(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5908503
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】個別量のカスタム着色シーリング材を提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20160412BHJP
B05C 17/005 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
B65D81/32 Z
B05C17/005
B65D81/32 R
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-556806(P2013-556806)
(86)(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公表番号】特表2014-511316(P2014-511316A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】US2012026974
(87)【国際公開番号】WO2012118831
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】13/037,011
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510252520
【氏名又は名称】サシュコ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】サモンズ,ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】サモンズ,エリオット
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/120705(WO,A2)
【文献】
特表2011−515287(JP,A)
【文献】
特開2000−313487(JP,A)
【文献】
特開平11−171226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B05C 17/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスタム着色されたシーラントを提供するシステムであって、
第1の開放端部部分と、開放内部区画と、底壁と、を有する一定量供給容器であって、前記底壁は、前記開放内部区画内で、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりして、前記一定量供給容器の長軸に沿って様々な場所に選択的に位置することが可能であり、前記底壁は、前記内部区画内で第1の体積を規定する第1の位置に配置される、前記一定量供給容器と、
前記一定量供給容器の前記内部区画内に配置される、ある量のシーラントベース溶液と、
開放内部部分と、対向する第1及び第2の端部部分と、を有するノズルであって、前記第1の端部部分の形状及びサイズは、前記第1の端部部分が、前記一定量供給容器の前記内部区画が前記ノズルの前記内部部分と開放流体連通している状態に置かれるように、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に固定されるよう決定されている、前記ノズルと、
ある量のシーラント増粘剤が少なくとも部分的に充填される内部部分を有する補給容器と、
ある量の着色剤と、
少なくとも1つの端部を有する細長い押し棒であって、前記少なくとも1つの端部は、前記一定量供給容器の前記底壁と係合する形状になっており、且つ、前記底壁を、前記開放内部区画内で、前記一定量供給容器の長軸に沿って、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分から遠ざけるように動かす、前記押し棒と、を備え、
前記第1の体積は、前記量のシーラントベース溶液及び前記量のシーラント増粘剤を同時に保持するには不十分であり、
前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分は、前記一定量供給容器の前記底壁が前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分から遠ざかる場合に、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分を介して、外気が前記一定量供給容器の前記開放内部区画内に導入されるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記第1の体積は、上部空間を、前記量のシーラントベースとともには含まない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分を通って前記内部区画内に延びる開口を露出させる為に、前記第1の開放端部部分と取り外し可能に結合されたキャップを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記細長い押し棒の形状は、前記細長い押し棒が、前記一定量供給容器の前記底壁と係合するまで、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分内の開口を選択的に通過することが可能であるように決定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
シリンジを更に備え、前記シリンジは、開放された第1及び第2の端部部分を有する基部と、細長いプランジャとを有し、前記プランジャの形状は、前記プランジャが、前記シリンジの前記開放された第2の端部部分を通って配置され、前記基部の開放された内部に沿って、前記開放された第1の端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりするように決定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シリンジのサイズ及び形状は、前記シリンジが前記ノズルの前記内部部分内に配置されるように決定されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ノズルの前記第1の端部部分内の開口は、前記シリンジが前記ノズルの前記内部部分内から不意に外れることがないように、取り外し可能な障壁により、一時的に閉じられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記一定量供給容器の前記底壁には、前記一定量供給容器の前記内部区画の反対側を向くように形成された凹部が設けられ、前記補給容器は、前記一定量供給容器の前記凹部内に取り外し可能に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記一定量供給容器の前記凹部の開口が、前記補給容器が前記凹部内から不意に外れる事態を防止する、取り外し可能な凹部障壁によって一時的に閉じられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
