(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908092
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】スクラバシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/50 20060101AFI20160412BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20160412BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20160412BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20160412BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20160412BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B01D53/50 270
B01D53/50 230
B01D53/18 150
B01D53/14 200
B01D53/14 210
B01D53/14 220
B01D53/14ZAB
B01D47/06 A
B63H21/32 Z
B63H21/14
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-531174(P2014-531174)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-528827(P2014-528827A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】EP2012067812
(87)【国際公開番号】WO2013045272
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月25日
(31)【優先権主張番号】11183416.4
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ピーダ・ハンセン
【審査官】
山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−511451(JP,A)
【文献】
特開昭55−073326(JP,A)
【文献】
特表平08−511074(JP,A)
【文献】
特開2007−263078(JP,A)
【文献】
特開平09−166315(JP,A)
【文献】
特開昭63−242322(JP,A)
【文献】
特開2011−031212(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0168540(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0044335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 47/00
B01D 53/02
B01D 53/14
B01D 53/34
B63H 1/00−25/52
F01N 3/00
F01N 9/00−11/00
F23J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスからSO2を除去する方法であって、第一スクラバセクション(2)内の前記船用エンジンまたは船用ボイラーからの前記排ガスが海水で冷却及び洗浄され、その後、第二スクラバセクション(4)内にて、アルカリ化学物質(11)の添加を伴って循環する淡水で洗浄され、洗浄に用いられる前記循環する淡水は、冷却のために用いられる前記海水よりも温かく、前記循環する淡水は冷たい海水と間接的に熱交換され、前記方法はさらに、前記第一スクラバセクション(2)内で洗浄された前記排ガスを、前記第二スクラバセクション(4)内で循環する淡水によって洗浄される前に、デミスタユニット(3)に通すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第一スクラバセクション(2)への前記海水の供給が、前記第二スクラバセクション(4)内の循環する淡水で前記排ガスを洗浄し続けている一方で、一時的に停止または削減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記循環する淡水を、排出される前に浄水ユニット(13)内で清浄化するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ化学物質が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)または炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
