特許第5908050号(P5908050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニムの特許一覧

<>
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000002
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000003
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000004
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000005
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000006
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000007
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000008
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000009
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000010
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000011
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000012
  • 特許5908050-異種LIGA法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908050
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】異種LIGA法
(51)【国際特許分類】
   C25D 1/00 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
   C25D1/00 381
   C25D1/00 341
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-228619(P2014-228619)
(22)【出願日】2014年11月11日
(62)【分割の表示】特願2011-533655(P2011-533655)の分割
【原出願日】2009年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-52171(P2015-52171A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】08167767.6
(32)【優先日】2008年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】レイ−メルメット・ギルス
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−106079(JP,A)
【文献】 特開2006−082477(JP,A)
【文献】 特開2003−220364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00〜 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属材料製の第1の要素にして、第2の金属材料製の第2の要素に挿入された第1の金属材料製の第1の要素を少なくとも含んでいる金属微細構造を製造する方法であって、
a)導電性ストライク面を備える基板を設けるステップと、
b)前記基板の導電性面をポジ型フォトレジストとしての第1の感光性樹脂層で被覆するステップと、
c)前記第1の感光性樹脂層を所望パターンのキャビティに対応するマスクを介して照射するステップと、
d)前記第1の感光性樹脂層を現像して前記導電性面を露出するアパーチャを形成し第1の樹脂モールドを得るステップと、
e)前記第1の樹脂モールドの前記アパーチャに第1の金属材料を電解メッキすることによって、第1の要素を電鋳するステップと、
f)前記第1の要素のまわりの前記第1の樹脂モールドを除去して、前記基板の前記導電性ストライク面を露出するステップと、
g)前記露出された導電性面と前記第1の要素をネガ型フォトレジストとして第2の感光性樹脂層で被覆するステップと、
h)前記第2の感光性樹脂層を所望パターンのキャビティに対応するマスクを介して照射するステップと、
i)前記第2の感光性樹脂層を現像して前記第1の要素と前記導電性ストライク面を露出するアパーチャを形成して第2の樹脂モールドを得るステップと、
j)前記第2の樹脂モールドの前記アパーチャに第2の金属材料を電解メッキすることによって、第2の要素を電鋳し、前記金属微細構造を形成するステップと、
n)前記金属微細構造の上面を平滑にするステップと、
k)前記基板及び前記第2の樹脂モールドから前記金属微細構造を分離するステップと
が含まれ、かつ前記第1の要素は、第2の要素内の装飾用インサートである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
