特許第5908319号(P5908319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908319
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/30 20140101AFI20160412BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20160412BHJP
   A63F 13/825 20140101ALI20160412BHJP
【FI】
   A63F13/30
   A63F13/69 500
   A63F13/825
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-79879(P2012-79879)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-208223(P2013-208223A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊津野 英昭
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−233668(JP,A)
【文献】 特開2010−075433(JP,A)
【文献】 特開2011−200719(JP,A)
【文献】 特開2011−229604(JP,A)
【文献】 特開2002−325971(JP,A)
【文献】 特開2003−000957(JP,A)
【文献】 ドラゴンズドグマ DRAGON'S DOGMA,ファミ通Xbox360,日本,株式会社エンターブレイン,2012年 2月29日,第11巻第4号,pages 22-27
【文献】 ドラゴンズドグマ DRAGON'S DOGMA,電撃PlayStation,日本,アスキー・メディアワークス,2012年 2月23日,第18巻第8号,Pages 94-95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/30 − 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ネットワークを介して前記コンピュータに接続されるサーバ装置にアクセスするサーバアクセス手段、
仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間生成手段、
前記ゲーム空間内におけるゲーム進行に基づいて所定の特性値が変化する成長型オブジェクトを生成し、ゲーム状況に応じて当該成長型オブジェクトの成長を制御する成長型オブジェクト制御手段、
一のアカウントが所持する成長型オブジェクトのデータを、前記サーバ装置の当該一のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする成長型オブジェクトデータアップロード手段、
他のアカウントが所持し、前記サーバ装置の当該他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された成長型オブジェクト(以下、レンタルオブジェクト)のデータをダウンロードする成長型オブジェクトデータダウンロード手段、
一のアカウントに基づくゲーム進行において、ダウンロードした前記レンタルオブジェクトのデータに基づいてゲーム状況に応じて当該レンタルオブジェクトの成長を制御するレンタルオブジェクト制御手段、
一のアカウントに基づくゲーム進行において前記レンタルオブジェクトに関連付けられたデータ(以下、報酬データ)を、前記サーバ装置の当該一のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする報酬データアップロード手段、
前記報酬データがアップロードされた場合に、前記報酬データがアップロードされたことに関する履歴情報を、当該報酬データに対応するレンタルオブジェクトをアップロードしたアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする履歴情報アップロード手段、および
一のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された前記履歴情報に基づいて、他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された、前記履歴情報に対応する前記報酬データをダウンロードし、前記報酬データに基づいて当該一のアカウントのデータを更新するデータ更新手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記成長型オブジェクト制御手段は、前記ゲーム空間内を行動するノンプレイヤキャラクタ(以下、NPC)を生成し、ゲーム状況に応じて当該NPCの動作を制御するNPC制御手段であり、
前記成長型オブジェクトデータアップロード手段は、一のアカウントが所持するNPCのデータを、前記サーバ装置の当該一のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードするNPCデータアップロード手段であり、
前記成長型オブジェクトデータダウンロード手段は、他のアカウントが所持し、前記サーバ装置の当該他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶されたNPC(以下、レンタルキャラクタ)のデータをダウンロードするNPCデータダウンロード手段であり、
前記レンタルオブジェクト制御手段は、一のアカウントに基づくゲーム進行において、ダウンロードした前記レンタルキャラクタのデータに基づいて前記ゲーム空間内を行動する当該レンタルキャラクタの動作を制御するレンタルキャラクタ制御手段である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記報酬データは、前記NPCが前記レンタルキャラクタとして行動したゲーム進行に応じて経験的に得た知識を含み、
前記NPC制御手段は、前記NPCの行動内容または発言するメッセージが関連付けられた複数の行動候補情報を取得し、当該複数の行動候補情報の中から、前記経験的に得た知識に基づいて前記NPCの行動を選択するとともに、選択した行動に関連付けられたメッセージを出力する、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記履歴情報は、対応する前記成長型オブジェクトをダウンロードしたアカウントのIDを含んでいる、請求項1〜3の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記報酬データは、前記成長型オブジェクトをダウンロードしたアカウントが所持する所定のアイテムのデータを含む、請求項1〜4の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想のゲーム空間でのキャラクタの動作を制御するゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクションゲームやロールプレイングゲームなど、プレイヤの操作に応じてプレイヤキャラクタ(以下、PCと略称する場合がある)を仮想のゲーム空間内で動作させるゲームがある。この種のゲームでは、PCの他に、ゲーム空間内においてPCと行動をともにし、敵キャラクタとの戦闘においてもPCと協力して戦うノンプレイヤキャラクタ(以下、NPCと略称する場合がある)が登場するものもある。NPCは、プレイヤが直接的にその動作を操作することのできないキャラクタであり、所定のルールに従ってゲーム空間内で行動するように設定されている。
