(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1A〜
図4は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
図1Bは、
図1Aに示す構造のIB−IB線断面図である。
図2Bは、
図2Aに示す構造のIIB−IIB線断面図である。
図3Bは、
図3Aに示す構造のIII−III線断面図である。
【0015】
本実施形態では、
図1Bに示すように、第1基板10を用意する。第1基板10は光透過性を有する材料からなる。第1基板10にゲート配線12を形成する。ゲート配線12は、薄膜トランジスタのゲート電極として機能する部分を有し、銅などの金属からなる。第1基板10の全面に金属膜を形成し、金属膜をエッチングしてゲート配線12を形成することができる。ゲート配線12を覆うように、第1基板10にゲート絶縁膜14を形成する。ゲート絶縁膜14は無機材料(例えばSiN)からなる。
【0016】
図1A及び
図1Bに示すように、ゲート絶縁膜14上に、半導体パターン16及び金属パターン18を形成する。半導体パターン16は、薄膜トランジスタの半導体層を形成するときに同時に同じ材料(アモルファスシリコンなどの半導体)から形成することができるが、薄膜トランジスタの一部ではない。ゲート絶縁膜14の下にはゲート配線12が配置されているため、ゲート絶縁膜14の表面には、ゲート配線12の厚みによって凸部が形成されている。このため、ゲート絶縁膜14の表面には段差が形成されるので、段差を小さくするために半導体パターン16がゲート絶縁膜14上に形成されている。半導体パターン16は、ゲート絶縁膜14を介して、ゲート配線12と立体交差するように配置されている。
【0017】
金属パターン18は、間隔をあけて並列する複数の配線20(データ配線ともいう)を含む。配線20は、ゲート配線12と立体交差するように形成される。詳しくは、配線20は、ゲート配線12、ゲート絶縁膜14及び半導体パターン16と重なる部分と、ゲート絶縁膜14及び半導体パターン16と重なるがゲート配線12とは重ならない部分と、ゲート絶縁膜14と重なるがゲート配線12及び半導体パターン16とは重ならない部分と、を含む。
【0018】
金属パターン18は、相互に分離(電気的に絶縁)されたドレイン電極22及びソース電極24を含む。ドレイン電極22及びソース電極24の一方は配線20と接続されている。ドレイン電極22と接続された配線20をドレイン配線ともいう。ドレイン電極22及びソース電極24は半導体層上に載って、薄膜トランジスタを構成している。
【0019】
半導体パターン16は、金属パターン18(配線20)の下に積層された第1部分26と、第1部分26から金属パターン18(配線20)の外側にはみ出す第2部分28と、を有するように形成する。第1部分26は配線20と接触している。半導体パターン16の第2部分28は、隣同士の配線20の間の領域の下方に位置する。第2部分28は、第1部分26と一体的に形成されている。
【0020】
次に、金属パターン18及び半導体パターン16を覆う絶縁層30を形成する。絶縁層30は無機材料(例えばSiO2)からなる。
【0021】
図2A及び
図2Bに示すように、絶縁層30上にエッチングレジスト32を配置する。エッチングレジスト32は、フォトレジストからなり、フォトリソグラフィによってパターニングして形成する。
【0022】
図3A及び
図3Bに示すように、絶縁層30をエッチングする。エッチングは、エッチングレジスト32をマスクとして行う。詳しくは、絶縁層30の、金属パターン18(詳しくはドレイン電極22及びソース電極24の一方)の上方の第1領域33と、半導体パターン16の少なくとも第2部分28の上方の第2領域35と、に対してエッチング(例えばドライエッチング)を行う。
【0023】
エッチング工程で、第1領域33では絶縁層30をエッチングして金属パターン18(詳しくはドレイン電極22及びソース電極24の一方)との電気的接続のための貫通穴34を形成する(
図3A参照)。また、第2領域35では絶縁層30及び半導体パターン16をエッチングして、半導体パターン16の第2部分28を除去する(
図3B参照)。これにより、隣同士の配線20の下にある第1部分26が分離される。
【0024】
エッチングは、半導体パターン16を超えてゲート絶縁膜14に至るように行ってもよい。ただし、ゲート絶縁膜14を構成する材料(例えばSiN)に対するエッチングスピードが、半導体パターン16を構成する材料(例えばアモルファスシリコン)に対するエッチングスピードよりも遅ければ、エッチングがゲート絶縁膜14を貫通する前にエッチングを止めることが容易になる。
【0025】
本実施形態によれば、半導体パターン16の第2部分28の除去を、電気的接続のための貫通穴34を形成する工程で行うので、工程を増やすことなく、半導体パターン16を適切に処理することができる。詳しくは、半導体パターン16の第2部分28が隣同士の配線20の間に残っていたので、第2部分28に光が入るとキャリアが発生して隣同士の配線20が導通するおそれがあったが、第2部分28を除去するので導通を防止することができる。また、導通を防止するために隣同士の配線20の間隔を拡げる必要もない。
【0026】
図4に示すように、エッチング工程後に、第2部分28が除去されて形成されたスペースを絶縁材料(無機材料又は有機材料)で埋めて第1パッシベーション膜36を形成する。第1パッシベーション膜36は、絶縁層30上に載るように形成する。
