(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、本発明の下記の詳細記述およびその記述に含まれている実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0015】
本発明の化合物、組成物、品目、系、装置および/または方法を開示し、記述する前に、別途明記されていない限り、それらは特定の合成方法に限定されるものではないこと、あるいは別途明記されていない限り、特定の試薬に限定されるものでないことを理解されるべきである。なぜなら、合成方法および試薬は、当然ながら、変化し得るものであるからである。本明細書で使用される用語は、特定の態様を記述する目的のためのみのものであり、限定する意図はないことも理解されるべきである。本明細書で記述されたものと類似または相当する任意の方法および材料は、本発明の実践または試験に使用することが可能であるが、例となる方法および材料をここでは記述する。
【0016】
定義
本明細書および付属の特許請求の範囲で使用されている場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が他の旨であることを明白に指示している場合を除き、参照される対象の複数形も包含する。したがって、例えば、「溶媒(単数形)」は、複数の種類の溶媒の混合物も含む可能性がある。
【0017】
範囲は、「約」1つの特定値からおよび/または「約」別の特定値として、本明細書中では、表現され得る。このような範囲を表現するとき、別の態様は、1つの特定値からおよび/または別の特定値を含む。同様に、「約」を前に置いて値を近似値 として表現するときは、その特定値は別の態様を形成することを理解されたい。範囲の各々の終点は、他方の終点に関してと他方の終点とは独立してのどちらでも意味がある。本明細書に開示する値は多数存在すること、および各値は、その値自体に加えて、その特定値に近い値(「約」)としても開示されていることを理解されるべきである。例えば、値として「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。2つの特定の単位の間にある各々の単位も開示されていることも理解されるべきである。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13および14も開示されている。
【0018】
本明細書で使用されている場合、「任意」または「任意に」という用語は、以降に記述する事象または状況は、発生することも、または発生しないこともあり得、記述は前記の事象または状況が発生した事例および発生しなかった事例を含むことを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「オキシ水酸化/水酸化/酸化」という用語は、オキシ水酸化物、水酸化物、酸化物またはこれらの任意の組合せを指すことができる。オキシ水酸化物、水酸化物、および酸化物の各々が存在する必要はない。
【0020】
本明細書の全体を通し、文脈が他であることを要求していない限り、「含む(comprise、comprises)」という語または「含んでいる(comprising)」などの 変化形は、明記された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの集合を含有することを意味するが、その他のいかなる整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの集合を排除するものではないことを理解されるべきである。
【0021】
開示されるのは、本発明の組成物を調製するために使用される組成物、ならびに本明細書で開示される方法の中でそのまま使用される組成物である。これらおよび他の材料が本明細書中で開示され、これらの材料の組合せ、部分集合、相互作用、集合などが開示されるとき、これらの化合物の様々な各々の個別および集合的な組合せおよび順列の具体的な参照を明示的に開示することができなくても、各々が本明細書では、具体的に考慮され、記述されたものと理解されるべきである。例えば、特定の化合物が開示されて、論じられ、その化合物を含む数多くの分子に加えることのできる数多くの変更が論じられている場合、 具体的にそうではない旨が明記されていない限り、その化合物の各々および全ての組合せおよび順列ならびに可能な変更が具体的に考慮される。したがって、分子、A、BおよびCのクラスならびに分子D、EおよびFのクラスが開示され、分子の組合せ、A−Dの例が開示されている場合、たとえ各々が個別に列挙されていなくても、各々は個別に、および集合的に検討され、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの組合せも開示され、考慮の対象となる。 同様に、これらの任意の部分集合または組合せも開示される。したがって、例えば、 A−E、B−F、およびC−Eという部分集合も開示され、検討されたことになる。この概念は、本発明の組成物を作成および使用する方法のステップを含め、これに限定されることなく、この用途のあらゆる態様に適用される。したがって、実施することのできる種々の追加ステップが存在する場合、これらの追加ステップは、本発明の方法の任意の特定の実施形態または複数の実施形態の組合せと一緒に実行することができることを理解されるべきである。
【0022】
本明細書で開示された組成物は一定の機能を有することを理解されるべきである。本明細書で開示されるのは、開示された機能を実施するための一定の構造要件であり、開示された構造に関係する、同一の機能を実施できる多種多様な構造が存在すること、およびこれらの構造は通常、同一の結果を達成することを理解されるべきである。
【0023】
上で簡単に記述した通り、 本開示は、一般に粒状組成物材料に関する。1つの態様において、本発明は、有機鋳型化ナノ金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物の粒状合成物を含む。もう1つの態様において、かかる粒状合成物は、少なくとも部分的に水媒体中で実施される工程を使って調製することが可能である。
【0024】
