304の反対側には2の外面凹部領域317が存在する。ケーブルは、凹部315eの端部で凹部領域316を介して右側に曲る。そして、凹部315eを通って延在する。凹部315eの端部で、これは図5の下部の部分に示しているが、ケーブルは、凹部領域316を介して他の直線凹部317に再び左に曲げられる。他の凹部315は、2の他のケーブルで使用される。
【0055】
図6に示す様に、凹部315、316、317の深さは異なる。凹部315の深さは1のケーブルを受容するのに十分である。曲がった凹部316の深さは、図6の破線で示す様に、凹部315の端部から凹部317へと増加している。曲がった凹部領域316の底の形状は、図6では十分に示されていない。何故ならば、断面は凹んでいないブロック304の領域319を含むからである。各々の曲がった凹部領域316は、曲がった凹部領域316の2の曲がった枝部の間に位置する島領域319を有する。枝部の1は、図6の紙面の上部に延在し、他の枝部は図6の紙面の下部に延在する。加えて、島領域319は、直線凹部317と曲がった凹部領域316の2の枝部の間に位置する。
【0056】
曲がった凹部領域316の深さが、直線凹部317に向かって増加しているので、他のケーブルの上に異なるケーブルが敷設できる。直線凹部317の深さは、同一方向に延在して互いの上に2のケーブルを配置し得るのに十分である。例えば、第1のケーブルを、図5で下側の凹部317を介して延在させ、図5の底部左側に示される凹部領域316を介して凹部315bに左に曲げて入れることができる。加えて、第2のケーブルは、凹部315aを介して延在し、凹部317に曲げることができる。したがって、(もし上から見れば)第1のケーブルと交差する。
【0057】
上述の電線又はケーブルの延長に関する例は、3の蛇行するケーブルの敷設に関する1の特定の応用にも当てはまる。しかし、図4から6に示した成形ブロック304の使用法は、この応用に限定されない。むしろ、例えば、図5と6に示したブロック304を用いて、3以下又は3以上のケーブルを敷設することができる。
【0058】
図4に示すブロック304の横表面は、凹部、特に穴部290a、290b、292a、292b、292cを有する。他の凹部は、図4では見えない横表面に位置している。示した例では、走行方向(図4の右側)に延在する横表面は、3の凹部292a、292b、292cを有する。全ての凹部292は、アンカー294a、294cを含む。ここで、凹部292bのアンカーは示していない。アンカー294は、横表面から突起部として延びる。カバー層が304の横の領域を埋めるために準備されると、アンカー294はカバー層の材料により埋め込まれる。
【0059】
走行方向に面する横表面の凹部290a、290bは、アンカー291を有する。ここで、図4では凹部290aのアンカーは示されていない。これらのアンカーは、隣接するブロック(図示していない)が横表面の近くに置かれる前に、凹部290内で固定される。隣接するブロックは、アンカー291が隣接するブロックの対応する凹部に挿入される様に、ブロック304の横表面に向かって移動される。次に又は直前に、アンカー291と対応する凹部のギャップを埋めるために、隣接するブロックの対応する凹部に充填材が導入される。充填材は、2成分接着剤でも良い。
【0060】
図7は、図4から6で示した型の2のブロックを示す。ブロック304a、304bは互いに隣接しており、ギャップ320で分離された、電線を受容するための凹部の連続路又は略連続路を形成している。2のブロック304は、図7では示されていないが図1に示した仕方で、他の更なる連続するブロックと共に走行方向に延在する。
【0061】
各々のブロック304a、304bは、走行方向に面する端部表面324、325を有する。図7で右側に面している端部表面を符号325で表示している。反対側に面している端部表面は324で表示している。端部表面324、325の間のギャップ320は、ブロック304a、304bが真っ直ぐな方向に延在する場合には一定の幅を持つ。ルートの僅かに曲がった路に追従するために、端部表面324,325は、互いに角度付けされる。代替的に、端部表面は、センター領域からブロックの反対側に後退する仕方で延在しても良い。“後退”は、端部表面が全体として単一平面内に延在していないことを意味する。むしろ、ブロックのセンターラインの反対側の部分が、曲がっている又は互いに対して所定の角度で配置された平面に沿って延在している。
