(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自身の中心軸を回転軸として回転可能な巻芯を備えてなる捲回装置を用いて、活物質の塗布された帯状の2枚の電極シートと、絶縁素材からなる帯状のセパレータとが捲回されてなる捲回素子を製造するための捲回素子の製造方法であって、
前記各電極シートを切断する電極シート切断工程と、
前記電極シート切断工程における前記電極シートの切断後、当該電極シートにおける被切断部分の上流側部分と下流側部分とを離間させるシート離間工程と、
前記シート離間工程において離間させられた前記電極シートの上流側部分及び下流側部分に対し前記電極シートの裏表両面からそれぞれ保護テープを貼付し、前記保護テープが少なくとも一部を構成するテープ部によって、前記電極シートの上流側部分及び下流側部分をつなぐシート接続工程と、
前記巻芯に対し前記各電極シート及び前記セパレータを捲回し、前記各電極シートに付された前記各テープ部と前記セパレータとを重ねた状態とする捲回工程と、
前記各テープ部と前記セパレータとが重ねられた状態において、前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータを固定する固定工程と、
前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータが固定された状態で、重ねられた状態の前記各テープ部及び前記セパレータを一度に切断するセパレータ等切断工程とを含むことを特徴とする捲回素子の製造方法。
前記テープ部は、前記電極シートの上流側部分と下流側部分との間に位置し、前記保護テープによって前記電極シートの上流側部分と下流側部分とに接続された1枚の接続用テープを備え、
前記シート接続工程においては、前記電極シートの上流側部分及び前記接続用テープの一端部分の裏表両面、並びに、前記電極シートの下流側部分及び前記接続用テープの他端部分の裏表両面にそれぞれ前記保護テープを貼付し、前記保護テープ及び前記接続用テープを備えた前記テープ部によって、前記電極シートの上流側部分と下流側部分とをつなぐことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の捲回素子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記捲回装置では、各保護テープ及びセパレータを切断するために、
(1)各保護テープに破断線を形成する工程
(2)把持手段によって負電極シートを把持する工程
(3)第1巻芯を回転させることで、負電極シートの保護テープを破断線にて切断する工程
(4)把持手段によって正電極シートを把持する工程
(5)第1巻芯を回転させることで、正電極シートの保護テープを破断線にて切断する工程
(6)固定手段によって両電極シート及び両セパレータを固定する工程
(7)セパレータを切断する工程
を行う必要がある。従って、各保護テープ及びセパレータを切断するために比較的多数の工程が必要となり、生産効率を十分に向上させることができないおそれがある。
【0013】
加えて、電極シートの搬送中に破断線にて保護テープが切断されてしまったり、保護テープを破断線にて切断する際に保護テープが電極シートから剥がれてしまったりするおそれがある。また、結果的に、セパレータの両端部における余り部分(電極シートを覆っていない部分)が長くなってしまう可能性がある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産効率の向上や、安定した生産性の確保を図ること等を可能とする捲回装置及び捲回素子の製造方
法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0016】
手段1.活物質の塗布された帯状の2枚の電極シートと、絶縁素材からなる帯状のセパレータとをそれぞれ所定の供給機構から供給しつつ重ね合わせて捲回する捲回装置であって、
自身の中心軸を回転軸として回転し、前記各供給機構から供給される前記各電極シート及び前記セパレータを捲回可能な巻芯と、
前記巻芯により巻取られることとなる終端部、及び、前記巻芯により次回巻取られることとなる始端部との区切りとなる位置にて前記各電極シートを切断する電極シート切断手段と、
前記電極シート切断手段による前記電極シートの切断後、当該電極シートにおける被切断部分の上流側部分と下流側部分とを離間させるシート離間手段と、
前記シート離間手段により離間させられた前記電極シートの上流側部分及び下流側部分に対し前記電極シートの裏表両面からそれぞれ保護テープを貼付し、前記保護テープが少なくとも一部を構成するテープ部によって、前記電極シートの上流側部分及び下流側部分をつなぐシート接続手段と、
前記巻芯により前記セパレータ及び前記各電極シートを所定量捲回し、前記各電極シートに付された前記各テープ部と前記セパレータとを重ねた状態で、前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータを固定する固定手段と、
前記固定手段により前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータ
を固定した上で、重ねられた状態の前記各テープ部及び前記セパレータを一度に切断するセパレータ等切断手段とを備えることを特徴とする捲回装置。
【0017】
上記手段1によれば、各電極シートは、電極シート切断手段によって、巻芯により巻取られることとなる下流側部分(終端部)と、巻芯により次回巻取られることとなる上流側部分(始端部)との区切りとなる位置にて切断される。また、各電極シートは、シート接続手段によってその上流側部分と下流側部分との間に隙間をあけた状態で、前記上流側部分と下流側部分とに保護テープが貼付される。その結果、保護テープが少なくとも一部を構成するテープ部によって前記上流側部分と下流側部分とがつながれる。
【0018】
次いで、各電極シートに付された各テープ部及びセパレータが互いに重なるようにした上で、固定手段によって電極シート及びこれに付されたテープ部のうち少なくとも一方、並びに、セパレータが固定される。そして、このように固定手段によって電極シート等、並びに、セパレータが固定された状態で、セパレータ等切断手段によって、セパレータ及び両テープ部が一度に切断される。
【0019】
結果として、上記手段1によれば、各テープ部及びセパレータを切断するために、
(1)固定手段によって電極シート等、並びに、セパレータを固定する工程
(2)セパレータ及び各テープ部を一度に切断する工程
を行えばよい。つまり、上記手段1によれば、各テープ部を切断するために、テープ部(保護テープ等)に破断線を形成する工程や各電極シートを把持する工程が不要となり、また、各テープ部を切断する工程と、セパレータを切断する工程とを一工程に統合することができる。従って、生産効率を極めて効果的に向上させることができる。
【0020】
また、切断用の破断線を設ける必要はないため、電極シートの搬送中に破断線にてテープ部が切断されてしまうという事態は生じ得ず、さらに、張力を加えてテープ部を切断する場合と比較して、切断時にテープ部が剥がれてしまう蓋然性も著しく低い。従って、安定した生産性を確保することができる。
【0021】
加えて、上記手段1によれば、セパレータの端部における余り部分(電極シートを覆わない部分)の長さは、テープ部の被切断部分から電極シートの当該被切断部分に近い側の端縁までの長さと同程度となる。従って、セパレータの使用量を削減することができ、製造コストの低減や捲回素子の小型化を図ることができる。
【0022】
また、電極シートの切断面が保護テープで覆われ保護された状態となるため、切断に伴うバリやエッジが電極シートの切断面に生じたとしても、これらバリ等が露出してしまうことを防止できる。これにより、バリ等によってセパレータが傷つけられてしまうといった事態を防止でき、捲回素子の品質向上を図ることができる。
【0023】
手段2.前記巻芯が複数設けられるとともに、
自身の中心軸を回転軸として回転可能であり、自身の回転方向に所定間隔をあけて前記複数の巻芯が配置されるターレットを備えることを特徴とする手段1に記載の捲回装置。
【0024】
上記手段2によれば、ターレットを回転することにより複数の巻芯を移動させつつ、順次捲回を行うことが可能となる。つまり、複数の巻芯のうちの1つにおいてセパレータや電極シートの下流側部分(終端部)を巻取ると同時に、その他の巻芯において新たな捲回を開始することができる。結果として、1つの巻芯のみを備えた捲回装置に比べ、生産性の向上を図ることができる。
【0025】
手段3.前記電極シートとして、正極活物質の塗布された正電極シートと、負極活物質の塗布された負電極シートとが前記巻芯により巻取られるように構成され、
前記シート接続手段による前記保護テープの貼付時において、前記正電極シートの上流側部分と下流側部分との間の隙間が、前記負電極シートの上流側部分と下流側部分との間の隙間よりも大きくなるように構成されることを特徴とする手段1又は2に記載の捲回装置。
【0026】
上記手段3によれば、得られた捲回素子において、より確実に負電極シートで正電極シートを覆う構成とすることができる。従って、正電極シートが負電極シートで覆われないことに伴う不具合(例えば、正電極シートに針状の析出物が形成され、セパレータに傷がついてしまうこと等)を効果的に抑制することができる。その結果、捲回素子の品質向上を一層図ることができる。
【0027】
尚、上記効果は、負電極シートが正電極シートの外周側に位置していれば勿論のこと、正電極シートが負電極シートの外周側に位置していても、負電極シートの上流側部分と下流側部分との間に形成される隙間と、正電極シートの上流側部分と下流側部分との間に形成される隙間とに所定以上の差があれば、十分に奏されることとなる。
【0028】