もう1つの態様において、本開示は、例えば、有機鋳型化ナノ金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物などの粒状合成物の調製のための方法を提供する。1つの態様において、本開示は、水媒体を使って粒状組成物を調製するための方法を提供し、該方法は、バイオポリマーおよび1つまたは複数のナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を含む。一般的な態様において、本発明の方法は、金属または金属前駆体をバイオポリマーおよび/またはバイオポリマー溶液と接触させ、その後、得た混合物を塩基と接触することを含む。
【0025】
様々な態様において、金属および/または金属前駆体は、金属の塩またはその溶液を含むことができる。1つの態様において、金属および/または金属前駆体は、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、チタン、 ジルコニウム、ランタン、セリウム、またはこれらの組合せを含むことができる。1つの態様において、金属前駆体は、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、またはこれらの組合せを含むアルミニウム塩の溶液を含む。さらなる他の態様において、金属前駆体は、本明細書中で具体的に列挙されていない他の金属塩または溶液を含むことができ、本発明は、いかなる特定の金属前駆体にも制限されることを意図しない。他の態様において、金属前駆体は、例えば、約20:1から約1:20、例えば、約20:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:5、1:10、または1:20など、任意の所望の比率で複数の個別の金属前駆体の混合物を含むことができる。1つの態様において、金属前駆体は硝酸アルミニウムを含む。 もう1つの態様において、金属前駆体は、例えば、約3:1(Al:Fe)の比率でアルミニウムと鉄の塩の混合物を含む。
【0026】
バイオポリマー は、任意の適切なバイオポリマーまたはバイオポリマーの混合物を含むことができる。1つの態様において、バイオポリマーは、キトサン、バナナシルク、セルロース繊維、またはこれらの組合せを含むことができる。もう1つの態様において、バイオポリマーまたはこの一部は、フレークバイオポリマーである。もう1つの態様において、官能化された形態のバイオポリマーも、バイオポリマーフレークとして使用することができる。他の態様において、キトサンフレークをバイオポリマーフレークとして使用することができる。1つの態様において、バイオポリマー、例えば、バイオポリマーフレークなどは水溶液および/または水および鉱酸、例えば、HCl、HNO
3 などの溶液中に溶解させることができる。このような態様では、鉱酸のH
+イオンは、少なくとも部分的にバイオポリマーをイオン化し、水中にバイオポリマーを溶解して、バイオポリマー溶液を得ることができる。1つの態様において、バイオポリマーはキトサンを含む。もう1つの態様において、バイオポリマーはセルロースとキトサンとの混合物を含む。
【0027】
1つの態様において、金属前駆体の金属イオンは、多数の官能基を通じてバイオポリマーと相互作用することができる。金属前駆体およびバイオポリマーの量は、変更することができ、所望の合成物に適した量を活用することができる。
【0028】
本発明の塩基は、本発明の粒状合成物の調製に使うために適した任意の塩基を含むことができる。1つの態様において、塩基は水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、またはこれらの組合せを含むことができる。他の態様において、他の塩基もしくは塩基の組合せおよび/またはこれらの溶液を使うことができ、本発明はいかなる特定の塩基にも限定されるものではない。1つの態様において、金属前駆体とバイオポリマーとの混合物に塩基を添加すると、得られる金属−バイオポリマーの複合溶液中に存在する金属イオンは、 加水分解し、 ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子として沈殿することができる。1つの態様において、バイオポリマーに対応する官能基、キトサンなどは、金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物の形成、例えば、 金属水酸化物ではなく、オキシ水酸化物、水酸化物および酸化物の組合せを可能にする。
【0029】
かかる態様では、キトサンバイオポリマー上に並ぶナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を含む、半固体状沈殿物を得ることができる。1つの態様において、得られるナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさは、約1nmから約100nmの範囲とすることができる。さらにもう1つの態様において、ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさは、約3nmから約10nmの範囲とすることができる。
【0030】
1つの態様において、本発明の粒状合成物を調製するための方法は、少なくとも部分的に水媒体中で実施することができる。もう1つの態様において、該方法は水媒体中で実施することができる。1つの態様において、「水媒体」という語句は、水ならびに任意で他の水性および/または非水性成分を含む媒体を指すことができる。もう1つの態様において、「水媒体」という語句は、全ての成分が水性であるか、または少なくとも部分的に水に可溶性である媒体を指すことができる。さらにもう1つの態様において、例えば、懸濁液を形成することのできる特定の材料など、他の品目が存在することができる。
【0031】
1つの態様において、該方法は、媒体の温度が、少なくとも工程の一部では、約60℃より下の状態で実施することができる。もう1つの態様において、本方法は、媒体の温度が工程の間、約60℃より下の状態で実施することができる。
【0032】