【0027】
IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であれば、第1パッシベーション膜36上に第1電極38を形成する。そして、第1電極38を覆うように第1パッシベーション膜36上に第2パッシベーション膜40を形成し、その上に第2電極42を形成する。第1電極38及び第2電極42の一方が画素電極であり、他方が共通電極である。画素電極及び共通電極は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料から形成する。
【0028】
第1変形例として、
図5に示すように、第2部分28が除去されて形成されたスペースを避けてカラーフィルタ層44を形成し、第2部分28が除去されて形成されたスペースを絶縁材料(無機材料、有機材料、カラーフィルタ用材料又は遮光性材料)で埋めてパッシベーション膜37を形成してもよい。パッシベーション膜37は、カラーフィルタ層44上に載るように形成する。IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であれば、カラーフィルタ層44上に第1電極38を形成する。そして、第1電極38を覆うようにカラーフィルタ層44上にパッシベーション膜37を形成し、その上に第2電極42を形成する。第1電極38及び第2電極42の一方が画素電極であり、他方が共通電極である。
【0029】
第2変形例として、
図6に示すように、第2部分28が除去されて形成されたスペースを埋める絶縁材料として、カラーフィルタの少なくとも1色の着色層46を形成する材料を使用してもよい。例えば、カラーフィルタ層44の隣同士の着色層46の端部同士で、第2部分28が除去されて形成されたスペースを埋める。そして、カラーフィルタ層44上にパッシベーション膜37を形成する。その他の構成は
図5に示す例と同じである。
【0030】
さらに変形例として、
図4に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図7に示すように、パッシベーション膜39上に画素電極48を形成する。あるいは、
図5に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図8に示すように、パッシベーション膜39上に画素電極48を形成する。また、
図6に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図9に示すように、パッシベーション膜39上に画素電極48を形成する。
【0031】
その後、液晶表示装置の公知の製造プロセスを行うことで、液晶表示装置を製造することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
図10A〜
図12は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
図10Bは、
図10Aに示す構造のXB−XB線断面図である。
図11Bは、
図11Aに示す構造のXIB−XIB線断面図である。
【0033】
本実施形態で、第1基板10、ゲート配線12及びゲート絶縁膜14については、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0034】
図10A及び
図10Bに示すように、ゲート絶縁膜14上に、半導体パターン116及び金属パターン118を形成する。また、半導体パターン116と同じ層に、薄膜トランジスタの半導体層を形成する。これらの形成方法の概要(図示省略)は、半導体膜及び金属膜を積層して形成し、同一のエッチングレジストを使用して、半導体膜及び金属膜に対して複数回のエッチングを行うというものである。この方法では、同一のエッチングレジストを使用するため、その形成のためのフォトリソグラフィの回数が1回で済む。ただし、金属パターン118に対してはサイドエッチングが進行するため、
図10Bに示すように、金属パターン118が、その下の半導体パターン116よりも小さくなる。その詳細は、公知であるため説明を省略する。
【0035】
金属パターン118全体の下には半導体パターン116が存在している。したがって、金属パターン118は、ゲート配線12、ゲート絶縁膜14及び半導体パターン116と重なる部分と、ゲート絶縁膜14及び半導体パターン116と重なるがゲート配線12とは重ならない部分を含む。しかし、第1の実施形態とは違って、金属パターン118には、半導体パターン116とは重ならない部分は存在しない。
【0036】
金属パターン118は、配線120(データ配線ともいう)を含む。配線120は、ゲート配線12と立体交差するように形成される。金属パターン118がドレイン電極122及びソース電極124を含むことは、第1の実施形態と同じである。
【0037】
半導体パターン116は、金属パターン118(配線120)の下に積層された第1部分126と、第1部分126から金属パターン118(配線120)の外側にはみ出す第2部分128と、を有するように形成する。第1部分126は配線120と接触している。半導体パターン116の第2部分128は、配線120の幅方向の両側にはみ出す。第2部分128は、第1部分126と一体的に形成されている。
【0038】