【0003】
このようなゲームにおいて、ネットワークを介してサーバ装置などの外部のシステムにアクセスしてPCと行動をともにするNPCのデータを取得する構成も提案されている(例えば特許文献1,2参照)。特に、特許文献1の構成においては、ある一のゲーム端末(一のアカウント)で成長させたNPCのデータをサーバ装置に記憶させることにより、他のゲーム端末(他のアカウント)で当該サーバ装置に記憶されたNPCを使用する(NPCを借り受ける)ことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−325971号公報
【特許文献2】特開2003−957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成においては、他のアカウントからサーバ装置を介して借り受けたNPCを自己のゲーム端末(自己のアカウント)においてPCとともに行動させても、当該自己のアカウントに基づくゲーム進行においてNPCが取得した情報(例えば知識、経験、アイテムなど)が当該NPCをアップロードしたアカウントのセーブデータに反映されることはなかった。特許文献2の構成においては、サーバ装置から借り受けるNPCによって自己のアカウントが所持するキャラクタに影響を与えることができるものの、自己のアカウントが所持するキャラクタによってサーバ装置が所持するNPCの情報が変化することはなかった。
【0006】
これは、ゲームセキュリティ上、ある一のアカウントにおけるゲーム状況に応じて他のアカウントのセーブデータを勝手に書き換える(書き加える)ことができないことが1つの要因として挙げられる。また、一のアカウントのセーブデータが他のアカウントにより書き換えられることにより、セーブデータが書き換えられたアカウントのデータ量が変動する問題も挙げられる。つまり、一のアカウントのセーブデータが他のアカウントにより書き加えられて局所的にデータ量が増大することにより、当該一のアカウントのデータ容量を圧迫してしまい、一のアカウントにおけるゲーム進行を阻害するおそれがある。このように、せっかく自己のNPCを外部のシステムにアップロードして、他のアカウントにNPCを貸し出しても、それによって得られる恩恵がないため、ゲーム演出として物足りない場合があった。このため、NPCの貸し借りが頻繁に行われなくなっていた。特に、貸し出す側にメリットがないため、NPCを借りたいプレイヤがいても、貸し出し可能となっているNPCが少なく、借りたいNPCが見つからない状況となっていた。このような問題は、NPCを貸し借りする態様に限られず、複数のアカウント間で貸し借りを行い得るオブジェクトであれば同様に生じる問題といえる。
【0007】
そこで本発明は、一のアカウントとは異なる他のアカウントのセーブデータを勝手に書き換えることなく、一のアカウントに基づくゲーム進行において使用されることによって、他のアカウントのオブジェクトが取得したデータを元のアカウントのゲームに反映することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るゲームプログラムは、コンピュータを、ネットワークを介して前記コンピュータに接続されるサーバ装置にアクセスするサーバアクセス手段、仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間生成手段、前記ゲーム空間内におけるゲーム進行に基づいて所定の特性値が変化する成長型オブジェクトを生成し、ゲーム状況に応じて当該成長型オブジェクトの成長を制御する成長型オブジェクト制御手段、一のアカウントが所持する成長型オブジェクトのデータを、前記サーバ装置の当該位置のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする成長型オブジェクトデータアップロード手段、他のアカウントが所持し、前記サーバ装置の当該他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された成長型オブジェクト(以下、レンタルオブジェクト)のデータをダウンロードする成長型オブジェクトデータダウンロード手段、一のアカウントに基づくゲーム進行において、ダウンロードした前記レンタルオブジェクトのデータに基づいてゲーム状況に応じて当該レンタルオブジェクトの成長を制御するレンタルオブジェクト制御手段、一のアカウントに基づくゲーム進行において前記レンタルオブジェクトに関連付けられたデータ(以下、報酬データ)を、前記サーバ装置の当該一のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする報酬データアップロード手段、前記報酬データがアップロードされた場合に、前記報酬データがアップロードされたことに関する履歴情報を、当該報酬データに対応するレンタルオブジェクトをアップロードしたアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードする履歴情報アップロード手段、および一のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された前記履歴情報に基づいて、他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶された、前記履歴情報に対応する前記報酬データをダウンロードし、前記報酬データに基づいて当該一のアカウントのデータを更新するデータ更新手段として機能させるものである。
【0009】
前記成長型オブジェクト制御手段は、前記ゲーム空間内を行動するノンプレイヤキャラクタ(以下、NPC)を生成し、ゲーム状況に応じて当該NPCの動作を制御するNPC制御手段であり、前記成長型オブジェクトデータアップロード手段は、一のアカウントが所持するNPCのデータを、前記サーバ装置の当該一のアカウントに割り当てられた記憶領域にアップロードするNPCデータアップロード手段であり、前記成長型オブジェクトデータダウンロード手段は、他のアカウントが所持し、前記サーバ装置の当該他のアカウントに割り当てられた記憶領域に記憶されたNPC(以下、レンタルキャラクタ)のデータをダウンロードするNPCデータダウンロード手段であり、前記レンタルオブジェクト制御手段は、一のアカウントに基づくゲーム進行において、ダウンロードした前記レンタルキャラクタのデータに基づいて前記ゲーム空間内を行動する当該レンタルキャラクタの動作を制御するレンタルキャラクタ制御手段であってもよい。
【0010】
前記報酬データは、前記NPCが前記レンタルキャラクタとして行動したゲーム進行に応じて経験的に得た知識を含み、前記NPC制御手段は、前記NPCの行動内容または発言するメッセージが関連付けられた複数の行動候補情報を取得し、当該複数の行動候補情報の中から、前記経験的に得た知識に基づいて前記NPCの行動を選択するとともに、選択した行動に関連付けられたメッセージを出力してもよい。
【0011】
前記履歴情報は、対応する前記成長型オブジェクトをダウンロードしたアカウントのIDを含んでいてもよい。
【0012】