船舶の船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスからSO2を除去するためのスクラバシステムであって、前記スクラバシステムは、熱交換器(10)及び第二スクラバセクション(4)と連通して配される第一スクラバセクション(2)を備え、前記船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスは、前記第一スクラバセクション(2)に供給される海水で冷却及び洗浄されるために、前記第一スクラバセクション(2)に供給されるように配され、このように洗浄及び冷却された排ガスは、前記第二スクラバセクション(4)に供給されるアルカリ化学物質(11)の添加を伴った、循環する淡水での洗浄のために、前記第二スクラバセクションに供給されるように配され、洗浄のために用いられる前記循環する淡水は冷却に用いられる海水よりも温かく、前記循環する淡水は冷たい海水と前記熱交換器によって間接的に熱交換され、前記システムはさらに、前記第一スクラバセクション(2)内で洗浄された前記排ガスが、前記第二スクラバセクション(4)内で循環する淡水によって洗浄される前に、通るように配されるデミスタユニット(3)を備えることを特徴とするスクラバシステム。
【請求項6】
複数のバルブ(19a、19b)をさらに備え、前記バルブによって前記第一スクラバセクション(2)への海水の供給が、前記第二スクラバセクション(4)内の循環する淡水で前記排ガスを洗浄し続けながら、一時的に停止または削減される、請求項5に記載のスクラバシステム。
【請求項7】
前記デミスタユニット(3)が、前記第一スクラバセクション(2)の排出口と前記第二スクラバセクション(4)の流入口との間に配される、請求項5に記載のスクラバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスからの構成成分の除去に関連し、特に、船用エンジンの排ガスからの、二酸化硫黄(SO
2)並びにすす、オイル及び重金属などの粒子状物質を除去するためのシステム及び方法と関連する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料は硫黄を含み、燃焼中にガス状の硫黄酸化物SO
xを形成する。燃料排気中のSO
x量は燃料の硫黄含有量の自然由来の違いによって異なる。化石燃料の燃焼から放出されるSO
xの95%以上を占める、支配的な構成成分は二酸化硫黄、SO
2である。SO
2は有毒ガスであり、動植物両方にとって直接有害である。SO
2を大気へ放出する第二の影響は、硫酸塩エアロゾルの形成であり、SO
2を放出することの、よく認識された結果は酸性雨である。
【0003】
硫黄酸化物の放出削減についての、既存の及びこれからの規制に適合するためには、硫黄濃度が低い燃料の使用が選択肢である。しかし、利用可能な自然の低硫黄濃度燃料は限られており、脱硫黄のための精製プロセスは高価でありエネルギーを消費する。低硫黄濃度燃料の使用に代わる持続可能な潜在的な選択肢は、燃焼プロセス後の排ガスからの構成成分の除去である。
【0004】
法的な要請から、特定の排ガス脱硫(FGD)またはスクラバ技術が通常の陸上ベースの用途から海洋用途へと適応されている。いわゆる排ガススクラバまたは単なるスクラバは、船舶に取り付けられる用途に有望であるように思える。いくつかのよく知られたスクラブ技術について、以下で短く述べる。
【0005】
[石灰石]
ウェットスクラバは、石炭火力発電所及びセメント工場において、数十年間排気ガスからのSO
2を除去してきた好ましい解決手段であることで、特によく知られている。排気ガスは通常、水と石灰石の循環するスラリーによって、石膏を形成しつつ洗浄され、石膏は回収されて脱水される。石膏の大半は販売され、例えばポートランドセメントのフィラーとして用いられる。これらの用途において、SO
2の除去効率が98%を超えることは通常である。起こっている化学反応は、形式上以下のように書くことができる。
SO
2(g) + CaCO
3(s) +1/2 O
2(g) → CaSO
4(s) + CO
2(g) (1)
【0006】
炭塵粒子は通常、スクラブプロセスに先行して、静電フィルターまたはバグフィルター中に集められ、それによってスラリーの汚染が、またそれにより最終の石膏製品の汚染が避けられる。この場合も、粒子フィルターと、反応物質である石灰石及び製品の石膏の粉末の保管及び取り扱いと、が必要であることから、石灰石を用いた通常のスクラブは船舶上では不適切であると考えられる。
【0007】
[水酸化ナトリウムの添加を伴う淡水]
他の陸上ベースの装置としては、石灰石の代わりに水酸化ナトリウム水溶液がアルカリの中和剤として用いられる。
SO
2(g) + 2 NaOH(aq) +1/2 O
2(g) → 2 Na
++ + SO
4−− + H
2O (2)
【0008】
形成された硫酸ナトリウムは通常、スクラバから排水に分離される。プロセスの観点からすると、水酸化ナトリウム水溶液は石灰石よりも扱いやすい。なぜなら石灰石及び石膏の粉末の取り扱いが避けられるためである。しかし、水酸化ナトリウムのコストのために、用途はより小さい装置に限定される。しかし、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)または炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)がより安い代替として用いられ得る。船舶上での使用についての別の重要な不都合は、条件によっては、大量の淡水が必要になるということである。しかし、船舶上では通常、利用可能な淡水は限られている。
【0009】
[海水]