第1の金属材料製の第1の要素にして、第2の金属材料製の第2の要素に挿入された第1の金属材料製の第1の要素を少なくとも含んでいる金属微細構造を製造する方法であって、
a)導電性ストライク面を備える基板を設けるステップと、
b)前記基板の導電性面をポジ型フォトレジストとしての第1の感光性樹脂層で被覆するステップと、
c)前記第1の感光性樹脂層を所望パターンのキャビティに対応するマスクを介して照射するステップと、
d)前記第1の感光性樹脂層を現像して前記導電性面を露出するアパーチャを形成し第1の樹脂モールドを得るステップと、
e)前記第1の樹脂モールドの前記アパーチャに第1の金属材料を電解メッキすることによって、第1の要素を電鋳するステップと、
f)前記第1の要素のまわりの前記第1の樹脂モールドを除去して、前記基板の前記導電性ストライク面を露出するステップと、
g)前記露出された導電性ストライク面と前記第1の要素をネガ型フォトレジストとして第2の感光性樹脂層で被覆するステップと、
h)前記第2の感光性樹脂層を所望パターンのキャビティに対応するマスクを介して照射するステップと、
i)前記第2の感光性樹脂層を現像して前記第1の要素と前記導電性ストライク面を露出するアパーチャを形成して第2の樹脂モールドを得るステップと、
j)前記第2の樹脂モールドの前記アパーチャに第2の金属材料を電解メッキすることによって、第2の要素を電鋳し、前記金属微細構造を形成するステップと、
k)前記基板及び前記第2の樹脂モールドから前記金属微細構造を分離するステップと、
n)前記金属微細構造の上面を平滑にするステップと
が含まれ、かつ前記第1の要素は、第2の要素内の装飾用インサートである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
ステップe)及び/またはステップj)の前に、前記基板上に存在する前記樹脂の表面を清浄にし、活性化するためのプラズマ照射ステップが含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基板に、ステップk)を促進するための犠牲層も含まれることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記基板がシリコン、ガラス、または、セラミック材料によって形成されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記導電性ストライク面がクロム層と金層のスタックから形成されることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記基板が、前記導電性ストライク面を形成するステンレス鋼または金属によって形成されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
複数の微細構造が同じ基板上に同時に製造されることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属が金、白金、パラジウム、銀、又は、ロジウムである、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第2の金属がニッケル、銅、金、銀、ニッケル−鉄、又は、ニッケル−リンである、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UVフォトリソグラフィ及び電解メッキによって金属部品を製造する方法に関するものである。本発明は、とりわけ、第2の金属製の第2の要素に挿入された第1の金属製の第1の要素を少なくとも含んでいる部品を製造するためのこのタイプの方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
UVフォトリソグラフィ及び電解メッキによって金属部品を製造する最良の既知方法は、LIGA−UV技術に基づく方法である。もともと、LIGA(Lithographie Galvanik Abformung)技術は、Karlsruhe Kernforschungszentrum(ドイツ)のW.Ehrfledによって1980年代に開発されたものである。この技術は、高精密金属微細構造の製造にきわめて有利であることが立証されている。
【0003】
LIGA技法の原理は、導電性基板または導電性コーティングを施した基板に感光性樹脂層を被着させることと、所望の微細構造の輪郭と形状一致するマスクを通してシンクロトロンでX線照射を実施することと、現像する、すなわち、感光性樹脂の非照射部分を物理的または化学的手段で除去して、微細構造の輪郭を備えるモールドを形成することと、一般にはニッケルである金属を感光性樹脂モールドに電解メッキし、その後、モールドを除去して、微細構造を離型することにある。
【0004】
得られる微細構造の質は申し分ないが、高価な装置(シンクロトロン)を導入する必要があるので、この技法は単位コストを低くしなければならない微細構造の大量生産には適合しない。
【0005】
これが、LIGA法に基づくが、ただし、紫外線照射(UV)感光性樹脂を用いる同様の方法が開発された理由である。先行技術文献の1つにこのタイプの方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。この論文には、ポリイミドベースの感光性樹脂モールドに金属を電解メッキして、金属構造を製造する方法が開示されている。この方法には、
− 基板上に、後続の電解メッキステップに備えて、犠牲金属層とストライク層を形成するステップと、
