特許第5908081号(P5908081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5908081マイクロ構造診断用試料の調製方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908081
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】マイクロ構造診断用試料の調製方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/32 20060101AFI20160412BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20160412BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20160412BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   G01N1/32 B
   G01N1/28 G
   G01N1/28 F
   H01J37/20
   H01J37/317 D
【請求項の数】30
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-526442(P2014-526442)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-524580(P2014-524580A)
(43)【公表日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】EP2012065569
(87)【国際公開番号】WO2013026707
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】102011111190.9
(32)【優先日】2011年8月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595014653
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ヘッヒェ,トーマス
【審査官】 土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102008000306(DE,A1)
【文献】 特開平11−160210(JP,A)
【文献】 特開2007−066710(JP,A)
【文献】 特開2012−042461(JP,A)
【文献】 米国特許第06841788(US,B1)
【文献】 特開2010−091562(JP,A)
【文献】 特表2010−520465(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004001173(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、H01J37/20〜37/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造診断用の試料(P)の調製方法であって、
平らなディスク(1)が、その2つの反対に位置する表面(2a,2b)夫々に沿って高エネルギービーム(3)としてのレーザビームによって照射され、前記レーザビームによる(3)材料除去により、前記2つの表面(2a,2b)において、中心ディスク平面(4)に沿って延びる2つの窪み(5a,5b)がそれぞれ形成されるようにし、
前記2つの窪み(5a,5b)の長手軸(6a,6b)が、前記中心ディスク平面(4)へこれら長手軸(6a,6b)を投影して見た場合、所定の角度α≧10°で交差すると共に、前記2つの窪み(5a,5b)の交差領域(7)において、所定の最小厚みdを有する材料部分(8)が、前記中心ディスク平面(4)に垂直に見た場合、前記2つの窪み(5a,5b)間に試料(P)として残るように形成される方法。
【請求項2】
前記2つの窪み(5a,5b)はそれぞれ、前記中心ディスク平面(4)に対して平行に延びている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記αについては、α≧20°である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記αについては、α≧30°である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の最小厚みdを有する材料部分(8)が、前記中心ディスク平面(4)に垂直に見た場合、電子ビーム透過性になる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの窪み(5a,5b)の形成後に前記2つの窪み(5a,5b)の前記交差領域(7)内及び前記2つの窪み(5a,5b)の間に残る前記材料部分(8)の厚みが、前記中心ディスク平面(4)に垂直に見た場合、前記所定の最小厚みdからイオンビームエッチング(I)によって、最小厚みd3+I(d3+I<d)になるように、更に減少される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオンビームエッチング(I)が、
記中心ディスク平面(4)に対して前記窪み(5a,5b)へのかすめる程度の入射によって、実施されるとともに、
広範囲ビームイオン源(13)によって又は集束イオンビーム及び/又はイオンマイクロビームユニットによって、実施され、及び/又は
前記窪み(5a,5b)への照射が、前記形成された窪み(5a,5b)に沿って(6a,6b)見た場合、両方向から生じるようにする2つのイオン源によって実施されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記窪み(5a,5b)の長手軸(6a,6b)に沿って見た場合、所定の断面を有する前記窪み(5a,5b)を形成するように、前記高エネルギービーム(3)としてのレーザビームは、その照射方向(E)に沿って見た場合、前記窪み(5a,5b)の形成中に搖動運動(PT)するように設定され、及び/又は
前記窪み(5a,5b)の形成が、ヘリカルドリリング又はヘリカルドリルカッティングによって行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記窪み(5a,5b)の長手軸(6a,6b)に沿って見た場合、前記窪み(5a,5b)は、所定の断面を形成するために、前記レーザビームは、自転(R)運動するようにも設定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記窪み(5a,5b)の長手軸(6a,6b)に沿って見た場合、前記窪み(5a,5b)は、円形又は長穴形状の断面を形成している、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヘリカルドリリング又はヘリカルドリルカッティングによって行われる前記窪みの形成は、ヘリカルドリルヘッド(9)によって又はトレパニングレンズ系を利用して実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記窪み(5a,5b)の形成中の前記ディスク(1)は、前記中心ディスク平面(4)に垂直な軸周りに回転及び/又は枢動運動(β)するように設定されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ディスク(1)の基準点に対して、前記高エネルギービーム(3)の焦点、所定の間隔に調、及び/又は