カスタム着色されたシーラントを提供するシステムであって、
第1の開放端部部分と、開放内部区画と、底壁と、を有する一定量供給容器であって、前記底壁は、前記開放内部区画内で、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりして、前記一定量供給容器の長軸に沿って様々な場所に選択的に位置することが可能であり、前記底壁は、前記内部区画内で第1の体積を規定する第1の位置に配置され、前記底壁は、前記内部区画に面する第1の面と、前記内部区画の反対側を向く第2の面と、を有する、前記一定量供給容器と、
前記一定量供給容器の前記内部区画内に配置される、ある量のシーラントベース溶液と、
開放内部部分と、対向する第1及び第2の端部部分と、を有するノズルであって、前記第1の端部部分の形状及びサイズは、前記第1の端部部分が、前記一定量供給容器の前記内部区画が前記ノズルの前記内部部分と開放流体連通している状態に置かれるように、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に固定されるよう決定されている、前記ノズルと、
ある量のシーラント増粘剤が少なくとも部分的に充填される内部部分を有する補給容器と、
ある量の着色剤と、
前記一定量供給容器の前記底壁に固定された第1の端部部分を有することにより、前記底壁を、前記開放内部区画内で、前記一定量供給容器の長軸に沿って、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分から遠ざけるように動かすように係合されてよい引き紐と、を備え、
前記第1の体積は、前記量のシーラントベース溶液及び前記量のシーラント増粘剤を同時に保持するには不十分であり、
前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分は、前記一定量供給容器の前記底壁が前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分から遠ざかる場合に、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分を介して、外気が前記一定量供給容器の前記開放内部区画内に導入されるように構成されている、
システム。
【請求項11】
前記引き紐の第2の端部部分には、手動係合用として形状が決定されたハンドルが設けられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分を通って前記内部区画内に延びる開口を露出させる為に、前記第1の開放端部部分と取り外し可能に結合されたキャップを更に備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
シリンジを更に備え、前記シリンジは、開放された第1及び第2の端部部分を有する基部と、細長いプランジャとを有し、前記プランジャの形状は、前記プランジャが、前記シリンジの前記開放された第2の端部部分を通って配置され、前記基部の開放された内部に沿って、前記開放された第1の端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりするように決定されており、前記シリンジのサイズ及び形状は、前記シリンジが前記ノズルの前記内部部分内に配置されるように決定されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
シーラントをカスタム着色する方法であって、
第1の開放端部部分と、開放内部区画と、底壁と、を有する一定量供給容器を設けるステップであって、前記底壁は、前記開放内部区画内で、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりして、前記一定量供給容器の長軸に沿って様々な場所に選択的に位置することが可能であり、前記底壁は、前記内部区画内で第1の体積を規定する第1の位置に配置される、前記ステップと、
前記一定量供給容器の前記内部区画内に、ある量のシーラントベース溶液を与えるステップと、
開放内部部分と、対向する第1及び第2の端部部分と、を有するノズルを設けるステップであって、前記第1の端部部分の形状及びサイズは、前記第1の端部部分が、前記一定量供給容器の前記内部区画が前記ノズルの前記内部部分と開放流体連通している状態に置かれるように、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分に固定されるよう決定されている、前記ステップと、
ある量のシーラント増粘剤が少なくとも部分的に充填される内部部分を有する補給容器を設けるステップと、
ある量の着色剤を与えるステップと、を含み、
前記第1の体積は、前記量のシーラントベース溶液及び前記量のシーラント増粘剤を同時に保持するには不十分であり、更に、
前記一定量供給容器の前記底壁を前記第1の位置から第2の位置まで動かして、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分を介して外気を、前記一定量供給容器の前記内部区画内に導入して、前記内部区画内に、前記第1の体積より大きい第2の体積を形成するステップと、
ある量の前記着色剤を、前記一定量供給容器の前記開放内部区画内に手動配置するステップと、
前記一定量供給容器の前記内部区画の内容物を、前記内容物が混ざり合って、前記シーラントベース溶液が最終的なカスタム色に近くなるまで、攪拌するステップと、
ある量の前記シーラント増粘剤を、前記補給容器から前記一定量供給容器の前記内部区画に投入するステップと、
前記一定量供給容器の前記内部区画の内容物を、前記内容物が混ざり合って増粘されるまで、攪拌するステップと、
