特許第5908173号(P5908173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

特許5908173無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法
<>
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000006
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000007
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000008
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000009
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000010
  • 特許5908173-無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908173
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】無線通信システム、処理ユニット、およびそのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードにおける干渉低減のための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/04 20090101AFI20160412BHJP
   H04W 16/08 20090101ALI20160412BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20160412BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20160412BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20160412BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20160412BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20160412BHJP
【FI】
   H04W36/04
   H04W16/08
   H04W24/10
   H04W16/28
   H04B7/10 A
   H04J15/00
   H04W16/32
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-521998(P2015-521998)
(86)(22)【出願日】2013年5月3日
(65)【公表番号】特表2015-532026(P2015-532026A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013059249
(87)【国際公開番号】WO2014012689
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】12305865.3
(32)【優先日】2012年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】スタンツェ,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルラッハ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】セザル,ボゾ
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/123250(WO,A1)
【文献】 特開2011−171837(JP,A)
【文献】 特開2004−128966(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/135614(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2056628(EP,A1)
【文献】 特開2011−130355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04B 7/10
H04J 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム(RCS)での干渉低減のための方法(MET1)であって、前記方法(MET1)が、
少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が第1の基地局(BS1)に接続されているとき、かつ、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が、前記無線通信システム(RCS)の前記第1の基地局(BS1)および第2の基地局(BS2)の第1の重なるカバレッジ・エリア内に位置するとき、前記無線通信システム(RCS)の前記第1の基地局(BS1)によって送信され、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)での定義済みの品質基準を満たすまたは超える放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の指標(PMI1)を、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)から処理ユニット(PU)で受信するステップ(M1/6)と、
前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への、または前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバの前または後に、前記指標(PMI1)が前記第1の基地局(BS1)で受信されたかどうかを、前記処理ユニット(PU)で管理するステップ(M1/7)と、
少なくとも1つの無線リソースを用いて前記第2の基地局(BS2)によって前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)または少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)をサーブするための前記受信された指標(PMI1)に基づいて、前記少なくとも1つの無線リソースが、前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の少なくとも1つに関して前記第1の基地局(BS1)によって使用されない、または、最大送信電力未満の定義済みの差分を用いて送信されることを、前記処理ユニット(PU)で決定するステップ(M1/10)と
を含み、前記受信された指標(PMI1)の前記1つが前記ハンドオーバの前または後に受信されている場合、前記受信された指標(PMI1)の前記1つによって示された放射線ビームが、前記決定するステップ(M1/10)のために考慮される、方法。
【請求項2】
前記指標が、プリコーディング・マトリクス・インジケータであり、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が、前記第1の基地局(BS1)に接続され、前記第1の基地局(BS1)によってサーブされるとき、前記プリコーディング・マトリクス・インジケータが、最良のプリコーディング・マトリクス・インジケータとして扱われ、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)または前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)が、前記第2の基地局(BS2)に接続され、前記第2の基地局(BS2)によってサーブされるとき、前記プリコーディング・マトリクス・インジケータが、最悪のプリコーディング・マトリクス・インジケータとして扱われる、請求項1に記載の方法(MET1)。
【請求項3】
前記管理するステップ(M1/7)が、前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバ前の第1の定義済みの時間間隔内に、または、前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバ後の第2の定義済みの時間間隔内に、前記指標(PMI1)が受信されたかどうかを確認し、前記受信された指標(PMI1)の前記1つが前記第1の定義済みの時間間隔内、または前記第2の定義済みの時間間隔内に受信されている場合、前記受信された指標(PMI1)の前記1つにより示される前記放射線ビームが前記決定するステップ(M1/10)のために考慮されるかどうかを確認するサブステップを含む、請求項1に記載の方法(MET1)。
【請求項4】
前記管理するステップ(M1/7)が、前記指標(PMI1)のどれが、前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバ前に受信された最後の指標であるのか、または、前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバ後に受信された最初の指標であるのかを決定するサブステップを含み、前記受信された指標(PMI1)の前記1つが前記最後の指標または前記最初の指標である場合、前記受信された指標(PMI1)の前記1つによって示される前記放射線ビームが前記決定するステップ(M1/10)のために考慮される、請求項1に記載の方法(MET1)。
【請求項5】
前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の第1の放射線ビーム(B1)が、前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の第2の放射線ビーム(B2)と隣接し、または重なり、前記第2の放射線ビーム(B2)が、前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の第3の放射線ビーム(B3)と隣接し、または重なり、前記第1の放射線ビーム(B1)および第3の放射線ビーム(B3)に関する指標が前記処理ユニット(PU)で受信された場合、前記第2の放射線ビーム(B2)が前記決定するステップ(M1/10)のために考慮される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項6】
前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の前記1つが定義済みの発生頻度で示されている場合、前記受信された指標(PMI1)の1つによって示される放射線ビームが前記決定するステップ(M1/10)のために考慮される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項7】
前記定義済みの品質基準が、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)で受信された前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の1つの無線周波数信号の最大信号対雑音比、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)で受信された前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の1つの前記無線周波数信号の最大信号対干渉プラス雑音比、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)で受信された前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の1つの前記無線周波数信号の最大信号対干渉比のいずれかである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項8】
前記定義済みの品質基準が、最高の受信信号品質を有する放射線ビームであるか、定義済みの受信信号品質よりも上の受信信号品質を有する少なくとも2つの放射線ビームのグループに属している放射線ビームである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項9】
前記第1の基地局(BS1)がマクロ基地局であり、前記第2の基地局(BS2)がマイクロ基地局、ピコ基地局、またはフェムト基地局であり、前記マイクロ基地局、前記ピコ基地局、または前記フェムト基地局のカバレッジ・エリア(C2、C2−EXT)が、前記マクロ基地局のカバレッジ・エリア(SEC1)内に位置するか、前記マクロ基地局のカバレッジ・エリア(SEC1)と重なる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項10】
前記方法が、さらに、
