(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908064
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】ロール間隙調節装置、及びロール間隙調節法
(51)【国際特許分類】
D06C 15/08 20060101AFI20160412BHJP
B21B 31/00 20060101ALI20160412BHJP
B21B 31/07 20060101ALI20160412BHJP
H01M 4/04 20060101ALN20160412BHJP
【FI】
D06C15/08
B21B31/00
B21B31/07 A
!H01M4/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-506755(P2014-506755)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-518951(P2014-518951A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】DE2012000362
(87)【国際公開番号】WO2012146226
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年1月9日
(31)【優先権主張番号】102011018874.6
(32)【優先日】2011年4月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511114933
【氏名又は名称】ザオエレスィヒ・ゲーエムベーハー・プルス・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173923
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 隆章
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ハックフォルト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルタース,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッターロック,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッツィー,ヨルク
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−047807(JP,A)
【文献】
特開昭59−076964(JP,A)
【文献】
米国特許第04156453(US,A)
【文献】
米国特許第04880172(US,A)
【文献】
米国特許第05522557(US,A)
【文献】
特開2000−133251(JP,A)
【文献】
特開昭49−098361(JP,A)
【文献】
特開2000−079407(JP,A)
【文献】
特開2001−131857(JP,A)
【文献】
特表2000−509777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 15/08
B21B 31/00
B21B 31/07
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ロール(10)と下ロール(20)からなるロール対を備え、前記上ロール(10)と前記下ロール(20)の間にロール間隙(30)が形成され、前記上ロール(10)と前記下ロール(20)のそれぞれには相互に軸方向に対向する2つのロールジャーナル(12;22)が設けられ;
それぞれのロールジャーナル(12;22)に対して少なくとも2つの軸受ブロック(18、18’;28、28’)を備え、1つの軸受けブロックに1つ又は2つ以上の軸受が受け入れられ;
軸受ブロック(18’、28’)を備え、前記軸受ブロック(18’、28’)はいずれも前記ロールジャーナルの外側において、前記第1レバーアーム(161、261)と前記第2レバーアーム(162、262)を有する締め付けラッチ(16;26)の中に配置され;
前記上ロール(10)の前記各締め付けラッチ(16)の前記第2レバーアーム(162)と前記下ロール(20)の前記各締め付けラッチ(26)の前記第2レバーアーム(262)は、第1作動部(34)を介して相互に接続され;