金属前駆体はバイオポリマーと接触させることができる。1つの態様において、金属前駆体またはこの一部は溶液の形態とすることができる。接触すると、金属前駆体およびバイオポリマーは、金属−バイオポリマーの複合溶液を形成することができる。1つの態様において、このような複合溶液は、金属前駆体またはこの一部が塩基との接触により加水分解される、加水分解ステップに供することができる。1つの態様において、塩基は溶液を含むことができる。1つの態様において、接触の順番は変更され得る。もう1つの態様において、バイオポリマーと金属前駆体とを最初に接触させ、続いて得られた混合物を塩基または塩基溶液と接触させることができる。他の態様において、混合度は変化し得、成分を完全に混合することまたは完全に均一な混合物を得る必要はない。 もう1つの態様において、得られる組成物が均一または実質的に均一になるように、成分は混合される。さらにもう1つの態様において、例えば、所望の産生物を得るために攪拌により、成分を激しく混合することができる。
【0033】
塩基と接触させた後、生じる産生物は1つまたは複数のナノ金属オキシ水酸化/水酸化/酸化粒子を含むことができる。1つの態様において、1つまたは複数の粒子のいずれも、任意の他の粒子と同一または異なる化学組成および/または構造を含むことができる。
【0034】
1つの態様において、沈殿物、例えば、1つまたは複数のナノ金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物の半固体沈殿物を得ることができる。かかる態様において、半固体沈殿物は、不純物の除去、沈殿物の濃縮および所望の固体のナノ金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマーの合成物を単離するための任意の濾過および/または乾燥ステップに供すことができる。
【0035】
もう1つの態様において、本明細書に記述する方法から産生される固体合成物は、意図した用途に適した粒径および/または粒径分布を有する粒状合成物を得るために、粉砕することができる。
【0036】
1つの態様において、本発明の方法は、粒状合成物を調製するために、高温、高圧および/または外部の化学薬剤の少なくとも1つを必要としない。もう1つの態様において、本発明の方法は、粒状合成物を調製するために、高温、圧力または外部の化学薬剤を必要としない。かかる態様において、本発明の方法は、当業に公知の従来の方法に比べて大幅な改善を提供する。本発明の粒状組成物は成分として バイオポリマーを含むため、合成物を調製するための方法は、特に従来の方法と比較した場合、簡単、経済的、かつ環境に優しくなり得る。
【0037】
多様な態様において、本発明は、1つまたは複数の 有機鋳型化ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物から成る粒状組成物を、水過程を通じて調製するための方法を提供する。もう1つの態様において、本発明の粒状組成物は、有用な吸着特性を有することができ、例えば、水からフッ化物および/または砒素汚染物質を除去する目的に使うことができる。
【0038】
図1は、有機鋳型化ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物の粒状組成物を得ることのできる典型的な反応100を示している。反応100は、例えば、バイオポリマーフレーク101のバイオポリマー溶液102を調製することにより、開始することができ、その後、金属前駆体溶液103 をバイオポリマー溶液102 に添加して、金属−バイオポリマー複合溶液105を得ることができる。次に塩基104を金属−バイオポリマー複合溶液 105 に添加し、 バイオポリマーとナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子との合成物106を得ることができる。
【0039】
1つの態様において、得られる半固体沈殿物を濾過および/または乾燥し、不純物を除去し、沈殿物を濃縮し、および固体の金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物を得ることができる。乾燥した場合、乾燥の具体的な方法は、変更することができ、本発明はいかなる特定の乾燥方法にも制限されることを意図しない。様々な態様において、例示的な乾燥方法は、凍結乾燥、表面乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥またはこれらの組合せを含むことができる。他の態様において、当業に公知の他の乾燥技術を、任意の他の具体的に列挙された方法に加えてまたは代わりに使用することができる。
【0040】
もう1つの態様において、乾燥させた固体沈殿物は、例えば、約0.1mmから約3mmの範囲で、意図した用途に望ましい大きさに任意で粉砕することができる。得られる粒状組成物は、金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物およびバイオポリマーを含むことができる。もう1つの態様において、得られる粒状組成物は、金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物およびバイオポリマーから成ることができる。特定の態様において、得られた粒状組成物が有機鋳型ベーマイト・ナノアーキテクチャ(OTBN)を有する、例えば、一般にはベーマイトとして知られるアルミニウムオキシ水酸化物などの金属水酸化物を調製することができる。
【0041】
もう1つの態様において、反応100は約60℃、例えば、約55、50、45、40、35、30または25℃より低い温度で起こり得る。もう1つの態様において、反応100は、約30℃の温度で起こり得る。バイオ材料および低温を使用することで、本明細書に記述する本発明の方法は、有機鋳型化ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物の合成物を調製するための容易で経済的、かつ環境に優しい方法を提供することができる。
【0042】