手段4.前記各電極シートの搬送経路に沿って前記電極シート切断手段及び前記シート接続手段の下流に設けられ、前記テープ部の位置を検出するテープ位置検出手段と、
前記テープ位置検出手段による検出結果に基づき、前記テープ部の位置から次の前記テープ部の位置までの間における前記電極シートの長さを計測するシート測長手段と、
前記シート測長手段による計測結果に基づき、前記供給機構から供給される前記電極シートの長さを調節可能な供給長さ調節手段とを備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の捲回装置。
【0029】
尚、テープ位置検出手段は、テープ部の位置を、テープ部自体から直接検出してもよいし、間接的に検出してもよい。例えば、テープ位置検出手段は、1素子分の電極シートの上流側端縁(始端)又は下流側端縁(終端)を検出することでテープ部の位置を検出してもよいし、1素子分の電極シート同士の間に形成された隙間を検出することで、テープ部の位置を検出してもよい。
【0030】
上記手段4によれば、テープ部の位置を利用することで、実際に供給されている1素子分の電極シートの長さを計測することができる。そして、供給長さ調節手段は、計測された電極シートの長さに基づき、供給機構から供給される電極シートの長さを調節することができる。例えば、シート測長手段により計測された1素子分の電極シートの長さが正規の長さよりも5mm長いとき、供給長さ調節手段は、供給機構から供給される電極シートの長さを現在の設定値よりも5mmだけ小さいものとする。これにより、得られる捲回素子における電極シートの長さをより適切なものとすることができ、捲回素子の品質をより一層高めることができる。
【0031】
また、上記手段4によれば、セパレータ等切断手段により各テープ部を切断する際に、搬送方向に沿って各テープ部の位置に大きなズレが生じてしまうことをより確実に防止できる。これにより、テープ部等の切断時に各テープ部をより確実に重ねることができ、セパレータ等切断手段によって、各テープ部及びセパレータをより確実に一度で切断することができる。その結果、より安定した生産性を確保することができる。
【0032】
手段5.前記シート離間手段により離間させられた前記電極シートの上流側部分及び下流側部分間に、所定の接続用テープを配置するテープ配置手段を備え、
前記シート接続手段は、前記電極シートの上流側部分及び前記接続用テープの一端部分の裏表両面、並びに、前記電極シートの下流側部分及び前記接続用テープの他端部分の裏表両面にそれぞれ前記保護テープを貼付し、前記保護テープ及び前記接続用テープを備えた前記テープ部によって、前記電極シートの上流側部分と下流側部分とをつなぐように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の捲回装置。
【0033】
例えば、捲回素子において、電極同士の長さの差が一定以上の大きさであること等の要件が求められる場合、この要件を満たすために、電極シートの上流側部分と下流側部分との間に比較的大きな隙間をあけた上で、テープ部によって電極シートの上流側部分と下流側部分とを接続する必要が生じ得る。このような場合において、電極シートの裏表に貼付される2枚の保護テープのみによって電極シートの上流側部分と下流側部分とを接続すると、保護テープが重なってなる比較的厚肉の部分が比較的長く形成されることとなる。そのため、得られた捲回素子における外径が比較的大きなものとなってしまうおそれがある。また、保護テープ同士の間に気泡が生じやすくなってしまい、捲回素子の品質低下を招いてしまうことも懸念される。
【0034】
この点、上記手段5によれば、電極シートの上流側部分と下流側部分とが1枚の接続用テープを介して接続されるため、保護テープが重なった部分を比較的短くすることができる。従って、電極シートの上流側部分と下流側部分との間において、保護テープが重なってなる比較的厚肉の部分をより短いものすることができる。これにより、得られた捲回素子における外径を比較的小さなものとすることができ、捲回素子の小型化を図ることができる。また、重ねられた保護テープ同士の間において気泡を生じにくくすることができ、捲回素子の品質低下を効果的に抑制することができる。
【0035】
手段6.自身の中心軸を回転軸として回転可能な巻芯を備えてなる捲回装置を用いて、活物質の塗布された帯状の2枚の電極シートと、絶縁素材からなる帯状のセパレータとが捲回されてなる捲回素子を製造するための捲回素子の製造方法であって、
前記各電極シートを切断する電極シート切断工程と、
前記電極シート切断工程における前記電極シートの切断後、当該電極シートにおける被切断部分の上流側部分と下流側部分とを離間させるシート離間工程と、
前記シート離間工程において離間させられた前記電極シートの上流側部分及び下流側部分に対し前記電極シートの裏表両面からそれぞれ保護テープを貼付し、前記保護テープが少なくとも一部を構成するテープ部によって、前記電極シートの上流側部分及び下流側部分をつなぐシート接続工程と、
前記巻芯に対し前記各電極シート及び前記セパレータを捲回し、前記各電極シートに付された前記各テープ部と前記セパレータとを重ねた状態とする捲回工程と、
前記各テープ部と前記セパレータとが重ねられた状態において、前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータを固定する固定工程と、
前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータが固定された状態で、重ねられた状態の前記各テープ部及び前記セパレータを一度に切断するセパレータ等切断工程とを含むことを特徴とする捲回素子の製造方法。
【0036】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0037】
手段7.前記捲回装置は、
複数の前記巻芯と、
自身の中心軸を回転軸として回転可能であり、自身の回転方向に所定間隔をあけて前記複数の巻芯が配置されるターレットとを備えるとともに、
前記各巻芯は、前記電極シート及び前記セパレータを挿通可能なスリットを有し、
前記複数の巻芯のうち第1ポジションにある第1巻芯に対し、前記各電極シート及び前記セパレータを所定長捲回した後において、前記ターレットを回転させ、当該第1巻芯を第2ポジションへと移動させるとともに、当該第1巻芯とは異なる第2巻芯を前記第1ポジションへと移動させる巻芯移動工程と、
前記第2ポジションに位置する前記第1巻芯から、前記各電極シート及び前記セパレータの各供給元にかけて配された前記各電極シート及び前記セパレータを、前記第1ポジションに位置する前記第2巻芯の前記スリットに対し挿通させるスリット挿通工程と、
前記セパレータ等切断工程において前記セパレータ及び各前記テープ部が切断された後、前記第1巻芯により前記セパレータの終端部と前記各電極シートの終端部とを巻取る終端部巻取工程とを含み、
前記捲回工程においては、前記スリット挿通工程における前記第2巻芯の前記スリットに対する前記各電極シート及び前記セパレータの挿通後、前記第2ポジションに位置する前記第1巻芯により前記各電極シート及び前記セパレータを捲回することで、前記各電極シートをつなぐ前記各テープ部を互いに重なった状態で前記第1巻芯及び前記第2巻芯間に配置し、
前記固定工程においては、前記各テープ部と前記セパレータとが重ねられた状態において、前記第2巻芯の前記スリット内にて、前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータを固定し、
前記セパレータ等切断工程においては、前記第2巻芯の前記スリット内にて、前記電極シート及び前記テープ部のうち少なくとも一方、並びに、前記セパレータを固定した状態で、前記第1巻芯から前記第2巻芯にかけて配された前記セパレータ及び前記各テープ部を一度に切断することを特徴とする手段6に記載の捲回素子の製造方法。
【0038】
尚、「各テープ部を第1巻芯及び第2巻芯間に配置する」とあるのは、第2巻芯のスリット内に各テープ部が配置されている状態を含む。
【0039】
上記手段7によれば、捲回装置は複数の巻芯を備えており、巻芯移動工程において、第1ポジションにある第1巻芯に対し各電極シート及びセパレータがある程度捲回されると、当該第1巻芯が第2ポジションへと移動するとともに、第2巻芯が第1ポジションへと移動する。そして、スリット挿通工程において、第1巻芯から電極シート及びセパレータの各供給元にかけて配された各電極シート及びセパレータが、第2巻芯のスリットに対し挿通される。
【0040】
次いで、捲回工程において、第1巻芯により各電極シート及びセパレータを捲回することにより、各テープ部が互いに重なった状態で第1巻芯及び第2巻芯間の所定位置に配置される。そして、この状態で、固定工程において、第2巻芯の前記スリット内にて電極シート及びこれに付されたテープ部のうち少なくとも一方、並びに、セパレータが固定される。次いで、セパレータ等切断工程において、第2巻芯のスリットにおいて電極シート等、並びに、セパレータが固定された状態で、セパレータ及び各テープ部が一度に切断される。切断後、終端部巻取工程において、第1巻芯により電極シートやセパレータの終端部が巻取られる。
【0041】
このように上記手段7によれば、セパレータ及び各テープ部の切断時に、第2巻芯の固定手段によってセパレータ等が固定されている。そのため、セパレータ及び各テープ部の切断直後(セパレータ等切断工程の直後)に、第2巻芯によりセパレータや電極シートの捲回を開始することができる。これにより、生産性の一層の向上を図ることができる。
【0042】
手段8.前記電極シートとして、正極活物質の塗布された正電極シートと、負極活物質の塗布された負電極シートとが前記巻芯により巻取られるように構成され、
前記シート接続工程における前記保護テープの貼付時において、前記正電極シートの上流側部分と下流側部分との間の隙間が、前記負電極シートの上流側部分と下流側部分との間の隙間よりも大きくされることを特徴とする手段6又は7に記載の捲回素子の製造方法。