前記ノズルの前記第1の端部部分を、前記一定量供給容器の前記第1の開放端部部分と作用的に結合するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記第2の体積は、前記量のシーラントベースと、前記量の着色剤と、前記量の増粘剤と、前記内部区画の内容物を攪拌によって混合するのに十分な上部空間と、を含む為の十分なサイズである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対向する端部を有する細長い押し棒を設けるステップを更に含み、
前記一定量供給容器の前記底壁を動かす前記ステップは、前記細長い押し棒の少なくとも一方の端部を前記底壁と係合させ、前記細長い押し棒を通じて前記底壁に力をかけて前記底壁を前記一定量供給容器の長軸に沿って動かすことにより、実施される、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記一定量供給容器の前記底壁に固定された第1の端部部分を有する引き紐を設けるステップを更に含み、
前記一定量供給容器の前記底壁を動かす前記ステップは、前記引き紐を引いて、前記底壁を、前記一定量供給容器の長軸に沿って動かすことにより、実施される、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、参照によって内容の全体が本明細書に組み込まれている、2011年2月28日に出願された米国特許出願第13/037,011号(発明の名称「個別量のカスタム着色シーリング材を提供するシステム及び方法(System and Method of Providing Individual Quantities of Custom Colored Sealing Compound)」)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
建設技術や住宅修繕技術においては、多様な住宅計画の美的外観を改善する為にカスタム色のシーラントが必要になることがしばしばある。厳密に色マッチングされたコーキング材が必要且つ望ましい一般的な下地として、塗装面、染色面、カウンタ天板、壁紙、着色済みサイディング材、れんが、石、タイル、浴室や台所の装備品、床材などがある。工場で薄い色合いを付けられた(白色が圧倒的支配色である)非カスタム色のコーキング材が業界内で幾つか入手可能であるが、そのようなコーキング材の色のほとんどが、コーキングの対象となる下地とあまりよく合わない。
【0003】
少なくとも1つの会社が、コーキング材の容器単位でのカスタム色マッチングを提供している。しかしながら、カスタム色マッチングは、その会社だけで、且つ、その会社の工場でのみ行われている。従って、そのようなカスタム着色サービスが利用されるのは、1)消費者又は請負業者が、色希望を出してから工場から配送されるまでの数日間又は数週間、待つことをよしとする場合、又は待つことが可能な場合であり、且つ、2)消費者が、比較的大量のカスタム色コーキング材を購入することをよしとする場合であり、且つ、3)消費者が、そのような工場製カスタム色コーキング材に対して非常に高い料金を支払うことをよしとする場合に限られる。
【0004】
消費者及び請負業者は、地元の塗料店に行って、大量の塗料又は染料と、容器単位で薄いカスタム着色がなされた複数のシーリング材とを、都合よく同時に購入することができていない。特に、市場において長い間満たされていない要望は、以下の点に集中している。即ち、少数又は多数のカートリッジ又は押し出しチューブに入ったシーラントを一度に薄くカスタム着色できること、及び薄くカスタム着色されたシーラントを低コストから適度なコストで入手できること、並びに、長期間待たされることなくシーラントを薄くカスタム着色できることである。これまでのところ、これらの全ての条件が満たされることはない。
【0005】
先行技術においてそのような問題の解決を阻んできた主な困難の幾つかは、幾つかの問題に集中している。例えば、典型的なシーラント製品は、粘度が高い為に、液状又は乾燥着色剤をシーラント全体と容易且つ均一に混合することが非常に困難、又は不可能である。この問題とは対照的に、粘度の低い製品(例えば、ラテックス塗料)に液状又は乾燥着色剤を追加して混合することは、比較的容易であった。標準的なシーラント容器は、形状が基本的に細長く、この為、容器のアスペクト比が高くなり、克服すべき別の困難が生ずる。そのような細長い容器の一端から投入される着色剤は、容器の長さ全体にわたって均一に分散することが困難である。更に、ほとんどのシステムでは、複数の容器のシーリング材を1つずつ混合する必要があり、これによって、作業を完遂しようとするときに貴重な時間を浪費する可能性がある。
【0006】
容器単位でのコーキング材のカスタム着色を、コーキングを使用する現場又はその近くで行う為の、容易、迅速、便利、且つ廉価な方法を考慮したとされる幾つかのアプローチがこれまでに提案されたり、商業的に試行されたりしてきた。実施されたアプローチの幾つかは、現場での、硬質のコーキング材カートリッジ単位でのコーキング材のカスタム着色において、低レベルの部分的成功を収めているものの、必要とされる、混合及び一定量供給の容易さ、経済性、速度、及び複数の容器のシーラントの混合を一度に行う機能を実現したアプローチはない。更に、先行技術の試行において、少数又は多数の軟質の押し出しチューブに入ったコーキング材を薄くカスタム着色することを可能にしたものはなく、満たされていない大きな要望が当該技術分野において残されている。
【0007】
本出願が優先権を主張する米国特許出願第12/053,865号明細書(発明の名称「個別量のカスタム着色シーリング材を提供するシステム及び方法(System and Method of Providing Individual Quantities of Custom Colored Sealing Compound)」は、個別量のシーラントベース、着色剤、及びシーラント増粘剤を含むエレガントな溶液を教示する。このベースは、一定量供給容器で供給される。ユーザは、カスタム着色シーラントを作成及び使用する準備ができたら、所望の色が得られるまで着色剤を加える。次に、溶液に増粘剤を加え、一定量供給容器を更に攪拌すると、溶液を使用する準備ができる。しかしながら、シーラントベースの元の体積に、着色剤及び増粘剤の体積が加わることになる。使用時点で着色剤及び増粘剤の体積が加わってもよいように容器内に上部空間が多くとってある場合、シーラントベースは、長期間にわたり高温状態で保管される間に容器の側面上で酸化又は癒着が起こり、膜ができる可能性がある。この膜は、着色剤又は増粘剤と十分に混ざらない為、望ましくない。従って、ユーザは、着色されず粘度が不十分なこの膜を、後で、シーラントを塗布しながら、一定量供給容器から追い出す。この為、ユーザは、膜を追い出したシーラントのビードを取り除いてビードを再塗布しなければならず、無駄や時間遅延が生ずる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この「発明の概要」では、後で「発明を実施するための形態」で詳述される概念の一式を簡略な形式で紹介する。この「発明の概要」並びに前述の「背景技術」は、特許請求対象物における重要な態様又は必須の態様を特定することを意図したものではない。更に、この「発明の概要」は、特許請求対象物の範囲を決定することを支援するものとして使用されることを意図したものではない。