図2は、本発明の方法により調製されるキトサンと結合したアルミニウムオキシ酸化物粒子を含むOTBNの例示的な概略図である。 図に示されているように、1つまたは複数の ナノスケールのアルミニウムオキシ水酸化物粒子202 は、キトサン201の表面に並べることができる。透過型電子顕微鏡写真203 は、様々な倍率でのOTBNを示す。顕微鏡写真で示されているように、OTBN試料は、ナノウィスカーモルホロジー(nano-whisker morpholigies)を示すことがあり得る。詳しく観察すると、小粒子が微小繊維に付加されていることがあり、付加された小粒子は胡椒粒に似ている。微小繊維は有機鋳型となり得、粒子はAlOOHナノ粒子を含むことができる。また、図に示されているように、粒子は、例えば、直径が約5mm未満のナノサイズの大きさを有することができる。
【0043】
有機鋳型化ベーマイトのナノアーキテクチャ(OTBN)の特性は、それぞれ
図3から5に示すように、X線粉末回折(XRD)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法、およびX線電子分光法(XPS)などの種々の技法によって探求することができる。
【0044】
図3に、(A)1000mg/Lのフッ化物と反応させた例示的な合成したままの(as−synthesized)材料;(B)100mg/Lフッ化物と反応させた合成したままの材料;(C)合成したままのAlOOH;および(D)キトサンのXRDパターンを示す。点線はAlOOHの標準反射に対応する。分かり易くするためにトレースは縦にシフトされている。(標識: 「+」キトサン;「*」−AlOOH)。合成したままの試料は、(020)、(120)、(013)、(200)、(231) および(251)の平面に対応するピークを示した(
図3A)。これらのピークは全て、斜方晶のAlOOHとして示準を付けることができる。広がっているXRDピークは、OTBN粒子の微結晶の大きさが極めて小さいことを意味している。シェラーの式から計算される微結晶の大きさの平均は、ナノ結晶は平均の大きさが約3.5nmであることを示している。有機鋳型(キトサン)の存在も、XRDデータから明確である。フッ化物と反応したOTBN試料は、回折パターンに全く変化を示さず、これはフッ化物の吸着後でも、結晶構造は無傷であることを示している(
図3A)。斜方晶のAlOOHの標準反射も、試料の構造を検証するために与えられている。標準試料および合成したままの試料のXRD位置を比較することで、強度パターンの変化を見ることができ、これは有機鋳型の効果によるものと考えることができる。より高い示準面の強度は、ナノスケール材料ではより高い。Ptなどの金属の触媒活性に関する最近の研究は、高い示準面は一般的で安定した低示準面に比べて、より高い触媒活性を示すことを明らかにしている。
【0045】
高まった触媒活性という視点以外に、本合成方法は、従来の方法と比較して、遥かに低い温度で、良好なグリーン強度を有する結晶ナノスケール−AlOOHを産生することができる。本文献に従うと、AlOOHの形成は、わずか373Kより高い温度で可能であり、ナノスケール−AlOOHの従来技術の合成は373Kより高い温度において水熱状態で実施されていた。
【0046】
様々な物理的および化学的条件において調製されるOTBNのXRDパターンを、OTBNの結晶構造に対するそれらの影響を理解するために記録した。記録したXRDパターンのいくつかを、
図3bに示す。
図3bは様々な出発材料を使用して合成したままの材料のXRDパターンを示しており、(A1)硝酸アルミニウムおよびアンモニアを出発材料として使用して調製したOTBN、(A2)硫酸アルミニウムおよびアンモニアを出発材料として使用して調製したOTBN、(A3)硝酸アルミニウムおよび水酸化ナトリウムを出発材料として使用して調製したOTBN、(A4からA6)塩化アルミニウムおよびNaOHを出発材料として使用して調製したOTBN。A5およびA6を除く、全ての材料をオーブンに摂氏60度で乾燥した。A5は室温で乾燥し、A6はオーブンに摂氏120度で乾燥した。データは、研究した全アルミニウム前駆体および温度範囲(摂氏25から130度)で AlOOHの形成を示している。得られた結晶構造は見たところ同一だった。
【0047】
図4は、(A)合成したままのOTBNおよび(B)フッ化物吸着後のOTBNのFT−IRスペクトルである。全ての吸収バンドは文献の値と一致しており、γ−AlOOHの形成の追加的な証拠になっている。1072および1154cm
-1におけるバンドは、それぞれベーマイトのAl−O−Hの対称および非対称伸縮周波数に割り当てられる。3096および3312cm
-1におけるバンドは、Al−OOHの伸縮振動に割り当てられる。1636cm
-1におけるバンドは、吸着した水の屈曲モードに割り当てられ、3429cm
-1におけるブロードバンドは吸着した水のO−H伸縮モードに起因する。
【0048】
図5は、フッ化物の吸着の前および後のOTBNのX線光電子分光法(XPS)調査スペクトルを示す。
図5(a〜d)のトレース(A)および(B)は、それぞれ調製したままのOTBNおよびフッ化物吸着後のOTBNを表す。
図5(a)は、調査スペクトルを示し、(b,c,d)は関心対象の様々な領域のスペクトルを示す。これらのスペクトルは、主要元素のアルミニウムおよび酸素と一緒に吸着したフッ化物の存在を裏付けている。汚れていないフッ化物が吸着した材料の化学形態を理解するために、主要元素の特定の領域(Al 2p、O 1s)および吸着したイオン(F 1s)の詳細スキャンを実施し、その結果を
図5に示す。アルミニウム2p準位のXPSスペクトルは、74.4eVでピークを示しており、これはAlOOHにおけるアルミニウムの報告された値と一致している。したがって、1つの態様において、フッ化物の吸着は、アルミニウムの位置に影響を及ぼさないが、表面の正電荷の減少が酸素の1s軌道に見ることができ、この結果として結合エネルギーの低下が見られる。
【0049】
もう1つの態様において、本発明の方法により調製される有機鋳型化ナノ金属−オキシ水酸化物の粒状組成物は、水からのフッ化物、砒素および/または病原体の吸着能を発揮することができる。1つの態様では、粒状組成物は、約10mg/Lの初期フッ化物濃度において約50mg/gを超えるフッ化物吸着能および/または約1.0mg/Lの初期砒素濃度において約19mg/gを超える砒素吸着能を有し得る。