排ガスを海水で処理することは周知の技術である。表層海水のpHは通常8.1から8.9の範囲である。吸収された二酸化硫黄を中和するのに、この自然のアルカリ度を用いることは、船舶上のイナートガスシステム(IGS)だけでなく、いくつかの陸上ベースの装置からも良く知られている。IGSは40年以上にわたってタンカー業に供給され、今日、海水スクラバはこれらのシステムの多くにおいて統合された部分となっている。海水中の吸収に伴い、SO
2は以下の反応によって、最終的に主に水中の亜硫酸水素塩及び硫酸塩となる。
SO
2(g) ⇔ SO
2(aq) (3)
SO
2(aq) + H
2O ⇔ HSO
3− + H
+ (4)
HSO
3− + O
2(aq) → SO
4−− + H
+ (5)
【0010】
その後、水素イオンは、以下のような、自然の炭酸塩の平衡へと「押し出される」。
H
+ + CO
3−− ⇔ HCO
3− (6)
H
+ + HCO
3− ⇔ H
2CO
3 (7)
H
2CO
3 ⇔ H
2O + CO
2(g) (8)
【0011】
最終結果は、水中の硫酸イオン及び大気中に放出される気体の二酸化炭素の形成である。水素カチオンと反応する他の少数のアニオンと同様に、炭酸イオン(CO
3−−)及び重炭酸(HCO
3−)イオンが、いわゆるアルカリ度または緩衝能を決定し、今度はそれが、水中に吸収され得るSO
2の量の基準となる。淡水の代わりに海水を用いることによる明らかな利点は、NaOHやNa
2CO
3などの中和用化学物質が船舶上で必要とされない、ということである。主な欠点は、海水のアルカリ度が限られているために極めて大量の流水が必要であることと、海水が比較的腐食性であり、それによりスクラバの構造材料のコストが高くなることである。
【0012】
[海洋用途へのスクラバの採用]
海洋用途への陸上ベースのスクラバの採用にむけた別の挑戦は、異なる水を船が進む際に、変化する法的な要請及び変化する条件である。いわゆる排出規制海域(ECA)が、より厳しいSO
2の排出基準で制定された。2015年から船舶は、排出規制海域内では、燃料油中の硫黄の0.1%に対応するより多くのSO
2を排出してはならない。排出規制海域外では、2020年までは制限は3.5%の硫黄であり、2020年以降は0.5%である。陸上ベースの装置とは違って、このことは、変化する海水のアルカリ度(海水スクラバの場合)、海水温及びエンジン負荷に対処する調整が実施されなければならないのと同様に、船舶が排出規制海域に入った際には、スクラバはさらにずっと効率的でなければならない、ということを意味する。
【0013】
一度船舶上にスクラバシステムが設置されると、変化する法的な要請及び変化する周囲環境に応じる、スクラバの運転を調整するのに、限られた自由度しか残されていない。当然一つの選択肢は、スクラバ及び水系統のサイズを、考えられる最悪の条件下でさえ、要求される効率を満たすことができるように寸法を大きくすることである。そのような考えられる条件の例は、エンジン負荷が高く、燃料の硫黄量が高く、水のアルカリ度が低く、船舶が排出規制海域内であり、水温が極端に低い、という条件である。しかし、これらの状況はほとんど起こらず、スクラバシステムの投資にコストがかかり、通常の航海条件でも運転コストが高くなるので、このような解決手段は魅力的ではない。通常の航海条件とは典型的には、例えばエンジン負荷が40〜80%であり、燃料の硫黄量が2.3%であり、海水のアルカリ度が2200μmol/Kgであり、海水温が5〜15℃であることを含む。多くの状況では、利用可能な空間が非常に限定されているために、既存の船舶上に寸法が大きくなったスクラバシステムを改造設置することすら不可能であろう。
【0014】
特許文献1は、海洋上の使用に適用可能な海水スクラバシステムを記述する。この先行技術によると、逆浸透法によって海水を濃縮することでスクラバ中に必要とされる海水量を減らすことが提案されている。また逆浸透法によって作られた淡水は、エンジン内のNO
xの削減に、または船舶上の他の目的に、用いられ得る。
【0015】
特許文献2は、海洋上の使用に適用可能な淡水スクラバシステムを記述する。この先行技術によると、粒子状物質の除去効率の向上と、スクラバ後の排気ガスの再熱の必要性の回避とを目的として、特別に設計された凝縮スクラバが開示されている。
【0016】
特許文献3も、海洋上の使用に適用可能な淡水スクラバシステムを記述する。一つの実施形態では、二つのセクションスクラバが提案されている。第一セクションは硫黄の除去用であり、第二セクションは濃縮用であり、それにより全体の消費水量が削減される。この場合、両方のセクションは水酸化ナトリウムの添加を伴う淡水に対して作用する。後の凝縮段階で清浄な淡水を創造するというアイディアは、特許文献4においても提案され、開示されている。
【0017】
特許文献5は、特に金属精錬作業などの、陸上ベースプラントからの排気ガスを清浄化することを意図されたスクラバを記述する。上記スクラバは、海水に対して作用する第一硫黄除去段階及び淡水を生み出すための第二水濃縮段階の、二つの段階からなる。
【0018】