次に、金属パターン118及び半導体パターン116を覆う絶縁層130を形成する。絶縁層130は無機材料(例えばSiO2)からなる。そして、絶縁層130上にエッチングレジスト132を配置する。エッチングレジスト132は、フォトレジストからなり、フォトリソグラフィによってパターニングして形成する。
【0039】
図11A及び
図11Bに示すように、絶縁層130をエッチングする。エッチングは、エッチングレジスト132をマスクとして行う。詳しくは、絶縁層130の、金属パターン118(詳しくはドレイン電極122及びソース電極124の一方)の上方の第1領域133と、半導体パターン116の第2領域135と、に対してエッチング(例えばドライエッチング)を行う。第2領域135は、半導体パターン116の第1部分126及び第2部分128並びに第1部分126上の金属パターン118の上方にある。
【0040】
エッチング工程で、第1領域133では絶縁層130をエッチングして金属パターン118(詳しくはドレイン電極122及びソース電極124の一方)との電気的接続のための貫通穴134を形成する(
図11A参照)。また、第2領域135では絶縁層130及び半導体パターン116をエッチングする。そして、第1部分126上の金属パターン118をマスクとして、第1部分126を残すように、半導体パターン116の第2部分128を除去する。エッチングの詳細は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0041】
本実施形態によれば、半導体パターン116の第2部分128の除去を、電気的接続のための貫通穴134を形成する工程で行うので、工程を増やすことなく、半導体パターン116を適切に処理することができる。
【0042】
詳しくは、配線120の外側に残っていた半導体パターン116の第2部分128は、光の散乱が生じるため、これを覆うように幅の広いブラックマトリクスを形成しなければならなかったが、第2部分128を除去するのでブラックマトリクスの幅を狭くすることができる。これにより、開口率の低下を避けることができる。
【0043】
図12に示すように、エッチング工程後に、第2部分128が除去されて形成されたスペースを絶縁材料(無機材料又は有機材料)で埋めて第1パッシベーション膜136を形成する。第1パッシベーション膜136は、絶縁層130上に載るように形成する。
【0044】
IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であれば、第1パッシベーション膜136上に第1電極138を形成する。そして、第1電極138を覆うように第1パッシベーション膜136上に第2パッシベーション膜140を形成し、その上に第2電極142を形成する。第1電極138及び第2電極142の一方が画素電極であり、他方が共通電極である。画素電極及び共通電極は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料から形成する。
【0045】
第1変形例として、
図13に示すように、第2部分128が除去されて形成されたスペースを避けてカラーフィルタ層144を形成し、第2部分128が除去されて形成されたスペースを絶縁材料(無機材料、有機材料、カラーフィルタ用材料又は遮光性材料)で埋めてパッシベーション膜137を形成してもよい。パッシベーション膜137は、カラーフィルタ層144上に載るように形成する。IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であれば、カラーフィルタ層144上に第1電極138を形成する。そして、第1電極138を覆うようにカラーフィルタ層144上にパッシベーション膜137を形成し、その上に第2電極142を形成する。第1電極138及び第2電極142の一方が画素電極であり、他方が共通電極である。
【0046】
第2変形例として、
図14に示すように、第2部分128が除去されて形成されたスペースを埋める絶縁材料として、カラーフィルタの少なくとも1色の着色層146を形成する材料を使用してもよい。例えば、カラーフィルタ層144の隣同士の着色層146の端部同士で、第2部分128が除去されて形成されたスペースを埋める。そして、カラーフィルタ層144上にパッシベーション膜137を形成する。その他の構成は
図13に示す例と同じである。
【0047】
さらに変形例として、
図12に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図15に示すように、第2パッシベーション膜140上に画素電極148を形成する。あるいは、
図13に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図16に示すように、パッシベーション膜139上に画素電極148を形成する。また、
図14に示す例をVA(Vertical Alignment)方式に変形するには、
図17に示すように、パッシベーション膜139上に画素電極148を形成する。
【0048】
その後、液晶表示装置の公知の製造プロセスを行うことで、液晶表示装置を製造することができる。
【0049】
[第3の実施形態]
図18は、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置を示す図である。
【0050】