【0043】
上記手段8によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0044】
手段9.前記テープ部は、前記電極シートの上流側部分と下流側部分との間に位置し、前記保護テープによって前記電極シートの上流側部分と下流側部分とに接続された1枚の接続用テープを備え、
前記シート接続工程においては、前記電極シートの上流側部分及び前記接続用テープの一端部分の裏表両面、並びに、前記電極シートの下流側部分及び前記接続用テープの他端部分の裏表両面にそれぞれ前記保護テープを貼付し、前記保護テープ及び前記接続用テープを備えた前記テープ部によって、前記電極シートの上流側部分と下流側部分とをつなぐことを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の捲回素子の製造方法。
【0045】
上記手段9によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0046】
上記手段6等によれば、セパレータ等切断工程において、各シート部及びセパレータは重ねられた状態で一度に切断されるため、切断直後において、各テープ部及びセパレータのそれぞれ端縁部(被切断部)はある程度揃った状態となる。そのため、上記手段6等の製造方法により得られた捲回素子は、電極シートやセパレータが正常に捲回されたものであれば、その終端部において、各テープ部及びセパレータの端縁部が目視により確認可能となる。例えば、テープ部及びセパレータの切断後に電極シート及びセパレータの終端部を巻取る場合には、各電極シートに付された各テープ部及びセパレータの端縁部が少しずつずれた状態で、捲回素子の外周に現れることとなる。従って、捲回素子の終端部を目視により確認することで、捲回素子における電極シートやセパレータの捲回状態の良否を容易に判別することができる。
【0047】
また、各テープ部及びセパレータのそれぞれの端縁部が少しずつずれた状態となっていれば、所定のテープにより巻止めを行うときに、当該テープの接着面を少なくとも各テープ部及びセパレータに対しより確実に接触させることができる(場合によっては、テープの接着面を電極シートに対してもより確実に接触させることができる)。その結果、捲回素子における巻止めをより確実、かつ、より強固に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本実施形態の捲回装置によって得られる捲回素子としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。
【0050】
図1に示すように、リチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)は、2枚のセパレータ2,3を介して、正電極シート4及び負電極シート5が重ね合わされた状態で捲回されることで製造される。尚、
図1においては、説明の便宜上、セパレータ2,3及び電極シート4,5(以下、これらを総称する場合は「各種シート2〜5」という)の相互の間隔をあけて示している。
【0051】
セパレータ2,3は、それぞれ同一の幅を有する帯状をなしており、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁体により構成されている。
【0052】
各電極シート4,5は、薄板状の金属シートよりなり、セパレータ2,3と略同一の幅を有している。また、各電極シート4,5の表裏両面には活物質が塗布されている。正電極シート4には例えばアルミニウム箔シートが用いられ、その表裏両面に正極活物質(例えば、マンガン酸リチウム粒子等)が塗布されている。負電極シート5には例えば銅箔シートが用いられ、その表裏両面に負極活物質(例えば、活性炭等)が塗布されている。そして、活物質を介して、正電極シート4及び負電極シート5間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、正電極シート4側から負電極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負電極シート5側から正電極シート4側へとイオンが移動する。
【0053】
また、正電極シート4の幅方向一端縁からは図示しない複数の正極リードが延出するとともに、負電極シート5の幅方向他端縁からは図示しない複数の負極リードが延出している。
【0054】
リチウムイオン電池を得るに際しては、捲回された電池素子1が金属製で筒状をなす電池容器(図示せず)内に配設されるとともに、前記正極リード及び負極リードがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正極リードを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負極リードを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品が前記電気容器の両端開口に塞ぐように設けられることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
【0055】
次に、電池素子1を製造するための捲回装置10について説明する。
図2に示すように、捲回装置10は、各種シート2〜5を捲回するための捲回部11と、正電極シート4を捲回部11へ供給するための正電極シート供給機構31と、負電極シート5を捲回部11へ供給するための負電極シート供給機構41と、セパレータ2,3をそれぞれ捲回部11へ供給するためのセパレータ供給機構51,61とを備えている。尚、上記捲回部11や各供給機構31,41,51,61など、捲回装置10内の各種機構は、基本的には図示しない制御装置により動作制御される構成となっている。
【0056】
正電極シート供給機構31の最上流側においては、正電極シート4がロール状に捲回されてなる正電極シート原反32が回転可能に支持されており、ここから適宜、正電極シート4が引き出されることとなる。
【0057】
また、正電極シート原反32から捲回部11にかけての正電極シート4の搬送路の途中には、下流側より順に、テープ位置検出手段としての検出センサ83、第1繰出しローラ84、バッファ機構85、第2繰出しローラ86及び切断貼付装置87が設けられている。
【0058】
検出センサ83は、例えば光電センサからなり、正電極シート4に貼付されたポリプロピレン等からなるテープ部としての保護テープ100を検出するものである。検出センサ83は、正電極シート4に向けて光を照射し、反射光の差異に基づいて保護テープ100を直接的に検出する。保護テープ100が検出されると、検出センサ83から所定の算出制御装置89に対し、保護テープ100を検出した旨の信号が入力される。
【0059】
算出制御装置89は、検出センサ83から信号が入力される度に、その直前の信号入力時からの、後述する測長ローラ85aに設けられたエンコーダの回転量を取得する。そして、取得した回転量に基づき、保護テープ100の貼付位置から次の保護テープ100の貼付位置までの距離、すなわち、捲回部11により実際に巻取られることとなる電池素子1ひとつ分の正電極シート4の長さを算出する。本実施形態では、算出制御装置89及び測長ローラ85aによって、シート測長手段が構成される。
【0060】
また、算出制御装置89は、電池素子1ひとつ分の正電極シート4の長さに関する設定値が予め記録されており、当該設定値に基づき、第2繰出しローラ86の動作を制御する。より詳しくは、算出制御装置89は、第2繰出しローラ86に設けられたエンコーダ(図示せず)に基づき、第2繰出しローラ86から繰出されている正電極シート4の長さに関するデータを逐次受信しており、受信したデータに基づき把握した正電極シート4の繰出し量と前記設定値とが等しくなったときに、第2繰出しローラ86の動作を停止させる。
【0061】
加えて、算出制御装置89は、前記設定値を逐次更新可能とされており、実際に供給された(算出した)正電極シート4の長さと前記設定値との差分に基づき新たな設定値を導出し更新する。例えば、実際に供給された(算出された)正電極シート4の長さが設定値に対し5mm長いものとなっていた場合、算出制御装置89は、新たな設定値を現在の設定値よりも5mm短い値に更新する。これにより、次回供給される正電極シート4の長さは、前回の供給長さよりも5mm短いものとされる。本実施形態では、算出制御装置89及び第2繰出しローラ86によって、供給長さ調節手段が構成される。
【0062】
第1繰出しローラ84は、図示しないモータに連結された上下一対のローラ84a,84bを有し、両ローラ84a,84bにより正電極シート4を挟持しつつ、捲回部11の捲回動作に合せて正電極シート4を繰り出すよう構成されている。
【0063】
一方、第2繰出しローラ86は、正電極シート4を繰り出しつつ、保護テープ100の貼付位置を切断貼付装置87に対し位置決めするためのものであり、図示しないモータに連結された上下一対のローラ86a,86b、及び、図示しないエンコーダ等を有している。そして、第2繰出しローラ86は、両ローラ86a,86bにより正電極シート4を挟持しつつ、算出制御装置89からの制御に基づき、正電極シート4を間欠的に繰り出すように構成されている。
【0064】
バッファ機構85は、図示しないエンコーダを有する測長ローラ85aと、従動ローラ85bと、両ローラ85a,85b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ85cとを有し、捲回部11に対する正電極シート4の繰出し量と、第2繰出しローラ86による正電極シート4の繰出し量との差を吸収する役割を果たす。また、バッファ機構85は、捲回される正電極シート4に対して所定のテンションを付与し、正電極シート4の弛みを防止するための張力付与手段としても機能する。
【0065】