前記報酬データは、前記成長型オブジェクトをダウンロードしたアカウントが所持する所定のアイテムのデータを含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明に係るゲームシステムは、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一のアカウントとは異なる他のアカウントのセーブデータを勝手に書き換えることなく、一のアカウントに基づくゲーム進行において使用されることによって、他のアカウントのオブジェクトが取得したデータを元のアカウントのゲームに反映することができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態におけるゲーム装置を含むネットワークゲームシステムを示す概略構成図である。
図2】本実施形態におけるゲーム装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態におけるゲーム装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態における報酬データの内容を概略的に示した図である。
図5】本実施形態における履歴データの内容を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
[ゲーム概要]
本ゲームのゲーム空間はオープンワールドに設計されており、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタ(以下、PCと略称する場合がある)の移動に伴って変化するゲーム空間が、ゲーム装置の画面にシームレスに表示される。ゲーム空間は、このオープンワールドなゲーム空間の一部を示している。ただし、本発明の適用対象はオープンワールドのゲームに限定されない。例えば、ゲーム空間が複数のフィールドに分割されたゲームであって、フィールド間を移動する際に、移動先のフィールドのデータをロードし、移動前後のフィールドを切り換えて表示するようなゲームにも適用することができる。
【0018】
プレイヤはこのようなゲーム空間を移動するPCを操作することによってゲームを進行させる。また、PCには、一または複数体のノンプレイヤキャラクタ(以下、NPCと略称する場合がある)が味方キャラクタ(本実施形態では最大3体の味方キャラクタ)として同伴し、1つのパーティを形成する。パーティを形成する各味方キャラクタは、PCとともにゲーム空間を移動し、適宜出現する敵キャラクタと遭遇した場合には、互いに協力し合って戦闘を行う。
【0019】
また、各味方キャラクタは、様々な場面で状況に応じた行動を実行するとともに、その行動に応じた発言をする。これにより、PCに対して自身の意思、すなわち、なぜ自身(NPC)がそのような行動をしたのかという意思を表現する。例えば、PCらのパーティが、ある街に入ると、何れかの味方キャラクタが「賑やかでいい街ですね」と発言しつつ周囲を見渡す動作をする。また、街のある住人と会話することで所定のクエストが発生すると、そのクエスト内容に応じて味方キャラクタは、例えば森へ向かいつつ「森へ行って探してみましょう!」などと発言し、街から出ることを促す。また、森へ出たパーティが、片足に怪我を負った敵キャラクタに遭遇すると、これと対戦する際に味方キャラクタは「もう片方の足を攻撃します!」と発言し、戦闘の準備態勢をとる。さらに、敵キャラクタとの戦闘により味方キャラクタがダメージを受けると、その味方キャラクタは、攻撃を受けたリアクションをしつつ「ウワッ!」と発言する。
【0020】
本実施形態におけるゲームでは、このように味方キャラクタが、ゲーム状況に応じた行動および発言により、積極的にPC(またはプレイヤ)に対して意思の疎通を図る。また、その行動および発言内容は、経験から得た知識や、敵及び自分(味方キャラクタ)の状態など、ゲームの進行状況に応じて変化するようになっている。さらに、味方キャラクタの発言はディスプレイに文字列で表示され、対応する音声も出力されるが、その際、プレイヤに違和感を生じさせることなく、しかも、発言内容を把握しやすいように出力されるようになっている。
【0021】
このような味方キャラクタには、自分のゲーム装置(一のアカウント)で作成したNPCの他、他人のゲーム装置(他のアカウント)や予め外部のシステムで作成されたNPCをネットワークを介してダウンロードすることにより、使用することが可能である。本実施形態においては自分のゲーム装置で作成したNPC1体と他人のゲーム装置または外部のシステムで作成されたNPC最大2体とで、パーティを構成することができる。
【0022】
本実施形態においては、後述するレンタル処理を行う対象(成長型オブジェクト)として各アカウントで作成したNPCを採用した構成について説明する。ただし、後述するように、成長型オブジェクトは、これに限られず、ゲーム空間内におけるゲーム進行に基づいて所定の特性値が変化するオブジェクト(キャラクタ、武器、防具など)であれば本発明の態様を同様に適用することができる。
【0023】
[ハードウェア構成]
上述したゲームを実現するゲーム装置の構成について説明する。本実施形態におけるゲームシステムは、下記ゲーム装置2と、当該ゲーム装置2に接続されるモニタ19、スピーカ22およびコントローラ24などの外部装置とで構成され、下記ディスク型記憶媒体30から読み込んだゲームプログラム30aおよびゲームデータ30bに基づいてゲームを行い得るものである。ただし、以下では、説明を簡単にするため、単にゲーム装置2と称する場合がある。図1は、本実施形態におけるゲーム装置2を含むネットワークゲームシステムを示す概略構成図であり、図2は、本実施形態におけるゲーム装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、ゲーム装置2は、他のゲーム装置2およびサーバ装置3との間で、インターネットまたはLANなどのネットワークNWを介して互いに通信可能である。このゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介してディスクドライブ12、メモリカードスロット13、プログラム記憶部を成すHDD14、ROM15およびRAM16が接続されている。
【0024】
ディスクドライブ12には、DVD−ROM等のディスク型記憶媒体30が装填可能であり、該ディスク型記憶媒体30には、本発明の実施の形態に係るゲームプログラム30aおよび本実施の形態で説明するゲームに登場するキャラクタならびにゲーム空間を形成するのに必要なオブジェクトおよびテクスチャ等のゲームデータ30bが記憶されている。また、メモリカードスロット13にはカード型記憶媒体31が装填でき、ゲームの途中経過等のプレイ状況を示すセーブデータを、CPU10からの指示に応じて記憶可能である。
【0025】
HDD14はゲーム装置2に内蔵される大容量記憶媒体であって、ディスク型記憶媒体30から読み込んだゲームプログラム30aおよびゲームデータ30bならびにセーブデータなどを記憶する。ROM15は、マスクROMまたはPROMなどの半導体メモリであり、ゲーム装置2を起動する起動プログラムや、ディスク型記憶媒体30が装填されたときの動作を制御するプログラムなどを記憶している。RAM16は、DRAMまたはSRAMなどからなり、CPU10が実行すべきゲームプログラム30aや、その実行の際に必要になるゲームデータ30bなどを、ゲームのプレイ状況に応じてディスク型記憶媒体30またはHDD14から読み込んで一時的に記憶する。
【0026】
また、CPU10には、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、無線通信制御部23およびネットワークインタフェース25が接続されている。
【0027】