前記第1の基地局(BS1)によって送信され、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度が、前記第2の基地局(BS2)によって送信され、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度よりも大きい第1の定義済みの大きさ(DS−R)ではない限り、前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)へのハンドオーバを防止することによって、または、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第2の無線周波数信号の前記信号強度が、最大で、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第1の無線周波数信号の前記信号強度よりも小さい前記第1の定義済みの大きさ(DS−R)である場合、前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)へのハンドオーバをトリガすることによって、前記第2の基地局(BS1)の前記カバレッジ・エリア(C2−EXT)のために範囲拡張を適用するステップと、
定義済みの時間間隔で、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)または前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)を選択するステップと、
前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第2の無線周波数信号の前記信号強度が、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第1の無線周波数信号の前記信号強度よりも小さい第2の定義済みの大きさ(DS−NO−R)である場合、前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)への前記ハンドオーバをトリガすることによって、または、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第2の無線周波数信号の前記信号強度が、少なくとも前記1つの移動局(MS1、MS2)によって、もしくは前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)によって測定された前記第1の無線周波数信号の前記信号強度よりも大きい前記第2の定義済みの大きさ(DS−NO−R)である限り、前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への前記ハンドオーバを防止することによって、前記選択された少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)および/または前記選択された少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)に関して、前記第2の基地局(BS2)の前記カバレッジ・エリア(C2)のために範囲拡張を適用しないステップと
を含み、前記第1の定義済みの大きさ(DS−R)が前記第2の定義済みの大きさ(DS−NO−R)よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法(MET1)が、さらに、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が、前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバを防止するための定義済みの速度値以上の速度で前記第2の基地局(BS2)の前記カバレッジ・エリアを横断しているとき、前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の1つに関する指標が前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)から受信されているかどうかを、前記処理ユニット(PU)で確認するステップ(M1/7)を含み、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が、前記定義済みの速度値以上の前記速度で前記第2の基地局(BS2)の前記カバレッジ・エリアを横断している場合、前記受信された指標(PMI1)の前記1つによって示される前記放射線ビームが、前記決定するステップ(M1/10)のために考慮される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)が、前記第1の基地局(BS1)および前記第2の基地局(BS2)の第2の重なるカバレッジ・エリア内に位置し、前記方法(MET1)が、さらに、
少なくとも1つのさらなる無線リソースを用いて前記第2の基地局(BS2)によって前記少なくとも1つのさらなる移動局(MS2)をサーブするための前記受信された指標に基づいて、前記少なくとも1つのさらなる無線リソースが、少なくとも1つのさらなる放射線ビーム(B1)に関して前記第1の基地局(BS1)によって使用されない、または、前記制限された送信電力で送信されることを、前記処理ユニット(PU)で決定するステップ(M1/10)と、
前記少なくとも1つの無線リソースのための第1の指標またはいくつかの第1の指標(RRI1)、および前記少なくとも1つのさらなる無線リソースのための第2の指標またはいくつかの第2の指標(RRI2)を、前記処理ユニット(PU)から前記第2の基地局(BS2)に送信するステップ(M1/11)と
を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法(MET1)。
【請求項13】
無線通信システム(RCS)での干渉低減のための処理ユニット(PU)であって、前記処理ユニット(PU)が、
少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が第1の基地局(BS1)に接続されているとき、かつ、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)が、前記無線通信システム(RCS)の前記第1の基地局(BS1)および第2の基地局(BS2)の重なるカバレッジ・エリア内に位置するとき、前記無線通信システム(RCS)の前記第1の基地局(BS1)によって送信され、定義済みの品質基準を満たすまたは超える放射線ビームの指標を、前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)から受信するためのインターフェース(IF1)と、
前記第1の基地局(BS1)から前記第2の基地局(BS2)への、または前記第2の基地局(BS2)から前記第1の基地局(BS1)への前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)のハンドオーバの前または後に、前記指標(PMI1)が前記第1の基地局(BS1)で受信されたかどうかを、前記処理ユニット(PU)で管理する(M1/7)ための評価ユニット(EVAL−U)と、
少なくとも1つの無線リソースを用いて前記第2の基地局(BS2)によって前記少なくとも1つの移動局(MS1、MS2)または少なくとも1つのさらなる移動局(MS1、MS2)をサーブするための前記受信された指標(PMI1)に基づいて、前記少なくとも1つの無線リソースが、前記放射線ビーム(B1、B2、B3、B4)の1つに関して前記第1の基地局(BS1)によって使用されない、または、制限された送信電力で送信されることを決定し、前記受信された指標(PMI1)の前記1つが前記ハンドオーバの前または後に受信されている場合、前記受信された指標(PMI1)の前記1つによって示された放射線ビームを、前記決定のために考慮するためのスケジューラ(SCHED)と
を備える、処理ユニット。
【請求項14】
前記処理ユニットがワイヤレス送信機、ワイヤレス・トランシーバ、またはモデム・ユニット・ボードである、請求項13に記載の処理ユニット(PU)。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の処理ユニット(PU)を備えるワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノード(BS1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信に関し、より詳細には、限定するものではないが、無線通信システムにおける干渉低減に関する。
【背景技術】
【0002】
異種無線通信システムでは、いくつかのタイプのワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードが、移動局をサーブしている。無線通信システムの無線アクセス・ネットワークは、オープンな屋外環境からオフィスビル、住宅、および地下エリアまで及ぶ異なる環境のための様々なサイズのワイヤレス・カバレッジ・ゾーンを有するワイヤレス・カバレッジを提供するために、例えば、いわゆるマクロ・セル、いわゆるマイクロ・セル、いわゆるピコ・セル、および/またはいわゆるフェムト・セルを提供することができる。
【0003】
マクロ・セルは、最も高い出力電力によって最も広い無線カバレッジを提供し、例えば、農村地域に、または高速道路に沿って配置され得る無線通信システムの無線セルである。マクロ・セルは、GSM/GPRS(GSM=モバイル通信用グローバルシステム、GPRS=汎用パケット無線サービス)またはUMTS(UMTS=ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム)などの、2Gまたは3G無線通信システム(2G/3G=第2/第3世代)の基地局に相当する。マクロ・セル用のアンテナは、地上設置型のマスト、屋上、または他の既存の構造上に、周囲の建物や地形の上方にはっきりとした視界を提供する高さに取り付けられる。
【0004】
マクロ・セルよりも小さいカバレッジ・エリアを有するマイクロ・セルは、人口密度が高い都市部で展開され得る。ピコ・セルは、マイクロ・セルよりもさらに小さい領域に対して展開される。ピコ・セルの使用例は、大規模なオフィス、モール、または鉄道駅になる。現在、カバレッジの最も小さい領域は、フェムト・セルによって実施され得、フェムト・セルは、家庭または小規模なオフィスで展開され得る。
【0005】
ワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードから、より小さいセル(マイクロ・セル、ピコ・セル、フェムト・セル)に接続される、またはそれによってサーブされる移動局に送信される無線周波数信号の下りリンク方向では、より小さいセル内の干渉状況は、通常、より小さいセルをカバーする、またはそれと交差するマクロ・セルによって支配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2166807B1号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「LTE−The UMTS Long Term Evolution:From Theory to Practice」、Stefania Sesia、Issam Toufik、Matthew Baker、John Wiley & Sons、第2版、2011、、セクション11.2.2.4
【非特許文献2】「Wireless Position Location:Fundamentals,Implementation Strategies,and Sources of Error」、Kevin J.Krizmanら、IEEE 47th Vehicular Technology Conference Proceedings、919(1997)
【非特許文献3】「Satellite and Terrestrial Radio Positioning Techniques,A signal processing perspective」、Dardari、Luise、Falletti、Academic Press、2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
より小さいセルの1つによってサーブされる移動局への下りリンク伝送を改善するために、マクロ・セルからの支配的な干渉は、低減されるか、さらに除去されなければならない。したがって、本発明の目的は、異種無線通信システムのより小さいセルにおける干渉を低減または除去し、異種無線通信システムにおける全体的なスループットを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
目的は、無線通信システムにおける干渉低減のための方法によって達成される。方法は、少なくとも1つの移動局が第1の基地局に接続されているとき、かつ、少なくとも1つの移動局が、無線通信システムの第1の基地局および第2の基地局の第1の重なるカバレッジ・エリア内に位置するとき、無線通信システムの第1の基地局によって送信され、少なくとも1つの移動局での定義済みの品質基準を満たすまたは超える放射線ビームの指標を、少なくとも1つの移動局から処理ユニットで受信するステップと、少なくとも1つの無線リソースを用いて第2の基地局によって少なくとも1つの移動局または少なくとも1つのさらなる移動局をサーブするための受信された指標に基づいて、少なくとも1つの無線リソースが、放射線ビームの少なくとも1つに関して第1の基地局によって使用されない、または、最大送信電力未満の定義済みの差分を用いて送信されることを、処理ユニットで決定するステップとを含む。目的は、さらに、処理ユニットによって、および、処理ユニットを含むワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードによって達成される。
【0010】
第1の基地局は、例えば、いわゆるマクロ基地局であってよく、第2の基地局は、例えば、いわゆるマイクロ基地局、いわゆるピコ基地局、またはいわゆるフェムト基地局であってよく、無線通信システムは、例えば、異種無線通信システムであってよい。
