(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908062
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】プラスチック製の車両構造要素とその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
B60N2/68
【請求項の数】6
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-504189(P2014-504189)
(86)(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公表番号】特表2014-510675(P2014-510675A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】EP2012001096
(87)【国際公開番号】WO2012139689
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2013年12月5日
(31)【優先権主張番号】102011017281.5
(32)【優先日】2011年4月15日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】グロッス、 ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー、 ハンス−ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】パルチュリ、 スリーニヴァス
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06423388(US,B1)
【文献】
米国特許第06056366(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の車両構造要素(1)であって、
前記車両構造要素(1)は少なくとも1つの炭素繊維強化領域(2)と、前記少なくとも1つの炭素繊維強化領域(2)とは重複しない少なくとも1つのガラス繊維強化領域(3)とを有し、
前記車両構造要素(1)は座部のクッションシェルであり、
前記少なくとも1つの炭素繊維強化領域(2)は前記座部の大腿部レストの領域に延びる、車両構造要素(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの炭素繊維強化領域(2)及び前記少なくとも1つのガラス繊維強化領域(3)は、三次元形状に成形されている、請求項1に記載の車両構造要素(1)。
【請求項3】
前記炭素繊維及び/又はガラス繊維は、織物、マット、レイドスクリーン、編地又はかぎ針編み生地及び/又はこれらの構造の組み合わせとして存在する、請求項1又は2に記載の車両構造要素(1)。
【請求項4】
前記炭素繊維強化領域(2)は、ガラス繊維で強化された車両構造要素の領域よりも高い機械的負荷を受ける車両構造要素の領域に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両構造要素(1)。
【請求項5】
前記炭素繊維強化領域(2)と前記ガラス繊維強化領域(3)は、縁同士を突合わせて設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両構造要素(1)。
【請求項6】
直接的長繊維熱可塑性樹脂(DLFT)プレス成形法に基づいてプラスチック製の車両構造要素(1)を製造する方法であって、
炭素繊維強化領域(2)及びガラス繊維強化領域(3)を作るべく前記プラスチックを炭素繊維及びガラス繊維によって補強するステップと、
前記プラスチックの予備加熱した状態の塊を、金型において前記炭素繊維強化領域(2)及び前記ガラス繊維強化領域(3)に対応する別個の箇所に配置するステップと、
プレス機を用いて前記塊を所望の形状に変えるステップと、
前記車両構造要素(1)を完成した状態で前記金型及び前記プレス機から取り外すステップと
を含み、
前記車両構造要素(1)は座部のクッションシェルであり、
前記炭素繊維強化領域(2)は前記座部の大腿部レストの領域に延びる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の車両構造要素に関する。本発明はさらに、プラスチック製の車両構造要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両構造体では、車両の重量を低減する努力が続けられている。この点で、特に金属構造部品は、プラスチック製の繊維強化車両構造要素に置き換えるべきである。プラスチック製の繊維強化車両構造要素を製造する方法又はこのタイプのプラスチック構造要素は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3から知られている。しかしながら、それらに記載されるプラスチック製の繊維強化車両構造要素は、製造に比較的コストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第19548854号明細書
【特許文献2】欧州特許第0782909号明細書