さらに、ウェットスクラバはAalborg Industries A/S(2011年5月以降Alfa Laval Aalborg A/S)によって船舶上に設置され、2010年6月以来運転されている。このスクラバは船舶のメインエンジン(21 MW MAN 2−stroke)の後に設置された世界初のスクラバである。このスクラバは、海水モードまたは淡水モードのどちらでも運転可能であるという独特の可能性を有するので、ハイブリッドスクラバと呼ばれる。また上記スクラバは二つのセクションを備える。第一セクションでは、排ガスは、排ガスと平行に下向きに流れる水中にスプレーされることで、冷却され、清浄化される。第二セクションでは、排ガスは、下向きにスプレーされた水流と反対の流れ中の、高い表面フィリングエレメントを上向きに通ることによって、さらに冷却され、清浄化される。Aalborg Industriesのスクラバシステムの試作品の一般的な描写は、いくつかの会議で発表されている。
【0019】
Aalborg Industries A/Sによって設置されたウェットスクラバでは、海水モードで運転された際の、第一ジェットスプレーセクションに効率的なSO
2除去が見つかった。これは、吸収反応の駆動力となるガス状態のSO
2濃度が、第一セクションにおいて比較的高いという事実で説明される。しかし第二吸収セクションでは、残留SO
2を除去し、0.1%相当の硫黄(S
EQ)という厳しい法律に応じるために、大量の海水が必要である。Aalborg Industries A/Sによる設置に伴い、エンジンが全負荷(21MW)で運転されている時、そして両セクションに海水を供給するポンプが最大で稼働している(1000m
3/h)時には、スクラバ後の通常の硫黄放出は0.1〜0.3%S
EQである。
【0020】
淡水モードでは、上記厳しい0.1%S
EQ制限に応じることは問題ではない。清浄な淡水上で始動するとSO
2の吸収効率が低くなることが分かったが、略10分間から30分間、水が再循環されることで効率は著しく向上する。このことは、反応の速い重炭酸塩バッファも水中に増えるという事実によって説明され得る。SO
2に加えて二酸化炭素、CO
2、もエンジンの排ガスから吸収される。このCO
2もまた、添加された水酸化ナトリウムと反応する。
CO
2(g) + OH
− → HCO
3− (9)
【0021】
大部分の水はスクラバへと再循環されるので、形成された重炭酸塩(HCO
3−)はSO
2と反応する別の機会を得ることになる。
SO
2(g) + HCO
3− → HSO
3− + CO
2(g) (10)
【0022】
一定時間運転された後に、上述のように循環された水中の重炭酸塩バッファがそれによって増えることになる。この重炭酸塩バッファは、SO
2が吸収される全体のプロセスにおいて、液体が高pHを維持するように作用し、それによって全体のSO
2吸収効率が向上する。
【0023】
実際には、海水モードから淡水モードに急に切り替えるのは難しいことがわかっている。なぜならば、いくらかの海水が淡水システムへ入ってしまうから、または、汚染された淡水が海へと排出されてしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第2007/054615号
【特許文献2】国際公開第2008/015487号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1857169号明細書
【特許文献4】米国特許第5657630号明細書
【特許文献5】国際公開第2010/027938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、船用エンジンまたは船用ボイラーからのSO
2を除去する、向上した方法及び対応するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
第一の観点によると、船舶の船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスからのSO
2の除去のための方法が提供される。該方法は、第一スクラバセクション内の、上記船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスが海水によって冷却及び洗浄され、その後、第二スクラバセクションにおいて、循環する淡水によってアルカリ化学物質の添加を伴って洗浄され、上記洗浄に用いられる循環する淡水は冷却に用いられる海水よりも温かく、上記温かい淡水は間接的に冷たい海水と熱交換することを特徴とする。
上記方法はさらに、第一スクラバセクション内で洗浄された排ガスを、第二スクラバセクション内で循環する淡水によって洗浄される前に、デミスタユニットに通すことを備える。
【0027】
以下で詳細に記述されるように、淡水を用いた第二スクラバセクションは、いくつかの状況においては、海水を用いる第一スクラバセクションで除去することが困難であることが示された、最後の困難な量の硫黄酸化物の除去を向上させる。これは第二スクラバセクションにアルカリ化学物質を添加することによって行われる。第一スクラバセクションでは、船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスは、略180〜250℃から略45〜55℃へと急激に冷却され、一方で同時に、排ガス中に含まれたSO
2の一部は、上記の式(3)から(8)に従った海水との反応によって「洗浄除去」される。冷却中、排ガスの体積は減少するので、そうでなければ必要とされるよりも小さな寸法が第二スクラバセクションに与えられることができる。これにより改良工事の導入が容易となる。このように部分的に洗浄された排ガスは、第二スクラバセクションを通過しながらさらに洗浄される。第二スクラバセクションでは、上記式(2)に従ってアルカリ化学物質と反応するSO