【0011】
マイクロ基地局のマイクロ・セル、またはピコ基地局のピコ・セル、またはフェムト基地局のフェムト・セルは、例えば、マクロ基地局のマクロ・セル内に配置されてよく、または、マクロ基地局のマクロ・セルと交差することができる。
【0012】
定義済みの品質基準は、例えば、少なくとも1つの移動局で受信された放射線ビームの1つの無線周波数信号の最大SNR(SNR=信号対雑音比)、少なくとも1つの移動局で受信された放射線ビームの1つの無線周波数信号の最大SINR(SINR=信号対干渉プラス雑音比)、または、少なくとも1つの移動局で受信された放射線ビームの1つの無線周波数信号の最大SIR(SIR=信号対干渉比)であってよい。
【0013】
好ましくは、定義済みの品質基準は、最高の受信信号品質を有する放射線ビームであるか、定義済みの受信信号品質より上の受信信号品質を有する少なくとも2つの放射線ビームのグループに属している放射線ビームである。3GPP LTE(3GPP=第3世代パートナーシップ・プロジェクト(Third Generation Partnership Project)、LTE=ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution))に関して、定義済みの品質基準は、3GPP TS 36.213 V10.0.1(2010−12)セクション7.2.4で定義され、「LTE−The UMTS Long Term Evolution:From Theory to Practice」、Stefania Sesia、Issam Toufik、Matthew Baker、John Wiley & Sons、第2版、2011、セクション11.2.2.4で説明されているような、最良のPMI(PMI=プリコーディング・マトリクス・インジケータ(Precoding Matrix Indicator))であってよい。最良のPMIは、最良のPMIを報告した移動局をサーブするための最良の放射線ビームである可能性がある放射線ビームを示す。
【0014】
本発明は、第2の基地局のカバレッジ・エリア内の干渉を低減または除去することの主な利点を提供する。これによって、第2の基地局に接続される移動局に対するサービスの品質は、最適化され得、第2の基地局に関するデータ・スループットは、上昇され得、無線通信システムの全体的なスループットも、上昇され得る。
【0015】
第1の実施形態によれば、方法は、第1の基地局から第2の基地局への、または第2の基地局から第1の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバの前または後に、指標が第1の基地局で受信されたかどうかと、受信された指標の1つがハンドオーバの前または後に受信されている場合、受信された指標の1つによって示された放射線ビームが前記決定するステップのために考慮されているかどうかとを、処理ユニットで管理するステップをさらに含む。第1の実施形態の利点は、以下の事実、すなわち、3GPP LTEリリース8に関して、第1の基地局は、eNodeB(eNodeB=進化型ノードB(evolved Node B))であってよく、2つ以上のアンテナ素子を有する第1の基地局アンテナ・システムを含むことができることに基づく。これは、少なくとも1つの移動局が2つ以上のアンテナ素子を有する移動局アンテナ・システムを含む場合、MIMO下りリンク伝送(MIMO=多入力多出力)を、または、少なくとも1つの移動局が単一のアンテナ素子を有する移動局アンテナ・システムを含む場合、MISO下りリンク伝送(MISO=多入力単一出力)を適用することを可能にする。少なくとも1つの移動局は、第1の基地局にフィードバック情報を周期的に報告し、フィードバック情報は、3つのパラメータ(例えば、3GPP TS 36.213 V10.0.1(2010−12)セクション7.2参照)、CQI(CQI=チャネル品質指標)、PMI(PMI=プリコーディング・マトリクス・インジケータ)、およびRI(RI=ランク指標)を含むことができる。CQIは、最大平均許容変調搬送波電力を有する、下りリンク放射線ビームのチャンネル品質を示すパラメータである。LTEリリース8、9、および10に関して、CQIパラメータは、下りリンク・チャネルのトランスポート・フォーマットのためのインデックス・パラメータである。PMIは、CQIパラメータが報告される下りリンク放射線ビームを示すさらなるインデックス・パラメータである。PMIは、すべての許可された送信アンテナ・ウェイトの組合せを有するプリコーディング・ベクトルを含むコードブックのエントリに属する。RIは、少なくとも1つの移動局によって推定される、少なくとも1つの移動局の受信機によって十分に分離され得るストリームの数を示すパラメータである。少なくとも1つの移動局が第2の基地局に接続されているまたは接続されている場合、少なくとも1つの移動局は、第2の基地局の下りリンク放射線ビームに関する対応するフィードバック情報を報告するが、第1の基地局の下りリンク放射線ビームに関するフィードバック情報を報告しない。これは、3GPP LTEの現在のリリースは、少なくとも1つの移動局が第2の基地局によってサーブされる場合、第2の基地局が第1の基地局の干渉放射線ビームの知識を取得することを許可しないことを意味する。この不足は、第1の基地局から第2の基地局への少なくとも1つの移動局の第1のハンドオーバ手順を監視し、少なくとも1つの移動局のハンドオーバの少し前に少なくとも1つの移動局によって報告され得る第1の基地局の第1のPMIが、第2の基地局によって少なくとも1つの移動局または少なくとも1つのさらなる移動局に送信される無線周波数信号と干渉する第1の基地局の第1の放射線ビームを示すことを仮定することによって、回避され得る。この不足は、また、第2の基地局から第1の基地局への少なくとも1つの移動局の第2のハンドオーバ手順を監視し、少なくとも1つの移動局のハンドオーバの少し後に少なくとも1つの移動局によって報告され得る第1の基地局の第2のPMIが、第2の基地局によって少なくとも1つの移動局または少なくとも1つのさらなる移動局に送信される無線周波数信号と干渉する第1の基地局の第2の放射線ビームを示すことを仮定することによって、回避され得る。第1のPMIおよび第2のPMIは、同一でも異なっていてもよい。対応して、第1の放射線ビームおよび第2の放射線ビームは、同一でも異なっていてもよい。
【0016】
少なくとも1つの移動局が第1の基地局に接続され、第1基地局によってサーブされている間、および、少なくとも1つの移動局が第2の基地局のカバレッジ・エリアの範囲内に位置している間に報告された第1のPMIまたは第2のPMIは、最良のPMIである。それによって、最良のPMIは、少なくとも1つの移動局または少なくとも1つのさらなる移動局が第2の基地局に接続され、第2の基地局によってサーブされている間、最悪のPMIとして扱われる。
【0017】
第1の実施形態は、3GPP LTE無線通信システム内の無線アクセス・ネットワークと移動局との間に新たなシグナリング・メッセージを導入するための標準的な修正を必要としないというさらなる利点を提供する。好ましい実施形態の方法は、例えば、第1の基地局および第2の基地局が同じ製造業者によって提供される場合、および、独自のシグナリング・メッセージが、3GPP LTEによって定義された、第1の基地局と第2の基地局との間のいわゆるX2インターフェース上で使用され得る場合の両方で、3GPP LTEリリース8、9、および10に基づく無線通信システムにすぐに適用され得る。方法は、3GPP LTEリリース8、9、および10の1つに準拠する任意の移動局のために使用され得る。
【0018】
第1の実施形態の第1のオプションによれば、管理するステップは、第1の基地局から第2の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバの前の第1の定義済みの時間間隔内、または、第2の基地局から第1の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバ後の第2の定義済みの時間間隔内に指標が受信されたかどうかを確認し、受信された指標の1つが第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔内に受信されている場合、受信された指標の1つによって示される放射線ビームが、決定するステップのために考慮されているかどうかを確認するサブステップを含むことができる。第1の定義済みの時間間隔および第2の定義済みの時間間隔のサイズは、少なくとも1つの移動局がPMIを第1の基地局に報告する周期性に依存してよい。3GPP LTEの場合には、周期性は、広い範囲で調整されてよい。広帯域CQIおよびPMIを報告する場合には、例えば、20ミリ秒のフィードバック周期が、PMIを報告するために使用されてよい。例えば、3つのPMIが第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔内に収集されるべきである場合、第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔は、例えば、70ミリ秒に設定されてよい。周波数選択性CQIが報告されるさらなる報告モードが適用される場合、20ミリ秒の倍数であってよいさらなるフィードバック周期が使用されてよい。そのような場合には、第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔は、それに応じて増加されてよい。
【0019】
これによって、第1の定義済みの時間間隔内または第2の定義済みの時間間隔内に受信された1つまたは複数の指標が、決定するステップのために考慮され得る。第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔を変更することによって、決定するステップのために収集される指標の数は、適合され得、または、第1の定義済みの時間間隔または第2の定義済みの時間間隔の間に最も頻繁に受信された指標のみが、決定するステップのために収集され得る。例えば、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの前に最後に報告された最良のPMI、または第2の基地局から第1の基地局へのハンドオーバの後に最初に報告された最良のPMIが収集される場合と比較して、2つ以上の指標を収集することは、例えば、2つの放射線ビームが重なり、移動局が単一の送信で最良のPMIを報告することのみを許可されている場合に適用され得る。2つ以上の指標が、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの直前に、または第2の基地局から第1の基地局へのハンドオーバの直後に収集される場合、移動局が、例えば、第1の送信におけるハンドオーバの前または後に2つの放射線ビームの第1のものに関する指標を報告することができ、次の送信において2つの放射線ビームの第2のものに関する指標を報告することができる、より高い可能性があることになる。第1の実施形態の第2のオプションによれば、決定するステップは、どの指標が、第1の基地局から第2の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバの前に受信された最後の指標であるか、または、第2の基地局から第1の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバ後に受信された最初の指標であるかを決定するサブステップを含み、受信された指標の1つが最後の指標または最初の指標である場合、受信された指標の1つによって示される放射線ビームが、決定するステップのために考慮される。第1のオプションと比較して、第2のオプションは、少なくとも1つの移動局のハンドオーバ直前または直後に報告されたこれらの指標のみを考慮する。これによって、より少ない処理およびメモリ・リソースが必要とされ得る。
【0020】
第2の実施形態によれば、少なくとも1つの移動局は、GPS(GPS=全地球測位システム)、GLONASS、またはGalileoなどの全地球的航法衛星システムから信号を受信するための受信機を含むことができ、方法は、さらに、全地球的航法衛星システムから信号を受信するための受信機に基づいて、無線通信システム内の少なくとも1つの移動局の位置を、少なくとも1つの移動局で決定するステップと、少なくとも1つの移動局から少なくとも1つの移動局の位置の位置情報を、処理ユニットで受信するステップと、受信された位置情報に基づいて、少なくとも1つの移動局が、第1の基地局および第2の基地局の重なるカバレッジ・エリア内に位置しているかどうかを、処理ユニットで決定するステップとを含むことができる。
【0021】
第3の実施形態によれば、方法は、さらに、処理ユニットによって、指標、および第2の基地局の指標をマッピング・テーブルに記憶するステップと、処理ユニットによって、決定するステップを実行する前に、マッピング・テーブルに問い合わせるステップとを含むことができる。これは、マクロ・セルのすべての干渉する放射線ビームのための中央または分散データベースを提供する利点と、少なくとも数回報告された、第2の基地局または指標に関して最も報告されたマッピング・テーブル内のこれらの指標のみを選択し、維持するなどの、統計的評価を可能にする可能性を提供する利点とを提供する。
【0022】