前記窪み(5a,5b)の形成前及び/又は形成中に、回転軸上に前記ディスク(1)位置決めさせ、及び/又は
前記窪み(5a,5b)の形成前及び/又は形成中に、5軸位置決め機構(11)又は4軸位置決め機構によって前記ディスク(1)位置決めることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基準点は、前記ディスクの端部側細面(12)上に位置する、請求項13に記載方法。
【請求項15】
前記所定の間隔は、ゼロである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記回転軸は、ユーセントリック回転軸(10)である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記5軸位置決め機構(11)又は4軸位置決め機構は、回転軸(軸r)及び線形軸(軸l)を有する3軸変位テーブル(軸x,y,z)を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
複数の窪み(5a‐1,5a‐2,…,5b‐1,5b‐2,…)が前記ディスク(1)の前記2つの表面(2a,2b)に沿って照射(3)によってこれら2つの表面(2a,2b)の夫々に形成される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
記2つの表面(2a,2b)の夫々におけるこれらの窪みは、その長手軸(6a‐1,6a‐2,…6b‐1,6b‐2,…)が夫々互いに平行に延在するように形成され、前記一方の表面(2a)の前記窪み(5a‐1,5a‐2,…)及び前記他方の表面(2b)の前記窪み(5b‐1,5b‐2,…)が夫々所定の角度αで交差することによって、複数のこのような交差領域(7a,7b,…)が、所定の最小厚みdを有する残りの材料部分(8a,8b,…)を備えるように作製される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記残りの材料部分(8a,8b,…)が電子ビーム透過性を有するようにすることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ディスク(1)の前記表面の少なくとも一方(2a)の複数の前記窪み(5a‐1,5a‐2,…)が、前記中心ディスク平面(4)に垂直な方向に見た場合、当該表面(2a)に異なる深度に形成され、前記形成深度が窪みから窪みへ直線的に(γ)増加又は減少することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
複数の前記窪み(5a,5b,5a‐1,…,5b‐1,…)は、前記残りの材料部分(8,8a,8b,…)が前記ディスク(1)の端部側細面(12)から所定の間隔/複数の間隔(t)で作製されるように形成され、及び/又は
前記窪み(5a,5b,5a‐1,…,5b‐1,…)が、前記ディスク(1)の端部側細面(12)の法線(N)に対して角度α/2で形成され、ここで、α/2>0°、及び/又は、
複数の前記窪み(5a,5b,5a‐1,…,5b‐1,…)が、前記中心ディスク平面(4)に平行に延びる前記長手軸(6a,6b,6a‐1,…,6b‐1,…)を備えるように形成され、及び/又は、
前記窪み(5a,5b,5a‐1,…,5b‐1,…)が、円筒形断面又は長穴断面の形状に形成されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記角度α/2が10°以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記角度α/2が15°以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記残りの材料部分(8,8a,8b,…)が、0.3μmから10μmの所定の最小厚みdを有し、及び/又は
前記窪み(5a,5b)の最大断面幅(q)が、前記中心ディスク平面(4)に平行に見た場合、50μm乃至500μmであり、及び/又は
前記窪み(5a,5b)の最大形成深度が、前記中心ディスク平面(4)に垂直に見た場合、20μm乃至100μmであることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記所定の最小厚みdは、0.5μm乃至5μmである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記窪み(5a,5b)の最大断面幅(q)が、前記中心ディスク平面(4)に平行に見た場合、100μm乃至200μmである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記窪み(5a,5b)の最大形成深度が、前記中心ディスク平面(4)に垂直に見た場合、40μm乃至50μmである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記レーザビームが集束され、及び/又は前記レーザビームは、ピコ秒レーザ(14)又はフェムト秒レーザによって生成されることを特徴とする請求項1乃至28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ディスク(1)、1mm乃至5mmの平均高さ、直径及び/又はエッジ長、50μm乃至200μmの平均厚みd、及び/又はその前記平均厚みdの少なくとも15倍の平均高さ、直径及び/又はエッジ長を有し、及び/又は
前記ディスク(1)が、メカニカルグラインディングによって、ソーイングによって、レーザエロージョンによって、又はプラズマ放電エロージョンによって作製されることを特徴とする請求項1乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造診断試験方法(マイクロ診断方法)用試料、特に、例えば、透過電子顕微鏡法(以下、省略してTEMと呼ぶ)用薄板状試料又は走査電子顕微鏡法又はX線吸収分光法用試料の調製方法及び装置に関する。従って、本発明に従う方法又は本発明に従う装置は、特にマイクロ構造診断方法に適しており、当該方法では、(最終的な試料のために)調製物を薄切することによって、当該方法に特有の励起又は信号ボリュームを減少することができ、従って局所分解能を上げることができる。以下、透過電子顕微鏡法用の試料の作製を参照しながら本発明を詳細に記述する。しかし、本方法及び本装置は、その他のマイクロ構造診断方法用の試料の調製にも同様に用いることができる。
【0002】
収差が補正された透過電子顕微鏡法の開発において、電子透過性の調製物又は試料の損傷が少なく、時間効率の良い作製という課題の提起が増加している。ここでの開発要件は、主に、すぐに実施可能な方法であって、当該方法からマイクロ又はナノ構造細部を調製させることができ、このマイクロ構造の十分に大きな切片を得られる方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電子透過性の試料の様々な作製方法が当該技術の水準から既知である。従って、金属に電解液を吹付けることが知られている。脆性材料は研削可能である。いわゆる“トライポッドグラインディング”の場合、セラミック材、半導体、又はガラスに対してはウェッジの純粋に機械的な薄切が行われる。ウルトラミクロトミー、即ち超薄切片技術の場合、調製物は、最終的に硬化する液体プラスチック材に複雑な方法で埋め込まれる。ダイヤモンドカッターによって、このように埋め込まれた試料から切片を作製することができる。それにより、ウルトラミクロトミーは、軟質材料で圧倒的に用いられているだけでなく、ガラス及びセラミックスでも用いられている。