2によって、排ガスからのSO
2は除去される。すす、オイル及び重金属などの粒子状物質は淡水によって洗浄除去される。
【0028】
第二スクラバセクションを通過する間に、循環する淡水中に重炭酸塩バッファが生じ、それによって第二スクラバセクション全体の循環する淡水は、pHが5.5より高く維持され、それによって全体のSO
2吸収効率は向上され得る。重炭酸塩とSO
2との反応を上記に記述する、式(10)が参照される。
【0029】
できるだけ多くの水を第二の淡水セクションで濃縮するために、循環する淡水は第一セクションに供給される冷たい海水と熱交換される。熱交換に用いられる冷たい海水は、第一スクラバセクションに供給される海水と同じでもよく、または上記特定の目的のために提供される、冷たい海水の別個の供給でもよい。熱交換器に供給される冷たい海水の温度は、外部の海水温度と近いので、従ってそれは常に循環する淡水よりも冷たい。第二スクラバセクションで水を冷却及び濃縮する主な利点は、大気への清浄化された排ガス中の水蒸気量を下げることであり、それによって煙の可視性が低下し、またスクラバシステムへの淡水の全体的な消費量が減少し、または最終的には水の生成へと転換する。仮に両方のスクラバセクションが循環する淡水を与えられたとすると、冷却のためにずっと大きな海水フローが必要となり、この海水はスクラブプロセス中で利用されることなく、単に再度排出されることになるだろう。
【0030】
上記より温かい淡水は、上記冷たい海水と間接的に熱交換される。間接的な熱交換とは、上記二つの流体の混合は起こらないという意味である。海水モードの運転中は、冷たい海水よりも温かい海水の方がSO
2除去の観点から少し効率的であることが分かっている。16℃の海水で得られるSO
2の除去効率は略94%であるのに対し、海水の温度が略8℃に下がると効率は略90%に低下することが、試験で示されている。驚くべきことに、この発見は当業者が予想するのと反対である(例えば、Andresen A., Mayer S.“Use of Seawater Scrubbing for SO
2 removal from Marine Engine Exhaust Gas”、Energy & Fuels、2007年、21巻、6号)。通常、全体のSO
2の吸収効率は気相から液相への吸収速度によって決められ、液体中の反応は即座に生じるものと考えられる。従って吸収効率は通常、低い蒸気圧つまり低い温度によって高められる。しかし、今回の場合は、スクラバ中での液体の滞留時間が非常に限定されており、冬季の非常に冷たい海水だと、全体の吸収効率は、もはや気相から液相への吸収単独によっては決まらず、液体の海水中で必ず生じる化学反応、式(3)から式(8)参照、によっても決まる。より遅い化学反応速度は温度が下がるとともに低下する。
【0031】
上記方法は、第一スクラバセクションで洗浄された排ガスを、第二スクラバセクションで循環する淡水で洗浄される前に、デミスタユニットに通すステップを備えるので、海水の液滴や海水の塩が第二スクラバセクションに入るのを防ぐ。デミスタユニットは、その淡水化効果の結果として、追加の淡水を第二スクラバシステムの循環する淡水に提供してもよい。淡水は船舶上でしばしば欠乏した生活必需品となるため、このことは好都合である。
【0032】
第一スクラバセクションへの海水の供給は、第二スクラバセクション内の循環する淡水で排ガスを洗浄し続けている一方で、一時的に停止され、または削減されてもよい。
【0033】
上記方法はさらに、循環する淡水が排出される前に、循環する淡水を浄水ユニットで清浄化するステップを備えてもよい。SO
2に加えて、すす粒子、オイル及び重金属などの粒子状物質も水中に吸収される。また浄水ユニットは、第二スクラバを通る更なる循環の前に淡水を清浄化してもよい。それはまた、それによって排水基準についての関連する法律に応じるために、排出前に淡水を清浄化してもよい。浄水ユニットからの粒子状物質を含むスラッジは、船舶上に収集され、船舶が寄港した際に適切な施設へ処分されてもよい。浄水ユニットは、例えば、遠心分離機またはフィルターでもよい。しかし他の浄水方法も適用可能であることを理解しなければならない。しかし、排水を清浄化するのは淡水モードでのみ可能であり、なぜなら海水の流量が多すぎるからである。典型的には、淡水モードではたった0.05〜0.5m
3/MWhであるのに対し、海水モードでは、典型的な排出流量は略50m
3/MWhである。
【0034】
アルカリ化学物質は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)または炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)でもよい。適切なアルカリ化学物質の例には際限がないことが理解されなければならない。
【0035】
本発明の第二の観点によると、船舶の船用エンジンまたは船用ボイラーからのSO
