特許第5908072号(P5908072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5908072-腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908072
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4465 20060101AFI20160412BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20160412BHJP
   C07D 211/46 20060101ALN20160412BHJP
【FI】
   A61K31/4465
   A61P13/02
   !C07D211/46
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-515634(P2014-515634)
(86)(22)【出願日】2013年5月14日
(86)【国際出願番号】JP2013063409
(87)【国際公開番号】WO2013172339
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2012-111843(P2012-111843)
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南里 真人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 福満
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−039567(JP,A)
【文献】 OKADA,H. et al,Clinical effect of propiverine in patients with urge or stress incontinence. Kobe University Inconti,Hinyokika Kiyo(Acta Urol. Jpn.)),1998年,Vol.44, No.1,p.65-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4465
A61P 13/02
C07D 211/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩の有効量と薬学的担体を含有する腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤。
【請求項2】
一般式(1)
【化2】
で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩を有効成分とする腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤。
【請求項3】
腹圧性尿失禁の予防剤又は治療剤を製造するための一般式(1)
【化3】
で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2012年5月15日に出願された、日本国特許出願第特願2012−111843号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。本発明は、優れた腹圧性尿失禁の予防効果及び/又は治療効果を示すピペリジン化合物に関し、特に4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、切迫性(急迫性)尿失禁、腹圧性(緊張性)尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁、混合型尿失禁に分類される。混合性尿失禁は複数の尿失禁が関係しているが、多くは切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が合併しているタイプの尿失禁である。
【0003】
腹圧性尿失禁とは、腹圧が上昇する動作(咳、くしゃみ、スポーツ、重いものを持ち上げるなど)により膀胱・尿道周辺に急激な力が加わることで生じる、尿意の伴わない尿漏れである。腹圧性尿失禁患者では、尿道括約筋不全及び/又は骨盤底筋の脆弱化により腹圧上昇時に尿道が弛緩するか、もしくは膀胱内部に加わる力と同等な力で尿道を締めることが不可能となり、強い腹圧がかかることで膀胱内圧の上昇が尿道内圧の上昇を上回り尿が流出する(非特許文献1)。
【0004】
4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテートは、ラットにプロピベリンを投与した際に発現する代謝物として公知化合物(非特許文献2)であり、微量ではあるが、ヒトの代謝物としてもその存在が報告されている(非特許文献3)。
【0005】
また特許文献1では、O−プロピルベンジル酸−1−メチル−4−ピペリジル塩酸塩(プロピベリン)よりもさらに優れた医薬的作用を有する化合物を提供することを目的とし、4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテートが膀胱鎮痙作用を有し、膀胱圧迫筋のコリン性神経筋機能障害の結果現れる頻尿症、夜間多尿症等の疾病の治療薬として有用であることを開示する。
【0006】
プロピベリン(α、α−ジフェニル−α−n−プロポキシ酢酸−1−メチルピペリジル−4−エステル)は、抗コリン作用を有し、膀胱圧迫筋の緊張過度の機能状態を有効に処置できる医薬であり、頻尿症、夜間多尿症、夜間遺尿症などに有効であることが記載されている(特許文献2)。
【0007】
国立長寿医療センターホームページからダウンロード可能な高齢者尿失禁ガイドラインには、塩酸プロピベリンは膀胱排尿筋に対する直接的収縮抑制作用も有していることが記載されており、塩酸プロピベリンを含む抗コリン作用を有する薬剤が、排尿筋の無抑制収縮に伴う切迫性尿失禁に有効であることが記載されている。一方、尿道括約筋不全による腹圧性尿失禁においては、治療剤としてα交感神経刺激剤等が挙げられているが、抗コリン剤は例示されておらず、また薬物療法が腹圧性尿失禁の主治療としては考えにくいことが記載されている。
【0008】
以上のように、切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁では疾患のメカニズムが全く異なっているため、薬物療法においても作用機序の異なる薬剤が用いられている。