【0050】
もう1つの態様において、本発明の方法により調製される有機鋳型化ナノ金属−オキシ水酸化物の組成物のフッ化物および/または砒素吸着率を
図6から
図8で論じる。
【0051】
図6aは、 吸着剤の適用量の関数として、OTBNによるフッ化物吸着の範囲を示す。 汚染水の可動範囲を100mLとし、吸着剤の適用量を2.5mgから100mgの間で変化させた。様々な出発材料を使って調製したOTBNも、フッ化物の除去能を評価するために試験した。予期されていた通り、吸着されたフッ化物の量は、約2.5mgから約50.0mgの範囲で材料の適用量の増加にと共に増加し、適用量がそれ以上に増加すると、多少一定になった。データから明白なように、フッ化物濃度は、吸着剤の適用量が最適なとき、初期濃度の約10mg/Lから、約0.5mg/Lまで減少した。OTBNの適用量がさらに増加したとき、反応に利用できる吸着部位と比較してフッ化物イオンには限界があるため、吸着の増加は比例的でなくなる。これらの結果から、約10mg/Lのフッ化物濃度および中性のpHでは、OTBN試料は、フッ化物を約53mg/g除去することが可能である。これは現在までに試験された市販のアルミナまたはAlOOHを主成分とするナノ材料よりも著しく高い。ナノスケールのAlOOHを使用して水からフッ化物を除去しようとした最近の試みでは、除去能が3.26mg/gであることが示されたが、これは本発明の方法を使って調製した本発明のOTBN試料と比較すると、除去能が16倍ほど小さい。
【0052】
図6bは初期のフッ化物濃度の関数として、フッ化物取り込み能を示している。汚染水の可動範囲を100mLとし、初期のフッ化物濃度を5〜60mg/Lの間で変化させた。フッ化物取り込み能の増加は、初期フッ化物濃度の増加に従い観察され、初期のフッ化物濃度が60mg/L(C
e=33.5mg/L)のとき、約50mg/gを超える取り込み能が観察された。
【0053】
図7aは、時間の関数として、OTBNのフッ化物取り込み能を示している。汚染水の可動範囲を100mLとし、使用した吸着剤の量は50mgである。結果は、本発明の方法を使用して調製したOTBN試料によるフッ化物の取り込みは、極めて迅速であり、除去のほとんどは、接触の最初の10分で起こり、60分で平衡に到達することを示している。OTBNの場合に観察されたフッ化物取り込み動態は、フッ化物を除去するために用いられる市販のアルミナおよびそのほかの吸着剤より遥かに優れており、実際の用途において広い意義を持つ。
【0054】
工程の反応速度論をよりよく理解するために、OTBNによるフッ化物吸着の反応速度データを、Lagergrenの擬1次およびHoの擬2次反応速度モデルを含め、様々な反応速度モデルを使って分析した。理論によって拘束されることを望まないが、これらのモデルの数学的表現を式1および2に示す。
擬1次等式:
擬2次等式:
式中、q
tは、時間tにおいて水溶液から除去されたフッ化物の量(mg/g)であり、q
eは、均衡時において、水溶液から除去されたフッ化物の量(mg/g)であり、K
1は、吸着の擬1次速度定数(1/分)であり、K2は吸着の擬2次速度定数(g/mg.分)であり、tは時間(分)である。
【0055】
実験的プロットと一緒に最適適合モデルプロット(擬2次反応モデル)を
図7bに示した。フッ化物が10mg/Lおよび5mg/Lの場合の反応速度定数であるK
2は、それぞれ0.049および0.098g/mg.分と計算された。
【0056】
図8aは、吸着剤の適用量の関数として、OTBNによる砒素吸着の範囲を示している。OTBNの適用量は、5から100mgの範囲で変化させた。汚染水の可動範囲は100mLとした。初期の砒素濃度を約1.1mg/L、pHを7 ±0.2として、調査を実施した。データから明白なように、OTBN(25mg)は、砒素濃度を誘導結合プラズマ(ICP−OES)などの現在の技法の検知可能限界より下の値に引き下げることができた(<0.05mg/L)。
【0057】
もう1つの態様において、OTBNによる砒素の平衡吸着調査を30±2℃、中性のpHにて実施した。初期の砒素濃度を広い範囲で変化させた(5〜100mg/L)。汚染水の可動範囲は100mLとした。この試験から得た結果を
図8bに示した。データから明白なように、取り込み能は砒素濃度の増加と共に増加した。初期砒素濃度が100mg/Lでは、吸着能183mg/gが観察される。これは、本発明の方法を使用して調製されたOTBNは砒素に対して高い親和性を有し、調査された類似の平衡濃度における砒素除去について報告されている他のどのアルミニウムを主成分とする材料よりも優れていることを示している。
【0058】
さらなる他の態様において、本発明は、例えば、水源に存在する可能性のあるフッ化物または砒素の少なくとも一部を除去するなどの目的で、粒状組成物を使用するための方法を提供する。このような態様において、本発明は水質浄化技術における吸着媒体、例えば、水フィルタなどとして、役目を果たすことができる。様々な態様において、本発明の粒状組成物は、水源にあるフッ化物、砒素、病原体および/またはその他の汚染物質の濃度を低減することが可能である。
【実施例】
【0059】
以下の例は、ここで請求される化合物、組成物、品目、装置および/または方法がいかにして作成され評価されたかの完全な開示および記述を当業者に提供することを目的として発表されるものであり、本発明の純粋な例示となることを目的としており、発明者らが彼らの発明として見なしている範囲を制限する意図はない。数字(例えば、量、温度など)に関して正確になるように努力を払ったが、ある程度の誤差および偏差があることは考慮されるべきである。他であることが断られている場合を除き、部は重量部であり、温度は℃単位であるか、または周囲温度であり、圧力は 大気圧または大気圧付近である。
【0060】
実施例1