2除去のためのスクラバシステムが提供される。スクラバシステムは、熱交換器と、第二スクラバセクションと連通して配された第一スクラバセクションとを備え、上記船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスは、第一スクラバセクションに供給されるように配されて、第一スクラバセクションに供給される海水によって冷却及び洗浄され、そのように洗浄及び冷却された排ガスは、第二スクラバセクションに供給されるように配されて、アルカリ化学物質の添加とともに第二スクラバセクションに供給される循環する淡水で洗浄され、洗浄のために用いられる循環する淡水は、冷却のために用いられる海水よりも温かく、上記温かい淡水は熱交換器によって冷たい海水と間接的に熱交換される。
上記システムはさらに、第一スクラバセクション内で洗浄された排ガスが、第二スクラバセクション内で循環する淡水によって洗浄される前に、その中を通るように配される、デミスタユニットを備える。システムは本質的にはすでに議論した方法と同じ特徴を備える。利点の観点から不必要な繰り返しを避けるために、その方法を議論したセクションを参照する。
【0036】
上記デミスタユニットによって、海水からの塩粒子が、排ガスとともに第二スクラバセクションに入るのを防ぐ。
【0037】
スクラバシステムはさらに、複数のバルブを備えても良く、それによって、第二スクラバセクションで循環する淡水で排ガスを洗浄することを続けながら、一時的に第一スクラバセクションへの海水の供給が停止または削減され得る。
【0038】
上記デミスタユニットは、第一スクラバセクションの排出口及び第二スクラバセクションの流入口の間に配され
てもよい。
【0039】
本発明の他の目的、特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の実施形態に係るスクラバシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
添付図面とともに、以下の発明の実施形態の詳細な説明を参照することで、本発明はよりいっそう理解されるであろう。
【0042】
以下に、本発明に係るスクラバシステムの一つの実施形態が、
図1を参照して説明される。
【0043】
上記スクラバシステムは、第一スクラバセクション2及び第二スクラバセクション4を備えるスクラバをベースとする。デミスタユニット3が第一スクラバセクション2の排出口と第二スクラバセクション4の流入口との間に配される。非限定な例として、第一スクラバセクション2は、当技術分野で周知の、スプレータイプのスクラバセクションでもよく、第二スクラバセクション4は、これも当技術分野で周知である、充填層型のスクラバセクションでもよい。しかし、他のタイプのスクラバセクションまたはスクラバシステムも可能であり、本発明はこれらの例によって限定されるべきでないことが理解されなければならない。また、スクラバセクションは連続したいくつかのステージから構成されてもよく、それらは全体で、一つのスクラバセクションができたであろうことと同じ全体の機能を提供する。スクラバセクションの意図された機能は以下の説明のコンテクストから理解されるべきである。
【0044】
第一スクラバセクション2は、船舶の船用エンジンまたは船用ボイラー(開示されていない)と連通して配され、そこから排ガス1を受け取る。船用エンジンまたは船用ボイラーから受け取った排ガス1は第一スクラバセクション2に送り込まれ、その上端において海水のフローで洗浄される。第一スクラバセクション2は、ノズル32を介して本質的にその上部から第一スクラバセクション2に入る海水が供給される。海水16は海から直接供給されてもよい。通常の運転では、第一スクラバセクション2をその下端から出ていく全ての海水は、脱ガスユニット7を通り、バルブ21を通って排出される。脱ガスユニット7では、残留している全てのガス泡が除去される。
【0045】
第一スクラバセクション2の主目的は、船用エンジンまたは船用ボイラーから受け取った排ガスの温度を、略180〜250℃の温度から略45〜60℃の温度範囲へと素早く下げることである。温度が下がることによって、排ガスの体積は減少し、それにより第二スクラバセクション4は、以下で説明されるように、小さな寸法が与えられ得る。第一スクラバセクション2内での洗浄の間、SO
2の除去もまた起こり、それにより、第二スクラバセクション4でのアルカリ化学物質の消費量が減少する。洗浄プロセスは、気体と液体の混合または接触である。海水は清浄化されずに直接排出されることになるので、スプレータイプのスクラバは第一スクラバセクション2に適用され得る。ここで、できるだけ多くの二酸化硫黄を吸収しつつも、排ガスからのすす粒子の除去を減らすために、海水の液滴直径と気体及び液体の流動を最適化することができる。
【0046】
このように洗浄された排ガスは、デミスタユニット3を介して第二スクラバセクションに送り込まれる。デミスタユニット3では、蒸発した海水の液滴は排ガスから分離され、その後排ガスは再び第二スクラバセクション4にて、アルカリの中和剤を含む淡水で洗浄される。さらに詳しくは、排ガスは、その下端に配される流入口からスクラバセクション4に入り、その上端のガス排出口を介して第二スクラバセクション4を出ていく前に、ノズル34を介してその上端から第二スクラバセクション4へと噴出された、淡水のカウンターフローと接触する。第二スクラバセクションを出た淡水は、30〜60℃の範囲内の温度であり、以下において第二温度範囲と呼ばれる。淡水は排出される前にすす粒子が清浄化されるので、第二スクラバセクション4では、当業者には周知である、ガス吸収タイプ及び/またはインパクトタイプのスクラバを適用することが好ましい。ガス吸収タイプのスクラバでは、すす粒子の除去は、広い表面積と長期の接触時間が必要な、拡散によって最適化される。インパクトタイプのスクラバでは、すす粒子は主に、凝縮成長とそれに続く運動エネルギーの使用、つまり高速の水または高速のガス、によって除去される。