第4の実施形態によれば、放射線ビームのグループの第1の放射線ビームは、放射線ビームの第2の放射線ビームと隣接するまたは重なることができ、第2の放射線ビームは、放射線ビームの第3の放射線ビームと隣接するまたは重なることができ、第1の放射線ビームおよび第3の放射線ビームに関する指標が処理ユニットによって受信された場合、第2の放射線ビームは、決定するステップのために考慮される。これによって、最も頻繁に基地局に横断される第2の基地局のカバレッジ・エリアの中央領域と重なるが、第2の基地局のカバレッジ・エリアの境界領域と重ならない、または部分的にのみ重なる放射線ビームの指標も、マッピング・テーブルに記憶され得、決定するステップのために適用され得る。
【0023】
好ましくは、放射線ビームの1つが、定義済みの発生頻度によって示されている場合、受信された指標の1つによって示される放射線ビームは、決定するステップのために考慮される。定義済みの発生頻度は、例えば、第1の基地局と第2の基地局との間のハンドオーバと関連して第1の基地局および第2の基地局の重なるカバレッジ・エリアに関して報告されたすべての指標の30%であってよい。
【0024】
第5の実施形態に関して、方法は、さらに、第1の基地局によって送信され、少なくとも1つの移動局もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度が、第2の基地局によって送信され、少なくとも1つの移動局もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度よりも大きい第1の定義済みの大きさではない限り、第2の基地局から第1の基地局へのハンドオーバを防止することによって、または、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、最大で、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも小さい第1の定義済みの大きさである場合、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバをトリガすることによって、第2の基地局のカバレッジ・エリアのために範囲拡張を適用し、定義済みの時間間隔で、少なくとも1つの移動局または少なくとも1つのさらなる移動局を選択し、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも小さい第2の定義済みの大きさである場合、第2の基地局から第1の基地局へのハンドオーバをトリガすることによって、または、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、少なくとも、少なくとも1つの移動局によって、もしくは少なくとも1つのさらなる移動局によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも大きい第2の定義済みの大きさである限り、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバを防止することによって、かつ、第2の定義済みの大きさよりも大きい第1の定義済みの大きさを設定することによって、選択された少なくとも1つの移動局または選択された少なくとも1つのさらなる移動局に関して、第2の基地局のカバレッジ・エリアのために範囲拡張を適用しないステップを含む。第5の実施形態を使用することによって、少なくとも1つの移動局は、範囲拡張が適用されない間も随時存在することになる。そのような移動局は、第1の基地局と第2の基地局との間のハンドオーバが実行される前に、第2の基地局のカバレッジ・エリアの中央領域に近づくことができる。
【0025】
第6の実施形態によれば、方法は、さらに、少なくとも1つの移動局が、第1の基地局から第2の基地局への少なくとも1つの移動局のハンドオーバを防止するための定義済みの速度値以上の速度で第2の基地局のカバレッジ・エリアを横断しているとき、放射線ビームの1つに関する指標が少なくとも1つの移動局から受信されているかどうかを、処理ユニットで確認するステップを含み、少なくとも1つの移動局が、定義済みの速度値以上の速度で第2の基地局のカバレッジ・エリアを横断している場合、受信された指標の1つによって示される放射線ビームが、決定するステップのために考慮される。これは、マイクロ・セル、ピコ・セル、またはフェムト・セルのカバレッジ・エリア内のマクロ・セルの干渉する放射線ビームの知識を得るために、マクロ・セルによって単にまたは好ましくスケジュールされ、マクロ・セルからマイクロ・セル、ピコ・セル、またはフェムト・セルへのハンドオーバ手順を実行しない高速移動局の指標の報告を使用する利点を提供する。
【0026】
第7の実施形態に関して、少なくとも1つのさらなる移動局は、第1の基地局および第2の基地局の第2の重なるカバレッジ・エリア内に位置することができ、方法は、さらに、少なくとも1つのさらなる無線リソースを用いて第2の基地局によって少なくとも1つのさらなる移動局をサーブするための受信された指標に基づいて、少なくとも1つのさらなる放射線ビームに関して第1の基地局によって使用されない、または、制限された送信電力で送信される少なくとも1つのさらなる無線リソースを、処理ユニットで決定するステップと、少なくとも1つの無線リソースのための第1の指標またはいくつかの第1の指標、および少なくとも1つのさらなる無線リソースのための第2の指標またはいくつかの第2の指標を、処理ユニットから第2の基地局に送信するステップとを含むことができる。これは、干渉状況のよりよい知識を第2の基地局で提供することができ、第2の基地局の性能を向上させることができる。
【0027】
第8の実施形態によれば、方法は、さらに、少なくとも1つの移動局に関する指標と、少なくとも1つのさらなる移動局に関する指標と、少なくとも1つの無線リソースが少なくとも1つの移動局に適用可能であることの指標と、少なくとも1つのさらなる無線リソースが少なくとも1つのさらなる移動局に適用可能であることのさらなる指標とを、処理ユニットから第2の基地局に送信するステップをさらに含むことができる。第1の基地局の2つ以上の放射線ビームが第2の基地局のカバレッジ・エリアと重なる場合、第2の基地局に接続された第1の移動局が、第1の基地局の第1の放射線ビームおよび第2の基地局のカバレッジ・エリアの第1の重なり領域内に局在化する場合、ならびに、同様に第2の基地局に接続された少なくとも第2の移動局が、第1の基地局の第2の放射線ビームおよび第2の基地局のカバレッジ・エリアの第2の重なり領域内に局在化する場合、これは、第1の基地局放射線ビームが、第2の基地局に接続されたどの移動局に干渉をもたらすのかを、第2の基地局が知るので、第2の基地局において、少なくとも1つの移動局および少なくとも1つのさらなる移動局に関する干渉状況のさらによい知識を提供することができる。
【0028】
本発明のさらなる有利な特徴は、本発明の以下の詳細な説明で定義され、説明される。
【0029】
本発明の実施形態は、以下の詳細な説明において明らかになり、非限定的な例示として与えられる添付図面によって例証されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態による例示的な無線通信システムのブロック図である。
図2】本発明の実施形態による方法の流れ図である。
図3】方法の実施形態によるワイヤレス・アクセス・ネットワーク・ノードのブロック図である。
図4】本発明の実施形態による無線リソース・ブロックの2つの異なる割り当てを有する2つの時間周波数グリッドである。
図5】本発明の一実施形態による第1の基地局および第2の基地局のブロック図である。
図6】本発明のさらなる実施形態による第1の基地局および第2の基地局のブロック図ならびに、本発明のさらなる実施形態による、第2の基地局のカバレッジ・エリアの中心点からの距離の関数として、第1の基地局および第2の基地局によって送信される無線周波数信号の信号強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、2つの無線セルC1、C2を含む例示的な無線通信システムRCSを示す。無線通信システムRCSのさらなる無線セルと、2つの無線セルC1、C2の基地局BS1、BS2に接続されたコア・ネットワークとは、簡略化のために図示されていない。
【0032】
「基地局」という用語は、基地トランシーバ局、基地局、ノードB、拡張ノードB、アクセス・ポイント、などと同義語であると見なされてよく、および/またはこれらとして呼ばれてよく、無線通信システムRCSと1つまたは複数の移動局MS1、MS2との間の無線リンクを介して接続性を提供する機器を記述することができる。
【0033】
無線通信システムRCSは、例えば、OFDM(OFDM=直交周波数分割多重)を使用する3GPP LTE無線通信システムであってよい。さらなる代替態様では、無線通信システムRCSは、例えば、例えばIEEE802.16d規格(IEEE=米国電気電子学会)ベースのWiMAX無線通信システム(WiMAX=ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(Worldwide Interoperability for Microwave Access))、または、例えばIEEE802.11g規格ベースのWLAN(WLAN)であってよい。
【0034】
2つの無線セルC1、C2の第1の無線セルC1は、第1の基地局BS1によって提供され、第1の基地局BS1は、例えば、10MHz搬送波に関して例えば46dBmの第1の最大出力電力を有するマイクロ基地局であってよい。第1の無線セルC1の最大サイズは、六角形の境界によって図1に示されている第1の最大出力電力によって決定される。
【0035】
第1の無線セルC1は、例えば、第1のセクタSEC1、第2のセクタSEC2、および第3のセクタSEC3にセクタ化されてよい。簡略化のために、第1のセクタSEC1に関する放射線ビーム・カバレッジのみが示されている。例示的に、第1のセクタSEC1は、例えば磁北Nに対して放射線の異なる角度を有する4つの放射線ビームB1、B2、B3、およびB4のグループによってカバーされる。さらなる代替態様では、第1のセクタSEC1は、2つの放射線ビームのグループによって、または4つより多くの放射線ビームのグループによってカバーされてよい。
【0036】
放射線ビームB1、B2、B3、およびB4は、いわゆるプリコーディング・ベクトルに基づいており、プリコーディング・ベクトルは、いわゆる送信コードブックによって予め定義され、例えば、3GPP TS 36.213 V10.0.1(2010−12)セクション7.2.4で説明されている。これは、第1のプリコーディング・ベクトルは、第1の放射線ビームB1を表すことができ、第2のプリコーディング・ベクトルは、第2の放射線ビームB2を表すことができ、第3のプリコーディング・ベクトルは、第3の放射線ビームを表すことができ、第4のプリコーディング・ベクトルは、第4の放射線ビームB4を表すことができることを意味する。各プリコーディング・ベクトルは、第1の基地局BS1のアンテナ・システムの2つ以上のアンテナ素子に関する送信された無線周波数信号の振幅および位相に対するアンテナ重みを含む。
【0037】
同様の放射線ビーム・カバレッジは、第2のセクタSEC2および第3のセクタSEC3に関する第1の基地局BS1の2つのさらなるアンテナ・システムによって提供されてよい。
【0038】
第2の基地局BS2は、第1のセクタSEC1のカバレッジ・エリア内に位置し、第2の無線セルC2を提供する。第2の基地局BS2は、例えば、10MHz搬送波に関して30dBmであり、したがって、第1の最大出力電力よりも小さい係数40の第2の最大出力電力を提供する。より小さい第2の最大出力電力により、第2の基地局BS2は、例えば、マイクロ基地局、ピコ基地局、またはフェムト基地局であってよい。第2の無線セルC2の最大サイズは、同様に第2の無線セルC2の境界によって図1に示されている第2の最大出力電力によって決定される。第2の基地局BS2は、第2の無線セルC2がセクタ化されないように、例示的に全方向性アンテナを含む。代替的には、第2の基地局BS2は、2つ以上の放射線ビームを提供するための2つ以上のアンテナ素子を有する単一のアンテナ・システムを含むことができ、または、セクタ化された第2の無線セルにおいて2つ以上の放射線ビームを提供するための2つ以上のアンテナ素子を有する2つ以上のアンテナ・システムを含むことができる。
【0039】
図1に示されていない第1の代替実施形態によれば、第1の無線セルC1の第1のセクタSEC1と、第2の無線セルC2とは、交差するが、第2の無線セルC2は、第1のセクタSEC1によって完全には覆われない。
【0040】
同様に図1に示されていない第2の代替実施形態によれば、第1の基地局BS1および第2の基地局BS2は、同じ最大送信出力電力を有する2つの基地局であってよく、第1の基地局BS1および第2の基地局BS2の放射線ビームは、部分的に重なってよい。
【0041】
第1の移動局MS1は、第1のセクタSEC1内、かつ、第2の無線セルC2のセル端に位置する。第2の移動局MS1は、第1のセクタSEC1内、かつ、第2の無線セルC2内に位置する。
【0042】
「移動局」という用語は、移動ユニット、移動局、移動ユーザ、アクセス端末、ユーザ機器、加入者、ユーザ、リモート局、などと同義語であると見なされてよく、以後、これらとして時折呼ばれる場合がある。移動局MS1、MS2は、例えば、携帯電話、ポータブル・コンピュータ、ポケット・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント、無線インターフェースを有するUSBフラッシュ・ドライブ、または車載移動デバイスであってよい。
【0043】
