(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定具は、さらに、前記固定テープを丸めた状態又は前記固定テープの先端部を基端部側に折り返した状態を保持する仮止め具を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の計器落下防止具。
前記固定テープは、先端部に間接活線工具を引掛け固定テープを移動させることが可能な間接活線工具係止手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計器落下防止具。
前記計器が、クランプ式電流計であり、前記計器の空間部が、クランプが形成する空間部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計器落下防止具。
前記支持具は、可撓性を有するL字部材であり、基端部側が前記収容箱に固定され、基端部側を起点に先端部側を撓ませることが可能なことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計器落下防止具。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態の計器落下防止具1の斜視図である。
図2は、計器落下防止具1の側面図、
図3は、計器落下防止具1の背面図、
図4は、計器落下防止具1にクランプ式電流計101を収容し、固定した状態の斜視図である。本実施形態では、計器にクランプ式電流計101を用いて説明する。
【0023】
計器落下防止具1は、架線201を流れる電流を計測し記憶させるクランプ式電流計101を、間接活線工具を用いて地上に架設された架線201に取付け、又は取外す際に使用する器具である。
【0024】
計器落下保持具1は、クランプ式電流計101を収容する収容箱11と、収容箱11内に収容したクランプ式電流計101を固定する固定具30とを有する。
【0025】
収容箱11は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材からなり、上部が開口した直方体の箱形状を有する。収容箱11の幅及び奥行は、クランプ式電流計101の幅及び奥行よりも僅かに大きく設定され、クランプ式電流計101を無理なく、かつ大きな隙間を生じさせることなく収容することができる。
【0026】
計器落下保持具1は、収容箱11内に収容したクランプ式電流計101を固定する固定具30を有するので、収容箱11の幅及び奥行を大きくしてもクランプ式電流計101が収容箱11から飛び出し、落下することはないが、必要以上に大きくしても実益がなく不経済である。
【0027】
一方、収容箱11の幅及び奥行を必要以上に狭くすべきではない。架線201に吊下げられたクランプ式電流計101を取外すとき、クランプ式電流計101を収容箱11に収容するが、このとき
図9に示すようにクランプ式電流計101に対して、収容箱11を斜め下から嵌め入れることとなる。このとき収容箱11の幅及び奥行が必要以上に狭いと、クランプ式電流計101を収容箱11に収容することが難しくなる。
【0028】
収容箱11の高さは、クランプ式電流計101を収容したとき、収容箱11の上端12がクランプ式電流計101のCTクランプ105のハンドル108の下端近傍となる高さである。但し、収容箱11の高さは、クランプ式電流計101のCTクランプ105が突出し、計器本体103を安定的に収容可能であれば特定の高さに限定されるものではなく、収容箱11にハンドル108が嵌り込む切欠きを設け、計器本体103の全体を収容するようにしてもよい。
【0029】
収容箱11の一方の側面14には、クランプ式電流計101のCTクランプ105の開閉を規制するロック機構を構成するスライドボタン111を露出させるための矩形の切欠き19が設けられている。この切欠き19は、スライドボタン111をスライド可能な長さに設定され、上部は収容箱11の開口面13に臨むように設けられている。
【0030】
収容箱11の底面外壁16には、間接活線工具である絶縁操作棒(共用操作棒)81の先端部に設けられた装着部(図示省略)が嵌り込む連結具20が取付けられている。連結具20に絶縁操作棒81の装着部を嵌め込むことで収容箱11と絶縁操作棒81とを連結することができる。
【0031】
絶縁操作棒81は、絶縁性の棒状体であり、先端部に連結具20に嵌り込む装着部(図示省略)を有する。
【0032】
収容箱11の前面外壁18には、固定具30の構成部材である固定テープ51が係止する面ファスナー63が設けられている。面ファスナー63は、固定テープ51に設けられた面ファスナー62が係止する被係止部材である。面ファスナー63はテープ形状を有し、収容箱11の前面外壁18に幅一杯に取付けられている。