この例は、単純なソフトウェア化学経路を通じたナノスケール−AlOOHの低温合成を記述する。合成手順は、激しく攪拌しながら、アルミニウム前駆物質溶液を(1〜5%の氷酢酸もしくはHClまたはこれらの組合せに溶解した)キトサンと混合することを含む。一般的な手順では、硝酸アルミニウムなどの、アルミニウム前駆体の溶液を、キトサン溶液に60分間、激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、一晩、攪拌せずに保管した。アンモニア水またはNaOH溶液を、金属−キトサン溶液に激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、金属−キトサン合成物の沈殿を促進した(pH7〜8.0)。これらのステップはすべて30℃より低い温度で実施した。攪拌は2時間続けた。沈殿を濾過し、洗浄して、不要な不純物を除去し、ビーズの形に変換し、様々な条件で乾燥した。
【0061】
実施例2
この例は、単純なソフトウェア化学経路を通じたOTBNの調製のための他のバイオポリマーの使用を記述する。合成手順は、アルミニウム前駆体溶液をセルロースと激しく攪拌しながら、混合することを含む。一般的な手順では、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム前駆体の溶液を、ポリマー溶液に60分間、激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、一晩、攪拌せずに保管した。アンモニア水またはNaOH溶液を、金属−セルロース溶液に激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、金属−セルロース合成物の沈殿を促進した(pH7〜8.0)。これらのステップはすべて30℃より低い温度で実施した。攪拌は2時間続けた。沈殿を濾過し、洗浄して、不要な不純物を除去し、ビーズの形に変換し、様々な条件で乾燥した。
【0062】
実施例3
この例は、単純なソフトウェア化学経路を通じたOTBNの調製のためのバイオポリマーの混合物の使用を記述する。調査のために使用したバイオポリマーは、キトサンおよびセルロースである。セルロース粉末をキトサン溶液(キトサンを1%酢酸に溶解した)に添加した。キトサン対セルロースの重量比は1:1である。さらに、硝酸アルミニウム溶液を、バイオポリマー溶液に60分間、激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、一晩、攪拌せずに保管した。アンモニア水またはNaOH溶液を、金属−セルロース溶液に激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、金属−セルロース−キトサン合成物の沈殿を促進した(pH7〜8.0)。これらのステップはすべて30℃より低い温度で実施した。攪拌は2時間続けた。沈殿を濾過し、洗浄して、不要な不純物を除去し、ビーズの形に変換し、様々な条件で乾燥した。
【0063】
実施例4
この例は、単純なソフト化学経路を通じた金属イオンでドーピングしたナノスケール−AlOOHの低温合成を記述する。硝酸アルミニウムと硝酸(第二)鉄との混合物をモル比3:1(Al:Fe)で調製する。次に、混合物をキトサン溶液(1〜5%の硝酸で調製)に、60分間、激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、一晩、攪拌せずに保管した。アンモニア水またはNaOH溶液を、金属−キトサン溶液に激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、金属−キトサン合成物の沈殿を促進した(pH7〜8.0)。これらのステップはすべて30℃より低い温度で実施した。攪拌は2時間続けた。沈殿を濾過し、洗浄して、不要な不純物を除去し、ビーズの形に変換し、様々な条件で乾燥した。
【0064】
実施例5
この例は、Al:キトサンの比率を変化させることによる、ナノスケール−AlOOHの大きさの変動を記述する。OTBN中のキトサンの量を40%まで増加させた。存在するキトサンの量が増加することは、ナノスケール−AlOOHの大きさをさらに減少させる助けになる。硝酸アルミニウムなどのアルミニウム前駆体の溶液を、キトサン溶液に、60分間、激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、攪拌せずに一夜保管した。アンモニア水またはNaOH溶液を、金属−キトサン溶液に激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加し、キトサン合成物の沈殿を促進した(pH7〜8.0)。これらのステップはすべて30℃より低い温度で実施した。攪拌は2時間続けた。沈殿を濾過し、洗浄して、不要な不純物を除去し、ビーズの形に変換し、様々な条件で乾燥した。
【0065】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明に種々の改変または変化を加えることが可能であることは、当業者には明白であろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示した本発明の明細および実践を考慮することから、当業者には明白になるであろう。明細および例は例示としてのみ見なされるべきものであり、本発明の真の範囲および精神は、以下に続く特許請求の範囲によって指示される。
本発明の態様として、例えば以下のものがある。
〔1〕バイオポリマーおよび1つまたは複数のナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を含む水媒体中で、粒状組成物を調製するための方法であって、以下:
a.金属前駆体をバイオポリマーと接触させて、金属−バイオポリマーの複合体を得るステップ、および
b.次に金属−バイオポリマー複合体を塩基と接触させて、1つまたは複数のナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を得るステップ
を含む方法。
〔2〕約60℃より低い温度でステップaおよびbを実行することを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕bの後に、
c.金属−バイオポリマー複合体を混合して、半固体沈殿物を産生するステップ;
d.半固体沈殿物を濾過するステップ;