第1の基地局BS1および第2の基地局BS2は、第1のデータ接続部DC1によって相互接続され、第1のデータ接続部DC1は、例えば3GPP LTEによって定義されるようないわゆるX2インターフェースであってよく、固定接続部または無線接続部であってよい。第1のデータ接続部DC1は、主に、アクティブモード・モビリティ(active−mode mobility)(例えば、ハンドオーバ中のパケット転送)および多セルRRM機能(RRM=無線リソース管理)をサポートするために使用される。
【0044】
第1のセクタSEC1のカバレッジ・エリア内の第2の基地局BS2の位置により、1つまたは複数の放射線ビームB1、B2、B3、およびB4のカバレッジ・エリアは、第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアと重なる。1の周波数再使用が無線通信システムRCS内で適用される(すなわち、第1の基地局BS1および第2の基地局BS2が、移動局MS1、MS2への下りリンク送信のために同じ周波数の副搬送波を用いる)場合、カバレッジ・エリアの重なりは、第2の基地局BS2によって送信される第2の下りリンク無線周波数信号を用いて第1の基地局BS1によって移動局MS1、MS2に送信される第1の下りリンク無線周波数信号の干渉を結果として生じる。この干渉は、第1の基地局BS1および第2の基地局BS2から移動局MS1、MS2への下りリンク送信が調整されていない場合、第2の基地局BS2から移動局MS1、MS2への下りリンク無線通信を妨害し、無線通信システムRCS内の全体的なデータ・スループットを低下させる。そのような場合、時間領域ICIC(ICIC=セル間干渉調整)が、いわゆるオールモスト・ブランク・サブフレーム(ABS=almost blank subframe)に適用されてよい。これによって、第1の基地局BS1は、第1の基地局BS1が第1の基地局BS1に接続された移動局をスケジュールするために使用しない10ミリ秒長のフレームを用いて1ミリ秒長の1つまたは複数のサブフレームを予め定義する。異なる周波数の副搬送波が第1の基地局BS1および第2の基地局BS2で用いられる場合、第1の基地局BS1および第2の基地局BS2によって移動局MS1、MS2に送信される無線周波数信号間の干渉を回避するために、周波数領域ICICが用いられてよい。本発明は、第1の基地局BS1が下りリンク方向に第1の無線周波数信号を送信し、第2の基地局BS2が1つまたは複数のいくらかの周波数の副搬送波において同様に下りリンク方向に第2の無線周波数信号を送信する、時間領域ICICを用いる同一チャネル配置に着目することになる。
【0045】
干渉を減少させるための下りリンク送信の調整は、以下の一般的な方法で行われる。第1のステップでは、第1の移動局MS1は、第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアに重大な干渉をもたらす4つの放射線ビームB1、B2、B3、およびB4のグループからの干渉放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームを検出するために使用される。干渉放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームの検出は、例えば、3GPP TS 36.213 V10.0.1(2010−12)セクション7.2で3GPP LTEによって定義されたような、第1の基地局BS1と第1の移動局MS1との間の共通シグナリング手順に基づくことができる。第1の基地局BS1は、図4に示すような時間周波数グリッドにおける定義済みのリソース・ブロックによって、放射線ビームB1、B2、B3、およびB4の各々を介して、第1の移動局MS1および第2の移動局MS2にパイロットを周期的に送信する。図1に関して、例示的に、第1の移動局MS1は、第1の基地局BS1に接続され、第2の移動局MS2は、第2の基地局BS2に接続される。3GPP LTEの将来の発展において、第1の移動局MS1および第2の移動局MS2は、2つ以上の無線接続を介して、2つ以上の基地局に同時に接続されてもよい。
【0046】
パイロットを受信した後、第1の移動局MS1は、受信されたパイロットの信号品質を周期的に決定し、最高の信号品質を有する放射線ビーム、または、定義済みの信号品質以上の信号品質を有するいくつかの放射線ビームを決定し、最高の信号品質を有する放射線ビームの指標、または、定義済みの信号品質以上の信号品質を有するいくつかの放射線ビームに関するいくつかの指標を、第1の基地局BS1に送信する。図1に関して、第1の移動局MS1は、第2の放射線ビームB2に関する指標を送信することができる。第1の基地局BS1は、第1の移動局MS1が第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアの境界にまたはその内に位置していることを条件に、指標またはいくつかの指標が受信されたとき、受信された指標またはいくつかの受信された指標に基づいて、干渉放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームを識別する。
【0047】
第2のステップでは、検出された単一の干渉放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームの1つまたは複数の無線リソースは、単一の干渉放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームに関して第1の基地局BS1によって使用されないことになる。代わりに、第1の基地局BS1は、第1の基地局BS1に接続され、単一の干渉放射線ビーム内、またはいくつかの干渉放射線ビームの1つ内に位置する移動局を、最良のPMIとして示されないが、第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアに干渉をもたらさない、またはわずかな干渉のみをもたらすさらなる非干渉放射線ビームを用いてサーブすることができる。1つまたは複数の無線リソースは、単一の放射線ビームまたはいくつかの干渉放射線ビームの1つ内に位置し、第2の基地局BS2に接続された移動局をサーブするための第2の基地局BS2によって用いられる。
【0048】
無線通信システムRCSにおける干渉低減のための基地局BS1、BS2からの下りリンク送信の調整は、図2および図4に関してより詳細に説明される。
【0049】
図2を参照すると、本発明の実施形態による第1の方法MET1の流れ図が示されている。第1の方法MET1を実行するためのステップの数は、重要ではなく、当業者によって理解され得るように、ステップの数およびステップの順番は、本発明の範囲から逸脱することなく変化してよい。
【0050】
第1の移動局MS1は、第1の基地局BS1に接続され、第1の基地局BS1によってサーブされてよく、第2の移動局MS2は、第2の基地局BS2に接続され、第2の基地局BS2によってサーブされてよい。
【0051】
第1の周期的ステップM1/1(図2の第1の矢印A1によって示される)では、第1の基地局BS1は、定義済みの無線リソース位置を時間周波数グリッド内の共通パイロットPに適用することによって、第1の移動局MS1に定義済みのいわゆる共通パイロットPを、無指向性の方法で送信することができる。そのようなパイロット送信は、例えば、3GPP TS 36.211 V10.0.0(2010−12)セクション6.10で3GPP LTEの場合に説明されており、そこでは、共通パイロットは、セル固有参照信号と呼ばれている。
【0052】
さらなるステップM1/3 では、第1の移動局MS1は、定義済みの品質基準を満たす放射線ビームを決定するための、受信された共通パイロットPの評価を実行する。そのような評価は、例えば欧州特許第2166807B1号に説明されている。これによって、第1の移動局MS1は、平均化を用いて、受信された共通パイロットの1つ、または受信された共通パイロットのいくつかに関する第1のSNR値、SINR値、またはSIR値を計算するために、送信コードブックからの第1のプリコーディング・ベクトルを適用し、平均化を用いて、受信された共通パイロットの1つ、または受信された共通パイロットのいくつかに関する少なくとも1つの第2のSNR値、SINR値、またはSIR値を計算するために、送信コードブックからの少なくとも第2のプリコーディング・ベクトルを適用する。定義済みの品質基準は、例えば、最大のSNR、最大のSINR、または、計算された第1および第2のSNR値、SINR値、もしくはSIR値の最大のものであってよい。定義済みの品質基準は、代替的に、第1の移動局MS1が2つ以上のPMIを報告するように構成されている場合、最大のSNR、最大のSINR、または最大のSIRを有する2つ以上の放射線ビームのグループであってよい。報告されるPMIの数は、定義済みの受信信号品質しきい値と、定義済みの信号品質しきい値に達するまたはそれを超える様々な放射線ビームB1、B2、B3、B4に関する受信された信号品質値の数とに依存してよい。図1に関して、第1の移動局MS1は、第1の移動局MS1に関する最良のPMIとして第2の放射線ビームB2を示す第1のPMI、PMI1を決定することができる。第1の移動局MS1は、好ましくはさらに、ステップM1/3によって、第2の放射線ビームB2に関する第1のCQI、CQI1、および第1のRI、RI1を決定することができる。
【0053】
さらなるステップM1/4では、第1の移動局MS1は、第1のPMI、PMI1、第1のCQI、CQI1、および第1のRI、RI1を第1の基地局BS1に送信し、これらは、次のステップM1/5で第1の基地局BS1によって受信される。
【0054】
ステップM1/3、M1/4、およびM1/5によって実行される評価および送信は、共通パイロットPの送信と同じ周期性で行われてよく、または、2つ以上の受信された共通パイロットPの信号品質を平均化することに基づいて繰り返されてよい(ステップM1/3、M1/4、およびM1/5の繰り返しは、図1の第2の矢印A2によって示されている)。
【0055】
さらなるステップM1/6〜M1/11は、図3に概略的に示されている第1の基地局BS1の処理ユニットPUによって実行されてよい。第1の基地局BS1は、第1のセクタSEC1のためのアンテナ・システムAS1を含む。アンテナ・システムAS1は、例示的に、アンテナ・システムAS1でビーム形成を可能にするための4つのアンテナ素子を含む。第1の基地局BS1は、さらに、処理ユニットPUおよび制御ユニット・ボードCUを含む。処理ユニットPUは、例えば、無線周波数信号用のワイヤレス・トランシーバまたはワイヤレス送信機であってよい。代替的には、1つのRRH(RRH=リモート無線ヘッド)またはいくつかのRRHがアンテナ・システムAS1の代わりに用いられる場合、処理ユニットPUは、いわゆるモデム・ユニット・ボードであってよい。
【0056】
処理ユニットPUは、アンテナ接続部ACによってアンテナ・システムAS1に接続された第1のインターフェースIF1を含む。1つのRRHまたはいくつかのRRHを使用する場合には、アンテナ接続部は、例えば、いわゆるCIPRIインターフェース(CIPRI=共通公衆無線インターフェース)に基づいてよい。処理ユニットPUは、さらに、制御ユニット・ボードCUとの接続のための第2のインターフェースIF2を含む。
【0057】
制御ユニット・ボードCUは、レイヤ3における、すなわち、測定、セル再選択、ハンドオーバ、RRCセキュリティ、および整合性などの、いわゆるRRC層(RRC=無線リソース制御)におけるタスクを実行する。制御ユニット・ボードCUは、コア・ネットワークの1つまたは複数のネットワーク・ノードに接続され、コア・ネットワークから受信されたIPデータを、さらなる処理のために処理ユニットPUに送信する。制御ユニット・ボードCUは、さらに、第1のデータ接続部DC1を介して、第2の基地局BS2内のさらなる制御ユニット・ボードに接続される。
【0058】
処理ユニットPUは、スケジューラSCHED、評価ユニットEVAL−U、およびメモリMEMなどの、いくつかの機能ブロックを含む。メモリMEMは、一時記憶域TSおよびマッピング・テーブルMTを含むことができる。処理ユニットPUは、一般的に、レイヤ2における、すなわち、ヘッダ圧縮および暗号化を担当する、いわゆるPDCP層(PDCP=パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(Packet Data Convergence Protocol))、例えばセグメント化およびARQ(ARQ=自動再送要求)を担当する、いわゆるRLC層(RLC=無線リンク制御)、ならびに、MAC多重化およびHARQ(HARQ=ハイブリッド自動再送要求)を担当する、いわゆるMAC層(MAC=メディア・アクセス制御)におけるデータ処理を実行する。処理ユニットPUは、一般的に、さらに、符号化、変調、ならびにアンテナおよびリソース・ブロック・マッピングなどの、下りリンク方向の物理層におけるデータ処理を実行する。第1の基地局BS1および処理ユニットPUの機能ブロックの数は、重要ではなく、当業者によって理解され得るように、機能ブロックの数は、個々の実施態様の優先度に依存してよく、したがって、本発明の範囲から逸脱することなく変化してよい。
【0059】
さらなるステップM1/6では、処理ユニットPUは、第1のPMI、PMI1を受信し、第1のPMI、PMI1、第1の移動局MS1の識別子を、メモリMEMの一次記憶域TSに記憶することができ、好ましくは、第1のPMI、PMI1が一次記憶域TSに記憶された時点のタイム・スタンプも記憶することができる。第1の移動局MS1の識別子は、例えば、スケジューラSCHEDによって提供されてよい。一次記憶域TSに記憶されたデータは、定義済みの時間後に自動的に消去されてよく、または、一次記憶域TSがデータで完全に満たされている場合、最も古いデータは、最新のデータで上書きされてよい。