【0004】
最近では、収差補正透過電子顕微鏡が開発され、この顕微鏡は1オングストローム以下の分解能を可能にしている。この顕微鏡により、最も高い分解能で試料エリアを観察することができるようになっている。結果、そこから、既定の深度に正確に電子ビーム透過性の試料エリア(又は試料)を材料内に調製する必要性も増している。最新の収差補正TEMにより、既にオングストローム領域のドット分解能が、例えば60又は80keVという比較的低い電子エネルギーにより可能になっている(ドット分解能は、波長の増大、即ち電子エネルギーの減少に伴って減少する)。これにより、衝突電子エネルギーの影響も受けやすい材料をTEMによって破壊することなく又は僅かな破壊だけで検査できるようになるという利点がある(電子エネルギーが高いほど、特に核電荷数が少ない材料に発生する損傷又は破壊が大きくなる)。しかしながら、例えば60又は80keVでの比較的低エネルギーの電子を透過性電子ビームとするためには、検査対象の試料は数10乃至数100ナノメートルの厚みしか有してはいけない。
【0005】
しかしながら、かかる薄い試料の作製は、当該技術水準によれば極めて複雑であり、従って、例えば、かかる試料の厚みを調製するために少なくとも4乃至5時間から1日まで要する手順が知られており、その場合、まず、機械的な平行平面研削によって例えば直径が3mmの薄いディスクが形成され、このディスクは例えば100μmの厚みを有し、この100μm厚の平行平面ディスクを、その最薄点において、溝研削加工(“ディンプリング”)によって約20乃至15μmに薄切する。ディンプリングによるこれ以上の薄切は、一般的に機械的に不安定になる。結果、一般的にはフラットな入射角で例えば希ガスベース(例えばアルゴンイオンを用いる)のイオンビームエッチングによって行われる更なる薄切工程が必要となる(例えば、A.Strecker,PRAKT.METALLOGR.‐PR.M.30:482 ff.,1993(非特許文献1)を参照)。
【0006】
当該技術水準から周知の更に別の方法は、イオンマイクロビーム(FIB“集束イオンビーム”)ユニット内での集束イオンビームによる試料の作製である。まず、イオンカラムを追加した走査電子顕微鏡において、薄い線形のプラチナ保護層がそこから調製される試料部分の真上にそれによって塗布され、その後、この保護層に隣接する面からイオンビームによって材料がエッチング除去される。FIB法により、そこから、50乃至100nmの厚みを有する薄い試料を極めて正確に調製することができる。しかし、この方法もそこから試料を調製するために約半日から一日を要すること、そこから調製される領域(プラチナ保護層の下方に位置する)においても試料薄板にイオンビームの一定の注入を行うこと(実際の検査対象の材料の損傷又は品質低下を招く)、薄板の最大サイズが約20μm×5μmの範囲内であること、及び、そこから表面近くにしか試料を調製することができず、体積材料に至るほど深くには調製することができないことが欠点である。
【0007】
当該技術の水準におけるごく最近の開発物として、レーザ誘導分離法(独国特許出願公開第102008052006号明細書(特許文献1))、及び、切り口が傾斜した或いは更には垂直な長穴を生成するためのレーザドリリング又はいわゆる(レーザ)ヘリカルドリルカッティングの使用(独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2))が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008052006号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008000306号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A.Strecker,PRAKT.METALLOGR.‐PR.M.30:482 ff.,1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当該技術の水準から始めて、本発明の目的は、当該技術の水準と比べて所要時間が大幅に短縮された、多くの多様な検査材料のためのTEM試料、特に薄板状試料をそこから確実に調製可能な方法(及びこの方法を実施ために構成された装置)を利用可能にすることである。更に別の目的は、より深い材料深度(数100μm)の生成である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の方法及びこの方法に対応して構成された請求項12に記載の装置によって達成される。それにより、本方法及び本装置の有益な実施形態は、その従属請求項から夫々推定することができる。
【0012】
以下、本発明は、まず一般的に記述され、次に実施形態を参照して記述される。
【0013】
それにより、互いに組み合わされて生じる個々の特徴は、互いに厳密に本発明の範囲内の実施形態に示す組み合わせにおいて生じるものである必要はない。特に、本装置の例示のコンポーネント及び/又は本方法の記述された工程の個々の特徴は省略されてもよい(或いは、本方法の工程は場合によっては異なる順序で実施可能である)。特に、実施形態に夫々示す本発明の個々の特徴又は工程は全て、それ自体当該技術の水準からの向上を示し、従って本発明に貢献する場合もある。
【0014】
本発明は、開始点としてヘリカルドリルカッティングの概念(独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2))を採用する。このヘリカルドリルカッティングに関する更なる試験により、高い機械的負荷(レーザアブレーションにおける収縮圧)の結果、自立した機械加工(試料の)ウェブが発生することが判明した。それにより、機械加工位置には、可能な限り薄く機械加工されるウェブ厚によって機械的安定性が減少するため、圧縮空気を吹き付けることができなくなり、機械加工品質が更に損なわれる。従って、ヘリカルドリルカッティングは、厚み20μm未満の薄板状試料を確実に作製するためには非常に限定的にしかこの目的に適さない(或いは全く適さなくなる)。
【0015】
本発明は、結果的に、試料を本発明に従って調製するために、例えば独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2)に記述されたヘリカルドリリング又はヘリカルドリルカッティングの(及び場合によっては当該開示の図1に記載の装置の)基本的な技術を適用することができる。その代わりに、例えば本発明によれば独国特許出願公開第2007014933号明細書に記述されたトレパニング技術も使用することができる。
【0016】
TEM試料の調製のための本発明に従う方法では、まず、(例えば、ヘリカルドリルカッティングにより機械的に予め薄切された又作製された)平らな、好ましくは平行平面状のディスクに、夫々反対に位置する表面に沿って両側から高エネルギーのビーム(即ち、レーザビーム等)を照射し、このディスクからのビームによる材料除去の結果、この薄いディスクの2つの反対に位置する表面夫々に窪みが形成されるようにする。これら2つの形成された窪みは、好ましくは、中心ディスク平面に平行に延在する。一般的に、この2つの窪みは連続的に形成される、即ち、まず、このディスクの一方の表面に窪みが構成され、その後、反対側に位置する面に第2の窪みを構成するためにこのディスクが対応して空間内で並進及び/又は回転される(又はビーム源が対応して移動する)。
【0017】