− 感光性ポリイミドの層を塗布するステップと、
− 所望の微細構造の輪郭に形状一致するマスクを通してポリイミド層にUV照射するステップと、
− ポリイミド層の非照射部分を溶解して現像し、ポリイミドモールドが得られるようにするステップと、
− 前記モールドの上部までモールド開放部分にニッケルを電解メッキするステップと、
− 犠牲層を除去し、得られた金属構造を基板から分離するステップと、
− ポリイミドモールドを除去するステップが
含まれている。
【0006】
この先行技術の方法に従って得られた微細構造は、単一金属製の金属微細構造であるが、とりわけ、時計製造用途にとっては必ずしも最適ではない。実際のところ、美的、摩擦学的、または、より一般的には機械的理由から、第2の金属製部分に挿入された少なくとも1つの第1の金属製部分から構成されるバイメタル微細構造を製造するのが有利である可能性がある。
【0007】
通常、こうしたバイメタル微細構造を製造するため、第1の金属製の1つ(または複数)のインサートが、はめ込み、圧着、ねじ込み、または、スタンピング作業によって第2の金属製の部分に従来の方法で付加される。
【0008】
先行技術文献の1つには、フォトリソグラフィによる部品の製造と、インサートの付加と、電鋳を混合した方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法には、少なくとも2つの要素、すなわち、フォトリソグラフィとガルバニック成長(電解析出)によって得られる要素と、別の製造法によって得られる要素を組み合わせることが必要とされ、
− マスクを通して基板に塗布された感光性樹脂層を照射するステップと、
− 感光性樹脂層を現像して、重合樹脂モールドを形成するステップと、
− 別の製造法によって得られた付加要素を重合樹脂モールド内に配置するステップと、
− 樹脂モールドの底部から金属層を電解メッキして、金属層によって付加要素の全てまたは一部が保持されるようにするステップと、
− 付加要素を保持する金属層から基板を分離し、重合樹脂モールドを除去することによって部品を得るステップが
含まれている。
【0009】
上記の方法の終了時には、付加要素が製造された部品に既に挿入されていることは明らかである。従って、その後のはめ込み、圧着、ねじ込み、またはスタンピング作業を省略することができる。
【0010】
説明したばかりの方法には、いくつかの欠点がある。インサートは、他の場所から付加される要素によって形成されるので、高レベルの精度で樹脂モールド内に配置しなければならない。前述の先行技術文献によれば、付加要素の精密位置決めは、重合樹脂モールドの特定の構成によって実現する。実際、その文献によれば、樹脂層は、そのいくつかの部分が付加要素のガイドとして機能することができるように構成されている。この方法では、製造される微細構造の形状の選択がかなり制限されることになるのは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1,916,567号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】A.B.Frazier他、「Metal Microstructures Fabricated Using Photosensitive Polyimide Electroplating Molds」、Journal of Microelectromechanical Systems、1003年6月、第2巻、第2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、第1の金属製の第1の要素であって、第2の金属製の第2の要素に挿入された第1の金属製の第1の要素を少なくとも含んでいるバイメタル部品を、製造するための方法を提供することにある。この方法によれば、インサートの位置決めにおいて微小標準の精度が可能になり、その一方で、微細構造の形状に関して可能性のある選択の自由が最大になる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、
a)導電面を備える基板を設けるステップと、
b)導電面を感光性樹脂の第1の層で被覆するステップと、
c)所望のパターンのキャビティに形状一致するマスクを通して感光性樹脂の第1の層を照射するステップと、
d)感光性樹脂の第1の層を現像して、第1の層にアパーチャを形成し、従って第1の樹脂モールドが得られるようにし、第1の樹脂モールドのアパーチャによって基板を導電面を露出させるステップと、
e)第1の樹脂モールドのアパーチャに第1の金属を電解メッキすることによって第1の要素を電鋳するステップと、
f)第1のモールドを形成する感光性樹脂を除去することによって基板の導電面を露出させるか、または、代替案として、第1の感光性樹脂層上に微粒金属層を堆積させて、新しい導電面を形成するステップと、
g)露出した導電面と第1の要素を新しい感光性樹脂層で被覆するステップと、
h)所望のパターンのキャビティと形状一致するマスクを通して新しい感光性樹脂層を照射するステップと、
i)新しい感光性樹脂層を現像して、この層にアパーチャを形成し、従って、新しい樹脂モールドが得られるようにし、新しい樹脂モールドのアパーチャによって第1の要素及び基板の導電面または新しい導電面を露出させるステップと、
j)新しい樹脂モールドのアパーチャに第2の金属を電解メッキすることによって第2の要素を電鋳するステップと、