【0062】
溝部295(図5、6では示されていないが図4に示されている)は、ブロック304のセンターラインで走行方向に延在している。磁性コア材料は、溝部295内に、凹部315、316、317内に置かれた電線又はケーブルの磁性アを形成するために載置され得る。明細書中で”コア“は、電線がコアの周りに捲かれていることは意味していない。電線により生成される電磁界の磁力線はコア内に束ねられること意味している。すなわち、磁束がコア内で特別に高い。電線は、凹部315内で横に延びるので、凹部315の下部領域では、磁力線のセクションは、コアの長手方向(走行方向)に延びる。しかし、図10と11に示す電線の配置では、電線は、各々のポイントで、走行方向に延びる磁極の繰り返しシーケンスを同時に生成する。ここで、繰り返しシーケンスは、3相のシーケンスに対応する。例えば、U、V、W相を持つ3相交流の場合、U相を搬送する凹部315aは、V相を搬送する凹部315bが続いている。凹部315bは、順に、W相を搬送する凹部315cが続いている。U、V、W相のこのシーケンスは、走行方向に数回繰り返される。
【0063】
図8は、車両(図示していない)の走行路(左から右又はその逆)に沿って延在する導体配置の6のセグメント157aから157fを示す。セグメント157は、互いに独立して操作され得る。それらは、互いに電気的に並列接続されている。車両は、セグメント157の1以上によって生成される電磁界を受信するための受信デバイスを有しても良い。例えば、もし車両の受信デバイスがセグメント157c上に位置している場合、少なくともこのセグメント157cは、電磁界を生成するため、そして車両にエネルギーを供給するために操作される。更に、車両は、セグメント157から十分なエネルギーが受信できない場合に車両を操作するために使用されるエネルギー貯蔵を有しても良い。
【0064】
2の連続するセグメント157間の各々のインタフェースで、インバータ152から152eが空洞の中に、好ましくはルートの横の地面内に載置され、準備されている。図8には、DC(直流)電力供給ライン141a、141bも示されている。それは、直流を生成する電力ステーション等のエネルギー源151に接続されている。
【0065】
図9は、図4のブロック304の形状を有する成形酢ロック4040を示す。ただし、ブロックの一方の横にカットアウト341を有する点が異なる。以下で述べるように、これは、所定の位置でブロックにより保持される電線から成る導体配置の完成を容易にする。図4と9で、同一符号は同じ部品を指す。図4の横表面の凹部292の1、すなわち292bは、ブロック4040ではない。何故ならば、対応する領域はカットアウト341の部分だからである。しかし、凹部292a、292c内のアンカーは、ブロック404とカバー層の隣接する領域との間で十分な強度を提供する。
【0066】
図10は、図9のカットアウト341に対応するカットアウト609の1の使用法を示す。図10は、連続する成形ブロックの配置の横限界504を破線で示している。しかし、連続する成形ブロック間の限界は示していない。
【0067】
導体配置507a、507b、507c;508a、508b、508cは、3相の導体配置である。すなわち、図10に示す導体配置の2のセグメントの各々は、3相交流電流の3相を導電する3相ラインを有している。3相の内1は単一線で示している。3相の内2番目は2重線で示している。そして、3相の内3番目は3重線で示している。全ての電線は、走行方向(左から右又はその逆)の蛇行する仕方で延在している。図10で示されている領域は、導体配置の連続する2のセグメントの遷移領域である。各々のセグメントは、互いに独立して操作され得る。しかし、セグメントは、同時に操作することも可能である。図10は、基礎概念、すなわち連続するセグメントの重ねあう領域の概念の好ましい実施の形態を示す。
【0068】
図10の左側に示すセグメントは、相ライン507a、507b、507cを有する。これらの相ラインの左から右の延伸に続いて、カットアウト609に到達する各々の相ラインは、成形ブロックの連続するラインから離れて相ライン507を操作するためのデバイス(示していない)に導かれる。例えば、相ライン507bは、カットアウト609が終端しているカットアウト609に到達する。相ライン507bと対象的に、相ライン507a、507cは、成形ブロックのラインの反対側からカットアウト609に向かって延在するラインセクションを持つカットアウト609に到達する。