本発明によれば、この2つの窪みは、これら窪みの長手軸が(これら長手軸の中心ディスク平面への投影において見た場合)0°を上回る所定の角度で交差し、この2つの形成された窪みの交差領域において、所定の最小厚みを有する材料部分が前記窪み間に試料として残るように、ディスクの表面(即ち、中心ディスク平面の両側に延在する)の両側に形成される。好ましくは、この所定の角度は、10°以上、好ましくは20°以上、好ましくは30°以上の値を有する。それにより、最小厚みは、中心ディスク平面に対して垂直に測定される。
【0018】
この中心ディスク平面は、一般的に、(少なくとも平行平面ディスクの場合)ディスクの2つの反対に位置する表面に平行に且つこれら表面間の中心に延在する平面である。しかしながら、必ずしもそうしなければならない訳ではなく、例えば、実際にこの2つの表面間に延在するが厳密にこれら表面間の中心にあるわけではないディスク平面(更には、実際にディスクの内側に延在するが2つの表面に対して僅かに傾いている表面)も中心ディスク平面として用いることができる。
【0019】
それにより、既に述べた両面の窪みの交差配置によって、構造全体が(特に、ディスクの2つの表面のうち一方に窪みを1つのみ形成する場合と比較して)大きなねじれ剛性を得るので(以下も参照)、この2つの窪みの交差領域にまだ残っている、即ち除去されていない材料部分の最小厚みは、この材料部分がTEM用試料として既に適したものであることを示す最小厚み(例えば0.5乃至数マイクロメートル)を既に有している可能性がある。しかしながら、上述の機械加工された材料部分は、更なる薄切工程(追加的なエッチング工程、以下を参照)を経てから電子ビーム透過性試料として使用することも可能である(これは、一般的に、本発明に従う方法の追加的な有利な工程としても実施される)。これは特に、試料が、例えば60乃至80keV、場合によっては僅か20keVという非常に低いエネルギーの電子によって照射されることを意図する場合である。
【0020】
従って、本発明に従う方法の第1の有益な変形では、2つの窪みの形成後にこれらの窪みの交差領域及びこれらの窪みの間に残る材料部分の厚みを、上述のように作製された厚み(又は材料部分の作られた最小厚み)から追加的なイオンビームエッチングによって更に減少することができる。従って、上述の最小厚みを更に薄切することができる。
【0021】
それにより、このイオンビームエッチングは、窪みの長手軸に沿って見た場合、窪みにかすめるように入射することによって行われる。広範囲ビームイオン源を使用することができる。しかしながら、同様に、集束イオンビーム及び/又はイオンマイクロビームユニットと連動すること、即ち、この工程をFIBと全く同様に実施することが考えられる。この追加のイオンエッチング工程において2つのイオン源(例えば、2つの広範囲ビームイオン源)を使用することもでき、それにより、これらの窪みへのイオン源照射を、形成された窪みに沿って見た場合、両方向から行うことができる。1つ、場合によっては2つの広範囲イオンビーム源によるかかるエッチング工程は、例えば、米国特許出願公開第5,472,566号明細書又は“Precision Ion Polishing System (PIPS),Model 691)”Gatan Inc.,5933,Coronado Lane,Pleasanton,CA 94588,USA,2001)において記述されているように行うことができ、従って当業者には周知である。
【0022】
(これにより、かすめるような入射、即ち、中心ディスク平面に対して且つ長手軸に沿ってフラットな角度、例えば10°未満、好ましくは約3°乃至5°での入射によるものと理解される)。
【0023】
本発明の更なる有利な実施形態では、(特に集束レーザビームとして)窪みを形成するために使用される高エネルギービームは、その照射方向に沿って見た場合、窪みの形成中に搖動運動するように設定される(例えば、トレパニングレンズ系によって、或いは、場合によってはヘリカルドリリングレンズ系によって、しかしながら、基本的には、全ビーム誘導レンズ系を使用することができ、それにより、確実に円筒形又は長穴形状の窪みを精密に構成することができる)。結果、窪みが、その長手軸に沿って見た場合、確実に一定の断面(好ましくは円形断面又は長穴断面形状を取る)を有するよう形成することができる。それにより、搖動運動に加えて(必ずしもではないが)高エネルギービームが自転もさせるよう設定することができる。かかる集束レーザビームの誘導手順(及び、本発明の範囲内でも用いることができる、このために使用される装置)は、既に述べたように、例えば独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2)から当業者には周知である。
【0024】
しかしながら、或いはその代わりに、又は好ましくはそれと組み合わせて、窪みの形成中に機械加工されるようにディスクを移動させることもでき、このディスクは、このディスク平面に垂直な軸に対して回転及び/又は枢動運動するように設定することができ、最大運動角度は2、3度であると有益である。従って、“カーテニング”効果、即ち、交差エリアの滑らかさを損なう望ましくないシェーディングが減少する。
【0025】
ディスクは、窪みを形成するために、好ましくはユーセントリック回転軸に関する回転軸上に位置決めされると有益である。この位置決め(又は、一般的には完全に窪みを形成する前、更には窪みの形成中のディスクの位置決め)は5軸位置決め機構を利用して行うことができる。かかる位置決め機構の使用の更なる目的は、特定の透過位置及び交差角度を選択することによって所定の深度に対処することである。このために、追加の回転軸及び追加の線形軸を備える3軸変位テーブルを使用することができる。かかる5軸位置決め機構は、例えば米国特許出願公開第2003/0223111号明細書から当業者には周知である。しかしながら、その代わりに、例えば、3つの線形軸と1つの回転軸を備える4軸ゴニオメータ等の4軸位置決め機構を使用することもでき、このために、(ディスクへのビームの透過場所に対する)高エネルギービームの集束の位置は、ディスク位置及び/又はディスク高さ上方の適切な配置によって又はレーザ間隔測定法によって決めなくてはならない。
【0026】
更に有益な実施形態(当然のことながら既に記述された実施形態のいずれかと併用して作製することができる)では、複数の窪みが夫々ディスクの2つの表面に沿う照射中にこれら表面に形成される。それにより、2つの表面の夫々において、これらの窪みが夫々互いに平行に延在する長手軸を有するように形成されるのが好ましい。結果、一方の表面の窪みと他方の表面の窪みが、夫々上述の所定の角度で複数回交差し、上述のように、所定の最小厚みの好ましくは既に電子ビーム透過性の材料部分が残るように複数の交差領域が生成される。このように作製された材料部分は、言うまでもなく、上述のように、追加的なイオンビームエッチングによって更に薄切することができる。
【0027】
それにより、例えば残りの残留厚みをより良く診断することができる、即ち、電子ビーム透過性をより良く評価することができるよう、ディスクの2つの表面の少なくとも一方の表面の窪みは、中心ディスク平面に垂直な方向に見た場合、当該表面において異なる深度に形成されると有益である。それにより、形成深度は窪みから窪みへ線形に増加又は減少させることができる。同様に、非線形の深度変化も可能である(例えば、同じ窪み深度を有する複数の他の窪みから異なる形成深度を有する1つの窪み)。
【0028】
残りの材料部分(1つ以上)がディスクの端部側細面(即ちエッジ)から所定の間隔で又は所定の複数の間隔で生じるように窪みが形成されると有益である。窪みは、ディスクのこの端部側細面の法線に対して0°超、好ましくは10°以上、好ましくは15°以上、の角度で形成することができる。個々の窪みはその長手軸が中央ディスク平面に平行に延在するように形成される(従って、窪みは、平行平面ディスクの場合、2つのディスク表面に平行に延在する)のが特に好ましい。従って、窪みは、以下に再度詳細に示されるように、円筒形断面又は長穴断面形状に形成することができる。
