【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインは、脱穀装置から搬送されてきた穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの底部に設けられ、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガと、
前記穀粒タンク内に設けられると共に取込口が形成され、前記脱穀装置から搬送されてきた穀粒の一部を前記取込口から取り込んで一時的に貯留する一時貯留部と、
前記一時貯留部に貯留された穀粒の品質を検出する品質計測部と、
前記一時貯留部に形成されて貯留された穀粒を前記穀粒タンクに排出可能な排出口と、
前記排出口を開放する開位置と前記排出口を閉塞する閉位置とに位置変更可能なシャッターと、
前記品質計測部による計測が終了されると、前記シャッターを前記開位置にし、かつ、前記一時貯留部の穀粒の全てが前記穀粒タンクに排出されると、前記シャッターを前記閉位置にする開閉制御を行う制御部と、
前記穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が所定値を超えたか否かを判定する判定部と、が備えられ、
前記判定部によって前記貯留体積が所定値を超えたことが判定されると、前記制御部は前記開閉制御を停止する。
【0007】
本発明によると、取込口から取り込まれた穀粒が、閉位置となったシャッター上に形成される一時貯留部に一時的に貯留され、一時貯留部に貯留された穀粒について品質計測部による品質計測が行われ、品質計測が終了すると、シャッターが開位置となって品質計測の終了した穀粒が排出口から排出される。本発明によると、このようなシャッター開閉制御が基本的に行われて、穀粒の品質計測が行われる。そして、本発明では、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が所定値を超えると、シャッターの開閉制御が停止される。シャッターの開閉動作に穀粒の干渉が生じるおそれのある所定値に設定すると、貯留された穀粒によってシャッターの開閉動作が妨げられることがないので、穀粒の品質計測を支障なく行える。このように、本発明によれば、穀粒の品質計測のために穀粒を一時的に貯留可能なシャッターの開閉を穀粒に妨げられることなく好適に行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記判定部によって前記貯留体積が所定値を超えたことが判定されると、前記制御部は、前記品質計測部による計測が終了しても、前記シャッターを前記開位置にする制御を行わないと好適である。
【0009】
穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が所定値を超えていると、貯留された穀粒によってシャッターの開動作が妨げられる可能性がある。本構成であれば、このような場合は、品質計測部による計測が終了しても、シャッターを開位置にする制御を行わない。これにより、シャッターが開かないという不都合を回避できる。
【0010】
上記構成において、前記排出口を介して前記一時貯留部と連通し、かつ、側部が前記穀粒タンクの内部空間と区画されると共に下部が前記内部空間と連通する排出回数確保部が、前記シャッターの下方に隣接して備えられていると好適である。
【0011】
本構成によれば、排出回数確保部は、その下部において内部空間と連通するものの、内部空間と区画されているので、内部空間に貯留された穀粒の貯留レベルが上昇してきても、排出回数確保部の下部よりも上方では、内部空間に貯留された穀粒の影響を受けない。つまり、排出回数確保部における貯留レベルの上昇は、一時貯留部から排出された穀粒の量に大きく依存することとなる。したがって、本構成であると、排出回数確保部の大きさ等をうまく設定することにより、品質計測の回数と、内部空間への貯留度合いとのバランスをとることができる。
【0012】
上記構成において、前記貯留体積を検出する体積計測部が備えられ、
前記体積計測部によって前記貯留体積が前記所定値よりも低い値である予備値を超えたことが検出され、かつ、その検出後に前記シャッターが開放された回数が所定回数を超えたときに、前記判定部は、前記貯留体積が前記所定値を超えたと判定すると好適である。
【0013】
本構成によれば、シャッターの開閉動作に穀粒の干渉が生じるおそれのある所定値よりも低い予備値を体積計測部によって検出できる。このため、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が予備値を超えると、排出回数確保部において残された体積の余裕がある程度限られた状態にあることがわかる。したがって、本構成であれば、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が予備値を超えてから、シャッターが開放された回数が所定回数を超えたときに、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が所定値を超えたとみなして、シャッターの開閉動作に穀粒が干渉する前にシャッターの開閉制御を停止できる。
【0014】
上記構成において、前記貯留体積を検出する体積計測部が備えられ、
前記体積計測部によって前記貯留体積が前記所定値よりも低い値である予備値を超えたことが検出され、かつ、その検出後から所定時間が経過したときに、前記判定部は、前記貯留体積が前記所定値を超えたと判定すると好適である。
【0015】
本構成によれば、シャッターの開閉動作に穀粒の干渉が生じるおそれのある所定値よりも低い予備値を体積計測部により検出できる。このため、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が予備値を超えると、排出回数確保部において残された体積の余裕がある程度限られた状態にあることがわかる。したがって、本構成であれば、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が予備値を超えてから、例えばシャッターが所定回数だけ開放動作して排出回数確保部における体積の余裕がなくなる所定時間が経過したときに、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積が所定値を超えたとみなして、シャッターの開閉動作に穀粒が干渉する前にシャッターの開閉制御を停止できる。
【0016】
上記構成において、前記排出オーガへの駆動力伝達を入り切りする排出クラッチが備えられ、
前記開閉制御が停止された後、前記排出クラッチが入り状態になると、前記制御部は、前記開閉制御を再開すると好適である。