k)基板から第2の要素を分離し、新しいモールドを形成する感光性樹脂を除去することによって、第2の要素を取り出すステップが含まれることを特徴とする、
UVフォトリソグラフィ及び電解メッキによる金属部品の製造方法に関するものである。
【0015】
本発明の方法によれば、インサートが、部品の残りの部分と同じ技術で製造されるのは明らかである。従って、この方法の第1の利点は、第1の金属製のインサート(換言すれば、第1の要素)を第2の要素に対して完全にLIGA技法に特有の微小標準の精度で位置決めすることができるという事実にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明による方法の他の特徴及び利点については、非制限の単なる例として示され、付属の図面に関連して行われる下記説明を読むことでより明確になるであろう。
図1】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図2】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図3】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図4】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図5】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図6】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図7】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図8】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図9】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図10】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図11】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
図12】本発明の方法の特定の実施に関するさまざまな方法ステップを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、この方法には、導電面を備えた基板を用いるステップが含まれている。図に示す特定の実施例において、基板1は、真空メッキによって導電層2(図1)をあらかじめ被着させたシリコン、ガラス、または、セラミックウェーハによって形成される。この導電層2は、後続の電解メッキ中、ストライク層すなわち陰極として機能することを目的としている。一般に、ストライク層2は、金または銅の層で被覆されたクロムまたはチタンの下層から形成することが可能である。
【0018】
不図示の変形態様によれば、後続の基板からの部品の分離を容易にするため、まず第1に、他の層との結合度または付着度が低い層が基板上に被着させられる。犠牲層と呼ばれるこの層は、この方法の終了時に基板から多層金属構造を分離できるように、容易に破壊することが可能である。犠牲層は、例えば、真空メッキによってアルミニウムから製造することが可能である。犠牲層の厚さは、ほぼ1/10ミクロン程度とすることが可能である。さらにもう1つの変形態様によれば、同じメタライゼーション層によって、犠牲層の機能とストライク層の機能の両方を果たすことが可能である。さらに、真空メッキを用いて、犠牲層を形成する代わりに、第1のストライク層に電解メッキすることによって犠牲層を形成することも可能である。
【0019】
代替案として、基板はステンレス鋼または他の金属板によって形成することが可能である。こうした状況では、導電層を被着させる必要がないのは明らかであろう。しかしながら、ストライク層は、一般に使用前に清浄化しなければならない。
【0020】
次のステップ(図2)は、基板の導電面を第1の感光性樹脂層3で被覆することにある。この例では、この第1の層に用いられる樹脂は、Shipley S1818またはTOK C−1000のような標準的ポジ型フォトレジストである。このタイプの感光性樹脂によって、フォトリソグラフィで構造化可能な層が作製される。これらの層の厚さは、一般に、2〜5ミクロンの範囲内であり、C−1000の場合には約20ミクロンにまでなる可能性がある。
【0021】
代替案として、MicroChem Corporationから入手可能なSU−8を選択することも可能である。この樹脂は、紫外線の作用によって重合するように企図されたネガ形フォトレジストを形成する。SU−8の利点は、フォトリソグラフィによって構造化することが可能な、かなり厚い層を形成する点にある。SU−8の欠点は、ガルバニック成長によって得られた金属要素を取り出す際に、より除去しにくいという点にある。従って、数ミクロン未満の厚さのインサートを製造したいという場合には、ポジ型感光性樹脂を選択するのが望ましい。何があろうと、本発明が特定のタイプの感光性樹脂に制限されるものでないことは明らかである。当該技術者であれば、UVフォトリソグラフィに適したあらゆる既知の樹脂からその要求にかなう感光性樹脂を選択する方法を承知しているであろう。
【0022】