【0009】
したがって、4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテートは、抗コリン剤が有効な頻尿症、夜間多尿症の治療薬として有用であることは知られているが、腹圧性尿失禁に対する作用は示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭62-039567号公報
【特許文献2】特開昭55-055117号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】World J Urol(1997)15, 268-274
【非特許文献2】J Chromatogr(1987)420, 43-52
【非特許文献3】European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics(1988)13(2), 81-90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、腹圧性尿失禁に対する優れた予防剤及び/又は治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート(以下、「本発明化合物」と記載することがある)又はその塩が、腹圧性尿失禁に対する優れた治療効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0015】
【化1】
【0016】
で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩の有効量と薬学的担体を含有する腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、一般式(1)で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩を有効成分とする腹圧性尿失禁予防剤及び/又は治療剤を提供するものである。
【0018】
さらに、本発明は、哺乳動物に対して一般式(1)で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩の腹圧性尿失禁に対する予防又は治療有効量を投与する工程を含む、腹圧性尿失禁の予防又は治療方法を提供するものである。
【0019】
そして、本発明は、腹圧性尿失禁の予防剤又は治療剤を製造するための一般式(1)で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩の使用を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、腹圧性尿失禁の予防又は治療に使用するための一般式(1)で表される4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明化合物又はその塩は、腹圧性尿失禁に対する予防剤、治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ラット尿漏れ時膀胱内圧(LPP)試験の結果を示す。各試験のLPPは生理食塩液24.6±0.6 cmH2O、本発明化合物31.1±2.3 cmH2O、プロピベリン24.9±1.9 cmH2Oであった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の4-ピペリジルジフェニルプロポキシアセテート又はその塩は、ラット及びヒトにプロピベリンを投与した際に見出される代謝物として公知の化合物であり、例えば特許文献1にその一般的な製造方法が記載されている。
【0024】
上記のごとく得られた本発明化合物は通常公知の方法で塩、とりわけ薬学的に許容される塩を形成することができる。
【0025】
本発明化合物もしくはその塩は、通常公知の分離精製手段、例えば濃縮、溶媒抽出、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等を用いることにより単離精製可能である。
【0026】
特許文献2に記載されたα、α−ジフェニル−α−n−プロポキシ酢酸−1−メチルピペリジル−4−エステルは、ピペリジンのN原子にメチル基が結合している点で本発明化合物と相違し、その作用は「膀胱−及び前立腺手術後の膀胱容量を大きくするため、緊張過度の膀胱の場合の排尿(miktion)によって生じる膀胱内圧を下げるため乃至痛みのあるさまざまな由来の膀胱しぶりの軽減のため並びに頻尿症、夜間多尿症及び夜間遺尿症の処置のために使用できる」ことである。特許文献1の実施例ではα、α−ジフェニル−α−n−プロポキシ酢酸−1−メチルピペリジル−4−エステルが膀胱容量の増大、排尿回数の低減に有効であり、特に夜間多尿症に効果があることが示されている。またプロピベリン(α、α−ジフェニル−α−n−プロポキシ酢酸−1−メチルピペリジル−4−エステル)が、腹圧性尿失禁の治療にも有用であることが報告(例えば、Acta Urol Jpn(1998)44, 65-69)されているが、後述するように、ラット尿漏れ時膀胱内圧(LPP)試験において、本発明化合物はプロピベリンより有意に腹圧性尿失禁を改善することが明らかであった(実施例2)。
【0027】
本発明化合物を含有する薬剤を投与することにより治療できる疾病は、腹圧性尿失禁が挙げられる。また混合性尿失禁の多くは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が合併しているタイプの尿失禁であることから、混合性尿失禁に投与することも出来る。
【0028】
本発明は、一般式(1)で表される本発明化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を含有する医薬組成物を提供するものである。
【0029】
本発明化合物の薬学的に許容される塩としては、有機酸又は無機酸との酸付加塩が挙げられ、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、及びギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、グルタミン酸などの有機酸との酸付加塩が挙げられる。
【0030】
本発明の一般式(1)の化合物またはその塩を医薬として用いるにあたっては、薬学的担体と配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