前記上ロール(10)と前記下ロール(20)の相互に対応する宝石軸受(14、24)と締め付けラッチ(16、26)は対向して配置され;
調節装置が前記第1作動部(34)と前記第2作動部(36)に作用する、
ロール間隙調節装置において、
前記ロールジャーナルの内側に配置された前記軸受ブロック(18、28)は、いずれも宝石軸受(14、24)内に配置され、
前記上ロール(10)の前記締め付けラッチ(16)の前記第1レバーアーム(161)と、前記下ロール(20)の前記締め付けラッチ(26)の前記第1レバーアーム(261)は、相互に固く接続され、
相互に対向して配置された前記上ロール(10)と前記下ロール(20)の宝石軸受(14、24)は、前記第2作動部(36)を介して相互に接続されていることを特徴とする、ロール間隙調節装置。
【請求項2】
前記第1作動部(34)及び/又は前記第2作動部(36)は、液圧駆動部、空圧駆動部、又は電気で駆動される機械作動部であることを特徴とする請求項1に記載のロール間隙調節装置。
【請求項3】
軸受ブロックは、ピボット軸受筺体から構成され、前記ピボット軸受筐体に収容されている軸受は、共通の軸に枢動可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロール間隙調節装置。
【請求項4】
請求項1記載のロール間隙調節装置のロール間隙調節法であって、
a)所定の推力、所定の線形負荷に応じて前記ロール間隙(30)を調節するために、前記第1作動部(34)を動作させるステップ;と
b)前記ロール間隙を通過する材料繊維の特定の密度によって決められる相対的静止位置に前記宝石軸受(14、24)を保つために、前記第2作動部(36)を動作させるステップとを備えたことを特徴とするロール間隙調節法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール間隙調節装置を具備するロール配置に関するものであり、前記ロール配置は、上ロールと下ロールからなるロール対を備え、これら上下ロール間にロール間隙が形成され、各々のロールには互いに軸方向に対向する2つのロールジャーナルが設けられている。また、前記ロール配置は、各々のロールジャーナルに対して少なくとも2つの軸受ブロックを備え、1つの軸受ブロック内に1つ又は2つ以上の軸受が受け入れられている。また、前記ロール配置は、いずれも前記ロールジャーナルの外側において、第1レバーアームと第2レバーアームを有する締め付けラッチの中に配置された軸受ブロックを備えている。ここで、前記上ロールの前記各締め付けラッチの前記第2レバーアームと前記下ロールの前記各締め付けラッチの前記第2レバーアームは、第1作動部を介して相互に接続され、前記上ロールと前記下ロールの相互に対応する宝石軸受と締め付けラッチは対向して配置され、調節装置が前記第1作動部と前記第2作動部に作用する。また、本発明はロール配置におけるロール間隙調節法に関する。この種の配置と方法は、中国特許公開第101254509号公報(CN101254509A)により知られている。
【背景技術】
【0002】
ロール間隙を通過する材料繊維が均一な厚さとなるようなロール間隙調節装置を持つロール配置を提供することは、長年必要とされてきた。これはつまりロール間隙が既存の線形負荷に関係なく一定でなければならないことを意味する。
【0003】
ロール間隙を一定に保持するために、ロールプレス機が1つ、あるいはそれ以上あるようなロール配置は、独国特許公開第1602019号公報(DE1602019A1)により知られている。このロール配置は、作業ロールが当接する各支持ロールのチョックから構成され、それはさらに各々のチョックで支持されている。圧延の過程で、支持ロールのチョックは圧力調節の小シリンダーによって補正される。一般的に、圧延の過程でロール配置に生ずるロール圧は調節圧に比べて大幅に高い。圧延材をロール間隙に挿入すると、ロール間に急な圧力や負荷上昇が生じ、結果として、圧延材がロール間隙から出てきた際、その厚さが期待に反し所定幅よりも厚くなってしまう。これを補うため、ロール間隙はくさびによって圧延材が所望の厚さになるように調整される。くさびはロール間隙内の負荷が常にゼロとなるように負荷を吸収する。このような調節方法では調節の応答が比較的遅いために調節を比較的狭い範囲にしかできないことが分かっており、既に述べたように、これは圧延材の厚さのばらつきに対して不利に働く。
【0004】