【0009】
コーキング材などのシーラントをカスタム着色するシステム及び方法を提示する。一態様では、本システムは、一定量供給容器を含み、一定量供給容器は、開放内部区画と開放流体連通している開放端部部分を有する。ある量のシーラントベース溶液が、一定量供給容器の内部区画内に配置される。実施形態によっては、内部区画のサイズは、シーラントベース溶液に付随する開放上部空間がほとんどないか、あればそれとわかる程度であるように決定される。開放内部部分と、対向する第1及び第2の端部部分と、を有するノズルが、第1の端部部分を一定量供給容器の開放端部部分に固定することによってシーラントの一定量供給が可能になるように、設けられる。ある量のシーラント増粘剤が少なくとも部分的に充填される補給容器を設けてよい。ある量の、少なくとも1つの着色剤も使用可能である。一定量供給容器内の混合物に対し、ある量の着色剤を徐々に追加する為に、第2の補給容器(例えば、シリンジ)を設けてよい。
【0010】
運用時には、それとわかる開放上部空間がシーラントベース溶液に付随するように、一定量供給容器の内部区画のサイズが変更される。各種実施形態では、上部空間のサイズは、着色剤及び増粘剤の予想される(又はあらかじめ決められた)体積を超えるように決定される。このようにして、シーラントベース溶液に更なる材料を追加して、一定量供給容器の内容物が混ざり合うように攪拌することが可能である。一定量供給容器の内部区画のサイズは、一定量供給容器の底壁を動かすことによって変更される。実施形態によっては、本システムに、細長い押し棒を設けてよく、この押し棒の形状は、押し棒が一定量供給容器12の底壁と係合するまで、一定量供給容器の第1の開放端部部分を選択的に通過するように決定される。そして、ユーザは、底壁が、第2の、より大きい内部体積を規定する第2の位置まで動くように、押し棒を一定量供給容器の内部区画に押し込み続けてよい。第2の体積82は、ある量のシーラントベース溶液、ある量のシーラント増粘剤、及びある量の着色剤を同時に保持する為にはほぼ十分であるとともに、攪拌又は他の手段で内容物を混合する為の十分な上部空間を確保している。底壁を動かす他の方法としては、押し棒を底壁の底面に取り外し可能に固定して、ユーザが底壁を新しい位置まで引っ張ることを可能にすることが考えられる。同様に、引き紐を底壁に固定して、底壁を動かす為の把持機構をユーザに提供してもよい。
【0011】
底壁が第2の体積を形成する位置まで移動したら、ユーザは、ある量の、少なくとも1つの着色剤をシーラントベースに投入してよい。そして、所望の均質な色が得られるまで、一定量供給容器を振る。そして、補給容器を保管場所から取り外し、シーラント増粘剤を補給容器から一定量供給容器に一定量供給し、一定量供給容器を再度振って内容物が十分混ざり合うようにする。そして、ノズルを、一定量供給容器の開放端部部分と係合させてよい。一態様では、ノズルの一部分を除去する。これは、先端を切り取ることにより、行う。こうして、カスタム着色されたコーキング材を、使用場所において一定量供給することが可能になる。
【0012】
本発明のシステム及び方法は、その様々な実施形態において、消費者又は請負業者が作業現場においてシーラントを容器単位で均一にカスタム着色することを可能にする容易な手段を提供する。硬質の標準的なコーキング材カートリッジ及び軟質の押し出しチューブを、区別なく用いてよく、これ以外の混合用機器は不要である。本発明のシステム及び方法は更に、ユーザが一定量供給容器を単純に振る動作で各成分を手動混合した後に、カスタム着色されたコーキング材を一定量供給容器から非常に容易に一定量供給することを可能にする。必要な色混合を達成する為の必要時間は、他の方法に比べて著しく短縮され、成果物の混乱や不足はほとんどない。更に、本発明のシステム及び方法は、ユーザが、必要な体積の着色剤を容易に投入できるように、容易に、迷うことなく、一定量供給容器の内部にアクセスすることを可能にする。
【0013】
本発明のシステム及び方法のこれら及び他の態様は、本明細書の「発明を実施するための形態」及び「図面の簡単な説明」を検討した後に明らかになるであろう。
【0014】
本発明の非限定的且つ非包括的な実施形態を、好ましい実施形態を含めて、以下の図面を参照しながら説明する。特に断らない限り、各図面を通して、同様の参照符号は同様の構成要素を表すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】シーラントをカスタム着色する本システムの一実施形態の正面立面図である。
【
図2】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及び補給容器の一実施形態の等角図であって、補給容器をノズル内の保管場所から取り外すことが可能な一方法を示す図である。
【
図3】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及び一定量供給容器の一実施形態の等角図であって、ノズルを一定量供給容器から取り外すことが可能な一方法を示す図である。
【
図4】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズルの一実施形態の等角図であって、ノズルを計量器具として使用することが可能な一方法を示す図である。
【
図5】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及び一定量供給容器の一実施形態の等角図であって、ノズルを使用して一定量供給容器の内部区画に添加剤を投入することが可能な一方法を示す図である。
【
図6】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及び一定量供給容器の一実施形態の等角図であって、一定量供給容器の内容物を攪拌する前にノズルを一定量供給容器の開放端部部分に固定することが可能な一方法を示す図である。