切断貼付装置87は、正電極シート4の切断や保護テープ100の貼付等を行うためのものであり、
図5等に示すように、正電極シート4を切断する電極シート切断手段としてのカッタ機構90と、カッタ機構90による正電極シート4の切断に際し正電極シート4を把持するシート離間手段としての把持機構91と、正電極シート4の被切断部分に対し保護テープ100を貼付するテープ接続手段としてのテープ貼付機構92とを備えている。
【0066】
カッタ機構90は、正電極シート4の上側に位置する上刃90aと、正電極シート4の下側に位置する下刃90bとから構成されるとともに、当該各刃90a,90bが正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
【0067】
把持機構91は、カッタ機構90の上流側にて正電極シート4を把持可能な上流側把持部91aと、カッタ機構90の下流側にて正電極シート4を把持可能な下流側把持部91bとを有するとともに、上流側把持部91aが下流側把持部91bに対し正電極シート4の搬送路に沿って進退可能に構成されている。
【0068】
より詳しくは、上流側把持部91aは、図示しない駆動手段により、下流側把持部91bから相当距離離間した退避位置と、下流側把持部91bに最も接近した最接近位置との間を移動可能に構成されている。つまり、各把持部91a,91bがシート搬送方向に沿って互いに離間・接近する方向へ相対移動可能に構成されている。なお、便宜上、符号は省略するが、各把持部91a,91bは、上下一対のチャックを具備しており、図示しない駆動手段により当該チャックが開閉動作を行うように構成されている。
【0069】
テープ貼付機構92は、正電極シート4の上方位置にて保護テープ100を保持可能な上保持部92aと、正電極シート4の下方位置にて保護テープ100を保持可能な下保持部92bとを有し、図示しない駆動手段により各保持部92a,92bがそれぞれ上下方向に沿って昇降動作を行うように構成されている。
【0070】
図2の説明に戻り、負電極シート供給機構41の最上流側においては、負電極シート5がロール状に捲回されてなる負電極シート原反42が回転可能に支持されており、ここから適宜、負電極シート5が引き出されることとなる。
【0071】
また、負電極シート原反42から捲回部11にかけての負電極シート5の搬送路の途中には、正電極シート4の搬送路と同様に、テープ位置検出手段としての検出センサ83、第1繰出しローラ84、バッファ機構85、第2繰出しローラ86、切断貼付装置87及び算出制御装置89などが設けられている。これら検出センサ83、第1繰出しローラ84、バッファ機構85、第2繰出しローラ86、切断貼付装置87、算出制御装置89などの各種構成は、正電極シート4の搬送路に設けられたものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。尚、本実施形態では、各電極シート4,5の搬送路のそれぞれに対応して算出制御装置89が1つずつ設けられているが、算出制御装置89を1つのみ設け、当該算出制御装置89によって、各電極シート4,5の供給量の調節等を行うように構成してもよい。
【0072】
一方、セパレータ供給機構51,61は、それぞれセパレータ2,3がロール状に捲回されてなるセパレータ原反52,62を備えている。
【0073】
セパレータ原反52,62は、自由回転可能に支持されており、ここから適宜、セパレータ2,3が引き出されることとなる。
【0074】
また、各種シート2〜5の供給経路の途中には、各種シート2〜5をひとまとめにする一対のガイドローラ88a,88bなど、各種シート2〜5を案内するための各種ガイドローラ(符号略)が設けられている。
【0075】
尚、本実施形態では、ガイドローラ88a,88bを通過し、セパレータ2,3及び両電極シート4,5が重ねられた状態において、正電極シート4に貼付された保護テープ100と負電極シート5に貼付された保護テープ100とが重なるように各電極シート4,5の搬送経路の長さ等が設定されている。
【0076】
次に捲回部11の構成について詳しく説明する。
図3に示すように、捲回部11は、図示しない駆動機構により回転可能に設けられた円盤状のターレット12と、当該ターレット12の回転方向に180°間隔で設けられた2つの巻芯13,14と、当該巻芯13,14とそれぞれターレット12の回転方向にほぼ90°ずつずれた位置に設けられた2つの支持ローラ15A,15Bと、セパレータ2,3及び保護テープ100を切断するためのセパレータ等切断手段としてのセパレータ等カッタ16と、捲回後の各種シート2〜5がばらけるのを押さえるための押えローラ17とを備えている。
【0077】
巻芯13,14は、それぞれ自身の外周側において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、巻芯13,14は、ターレット12の軸線方向(
図3等の紙面奥行方向)に沿って、当該ターレット12に対し出没可能に設けられている。
【0078】
巻芯13(14)は、
図4に示すように、それぞれ自身の軸線方向(
図4の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片13A,13B(14A,14B)を備えており、当該一対の芯片13A,13B(14A,14B)間に、各種シート2〜5を挿通可能なスリット13S(14S)が形成されている。
【0079】
また、巻芯13(14)は、スリット13S(14S)内において、各種シート2〜5を固定するための固定手段としてのチャック機構13T(14T)を備えている。
【0080】
チャック機構13T(14T)は、断面が略六角形状で内部に空間を有するチューブ131(141)と、当該チューブ131(141)に連結された図示しないエア供給排出機構とで構成されている。チューブ131(141)は、図中上部が接着部132(142)となっており、この接着部132(142)が芯片13A(14A)に接着されている。また、チューブ131(141)は、図中下部が挟持部133(143)となっており、この挟持部133(143)が、他方の芯片13B(14B)に対向するように配置されている。さらに、前記エア供給排出機構は、チューブ131(141)の内部空間に対するエアの供給、及び、当該内部空間からのエアの排出が可能となっている。そして、チューブ131(141)は、その内部空間にエアが供給されることによって膨張し、上記挟持部133(143)を一方の芯片13A(14A)から突出させる。また、チューブ131(141)は、その内部空間のエアが排出されることによって縮小し、その挟持部133(143)を一方の芯片13A(14A)の凹部134(144)に没入させる。かかる構成によって、
図4に示すように、チャック機構13T(14T)は、芯片13A,14B(14A,14B)間に挿通されたセパレータ2,3、正電極シート4又はこれに貼付された保護テープ100、及び、負電極シート5又はこれに貼付された保護テープ100を挟持可能となっている。尚、
図4では、各種シート2〜5及び保護テープ100を実際よりも厚肉に示している。
【0081】
図3に戻り、巻芯13,14は、ターレット12が回転することにより、第1ポジションとしての捲回ポジションP1と、第2ポジションとしての取外しポジションP2との間を旋回移動可能に構成されている。
【0082】
捲回ポジションP1は、巻芯13,14に対し各種シート2〜5を捲回するポジションであり、当該捲回ポジションP1に対し上記各供給機構31,41,51,61からそれぞれ各種シート2〜5が供給されることとなる。
【0083】
取外しポジションP2は、捲回後の各種シート2〜5、すなわち電池素子1の取外しを行うためのポジションである。取外しポジションP2の周辺部には、巻芯13,14から電池素子1の取外しを行うための取外装置(図示略)等が設けられている。
【0084】
支持ローラ15A,15Bは、取外しポジションP2へ移動した巻芯13,14と上記供給機構31,41,51,61との間で各種シート2〜5を引っ掛け、支持するためのものである。
【0085】
セパレータ等カッタ16は、捲回ポジションP1の近傍に配置されており、ターレット12に接近しセパレータ2,3及び保護テープ100を切断する切断位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置とに移動可能である。
【0086】
押えローラ17は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、ターレット12に接近し捲回後の各種シート2〜5を押さえる近接位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置とに移動可能に構成されている。
【0087】
次に、上述した捲回装置10を用いた電池素子1の製造方法について説明する。
【0088】
まずは、各電極シート4,5への保護テープ100の貼付手順について、正電極シート4の場合を例に詳しく説明する。尚、負電極シート5に対する保護テープ100の貼付手順は、正電極シート4に対する保護テープ100の貼付手順とほぼ同様であるが、一部異なる点がある(この点は後に説明する)。
【0089】
後述するように、チャック機構13T(14T)により正電極シート4が固定された状態となると、第1繰出しローラ84が停止する一方、第2繰出しローラ86は回転動作を続け、これより上流側の正電極シート4が繰出される。この間、バッファ機構85では、昇降ローラ85cが降下し、繰出された分の正電極シート4が貯留される。ここでは、少なくとも後述する保護テープ100の貼付作業中(第2繰出しローラ86の停止中)に、第1繰出しローラ84により繰出される量が貯留されることとなる。
【0090】
また、捲回部11により次の1素子分の捲回動作が開始されると、第1繰出しローラ84及び第2繰出しローラ86が同期して回転し、正電極シート原反32から捲回部11へ正電極シート4が順次搬送される。
