(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908489
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】デュアルモードラチェット式剪定ばさみ
(51)【国際特許分類】
A01G 3/02 20060101AFI20160412BHJP
【FI】
A01G3/02 A
A01G3/02 501C
【請求項の数】14
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-538007(P2013-538007)
(86)(22)【出願日】2011年11月14日
(65)【公表番号】特表2014-500015(P2014-500015A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】AU2011001466
(87)【国際公開番号】WO2012061903
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年11月14日
(31)【優先権主張番号】2010101247
(32)【優先日】2010年11月12日
(33)【優先権主張国】AU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513118465
【氏名又は名称】ツーダブリュピー インターナショナル ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポドレスニー ウォルター
【審査官】
本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−178437(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0043237(US,A1)
【文献】
実開平03−031831(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/00−3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハンドルおよび該第1ハンドルに対して枢動可能に接続される第2ハンドルを備えるデュアルモード切断具であって、前記第1ハンドルは、ハンドグリップと、アンビルと、前記ハンドグリップおよび前記アンビルの間において前記第1ハンドルに対して枢動可能に接続される切断部材とを備え、前記切断部材は、前記アンビルと係合するように構成されたブレードと、前記切断部材のピボットから離れる方向に延在する複数のラチェット歯を備えるロッカーアームとを備え、前記切断具はさらに、前記第2ハンドルから前記ロッカーアームのラチェット歯との作動可能な係合部へ接続される歯止めリンクと、前記第2ハンドルによって移動可能に支持されるモードセレクタとを備え、ユーザは、前記モードセレクタを第1モード位置と第2モード位置との間で係合および移動させ、前記セレクタがいずれかのモード位置にあるときに、前記切断具が前記ハンドルの操作によって作動させられると、前記セレクタが前記リンクに作用して、該リンクの前記ラチェット歯との係合位置を制御する、デュアルモード切断具。
【請求項2】
前記モードセレクタが、前記第1モード位置にあるときに、前記歯止めリンクが切断部材のピボットに最も近いラチェット歯に力を付与する係合位置へ動かされて、第1のシングル動作切断モードを形成し、第2のモード位置にあるときに、前記歯止めリンクが前記切断部材のピボットから最も遠いラチェット歯に力を付与する係合位置へ動かされて、第2のラチェット動作切断モードを形成する、請求項1に記載のデュアルモード切断具。
【請求項3】
前記歯止めリンクと前記第2ハンドルとの間において、前記歯止めリンクを前記モードセレクタと接触させるように付勢するスプリングをさらに備える、請求項2に記載のデュアルモード切断具。
【請求項4】
前記ロッカーアームが、前記ラチェット歯を形成するラチェット窓を有し、前記歯止めリンクが、該歯止めリンクと前記ロッカーアームのラチェット歯との係合のために、前記ラチェット窓を通って突出する歯止めピンを備える、請求項1に記載のデュアルモード切断具。
【請求項5】