樹脂3は、例えば、樹脂膜の回転塗布、シリンダ塗布、または、積層等のような当該技術者にとって既知の任意の技法を用いてストライク層2上に被着させることが可能である。厚さ及び用いられる技法によっては、1回であるいは数回かけて樹脂を被着させることが可能になる。
【0023】
本説明の内容をなす本発明の特定の実施例によれば、ステップb)の後、樹脂層3は、溶剤を蒸発させるのに十分な時間にわたって90〜95℃に再加熱される(プリベーク)。しかしながら、当該技術者には明らかなように、用いられる樹脂の性質によっては、この加熱ステップが不要の場合もある。
【0024】
この方法の次のステップ(図3)は、未来の金属インサートの輪郭を決めるマスク4のアパーチャ(開口)を通して紫外線で樹脂層を照射することにある。このUV照射は、例えば365及び410nmで強度がピークになるフォトリソグラフィマスクアイライナ(不図示)を用いて実施することが可能である。照射の度合いは樹脂の厚さによって決まる。それは、一般に365nmの波長で測定して200〜1,000mJ/cm2である。UV照射によって誘発される重合を完全なものにするには、ポストベークステップが必要になる可能性がある。この例で用いられるようなポジ型フォトレジストの場合、ポストベークステップは、90〜95℃で数分間にわたって実施するのが望ましい。その後、露光領域3aは適合する現像液を用いて溶解することができる。しかしながら、露光(重合)していない領域3bは、ほぼ全ての現像液に感応しなくなる。
【0025】
この方法の次のステップ(図4)は、第1の感光性樹脂層3を現像することにある。この例の場合、用いられるフォトレジストはポジ型である。これらの状況において、フォトレジストの現像は、フォトレジストにエッチングを施し、露光領域3aを溶解して、基板1の導電層2を露出させることを意味する。しかしながら、ネガ型フォトレジストの場合、溶解されるのが非露光領域3bになるのは明らかである。当該技術者であれば、感光性樹脂メーカの取扱説明書に基づいてフォトレジスト現像段階に適した現像液を選択する方法が分かっているであろう。有利な変形態様によれば、次のステップに備えて、短時間のプラズマ照射で、樹脂モールド3bを適切に清浄化し、その表面を活性化することによって、現像ステップを完遂することが可能である。表面を活性化すると、電解メッキのストライク及び規則性が改善される。
【0026】
この方法の次のステップ(図5)は、第1の樹脂モールド3bのアパーチャに第1の金属を電解メッキすることによって第1の要素5(または、換言すると、1つまたは複数のインサート)を電鋳することにある。この例の場合、インサートは金製である。しかしながら、当該技術者には明らかなように、他の多くの金属を用いることが可能である。装飾的な効用のあるインサートについては、とりわけ、白金、パラジウム、銀、及び、ロジウムを挙げることができる。当該技術者であれば、メッキされる金属または合金に応じて、とりわけ、浴組成、システムの幾何学的構成、電流、電圧、及び、濃度といった電解メッキのための条件を決める方法を承知しているであろう。例えば、1984年に米国、ニューヨークのVan Nostrand Reinhold Company Incから出版されたElectroplating Engineering Handbook第4版のDi Bari G.A.による「electroforming」(L.J.Durneyの指導の下における)を参照することが可能である。
【0027】
本発明の方法の第1の変形態様によれば、この方法の次のステップ(図6に示す)は、第1のモールド3bを形成する重合樹脂を除去することによって、第1の要素5を取り出すことにある。当該技術者であれば、電鋳要素5を形成する金属またはストライク層2の金属にエッチングを施すことなく、樹脂モールド3bを除去するのに適した浴を選択する方法を承知しているであろう。場合によっては、樹脂を完全に除去するため、プラズマエッチングを利用して、試薬液の使用を完全なものにするか、あるいは、それに取って代わるようにすることが必要になるかもしれない。特にモールドがSU−8製である場合には概ねそういうことになる。
【0028】
第2の変形態様(図には示されていない)によれば、第1の要素5を取り出す代わりに、付着層と呼ばれる金属層が、第1のモールド3bの上部によって形成される面と、形成されたばかりの要素5に真空メッキされる。付着層の働きは、後続の第2の要素の電鋳に備えて新しい導電性ストライク面を形成することにある。
【0029】
この方法の次のステップ(図7)は、新しい感光性樹脂層7によって導電面2と第1の要素5を被覆する(あるいは代わりに新しい導電面を被覆する)ことにある。用いられる樹脂は、MicroChemから商品番号SU−8で入手可能な八官能価のエポキシ樹脂(既述)が望ましい。この樹脂は、米国特許第4,058,401号に開示のようなトリアリールスルホニウム塩から選択された光開始剤も有している。この樹脂は、紫外線の作用で重合するように企図されたネガ型フォトレジストを形成する。しかしながら、当該技術者には、本発明の範囲から逸脱することなく、SU−8の代わりに任意の他の(ポジ型またはネガ型)感光性樹脂を利用可能であることは明らかであろう。
【0030】
樹脂7は、例えば、回転塗布、シリンダ塗布、または、薄膜樹脂であれば積層といった当該技術者には既知の任意の技法を用いてストライク層2に被着させることが可能である。感光性樹脂層3の厚さは、一般に150〜600ミクロンの範囲内である。厚さ及び用いられる技法によっては、1回であるいは数回かけて樹脂を被着させることが可能になる。