e.半固体沈殿物を乾燥させ、乾燥した粒子−バイオポリマーの合成物を産生するステップ;および
f.乾燥させた粒子−バイオポリマーの合成物を粉砕して、粒状組成物を形成するステップ
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕バイオポリマーがキトサン、バナナシルク、セルロース、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法
〔5〕バイオポリマーがキトサン、バナナシルク、セルロースまたはこれらの組合せの官能化形態を含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕ナノ金属水酸化物粒子の少なくとも一部が結晶構造を有することを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕ナノ金属オキシ水酸化物粒子の一部がそれらの結晶構造に高い示準面を含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕金属前駆体がアルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウムまたはこれらの組合せの塩を含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕金属前駆体が硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシドまたはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕塩基が水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウムまたはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕ステップa〜bが約20℃から約80℃の温度にて実施されることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕ステップa〜bが約20℃から約60℃の温度にて実施されることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔13〕金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマーの粒状組成物の大きさが、約0.1mmから約3mmの範囲にあることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔14〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさが約1nmから約100nmの範囲にあることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔15〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさが約3nmから約100nmの範囲にあることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔16〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の少なくとも一部がバイオポリマーの表面上に並んでいることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔17〕乾燥のステップが凍結乾燥、表面乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔18〕粒状組成物が水中からの汚染物質の除去に適していることを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔19〕汚染物質がフッ化物、砒素、病原体またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕粒状組成物が吸着剤として活用されることを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔21〕粒状組成物が乾燥剤として活用されることを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔22〕粒状組成物が触媒として活用されることを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔23〕粒状組成物が絶縁被膜として活用されることを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔24〕初期フッ化物濃度が1から10mg/Lにて、粒状組成物が50mg/gを超えるフッ化物吸着能を有することを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔25〕初期フッ化物濃度が5から10mg/Lにて、粒状組成物が50mg/gを超えるフッ化物吸着能を有することを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔26〕初期砒素濃度が0.1から1mg/Lにて、粒状組成物が19mg/gを超える砒素吸着能を有することを特徴とする、前記〔3〕に記載の方法。
〔27〕初期砒素濃度が0.5から1mg/Lにて、粒状組成物が19mg/gを超える砒素吸着能を有することを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔28〕以下のステップ:
a.金属前駆体溶液をバイオポリマーと接触させ、金属−バイオポリマー複合体溶液を得るステップ;
b.金属−バイオポリマー複合溶液に塩基溶液を激しく攪拌しながら、添加することにより金属前駆体を加水分解し、1つまたは複数の ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を得るステップ;
c.1つまたは複数の金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物の半固体沈殿物を、金属−バイオポリマー複合溶液を激しく攪拌することにより得るステップ;