前記モードセレクタは、前記歯止めリンクに支持されて前記セレクタの第1又は第2モード位置構成に従って前記歯止めリンクの制御を有効にするカムを有する、請求項2に記載のデュアルモード切断具。
【請求項6】
前記モードセレクタは、前記第2ハンドルにより枢動可能に支持され、かつ、前記カムを提供する断面形状を有するシャフト部と、前記第1および第2モード位置の間で前記シャフト部を回転させるための、ユーザが作動させることが可能なレバー部とを備える、請求項5に記載のデュアルモード切断具。
【請求項7】
前記リンクが歯止めピンを備え、該リンクの歯止めピンは、前記セレクタが第1モード位置にあるときに前記切断部材のピボットに最も近いラチェット歯と係合し、前記セレクタが第2モード位置にあるときに前記切断部材のピボットから最も遠いラチェット歯と係合する、請求項2に記載のデュアルモード切断具。
【請求項8】
第1ハンドルおよび該第1ハンドルに対して枢動可能に接続される第2ハンドルを備えるデュアルモードラチェット式剪定ばさみであって、前記第1ハンドルは、ハンドグリップと、アンビルと、前記ハンドグリップおよび前記アンビルの間において前記第1ハンドルに対して枢動可能に接続される切断部材とを備え、前記切断部材は、前記アンビルと係合するように構成されたブレードと、前記切断部材のピボットから離れる方向に延在する複数のラチェット歯を有するラチェット窓を備えるように形成されたロッカーアームとを備え、前記第2のハンドルは、モードセレクタと、前記第2のハンドルを前記ロッカーアームのラチェット窓に接続する歯止めリンクとを移動可能に支持し、前記モードセレクタは、ユーザによって第1モード構成へ係合および移動させられ、そこで前記セレクタは、前記歯止めリンクを前記ブレードに最も近いラチェット窓の端部に向かって付勢して対応するラチェット歯と係合するように該歯止めリンクに作用し、シングル動作切断モードを形成し、前記モードセレクタは、ユーザによって第2モード構成に係合および移動させられて、そこで前記セレクタは、前記歯止めリンクを前記ブレードから最も遠いラチェット窓の端部に向かって付勢して対応するラチェット歯と係合するように該歯止めリンクに作用し、ラチェット動作切断モードを形成する、デュアルモードラチェット式剪定ばさみ。
【請求項9】
前記モードセレクタが、前記第2ハンドルによって回転可能に支持されるとともに前記歯止めリンクによって支えられるように構成されるカムと、前記歯止めリンクを前記カムと接触させるように付勢するために、前記歯止めリンクおよび第2ハンドル間で作用するスプリングとを備える、請求項8に記載のデュアルモードラチェット式剪定ばさみ。
【請求項10】
前記カムは、前記モードセレクタのカムが前記第1モード構成にあるときに、前記スプリングの付勢下で、前記歯止めリンクが前記ブレードに最も近いラチェット窓の端部に到達することを可能にする平坦部を有する、請求項9に記載のデュアルモードラチェット式剪定ばさみ。
【請求項11】
前記第2ハンドルが、前記ブレードのピボットから離れた位置で前記第1ハンドルに枢動可能に接続され、前記歯止めリンクが、前記ラチェット窓を通って突出する歯止めピンを備え、該歯止めピンは、前記剪定ばさみがハンドルの操作によって作動させられると、前記第1モードセレクタ構成においては、前記ブレードのピボットから最も近いラチェット歯に力を付与し、かつ、前記第2モードセレクタ構成においては、前記ブレードのピボットから最も遠いラチェット歯に力を付与するように構成される、請求項8に記載のデュアルモードラチェット式剪定ばさみ。
【請求項12】
前記ブレードとアンビルとの係合が、アンビルスタイルの切断係合およびバイパススタイルの切断係合のうちの一方である、請求項1に記載のデュアルモード切断具。
【請求項13】
前記ブレードとアンビルとの係合が、アンビルスタイルの切断係合およびバイパススタイルの切断係合のうちの一方である、請求項8に記載のデュアルモードラチェット式剪定ばさみ。
【請求項14】