【
図7】シーラントをカスタム着色する本システムの一実施形態の斜視図であって、本システムを攪拌して、その内容物を混合することが可能な一方法を示す図である。
【
図8】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能な補給容器の一実施形態の正面立面図であって、その補給容器を開くことが可能な一方法を示す図である。
【
図9】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能な補給容器及び一定量供給容器の一実施形態の等角図であって、補給容器を使用して一定量供給容器の内部区画に補給材料を投入することが可能な一方法を示す図である。
【
図10】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及び一定量供給容器の一実施形態の等角図であって、ノズルを開いて、本システムの内容物の一定量供給を可能にすることが可能な一方法を示す図である。
【
図11】シーラントをカスタム着色する本システムの一実施形態の正面立面図であって、本システムを使用前に組み立てることが可能な一方法を示す図である。
【
図12】シーラントをカスタム着色する本システムの3つの実施形態の正面断面/立面図であって、本システムを使用前に組み立てることが可能な様々な方法を示す図である。
【
図13】シーラントをカスタム着色する本システムの別の実施形態の底部斜視図であって、一定量供給容器の一方の端部にある凹部の中に補給容器を一時的に保管することが可能な一方法を示す図である。
【
図14】シーラントをカスタム着色する本システムの更に別の実施形態の底部斜視図であって、一定量供給容器の一方の端部にある凹部の中に補給容器を一時的に保管することが可能な別の方法を示す図である。
【
図15】シーラントをカスタム着色する本システムの更なる実施形態の底部斜視図であって、一定量供給容器の一方の端部にある凹部の中に補給容器を一時的に保管することが可能な更に別の方法を示す図である。
【
図16】シーラントをカスタム着色する本システムの更に別の実施形態の底部斜視図であって、一定量供給容器の一方の端部にある凹部の中に補給容器を一時的に保管することが可能な更に別の方法を示す図である。
【
図17】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能なノズル及びシリンジの一実施形態の等角図であって、シリンジをノズル内の保管場所から取り外すことが可能な一方法を示す図である。
【
図18】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能な一定量供給容器の一実施形態の切り欠き等角図であって、一定量供給容器の底壁を、一定量供給容器の内部区画内に第1の体積を規定する第1の位置に配置することが可能な一方法を示す図である。
【
図19】
図18の一定量供給容器を示す図であって、更に、一定量供給容器の底壁を動かす為に使用可能な細長い押し棒を示す図である。
【
図20】
図19の一定量供給容器を示す図であって、更に、細長い押し棒を一定量供給容器の内部区画に挿入し、一定量供給容器の底壁と係合させて、内部区画内の第2の体積を規定する位置まで底壁を動かすことが可能な一方法を示す図である。
【
図21】
図18の一定量供給容器を示す図であって、更に、一定量供給容器の底壁を動かす為に使用可能な引き紐を示す図である。
【
図22】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能な一定量供給容器の一実施形態を示す図であって、シリンジを用いて、一定量供給容器の内部区画に材料(例えば、着色剤)を追加することが可能な一方法を示す図である。
【
図23】シーラントをカスタム着色する本システムで使用可能な一定量供給容器の一実施形態を示す図であって、補給容器の一実施形態を用いて、一定量供給容器の内部区画に材料(例えば、シーラント増粘剤)を追加することが可能な一方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態をより詳細に説明する。添付図面は、本明細書の一部を成すものであり、具体的な例示的実施形態をイラストで示すものである。これらの実施形態は、当業者であれば本発明を実施できるように、十分詳細に開示される。しかしながら、実施形態は、多様な形態で実施されてよい為、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されてはならない。従って、以下の詳細説明は、限定的に解釈されるべきものではない。
【0017】
図1を参照すると、シーラントをカスタム着色するシステム10には、一定量供給容器12が設けられてよく、一定量供給容器12は、様々な実施形態において、硬質の円筒形コーキング材カートリッジなどの形態をとる。一定量供給容器12は、第1の開放端部部分14及び底壁17を有する。第1の開放端部部分14は、開放内部区画16と開放流体連通している。底壁17は、開放内部区画16内で、一定量供給容器12の第1の開放端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりして、一定量供給容器12の長軸に沿って様々な場所に選択的に位置することが可能である。一定量供給容器12の内部区画16は、工場において、少なくとも部分的に、粘度が非常に低いシーラントベース溶液18が充填される。
【0018】
システム10にはノズル20が設けられ、ノズル20は、開放された第1の端部部分24及び対向する第2の端部部分26に隣接する、開放内部部分22を有する。少なくとも一態様では、第1の端部部分24の形状及びサイズは、第1の端部部分24が一定量供給容器12の開放端部部分14に固定されるように決定されており、これによって、一定量供給容器12の内部区画16は、ノズル20の内部部分22と開放流体連通している状態に置かれることが可能である。少なくとも一実施形態では、一定量供給容器12の第1の開放端部部分14に、中空のねじ付き突起部28が設けられている。これに従って、ノズル20の開放された第1の端部部分24に、ねじ付き突起部28と作用的に係合する形状の嵌め合いねじを設けることが可能である。一態様では、ねじ付き突起部28の直径は、少なくとも5/8”であってよく、これにより、流路面積が、一般的なコーキング材カートリッジに見られる標準的な1/2”径のポートより約56.3%大きくなる。更に、直径を大きくすることにより、一定量供給容器12に加えるべき材料を取り込むことが大いに容易になる。しかしながら、多様な直径でねじ付き突起部28を形成してよいと考えられる。