本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法では、第1の実施形態及び第2の実施形態の少なくとも一方で説明した工程を行う。その後、第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板50との間に、シール52に囲まれて封止されるように液晶54を配置する。
【0051】
液晶表示装置は、薄膜トランジスタが形成された第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板50と、第1基板10と第2基板50の間に配置された液晶54と、第1基板10と第2基板50の間で液晶54の周囲に配置されたシール52と、を含む。
【0052】
第1基板10には、半導体パターン216及び金属パターン218が、半導体パターン216が金属パターン218の下に積層されるように形成されている。半導体パターン216及び金属パターン218は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した半導体パターン16,116及び金属パターン18,118の内容が該当する。
【0053】
半導体パターン216(第1部分226)の側面と金属パターン218(配線220)の側面が面一になっている。これら側面は絶縁材料236によって被覆されている。第1の実施形態及び第2の実施形態で説明したように、絶縁材料236によって、パッシベーション膜又はカラーフィルタ層などを形成する。第1部分226及び配線220は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した第1部分26,126及び配線20,120の内容が該当する。絶縁材料236は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した第1パッシベーション膜36,136、パッシベーション膜37,39,137,139、着色層46,146を構成する材料の内容が該当する。
【0054】
本実施形態によれば、半導体パターン216が金属パターン218(配線220)からはみ出さないので、配線220を狭ピッチで配列することができる。
【0055】
[第4の実施形態]
図19は、本発明の第4の実施形態に係る液晶表示装置を示す図である。
【0056】
本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法では、第1の実施形態及び第2の実施形態の少なくとも一方で説明した工程を行う。
【0057】
詳しくは、金属パターン318は、シール52で囲まれる領域内に位置する複数の第1配線320を含む。複数の第1配線320は、隣同士の間隔をあけて並列している。半導体パターン316のパターニングプロセスで、隣同士の第1配線320の間の領域の下方に第2部分(
図1Bの第2部分128参照)が位置するのでこれを除去する(第2の実施形態参照)。半導体パターン316及び金属パターン318の詳細は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した半導体パターン16,116及び金属パターン18,118の内容が該当する。
【0058】
本実施形態では、シール52で囲まれる領域の外側(外気に晒される領域)では、本発明を適用しない。すなわち、金属パターン318は、シール52で囲まれる領域の外側に位置する複数の第2配線322を含む。複数の第2配線322は、隣同士の間隔をあけて並列している。隣同士の第2配線322の間の領域の下方に半導体パターン316の第3部分356が位置するが、これは除去せずに残す。
【0059】
その後、第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板50との間に、シール52に囲まれて封止されるように液晶54を配置する。
【0060】
液晶表示装置は、薄膜トランジスタが形成された第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板50と、第1基板10と第2基板50の間に配置された液晶54と、第1基板10と第2基板50の間で液晶54を囲むように配置されたシール52と、を含む。
【0061】
第1基板10には、半導体パターン316及び金属パターン318が、半導体パターン316が金属パターン318の下に積層されるように形成されている。半導体パターン316及び金属パターン318は、シール52に囲まれた領域からシール52に囲まれた領域の外側に至るように形成されている。
【0062】
シール52に囲まれた領域では、半導体パターン316の側面と金属パターン318の側面が面一になっている。これら側面は、絶縁材料によって被覆されていないとしても、液晶54の封止領域内にあるため、外気からは遮断されている。
【0063】
シール52に囲まれた領域の外側では、半導体パターン316が金属パターン318(第2配線322)の下に積層された第1部分326と金属パターン318からはみ出す第3部分356を有している。第3部分356は、上述したように除去される第2部分328とは異なり、除去されずに残る部分である。すなわち、シール52に囲まれた領域の外側では、半導体パターン316の金属パターン318からはみ出した部分を除去する工程を行わないため、その上の絶縁層330がエッチングされない。したがって、絶縁層330によって、第2配線322は被覆された状態になっている。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。