【0029】
好ましくは、交差領域(1つ以上)に生成される材料部分(1つ以上)が、0.3μm乃至10μm、好ましくは0.5μm乃至5μmの所定の最小厚みを有するように窪みが形成される。(その長手軸に垂直に且つ一般的には中心ディスク平面に平行に見た)窪みの最大断面幅は50μm乃至500μm、好ましくは100μm乃至200μmとすることができる。窪みの最大形成深度は、中心ディスク平面に垂直に見た場合、好ましくは20μm乃至100μm、特に好ましくは40μm乃至50μmである。
【0030】
高エネルギービームは集束ビームとすることができる。これは特に、例えばファイバーレーザによって生成されるレーザビームであり得る。本発明によれば、一般的にはピコ秒又はフェムト秒レーザが使用されるであろうが、ナノ秒レーザの使用も考えられる。しかしながら、レーザによって窪みを生成する代わりに、対応するように収束させたイオンエッチングビーム又は高速プラズマイオン源(例えば、高速プラズマFIBイオン源)の集束プラズマビームも使用することができる。
【0031】
本発明によれば、熱的影響ゾーンを避けるために、好ましくは超短パルスレーザ(ピコ秒又はフェムト秒領域のパルス幅を有する)が使用される。実際、ナノ秒パルスを有するレーザの使用も基本的には考えられるが、これは、一般的にレーザによる窪みの形成中に窪みのエッジに生じる、損傷深度に関する試料構造への損傷が、ピコ秒又はフェムト秒レーザと比べて大幅に増加するという欠点を有する。
【0032】
窪みの本発明に従う形成に使用されるディスクは、様々な材料(例えば半導体材料、又は例えば石等の自然発生的な材料)によって構成され得、又は複合材料として存在し得、1mm乃至5mm、好ましくは3mmの平均長さ、平均直径又は平均エッジ長を有することもできる。それにより、当然のことながら、長方形又は正方形のディスクと同様に円形ディスクも考え得る。ディスクの平均厚みは好ましくは50乃至200μm、好ましくは100μmである。好ましくは、上述の平均長さ、平均直径、又は平均エッジ長は、ディスクの平均厚みの少なくとも15倍、好ましくは少なくとも25倍である。
【0033】
このディスクは、例えば、メカニカルグラインディング又はソーイングによって、レーザエロージョンによって又はプラズマ放電エロージョンによっても生成することができる。
【0034】
続いてより詳細に記述するように、本発明に従う上述の方法のいずれかを実施するように構成された本発明に従う装置は、高エネルギービームを生成するためのビーム生成ユニットと、機械加工用高エネルギービームにディスクを位置決めすることができる試料ホルダを有する。ビーム生成ユニットは、好ましくはピコ秒レーザ又はフェムト秒レーザを備え、そのビーム路は、ビームを位置決めするためのヘリカルドリルヘッドに続けることができる。試料ホルダは、好ましくは5軸位置決め機構として構成され、或いは5軸位置決め機構を備える。更に、好ましくは1つの広範囲ビームイオン源(定義によれば、ここでは100μm以上のビーム直径を有する源)又はイオンマイクロビームユニット(定義によれば、ここでは数nm乃至数μmのビーム直径を有する源)は、高エネルギービームによってディスクを機械加工した後、結果的に生成された材料部分(1つ以上)を再び薄切することができるように、イオンビームエッチングユニットとして設けられる。イオン源(1つ以上)は、例えば、1.5keV乃至6keVの加速電圧で作動可能である。しかしながら、1keV未満の値(例えば50乃至800eV)も有益である。
【0035】
当該技術の水準から周知の方法又は装置と比較して、TEM試料のターゲット調製のための本発明に従うマイクロマシニング法は、特に以下の利点を有する。
【0036】
数マイクロメートル又は更にはそれ未満の精度で試料のターゲット調製を実施することができる。これは、従来一般的に使用されている機械的方法よりもかなり良い(が、ナノメートル精度のFIBカットにはかなわない)。しかしながら、既に述べたように、記述したビーム薄切法は、後続のFIB処理の準備段階として用いることができる。特にレーザによるビームマイクロマシニングの結果、集束イオンビームでは達成不可能な(標準的なFIBでは数μm/秒しか達成できず、高速プラズマFIBでも2×10μm/秒しか達成できない)高速材料除去が可能である(10μm/秒超)。更に、ターゲット調製深度t(以下を参照)を選択することができるので、更に深い材料深度にアクセスすることができる。
【0037】
長穴(以下を参照)を形成する際(異なる形成深度による窪みの形成)に行われ得る非線形軌道の交差誘導により、更に、標識領域を設けることができ、この標識領域によって、残りの残留厚み(例えば目視観察による)を診断することができ、従って、電子透過性を評価することができる。このため、例えば、R.SalzerらのREM透過法(Proceedins of Microscopy and Microanalysis,2009,Cambridge University Press,NY,USA(2009)340 to 341)も使用することができる(残りの材料部分分の厚みを更に減少するためにイオンビームエッチング工程を実施する場合)。
【0038】
例えば、独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2)に記述されたものと比較して、本発明は、かなり厚いウェブのボリューム材料(約100μmの厚み)が、サンプルの安定化に貢献し、(ある角度で交差する切欠きによって形成された、即ち交差領域における残りの材料部分に対応する)極小領域のみが極薄であるという利点を有する。これらの切欠き又は窪みは、必要な機械加工時に発生する欠点がなく低レーザ出力によって生成することができる。同時に、損傷(以下も参照)は最小限に減少する。従って、このように生成される構造は、恐らく後で行われる窪みに沿うイオンビームエッチング工程のための準備段階として完璧に適しており、薄い切欠き交差領域の(即ち、最小厚みを有する材料部分の)達成可能な小さな残留厚みにより、数10分間の(何時間もではなく)エッチング時間を期待することができる。
【0039】
更なる利点は、しばしば懸念される、例えば複合材料における境界面が、深度tに対して厳密に交差領域又は切欠き重複領域として対処可能であり、従って、材料の内側深くに隠れた構造にもアクセス可能である(例えば、複雑な背面薄切法が本発明により不要となる接合技術分野の課題の場合)事実で確認される。
【0040】
従って、本方法は、FIB技術がアクセス出来ない(例えば非常に深くの)バルク材を特に数マイクロメートルの精度で調製可能なことにより、FIB技術を大幅に補うこともできる。更に、複数の切欠き重複領域又は材料部分を生成することによってもっと有意義な共同分析を行うことができる。
【0041】
従って、本発明は、イオンビームエッチングに先行する長々しい処理が全て(例えば、ダイヤモンドワイヤソーイング、メカニカルグラインディング及びポリッシング、超音波コア切削及び溝研削等)不要になるという利点がある。本発明に従う方法は、本発明と置き換えられる方法に比べてはるかに精密であり、はるかに時間の節約となる(例えば4乃至8時間の代わりに数分間)。
【0042】