【0047】
このように清浄化された排ガスが第二スクラバセクションをその上端から出ていく時、デミスタユニット5にて、蒸発した淡水の液滴が洗浄された排ガスから分離される。このように洗浄された清浄な排ガス6は大気へと放出される。
【0048】
第二スクラバセクション4は、循環タンク9と、浄水ユニット13と、熱交換器10とを備える淡水循環システムと接続される。さらに詳細には、その下端を介して第二スクラバセクション4を出る淡水は、ガス泡を除くために脱ガスユニット8内で脱ガスされ、貯水槽として用いられる循環タンク9を通され、その後、水からすす粒子及び見込まれる油質の残留物を除去するために熱交換器10をポンプで通され、それから浄水ユニット13に送り込まれ、そこから参照番号14で表されるように排出されるか、循環タンク9に戻されてもよく、第二スクラバセクション4に戻されてもよい。淡水は、ノズル34を介してその上端へと第二スクラバセクション4にポンプで送り返される前に、アルカリ化学物質11の添加によって中和される。アルカリ化学物質は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)または炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)でもよい。これらは非限定の、適切なアルカリ化学物質の例であることが理解されなければならない。循環水は、アルカリ化学物質の添加後に、pHは6から9の間であるべきである。
【0049】
浄水ユニット13は、第二スクラバセクション4の適切な運転のために、そして関連する法律の要求に従って清浄化された水の排出14のために、循環する淡水から粒子状物質を除去する。浄水ユニットは、例えば高速セパレータでもよい。一般に高速セパレータ及び浄水ユニットは、当業者に周知であるため、これ以上の説明は必要でない。また浄水ユニット13は、排出される淡水14を、排水についての関連する法律に応じるように清浄化するために配される。粒子状物質の形態のスラッジ15及び浄水ユニット13によって分離された水は、船舶上で収集され、船舶が寄港した際に適切な施設へ処分されてもよい。
【0050】
熱交換器10は、第二スクラバセクション4から淡水が、周囲の海から冷たい海水16が送り込まれる。第一スクラバセクション2で用いられた海水が使用され得ることが理解されなければならない。間接的な熱交換器、好ましくはプレート式熱交換器、が用いられ、それにより、熱は循環する淡水から海水へと伝達する。間接的な熱交換器とは、用いられた二つの流体が互いに直接的には接触しない熱交換器、という意味である。
【0051】
熱交換器10と第一スクラバセクション2との間に配されたバルブ19aは、全ての海水が第一スクラバセクション2に導入されるように、通常の運転では開でもよい。第一スクラバセクション2を通過した後で、海水は脱ガスユニット7にて脱ガスされる。仮に第一スクラバセクション2から出る海水が硫黄で完全には飽和しておらず、そして仮にスクラバが海水面に対して相対的に高い場所に位置しているならば、その一部をポンプ22を用いて第一スクラバセクション2の上部へと循環することは好都合である。残りの部分は、船外排出管18を通って海へと排出されてもよい。脱ガスユニット7から排出される海水のpH値は、熱交換器10の排出口と脱ガスユニット7の排出口を連結する管に配される、バルブ19bを介して、冷たい海水の一部を供給することで、それを希釈して制御されてもよい。代わりに、脱ガスユニット7から排出される海水のpH値は、フロー18で排出される前の清浄な海水17での希釈によって制御されてもよい。
【0052】
脱ガスユニット7及び脱ガスユニット8は、第一及び第二スクラバセクション2、4に接続され、それによってガス泡が排ガス6のフローと一緒に除かれる。物理的に、脱ガス機能は第一及び第二スクラバセクション2及び4の統合された部分であってもよい。代わりに、第二スクラバセクション4、脱ガスユニット8及び循環タンク9は、典型的にはスクラバの底に貯水槽を有することで、統合された部分であってもよい。
【0053】
スクラバシステムから酸性の水を排出することが許されない、特別に敏感な領域では、バルブ19aは閉められても良く、その後、第二スクラバセクション4は淡水モードで継続しなければならない。限られた期間に完全に閉じたループでスクラバを運転するために、バルブ20もまた閉じられてもよい。スクラバシステムの耐熱性次第で、第一スクラバセクション2に、または、主な海水のフローはこのセクションをバイパスされているので、別の(開示されていない)冷却ユニットに、少量の冷却水を加える必要があるかもしれない。しかし、排ガスから除去されたエネルギーは、水を温めるためだけでなく、水の完全な蒸発のためにも用いられるので、これは非常に限定された量の水に過ぎないであろう。仮に船舶上で十分な淡水が利用可能であれば、これは、この目的に適用されるのが好ましく、蒸発しない部分は循環タンク9に送り込まれ得る。仮に船舶上で利用可能な純粋な淡水が限られているならば、少量の海水がバルブ19aを通過してもよく、第一スクラバセクション2内で蒸発しなかった塩の濃縮物は、脱ガスユニット7に、他のどこかに、蓄積され、他の目的のために用いられるか、中和され、清浄化され、排出され得る(