1つの改善案として、独国特許第2264333号公報(DE2264333C3)には、ロールジャーナルの後ろ曲げ軸受にその距離を感知する位置センサを設け、また後ろ曲げシリンダーに作用する調節手段に、設定点および(または)支持力によって決められる重畳距離を一定にするようなフィードバック調節システムを設けることが提案されている。
【0005】
さらに独国特許公開第19924860号公報(DE19924860Al)には、圧延開始前後の過渡状態においても、スラスト静圧軸とロールとの距離が常に一定に保たれ、部品同士の接触による損傷を防止することが可能なロール配置が述べられている。アイドルロールの胴部を油圧によって非接触支持する静圧軸は略水平方向に設けられていて、アイドルロールは作業ロールを略水平方向から支持する。間隔を一定に保つロールが設けられており、静圧軸受とアイドルロールとの間隔が所定値未満になるのを防止する。
【0006】
また独国特許第10305511号公報(DE10305511C3)により、内側軸受ブロックをロールジャーナルの宝石軸受の中に配置することが知られている。
【0007】
ところが材料繊維が圧延機の大きさに対してある一定値より下回ると、つまり、高密度で高硬性な、1mm以下の厚さを持つ特に薄い材料繊維が加工されると、問題が発生する。従来のロール配置では、圧延機が薄い部分または断絶部を通過すると、軸受、軸受シート、ロールジャーナルなどの予張された部品がバネ予張力によって互いに接触し、結果としてロール表面や材料繊維に過度の局所負荷をかけてしまう危険がある。
【0008】
特にロール間隙を通過する際、材料繊維が異なる厚みを持っていると問題である。これは材料繊維が断続的にコーティング/ラミネートされていたり、複数の層からなる場合に起こりうる。その例として、リチウム電池を製造する際のアルミや銅の被覆膜がある。全作業幅にわたり、ミクロン単位で正確な緻密化がなされなければならない。これがうまくいけば、電極物質内の粒子間の接触が向上し、電子輸送が最適化される。またバッテリーの体積パワー密度も向上する。
【0009】
ロールで緻密化された電極材料を製造する際の問題は、特開2000−133251号公報で取り上げられている。軸心間隔が可変である一対のロールは液圧シリンダーに露出していて、ロール間隔をせばめる一方向に所定の圧力が加えられる。ロール曲がり補正用シリンダーが設けられ、対となったロールはそれぞれ、中央部が両端部よりも僅かに太く形成されている。
【0010】
厚さの変化する材料繊維のカレンダー仕上げ速度の問題は、特開2000−79407号公報で取り上げられている。上ロールと下ロールは軸受ブロックに回転自在に支持され、液圧シリンダーに露出している。液圧シリンダは上ロールを下方に付勢し、下ロールを上方に付勢する。それぞれのロールにある独立した補助軸受には、曲げ応力が付加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に断続的にコーティングされたフィルムが正確にカレンダー仕上げされるよう、ロール間隙調節装置のコンパクトなロール配置、およびその製造方法を提供することにある。発明の目的は請求項1のロール配置、及び請求項4の方法によって達成される。参照されるそれぞれの独立請求項の主題は、好ましい実施例となっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、導入部で述べたようなタイプのロール配置において、前記ロールジャーナルの内側に配置された前記軸受ブロックは、いずれも宝石軸受内に配置され、前記上ロールの前記締め付けラッチの前記第1レバーアームと前記下ロールの前記締め付けラッチの前記第1レバーアームは相互に固く接続され、相互に対向して配置された前記上ロールの宝石軸受と前記下ロールの宝石軸受は、前記第2作動部を介して相互に接続されている。第1作動部と第2作動部に働く調節装置が与えられ、第1作動部は所定の推力、所定の線形負荷に応じてロール間隙を調節するように動く。第2作動部は、宝石軸受を相対的静止位置に保つように動き、それはロール間隙を通過する材料繊維の特定の密度によって決められる。
【発明の効果】
【0013】
したがってロール間隙ははじめ、必要とされる推力や線形負荷に応じて調節される。これは、作動部によってそれぞれの締め付けラッチが調節されることによって達成されるが、同時に宝石軸受は第1作動部のジャーナルの軸受に対して静止しており、これは例えば位置センサ情報により、宝石軸受を互いに相対的に静止した状態に保つ。宝石軸受は、材料繊維が必要とされる密度に達するまで、その距離が調節される。