【0060】
次のステップM1/7では、評価ユニットEVAL−Uは、受信された第1のPMI、PMI1が、さらなるステップM1/8でマッピング・テーブルMTに格納されるべきかどうかを決定するために、1つまたは複数の評価を実行する。評価ユニットEVAL−Uは、第1に、第1の移動局MS1が第2の放射線ビームB2および第2の無線セルC2の重なるカバレッジ・エリア内に位置する時点で、第1のPMI、PMI1が受信されたかどうかを評価する。そのような評価は、様々な方法で行われてよい。
【0061】
第1の代替態様によれば、第2の放射線ビームB2および第2の無線セルC2の重なるカバレッジ・エリアなどの、重なるカバレッジ・エリアの寸法は、無線通信システムRCSを計画するために使用されるソフトウェアから知ることができ、寸法は、例えば、重なるカバレッジ・エリアの境界の地理的座標の形態で、メモリMEMのカバレッジ・エリア・データベースCADに記憶されてよい。第1の移動局MS1が第1のPMI、PMI1を送信した時点の第1の移動局MS1の現在の地理的座標は、例えば、三角測量、または第1の移動局MS1から無線通信システムRCSの2つ以上のアンテナ・システムに送信された無線周波数信号の伝搬時間測定などの、周知の位置評定方法によって決定されてよい。そのような位置評定方法は、例えば、「Wireless Position Location:Fundamentals,Implementation Strategies,and Sources of Error」、Kevin J.Krizmanら、IEEE 47th Vehicular Technology Conference Proceedings、919(1997)、または、「Satellite and Terrestrial Radio Positioning Techniques,A signal processing perspective」、Dardari、Luise、Falletti、Academic Press、2011に説明されている。評価ユニットEVAL−Uは、カバレッジ・エリア・データベースCADに問い合わせ、第1の移動局MS1の決定された座標が、重なるカバレッジ・エリアの地理的境界座標内であるかどうかを確認する。
【0062】
第2の代替態様によれば、第1の移動局MS1が第1のPMI、PMI1を送信した時点の第1の移動局MS1の現在の地理的座標は、例えば、GPS(GPS=全地球測位システム)、Galileo、またはGlonassなどの、宇宙ベースの衛星航法システムからの無線周波数信号用の受信機を含む第1の移動局MS1によって決定されてよい。第1の移動局MS1は、現在の地理的座標を、例えば、第1のPMI、PMI1と共に、第1の基地局BS1に送信することができる。次いで、第1の代替態様に用いられるのと同じ方法で、評価ユニットEVAL−Uは、第1の移動局MS1から受信された第1の移動局MS1の現在の座標が、重なるカバレッジ・エリアの地理的境界座標内であるかどうかを確認することができる。
【0063】
好ましくは、様々な第3の代替態様によれば、評価ユニットEVAL−Uは、第1のPMI、PMI1が、第1の基地局BS1と第2の基地局BS2との間の第1の移動局MS1のハンドオーバの直前または直後に受信されたかどうかを管理する。この管理は、制御ユニット・ボードCUからのハンドオーバ・イベント・メッセージの受信を評価ユニットEVAL−Uで監視することに基づいてよい。ハンドオーバ・イベント・メッセージの受信は、簡略化のために、図2には示されていない。ハンドオーバ・イベント・メッセージは、例えば、ハンドオーバを実行する移動局の識別子と、そこからまたはそこへハンドオーバが実行される無線セルの指標とを含むことができる。
【0064】
図1に関して、第1のセクタSEC1から第2の無線セルC2へのハンドオーバの場合には、さらなる第1のPMI、PMI1が第1の移動局MS1から受信される前に、ハンドオーバ・イベント・メッセージが、第1のセレクタSEC1から第2の無線セルC2へのハンドオーバを実行する第1の移動局MS1に関して受信されない場合、評価ユニットEVAL−Uは、メモリMEM内の第1のPMI、PMI1、および第1の移動局MS1の識別子を削除し、または、評価ユニットEVAL−Uは、より後の時点で1つまたは複数の統計的な数学的方法を適用するために、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を保持することができる。これは、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2への第1の移動局のハンドオーバに相関して受信されている単一のPMIが、第1の基地局BS1の放射線ビームを第2の基地局BS2に関する干渉放射線ビームとして定義または決定することができないことを意味する。
【0065】
第2の基地局BS2から第1の基地局BS1への第1の移動局MS1のハンドオーバの場合には、評価ユニットEVAL−Uは、ステップM1/7で、第1の移動局MS1からの第1のPMI、PMI1がステップM1/6で受信される前に、制御ユニット・ボードCUからのハンドオーバ・イベント・メッセージが処理ユニットPUで受信されているかどうかを評価する。好ましくはステップM1/6の前の70ミリ秒などの第1の定義済みの時間フレームまたは第1の定義済みの時間間隔内にハンドオーバ・イベント・メッセージが受信されている場合、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を保持し、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を保持し、第1のPMI、PMI1に関する第2の基地局BS2または第2の無線セルC2の指標を一次記憶域TSに記憶することもできる。ステップM1/6の前の第1の定義済みの時間フレーム内にハンドオーバ・イベント・メッセージが受信されなかった場合、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を削除することができる。
【0066】
好ましくは、評価ユニットEVAL−Uは、第1のPMI、PMI1、および第1の移動局MS1の識別子がメモリMEMの一次記憶域TSに記憶された時点で、第1の定義済みの時間間隔を有するタイマを開始し、第1の定義済みの時間フレームが終了する前に、第1のセクタSEC1から第2の無線セルC2へのハンドオーバを実行する第1の移動局MS1に関してハンドオーバ・イベント・メッセージが受信されない場合、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1、および第1の移動局MS1の識別子を削除し、または、第1の定義済みの時間フレームが終了する前に、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバを実行する第1の移動局MS1に関するハンドオーバ・イベント・メッセージが受信された場合、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を保持する。タイマが使用され、第1の定義済みの時間間隔が適切な値に設定されている場合、特に、第1の移動局MS1から第1の基地局BS1にPMIを送信するための送信周期が大きく、第1の移動局MS1の速度も高い場合、第1の移動局MS1が、第1のセクタSEC1および第2の無線セルC2の重なるカバレッジ・エリアに位置することを、より正確に管理することが可能である。
【0067】
第2の基地局BS2から第1の基地局BS1への第1の移動局MS1のハンドオーバのためと同様の方法で、評価ユニットEVAL−Uは、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバを実行する第1の移動局MS1に関するハンドオーバ・イベント・メッセージを受信することができ、第1の移動局MS1の識別子、および第2の無線セルC2の指標を、メモリMEMの一次記憶域TSに記憶することができる(簡略化のために図2には示されていない)。ハンドオーバ後に、第1のPMI、PMI1が第1の移動局MS1から受信された場合、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TS内の第1のPMI、PMI1を保持することができる。
【0068】
次のサブステップでは、評価ユニットEVAL−Uは、一次記憶域TSに記憶されたPMIの数がPMIの定義済みの数以上であるかどうかを確認することができる。一次記憶域TSに記憶されたPMIの数がPMIの定義済みの数未満である場合、次のステップは、ステップM1/5であってよい。一次記憶域TSに記憶されたPMIの数がPMIの定義済みの数以上である場合、評価ユニットEVAL−Uは、以下で説明するように、1つまたは複数の統計的評価方法を実行することができる。統計的評価方法は、第1の基地局BS1の放射線ビームは、より長い時間間隔の間安定しており、ミリ秒または秒などの短い時間スケールで変化しないという仮定の下で行われてよい。
【0069】
評価ユニットEVAL−Uは、例えば、第2の放射線ビームB2が第1の定義済みの時間フレームΔT1内に移動局によって報告されたかどうかを定義済みの発生頻度で決定することができる。第1の定義済みの時間フレームΔT1は、例えば、1分もしくは数分、または1時間もしくは数時間であってよい。したがって、第1のPMIが、第1の移動局MS1から処理ユニットPUで受信されたとき、評価ユニットEVAL−Uは、例えば、タイム・スタンプとしてtを用いてTW=(t−ΔT1,t)によって与えられる時間窓TW内に、第1のPMI、PMI1によって第1の基地局BS1に、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2への移動局のハンドオーバに関して報告された第2の放射線ビームB2の発生頻度を決定することができる。各々の報告された放射線ビームに関する頻度を計算することに基づいて、評価ユニットEVAL−Uは、例えば、第2の放射線ビームB2に関するPMIが、一次記憶域TSに記憶されたすべてのPMIの時間窓TW内の最高の発生頻度を有する場合、第2の放射線ビームB2に関するPMIを決定することができる。
【0070】
代替的には、評価ユニットEVAL−Uは、例えば、第2の放射線ビームB2に関するPMIが、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバを実行する移動局によって、定義済みの時間フレームΔT内に、第1の定義済みの発生頻度以上に報告された場合、以下の式(同様の式が、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバのために用いられてよい)に基づいて、確実な干渉放射線ビームとして第2の放射線ビームB2に関するPMIを決定することができる。
【0071】
【数1】
【0072】
B2=第2の放射線ビームB2が最後のまたは最初のPMIとして報告されたハンドオーバの数
TOTAL=第1の基地局BS1の放射線ビームが最後のまたは最初のPMIとして報告されたハンドオーバの総数
RT=パーセントにおける第1の定義済みの発生頻度。第1の定義済みの発生頻度は、例えば、30パーセントであってよい。
【0073】
ステップM1/7では、評価ユニットEVAL−Uは、好ましくは、第1のPMI、PMI1に関して、および第2の無線セルC2に関して、非隣接放射線ビームに関するさらなるPMIがマッピング・テーブルMTにすでに記憶されているかどうかを評価することもできる。局所的な構造的条件に応じて、例えば図5に示すように、それは、移動局MS1、MS2が、同じ方向または反対方向MOV1、MOV2で第2の無線セルC2と常に交差する場合であってよい。通りST、および通りST沿いの建物BUI1、BUI2、BUI3は、移動局MS1、MS2が通りSTに沿って移動することのみを可能にする。これによって、移動局が第1の放射線ビームB1もしくは第3の放射線ビームB3のカバレッジ・エリアに位置するときの第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバ、または、移動局が第1の放射線ビームB1もしくは第3の放射線ビームB3のカバレッジ・エリアに位置するときの第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバは、生じることができるが、移動局が第2の放射線ビームB2のカバレッジ・エリア内に位置するときの第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバ、および、移動局が第2の放射線ビームB2のカバレッジ・エリア内に位置するときの第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバは、生じることができない。そのような場合には、第2の放射線ビームB2は、第2の無線セルC2に関する強い干渉放射線ビームである可能性があるにもかかわらず、移動局MS1、MS2のハンドオーバ前または後に、第2の放射線ビームB2に関するPMIは、移動局MS1、MS2から第1の基地局BS1に決して報告されることはない。例えば、第2の移動局MS2が、第1のセクタSEC1から第1の放射線ビームB1を介して第2の無線セルC2のカバレッジ・エリア内にすでに移動しており、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバが実行されている場合、放射線ビームB1に関するPMIは、第2の無線セルC2に関連して、マッピング・テーブルMTにすでに記憶されている可能性がある。ここで、第1の移動局MS1が、第1のセクタSEC1から第3の放射線ビームB3を介して同様に第2の無線セルC2のカバレッジ・エリア内に移動し、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバを同様に実行する場合、第1の移動局MS1は、ハンドオーバ前に、最後のPMIとして、第3の放射線ビームB3に関するPMIを第1の基地局BS1に送信することができる。評価ユニットEVAL−Uは、第3の放射線ビームB3に隣接しない放射線ビームを示す第2の無線セルC2に関する放射線ビームのPMIについてマッピング・テーブルMTに問い合わせることができる。図5の例に関して、問い合わせは、第1の放射線ビームB1のPMIを提供することになる。評価ユニットEVAL−Uは、第2の放射線ビームB2が、第1の放射線ビームのカバレッジ・エリアと第3の放射線ビームB3のカバレッジ・エリアとの間に位置する領域に対するカバレッジを提供することを知ることができる。したがって、両方とも無線セルC2に関連する、すでに記憶された第1の放射線ビームB1に関するPMI、および新たに受信された第3の放射線ビームB3に関するPMIは、第2の放射線ビームB2も第2の無線セルC2に関する干渉放射線ビームでなければならないことの確実な指標を提供する。したがって、評価ユニットEVAL−Uは、第1の放射線ビームB1および第2の放射線ビームB2に関するPMIを、第2の無線セルC2に対する干渉放射線ビームとしてマッピング・テーブルMTに記憶することができる。