第1ハンドルおよび該第1ハンドルに対して枢動可能に接続される第2ハンドルを備えるデュアルモード切断具であって、前記第1ハンドルは、ハンドグリップと、アンビルと、前記ハンドグリップおよび前記アンビルの間において前記第1ハンドルに対して枢動可能に接続される切断部材とを備え、前記切断部材は、前記アンビルと係合するように構成されたブレードと、前記切断部材のピボットから離れる方向に延在する複数のラチェット歯を備えるロッカーアームとを備え、前記切断具はさらに、前記第2ハンドルから前記ロッカーアームのラチェット歯との作動可能な係合部へ接続される歯止めリンクと、前記第2ハンドル上に移動可能に支持されるモードセレクタと、前記モードセレクタと接触させるように前記歯止めリンクを付勢するために、前記歯止めリンクおよび前記第2ハンドルの間に作用するスプリングとを備え、前記モードセレクタは、前記切断具が前記ハンドルの操作によって作動させられると、前記リンクの前記ラチェット歯との係合の位置を制御するように前記リンクに作用する、デュアルモード切断具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、ガーデニング用のラチェット式剪定ばさみに関する。本発明は、片手で動かされる剪定ばさみとして知られている剪定ばさみと、延長ハンドルを有し、両手での作業を必要とする刈り込みばさみに適応される。
[本発明の背景]
ラチェット式剪定ばさみは、剪定ばさみのほぼ最大開度で茎や枝を切る際に大きな握力を必要としてないので、園芸家、特に女性の園芸家にとって恩恵となる。作業者の手で繰り返し握ることで、3又は4段階で切ることができる。太い茎や枝や乾燥した茎や枝はどれも、数回に渡るラチェットストロークを利用するブレードに対して曲がってしまい、このラチェット機構によって刈り込むのに要する時間は非常に長くなり、進み具合もよりゆっくりとなる。作業者が切り難さを感じて初めてどの道具を使用すべきかの選択がはっきりするので、通常の剪定ばさみ及びラチェット式剪定ばさみを使用しても、通常は、作業者の作業を早めない。
[本発明の要約]
一局面によると、本発明は、第1モードにて作業者による一回の握りでブレードを閉じ、第2モードにてブレードを閉じるのに作業者が幾度も握る必要がある、デュアルモードラチェット式剪定ばさみを提供する。モードセレクトコントロールの位置が、剪定ばさみが第1および第2モードのいずれで作動するかを選択する。
【0002】
好ましくは、
‐剪定ばさみは、二つの手動のはさみ型の作動用ハンドルを有し、
‐ブレードは、
‐ブレードピボットを備え、これにより、ブレードがハンドルの第1ハンドルに枢動可能に接続され、
‐ピボットから離れて延在するラチェット歯を有するロッカーアームを備え、
‐ハンドルのうち第2ハンドルがブレードピボットから離れて前記第1ハンドルに枢動可能に接続され、かつ、
‐ハンドルのはさみの動きにより作動される歯止めを備え、歯止めは、ブレードピボットから最も近い歯、又はブレードピボットから最も離れた歯に力を付与し得る。
【0003】
好ましくは、歯止めは第2ハンドルに対して枢動されるラジアスアームであり、歯止めは第1モードで作動するように付勢される。
好ましくは、ラチェットは、ロッカーアーム内の窓によって形成され、歯止めは、窓の第一端に自由に力を付与し第1モードを生じさせ、 窓の反対端に自由に力を付与し第2モードを生じさせる。
【0004】
好ましくは、モードセレクトコントロールは、歯止めに作用するカムを有する。
さらに好ましくは、
‐モードセレクトコントロールは、カム断面を有するシャフト部を有し、
‐シャフトは、ハンドルの一方上でレバーによって回転可能であり、剪定ばさみがいずれのモードで作動するかを選択する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【
図1】本発明の一実施形態による剪定ばさみの側面図であり、閉位置にて示される。
【
図2】開いており多段切断モードで切断できる
図1の剪定ばさみの側断面図である。
【
図4】多段切断モードにセットされた部品を有する剪定ばさみのモード選択エリアの拡大図である。
【
図5】
図4に示す図で、剪定ばさみの部品がシングル切断モードにセットされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[実施形態の詳細な説明]
本明細書において、
図1で示すように、使用のために、切断ブレードが最も高い位置にて前方を指すように向けられている剪定ばさみが説明される。
【0007】