【0014】
個々の挿入点に負荷をかけることにより、ロールと軸受けシェルの遊びがなくなり、すべての孔軸受にわたって、内部から予圧される。また、ロールは弾性変形する。これらは径の大きさに依存し、ジャーナルからバレルへの移行部や、バレル自身の構成に起因するものである。
【0015】
ある有利な実施形態によると、第1作動部および(または)第2作動部は、液圧で作動する部品、空圧で作動する部品、または電気的に駆動する機械部品のいずれかによって実施される。必要負荷は例えば、液圧もしくは空圧シリンダ、またはスピンドル機構によって取り入れられる。締め付けラッチは、てこの原理によってジャーナルに負荷を与えるように構成される。締め付けラッチ、宝石軸受、ロールジャーナルはそれぞれ位置感知システムと連動していて、プログラムと、液圧シリンダや電気線形ギアなどの対応ドライブにより、ロールジャーナルの位置を認識し一定に保つ。
【0016】
断続的なコーティング等によって材料繊維の材厚に差が生じると、ロール間隙の圧力上昇が変化し、宝石軸受の第1作動部が上に動く。これは、既に上昇した線形負荷によるロール曲げが、導入された同等の負荷によって保持されることによってなされる。対となったロールは変形した状態を保っているため、振動応答が起こらないように調整がなされる。ロールは加工時のロール間隙内負荷により曲がる。したがって、軸受にかかるエッジフォースは、その寿命を非常に短くする。
【0017】
このため、軸受ブロックがピボット軸受筺体から構成され、その中に収容されている軸受が共通の軸に枢動可能に配置されていることが好都合である。そうすることにより、球形軸受の自由度により軸受の負荷が開放され、余計な負荷がかからないようになる。全軸受はロール曲げの傾斜運動に従い、軸受ブロックに働く望ましくないエッジフォースの発生を防ぐことができる。
【0018】
さらに軸受弾性のホッピングが回避されるように、軸受予圧は常に同じ方向に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付する図によって以下のように詳細に説明される。
【0020】
図1は、本発明実施例によるロール間隙調節装置を持つロール配置の斜視図である。
【0021】
図2は、転がり軸受およびロール調節を示す断面図である。
【0022】
図3は、
図2の線1A−A に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明実施例によるロール間隙調節装置を持つロール配置の斜視図である。ロール配置は、上ロール10および下ロール20の軸に直交する平面に対して対称的になっており、基本的にはこの平面より紙面表に向かう部分のロール配置のみを説明することとする。紙面裏側の部品配置および部品配列は適宜選択し、鏡像反転対称性から、繰り返しをさけるため全面的に省略する。
【0024】
図1のロール配置は上ロール10および下ロール20からなるロールから構成され、上下ロール間にロール間隙が形成されている。上ロール10は軸方向に対向する2つのロールジャーナル12を備え、ロールジャーナル12はそれぞれ2つの軸受ブロック18、18’の中に受け入れられている。軸受ブロック18、18’は
図2と関連して後でさらに詳しく説明される。上ロール10に近い方の内側の軸受ブロック18は、宝石軸受14の中に配置され、より外側に取り付けられた軸受ブロック18’は締め付けラッチ16の中に配置されている。これと全く同様にして、下ロール20は軸方向に対向する2つのロールジャーナル22を備え、ロールジャーナル22はそれぞれ2つの軸受ブロック28、28’の中に受け入れられている。ロールジャーナル22の内側に接して配置している軸受ブロック28は宝石軸受24の中に配置され、ロールジャーナル22の外側に接している軸受ブロック28’は締め付けラッチ26の中に配置されている。このロール配置において、上ロール10と下ロール20の対応する宝石軸受14、24および締め付けラッチ16、26は、相互に対向している。上ロール10の締め付けラッチ16と下ロールの20の締め付けラッチ26は、一方ではテンションロッド32を介して固く接続されており、他方では第1作動部34を介して接続されている。これらの接続機能は
図3と関連して説明される。上ロール10および下ロール20の対向する宝石軸受14、24は、互いに第2作動部36を介して接続されている。
【0025】
図2に転がり軸受および