【0017】
本構成によれば、排出クラッチが入り状態になると、排出オーガが作動して穀粒タンク内の穀粒が減少してゆき、シャッターの下方に存在する穀粒も減少してゆく。このため、シャッターの開閉動作を再開しても、シャッターの開閉動作に穀粒が干渉しなくなる。よって、排出クラッチが入り状態になったことをもって、シャッターの開閉制御を再開することで、穀粒の品質計測を迅速に再開できる。
【0018】
上記構成において、前記品質計測部による計測に必要な量の穀粒が前記一時貯留部に貯留されているか否かを検知する必要量測定部が備えられ、
前記制御部は、前記開閉制御において、前記シャッターを前記開位置にした後に、前記品質計測部に必要な量の穀粒が前記一時貯留部に貯留されていない状態が所定時間継続したときに、前記シャッターを前記閉位置にする制御を行うと好適である。
【0019】
本構成によれば、シャッターが開位置にされた後に、必要量測定部の検知に基づいて品質計測部に必要な量の穀粒が前記一時貯留部に貯留されていない状態が確認されると、シャッターが閉位置に制御される。よって、シャッターを開位置にしたことにより一時貯留部から穀粒が確実に排出されたことを確認してからシャッターの閉制御が行われるので、穀粒の品質計測の信頼性を向上できる。
【0020】
上記構成において、前記貯留体積を検出する体積計測部として、前記穀粒タンク内における穀粒の貯留レベルを検出するレベル計測装置が備えられ、
前記レベル計測装置の検出結果に基づいて、前記貯留体積が確定されると好適である。
【0021】
本構成によれば、例えば、簡素な接触式センサ等によってレベル計測装置を用いれば、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積の検出を安価に行うことが可能になり、レベル計測装置による検出結果をシャッターの開閉制御に好適に利用できる。
【0022】
上記構成において、前記貯留体積を検出する体積計測部として、前記穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を計測する重量計測装置が備えられ、
前記重量計測装置の検出結果に基づいて、前記貯留体積が確定されると好適である。
【0023】
本構成によれば、重量計測装置の計測結果に基づいて穀粒タンクに貯留された穀粒の重量から穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積を演算できる。例えば、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度良く計測できる重量計測装置を用いれば、穀粒タンクに貯留された穀粒の貯留体積を細かく求めることが可能になり、重量計測装置による検出結果をシャッターの開閉制御に好適に利用できる。
【0024】
上記構成において、前記穀粒タンクに貯留された穀粒は、前記排出オーガによって前記穀粒タンクの後部から排出され、
前記一時貯留部は、前記穀粒タンクの前部に設けられていると好適である。
【0025】
本構成によれば、排出オーガによって穀粒タンクの後部から貯留された穀粒が排出される際、穀粒タンクの前部における穀粒の貯留レベルが比較的早く低下する傾向にある。このため、穀粒タンクの前部に一時貯留部が設けられていることにより、排出オーガが作動されると、一時貯留部の下方の穀粒の貯留レベルが速やかに低下され、シャッターの開閉制御を迅速に再開できる。
【0026】
また、本発明に係るコンバインは、脱穀装置から搬送されてきた穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの底部に設けられ、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガと、
前記穀粒タンク内に設けられると共に取込口が形成され、前記脱穀装置から搬送されてきた穀粒の一部を前記取込口から取り込んで一時的に貯留する一時貯留部と、
前記一時貯留部に貯留された穀粒の品質を検出する品質計測部と、
前記一時貯留部に形成されて貯留された穀粒を前記穀粒タンクに排出可能な排出口と、
前記排出口を開放する開位置と前記排出口を閉塞する閉位置とに位置変更可能なシャッターと、
前記品質計測部による計測が終了されると、前記シャッターを前記開位置にし、かつ、前記一時貯留部の穀粒の全てが前記穀粒タンクに排出されると、前記シャッターを前記閉位置にする開閉制御を行う制御部と、
前記排出オーガへの駆動力伝達を入り切りする排出クラッチと、が備えられ、
前記排出クラッチが入り状態になると、前記制御部は、前記シャッターを前記開位置にする制御を行う。
【0027】
本発明によると、取込口から取り込まれた穀粒が閉位置となったシャッター上に形成される一時貯留部に一時的に貯留され、一時貯留部に貯留された穀粒について品質計測部による品質計測が行われ、品質計測が終了すると、シャッターが開位置となって品質計測の終了した穀粒が排出口から排出される。本発明によると、このようなシャッターの開閉制御が基本的に行われて、穀粒の品質計測が行われる。そして、本発明では、排出クラッチが入り状態となって排出オーガが駆動されて穀粒タンク内の穀粒が全て外部へ排出される際は、シャッターが開位置に制御されて、一時貯留部の穀粒が内部空間へ排出される。また、本発明であれば、一時貯留部に穀粒が残存することを防止できる。このように、本発明によれば、穀粒の品質計測のために穀粒を一時的に貯留可能なシャッターの開閉を穀粒に妨げられることなく好適に行うことができる。
【0028】
上記構成において、前記制御部が前記シャッターを前記開位置にする制御を行った後、前記排出クラッチが切り状態になると、前記制御部は、前記シャッターを前記閉位置にする制御を行うと好適である。
【0029】
本構成によれば、排出クラッチが切り状態となって排出オーガが停止されるということは、穀粒タンク内の穀粒の排出が完了したことを意味する。このため、穀粒に干渉することなくシャッターを閉位置に制御することができる。
【0030】
上記構成において、前記制御部が前記シャッターを前記開位置にする制御を行った後、所定時間が経過すると、前記制御部は、前記シャッターを前記閉位置にする制御を行うと好適である。
【0031】
本構成によれば、仮に、シャッターを開位置にした際に、シャッターが穀粒に埋もれた状態になったとしても、排出クラッチが入り状態になっているので、シャッターを開位置にしてから所定時間が経過すると、穀粒の貯留レベルが低下し、シャッターが穀粒に埋もれていない状態になる。このため、排出クラッチが入り状態になってからシャッターを開位置にしてから所定時間が経過してからシャッターを閉位置に制御することで、穀粒との干渉を回避してシャッターを閉位置に制御できる。