このうちグラフィック処理部17は、CPU10の指示に従ってゲーム空間や各キャラクタなどを含むゲーム画像を描画する。また、グラフィック処理部17にはビデオ変換部18を介して外部のモニタ19が接続されており、グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像はビデオ変換部18において動画形式に変換され、モニタ19にて表示されるようになっている。
【0028】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部のスピーカ22が接続されている。従って、オーディオ合成部20にて再生および合成されたゲーム音声は、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、更にスピーカ22から外部へ出力されるようになっている。
【0029】
無線通信制御部23は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲーム装置2に付属するコントローラ24との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。ユーザは、このコントローラ24に設けられたボタン等の操作子(図示せず)を操作することにより、ゲーム装置2へ信号を入力することができ、モニタ19に表示されるPCの動作を制御可能になっている。また、ネットワークインタフェース25は、インターネットまたはLANなどのネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するものであり、サーバ装置3との間で通信可能である。そして、複数のゲーム装置2のそれぞれを、ネットワークNWを介してサーバ装置3と接続し、ゲーム装置2で作成されたNPCをサーバ装置3にアップロードし、当該NPCのデータを別のゲーム装置2にダウンロードさせることにより、同一のゲーム空間内で他のアカウント(ゲーム装置2)で生成されたNPCをダウンロードして他のアカウントが所持するNPCと自己のPCおよびNPCとでゲームを進行させることが可能になっている。
【0030】
サーバ装置3は、複数のゲーム装置2ごとに各ゲーム装置2におけるゲーム状態を記憶する記憶領域RA−A,RA−B,RA−C,…(以下、RA−iと総称する場合がある)を有している。各ゲーム装置2には、ゲーム装置2ごとに異なるアカウント(サーバ装置3にアクセスする権利)が付与されており、アカウントごとにID(識別符号)が設けられている。したがって、各ゲーム装置2がネットワークNWを介してサーバ装置3の対応する記憶領域RA−iにアクセスする場合には、当該ゲーム装置2から自己のアカウントi(i=A,B,C,…)を送信し、サーバ装置3において所定の認証を受けた上で、当該アカウントiに対応する記憶領域RA−iにアクセス可能となる。なお、アカウントiは、原則的には一のゲーム装置2に1つ付与される。
【0031】
図1に示されるように、サーバ装置3の各記憶領域RA−iには、対応するアカウントiのセーブデータがゲーム装置2からアップロードされて記憶される。具体的には、一のゲーム装置2において保存された一のアカウントにおけるセーブデータ、特に、保存時におけるPCのデータ(例えばレベル、強さなど)および当該アカウントiが所持するNPCのデータが、それぞれサーバ装置3にアップロードされ、ゲーム装置2のアカウントiに対応する記憶領域RA−iに記憶される。
【0032】
さらに、サーバ装置3は、同じゲームにおける進行状況などの所定のパラメータに応じた各アカウントのランキングを集計するランキング作成部4を有している。ランキング作成部4で作成されたランキングは、各ゲーム装置2がサーバ装置3にアクセスすることによりゲーム画面上に表示させることができる。また、このランキングでは、NPCを所持するアカウントのIDの他に、当該アカウントが所持するNPCの情報(例えばレベル、ジョブ、性別、装備スキルなどのNPCの全情報のうちある程度限られた情報)を閲覧することが可能となっている。NPCの全情報には、例えば上記情報の他に、強さなどのより詳細なパラメータ値や体格などの情報が含まれる。
【0033】
[ゲーム装置の機能的構成]
図3は、本実施形態におけるゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにゲーム装置2は、CPU10、HDD14、ROM15、RAM16、グラフィック処理部17、ビデオ変換部18、オーディオ合成部20、オーディオ変換部21、ネットワークインタフェース25などを含む制御部を備えたコンピュータとして動作する。そして、図2に示すように、ゲーム装置2の制御部は、本発明のゲームプログラム30aを実行することで、サーバアクセス手段41、ゲーム空間生成手段42、キャラクタ制御手段43、NPCデータアップロード手段(成長型オブジェクトデータアップロード手段)44、NPCデータダウンロード手段(成長型オブジェクトデータダウンロード手段)45、報酬データアップロード手段46、履歴情報アップロード手段47およびデータ更新手段48などの機能を発揮する。
【0034】
このうち、サーバアクセス手段41は、前述したように、ネットワークNWを介してゲーム装置2のコンピュータに接続されるサーバ装置3にアクセスし、下記アップロードおよびダウンロードを行う。
【0035】
ゲーム空間生成手段42は、キャラクタが動作する仮想のゲーム空間および当該ゲーム空間内で動作する各キャラクタを生成し、モニタ19に表示させる。例えば、ゲーム空間生成手段42は、PCの移動に伴って、ゲームデータ30bに含まれるオブジェクトおよびテクスチャなどのデータを読み出し、三次元の仮想ゲーム空間を生成する。さらに、ゲーム空間生成手段42は、ゲーム装置2のモニタ19にゲーム空間を表示するために、生成したゲーム空間を所定の仮想カメラで撮影したときの二次元画像を生成する。
【0036】
キャラクタ制御手段43は、プレイヤによるコントローラ24の操作やゲームの進行状況に応じて、ゲーム空間におけるキャラクタの動作を制御する。キャラクタ制御手段43には、プレイヤが操作するPCの動作を制御するPC制御手段431と、当該プレイヤに割り当てられたアカウントが所持するNPCの動作を制御するNPC制御手段(成長型オブジェクト制御手段)432と、他のアカウントが所持するNPC(レンタルキャラクタ)の動作を制御するレンタルキャラクタ制御手段(レンタルオブジェクト制御手段)433とを含んでいる。
【0037】
NPCキャラクタ制御手段432およびレンタルキャラクタ制御手段433は、NPCまたはレンタルキャラクタの行動内容と発言するメッセージとが関連付けられた複数の行動候補情報を取得し、当該複数の行動候補情報の中から、経験的に得た知識に基づいてNPCまたはレンタルキャラクタの行動を選択するとともに、選択した行動に関連付けられたメッセージを出力する。これにより、前述したように、味方キャラクタが、ゲーム状況に応じた行動および発言を行うことを実現することができる。
【0038】
NPCデータアップロード手段44は、一のアカウントiが所持する(ゲーム装置2で作成され、記憶された)NPCのデータを、サーバ装置3にアップロードすることにより当該一のアカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iに記憶させる。また、NPCデータダウンロード手段45は、他のアカウントjが所持し、サーバ装置3の当該他のアカウントjに割り当てられた記憶領域RA−jに記憶されたNPC(以下、レンタルキャラクタ)のデータをダウンロードすることにより取得する。すなわち、NPCデータアップロード手段44がアップロードした一のアカウントiのNPCのデータは、他のアカウントjにおいてNPCデータダウンロード手段45がダウンロードするレンタルキャラクタのデータ(図1においてはRCデータとして示される)となり得る。