【0031】
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
【0032】
経口用固形製剤を調製する場合は、本発明化合物に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等を、結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が用いられ、崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を、滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を、着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄等を、矯味・矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
【0033】
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明化合物に矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味・矯臭剤としては、上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が、安定剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0034】
注射剤を調製する場合は、本発明化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。この場合のpH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が例示できる。
【0035】
坐剤を調製する場合は、本発明化合物に当業界において公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド等を、さらに必要に応じてツイーン(登録商標)のような界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。
【0036】
軟膏剤を調製する場合は、本発明化合物に通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
【0037】
貼付剤を調製する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるいは発泡体シートが適当である。
【0038】
上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明化合物又はその塩の量は、これを適用すべき患者の症状により、あるいはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では約0.01〜1000mg、注射剤では約0.01〜500mg、坐剤では約0.01〜1000mgとするのが望ましい。また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人1日あたり約0.05〜5000mg、好ましくは0.1〜1000mgとすればよく、これを1日1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。尚、本発明において、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、一種単独または複数種を組み合わせて用いられる。
【0039】
本発明化合物が投与される哺乳動物としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が挙げられる。
【0040】
以下、実施例、試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
実施例 1 腹圧性尿失禁モデルにおける薬効評価
ボツリヌスA毒素を筋肉内投与した雌ラット1群あたり8例を使用し、腹部皮下を電気刺激することで腹圧を上昇させ尿失禁を発現させた。モデルラットに、本発明化合物(30 mg/kg)を、また対照群及びボツリヌスA毒素を処置しない正常群には蒸留水を2 mL/kgにて経口投与した。投与前、投与から30分後、及び2時間後の尿失禁の回数をカウントし、結果を表1に示した。
【0042】
表1に示すように、正常群は腹部皮下への電気刺激により尿失禁はみられないが、対照群では投与前、投与後30分及び2時間後で尿失禁が全例で確認された。一方、本発明化合物は、投与前では電気刺激により尿失禁がみられたが、投与2時間後では電気刺激により尿失禁を発現しない個体が有意に減少した。これらのことから、本発明化合物は腹圧性尿失禁症モデルにおける尿失禁症状を改善することが確認された。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例2 ラット尿漏れ時膀胱内圧(LPP)試験
ラット漏出時圧(LPP)試験は、腹圧性尿失禁の治療効果を評価するin vivo試験として一般的に用いられる(Am J Physiol Renal Physiol 293: F920-F926, 2007)。
【0045】
ウレタン1.2 g/kgを雌性SDラット1群あたり6ないし7例に腹腔内投与し麻酔した。次に腹臥位に固定し、第9胸椎、第10胸椎間の脊髄を完全切断した。止血後仰臥位に固定し、腹部を正中切開した。膀胱を露出させ頭頂部を切開し、膀胱内圧測定用のカテーテルを留置した。カテーテル留置術終了後、手動にて外部より腹圧を強制的に負荷した。この時の尿漏れ発現時の膀胱内圧をモニターし、これをLPPとした。生理食塩液、本発明化合物(3mg/kg)、対照薬として、プロピベリン(3mg/kg)を尾静脈より1 mL/kgにて投与した。投与5分後にLPPを測定し平均値及び標準誤差を算出した。結果を図1に示す。
【0046】
生理食塩液群に比し、本発明化合物群では有意にLPPが高値であった。一方、プロピベリン群と生理食塩液群との間に有意な差は認められなかった。したがって、プロピベリンに比較して、より優れた腹圧性尿失禁に対する治療効果を有することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
一般式(1)で示される本発明化合物又はその塩は、腹圧性尿失禁の予防剤及び/又は治療剤として有用である。
図1