【0033】
固定具30は、収容箱11に収容したクランプ式電流計101を固定し、収容箱11の開口面13が下向きとなった場合であってもクランプ式電流計101が落下することを防止する部材であり、固定テープ51と、固定テープ51を支持する支持具31、固定テープ51を支持具31に仮止めする仮止め具41と、固定テープ51の先端部55を収容箱11に着脱可能に固定する留め具61とを備える。
【0034】
支持具31は、固定テープ51を支持するための部材でありL字形状を有する。支持具31は、電気的絶縁性を有する合成樹脂性帯板材からなり可撓性を有する。支持具31は、屈曲点32を起点に長片部33と短片部34とを有し、長片部33と短片部34とのなす角度θは、屈曲点32を中心に90〜110°の角度である。好ましい角度は、95〜105°程度である。この理由については後述する。
【0035】
支持具31の大きさは、長片部33の長さがクランプ式電流計101の本体の長さよりも僅かに長く、短片部34の長さがクランプ式電流計101の本体の厚さに比較し少し短い程度である。支持具31の幅は、長片部33と短片部34とで同じであり、クランプ式電流計101のCTクランプ105が形成するリング112の直径よりも狭い。
【0036】
支持具31は、収容箱11にクランプ式電流計101を収容したとき、CTクランプ105が形成するリング112内の下方に短片部34が位置するように長片部33の下部が収容箱11の背面外壁17に固着されている。
【0037】
仮止め具41は、固定テープ51を仮止めするための部材であり、本実施形態ではフック42が該当する。フック42は、支持体31と同じ材質からなる一対のL字状部材43からなり、支持具31の短片部34に短片部34の長手方向と平行に門型に取付けられている。フック42の大きさは、CTクランプ105が形成するリング112内に入り込む大きさに丸めた固定テープ51を保持できる大きさであり、フック42自体もリング112内に入り込む大きさである。
【0038】
一対のL字状部材43で形成されるフック42は、可撓性を有し、上面が部分的に開口しており、丸めた固定テープ51を正面方向のみならず上面方向からも押し入れることが可能である。なお、フック42の上面は閉止していてもよい。
【0039】
固定テープ51は、柔軟性を有し、電気的絶縁性を有する合成樹脂材からなる帯状のテープ(バンド、ベルト)である。固定テープ51は、基端部54が支持具31の短片部の先端部35に固定されている。固定テープ51の長さは、先端部55が収容箱11の前面外壁18に設けられた面ファスナー63に達する長さであり、不必要に長くすべきではない。固定テープ51の幅は、支持具31の幅と同じである。
【0040】
固定テープ51は、先端部55に間接活線工具係止手段であるループ部57が設けられている。ループ部57は、固定テープの先端部55側を外側に丸めリング状として接着し形成されている。ループ部57の大きさは、間接活線工具の1つであるバインド打ち器91の先端部92が嵌り込む大きさで、かつクランプ式電流計101のCTクランプ105が形成するリング112の直径よりも小さい。
【0041】
本実施形態に示す固定テープ51では、ループ部57が固定テープ51と一体的に設けられているが、固定テープ51のテープ部とループ部57とを別々に製作し、これを接着してもよい。このとき固定テープ51のテープ部とループ部57との材料が異なっていてもよい。
【0042】
留め具61は、固定テープ51の先端部55を収容箱11に着脱可能に固定するための部材であり、本実施形態では、固定テープ51の裏面に設けられた面ファスナー62と収容箱11の前面外壁18に取付けられた面ファスナー63とが該当する。面ファスナー62と面ファスナー63とは、公知の面ファスナーであり、一方がフック部で他方がループ部であればよい。
【0043】
本実施形態では、固定テープ51の裏面全体に面ファスナー62が設けられているが、固定テープ51の先端部55の裏面のみに面ファスナー62が設けられていてもよい。面ファスナー63は、帯状の形状を有し、収容箱11の前面外壁18に幅一杯に取付けられている。
【0044】
固定テープ51の面ファスナー62と収容箱11の面ファスナー63との接着強度は、クランプ式電流計101を収容した収容箱11の開口面13が下向きとなった場合であってもクランプ式電流計101が落下することを防止できればよく、不必要に大きくすべきではない。
【0045】