【0069】
3相ライン各々は、走行方向と横切る方向に延在するラインセクションを有する。これらの横に延びるセクションは、走行方向に繰り返しの相のシーケンスを形成する。例えば、第1の相ライン507のセクションに第2の相ライン507bのセクションが続く、第2の相ライン507bのセクションには第3の相ライン507cのセクションが続く。以下同様である。この相ラインの繰り返されたシーケンスを続けるために、隣接するセグメントの相ライン508b(第2の相ライン)は、カットアウト609を介して、カットアウト609に到達する他のセグメントの第1の相ライン507aと第3の相ライン507cの間に横に延在するラインセクションを形成するように導かれる。換言すれば、第2のセグメントの第2の相ライン508bは、相ラインの繰り返されたシーケンスを連続させるために、第1のセグメントの第2の相ライン507bと置き換えられる。第2のセグメントの他の相ライン、すなわち第1の相ライン508aと第3の相ライン508cは、カットアウト609を介して、相のシーケンスが、走行方向に拡張が考慮される場合、図10の左側の第1のセグメントと同じになるように導かれる。
【0070】
図9を参照すると、ブロック404のカットアウト341は、ブロック404の上部から底部まで延在し、このカットアウト341は、相ライン(図9では図示していない)を凹部315、316から下方へ導くため、そして上述したデバイスに向かって成形ブロック404から離すために使用される。カットアウトは、カバー層が生成されるとカバー層の材料で満たされる。これは、これらのデバイスからの相ラインの成形ブロックに向う接続は、成形ブロック404の上部のカバー層の材料の厚さに比べて厚いカバー層の材料の層でカバーされることを意味する。したがって、相ラインの接続は十分に保護される。
【0071】
図11は、連続する成形ブロックのラインのカットアウト609の第2の使用法を示す。図10図11で同一の符号は同じ部品及び要素を指す。
【0072】
図11は、2の連続するセグメント、例えば、図10の右側に示したセグメントと導体配置の更なるセグメントとの遷移領域を示す。この更なるセグメントの相ラインは、509a(第1の相ライン)、509b(第2の相ライン)、及び509c(第3の相ライン)で示している。図11の実施の形態では、カットアウト609は、各々のセグメントの3相間の電気的接続を確立するための領域として使用されている。すなわち、各々のセグメントに対しスターポイント接続が為されている。スターポント接続は511a、511bで示されている。好ましく、スターポイント511の位置は、相ラインのラインセクションよりカバー層の上部表面に対して、より大きな距離を置いた位置である。ここで、相ラインは、成形ブロックによって境界が定められる凹部又は空間内に位置している。したがって、スターポイント接続は十分に保護される。
【0073】
導体配置の異なる相ラインの電気的接続を確立するための少なくとも1の成形ブロックのカットアウトを使用するアイデアは、図11に示したものに限定されない。むしろ、相ラインの蛇行敷設が異なっても、セグメント毎の相ラインの数が異なっても、相ラインが異なる方法で配置されても、又は図11の実施の形態に比較して他の特徴により他の実施の形態が異なっても良い。何れにしても、カットアウトが、電線及び/又は同一セグメントの相ライン及び/又は連続するセグメントの相ラインの電気的接続を確立するために使用されるのが好ましい。連続するセグメントの相ラインが互いに接続されると、これらのセグメントは、並列ではなくシリーズに接続される。
【符号の説明】
【0074】
1 ルート
20 遮蔽層
31 ベース層
33 中間層
35 カバー層
37 ラインセクション
39 磁性コア材料
95 凹部
291 第2の突起部
294 第1の特起部
304 成形ブロック
315、316、317 凹部
319 突出部
310 ラインセクション
507、508、509 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11