【0091】
続いて、第2繰出しローラ86に設けられたエンコーダの計測値に基づき、捲回部11により巻取られる1素子分の正電極シート4の区切り位置X1〔
図10(a)参照〕が切断貼付装置87(カッタ機構90)の所定位置に達したと判断されると、第2繰出しローラ86が停止する。一方、第1繰出しローラ84は回転動作を続け、捲回部11による捲回作業は継続して行われる。従って、第2繰出しローラ86が停止し、第1繰出しローラ84が回転している間、バッファ機構85では、昇降ローラ85cが上昇し、貯留されていた正電極シート4が繰出されていくことなる。尚、区切り位置X1は、一方の巻芯13(14)により巻取られる正電極シート4の終端部と、他方の巻芯14(13)により次回巻取られる正電極シート4の始端部との区切り位置ということもできる。
【0092】
第2繰出しローラ86が停止し、これより上流側の正電極シート4の搬送が停止されると、
図6に示すように、把持機構91の上流側把持部91a及び下流側把持部91bが駆動し、カッタ機構90の上流側及び下流側にて正電極シート4を把持する。そして、このように正電極シート4を把持した状態で、カッタ機構90を駆動させ、正電極シート4を前記区切り位置X1にて切断する。この工程が、電極シート切断工程に相当する。
【0093】
シート切断後は、カッタ機構90の各刃90a,90bが正電極シート4の搬送経路外へ退避するとともに、
図7に示すように、把持機構91の各把持部91a,91bが正電極シート4を把持したまま、上流側把持部91aだけがシート搬送方向上流側(
図7の右側)へ移動する。これにより、切断された正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間には隙間4cが形成される〔
図10(b)参照〕。この工程が、シート離間工程に相当する。また、この工程の間に、テープ貼付機構92の両保持部92a,92bに対し、所定の供給装置から事前に保護テープ100が供給される。
【0094】
正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に隙間4cが形成された後、
図8に示すように、保護テープ100を保持したテープ貼付機構92の両保持部92a,92bがそれぞれ正電極シート4側へ作動する。これにより、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとをつなぐように正電極シート4の表裏両面からそれぞれ保護テープ100が貼付されるとともに、隙間4c部分においては、両保護テープ100が互いに接着した状態となる〔
図10(c)参照〕。この工程が、シート接続工程に相当する。
【0095】
そして、カッタ機構90、把持機構91及びテープ貼付機構92がそれぞれ元の状態(
図5参照)に戻り、保護テープ100の貼付作業が終了すると、再び第1繰出しローラ84及び第2繰出しローラ86が同期して回転する。そして、正電極シート4は、シート切断前と同様、再び一本の正電極シート4として、保護テープ100により繋がれた上流側部分4aと下流側部分4bとが連続して下流側へと搬送されていくこととなる。
【0096】
尚、負電極シート5への保護テープ100の貼付作業時には、
図9に示すように、シート搬送方向上流側(
図9の右側)に対する上流側把持部91aへの移動量が、正電極シート4への保護テープ100の貼付作業時における当該移動量よりも小さなものとされる。そのため、切断された負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間には、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に形成された隙間4cよりも小さな隙間5cが形成される〔
図10(d)参照〕。そして、正電極シート4に貼付される保護テープ100よりも短い保護テープ100が、負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとをつなぐように負電極シート5の表裏両面にそれぞれ貼付される〔
図10(e)参照〕。
【0097】
続いて、捲回部11による電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。ここでは、第1巻芯としての一方の巻芯13に対し電池素子1ひとつ分の各種シート2〜5の捲回がほぼ完了した段階から、第2巻芯としての他方の巻芯14に対し各種シート2〜5を捲回し始めるまでの過程に沿って詳しく説明する。
【0098】
捲回ポジションP1にある一方の巻芯13に対し各種シート2〜5が所定長、捲回されると(
図11参照)、巻芯13による捲回動作を停止させることなく、ターレット12が回転する。この工程が、巻芯移動工程に相当する。尚、本実施形態では、負電極シート5が正電極シート4の外周側に位置するようにして巻芯13,14による捲回が行われる。
【0099】
これにより、一方の巻芯13が各種シート2〜5を捲回しつつ、取外しポジションP2側へと移動していくとともに、他方の巻芯14がターレット12に対し没入した状態で捲回ポジションP1側へと移動していく(
図12参照)。
【0100】
そして、巻芯13が取外しポジションP2に達し,巻芯14が捲回ポジションP1に達すると、ターレット12の回転動作及び巻芯13の回転動作が停止される。かかる状態になると、ガイドローラ88a,88bから巻芯13にかけて配された各種シート2〜5が支持ローラ15Aに引っ掛かり、当該支持ローラ15Aとガイドローラ88a,88bとの間において各種シート2〜5が真っ直ぐ張られた状態となる。
【0101】
また、ターレット12に没入した巻芯14が捲回ポジションP1に到達した初期状態においては、上記支持ローラ15Aとガイドローラ88a,88bとの間に配設された各種シート2〜5の長手方向と、巻芯14のスリット14Sの貫通方向とが略平行した状態となる。
【0102】
この状態で、巻芯14がターレット12から突出する。これにより、巻芯14のスリット14S内に各種シート2〜5が挿通された状態となる(
図13参照)。この工程が、スリット挿通工程に相当する。尚、この状態において、前記挟持部143は一方の芯片14Aの前記凹部144に没入している。
【0103】
その後、再び取外しポジションP2に位置する巻芯13を回転させ、各種シート2〜5の捲回を再開する(
図14参照)。この工程が捲回工程に相当する。捲回に伴い、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100が徐々に巻芯14に近づいていく。そして、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ100が通過した時点で、各保護テープ100は互いに重ねられた状態となる。
【0104】
さらに、巻芯13の捲回を進め、捲回部11(巻芯13)に設けられた図示しないエンコーダの計測値に基づき、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100が巻芯13,14間の所定位置に達したところで、巻芯13による捲回動作を停止させる(
図15参照)。尚、所定位置には、捲回ポジションP1に配置された巻芯14のスリット14S内が含まれる(巻芯14よりも下流側の切断可能位置に、両保護テープ100の一部が位置していればよい)。
【0105】
その後、巻芯14のチャック機構14Tを駆動させ、電極シート4,5(及び/又はこれに貼付された保護テープ100)、並びに、セパレータ2,3を固定する。この工程が、固定工程に相当する。同時に、押えローラ17により巻芯13に捲回された各種シート2〜5を押える(
図16参照)。
【0106】
巻芯14に対しセパレータ2,3等が固定されると、セパレータ等カッタ16が作動し、巻芯14の近傍にて、重ねられた状態のセパレータ2,3及び各保護テープ100を一度に切断する(
図16参照)。この工程が、セパレータ等切断工程に相当する。これにより、巻芯14から僅かにはみ出す程度の長さにセパレータ2,3が切断され、捲回される際には当該セパレータ2,3の始端部で電極シート4,5の始端部が覆われ、当該セパレータ2,3の終端部で電極シート4,5の終端部が覆われた状態となる。
【0107】
セパレータ2,3及び各保護テープ100の切断後、押えローラ17により各種シート2〜5を押えた状態のまま、巻芯13を回転させる(
図17参照)。これにより、セパレータ2,3及び電極シート4,5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。この工程が、終端部巻取工程に相当する。
【0108】
そして、
図18(尚、
図18では、保護テープ100等を模式的に示す)に示すように、所定の固定テープ101によりセパレータ2,3や電極シート4,5の終端部分等を巻止めすることにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。尚、完成した電池素子1は、各種シート2〜5が正常に捲回されたものであれば、セパレータ2,3の終端部や各保護テープ100の終端部が少しずつずれた状態で電池素子1の外表に現れることとなる。従って、捲回作業が正常に行われた電池素子1において、固定テープ101の接着面は、各保護テープ100や電極シート4,5、セパレータ2,3に対し広範囲に亘って接触した状態となっている。
【0109】
完成した電池素子1は、上記取外装置により巻芯13から取り外される。電池素子1が取外された後、巻芯13は、ターレット12に対して没入する。
【0110】
尚、上記セパレータ2,3及び各保護テープ100の切断後には、上述した取外しポジションP2におけるセパレータ2,3及び電極シート4,5の終端部分の巻取作業を行うと同時に、捲回ポジションP1における各種シート2〜5の捲回作業を開始する。
【0111】