【0031】
この方法の次のステップ(図8)は、所望のパターンのキャビティと形状一致するマスク8を通して、紫外線で新しい感光性樹脂層を照射することにある。SU−8のようなネガ型フォトレジストの場合、非露光領域7aは、その後適合する現像液を用いて溶解させることが可能である。しかしながら、露光(重合)領域7bは、ほぼ全ての現像液に感応しなくなる。UV照射によって誘発される重合を完全なものにするには、ポストベークステップが必要になる可能性がある。SU−8のようなネガ型フォトレジストの場合、ポストベークステップは、数分〜数時間に及ぶ可能性のある時間期間にわたって90〜95℃で実施するのが望ましい。
【0032】
この方法の次のステップ(図9)は、新しい感光性樹脂層を現像する、すなわち、その非露光領域を溶解して、新しい樹脂モールド7bを形成することにある。新しいモールドのアパーチャによって、第1の要素5と基板の導電面2が露出する。ステップ(d)の場合と同様、後続ステップに備えて、短時間のプラズマ照射で、樹脂モールドを適切に清浄化し、その表面を活性化することによって、現像ステップを改良することが可能である。
【0033】
この方法の次のステップ(図10)は、新しい樹脂モールド7bの1つまたは複数のアパーチャに第2の金属を電解メッキして、第2の要素10を電鋳することにある。この方法に用いられる2つの金属を慎重に選択することによって、当該技術者は、バイメタル部品に所望の美的または機械的特性を与えることが可能になる。これに関して、「金属」にはもちろん合金が含まれる。一般に、第2の金属は、ニッケル、銅、金、銀、ニッケル−鉄、ニッケル−リンを含むグループから選択されることになる。
【0034】
当該技術者には明らかなように、本発明は装飾用途に制限されるものではない。第2の金属製の第2の要素に挿入される第1の金属製の第1の要素の効用は、機械的または摩擦的効用の場合もある。一例を挙げると、その裏側に極めて高密度の材料で作られたインサートを配置した金属製の時計の針を作ることが可能である。このインサートは、指針のカウンタウェイトとして用いられる。特定の実施形態の1つによれば、ニッケル製の針(密度8.9)は、例えば、カウンタウェイトとして大型の金製のインサート(密度19.3)を備えることが可能である。明記しておかねばならないのは、カウンタウェイトとして用いられるインサートは、その重量が所望の効果を生じるのに十分であるように極めて厚い(約100ミクロンを超える)のが望ましいという点である。
【0035】
第2の要素10の電鋳が済むと、ラップ研磨またはバフ研磨によってその上面を平滑にすることが必要になる可能性がある。基板の剛率によっては、この平滑化作業が、電解メッキ直後のバイメタル部品が基板から分離される前に行われる場合もある。
【0036】
この方法の次のステップ(図11)は、第2の要素を基板から分離し、新しいモールドを形成する感光性樹脂を除去することによって、第2の要素を取り出すことにある。有利な変形態様の1つによれば、まず第1に、樹脂モールドと先行ステップ中に電鋳されたバイメタル部品によって形成されるアセンブリが基板から取り外される。しかしながら、当該技術者には明らかなように、代替変形態様の1つによれば、まず第1にモールドを形成する重合樹脂を除去し、その後で基板からバイメタル部品を分離することが可能である。
【0037】
基板がシリコンウェーハから形成される場合、水酸化カリウム(KOH)またはTMAH浴でウェーハを溶解させることによって、除去することが可能である。基板がガラスまたはセラミックウェーハによって形成される場合、ウェーハを溶解することは不可能である。従って、基板の分離は犠牲層で行われなければならない。基板は、この方法の最初に形成された犠牲層の性質に応じて、犠牲層を溶解するか(例えば、犠牲層がアルミニウム製であればKOHを用いて)、逆に、化学薬剤を用いずにただ単に犠牲層を層間剥離させることによって、バイメタル部品から分離することが可能である。用いられる材料によっては、犠牲層を省くことも可能である。とりわけ基板が無垢の金属板である場合には、これが当てはまる。こうした金属板は、理論上は、ただ単に層間剥離によってバイメタル部品及び樹脂モールドから取り外すことが可能である。
【0038】
バイメタル部品及び樹脂モールドを基板から取り外してしまうと、重合樹脂モールドも除去して、金属部品を取り出さなければならない。
【0039】
この説明の内容をなす例において、この方法には、さらに、ラップ研磨またはバフ研磨作業によってバイメタル部品の上面を平滑にすることにある最後のステップ(図12)が含まれる。
【0040】
付属の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、この説明の内容をなす実施例に対して、当該技術者には明らかな各種修正及び/または改良を施すことが可能であることも明白である。明らかに、いくつかの同じかまたは異なるバイメタル部品を同じ基板上に同時に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…基板、2…導電性ストライク面、3…第1の感光性樹脂層、3a…露光領域、3b…第1の樹脂モールド、4…マスク、5…第1の要素、7…新しい感光性樹脂層、7a…非露光領域、7b…新しい樹脂モールド、10…第2の要素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12