特許第5908103号(P5908103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン コントロールズ オートモーティブ エレクトロニクス ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許5908103-車両内の組合せ表示機器 図000002
  • 特許5908103-車両内の組合せ表示機器 図000003
  • 特許5908103-車両内の組合せ表示機器 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908103
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】車両内の組合せ表示機器
(51)【国際特許分類】
   G01D 13/04 20060101AFI20160412BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160412BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   G01D13/04 Z
   B60K35/00 Z
   G01D7/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-540517(P2014-540517)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公表番号】特表2015-504512(P2015-504512A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2012072619
(87)【国際公開番号】WO2013072366
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】102011086269.2
(32)【優先日】2011年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508039825
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ オートモーティブ エレクトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ジュース、 マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、 イザベル
(72)【発明者】
【氏名】カマーラー、 ゲーアハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンズ、 ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、 マルティン
(72)【発明者】
【氏名】メール、 ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ランガー、 ペーター
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/098171(WO,A1)
【文献】 特開平05−010788(JP,A)
【文献】 特表昭61−502561(JP,A)
【文献】 特開平06−082275(JP,A)
【文献】 特開昭63−132193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00−13/28
B60K 35/00−37/06
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の組合せ表示機器であって、
複数の表示要素(2)及び/又は表示スケール(3)が共通の支持板(1)に挿入され又は貼り付けられ、前記支持板(1)に対応するように成形された偏光フィルム(7)が観察者の視線方向(B)において前記支持板(1)の前に配置され、
前記偏光フィルム(7)は、前記支持板(1)にその全領域にわたって平らに載り、前記支持板に接着剤なしで配置され、前記組合せ表示機器の組み立て状態において、前記組合せ表示機器のハウジング内又はハウジング上の適切な成形部を用いて形状嵌め及び/又は圧力嵌めによって前記支持板(1)上でその適切な位置に保持される組合せ表示機器。
【請求項2】
前記偏光フィルム(7)は円偏光フィルムである請求項1に記載の組合せ表示機器。
【請求項3】
前記偏光フィルム(7)は前記支持板(1)の少なくとも一部を覆う請求項1又は2に記載の組合せ表示機器。
【請求項4】
前記支持板(1)と前記偏光フィルム(7)は実質的に同一の寸法を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の組合せ表示機器。
【請求項5】
前記表示要素(2)及び/又は表示スケール(3)は、透明又は半透明の部分として、他の不透明な前記支持板(1)に挿入される請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ表示機器。
【請求項6】
前記支持板(1)は透明又は半透明の材料からなり、前記材料は、前記表示要素(2)及び/又は表示スケール(3)を形成する際に一部が不透明材料層をプリントされ又は不透明材料層でコーティングされる請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ表示機器。
【請求項7】
前記支持板(1)にある前記表示要素(2)及び/又は表示スケール(3)は、前記組合せ表示機器の作動状態では少なくとも1つの光源を用いて背面照明される請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ表示機器。
【請求項8】