本発明は、ピコ秒レーザ及びヘリカルドリルヘッドを備えるテーブル装置の範囲内で提供することができ、このテーブル装置は、本発明の機器と取り換えられる上述の機器の合計よりも僅かに高額なだけ、或いは場合によっては安価であり、高額なランニングコストを生じることがない(メンテナンスコストは別である)。本発明に従うかかる装置は、超音波コア切削用の金属関連のダイヤモンド研削ディスク又は炭化ホウ素粉末等、ソーイング用のダイヤモンドワイヤ等、又は溝研削用のダイヤモンド懸濁液等の消耗品を必要としない。
【0043】
本発明は、以下に具体的な実施形態を参照して記述される。それに関して、以下の図面が示される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】レーザマイクロマシニング用平行平面の出発形態の概略図(直径3mmの約100μm厚のディスク部分)を示す。
図2図1に示すディスクの正面上及び裏面上夫々に形成された窪みの幾何学的な配置、前記2つの窪みの重複領域(交差領域)には0.5μm乃至数マイクロメートル厚のエリア(材料部分)が作製される。
図3図2に対応する幾何学的配置であるが、図3では円筒形ではなく長穴の形状の窪みを有する。
図4】本発明に従うデバイスであって、このデバイスによって図1乃至図3に示す構造化を達成することができる。
図5】ピコ秒レーザと併用してヘリカルドリルヘッドによってシリコンウエハに作製された切り口の断面を示す。
図6】複数の正面及び背面の切欠きの幾何学的配置であって、これらの重複領域において夫々数マイクロメートル厚の材料部分が残る。
図7】複数の正面及び背面の窪みの配置であって、それら窪みの重複領域又は交差領域は、(角度γに応じて)機械加工深度が異なるため、厚みも異なる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明に従う方法の出発ベースとして、100μmの厚みdに縦横に平行平面状に薄切したディスク1を示す。このディスクは、メカニカルグラインディングによって、レーザエロージョンによって、又はプラズマ放電エロージョン、又は当該技術の水準から周知のその他の機械加工技術によって、その直径が3mmという、標準的なTEMホルダに収容可能なように作製された。ディスク1のサイズを3mmの直径に切断することも、レーザマイクロマシニングシステムによって極めて容易に行うことができ、レーザマイクロマシニングシステムは、本発明に従って窪みを形成するためにも使用される(例えば、独国特許出願公開第102008000306号明細書又は図4を参照)。図面を見る人の方を向いたディスクの表面は、ここでは2aで示し、図面を見る人の方とは反対を向いたディスクの裏面は参照番号2bで示す。これらの2つの表面には、以下により詳細に記述するように、窪みが構成される。より詳しく説明するために、ディスク1は単にその直径に沿う切片として示され、この切片に対応し、その上部に位置するように示されたディスク1の端部側細面はここでは参照番号12を有する。本発明に従う手順の以下の幾何学的記述は、分かり易く説明するために、ディスク1の図示の切片が実際の試料として加工されている(即ち、端部側細面12が実際に存在している)かのように行う。しかし、機械加工対象の実際に薄切されるディスクは、好ましくは完全な円形のディスク形状に形成され、(それに対応してその円のエッジを端面側細面として選択することによって)それに対応して機械加工され得る。
【0046】
このTEM対応の出発構造の形状では、ディスク1は、以下に記述するように、更なる機械加工に適している(そして本発明に従う方法が終了した後にTEMに直接挿入することができる)。より小さな寸法の試料及び/又は完全には円形ではない(例えば、図1に示す切片の形状の)ディスクに対しては、適応した試料収容手段が使用されなければならない、又は、適切な直径を有する完全に円形のディスクに調製物を埋め込まなければならない。
【0047】
図2は、図1に示すディスク切片1の両側に、集束レーザビーム3の照射によって(図4も参照)夫々1つの窪みを設ける方法を示し、この照射はディスク1の中心ディスク平面4に平行なレーザビームによって行われる。中心ディスク平面4は、ここでは、ディスク1の2つの表面2aと2bの間の中心をこれら表面に平行に延在する平面として定義される。ディスク1の端部側細面12は、ここでは、2つの表面2a,2b及び中心ディスク平面4に垂直に延在する。静止状態のディスク1に関連するデカルト座標系は、ここでは3つの空間座標x',y',及びz'によって示す。
【0048】
図2が示すように、照射は、まずレーザビーム3(図2には図示せず、図4を参照)によって、図面を見る人の方に向かうディスク1の表面2aに沿って(即ち、ディスク平面4に平行に)行われ、この表面2aに、その長手軸方向6aに垂直であり断面が弓形の窪み5aが形成される。この窪みは、ここでは(この表面に関連して、又はディスク平面4に垂直な方向に又はz'方向に見た場合)、最大深度がΔt=47.5μmになるように形成される。図2が更に示すように、ここでは、窪み5aの長手軸6aを中心ディスク平面4に平行に配置し、端部側細面12の法線Nに対して15°の角度α/2だけ傾けるようにして形成する。
【0049】
全く同様にして、表側2aの反対の裏側2bには第2の窪み5bが形成される。このために、それに対応して第1の窪み5aの形成後に角度αだけディスク1を回転させる(図4に示す位置決め機構11を参照)。裏側に形成されたこの窪み6bは、中心ディスク平面4に垂直な方向に最大深度Δt=47.5μmを有する。第2の窪み5b(又はその長手軸6b)は現時点で実際に同様にディスク平面4に平行に延在しているが、第1の窪み5a又はその長手軸6aに対して角α=30°だけ回転されている(即ち、第2の窪み5bは、その長手軸6bに関して、同様に法線Nに対してα/2の角度に、しかし法線Nに対して長手軸6aとは反対方向に傾くように構成された)。
【0050】
従って、上述の手順によって、2つの形成された窪みが交差する交差領域7において法線方向Nのディスク部1の長さの半分に対応する深度t(ここではt≒300μm)に極めて薄いウェブ8が作製され(法線方向Nから見た場合)、このウェブ8は、イオンビームエッチングによって更に薄切した後に(又はTEMにおいて適度に高い電圧の場合はこの追加的な薄切工程を行わずに)電子ビーム透過性試料Pとして使用することができる。上述の形状により、2つの窪み5a,5b間の交差領域に残り、ここでは中心ディスク平面4に対して鏡面対称に構成されたこのウェブ又はこの材料部分8は、最小厚みd(中心ディスク平面4に垂直な方向又はz'方向に見た場合)がd=d−2×Δt=100μm−2×47.5μm=5μm(Δt=2つの窪み5a,5bのz'方向の最大形成深度)である。
【0051】
従って、2つの形成された窪み5a,5bの主方向6a,6bは平行には延在しないが、角度α=30°(当然、30°より大きく又は小さくなるように選択されることができる)を成す。2つの窪み5a,5bの重複領域又は交差領域7において、ここでは最小残留厚みが5μmである極めて薄い材料部分8が作製される(しかしながら、図4参照されたいが、使用装置において適宜厳密なビーム誘導及び位置決め精度を用いれば、本発明によれば、0.5乃至2μmの範囲のより小さな残留厚みd3も得られる)。
【0052】
既に記述したように、薄い材料部分8は、十分に高いTEMエネルギーに対して既に電子ビーム透過性であり、或いは、低TEMエネルギーに対しても電子ビーム透過性を得ることができるように、以下に記述する追加的なイオンビームエッチングIによってその厚みを更に減少することができる。
【0053】