【0074】
さらなる実施形態によるステップM1/7では、評価ユニットEVAL−Uは、さらに、第1の移動局MS1が高速または低速移動局のいずれであるのかを評価することができる。無線通信システムRCSは、30km/hなどの定義済みの速度値以上の速度で移動する移動局が、マクロ基地局によってサーブされることになり、マイクロ基地局、ピコ基地局、またはフェムト基地局によってサーブされないような方法で構成されてよい。第1の移動局MS1が第1の基地局BS1によってスケジュールされ、第2の無線セルC2を通過する間、第2の基地局BS2から第2の基地局BS2によってスケジュールされた移動局に送信された第2の無線周波数信号が、第1の基地局BS1から第1の移動局MS1に送信された第1の無線周波数信号に干渉をもたらさないように、ABSを有するICICが第2の基地局BS2によって適用されてよい。これは、そのような移動局に関して、第1の基地局BS1と第2の基地局との間のハンドオーバが防止され、実行されず、したがって、PMIが、第1の基地局BS1と第2の基地局BS2との間のハンドオーバに関連して決して受信されないことを意味する。そのような場合には、定義済みの速度値より速い速度で高速移動する移動局の速度および位置は、上記で説明したような位置評定方法(三角測量、伝搬時間測定、全地球的航法衛星システムから信号を受信するための受信機を使用する)の1つを使用することによって決定されてよい。第1の移動局MS1で測定し、第1の移動局MS1による第1のセクタSEC1に関する第1のRSRPの測定からの第1の値よりも大きい第2の値を有する第2の無線セルC2に関する第2のRSRP(RSRP=3GPP LTEによって定義されるような参照信号受信電力、3GPP TS 36.214 V10.1.0セクション5.1.1参照)を報告することから、第2の無線セルC2内の高速移動する移動局の位置に関する指標が得られてもよい。第1の移動局MS1は、例えば、時間フレームΔtあたりのハンドオーバの数Nを有するハンドオーバ・レートを測定し、例えば、以下の式を使用することによって、ハンドオーバ・レートが定義済みのハンドオーバ・レートしきい値Nthresを超えているかどうかを判断することによって、定義済みの速度値より速い速度の高速移動局として分類されてよい。
【0075】
【数2】
【0076】
例えば、評価ユニットEVAL−Uが、第1の移動局MS1(図5参照)が定義済みの速度値より速い速度で移動すると判断した場合、評価ユニットEVAL−Uは、第1の移動局MS1の位置と、第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアとを比較する。例えば、第1の移動局MS1が第2の無線セルC2のカバレッジ・エリア内に位置するときに、第2の放射線ビームB2に関するPMIが第1の移動局MS1から受信された場合、評価ユニットEVAL−Uは、第2の放射線ビームB2を、第2の無線セルC2に対する干渉放射線ビームとして識別することができる。
【0077】
さらなるステップM1/8では、評価ユニットEVAL−Uは、上記で説明した統計的評価の1つが、第1のPMI、PMI1を第2の無線セルC2に対する干渉放射線ビームとして第2の放射線B2を示すための確実なPMIとして決定した場合、第1のPMI、PMI1を記憶する。
【0078】
加えて、2つ以上のマイクロ・セル、ピコ・セル、またはフェムト・セルが第1のセクタSEC1内に位置するか、第1のセクタSEC1と交差する場合、および、第2の基地局BS2に関するPMI、または第2の無線セルC2のPMIがマッピング・セルMTにまだ記憶されていない場合、評価ユニットEVAL−Uは、第1のPMI、PMI1に関する第2の基地局BS2または第2の無線セルC2の指標をマッピング・テーブルMTに記憶することができる。そのような場合には、マッピング・テーブルMTは、以下の2つの表に示すように変更されることになる。
【0079】
【表1】
【0080】
例えば、第2の移動局MS2が第1のセクタSEC1から第2の無線セルC2へのハンドオーバを実行する直前に、第2の移動局MS2が第1の放射線ビームB1に関する第2のPMIをすでに送信しており、ここで、ハンドオーバ・イベント・メッセージが第2の無線セルC2への第1の移動局MS1のハンドオーバを示す場合、マッピング・テーブルは、以下の2つのさらなる表に示すように変更されることになる。
【0081】
【表2】
【0082】
マッピング・テーブルMTにまだ記憶されていないこれらのPMIのみが、特定の無線セルに関してマッピング・テーブルMTに記憶されてよい。好ましくは、加えて、第1のPMI、PMI1がマッピング・テーブルMTに記憶された時点のタイム・スタンプが、マッピング・テーブルMTに記憶されてよい。タイム・スタンプは、定義済みの時間間隔後に、第1のPMI、PMI1が、依然として、第2の放射線ビームB2が依然として第2の無線セルC2に対する干渉放射線ビームであることの確実な指標であるかどうか、さらなる統計的分析を行うために使用されてよい。そうでない場合、第1のPMI、PMI1は、マッピング・テーブルMTから削除されてよい。
【0083】
第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバについて上記で説明したのと同様に、第2の放射線ビームB2の第1のPMI、PMI1に関するステップM1/8の実行は、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバを実行する移動局によって定義済みの時間フレームΔT内に第2の放射線ビームB2を報告するための第2の発生頻度に依存してよい。さらなる代替態様では、第2の放射線ビームB2の第1のPMI、PMI1に関するステップM1/8の実行は、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へ、および第2の基地局BS2から第1の基地局BS1への両方のハンドオーバ方向の一つでハンドオーバを実行する移動局によって定義済みの時間フレームΔT内に第2の放射線ビームB2を報告するための第3の発生頻度に依存してよい。
【0084】
ステップM1/8後の次のステップは、(図1の第4の矢印によって示される)ステップM1/5であってよい。
【0085】
例えば、周期タイマの満了によって周期的にトリガされ得る、または、マッピング・テーブルMTが変更された場合にトリガされ得るさらなるステップM1/9では、スケジューラSCHEDは、第2の無線セルC2および最後の問い合わせに関して、記憶されたPMIの任意の変更についてマッピング・テーブルMTに問い合わせる。
【0086】
次のステップM1/10では、第2の放射線ビームB2に関する第1のPMI、PMI1などのPMIが第2の無線セルC2に関してマッピング・テーブルMTに新たに記憶されている場合、スケジューラSCHEDは、例えば、第2の放射線ビームB2を介する第1の基地局BS1による後続の送信に関して第1の基地局BS1でブロックされることになる第1の無線リソースを、例えば時間周波数グリッドにおいて決定する。そのような時間周波数グリッドTFGの例は、図4に示される。リソース配分は、例えば、3GPP LTEに用いられるような10ミリ秒のフレームであってよい定義済みの時間長FRAMEに関する図4a)に示される。周波数帯域幅FBは、3GPP LTEの場合には、例えば、1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、または20MHzであってよい。時間周波数グリッドは、3GPP LTEの場合には、180kHzの周波数幅および1ミリ秒の時間長のPRB(PRB=物理リソース・ブロック)に分割される。図4a)では、10個の隣接PRB、PRB1、PRB2、PRB3、PRB4、PRB5、PRB6、PRB7、PRB8、PRB9、PRB10が、例示的に示されている。フレームは、1ミリ秒の時間長を有する10のサブフレームSF0、SF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6、SF7、SF8、SF9に分割される。図4a)に関して、例示的にスケジューラSCHEDによって決定された第1の無線リソースは、PRB10のすべてのサブフレームである。代替的には、スケジューラSCHEDは、第1の無線リソースとして、例えば、(図4b)に示す)PRB6のすべてのサブフレーム、およびPRB7のサブフレームSF0〜SF4を決定することができる。
【0087】
さらなる代替態様では、第1の無線リソースは、第1の基地局BS2による後続の送信に関して第1の基地局BS1でブロックされないが、第2の放射線ビームB2の第1の無線リソースのために第1の基地局BS1で適用される送信電力は、後続の送信に関して、例えば、例えば第1の最大出力電力の1/40であってよい定義済みの送信電力に制限される。そのような場合には、第1の基地局BS1の第1の最大出力電力は、第2の基地局BS2の第2の最大出力電力に制限される。
【0088】
好ましくは、第1の無線リソースに関する制限(例えば、第1の無線リソースのために、定義済みの送信電力以下の送信電力を適用する、第1の無線リソースをブロックする)は、第2の無線セルC2と重なるカバレッジ・エリアを有する第2の放射線ビームB2に対してのみ適用されてよい。第2の無線セルC2と重なるカバレッジ・エリアを持たない第3の放射線ビームB3または第4の放射線ビームB4などの、第1の基地局BS1の他の放射線ビームに関しては、そのような制限は、適用されなくてよい。これによって、第1の基地局BS1から、第1の基地局BS1によってサーブされる移動局への下りリンク送信は、あまり影響されず、第1の基地局BS1での全体的なデータ・スループットの低下は、低く保たれる。
【0089】
すでにマッピング・テーブルMTに記憶された放射線ビームに関して、第2の定義済みの時間フレームΔT2内にさらなる指標がどの移動局からも受信されない、または、第1の定義済みの発生頻度よりも低い可能性がある定義済みの第2の発生頻度で第2の定義済みの時間フレームΔT2内にさらなる指標が移動局から受信されないことが起こる可能性もある。例えば、t:ステップM1/9を実行する時点として、t=t−ΔTによって与えられ得るさらなる指標を受信するための時点tが、第1のPMI、PMI1がマッピング・テーブルMTに記憶された時点よりも後である場合、放射線ビームに関するPMIは、ステップM1/10でマッピング・テーブルMTから削除されてよい。
【0090】
次のステップM1/11では、スケジューラSCHEDは、第1の無線リソースに関する第1の指標または複数の第1の指標RRI1を、第1のデータ接続部DC1を介して第2の基地局BS2に送信し、第2の基地局BS2は、さらなるステップM1/12で第1の指標または複数の第1の指標RRI1を受信する。第1の指標または複数の第1の指標RRI1は、例えば、X2インターフェース上で独自のメッセージを使用することによって、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2に送信されてよい。PRBのすべてのサブフレームが、図4a)に示すようにスケジューラSCHEDによって選択された場合、PRB10に関する指標のみが、第2の基地局BS2に送信されてよい。図4b)の場合には、SF0に関する指標および数4が後に続くPRB6に関する指標およびPRB7に関する指標が、第2の基地局BS2に送信されてよい。そのような場合には、PRB7、SF0、および数4は、PRB7のサブフレームSF0および後続の4つのサブフレームSF1〜SF4が、PRB6のすべてのサブフレームに加えて決定されることを示す。代替的には、第1の基地局BS1は、加えて、第1の無線リソースの使用が第1の基地局BS1でブロックされるかどうか、または、第1の無線リソースのための送信電力のみが第1の基地局BS1で制限されるかどうかの指標を、第2の基地局BS2に送信することができる。
【0091】