図に示されるように、剪定ばさみ1は、一端がグリップ6まで、そして、反対端が湾曲したアンビル8まで延在するくぼんだ中間部4を有するハンドル2を備える。ハンドル2は、大部分がダイカストアルミニウムから形成され、工業用プラスチック材料にて握り部を形成することで、使用者の手に対して断熱性を備える。ハンドル2の前方でアンビル8の基部には、ハンドル2と、剪定ばさみの下側保護ハンドル12を形成するダイカストはさみ型ハンドルとを連結するピボット10がある。ハンドル12はその前端にくぼみ部13を有し、握りエリア11は断熱性を有するプラスチック材料からなる。ピボット10は、ワッシャー7とサークリップ9によって固定される平頭ピンである。
【0008】
ハンドル2のくぼんだ中間部4は、一端に向かう刃先17と他端に向かうロッカーアーム18を有するブレード16を収納するスロット14を有する。 ブレード16は、スロット14を横切り、ハンドル2の右手側にねじ締めされるピボットピン20に取り付けられる。ピボットピン20周りのねずみ捕りタイプスプリングがハンドルを付勢し、剪定ばさみを開く。ブレード16の刃先17は、アンビル8の作業面にはめ込まれたハードポリマー材料からなるナローベッド22上に保たれる。ロッカーアーム18は、ハンドル2とハンドル12との間にあるV型空間24まで延在する。
【0009】
ロッカーアーム18の最も端のゾーンは、穴があいており、曲線的な端28、29と4つのラチェット歯30を有するラチェット窓26を形成している。
はさみハンドル12の上部はくぼんでおり、対面壁32がスラストピン34によって結合される。スラストピン34は分岐スラストリンク36用のピボットとして作用し、ロックワッシャー35によって保持される。スラストリンクは、一対のクランクサイド板37を有し、それぞれ一端にスラストピン34を収納する穴39を有し、かつ、他端にサイド板37を連結する歯止めピン38を有する。歯止めピン38はラチェット窓26を貫通し、ねじ状の一端にてナット41によって保持される。ハンドル12の対面壁32は、壁32の間に介在し、スラストリンク36上に平面ウェブ部43を接触させるカム42を有するモードセレクタ40をも支持する。スラストリンク36は、サイド板37の上端を接合する。
【0010】
ねずみ捕りタイプスプリング44は、スラストピン34に巻かれ、一端がウェブ部43の下側に支えられ、他端がくぼみ部13の基部に支えられている。スプリング44は、常に分岐スラストリンク36がカム42と接触するように、分岐スラストリンク36を付勢し、窓の一端でのシングル切断モードへラチェットを付勢する。
【0011】
カム42は、円筒状面部52と長手方向平坦面部54を有するシャフト部50を備える。平坦面部54とウェブ部43の係合により、歯止めピン38がブレード16に対してより近い窓26の端28に到達可能となる。セレクタ40が、ブレードから離れている窓の端29へピン38を動かすと、ピン38はラチェット歯30と自由に係合し、従来のラチェット式剪定ばさみの一般的な方法にて多段切断を達成する。
【0012】
シャフト50は、ハンドル12の外側面の扇型くぼみ56内にあるレバー51を一端に有する。レバーがくぼみ56内の最大域で回転すると、シャフト50が、平坦面54又は円筒部52がスラストリンクに支えられる位置間で回転する。
【0013】
ロッカーアーム18の一端はフック46を有する。 フック46は、はさみハンドル上でラッチ機構48を滑らせることで捕らえられ、剪定ばさみを閉じることができ、且つ、閉状態に維持し得る。
【0014】
上記記載は、本発明の好ましい実施形態を含む一方、上に記載の構造と部品の配列に対して、本発明の本質的特徴または精神から逸脱しない範囲にて、様々な変形、変更、修正、かつ/または追加が加えられてもよいと理解されるべきである。
【0015】
例えば、
図1から5を参照して記載された剪定ばさみは、アンビルスタイル剪定ばさみであるが、本発明は、バイパススタイル剪定ばさみにも適応可能である。
「包含する」および「包含する(三人称単数)」や「包含し」のような変形が本明細書内で使用されるにおいて、特に要求が無い限り、その使用は、記述された特徴事項、又は、存在が除外されていないほかの特徴事項をも含むと解釈されるべきである。
【0016】
本明細書における先行技術の参照は、それら先行技術が共通の一般知識の一部を形成することを知り得た又は提案しているわけではなく、且つ、そのように解釈されるべきではない。