前記偏光フィルム(7)は、前記組合せ表示機器の非作動状態では、前記支持板(1)にある前記表示要素(2)及び/又は表示スケール(3)が観察者に見えないように配置され且つ配向される請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ表示機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の車両内の組合せ表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多層液晶ディスプレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/70400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された車両内の組合せ表示機器を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
組合せ表示機器について、上記目的は、請求項1の特徴を有する車両内の組合せ表示機器により本発明に従って達成される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載される。
【0007】
車両内の組合せ表示機器であって、複数の表示要素及び/又は表示スケールが共通の支持板内又は支持板上に取り付けられ、支持板に対応するように設計された偏光フィルムが観察者の視線方向において支持板の前に配置され、本発明による偏光フィルムは、組合せ表示機器の組み立て状態において、組合せ表示機器のハウジング内又はハウジング上の適切な成形部を用いて形状ロック及び/又は圧力嵌めによってその適切な位置に保持される。支持板の前に偏光フィルムを配置することによって、支持板の後ろに生じる電磁放射、すなわち可視光の透過が増大し、表示要素及び/又は表示スケール自体に起因する反射が有利なことに実質的に除去される。また、偏光フィルムによって、表示要素及び/又は表示スケールの観察者が組合せ表示機器の非作動状態、すなわち非照明状態でその輪郭に気づくことが妨げられ、又は少なくとも減らされる。
【0008】
更に、偏光フィルムの支持板への接着剤を用いない配置によって、装置の透過率が著しく増加するので、光源の光強度と、それに伴う光源の動作のための電気エネルギーの消費量とを低減することができる。
【0009】
更なる実施形態では、偏光フィルムは、偏光フィルム7自体の接着による材料結合(簡単に結合とも呼ばれる)によって追加の接続手段なしで支持板1に直接接合される。偏光フィルムを貼るときに熱が加えられ、支持板上の偏光フィルムの少なくとも1つの層の部分融解及び接着を引き起こし、ひいては結合を引き起こす(簡単に熱圧着とも呼ばれる)。
【0010】
好ましい実施形態では、偏光フィルムは円偏光フィルムであり、それによって、例えば、外部から入射した光が表示要素及び/又はスケール上で反射されることを防止する。偏光フィルム自体は積層要素の形態であり、互いに上下に配置された複数の層が材料結合により結合され、詳細には、それらは貼り合わせられる。
【0011】
有利な実施形態の変形例では、偏光フィルムは、少なくとも一部で、好ましくは表示要素及び/又は表示スケールの領域で、支持板を覆う。
【0012】
特に有利な実施形態の変形例では、支持板と偏光フィルムが実質的に同一の寸法を有するので、支持板上に又は支持板内に配置される全ての表示要素及び/又は表示スケールが偏光フィルムによって覆われる。例えば、表示要素及び/又は表示スケールの照明によって引き起こされる可能性がある反射は、それにより支持板の全領域に対して防止され、又は少なくとも低減される。
【0013】
更に有利な実施形態の変形例では、偏光フィルムは、支持板にその全領域にわたって平らに載っているので、支持板の表面は、環境の影響、例えば埃から保護される。
【0014】
表示要素及び/又は表示スケールは、好ましくは透明又は半透明の部分として、他の不透明な支持板に挿入される。表示要素及び/又は表示スケールは、それにより、支持板の後ろに配置された光源を用いて簡単に照明することができる。
【0015】
有利な代替的実施形態の変形例では、支持板は透明又は半透明の材料からなり、透明又は半透明の材料は、一部が不透明材料層をプリントされ又は不透明材料層で覆われ、一方で表示要素及び/又は表示スケールを形成する。
【0016】
表示要素及び/又は表示スケールは、組合せ表示機器の作動状態では少なくとも1つの光源によって支持板において背面照明される。
【0017】
偏光フィルムは、好ましくは、組合せ表示機器の非作動状態では支持板にある表示要素及び/又は表示スケールが観察者に見えないように配置され且つ配向される。組合せ表示機器の表示要素及び/又は表示スケールが照られていない場合、表示要素及び/又は表示スケールによって反射される周辺光が観察者に見えるのを偏光フィルムが妨げるため、表示要素及び/又は表示スケールは偏光フィルムによって見えない。組合せ表示機器は、それにより表示要素及び/又は表示スケールの照明がオンにされて表示要素及び/又は表示スケールが見えるようになるまで、均一に黒く見える。この効果はブラックパネル効果と呼ばれる。
【0018】
本発明の例示的な実施形態については、図面を用いて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両用組合せ表示機器の支持板の図を模式的に示す。
図2】その上に偏光フィルムが配置された支持板の側面図を模式的に示す。
図3】支持板と偏光フィルムの分解図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
互いに対応する部分には、全ての図面で同じ符号が付されている。
【0021】
図1は、車両用の組合せ表示機器(詳細には図示せず)の支持板1の図を模式的に示す。
【0022】
組合せ表示機器を形成するために、複数の個々の表示要素2及び/又は表示スケール3が、支持板1に直接挿入され又は支持板1に配置される。また、少なくとも1つの図示しない開口部を支持板1に配置することができ、開口部は表示画面に対応して形成され、表示画面は従って組合せ表示機器の一部とすることができ、且つ開口部の領域に配置される。このような表示画面は、好ましくは従来の液晶画面の形態であり、又は従来の液晶ディスプレイの通りである。
【0023】
車両の運転及び/又は車両支援システム及び/又は娯楽システムの動作に関連するパラメータ、制御変数及び/又は調整変数、及び警告メッセージは、従来の方法で表示要素2及び/又は表示スケール3並びに表示画面に表示することができる。
【0024】