【0039】
一のアカウントiにおいて、NPCデータダウンロード手段45がダウンロードしたNPCのデータは、当該一のアカウントiにおけるゲーム装置2にレンタルキャラクタとして記憶される。そして、ゲーム装置2により実行されるゲーム進行において、レンタルキャラクタを、ゲーム装置2に元々記憶されているPCおよびNPCと同行させることができる。このとき、各キャラクタは、キャラクタ制御手段43により制御される。このようなゲーム進行の結果、レンタルキャラクタに関連して得られたデータは、報酬データとしてゲーム装置2に記憶される。
【0040】
なお、報酬データは、ゲーム進行に基づいて利用される情報が少なくとも1つ含まれる限り特に限定されない。例えば、報酬データは、レンタルキャラクタの経験値、経験値に基づく値、レンタルキャラクタの特殊能力などのスキル、ゲーム内通貨、アイテムおよび知識などのうちの少なくとも1つを含むものである。
【0041】
報酬データアップロード手段46は、一のアカウントiに基づくゲーム進行においてレンタルキャラクタに関連付けられた報酬データを、サーバ装置3にアップロードすることにより当該一のアカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iに記憶させる。また、履歴情報アップロード手段47は、報酬データがサーバ装置3にアップロードされた場合に、報酬データがアップロードされたことに関する履歴情報を、サーバ装置3の当該報酬データに対応するレンタルキャラクタをアップロードしたアカウントjに割り当てられた記憶領域RA−jにアップロードすることにより記憶させる。このような履歴情報がアカウントjに割り当てられた記憶領域RA−jに記憶されることにより、当該アカウントjが所持するNPCがアカウントiによって貸し出され、その結果得られるデータ(すなわち、報酬データ)を受け取り可能となったことを、アカウントjに知らせることができる。
【0042】
当然ながら、アカウントjのゲーム装置3においてもコンピュータが報酬データアップロード手段46および履歴情報アップロード手段47として機能する。例えばアカウントjに基づくゲーム進行において、アカウントiのNPCをレンタルキャラクタとして同行させた場合には、報酬データアップロード手段46がサーバ装置3のアカウントjに割り当てられた記憶領域RA−jに報酬データをアップロードするとともに、履歴情報アップロード手段47がサーバ装置3のアカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iに履歴情報をアップロードする。
【0043】
データ更新手段48は、一のアカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iに記憶された履歴情報に基づいて、他のアカウントjに割り当てられた記憶領域RA−jに記憶された、履歴情報に対応する報酬データをダウンロードすることにより取得し、当該報酬データに基づいて当該一のアカウントiのデータを更新する。例えば、報酬データがNPCの経験値であれば、当該経験値をゲーム装置2に記憶されたNPCの経験値に加算する。また、例えば、報酬データがアイテムであれば、当該アイテムをアカウントiに基づくゲーム進行において使用可能とする(アイテムリストに追加する)。
【0044】
以上のように、本実施形態の複数のゲーム装置2において、コンピュータを、サーバアクセス手段41、NPCデータアップロード手段44、NPCデータダウンロード手段45、報酬データアップロード手段46、履歴情報アップロード手段47およびデータ更新手段48として機能させることにより、各ゲーム装置2(に対応付けられたアカウント)が所持するNPCを他のゲーム装置2(に対応付けられたアカウント)にレンタルするレンタル処理を行う。
【0045】
[NPCのレンタル処理]
図1に基づいてNPCのレンタル処理の流れについて具体例を挙げて説明する。ここでは、アカウントAのゲーム装置2がアカウントBのゲーム装置2が所持するNPCをレンタルする場合について主に説明する。なお、図1に示すように、以下では各キャラクタデータの後の符号(ここではAまたはB)は当該キャラクタをアップロードしたアカウント(貸し主)のIDを付すものとする。また、図1においては、以下に説明するデータの流れを一点鎖線(アップロード)および破線(ダウンロード)で示している。なお、この図1におけるデータの流れを示す線は、各記憶領域同士を直接結んでいるが、いずれの流れにおいてもネットワークNWを介したゲーム装置2とサーバ装置3との間の通信により実現される。
【0046】
まず、各アカウントA,Bのゲーム装置2においてはそれぞれ自らが所持するPCおよびNPCを用いてゲームが行われる。本実施形態においては、後述するNPCのレンタル処理を除いて、サーバ装置3や他のゲーム装置2には接続しないオフラインゲームが行われる。この際、各ゲーム装置2のコンピュータは、PC制御手段431およびNPC制御手段432として機能し、各キャラクタの動作を制御する。PCおよびNPCのパーティがゲーム空間内の所定の位置(例えば宿屋)に位置し、所定の動作(例えば宿泊する)を行った場合、各ゲーム装置2のコンピュータはNPCデータアップロード手段44として機能し、そのときのNPCのデータをサーバ装置3の対応するアカウントの記憶領域RA−A,RA−Bに記憶する(アカウントBに関しては特に図1における(1)参照)。記憶領域RA−A,RA−Bに記憶されるNPCのデータは、例えば当該NPCのパラメータ(レベルや強さなど)、装備品、NPCの外観情報(顔のテクスチャや、NPCの身長および体格の情報など)など、他のゲーム装置2においてレンタルキャラクタとして再現可能な程度の情報が含まれる。同様に、本実施形態においてはPCのデータもサーバ装置3の各記憶領域RA−A,RA−Bに記憶される。
【0047】
アカウントAのゲーム装置2において、他のアカウントのNPCをレンタルキャラクタとして使用したい場合、ゲーム装置2のコンピュータはサーバアクセス手段41として機能し、サーバ装置3にアクセスする。なお、本実施形態においては、アカウントAに基づくゲーム空間内においてPCが所定の位置(例えばレンタルキャラクタを召還できる石碑のある場所)に位置した場合に、他のアカウントのNPCをレンタルキャラクタとして使用する(レンタルする)ためのレンタル処理を開始することが可能となる。
【0048】
サーバ装置3は、前述したように、ランキング作成部4で作成されたランキングデータを記憶している。アカウントAのゲーム装置2は、このランキングデータにアクセスすることにより、各アカウントが所持しているNPCのランキングを閲覧することができる。ランキングは例えばNPCのレベルごとに他のアカウントによる使用率(レンタル率)が高い順に作成されている。ランキングには、当該NPCを所持するアカウントのIDおよび選択の参考とするためにNPCの特性等を示す必要最低限の情報(例えば属性や強さなどのパラメータなど)が対応付けられている。
【0049】