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯13,14に対し各種シート2〜5が交互に捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
【0112】
以上詳述したように、本実施形態によれば、各保護テープ100及びセパレータ2,3を切断するために、チャック機構13T,14Tによって電極シート4,5(及び/又はこれに貼付された保護テープ100)、並びに、セパレータ2,3を固定する工程(固定工程)と、セパレータ2,3及び各保護テープ100を一度に切断する工程(セパレータ等切断工程)とを行えばよい。従って、各保護テープ100を切断するために、保護テープ100に破断線を形成する工程等が不要となり、また、保護テープ100を切断する工程と、セパレータ2,3を切断する工程とを一工程に統合することができる。従って、生産効率を極めて効果的に向上させることができる。
【0113】
さらに、切断用の破断線を設ける必要はないため、電極シート4,5の搬送中に破断線にて保護テープ100が切断されてしまうという事態は生じ得ず、さらに、張力を加えて保護テープ100を切断する場合と比較して、切断時に保護テープ100が剥がれてしまう蓋然性も著しく低い。従って、安定した生産性を確保することができる。
【0114】
加えて、セパレータ2,3の端部における余り部分(電極シート4,5を覆わない部分)の長さは、保護テープ100の被切断部分から電極シート4,5の当該被切断部分に近い側の端縁までの長さと同程度となる。従って、セパレータ2,3の使用量を削減することができ、製造コストの低減や電池素子1の小型化を図ることができる。
【0115】
また、電極シート4,5の切断面が保護テープ100で覆われ保護された状態となるため、切断に伴うバリやエッジが電極シート4,5の切断面に生じたとしても、これらバリ等が露出してしまうことを防止できる。これにより、バリ等によってセパレータ2,3が傷つけられてしまうといった事態を防止でき、電池素子1の品質向上を図ることができる。
【0116】
さらに、本実施形態によれば、得られた電池素子1において、より確実に負電極シート5で正電極シート4を覆うことができる。従って、正電極シート4が負電極シート5で覆われないことに伴う不具合(例えば、正電極シート4に針状の析出物が形成され、セパレータ2,3に傷がついてしまうこと等)を効果的に抑制することができる。その結果、電池素子1の品質向上を一層図ることができる。
【0117】
併せて、本実施形態では、保護テープ100の貼付位置を利用することで、実際に供給されている1素子分の電極シート4,5の長さを計測することができる。また、算出制御装置89等は、計測された電極シートの長さに基づき、供給機構31,41から供給される電極シート4,5の長さを調節することができる。従って、電池素子1における電極シート4,5の長さをより適切なものとすることができ、電池素子1の品質をより一層高めることができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、セパレータ等カッタ16により各保護テープ100を切断する際に、各保護テープ100の位置に大きなズレが生じてしまうことをより確実に防止できる。これにより、保護テープ100等の切断時に各保護テープ100をより確実に重ねることができ、セパレータ等カッタ16によって、各保護テープ100及びセパレータ2,3をより確実に一度で切断することができる。その結果、より安定した生産性を確保することができる。
【0119】
また、本実施形態では、複数の巻芯13,14のうちの1つにおいてセパレータ2,3や電極シート4,5の下流側部分(終端部)を巻取ると同時に、その他の巻芯において新たな捲回を開始することができる。結果として、1つの巻芯のみを備えた捲回装置に比べ、生産性の向上を図ることができる。
【0120】
さらに、得られた電池素子1は、各電極シート4,5やセパレータ2,3が正常に捲回されたものであれば、その終端部において、各保護テープ100及びセパレータ2,3の端縁部が目視により確認可能となる。従って、電池素子1の終端部を目視により確認することで、電池素子1における電極シート4,5やセパレータ2,3の捲回状態の良否を容易に判別することができる。
【0121】
また、各保護テープ100及びセパレータのそれぞれの端縁部が少しずつずれた状態となっているため、固定テープ101の接着面を少なくとも保護テープ100及びセパレータ2,3(本実施形態では、各電極シート4,5、各保護テープ100及びセパレータ2,3)に対しより確実に接触させることができる。その結果、電池素子1における巻止めをより確実、かつ、より強固に行うことができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0122】
上記第1実施形態において、捲回部11は、ターレット12及び複数の巻芯13,14を有している。これに対し、本第2実施形態における捲回部21は、
図19に示すように、ターレットを備えておらず、1本の巻芯22のみを備えている。当該巻芯22は、その回転軸が(軸線と交わる方向に)移動しない点を除いて、上記第1実施形態における巻芯13,14とほぼ同様の構成を有するものである。すなわち、巻芯22は、自身の外周において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、
図20に示すように、巻芯22は、自身の軸線方向(
図20の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片22A,22Bを備えており、当該一対の芯片22A,22B間には、各種シート2〜5を挿通可能なスリット22Sが形成されている。さらに、巻芯22は、スリット22S内において、各種シート2〜5を固定するためのチャック機構22Tを備えている。
【0123】
また、
図22に示すように、巻芯22の近傍には、セパレータ2,3及び保護テープ100を切断するためのセパレータ等切断手段としてのセパレータ等カッタ23と、押えローラ24とが設けられている。
【0124】
セパレータ等カッタ23は、各シート2〜5の搬送経路に接近しセパレータ2,3及び保護テープ100を切断する切断位置と、各シート2〜5の搬送経路から離間する退避位置とに移動可能に構成されている。
【0125】
押えローラ24は、巻芯22の近傍に配置されており、捲回後の各種シート2〜5を押さえる近接位置と、退避位置とに移動可能に構成されている。
【0126】
また、巻芯22に対応して、巻芯22から電池素子1の取外しを行うための取外装置(図示略)が設けられている。
【0127】
さらに、各種シート2〜5の供給経路の途中であって、ガイドローラ88a,88b及び巻芯
22の間には、各種シート2〜5を支持する支持ローラ25(
図21等参照)が設けられている。また、各種シート2〜5の供給経路の途中であって、前記支持ローラ25の上流側には、固定手段としてのチャック機構26が設けられている。チャック機構26は、各電極シート4,5及び各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100のうち少なくとも一方、並びに、セパレータ2,3を挟持する機能を有する。また、チャック機構26は、各種シート2〜5の供給経路に沿って、巻芯22に接近する接近位置と、巻芯22から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。
【0128】
続いて、捲回部21による電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。ここでは、巻芯22に対し各種シート2〜5の捲回がある程度完了した段階から、巻芯22に対し各種シート2〜5を再度捲回し始めるまでの過程に沿って詳しく説明する。尚、
図20〜24においては、巻芯22に捲回された各種シート2〜5を模式的に示す。また、各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bは、予め保護テープ100でつながれていることとする。
【0129】
巻芯22に対する各種シート2〜5の捲回が進んでいくと、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100が徐々に巻芯22に近づいていく。そして、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ100が通過した時点で、各保護テープ100は互いに重ねられた状態とされる。この各種シート2〜5を捲回し、各保護テープ100を互いに重ねた状態とする工程が、捲回工程に相当する。尚、巻芯22に対する各種シート2〜5の捲回中には、ガイドローラ88a,88bから巻芯22にかけて配された各種シート2〜5は支持ローラ25に引っ掛かっている。そして、支持ローラ25とガイドローラ88a,88bとの間において各種シート2〜5は真っ直ぐ張られた状態となっている。
【0130】
巻芯22の捲回を進め、捲回部21(巻芯22)に設けられた図示しないエンコーダの計測値に基づき、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100が支持ローラ25及びガイドローラ88a,88b間の所定位置に達したところで、巻芯22による捲回動作を停止させる(
図21参照)。
【0131】
次いで、前記チャック機構26により各種シート2〜5のうち保護テープ100よりも上流側の部分を挟持する。この工程が、固定工程に相当する。同時に、押えローラ25により巻芯22に捲回された各種シート2〜5を押える(
図22参照)。
【0132】
チャック機構26によりセパレータ2,3等が固定されると、セパレータ等カッタ23が作動し、巻芯22の近傍にて、重ねられた状態のセパレータ2,3及び各保護テープ100を一度に切断する(
図23参照)。この工程が、セパレータ等切断工程に相当する。