【0019】
システム10で使用できるシーラントベース溶液18の一例として、液体ラテックスコーキングベースがある。一態様では、シーラントベース溶液18の液体ラテックスコーキングベースは、青みがかった、又は紫がかった色合いになるように配合される。このシーラントは、硬化すると、青から紫の色合いを有する(浄水のプールのような)「無色透明」の外観を呈する。これは、硬化して「透明」な外観になるように幾つかのシーラントを配合した場合に頻繁に起こりうる望ましくない琥珀色や黄色がかったトーンが打ち消され、エンドユーザによって達成される最終的な色の「清浄度」が強化される為である。少なくとも1つの実施形態では、シーラントベース溶液の粘度は、低せん断速度では100〜50000センチポアズの範囲にある。そのようなレベルの粘度であれば、シーラントベース溶液18と、一定量供給容器に加える液状又は乾燥着色剤とを手で混合することが容易に可能となる。一態様では、前述の粘度範囲は、少なくとも、当該技術分野で使用されているコーキングベースの一般的な粘度範囲より桁違いに低い。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、上述の汎用低粘度シーラントベース溶液の代表的な配合(但し、この例から考えられる様々なバリエーションも可能)は、次のとおりである。
【0022】
図2、
図10、及び
図11を参照すると、内部部分32を有する補給容器30が設けられてよく、内部部分32は、少なくとも部分的に、ある量のシーラント増粘剤34が充填されている。補給容器の形状及びサイズは、状況及び意図された用途に応じて様々であってよいと考えられる。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、補給容器30の形状及びサイズは、補給容器30が、ノズル20の内部部分22の中にすっぽり収まるように決定されており、又、下部球状部分及び上部ステムを有しており、上部ステムの一部分を取り去ると内部部分へのアクセスが可能になる。或いは、ノズル20は、液状又は乾燥シーラント増粘剤34が充填されてよく、ノズル20の開放された第1の端部部分24は、例えば、ノズル20の開放された第1の端部部分に熱融着されるホイル積層封止材などの封止材によって封止されてよい。上述のシーラントベース溶液18に投入された場合にたるみのないコーキング粘度を実現することに好適なシーラント増粘剤の、いかなる形でもこれに限定されない例として、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2−アミノメチルプロパノール、アクリソル(Acrysol)ASE−60、アクリソルSCT−275、アクリソルRM−2020、アクリソルRM−825、カーボポールアクア(Carbopol Aqua)SF−1、ポリフォーブ(Polyphobe)106HE、タフィゲル(Tafigel)PUR−61、メソセル(Methocel)、バーモコル(Bermocoll)、タイロース(Tylose)、レオレート(Rheolate)1、レオレート425などがある。
【0023】
しかしながら、上記で開示された増粘剤及びシーラントベース溶液の例は、シーラントを配合する技術分野の当業者にとって同等の最終結果が得られる、原材料及び配合比率のほぼ無限のバリエーションのうちの代表的なものに過ぎないことを理解されたい。例えば、上述のシーラントベース溶液は、アクリルラテックスエマルジョンポリマー(ロープレックス2620)の使用を前提としているが、同等の効果が得られるポリマーエマルジョンタイプを使用することも可能であり、そのようなポリマーエマルジョンタイプとして、限定ではなく、スチレンアクリルポリマー、エチレンビニルアセテートポリマー、スチレンブタジエンポリマー、ウレタンポリマー、アクリルウレタンポリマー、ビニルアセテートポリマー、ブチルポリマーなどがある。同様のバリエーションが、限定ではなく、配合に依存する原材料についても同等に可能であり、そのような原材料として、界面活性剤、殺生物剤、不凍剤、可塑剤、pH調整剤、定着剤、架橋剤、染色剤、テクスチャ化剤、溶媒、つや消し剤などがある。
【0024】
更に他の実施形態では、一定量供給容器12の底壁17は、一定量供給容器12の、内部区画16から離れた、第2の端部部分54の近くに開口があるように凹部52が形成された形状であってよい。補給容器30は、凹部52内に取り外し可能に配置されてよい。実施形態によっては、補給容器30が凹部52内から不意に外れる事態を防止する、取り外し可能な凹部障壁により、凹部52の開口を一時的に閉じてよい。
図13を参照すると、この取り外し可能な凹部障壁は、底壁58及び底壁58に従属する少なくとも1つの側壁60を有するキャップ56の形態で設けられてよい。キャップ56は、少なくとも側壁60を、一定量供給容器の外面又は内面との摩擦嵌め合い係合で位置決めするような形状であってよいと考えられる。例えば、
図13は、キャップ56が一定量供給容器の外面と係合してよい様子を示している。そのような実施形態では、キャップ56は、凹部52を密封する位置から押したり引いたりしてよい。一方、
図14及び15は、キャップ62及び64が一定量供給容器の内面と係合してよい様子を示している。実施形態によっては、キャップ62は、補給容器30が凹部52内に配置されていて最適な状態にあることを製造者、販売者、又は潜在的購入者が素早く確認できるように、少なくともほぼ透明な材料で形成されてよい。態様によっては、キャップ62は、一定量供給容器12との係合位置から楽に引き離すことが可能であり、他の態様では、キャップ62を設ける為に使用される材料は、穴を開けて凹部52にアクセスできるように十分薄いものであってよい。
図15を参照すると、キャップ64の底壁68を貫通するように開口66も形成してよい。開口は、補給容器30が通らないサイズであり、且つ、ユーザが指又は他の物体を挿入してキャップ64を一定量供給容器12との係合位置から引き離すことを可能にする十分なサイズであってよい。キャップ64を凹部52と係合させたり、凹部52から取り外したりしやすいように、キャップ64のエッジ部分を面取りしてよい。
図16を参照すると、取り外し可能な凹部障壁は、一定量供給容器の凹部の開口を少なくとも部分的に覆う1片以上の可撓性材料70の形態で設けられてよい。実施形態によっては、この可撓性材料は、単純に数片のテープであってよい。そのような実施形態では、テープは、凹部52の開口を覆うか、補給容器30を凹部52内に直接固定することが可能であってよい。