本実施形態におけるゲームでは、アカウントAのゲーム装置2において、レンタル可能な他のアカウントのNPCは、アカウントAのPCのレベルと同じレベル以下のレベルを有するNPCに制限される。したがって、アカウントAのゲーム装置2からサーバ装置3のランキングデータにアクセスした際は、当該アカウントAのPCのレベルと同じレベル以下のNPCのランキングのみ閲覧可能としてもよい。アカウントAのゲーム装置2のゲーム画面に表示されたランキングにおいて、プレイヤがNPCのアカウントのIDの1つを選択すると、コンピュータは、当該アカウントのIDに対応付けられたNPCの上記情報を表示する。プレイヤはこの情報に基づいて当該NPCをレンタルするかどうかを決定する。
【0050】
プレイヤの操作によってレンタルするNPCを決定した場合(ここでは、アカウントBのNPCに決定した場合)、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、NPCデータダウンロード手段45として機能する。すなわち、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、サーバ装置3のアカウントBに割り当てられた記憶領域RA−Bにアクセスし、当該記憶領域RA−Bに記憶されているNPCデータBをアカウントAのゲーム装置2にダウンロードする(図1に示す(2)参照)。図1に示すように、アカウントAのゲーム装置2においてはレンタルしたNPCのデータをRCデータBとして記憶している。
【0051】
なお、ネットワークNWを介してサーバ装置3と繋がらない場合には、各ゲーム装置2におけるゲームデータ30bに予め記憶されたNPCのデータを使用することとしてもよい。同様に、ネットワークNWにレンタル可能な他のアカウントが所持するNPCが存在しない場合(サーバ装置3の運用開始直後など)には、予めサーバ装置3に記憶されたNPCのデータをダウンロードして使用したり、各ゲーム装置2におけるゲームデータ30bに予め記憶されたNPCのデータを使用したりしてもよい。サーバ装置3がNPCの貸し主となる場合も、サーバ装置3が借り主からの報酬データを受信し、これに基づいて当該NPCのデータを更新することとしてもよい。この場合、次に当該NPCを借りる際には、成長後のNPCを用いてゲームが行われる。
【0052】
アカウントAのゲーム装置2においては、PCデータAおよびNPCデータAに加えてRCデータBを用いて、PC、NPCおよびレンタルキャラクタでパーティを組んでゲームを行うことが可能となる。このとき、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、PC制御手段431、NPC制御手段432およびレンタルキャラクタ制御手段433として機能し、各キャラクタの動作を制御する。なお、レンタルキャラクタは、パーティの他のPCおよびNPCと同様に経験値に基づいてレベルアップすることとしてもよいし、レンタルキャラクタはレベルアップせず、経験値に応じたオンラインゲーム内通貨(例えばPCのレベルより高いレベルのNPCをレンタルする場合に用いる)を獲得することとしてもよい。
【0053】
レンタルキャラクタを借りたアカウントAに基づくゲーム進行では、レンタルキャラクタが当該パーティの戦力になることによりゲームを有利に進めることができるだけでなく、アカウントAが保有するNPCがレンタルキャラクタと行動をともにすることにより、レンタルキャラクタが有する知識に基づいて、当該アカウントAが保有するNPCの知識を更新することも可能である。このように、アカウントAはレンタルキャラクタを借り受けることにより、様々な恩恵を受けることができる。
【0054】
なお、アカウントAがアカウントBのNPCをレンタルキャラクタとして借り受けている間であっても、アカウントBのゲーム装置2およびサーバ装置3には、アカウントBが所持するNPCのデータが記憶されたままである。したがって、当該アカウントBが、自身が所持するNPCを用いてゲームを進めることに何ら制限はない。また、アカウントAがアカウントBのNPCを借り受けている間において、加えてその他のアカウント(例えばC)がアカウントBのNPCをレンタルする(複数のアカウントに同一のNPCをレンタルする)ことも妨げられない。
【0055】
アカウントAに基づくゲーム進行において、PC、NPCおよびレンタルキャラクタのパーティがゲーム空間内の所定の位置(例えば宿屋)に位置し、所定の動作(例えば宿泊する)を行った場合、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは前述したようにそのときのPCおよびNPCのデータをサーバ装置3のアカウントAに割り当てられた記憶領域RA−Aに記憶する。また、例えば宿屋においてレンタルキャラクタを返却する(レンタルキャラクタと別れる)操作を行うことより、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、報酬データアップロード手段46として機能する。すなわち、コンピュータは、それまでにレンタルキャラクタに関連付けられたデータを、報酬データBとして作成し、当該報酬データBをサーバ装置3のアカウントAに割り当てられた記憶領域RA−Aにアップロードすることにより記憶させる(図1に示す(3)参照)。
【0056】
なお、本実施形態において、アカウントAに基づくゲーム中にレンタルキャラクタが死亡などすることにより、パーティから離れた場合には、パーティから離れた時点で当該レンタルキャラクタは返却処理される。すなわち、レンタルしてからパーティから離れるまでの間にレンタルキャラクタに関連付けられたデータを、報酬データとして作成する。ただし、この時点では報酬データはサーバ装置3にはアップロードされず、ゲームが進行しているアカウントAのゲーム装置2において記憶される。したがって、ゲーム装置2には、同じアカウントBが所持するNPCをレンタルした場合であっても複数のレンタル回数分の報酬データ(複数個の報酬データパック)が記憶され得る。そして、アカウントAに基づくゲーム進行において上記のように所定の場所(宿屋)において、その時点でパーティに同行しているレンタルキャラクタを返却する操作を行うことにより、報酬データアップロード手段46は、途中でパーティを離脱したような過去のレンタルキャラクタに対する報酬データパックについてもまとめてサーバ装置3にアップロードする。なお、サーバ装置3にアクセスして報酬データを記憶するタイミングはこれに限らない。例えば、ゲーム進行中の任意のタイミングで、ユーザの操作によってゲームデータをセーブする際でもよいし、ゲームオーバーになった時でもよいし、ゲームを開始するときでもよいし、ゲーム進行の所定のタイミング(例えば、チェックポイントを通過)で自動的にゲームデータがセーブされる(オートセーブされる)ときでもよい。
【0057】
報酬データBをサーバ装置3にアップロードした後、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、ゲーム装置2に記憶されたレンタルキャラクタのデータおよび報酬データを削除する。なお、次回以降も同じアカウントBのレンタルキャラクタを容易にレンタルすることが可能なように、レンタルキャラクタをアップロードした貸し主のアカウント(ここでは、B)をアカウントAのゲーム装置2において記憶しておいてもよい。この際、ゲーム装置2に記憶される情報は、サーバ装置3のランキング生成部4が生成したランキングデータと同様に、当該NPCを所持するアカウントのIDおよび必要最低限の情報(例えば属性や強さなどのパラメータなど)を含むことが好ましい。
【0058】