【0133】
セパレータ2,3及び各保護テープ100の切断後、押えローラ24により各種シート2〜5を押えた状態のまま、巻芯22を回転させる。これにより、セパレータ2,3及び電極シート4,5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。
【0134】
そして、固定テープ101により各種シート2〜5の終端部分を巻止めすることにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。完成した電池素子1は、エアーの供給を停止し、チャック機構22Tをしぼませた上で、上記取外装置により巻芯22から取り外される。
【0135】
次いで、前記チャック機構26により挟持された各種シート2〜5を巻芯22のスリット22Sへと挿通する(
図24参照)。次いで、チャック機構22Tを駆動させ、当該チャック機構22Tによってスリット22S内にて電極シート4,5等、及び、セパレータ2,3を固定する。そして、チャック機構26による各種シート2〜5の挟持を解除した上で、巻芯22を回転させることにより各種シート2〜5の捲回作業を開始する。
【0136】
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯22に対し各種シート2〜5が順次捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
【0137】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、生産効率を極めて効果的に向上させるとともに、安定した生産性等を得ることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0138】
上記第1実施形態では、保護テープ100により各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが繋がれるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、
図25(c),(e)に示すように、保護テープ100及び接続用テープ110によって各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが繋がれるように構成されている。接続用テープ110は、保護テープ100の構成材料と同一の耐熱性材料(例えば、ポリプロピレン等)により形成されているが、保護テープ100とは異なり接着層を備えていない。保護テープ100及び接続用テープ110が、テープ部に相当する。
【0139】
また、本第3実施形態において、検出センサ83は、保護テープ100及び接続用テープ110を検出可能に構成されている。尚、この検出センサ83は、保護テープ100及び接続用テープ110を区別することなく、単にテープの存在を検出する。
【0140】
また、本第3実施形態において、正電極シート4の搬送路の途中に設けられる切断貼付装置120は、正電極シート4の切断や保護テープ100の貼付といった機能とともに、保護テープ100の貼付時に、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4b間に接続用テープ110を配置する機能を備えている。次に、切断貼付装置120の構成について説明する。
【0141】
切断貼付装置120は、
図26等に示すように、正電極シート4を切断するシート切断手段としてのカッタ機構121と、カッタ機構121による正電極シート4の切断に際し正電極シート4を把持するシート離間手段としての把持機構122と、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4b間に接続用テープ110を配置するテープ配置手段としてのテープ配置機構123と、接続用テープ110及び正電極シート4の被切断部位に対し保護テープ100を貼付するテープ接続手段としてのテープ貼付機構124とを備えている。
【0142】
カッタ機構121は、正電極シート4の上側に位置する上刃121aと、正電極シート4の下側に位置する下刃121bとから構成されている。また、各刃121a,121bは、正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
【0143】
把持機構122は、カッタ機構
121の上流側にて正電極シート4を把持可能な上流側把持部122aと、カッタ機構
121の下流側にて正電極シート4を把持可能な下流側把持部122bとを有するとともに、上流側把持部122aが下流側把持部122bに対し正電極シート4の搬送路に沿って進退可能に構成されている。上流側把持部122aは、図示しない駆動手段により、下流側把持部122bから相当距離離間した退避位置と、下流側把持部122bに最も接近した最接近位置との間を移動可能である。但し、前記退避位置は、上記第1実施形態における退避位置と比較して、下流側把持部122bからより離間した位置となっている。
【0144】
テープ配置機構123は、正電極シート4の上方位置にて接続用テープ110を保持可能な上挟持片部123aと、正電極シート4を挟んで上挟持片部123aと相対する下挟持片部123bとを備えている。各挟持片部123a,123bは、図示しない駆動手段により上下方向に沿って昇降動作可能であり、接続用テープ110を挟持可能とされている。
【0145】
テープ貼付機構124は、テープ配置機構123の上流側及び下流側にそれぞれ1つずつ設けられており、各テープ貼付機構124は、正電極シート4の上方位置にて保護テープ100を保持可能な上保持部124aと、正電極シート4の下方位置にて保護テープ100を保持可能な下保持部124bとを有している。図示しない駆動手段により各保持部124a,124bはそれぞれ上下方向に沿って昇降動作可能に構成されている。。
【0146】
尚、負電極シート5の搬送路の途中にも、切断貼付装置120が設けられている。当該切断貼付装置120の構成は、正電極シート4の搬送路に設けられたものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0147】
続いて、切断貼付装置120による各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bの接続手順について、正電極シート4の場合を例に詳しく説明する。尚、負電極シート5における上流側部分5a及び下流側部分5bの接続手順は、正電極シート4における上流側部分4a及び下流側部分4bの接続手順とほぼ同様であるが、一部異なる点がある(この点は後に説明する)。
【0148】
捲回部11による捲回動作に伴い、正電極シート原反32から捲回部11へ正電極シート4が順次搬送されている状態において、第2繰出しローラ86に設けられたエンコーダの計測値に基づき、捲回部11により巻取られる1素子分の正電極シート4の区切り位置X1〔
図25(a)参照〕が切断貼付装置120(カッタ機構121)の所定位置に達したと判断されると、第2繰出しローラ86が停止する。一方、第1繰出しローラ84は回転動作を続け、捲回部11による捲回作業は継続して行われる。
【0149】
第2繰出しローラ86が停止し、これより上流側の正電極シート4の搬送が停止されると、
図27に示すように、把持機構122の上流側把持部122a及び下流側把持部122bが駆動し、カッタ機構121の上流側及び下流側にて正電極シート4を把持する。そして、このように正電極シート4を把持した状態で、カッタ機構121を駆動させ、正電極シート4を前記区切り位置X1にて切断する。
【0150】
シート切断後、カッタ機構121の各刃121a,121bが正電極シート4の搬送経路外へ退避する。さらに、
図28に示すように、把持機構122の各把持部122a,122bが正電極シート4を把持したまま、上流側把持部122aだけがシート搬送方向上流側(
図28の右側)へ移動する。これにより、切断された正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間には隙間4cが形成される〔
図25(b)参照〕。尚、本第3実施形態における上流側把持部122aのシート搬送方向上流側への移動量は、上記第1実施形態における当該移動量よりも大きなものとされている。そのため、本第3実施形態における隙間4cは、上記第1実施形態における隙間4cよりも広いものとなっている。
【0151】
また、上流側把持部122aの移動時に、テープ配置機構123の上挟持部123aに対し、所定の供給装置から事前に接続用テープ110が供給される。
【0152】
次いで、
図29に示すように、テープ配置機構123の両挟持片部123a,123bがそれぞれ正電極シート4側へと作動し、隙間4cに接続用テープ110を配置する。また、この間に、テープ貼付機構124の両保持部124a,124bに対し、所定の供給装置から事前に保護テープ100が供給される。尚、テープ配置機構123に対する接続用テープ110の供給時に、テープ貼付機構124に対する保護テープ100の供給を行うこととしてもよい。
【0153】
次に、
図30に示すように、保護テープ100を保持したテープ貼付機構124の両保持部124a,124bがそれぞれ正電極シート4側へ作動する。これにより、正電極シート4の上流側部分4a及び接続用テープ110の上流側端部、並びに、正電極シート4の下流側部分4b及び接続用テープ110の下流側端部に対し、正電極シート4の裏表両面からそれぞれ保護テープ100が貼付される。その結果、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4bが、保護テープ100及び接続用テープ110により接続されることとなる〔
図25(c)参照〕。
【0154】