【0025】
図4を参照すると、システム10には、少なくとも1つの、ある量の着色剤36を供給しなければならない。一態様では、複数の着色剤36を供給してよい。着色剤は、多様な形態をとるものであってよいと考えられる。例えば、着色剤36は、液状顔料、乾燥顔料、ラテックス塗料、又はラテックス染料から成るものであってよい。着色剤は、補給容器30に関して記載された着色剤と同様に、2次補給容器に供給されてよい。しかしながら、着色剤は、シーラントを使用する下地との近い色マッチングが得られるように、エンドユーザが供給することも考えられる。
図17及び22を参照すると、シリンジ72が設けられてよく、シリンジ72は、開放された第1及び第2の端部部分を有する管状基部74と、細長いプランジャ76とを有し、プランジャ76の形状は、プランジャ76が、基部の開放された第2の端部部分を通って配置され、基部の開放された内部に沿って、開放された第1の端部部分に近づいたり、そこから遠ざかったりするように決定されている。シリンジ72は、少なくとも部分的に、ある量の着色剤36が充填されてよい。このように、ユーザは、大量の着色剤36を使用し、シリンジ72を用いて、その着色剤36からわずかな投与量ずつ抽出して、着色剤36を1滴ずつ、一定量供給容器内の材料に加えてよい。実施形態によっては、
図17に示されるように、ノズル20の内部部分22の中にシリンジ72を一時的に格納してよいが、更に、補給容器30に関して既に述べた要領で、シリンジ72を、凹部52内にすっぽり収まる形状にしてよいことも考えられる。そのような実施形態では、底壁17は、シリンジ72を保管する為の十分な空洞が得られるように、一定量供給容器の第2の端部部分54から十分遠くに位置される。その為には、補給容器30及びシリンジ72を凹部52内に同時に保管できることが考えられる。
【0026】
図2及び3を参照すると、ノズル20は、一定量供給容器12と結合してよい。一実施形態では、ノズル20は、対向する第1及び第2の端部部分を有する全体的に柔軟なストラップ38で、一定量供給容器12のねじ付き突起部28と結合される。一態様では、ノズル20及び一定量供給容器12を、使用前の輸送時及び保管時に一緒にしておく為に、ストラップ38の第1の端部部分を、ねじ付き突起部28を丸く囲むように設けてよい。ストラップ38の第1の端部部分の内側の複数の指形小片を、突起部28のねじ部(又は他の構造的特徴)と解放可能に係合させてよい。第2の端部部分は、様々な既知の方法のいずれかで、ノズル20と一体的又は機械的に結合されてよい。
【0027】
本明細書においてノズル20の開放された第1の端部部分24に関して説明されたものと同様の方法で、一定量供給容器12の第1の開放端部部分14に、キャップ40を取り外し可能に結合してよい。キャップは、システム10の輸送時、攪拌時、及び保管時に一定量供給容器の内容物を収容及び保護する手段を提供する。従って、キャップ40は、シーラントがカスタム着色された後の、システム10を使用していないときに用いてよい。同様に、システム10には1つ以上の取り外し可能な封止材42を設けてよく、封止材42は、一定量供給容器12の第1の開放端部部分14及びノズル20の開放された第1の端部部分24の全体にわたって固定されてよい。そのような封止材は、システム10の最初の輸送及び保管の前にシステム10に固定されてよく、これは、補給容器30又は他の物がノズル20内に保管されている場合に、一定量供給容器12及びノズル20の内容物をそれぞれ収容及び保護する為である。封止材42の形成時には、様々な紙材料、プラスチック材料、及びホイル材料を使用してよいと考えられる。しかしながら、そのような材料は、システム10の状況及び意図された用途に応じて様々であってよい。
【0028】
少なくとも1つの実施形態(例えば、
図4に示されたもの)では、システムに計量カップ44を設けてよい。計量カップ44は、一定量供給容器12の第1の開放端部部分14と結合される。一定量供給カップは、シーラント増粘剤、着色剤、又は他の添加剤を計量するのに有用であろう。或いは、ノズル20及び/又はキャップ40を計量器具として用いてもよく、そうすれば、専用の計量カップが不要になる。
【0029】
図12を参照すると、一定量供給容器12に、小さい環状の留め金具46を嵌めてよい。留め金具46は、一定量供給容器12の第2の端部部分54に少なくとも部分的に巻き付き、第2の端部部分54を押さえつける。留め金具は、金属、プラスチック、又は他の好適な材料から形成してよい。一定量供給容器12の端部に留め金具46を結合すると、着色剤混合又は増粘の過程においてユーザが一定量供給容器を振るか他の方法で攪拌するときに、底壁17が一定量供給容器12の後方端部から押し出されることがなくなる。システム10には、そのような留め金具46がない一定量供給容器12を設けてよいと考えられるが、ユーザが一定量供給容器12を攪拌する間に底壁17が一定量供給容器12の後方端部から出てしまう可能性が存在する。底壁が一定量供給容器12の後方から出てしまうと、内容物が放出され、混乱状態になる。
【0030】
図19を参照すると、システム10の様々な実施形態において、一定量供給容器12に底壁17が設けられており、底壁17は、内部区画内の第1の体積78を規定する第1の位置に配置される。第1の体積78には、最初に、ある量のシーラントベース18だけが充填される。実施形態によっては、第1の体積は、当該量のシーラントベース18とともに、無視できる程度の上部空間を含む。上部空間が無視できる程度であれば、典型的には、システム10が使用前に高温条件下で輸送及び保管された場合に、シーラントベースに「膜」や部分的硬化部分が形成されるほどには、当該量のシーラントベース18は露出しないことになる。シーラントベースのそのような膜又は部分的硬化部分は、所望のカスタム着色シーリング材における他の成分と混合しにくい傾向がある。一方、
図18に示されたような、比例して小さい上部空間は、シーラントベースの膜又は部分的硬化部分を形成させるには不十分であることがわかっている。しかしながら、底壁17が第1の位置にあることによる第1の体積78は、シーラントベース溶液の量とシーラント増粘剤34の量とを同時に保持するには不十分となる。ましてや、着色剤36を多少なりとも保持することはできない。従って、ユーザは、一定量供給容器12の底壁17を、一定量供給容器12の第2の端部部分54により近い第2の位置まで動かして体積を増やすことが必要になる。
【0031】