同様に図1に示すさらなる実施形態によれば、第1の放射線ビームB1のカバレッジ・エリアおよび第2の放射線ビームB2のカバレッジ・エリアは、第1の無線セルC2のカバレッジ・エリアと重なる可能性がある。第1の移動局MS1は、第2の放射線ビームB2および第2の無線セルC2の重なるカバレッジ・エリア内に位置する可能性があり、第2の移動局MS2は、第1の放射線ビームB1および第2の無線セルC2の重なるカバレッジ・エリア内に位置する可能性がある。第1の移動局MS1および第2の移動局MS2の位置は、上記で説明したような方法(例えば、三角測量、伝搬時間測定、GPS受信機を使用する)の1つによって決定されてよい。移動局が第1の基地局BS1の放射線ビームおよび第2の無線セルC2のカバレッジ・エリアの異なる重なるカバレッジ・エリア内に位置する場合、スケジューラSCHEDは、ステップM1/10で、第2の放射線ビームB2に関する第1の無線リソースを決定することができ、第1の放射線ビームB1に関して、第1の無線リソースと重ならならず、第1の基地局BS1によって使用されるべきではない、または定義済みの送信電力以下の送信電力で第1の放射線ビームB1に関して第1の基地局BS1によって送信されるべき第2の無線リソースを決定することができる。図4a)に関して、第2の無線リソースは、例えば、PRB6のすべてのサブフレームであってよい。ステップM1/11では、スケジューラSCHEDは、第2の基地局BS2に、第1の無線リソースに関する第1の指標または複数の第1の指標RRI1、および第2の無線リソースに関する第2の指標または複数の第2の指標RRI2を送信することができる。第1の移動局MS1および第2の移動局MS2が、分、または時間、または日などのより長い時間間隔の間、第1の放射線ビームB1および第2の放射線ビームB2のカバレッジ・エリア内に存在する可能性がある場合、スケジューラSCHEDは、好ましくは、第2の基地局BS2に、第1の移動局MS1に関する識別子MS1−IND、第2の移動局MS2に関する識別子MS2−IND、第1の無線リソースが第1の移動局MS1に適用され得ることの指標RRI1−MS1、および、第2の無線リソースが第2の移動局MS2に適用され得ることのさらなる指標RRI2−MS2をさらに送信することができる。
【0092】
さらに好ましい実施形態によれば、放射線ビームに関するPMIがステップM1/9でマッピング・テーブルMTから削除されており、放射線ビームの第2の無線リソースに関する第2の指標または複数の第2の指標RRI2が以前の方法サイクルの1つで第2の基地局BS2に送信されている場合、ステップM1/11で、スケジューラSCHEDは、第2の基地局BS2に、第2の無線リソースに関する第2の指標または複数の第2の指標RRI2、および、第2の無線リソースが将来の時間スロットまたはフレームで第1の基地局(BS1)によって送信電力を低減することなく使用または送信されることのさらなる指標RRI2−STOPを送信する。これによって、第2の基地局BS2は、第2の無線リソースが、もはや干渉なしに、または低減した干渉なしに利用可能であるという知識を得る。
【0093】
次のステップM1/13では、第2の基地局BS2は、例えば、1つまたは複数の第1の無線リソースを適用することによって、第2の移動局MS2に関するユーザ・データDATAをスケジュールする。
【0094】
さらなるステップM1/14では、第2の基地局BS2は、ユーザ・データDATAを第2の移動局MS2に送信し、第2の移動局MS2は、次のステップM1/15でユーザ・データDATAを受信する。
【0095】
ステップM1/9〜M1/12は、第1の基地局BS1からのどの干渉ビームまたは複数の干渉ビームが使用制限されるべきであるかについてのサブフレームごとの決定を必要とすることなく、準静的挙動を可能にする。第1の基地局BS1からのどの干渉ビーム(複数可)が制限されるべきであるかの決定は、繰り返し行われるべきであるが、3GPP LTEでは1ミリ秒であるサブフレームの時間長よりはるかに大きくてよい時間スケールで行われるべきである。時間スケールは、例えば、1分もしくは数分、または1時間もしくは数時間であってよい。
【0096】
さらなる実施形態によれば、第2の基地局BS2は、拡張された第2の無線セルC2−EXTを有するための範囲拡張によって第2の無線セルを操作することができる。範囲拡張の原理は、例えば、3GPP TR 36.814 V9.0.0(2010−03)セクション・チャプタ31.2で説明されている。これによって、第1の基地局BS1から受信された第1の無線周波数信号の第1の信号強度は、第2の基地局BS2から受信された第2の無線周波数信号の第2の信号強度よりも定義済みの量高いが、移動局は、第2の基地局BS2によってサーブされる。第2の無線セルC2および拡張された第2の無線セルC2−EXTの中心から第2の無線セルC2および拡張された第2の無線セルC2−EXTの境界領域までの半径方向Rに関して、第1の信号強度S−BS1および第2の信号強度S−BS2に関する信号強度Sは、第2の無線セルC2および拡張された第2の無線セルC2−EXTの中心からの距離の関数として図6b)に示されている。第2の無線セルC2および拡張された第2の無線セルC2−EXTの境界領域は、第1の基地局BS1と第2の基地局BS2との間の移動局のハンドオーバをトリガする移動局MS1、MS2の位置を示すことができる。例えば、第1の移動局MS1が第2の基地局BS2によってサーブされ、第1の移動局MS1が第2の無線セルC2の中心から第2の無線セルC2の境界まで移動する場合、第1の移動局MS1に関して、範囲拡張は、適用されず、第1の信号強度S−BS1が第2の信号強度S−BS2を第1の定義済みの差分値DS−NO−R超える場合、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバは、実行されることになる。例えば、第2の移動局MS1が同様に第2の基地局BS2によってサーブされ、第2の移動局MS2が、拡張された第2の無線セルC2−EXTの中心から拡張された第2の無線セルC2−EXTの境界まで移動する場合、第2の移動局MS2に関して、範囲拡張は、適用され、第1の信号強度S−BS1が、第2の信号強度BS2を第1の定義済みの差分値DS−NO−Rよりも大きい第2の定義済みの差分値DS−R超える場合、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバは、実行されることになる。
【0097】
第2の移動局MS2を第2の基地局BS2によってサーブすることは、特に第2の基地局BS2の範囲拡張機能に関して第1の基地局BS1によって消されるサブフレーム(図4と比較)に適用されてよい。第1の基地局BS1によってサーブされる第1の移動局MS1は、消されたサブフレームを使用することによってスケジュールされない。範囲拡張がすべての移動局MS1、MS2に適用される場合、例示的には、図6a)に示すような構成に関して、移動局MS1、MS2が、第2の放射線ビームB2などの放射線ビームの1つのカバレッジ・エリア内に位置する場合、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へ、または第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバは、決して発生しないということが起こる可能性がある。これは、移動局MS1、MS2のハンドオーバが、第1の基地局BS1と第2の基地局BS2との間で実行される場合、拡張された無線セルC2−EXTの中心と重なる第2の放射線ビームB2のPMIは、移動局MS1、MS2の1つから第1の基地局BS1に決して送信されないことを意味する。この問題を回避し、拡張された無線セルC2−EXTの中心に関する第1の基地局BS1の干渉放射線ビームの随時の知識を得るために、好ましくは、第2の基地局BS2での範囲拡張機能がオンに切り替えられた場合、第1の基地局BS1は、以下に説明するように、例えば、分または時間の周期で追加のステップを実行する。第2の基地局BS2のカバレッジ・エリアに関して、第1の基地局BS1によって送信され、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度が、第2の基地局BS2によって送信され、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度よりも大きい(図6b)参照)第2の定義済みの差分値DS−Rでない限り、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバを防止することによって、または、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、最大で、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動MS2によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも小さい第2の定義済みの差分値DS−Rである場合、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバをトリガすることによって、範囲拡張は、適用されてよい。
【0098】
第1の基地局BS1は、好ましくは、1分もしくは数分、または1時間もしくは数時間などの定義済みの時間間隔で、第1の移動局MS1および/または第2の移動局MS2を、第1の基地局BS1の干渉放射線ビームに関する拡張された無線セルC2−EXTの中心部分を検査するための単一のテスト移動局として、または複数のテスト移動局として選択することができる。したがって、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、第1の移動局MS1によって、または第2の移動局MS2によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも小さい第1の定義済みの差分値DS−NO−Rである場合、第2の基地局BS2から第1の基地局BS1へのハンドオーバをトリガすることによって、または、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第2の無線周波数信号の信号強度が、少なくとも、第1の移動局MS1によって、もしくは第2の移動局MS2によって測定された第1の無線周波数信号の信号強度よりも大きい第1の定義済みの差分値DS−NO−Rである限り、第1の基地局BS1から第2の基地局BS2へのハンドオーバを防止することによって、第1の基地局BS1は、第1の移動局MS1および/または第2の移動局MS2に対して、第2の基地局BS2のカバレッジ・エリアC2に関する範囲拡張を適用しない。
【0099】
拡張された無線セルC2−EXTに関してさらなる実施形態を使用することによって、第1の基地局BS1、第2の基地局BS2、または両方の基地局BS1、BS2は、第1の基地局BS1と第2の基地局BS2との間のハンドオーバ決定を決定するために第1の定義済みの差分値DS−NO−Rが適用されるべき1つまたは複数の移動局の1つまたは複数の識別子を用いて更新される。
【0100】
説明および図面は、単に本発明の原理を例証する。したがって、当業者が、本明細書に明示的に説明または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その要旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができるであろうことは、明らかであろう。さらに、本明細書に列挙されたすべての例は主に、本発明の原理、および、発明者(複数可)によって技術を促進することに寄与される概念を理解する際に読者を助ける教育学的目的のみのためであることが明確に意図されており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体的な例を列挙する本明細書中のすべての陳述は、それらの等価物を包含することが意図される。
【0101】
「...ユニット」または「...するための手段」として示される機能ブロックは、それぞれ、特定の機能を実行するために適合された回路網を備える機能ブロックとして理解されるべきである。したがって、「なにかのための手段」は、「なにかに適合されているまたは適している手段」として同様に理解されてよい。特定の機能を実行することに適合されている手段は、したがって、そのような手段が必ずしも前記機能を(所定の時刻に)実行していることを意味しない。
【0102】
図3に示す処理ユニットPUの様々な要素の機能は、専用のハードウェアの使用を通じて、ならびに、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供されてよい。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または、そのいくつかが共有され得る複数の個別プロセッサによって提供されてよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DPS)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙的に含むことができる。汎用および/またはカスタムの他のハードウェアも含まれてよい。同様に、図に示すどのスイッチも、単に概念的なものである。それらの機能は、プログラム・ロジックの動作を介して、専用ロジックを介して、プログラム制御および専用ロジックの相互作用を介して、または手動でさえ行われてよく、特定の技術は、文脈からより具体的に理解されるように、作成者によって選択可能である。本明細書中のどのブロック図も、本発明の原理を具体化する例示的な回路網の概念図を表すことは、当業者によって理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6