図1には開示されていない)。
【0054】
バルブ19bが開の場合、海水排出管中の大気が除去されるように、脱ガスユニット7の排出口と船外排出管18との間に配された、バルブ21が制御されるべきである。仮に、圧縮された空気の代わりに水で上記管が満たされたとすると、プレート熱交換器の海水排出口においてサクションを形成することができ、それによって冷たい海水16を熱交換器10に供給するのに必要なエネルギーが最小化される。
【0055】
図1に示されたスクラバシステムの別の可能性は、例えば船舶が、異なった塩分濃度を有するバルト海へ入っていく時に、海水のアルカリ度の低下を補償することである。そのようなシナリオにおいて、海水のアルカリ度はゆっくりと低下し、それに応じて第二スクラバセクション4に流入するSO
2濃度はゆっくりと上がり始める。しかし、これは、放出される洗浄された排ガス6中のSO
2濃度を入力信号として得てもよく、その後循環する淡水のループへのアルカリ化学物質11の投与量を徐々に増やし得る、制御装置30の補助によって説明される。制御装置30は排ガス6中のSO
2濃度についての情報を、第二スクラバセクション4の排出口のデミスタユニット5の後ろのセンサー配列(開示されていない)から受け取ってもよい。
【0056】
式(9)及び(10)と関連する上記の議論を参照すると、重炭酸塩バッファが循環水中に増えることになる。この重炭酸塩バッファは、SO
2が吸収される全体のプロセスにおいて、液体が高pHを維持するように作用し、それによって全体のSO
2吸収効率が向上する。重炭酸塩が存在しない淡水でのスクラブという潜在的な問題を解決するために、また、アルカリ投与の、より単純化された自動的な制御のために、仮に淡水が交換されるとしても、少なくとも20%の「古い」循環水がシステムに残るべきである。淡水はナトリウム塩で飽和する前に交換される必要がある。硫化ナトリウム塩を含む、残りの80%の淡水は排出されてもよい。排出は、水処理システムを介して行われてもよい。このように放出されたタンク容量は、清浄な淡水で再び満たされてもよい。少なくとも20%の古い水が維持されているので、重炭酸塩バッファが含まれない清浄な淡水での始動が避けられる。好ましくは、あり得るボイドスペース、すなわち上記循環タンク内の液面の上のスペース、中のCO
2濃度は、重炭酸塩バッファの分解を防ぐために、できる限り高く維持されるべきである。実際には、これは循環タンクと排ガス配管系を接続することによって行われる。このように、循環タンク内の水から放出される可能性のあるガスも、大気へと放出される前に、スクラブされ、既存のガス分析器で監視されてもよい。
【0057】
示されたスクラバシステムの利益は、通常の運転では淡水の消費がなくなり得る、ということでもある。船用エンジンまたは船用ボイラーからの排ガスは、典型的には第一スクラバセクション2に180〜250℃の温度で入り、その後、第一スクラバセクション2に導入される海水によって冷却される。それによって大量の海水が気相へと蒸発し、それによってデミスタユニット3への入口においてガスは水蒸気で飽和するようになる。この水は第二スクラバセクション4内で凝縮し、循環する淡水の量を増やす。凝縮して出る淡水の量は、熱交換器10の効率に伴って増える。この淡水は、洗浄された排ガス6に伴う淡水の減少と、清浄化ユニット13を通って排出される硫黄を含む淡水14を説明するかもしれない。仮に熱交換器10の効率が不十分であるか、第一スクラバセクション2へのより冷たい海水温度が必要であるならば、循環する淡水の追加冷却の手段が設置されてもよい。
【0058】
デミスタユニット3の主目的は、海水の液滴が、第一スクラバセクション2から、淡水で運転される第二スクラバセクション4に移動するのを避けることである。デミスタユニット3からすす、オイル及び重金属などの粒子状物質が除かれた状態を維持するために、洗浄水3aが添加されてもよい。洗浄水3aは、デミスタユニット3内で分離されて出る海水の液滴と同様に、排出口3bを通って排出されてもよい。量および組成に応じて、この水3b(開示されていない)は、船外排出管18を通って排出される海水と、または循環する淡水と混合されてもよい。デミスタユニット3全体は、低いガス圧力低下及び高い液滴分離効率を有するように最適化されるべきである。排ガスを第一スクラバセクション2から第二スクラバセクション4へと導くための、そして特に第二スクラバセクション4の流入口で排ガスを供給するための、羽根(開示されていない)がデミスタユニット3の液滴分離機能性に統合されてもよい。
【0059】
上記発明を実施する形態は以下に従う。本発明に係る多くの実施形態が説明され、示されてきたが、本発明はそれらに制限されることはなく、しかし以下の特許請求の範囲によって定められる対象事項の範囲内で、他の方法で実施されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、6 排ガス
2 第一スクラバセクション
3、5 デミスタユニット
4 第二スクラバセクション
7、8 脱ガスユニット
9 循環タンク
10 熱交換器
11 アルカリ化学物質
13 浄水ユニット
14 淡水
15 スラッジ
16、17 海水
18 船外排出管
19a、19b、20、21 バルブ
22 ポンプ
30 制御装置
32、34 ノズル