【特許文献3】欧州特許第0782909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、金属構造要素と置き換えることができ、製造が容易且つ安価であるプラスチック製の繊維強化車両構造要素を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくとも1つの炭素繊維強化領域と少なくとも1つのガラス繊維強化領域とを有するプラスチック製車両構造要素により達成される。
【0006】
本発明は、プラスチック製の補強された車両構造要素に関する。これは特に、車両内装設計分野において提供されるプラスチック製の車両構造要素である。車両構造要素は、今日まで金属から製造されてきた部品に取って代わる部品である。車両構造要素は、本発明の文脈の中では、装飾的機能だけでなく、車両内の軸受機能をも有する任意の部品である。例として、本発明に従って補強され且つプラスチックで作られた車両構造要素は、フロントシート及び/又はリアシートの背もたれ又は座部の構造部品、及び/又はダッシュボードの構造部品、及び/又は車両ドアの構造部品、及び/又は車両ドアパネル及び/又はクロスメンバ及び/又は車体部分の構造部品である。特に、本発明に係るプラスチック製の車両構造要素は、車両シートのフレームの一部である。また、プラスチック製の補強された車両構造要素は、シート下部構造とすることができる。しかしながら、車両の他の構造要素もまた、本発明に係る車両構造要素として提供されることができる。
【0007】
本発明によれば、プラスチック製の車両構造要素は補強されており、炭素繊維で強化された少なくとも1つの領域とガラス繊維で強化された少なくとも1つの領域とを有する。炭素繊維及びガラス繊維は、任意の所望の長さ又は任意の所望の厚さを有することができる。炭素繊維及びガラス繊維は、有向性又は無向性であることができる。炭素繊維及び/又はガラス繊維は、織物、マット、レイドスクリーン、編地又はかぎ針編み生地、及び/又はこれらの構造の組合せとして存在することができる。好ましくは、この半製品は、例えば熱変形によって、三次元構造(3D構造)に成形される。炭素繊維強化領域は、ガラス繊維が配置されたプラスチック製の車両構造要素の領域よりも高い機械的負荷を受ける車両構造要素の領域に配置されることが好ましい。好ましくは、炭素繊維強化領域及びガラス繊維強化領域は、互いに直接突き当たるか又は少なくとも部分的に重ねて設けられる。高負荷を受ける領域だけが炭素繊維で強化されることが好ましい。プラスチック製の車両構造要素に好ましくは完全な補強が提供されるように、本発明に係るプラスチック製の車両構造要素の残りの全領域は、好ましくは、ガラス繊維で補強される。
【0008】
しかしながら、ガラス繊維で補強され且つ炭素繊維で補強された車両構造要素のセグメントを提供することも可能である。
【0009】
所望の強度を考慮しつつ、要件を満たすように、材料は対応する構造要素に配置される。このセグメント化は、機械的安定性に関して損失を受け入れなくても、部品の重量をかなり低減することを可能にする。また、異なる領域への分割は、コストの面で最適化され且つ、例えば完全に炭素繊維強化プラスチックから製造された部品よりもかなり安価な部品を提供することを可能にする。
【0010】
本発明に係るプラスチック製の車両構造要素は、好ましくは三次元構造を有する。また、プラスチック製の車両構造要素は、特にその安定性をさらに高めるための形状及び/又は凹面又は凸面を有することが好ましい。本発明に係るプラスチック製の車両構造要素では、部品を車両構造要素に固定するための手段、例えば凹部を提供することができる。
【0011】
本発明に係るプラスチック製の車両構造要素は、例えば、DLFT(直接
的長繊維熱可塑性樹脂)プレス成形法として知られるものにより製造することができる。この方法では、好ましくは加熱された特定量のさまざまな部品が、例えばロボットによって金型に配置される。この点で、それぞれの領域における所望の補強が考慮される。次いで、例えばプレスを用いて、塊を所望の形状に変化させる。特に炭素繊維及び/又はガラス繊維によって補強されるプラスチックとしては、ポリプロピレン(PP)又はPP共重合体が好適である。
【0012】
以下に、
図1及び
図2を参照して本発明を説明する。これらの説明には、本発明の一般概念を限定する効果はない。説明は、本発明の全ての主題に同様に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るプラスチック製の車両構造要素の前面を示す。
【
図2】本発明に係るプラスチック製の車両構造要素の後面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に従って補強されたプラスチック製の車両構造要素(ここではシートクッションシェル)の前面を示す。乗員が着座するシートクッションは、前記シェルの前面に配置される。シートシェルは、本発明に従って補強され、且つ各々が異なる材料で補強された2つの領域2,3を有する、プラスチック製の車両構造要素である。領域2は炭素繊維で補強された領域であり、一方、領域3はガラス繊維で補強されている。領域2(ここではシートクッションシェルの大腿部レスト)は、これが、例えば事故の際に、負荷の増大が生じる場所であり、且つこの領域が、例えば「サブマリン現象」を防止するために、特に堅い構成を有していなければならないため、特定の程度に強化する必要がある。
【0015】
図2は、
図1に示される構造要素の後面を示す。異なる2つの補強領域2,3を再び見ることができ、したがって、
図1に関する記述を参照することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 プラスチック製の車両構造要素
2 炭素繊維強化領域
3 ガラス繊維強化領域