図1のロール配置を表す断面図を示す。軸受ブロック18はそれぞれ軸受シェル181を含み、そこにはベアリング182が多数配置されている。軸受シェル181は軸に枢動可能になっている。ロールジャーナル12、22は、このような軸受によって球状に取り付けられている。
【0026】
取り付けを開始するにあたっては、転がり軸受のエッジロードを回避するためにまず転がり軸受をなじませることが必要である。これはロール調節部をパルス振動させることでなされる。内側の軸受ブロック14には、ロール間隔の調整と小さな過負荷の印加が頻繁に繰り返される。これは、例えば宝石軸受14の軸受シェル181とベース141との間の摩擦が少なくなり、これらの対称的な構造にしたがって、部品がそれぞれの力線aまたはbと垂直な方向を向くようになされる。
【0027】
締め付けラッチにある軸受ブロック、例えば16の負荷を支えるため、適切な措置がとられる。
【0028】
ロール間隙30の調節は二段階にわたって行われる。まず所定の推力、所定の線形負荷に応じてロール間隙を調節するよう、上ロール10の締め付けラッチ16と下ロール20の締め付けラッチ26が互いに矢印aの向きに動く。
【0029】
図3は、
図2の線1A−Aに沿った断面図である。上ロール10の締め付けラッチ16は第1レバーアーム161と第2レバーアーム162から構成され、それらは軸受ブロック18の両側に形成される。それに対応し、下ロール20の締め付けラッチ26は第1レバーアーム261と第2レバーアーム262から構成され、それらは軸受ブロック28の両側に形成される。第1の締め付けラッチ16の第1レバーアーム161は、テンションロッド32を介して、第2の締め付けラッチの第1レバーアーム261と固く接続される。締め付けラッチ16の第2レバーアーム162は、第1作動部34を介して締め付けラッチ26の第2レバーアーム162と固く接続され、作動部はこの実施例においては液圧シリンダーとして構成されている。適当な駆動装置によって、ピストンがシリンダーへと矢印の向きに動くと、締め付けラッチ16および締め付けラッチ26は、上ロール10と下ロール20と共に互いに矢印aの向きへ動き、必要に応じてロール間隙が調整される。
【0030】
図2へ戻り、曲げ応力が生じる過程について説明する。上ロールの宝石軸受14と下ロール20の宝石軸受24との間には、本実施例に液圧シリンダーとして構成される第2作動部36が設けられている。第2作動部36は、宝石軸受14、24が相対的に静止している位置に保たれるように動き、それはロール間隙30を通過する材料繊維の各々の密度によって決められる。
【0031】
本発明のロール配置の実施例によると、作動部はすべて液圧で作動する。機械的な補正も原理的には考えられるが、6t/cm規模の線形張力が高頻度で発生するため、実現不可能である。ロールやカムを用いると面圧が非常に大きくなるので激しい磨耗が予想される。加えて、1μ(レベル)のロール間隙位置をそこに維持し続けることは不可能である。液圧装置は非常に正確に、そして早く作動する。この種の液圧駆動装置は、航空機建造の分野で知られていた。従来型のSPS調節は遅すぎてうまくゆかない。本発明のロール配置では、ロールをコンピュータプログラムで直接調節する。
【0032】
本発明のロール配置は、圧延機に取り付けられる。ロールを駆動するにはシクロモーターが用いられ、がたつきのない設計がその特徴となっている。仕上げ機として使用する場合には、上ロールが下ロールに比べてより早い周速を持つことが一般的である。
【0033】
油圧液の輸送管はすべて、内部摩擦を可能な限り小さくするために、大きな断面積をもっている。必要であらばシリンダーによる圧力補正がなされる。
【0034】
使用目的によってロールは強化され、硬化され、クロムめっきされ、光沢艶出し加工される。場合によっては炭化コーティングされても良い。
【0035】
上述の明細書、図面、および請求の範囲において開示された発明の特徴は、個々としても、または任意の組み合わせとしても、発明の実施において用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 上ロール
12 ロールジャーナル
14 宝石軸受
16 締め付けラッチ
18 軸受ブロック
20 下ロール
22 ロールジャーナル
24 宝石軸受
26 締め付けラッチ
28 軸受ブロック
30 ロール間隙
34 第1作動部
36 第2作動部
141 ベース
161 第1レバーアーム
162 第2レバーアーム
181 軸受シェル
182 軸受
261 第1レバーアーム
262 第2レバーアーム