図19及び20を参照すると、システム10に細長い押し棒80を設けてよい。押し棒80の形状は、押し棒80が一定量供給容器12の第1の開放端部部分14を選択的に通過するように決定されている。押し棒80は、少なくとも全体的に剛性が高く、一定量供給容器12の全体長さと同等以上の長さであるように設けなければならない。この形態において、押し棒80の一方の端部部分は、一定量供給容器12の底壁17と係合するまで、一定量供給容器12の第1の端部部分14の開口を通過してよい。そして、ユーザは、
図20に示されるように、底壁17が、第2の体積82を規定する第2の位置に達するまで、一定量供給容器の第2の端部部分54に向かって動くように、押し棒を一定量供給容器12の内部区画16に押し込み続けてよい。第2の体積82は、ユーザ及び調製されるカスタム着色シーラントの必要に応じて、サイズが様々であってよい。しかしながら、多くの実施形態は、
図20に示されたものと同様の、当該量のシーラントベース溶液18、当該量のシーラント増粘剤34、及びある量の着色剤36を同時に保持するのに十分な第2の体積82を設け、同時に、第2の体積82の内容物を攪拌又は他の手段で混合するのに十分な上部空間84を確保すると考えられる。
【0032】
他の方法で、底壁17を一定量供給容器12の第2の端部部分54に向かって動かすことも考えられる。実施形態によっては、押し棒80を、底壁17の、第2の端部部分54に面する面に、取り外し可能に固定してよい。これは、例えば、押し棒80の一方の端部部分にねじ山を設け、このねじ山を、底壁17上に形成されたねじ込みソケットで受けることにより、可能である。このようにして、底壁17を、一定量供給容器12の長軸に沿ういずれかの方向に進めることが可能である。
図21に示されるような別の実施形態では、底壁17に引き紐86を固定してよく、例えば、底壁17の、第2の端部部分54に面する面に固定してよい。様々な形状のうちの1つを有するハンドル88を引き紐86の遠位端部分に付随させることにより、引き紐86を引いて、底壁17を一定量供給容器12の第2の端部部分54に向かって進める為の安全な把持機構をユーザに提供することが可能である。
【0033】
ユーザは、底壁17を動かして第2の体積84を形成したら、
図22に示されるように、ある量の、少なくとも1つの着色剤36を一定量供給容器12の内部区画16に投入してよい。次に、ユーザは、(例えば、
図7に示されるように、一定量供給容器12を手で振って)一定量供給容器12の内部区画16の内容物を攪拌する。これは、その内容物が混ざり合うまで行う。シーラントベース溶液18が最終的な所望のカスタム色に近くなるまで、更なる着色剤36を追加して、混合してよい。次に、ユーザは、
図23に示されるように、ある量の前記シーラント増粘剤34を、補給容器30から一定量供給容器12の内部区画16に投入してよい。再度、一定量供給容器12を、手で振るなどして、内容物が一定量供給容器12の長さ全体にわたって混ざり合うまで攪拌する。この工程では、必須の高粘度及び強度の偽可塑性又は揺変性の流動学的流特性を達成しなければならない。これは、塗布しやすく、たるみのないカスタム着色シーラント材にとって典型的に必要である。次に、ユーザは、ノズル20の第1の端部部分24を一定量供給容器12の第1の開放端部部分14と作用的に結合し、ノズルの第2の端部部分26の一部分を取り外して、所望のサイズ及び形状のシーラントビードを形成し、このシーラント材を、必要に応じて一定量供給してよい。
【0034】
本発明の、容器単位でシーラントをカスタム着色するシステム及び方法は、一定量供給容器12に投入される着色剤36(例えば、着色ラテックス塗料)の適量を計測する、廉価で、高精度な、自己完結型の、便利な手段を提供する。いったんカスタム着色及び増粘されたシーラントは、一般的で、標準的な、容易に入手可能の、低機械的てこ比であるコーキングガンを用いて硬質カートリッジから一定量供給すること、又は、押し出しチューブを単純にしぼることにより、短い低背圧ノズルを介して押し出しチューブから直接一定量供給することを非常に容易に行うことが可能である。従って、消費者及び請負業者は、専用の設備、専用の混合器具、又は外部サービスを追加することを全く必要とせずに、どこでも必要な場所でシーラントを容器単位でカスタム着色する為の、自己完結型で、使いやすく、時間がかからない、廉価で、便利な手段を提供される。本発明のシステム及び方法に関連付けられた各構成要素は、比較的少ないコストと、使いやすく、よく知られたフォーマットとで製造可能である。
【0035】
本発明のシステムを、特定の構造、材料、及び方法論的工程に固有の用語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明は、説明された特定の構造、材料、及び/又は工程には必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、これらの特定の態様及び工程は、特許請求される本発明を実施する形態として説明されている。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な実施形態を実施することが可能である為、本発明は、以下に添付された特許請求の範囲に属するものである。特に断らない限り、本明細書(の特許請求の範囲以外)で使用された全ての数値又は表現(例えば、寸法、物理特性などを表すもの)は、全ての場合において「ほぼ(approximately)」という用語で修正されるものとして理解されたい。最低限でも、且つ、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではないが、本明細書又は特許請求の範囲において詳述され、「ほぼ(approximately)」という用語で修正される各数値パラメータは、少なくとも、詳述された有効桁数を考慮して、且つ、一般的な丸め手法を適用することによって解釈されたい。更に、本明細書で開示された全ての範囲は、あらゆる副範囲又はそれらの副範囲に包含されるあらゆる個々の値を詳述する特許請求の範囲を包含し、且つ、支持するものとして理解されたい。例えば、記述された1から10の範囲は、最小値1と最大値10との間の、且つ/又は最小値1及び最大値10を含む、あらゆる副範囲又は個々の値、即ち、1以上の最小値から始まり、10以下の最大値で終わるあらゆる副範囲(例えば、5.5から10、2.34から3.56など)、又は1から10までの間の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994など)を詳述する特許請求の範囲を包含し、且つ、支持するものとして見なされなければならない。