図4は本実施形態における報酬データの内容を概略的に示した図である。図4においては報酬データの一覧が示されているが、このような報酬データの一覧表示はゲーム画面上に必ずしも表示しなくてよい。なお、報酬データのこのようなリストは、レンタルキャラクタの借り主であるアカウントAのゲーム装置2のコンピュータ(GDD14または外部記憶媒体31)に記憶される情報である。
【0059】
図4に示すように、報酬データには、当該報酬データを付与すべきアカウントのID(上記例においては、B)と、アカウントAに基づくゲームにおけるレンタルキャラクタの経験に基づいた値(ここでは例えばレンタルキャラクタの経験値に応じたオンライン通貨RIMおよび獲得した知識)の情報が含まれている。さらに、報酬データには、レンタルキャラクタをダウンロードしたアカウントAが所持する所定のアイテムのデータを含んでもよい。この場合、アカウントAに基づくゲーム進行において、レンタルキャラクタを返却する際に、プレイヤがレンタルキャラクタ(の所持者であるアカウントBのプレイヤ)に対して任意に付与するアイテム(プレゼントアイテム)を選択することにより、報酬データに当該プレゼントアイテムのデータが含まれる。プレゼントアイテムを付与する場合には、プレイヤはアカウントAにおいて所持しているアイテムの中から所望のアイテムを付与することができる。報酬データとして付与したアイテムは、報酬データをサーバ装置3にアップロードした時点で、アカウントAのゲーム装置2におけるセーブデータからは削除される。
【0060】
さらに、報酬データには、レンタルキャラクタに付随する情報として、例えばレンタルキャラクタの評価やレンタルキャラクタに対するコメントを添付することも可能である(図示せず)。これにより、別途、メールや掲示板などの機能をゲームに実装することなく、レンタルキャラクタを使用したアカウントAのプレイヤの感想やアドバイスを元々NPCを所持しているアカウントBのプレイヤに容易に伝えることができる。なお、このようなコメントは、貸し主がNPCをアップロードする際に添付可能とすることとしてもよい。
【0061】
また、コンピュータは、報酬データをサーバ装置3にアップロードする場合に、履歴情報アップロード手段47としても機能する。すなわち、アカウントAのゲーム装置2のコンピュータは、報酬データがアップロードされたことに関する履歴情報を、サーバ装置3の報酬データがアップロードされたレンタルキャラクタを元々所持している(貸し主である)アカウントBに割り当てられた記憶領域RA−Bにアップロードすることにより、履歴データとして記憶させる(図1に示す(4)参照)。
【0062】
図5は本実施形態における履歴データの内容を概略的に示した図である。図5に示すように、履歴情報は、対応するレンタルキャラクタをダウンロードすることにより取得したアカウントのID(ここではA)およびレンタルした日時などの最低限の情報のみが時系列的に書き込まれた履歴データとして構成される(ある程度の件数が履歴として閲覧可能なように記憶される)。履歴データは、例えばSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)における足跡機能のようなシステムをサーバ装置3上に構築することで実現できる。履歴情報の構成を最低限の情報とすることにより、各記憶領域RA−A,RA−B,…に要求されるデータ容量の増大を抑制し、ひいてはサーバ装置3に要求されるデータ容量の増大を抑制することができる。
【0063】
次に、アカウントBのゲーム装置2にて、自身のNPCが他のアカウントAでのプレイにより得た報酬データに基づき、アカウントBのNPCデータを更新する処理について説明する。アカウントAに基づくゲーム進行においてレンタルキャラクタとして使用されたNPCをアップロードしたアカウントBのゲーム装置2は、アカウントBに基づくゲーム進行において、アカウントBのPCを含むパーティが所定の位置(例えば宿屋)に位置した際、サーバ装置3のアカウントBに割り当てられた記憶領域RA−Bにアクセスすることにより、履歴データ(図5に示すような一覧表示)をゲーム画面上に表示する(図1に示す(5)参照)。
【0064】
アカウントBのプレイヤがサーバ装置3の履歴情報を閲覧し、その中から何れかの履歴情報を選択した場合、アカウントBのゲーム装置2のコンピュータは、データ更新手段48として機能し、選択された履歴情報に対応する報酬データをアカウントAに割り当てられた記憶領域RA−Aからダウンロードすることにより取得する(図1に示す(6)参照)。さらに、データ更新手段48は、ダウンロードした報酬データに基づいてアカウントBのデータを更新する。例えば報酬データにゲーム内通貨RIMが含まれる場合には、アカウントBにおけるゲーム進行において、プレイヤ(PC)が所持するゲーム内通貨RIMと報酬データに含まれるゲーム内通貨RIMとを合算する。また、報酬データに、レンタルキャラクタがアカウントAに基づくゲーム進行において獲得した知識や経験値等が含まれる場合には、アカウントBにおけるゲーム装置2のNPCデータBに当該報酬データに含まれる知識や経験値を結合させる。なお、ゲーム装置2のコンピュータが履歴情報の有無を判定し、履歴情報を検出した場合には、当該履歴情報に基づく報酬データの更新を自動的に行うこととしてもよい。
【0065】
なお、図1および図5に示すように、アカウントBが所持するNPCに関し、アカウントBにおけるゲーム装置2においてデータ更新がなされていない履歴データが複数ある場合、それらにそれぞれ対応する各アカウントの記憶領域からダウンロードする処理が行われる。
【0066】
このように、アカウントBが所持するNPCをアカウントAがレンタルキャラクタとして用いてプレイしたゲーム内容に応じて、アカウントBのNPCが成長したり、アイテムを得られたりすることができる。例えば、アカウントBのNPCがレンタルキャラクタとして行動したゲーム進行において、アカウントBに基づくゲーム進行においては行ったことのない洞窟に入って宝箱を見つけたとする。この場合、アカウントAからの報酬データには、洞窟のどこに宝箱があるかについての知識が含まれる。したがって、このような報酬データをダウンロードして、アカウントBのNPCのデータに結合した場合、アカウントBのNPCは、アカウントBに基づくゲーム進行においてまだ行ったことのない洞窟のどこに宝箱があるかという情報を知っていることになる。このため、アカウントBに基づくゲーム進行において初めて当該洞窟に入った場合に、洞窟内の分岐路に位置するとアカウントBのNPCが「右に進むと宝箱があります」といったメッセージを発することができる。
【0067】
なお、上記のような知識は、予めゲームデータ30bに記憶されており、NPCが知識を覚えているか否かについてはフラグなどで識別、管理される。すなわち、上記の例において、洞窟内の上記分岐路に位置し、かつ、洞窟の宝箱のありかに関するフラグが立っている場合に、「右に進むと宝箱があります」といったメッセージを発することが予め設定されている。そして、アカウントBがアカウントAから上記報酬データを得た場合、当該NPCについて洞窟の宝箱のありかに関する知識についてのフラグが立つように設定されている。これにより、その後で、当該NPCが洞窟内の上記分岐路に位置すると上記メッセージを発するというイベントを実現することができる。
【0068】