そして、カッタ機構121、把持機構122、テープ配置機構123及びテープ貼付機構124がそれぞれ元の状態に戻り、保護テープ100の貼付作業が終了すると、再び第1繰出しローラ84及び第2繰出しローラ86が同期して回転する。そして、正電極シート4は、シート切断前と同様、再び一本の正電極シート4として、保護テープ100及び接続用テープ110により繋がれた上流側部分4aと下流側部分4bとが連続して下流側へと搬送されていくこととなる。
【0155】
尚、負電極シート5の上流側部分5a及び下流側部分5bの接続作業時には、
図31に示すように、シート搬送方向上流側(
図31の右側)に対する上流側把持部122aへの移動量が、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4bの接続作業時における当該移動量よりも小さなものとされる。そのため、切断された負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間には、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に形成された隙間4cよりも小さな隙間5cが形成される〔
図25(d)参照〕。そして、正電極シート4を接続する接続用テープ110よりも短い接続用テープ110によって、負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとが接続されることとなる〔
図25(e)参照〕。
【0156】
次いで、捲回部21による電池素子1の捲回手順について、上記第1実施形態との相違点を説明する。
【0157】
上記第1実施形態では、捲回に伴い各電極シート4,5に貼付された各保護テープ100が徐々に巻芯14に近づいていき、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ100が通過した時点で、各保護テープ100が互いに重ねられた状態となるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、
図32に示すように、捲回に伴い各電極シート4,5を接続する各保護テープ100及び各接続用テープ110が徐々に巻芯14に近づいていき、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ100及び各接続用テープ110が通過した時点で、正電極シート4を接続する保護テープ100及び接続用テープ110と負電極シート5を接続する保護テープ100及び接続用テープ110とが互いに重ねられた状態となる。
【0158】
また、上記第1実施形態では、セパレータ等カッタ16により、重ねられた状態のセパレータ2,3及び各保護テープ100が一度に切断されるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、
図33に示すように、セパレータ等カッタ16により、重ねられた状態のセパレータ2,3、電極シート4を接続する保護テープ100及び接続用テープ110、及び、電極シート5を接続する保護テープ100及び接続用テープ110が一度に切断される。
【0159】
以上、本第3実施形態によれば、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0160】
また、本第3実施形態によれば、電極シート4,5の上流側部分4a,5aと下流側部分4b,5bとの間において、保護テープ100が重なってなる比較的厚肉の部分をより短いものすることができる。これにより、得られた電池素子1における外径を比較的小さなものとすることができ、電池素子1の小型化を一層図ることができる。また、重ねられた保護テープ100の間における気泡の発生をより確実に防止することができ、電池素子1の品質低下を効果的に抑制することができる。
【0161】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0162】
(a)上記第2実施形態における技術思想に対し、上記第3実施形態における技術思想を適用することとしてもよい。すなわち、1つの巻芯22のみを有する捲回部21を用いて、保護テープ100及び接続用テープ110により上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが接続された各電極シート4,5を巻取ることとしてもよい。尚、この場合、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ100等が通過した時点で、正電極シート4を接続する保護テープ100及び接続用テープ110と負電極シート5を接続する保護テープ100及び接続用テープ110とは互いに重ねられた状態となる。そして、チャック機構26によりセパレータ2,3等が固定されると、セパレータ等カッタ23が作動し、巻芯22の近傍にて、重ねられた状態のセパレータ2,3及び各接続用テープ110等が一度に切断されることとなる。
【0163】
(b)上記実施形態では、捲回装置10によって、リチウムイオン電池の電池素子1が製造されているが、捲回装置10によって製造される捲回素子はこれに限定されるものではなく、例えば、電解コンデンサの捲回素子等を製造することとしてもよい。
【0164】
(c)上記実施形態では、巻芯13,14,22として、各種シート2〜5の捲回される外周形状が円形状に構成された巻芯を採用しているが、巻芯13,14,22の形状はこれに限定されるものではなく、例えば外周形状が長方形状(扁平状)、楕円形状、長円形状等となる巻芯を採用してもよい。
【0165】
(d)セパレータ2,3や電極シート4,5の材質は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、セパレータ2,3をPPにより形成することとしているが、他の絶縁性材料によってセパレータ2,3を形成することとしてもよい。また、例えば、電極シート4,5に塗布される活物質を適宜変更してもよい。
【0166】
(e)上記第1、第3実施形態においては、捲回部11が、2つの巻芯13,14を備えた構成となっているが、巻芯の数はこれに限定されるものではなく、3つ以上の巻芯を備えた構成としてもよい。
【0167】
(f)チャック機構13T(14T)の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、一対の芯片13A,13Bが相対変位し、各種シート2〜5を挟持可能な構成としてもよい。
【0168】
(g)巻芯13,14,22の回転方向は、必ずしも上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。尚、巻芯13,14,22の回転方向を変更した場合であっても、隙間4c,5cの大きさ(保護テープ100や接続用テープ110の長さ)を調節することで、負電極シート5で正電極シート4が覆われた構成とすることができる。例えば、巻芯13,14,22の回転方向の変更に伴い、正電極シート4が負電極シート5の外周側に位置するように構成しても、負電極シート5の隙間5cと正電極シート4の隙間4cとに所定以上の差があり、負電極シート5が、正電極シート4の最外周部を一周分覆うことが可能なように正電極シート4よりも十分に長いものとされていれば、負電極シート5で正電極シート4を覆うことができる。
【0169】
(h)上記第1、第3実施形態では、電極シート切断手段としてのカッタ機構90(121)と、シート離間手段としての把持機構91(122)と、テープ接続手段としてのテープ貼付機構92(124)とを一体に備えた切断貼付装置87(120)を採用しているが、これに限らず、カッタ機構90(121)、把持機構91(122)及びテープ貼付機構92(124)のうち少なくとも1つを独立して備えた構成としてもよい。また、テープ配置手段としてのテープ配置機構123を独立して備えた構成としてもよい。
【0170】
(i)上記実施形態では、セパレータ等カッタ16,23により巻芯13,14,22の外側にてセパレータ2,3等を切断する構成となっているが、セパレータ2,3等を切断する構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば巻芯にカッタを備え、スリット内部にてセパレータ2,3等を切断する構成としてもよい。
【0171】
(j)上記第1、第3実施形態では、巻芯13,14に設けられたエンコーダの計測値に基づき、電極シート4,5に貼付された保護テープ100を、巻芯13,14間の所定位置に位置決めする構成となっているが、これに限らず、例えば巻芯13,14にセンサを設け、その検出結果を基に保護テープ100の位置決めを行う構成としてもよい。
【0172】
(k)上記実施形態において、検出センサ83は、反射光に基づき保護テープ100を直接的に検出しているが、例えば、保護テープ100が透過性の材料からなる場合には、透過光や反射光に基づき、1素子分の電極シート4,5の始端又は終端を検出したり、1素子分の電極シート4,5間に形成された隙間4c,5cを検出したりすることで、保護テープ100の貼付位置を間接的に検出してもよい。
【0173】
(l)上記第1、第3実施形態では、ターレット12において、各種シート2〜5を引っ掛けるための支持ローラ15A,15Bが設けられているが、支持ローラ15A,15Bを省略した構成としてもよい。
【解決手段】捲回装置10においては、カッタ機構90により電極シート4,5の始端部と終端部との区切りとなる位置にて電極シート4,5が切断され、電極シート4,5の上流側部分と下流側部分とを離間させた状態で、保護テープ100等からなるテープ部によって電極シート4,5の上流側部分と下流側部分とがつながれる。さらに、セパレータ等カッタ16によってセパレータ2,3及び保護テープ100等を重ねた状態で一度に切断する。セパレータ3,4及び保護テープ100等が一度に切断されるため、生産効率を向上させることができる。また、保護テープ100等を切断するための破断線が不要となるため、安定した生産性を確保することができる。