表示要素2及び/又は表示スケール3の幾何学的形状、数、及び配置は、それにより可変的に支持板1に配置することができ、従って別の組合せ表示機器の要求に簡単に適合させることができる。
【0025】
表示スケール3は、好ましくは部分的に円形であり、支持板1の、従って組合せ表示機器の端に配置される。表示スケール3は、従って従来の速度計4のアナログ表示要素の形態であり、且つ図示の実施形態の変形例では、従来のタコメータ5のアナログ表示要素の通りである。各表示スケール3に関連付けられた、図示しないポインタ要素が、図示又は表示する値に応じて各表示スケール3に沿って移動させられるので、ポインタ要素のポインタ軸回りの表示スケール3に沿った旋回運動とそれにより得られるポインタ要素の角度位置を用いて、測定変数(すなわち、例えば車両の速度)の現在の値を、組合せ表示機器の表示スケール3上で読み取ることができる。
【0026】
組合せ表示機器の代替的な図示しない実施形態の変形例では、単一の表示スケール3を支持板1に配置又は挿入することができ、前記表示スケール3は、好ましくは半円形である。
【0027】
表示要素2は、例えば、方向ポインタのための従来のインジケータライト6の形態であり、方向ポインタを操作すると点滅する。
【0028】
また、表示要素2は、従来のグラフィカルシンボル8又は警告文字9の形態であってもよく、それらは、対応する状況で照明され、車両のユーザに警告及び/又は通知する。
【0029】
その上に偏光フィルム7が配置された支持板1の側面図が図2に模式的に示されている。このような偏光フィルム7は、好ましくは円偏光フィルムの形態であり、それによって、例えば、表示要素2及び/又は表示スケール3に外部から入射する周辺光が反射されるのを防ぐことができる。偏光フィルム7自体は、可能な一実施形態では積層要素の形態である。このために、上下に配置された複数の層が、材料結合、特に貼り合わせによって結合されている。
【0030】
偏光フィルム7は、それによって観察者の視線方向Bにおいて支持板1の前に配置され、支持板1に対応するように形作られている。
【0031】
偏光フィルム7は、組合せ表示機器の組み立て状態において、例えば、組合せ表示機器のハウジング内又はハウジング上の適当な成形部を用いて、形状ロックによって及び/又は圧力嵌めによって、接着剤なしでその適切な位置に保持される。前述の偏光フィルム7の支持板1上への接着剤なしの配置によって、装置の透過率は、光源の光強度と、それに伴うその動作のための電気エネルギーの消費量とを低減することができるように、著しく増加する。
【0032】
追加的又は代替的に、偏光フィルム7は、支持板1(例えば、ディスプレイのガラス面)に直接貼り付けることができ、材料結合によって支持板1に結合することができる。可能な一実施形態では、偏光フィルム7は、偏光フィルム7自体の接着による材料結合(簡単に結合とも呼ばれる)によって、追加の接合手段なしで支持板1に直接接合される。偏光フィルム7を貼るとき、支持板1上の偏光フィルム7の少なくとも1つの層の部分融解及び接着とひいては結合が引き起こされるように、熱が加えられる。
【0033】
代替的に又は付加的に、偏光フィルム7は、透明接着剤を用いて支持板1に取り付けることができる。更なる実施形態では、偏光フィルム7は、材料結合によってフレームに固定、特に接着することができる。
【0034】
第1の実施形態の変形例では、偏光フィルム7は、少なくとも一部で、好ましくは表示要素2及び/又は表示スケール3の領域で、支持板1を覆う。
【0035】
特に有利な実施形態の変形例では、支持板1と偏光フィルム7が実質的に同一の寸法を有するので、支持板1上に又は支持板1内に配置される全ての表示要素2及び/又は表示スケール3が偏光フィルム7によって覆われる。例えば、表示要素2及び/又は表示スケール3の照明によって引き起こされ得る反射は、それにより支持板1の全領域に対して防止され又は少なくとも低減される。
【0036】
更に有利な実施形態の変形例では、偏光フィルム7は、支持板1にその全領域にわたって平らに載っているので、支持板1の表面は、環境の影響、例えば埃から保護される。
【0037】
支持板1は、従来のプラスチック又はプラスチック混合物で作られる。
【0038】
表示要素2及び/又は表示スケール3は、それにより、第1実施形態変形例では透明又は半透明の部分として、他の不透明な支持板1に挿入される。表示要素2及び/又は表示スケール3は、それにより、支持板1の後ろに配置された図示しない光源を用いて簡単に照明することができる。
【0039】
代替的な実施形態の変形例では、支持板1は透明又は半透明な材料からなり、材料は、例えば、着色照明を作り出すために着色されることができる。支持板1は、一部が従来の方法で不透明材料層をプリントされ又は不透明材料層でコーティングされ、表示要素2及び/又は表示スケール3は従ってコーティングしていない部分によって形成される。
【0040】
表示要素2及び/又は表示スケール3は、組合せ表示機器の作動状態では少なくとも1つの光源を用いて従来の方法で支持板1において背面照明される。
【0041】
偏光フィルム7は、好ましくは、組合せ表示機器の非作動状態では、支持板1にある表示要素2及び/又は表示スケール3が観察者に見えないように、配置され且つ配向される。組合せ表示機器の表示要素2及び/又は表示スケール3が照らされていない場合、表示要素2/表示スケール3によって反射される周辺光が観察者から見えるのを偏光フィルム7が防ぐため、表示要素2及び/又は表示スケール3は偏光フィルム7とその配向により見えない。組合せ表示機器は、それにより、表示要素2及び/又は表示スケール3の照明がオンにされて表示要素2及び/又は表示スケール3が背面照明によって見えるようになるまで、均一に黒く見える。この効果はブラックパネル効果と呼ばれる。
【0042】
図3は、支持板1と偏光フィルム7の分解図を模式的に示す。
【0043】
照明されていない表示要素2及び/又は表示スケール3は、表示要素2及び/又は表示スケール3で反射された周辺光が観察者に知覚されるのを偏光フィルム7が防ぐため、偏光フィルム7の後ろでは見えない。
【符号の説明】
【0044】
1 支持板
2 表示要素
3 表示スケール
4 速度計
5 タコメータ
6 インジケータライト
7 偏光フィルム
8 グラフィカルシンボル
9 警告文字
B 視線方向
図1
図2
図3