以上のように、上記構成によれば、一のアカウントAが他のアカウントBのNPCをレンタルした場合に、そのNPCが同行したアカウントAに基づくゲームに伴う報酬データをサーバ装置3のNPCの借り主である自己のアカウントAに割り当てられた記憶領域RA−Aに記憶させる。そして、NPCをアップロードしたアカウントBに割り当てられたサーバ装置3の記憶領域RA−Bには、誰にレンタルされたかを知らせるための履歴データのみが記憶される。これにより、NPCを貸した側のアカウントBは、借り主であるアカウントAに割り当てられた記憶領域RA−Aにアクセスし、当該記憶領域RA−Aに記憶されたNPCに関連する報酬データをダウンロードする。
【0069】
これにより、レンタルキャラクタとして一のアカウントAに貸し出され、当該アカウントAに基づくゲーム進行において使用されたアカウントBのNPCに関連するデータをアカウントB自身の操作によってアカウントBのセーブデータに反映させることができる。この際、アカウントAに基づく報酬データは、サーバ装置3に記憶されているため、アカウントBが報酬データをダウンロードする際に、報酬データが作成されたアカウントAがオンライン状態となっている必要はない。しかも、貸した側のアカウントBのゲーム装置2におけるセーブデータの更新は、当該アカウントB自身で行うため、借り主である一のアカウントAが自己のアカウントAとは異なる他のアカウントBのデータを勝手に書き換える必要をなくすことができる。
【0070】
このように、各アカウントi(上記例におけるA)に基づくゲーム進行において使用したレンタルキャラクタに関連するデータ(報酬データ)は、サーバ装置3の各アカウントiに割り当てられた記憶領域RA−i(上記例におけるRA−A)においてそれぞれ記憶されるため、他のアカウントj(上記例におけるRA−B)が所持するNPCがレンタルキャラクタとして多くの他のアカウント(AやCなど)にレンタルされたとしても、当該アカウントjの記憶領域RA−j(上記例におけるRA−B)のデータ量のみが局所的に増大することはない。つまり、一のレンタルキャラクタが使用されたことによる報酬データは、使用したアカウントごとに分散して記憶されるため、貸した側のアカウントj(上記例におけるRA−B)のデータ容量が不当に圧迫されるのを防止することができる。したがって、サーバ装置3の記憶容量を効率的に使用することができ、何れのアカウントにおいてもスムーズなゲーム進行を行うことができる。
【0071】
さらに、レンタルキャラクタを貸し出す側のアカウントおよび借り受ける側のアカウントの双方において、知らない情報や新たなアイテムなどを得ることができる。このように、NPCが実際に自己のアカウント(プレイヤ)から離れて他のアカウント(他のプレイヤ)に連れられて経験をし、成長して戻ってきた様を表現することができる。このため、レンタルキャラクタの貸し借りも積極的に行われることとなり、一のアカウントに基づくゲーム進行において取り扱われるゲーム内の情報量を増やすことができる。すなわち、一人でゲームを行っているにも拘らず、複数人でゲームを行っているかのように感じさせることができ、より豊かなゲーム演出を行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0073】
例えば、上記実施形態において、各アカウントiのPCデータ、NPCデータ、報酬データおよび履歴データがすべて1つのサーバ装置3の各アカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iに記憶される場合に基づいて説明したが、本発明の態様はこれに限られない。例えば、各アカウントiの履歴データについては、別のサーバに記憶することとしてもよい。この場合は、サーバ装置3に割り当てられる各アカウントiに割り当てられた記憶領域RA−iへは、自己のアカウントiのみがアップロードして書き換えることができ、他のアカウントjは一切書き込みすることができないこととすることができる。この他、ランキング生成部4を別のサーバ装置に記憶させたり、各アカウントiの記憶領域RA−iを複数のサーバ装置で構成するなど、サーバ装置3の構成は、適宜変更可能である。
【0074】
また、専用のサーバ装置を介することなく複数のゲーム装置間でデータを通信する構成についても本発明を適用可能である。この場合、それぞれのゲーム装置がサーバ装置としても機能する。例えば貸し主のゲーム装置には、NPCのデータおよび履歴情報が記憶され、借り主のゲーム装置には、報酬データが記憶される。なお、ゲーム装置間の通信は、P2Pやブルートゥースなどによるものであってもよい。
【0075】
また、上述した説明では、一のアカウントに基づくゲーム進行において、一体のPCと、一体のNPCと、最大二体のレンタルキャラクタとでパーティを組んで行動する態様に基づいて説明したが、自己のアカウントが所持するNPCの数および同時にレンタル可能なレンタルキャラクタの数は、これに限られず、種々適用可能である。
【0076】
また、上述した説明では、成長型オブジェクトがNPCである例について説明したが、本発明の態様は、ゲーム空間内におけるゲーム進行に基づいて所定の特性値が変化するオブジェクトである限りこれに限られない。例えば、ゲーム進行に応じて所定の特定値(例えばステータス値や属性など)が成長(変化)する武器や防具も成長型オブジェクトに含まれる。ゲーム進行に応じてステータス値や属性が変化する態様としては、戦闘経験によってステータス値(攻撃力、防御力など)が上昇(または下降)する態様や、他のアイテムと掛け合わせてステータス値を上昇(または下降)させたり新たな属性(特定の敵に対して攻撃力が高くなるなど)を追加したりする態様など様々な態様に適用可能である。また、成長型オブジェクトの成長は、必ずしも能力が向上する方向の成長(知識を獲得する、攻撃力が高くなるといったステータス値の上昇など)だけではなく、能力が低下する方向の成長(例えば知識を忘れる、攻撃力が低くなるといったステータス値が下降など)を含んでもよい。
【0077】
また、上述した説明では、一人のプレイヤがオフラインゲームを行う場合(NPCのレンタル処理を行う間のみオンラインとなる構成)について例示したが、本発明は、複数のプレイヤが各自のプレイヤキャラクタを同一のゲーム空間内に登場させ、これらを協力させて行動させるオンラインゲームにおいても適用することができる。
【0078】
また、本実施形態では据え置き型のゲーム装置について説明したが、携帯型のゲーム装置、携帯電話機、およびパーソナルコンピュータなどのコンピュータについても、本発明を好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、一のアカウントとは異なる他のアカウントのセーブデータを勝手に書き換えることなく、一のアカウントに基づくゲーム進行において使用されることによって、他のアカウントのオブジェクトが取得したデータを元のアカウントのゲームに反映するために有用である。
【符号の説明】
【0080】
2 ゲーム装置(ゲームシステム)
3 サーバ装置
30a ゲームプログラム
30b ゲームデータ
41 サーバアクセス手段
42 ゲーム空間生成手段
43 キャラクタ制御手段
44 NPCデータアップロード手段(成長型オブジェクトデータアップロード手段)
45 NPCデータダウンロード手段(成長型オブジェクトデータアップロード手段)
46 報酬データアップロード手段
47 履歴情報アップロード手段
48 データ更新手段
431 PC制御手段
432 NPC制御手段(成長型オブジェクト制御手段)
433 レンタルキャラクタ制御手段(レンタルオブジェクト制御手段)
NW ネットワーク
RA−A,RA−B,RA−C,… 記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5