d.半固体沈殿物を濾過し、不純物を除去し、半固体粒子を濃縮するステップ;
e.金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物の半固体沈殿を乾燥し、固体の金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物を得るステップ、および
f.固体の金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマー合成物を粉砕して、金属オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子−バイオポリマーを得るステップ
を含み、ステップaからfが摂氏60度より低い温度で実施されることを特徴とする、水媒体中で実施される工程により調製されるバイオポリマーおよび1つまたは複数のナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子を含む粒状組成物。
〔29〕バイオポリマーがキトサン、バナナシルク、セルロースまたはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔30〕バイオポリマーがキトサン、バナナシルク、セルロースまたはこれらの組合せの官能化形態を含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔31〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の少なくとも一部が結晶構造を有することを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔32〕ナノ金属オキシ水酸化物粒子の少なくとも一部が結晶構造中に高い示準面を含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔33〕金属前駆体が塩アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウム、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔34〕金属前駆体が、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔35〕塩基が水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウムまたはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔36〕aからfのステップが約20℃から約80℃の温度で実施されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔37〕aからfのステップが約20℃から約60℃の温度で実施されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔38〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物−バイオポリマーの粒状組成物の大きさが約0.1mmから約3mmの範囲にあることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔39〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさが約1nmから約100nmの範囲にあることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔40〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の大きさが約3nmから約10nmの範囲にあることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔41〕ナノ金属−オキシ水酸化物/水酸化物/酸化物粒子の少なくとも一部がバイオポリマーの表面に並んでいることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔42〕乾燥が凍結乾燥、表面乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔43〕粒状組成物が吸着剤として使用されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔44〕初期フッ化物濃度が1から10mg/Lにて、粒状組成物が50mg/gを超えるフッ化物吸着能を有することを特徴とする、前記〔43〕に記載の粒状組成物。
〔45〕初期フッ化物濃度が5から10mg/Lにて、粒状組成物が50mg/gを超えるフッ化物吸着能を有することを特徴とする、前記〔43〕に記載の粒状組成物
〔46〕初期砒素濃度が0.1から1.0mg/Lにて、粒状組成物が19mg/gを超える砒素吸着能を有することを特徴とする、前記〔43〕に記載の粒状組成物。
〔47〕初期砒素濃度が0.5から1.0mg/Lにて、粒状組成物が19mg/gを超える砒素吸着能を有することを特徴とする、前記〔43〕に記載の粒状組成物。
〔48〕粒状組成物が水中の汚染物質の除去に使用されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔49〕汚染物質がフッ化物、砒素、病原体またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、前記〔48〕に記載の粒状組成物。
〔50〕粒状組成物が乾燥剤として使用されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔51〕粒状組成物が触媒として使用されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。
〔52〕粒状組成物が絶縁被膜として使用されることを特徴とする、前記〔28〕に記載の粒状組成物。