窪み5の交差7配置の結果、構造全体のねじれ剛性が大幅に増加し、2つの窪み5の重複領域7において小さな材料残留厚みdが得られる。従って、窪み5a,5bの作製は、超短パルスレーザ14によって行われ、ビームはヘリカルドリルヘッド9(図4を参照)又はトレパニングレンズ系を用いて用意し、従って、完全に円筒形の孔(図示のように、実際には1つの円形部がディスク1の材料から構成されるに過ぎない)を例えば100又は250μmの孔径を有するようにドリルによって穿設することができるようにすることが好ましい。それに対応して、長穴の形成も可能である(図3)。超短パルスレーザ14の使用により、使用波長に対するディスク1の機械加工材料の透過性に係わらず、多光子吸収が容易に実現可能である。しかし、ナノ秒領域のパルスの短パルスレーザを使用することも考えられるが、ここでは、熱的影響領域が更に拡大する(面2a,2b毎に、数マイクロメートル)のため、調製物のマイクロ構造が修正されることを受け入れなければならない。
【0054】
更に、図2が示すように、窪みの形成は、回転軸10にディスク1を取り付けた後に初めて行われる。これにより、ビーム3が、ディスク1から見た場合、ディスク1に入射し、所定の場所に集束するように、位置決め機構11によって空間x,y,z(図4)におけるディスク1の位置及び向きを調整することができるという目的が達成される。この所定の場所は、特に端面12上であるが端面12の下方、即ちディスク1の内側に(例えば<10μmの精度で)配置することができる。厳密な間隔測定に基づき、必要に応じて、再集束を行うこともできる。この回転軸10は、ここでは、分かり易く説明するために、z'方向に延在し、上端面12を通る軸と仮定してもよい。それにより、軸10は、法線N、即ち、2つの長手軸6a,6b間の角の二等分線と交差し、従って深度方向t又はy'方向から見ると、交差領域7又は機械加工された材料部分8の中心の真上に位置する。軸10はここでは例えばユーセントリック軸として選択されている。
【0055】
交角α及びウェブ8の両側の機械加工位置(図2において“a”及び“b”で示す)を選択することにより、機械加工方向における重複領域7、従って機械加工後に残る材料部分8は、所望の深度tに位置決めすることができる。結果、両方の隠れた構造(例えばウエハ複合材の境界面など)が見えるようになり、表面付近の領域を特に調製することができる。異なる除去速度の複合材の調製では、除去速度が遅い材料の方向から調製することが有益である。
【0056】
大幅にユーセントリック回転軸10上に位置決めした結果、更に、回転及び/又は枢動運動における窪み5の形成中にディスク1の追加的な設定によってレーザマシニングによる所謂“カーテニング効果”(即ち、窪みの表面の望ましくない界面凹凸又はその他のアーチファクト)が大幅に減少する可能性がある。ディスク1のかかる追加的な枢動及び/又は回転運動に関する典型的な振動角βは±5乃至10°である。入射レーザビーム3に対するディスク1の正確な位置決めに関しては、高精度な5軸系が有益であり、機械加工位置の位置決め及び機械加工深度tの設定は、この系の軸x,y,及びz(図4)、及びユーセントリック回転軸10(回転軸及び連動する更なる直線軸、この点に関しても図4を参照)によって行うことができ、ディスク1の追加的な枢動及び/又は回転の場合、確実に2つの窪み5a,5bの交差点7周りに可能な限り厳密に角度βで振動が起こる。
【0057】
例示の方法の好ましい実施形態では、交差する窪み5a,5bは、かかる低レーザフルエンスによって構成されるので、構造的な損傷(アブレージョン中の収縮圧による欠陥形成)が効果的に防止される。例えば、33又は100μJのパルスエネルギーを用いることができる。しかしながら、低レーザ出力(マルチパルスアブレージョンフルエンスをかろうじて上回るフルエンス)の場合、窪み5a,5bの残りの壁面における(即ち、平面4から見た場合、材料部分8の外側に位置する領域でもある)表面付近の約0.1μm厚の領域が損傷するので、準備段階として行われるマイクロマシニングの後で、更に後続のイオンビームエッチングステップを、窪み5a,5bへのかすめる程度の入射によって行うと有益である。
【0058】
上述のレーザ式マイクロマシニングの結果、窪み幅の選択に従って(図3も参照)、平面4に平行に見た場合、非常に拡大した薄切領域8(ここでは約100×100μm又は50×50μm)となる。それにより、平面4における窪みの最大断面幅の選択(これは場合によってはウェブ8の両側又は両表面2a,2bにおいて異なる方法で行うことができる)は、夫々調製対象の材料1に最適化した大きさとなるように行われる。
【0059】
上述の方法によって、材料部分8の材料の残りの厚みdは、ウェブ8に大きな機械的負荷を与えることなく、5μm以下の範囲で作製することができる。図3が他の実施形態で示すように(ここでは同一の参照番号が図2と同一の特徴を示し、図3の下図は法線Nの方向の平面図を示す)、図2と比較して最大断面が増加した長穴(平面4に平行に、特に窪みの長手軸方向に垂直に見た場合)を特に好ましい長穴を窪み5a,5bとして形成することができる。これは、図2に示す場合と比較して、ディスク平面4における材料部分8の広がり又は面積がより大きいという利点を有する。長穴は、例えば窪み5の形成中にx方向へのレーザビームの集束を維持しながらディスク1を移動させた結果として容易に形成することができる(図4を参照)。
【0060】
図4は、図1乃至3に記載の構成方法を実施することを可能にする本発明に従う装置の一例を示す。ここでは同様に、同一の参照番号は、図1乃至3と比較して本発明の同一の特徴を示す。デカルト空間座標x,y,及びzはここではワールド座標系を示し、このワールド座標系において、指定された試料ホルダ(以降に記述される位置決め機構11を備える)を用いてディスク1(座標系x',y',z'を備える)を位置決めし方向付けすることができる。
【0061】
この装置は、まず、独国特許出願公開第102008000306号明細書(特許文献2)のものと同様に構成されたビーム生成ユニット15、又は更に他のヘリカルドリル又はトレパニングヘッドを備え、この場合、ピコ秒レーザ14において生成されたレーザが鏡33及びビームオフセットプレート32によって適切なプリズム30内に誘導される。鏡33、ビームオフセットプレート32及びプリズム30は、ここではヘリカルドリルヘッド9の不可欠なコンポーネントを形成する。窪みを形成するために設けられた、ヘリカルドリルヘッド9から出射するレーザビーム3は、その主ビーム方向をEで示すが、図示のヘリカルドリルヘッド9により、照射方向Eに沿って見た場合、搖動運動PT及び自転Rの両方を行うように設定することができる。しかし、自転は絶対必要という訳ではない。これにより、レーザビーム3は、正確に円筒形又は長方形の窪み5を形成することができるようになる(レーザビーム3に対して静止されたディスク1の場合)。
【0062】
ビーム3内及びそれに対するディスク1の位置決め及び方向付けは、ユーセントリック5軸ゴニオメータとしての図示の試料ホルダの5軸位置決め機構11によって行われる。これは、ここでは参照番号20で示す、空間方向x,y,及びzに実質的に移動自在な3軸変位テーブルユニットを備える。この変位テーブルユニット20上には、回転運動を可能にする装置21が固定され、この装置21の回転ユニット22によって、回転ユニット22のホルダ24上に固定されたディスク1を、ここでは図示の断面x,yに垂直に(即ちz方向に)延在する回転軸r周りに回転させることができる。従って、この回転軸rは図示の位置決め機構11の第4の軸を表す。
【0063】
回転ユニット22は、更に、ここではスピンドルドライブとして構成された線形軸ユニット23を有し、この線形軸ユニット23によって、オイラーのバランスの中心に又は回転軸rに向かう並進運動が生じ得る(並進方向又は5軸位置決め機構11)。
【0064】
ヘリカルドリルヘッド9を介するビーム3の集束位置の調整は、上述のビーム3の集束穿通が好ましくは端部側エッジ面12上に位置するディスク1の基準点で行われるように、5軸位置決め機構11によるディスク1の移動と同期して行われる。
【0065】
図4の右図に示すように、本発明に従う図示の装置(ここでは単一の装置として簡略化して描かれているが、実際にはこの装置は一般的に、レーザビームユニット15及びイオンビームユニット11を離間させて備える)は、更に、広範囲のビームイオン源13を備え、このビームイオン源13によって、窪み5の形成が完了した後、交差領域7に作製された薄いウェブ8の更なる薄切を行うことができる。このために、まずディスク1を、位置決め機構11の3軸位置決めテーブルによって、横方向にレーザビーム3の照射範囲の外へ(ここではx方向に)移動させる。ディスク1をレーザ機械加工位置16からイオン源13の照射範囲内の適切な位置に(指示位置16')移動させると、イオンビームエッチングIが開始される。これは上述したように実施することができる。
【0066】
或いはその代わりに(ここでは図示せず)、イオン源13及びヘリカルドリルヘッド9を同一の機械加工範囲の方に向けることによって、レーザ機械加工工程とイオン機械加工工程の間でディスク1を移動させる必要がないように本発明に従う装置を作製することもできる。
【0067】
同様にEがレーザビーム3の照射方向を示す図5では、レーザ機械加工後に追加的に実施されたイオンビームエッチング工程Iの利点が説明されている。即ち、科学技術の文献では、単にフェムト秒レーザ機械加工の結果として、機械加工された構造体1内部の材料内に幅にして約1乃至2μm延在する構造的損傷ゾーンが生じる可能性があることが記述されている(Y.N.Picard,S.M.Yalisove,Appl.Phys.Lett.92(2008),014102)。しかし、一般的に例えばシリコン(図5に示す)等のバルク材の場合、構造的損傷は、ピコ秒レーザ14と組み合わせたヘリカルドリルヘッド9による機械加工中に発生するが、低損傷であるだけでなく、壁付近の領域に制限され、機械加工された構造体1のせいぜい100nm内部に延在するに過ぎない。一般的に、100nm未満の長さ延在する表面付近のこの損傷は、例えばアモルファスになることが懸念されるが、このアモルファスは、ほぼ確実に、出口側からも生じるアブレーションプラズマとのこの表面の相互作用によって生じると考えられるアモルファスになることが懸念される。更に、図5に示す場合では、実際の切り口上に約200nm厚の除去生成物(SiOである可能性が高い)層が検出できる。この層の下方に隠れて、シリコン基板への構造的損傷を否定できない最大100nm厚の層も存在する。
【0068】
従って、100nm乃至約200nm未満の厚さを有するこれらの層部分を、TEMの最中のレーザマシニングによるアーチファクトを回避するために、構成された試料の又は対応する材料部分8の検査の前に、除去するのが賢明な場合がある。この目的のため、追加的なイオンビームエッチング工程Iによって残りの材料部分8の厚みdを減少した最小厚みd3+Iに更に薄切することができる。この追加的なイオンビームエッチングIがなければ、恐らく、損なわれた不鮮明な材料部分8の画像がTEMに表示されることになる。
【0069】
図6は、図2及び図3に示す場合と全く同様にして、ディスク1の2つの表面2a,2bの夫々に本発明に従って複数の窪みが構成された更に別の実施形態を示す。
【0070】
図6の左図に示すように、図示の場合では、ディスク1の正面2aに、複数の個別の窪み5a‐1,5a‐2,…が構成され、その各長手軸6a‐1,6a‐2,…が互いに対して夫々平行であり、中心ディスク平面4に平行である。
【0071】
同様に、ディスク1の背面2bには、互いに平行であり平面4に平行な長手軸6b‐1,…を有するように延在する複数の個別の窪み5b‐1,…が構成される。それにより、図2に示す場合に対応して、背面2bの窪みに対して、ここでは同様に約30°である共通の所定の角度αで正面2aの窪みの構成が行われる。
【0072】
従って、多数の交差領域7a,7b,…が生成され、これらの交差領域において、正面及び背面の個々の窪みが角度αで交差し、(恐らく同様に追加的なイオンビームによる薄切の後で初めて)夫々電子透過性になった材料部分8a,8b,…が残る。それにより、図6は、左図において、断面形状が円筒の一部のような窪み5の形成を示し、図6は、右図において、長穴の形成を示す。従って、図6の左図と比較して、図6の右図では、形成された窪み5の最大断面qが長手軸方向6に垂直な方向及び平面4において拡大した。従って、この最大断面qの適切な選択により、中心ディスク平面4における材料部分8の面積は要望通りに調整することができる。
【0073】
正面2aの窪み5a及び背面2bの窪み5bの最大形成深度Δtは、ここでも(平面4に垂直に見た場合)図2に示す場合と同様に、Δt=(d−d)/2である。
【0074】
従って、図6は、ディスク1の正面及び背面に個々の切欠きを形成することができるだけでなく、多数の窪みを屈曲軌跡形状に形成することができるので、重複領域7において夫々数マイクロメートルの厚みdしかない多数の対応する薄切エリア8を作製することができることを示す。
【0075】
レーザによって作製された材料部分8を更にイオンビーム薄切するためには(図4には図示せず)、ここでは2つのイオン源が使用されることが好ましく、これらのイオン源は、後に、要望通りに、例えば、アモルファスになった領域がそれ故に除去されるまで又は低電子エネルギーに対する電子ビーム透過性も得られるまで、正面及び背面(図2の上部に位置する細側12及びその反対に位置する下面を参照)からフラットな角度(例えば4°乃至10°)で、形成された窪み5を薄切する。好ましくは、2つのイオン源は、再堆積を回避するため、窪みに沿って、即ち長手軸方向6に、(最大窪み幅qに応じて)大きく制限された角度範囲内のみを照射する。切欠き状の窪みの配置は、薄切工程を考慮し、従って典型的には0.5mmの半値直径のイオンビームを遮ることなく衝突させることができる。
【0076】
図7は、最後に、図6におけるレーザによって構成する本発明に従う対応手順を示す更に別の実施形態を示し、従って以下では相違点のみを記述する。
【0077】
図7では背面2bの窪み5bは図6に示す場合と同様に形成されているが、(個々の正面2aの窪み5aの形成間の位置決め機構11によるディスク1の適切な移動によって)異なる最大形成深度Δtに(平面4に垂直に見た場合)正面2aの窪み5aが形成される。それにより、ディスク1は、平面4から見た場合、ここでは例えば2°である僅かな角度γだけ位置決め機構によって移動される。従って、正面2aにおける窪みから窪みへ、窪み5a‐1,5a‐2及び5a‐3の最大形成深度Δtが減少する。それに対応して、窪みに対応するように構成された材料部分8a,…の最小厚みdは減少する(増加する最大厚みdはここでは参照番号d3‐1,d3‐2,d3‐3によって示す)。
【0078】
角度γの関数として異なる厚みの材料部分8を機械加工することには、後続のイオンビームエッチングIにおいて、試料8の最小目標厚さの減少が達成されたことをユーザの目視観測によってより容易に確認することができるという利点がある。
【0079】
最後に、本発明(図示せず)によれば、図5の左側に見ることができる、レーザ機械加工前のレーザ入射側及びレーザ出射側の表面衝突による損傷を回避するために、アブレーションプラズマによる構造的影響から調製物のこの領域を保護するように機械加工中にレーザに向かって回転させる又はレーザに背いて夫々回転させるディスク1の表面にも、本発明に従って、犠牲層(例えばプラチナ等の導体材料製)を塗布することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7