使用方法のところで説明するようにクランプ式電流計101は収容箱11に収容され固定テープ51で固定された状態で架線201に吊り下げられ、架線201に吊り下げられた後、固定テープ51の固定が解かれ、計器落下防止具1は回収される。このとき固定テープ51の離脱は間接活線工具を用いて行われるため、面ファスナー62と面ファスナー63との接着強度が強過ぎると固定テープ51を離脱させることができなくなる。面ファスナー62及び面ファスナー63の大きさも、これらの接着強度を勘案し決定される。
【0046】
計器落下防止具1を使用して架線201にクランプ式電流計101を取付ける要領、及び取外す要領を説明する。
図5は、収容箱11に固定したクランプ式電流計101のCTクランプ105をバインド打ち器91で開いた状態を示す図、
図6は、収容箱11に固定したクランプ式電流計101を架線201に吊り下げた状態を示す図である。
図7は、架線201に吊り下げたクランプ式電流計101を収容する計器落下防止具1の固定テープ51を離脱させる様子を示す図である。
【0047】
取付方法の説明に先立ち、クランプ式電流計101の構造について簡単に説明する。クランプ式電流計101は、架線201を流れる電流により誘起される磁界の強度を検出し電流を測定する計測器であり、電流値を記憶させる機能を備える。
【0048】
クランプ式電流計101は、計器本体103と計器本体103の上部に開閉自在に取付けられたCTクランプ105とを備える。計器本体103は、略直方体形状を有し、内部に電流値を計測しこれを記憶させる手段を備える。
【0049】
クランプ105は、コアにコイルが巻かれたセンサを内蔵し、固定クランプ106と可動クランプ107とで架線201を取り囲むリング112を形成する。固定クランプ106は、計器本体103の上部に固定されている。
【0050】
可動クランプ107は、下方にハンドル108が一体的に設けられ、図示を省略した支軸で回動自在に支持されている。可動クランプ107は、図示を省略したばねにより先端部109が常に固定クランプ106側に押付けられている。このため通常、CTクランプ105は、閉じた状態であるが、ハンドル108を押し下げると可動クランプ107が支軸を起点に回動し、CTクランプ105は開いた状態となる。
【0051】
クランプ式電流計101は、可動クランプ107の開閉を規制する手段としてロック機構を備える。ロック機構は、直接的にはハンドル108の動きを規制するものであり、スライドボタン111とスライドボタン111を摺動自在に支持する摺動溝(図示省略)からなる。
【0052】
摺動溝は、ハンドル108の下方の本体計器103に設けられ、スライドボタン111は、摺動溝に上下動可能に嵌り込む。スライドボタン111を上方に移動させると、ハンドル108の押し下げが不能となり、CTクランプ105が開くことを防止する。一方、スライドボタン111を下方に移動させるとハンドル108の押し下げが可能となる。
【0053】
クランプ式電流計101の架線201への取付手順は、次の通りである。計器落下防止具1の収容箱11に、切欠き19側にスライドボタン111が来るようにクランプ式電流計101を収容する。このときクランプ式電流計101のスライドボタン111は解除した状態とする。その後、収容箱11が逆さまとなってもクランプ式電流計101が落下しないように、CTクランプのリング112に固定テープ51を通し留め具61を介して固定する(
図4)。
【0054】
計器落下防止具1の連結具20を利用して計器落下防止具1に絶縁操作棒81を取付ける。一方の手で計器落下防止具1を取付けた絶縁操作棒81を、他方の手でバインド打ち器91を取付けた絶縁操作棒82を持ち、計器落下防止具1を架線201近傍まで持ち上げる。
【0055】
計器落下防止具1を架線201近傍で保持し、バインド打ち器の先端部92をCTクランプのリング112内に挿入し、テコの要領でバインド打ち器の根元93でハンドル108を押し下げ、可動クランプ107を開く(
図5)。この状態でCTクランプ105が架線201を跨ぐまで持ち上げ、その後バインド打ち器91を取外す。これによりクランプ式電流計101を架線201に吊り下げることができる(
図6)。バインド打ち器91を取り外した後は、バインド打ち器91を用いてスライドボタン111を押し上げ、ハンドル108をロックする。
【0056】
次に、バインド打ち器の先端部92を固定テープ51のループ部57に嵌め込み(
図7)、バインド打ち器91を操作し、固定テープ51を収容箱11から剥がす。その状態を維持し、計器落下防止具1を降下させ、クランプ式電流計101から計器落下防止具1を外す。計器落下防止具1を降下させると支持具31の短片部34が、CTクランプ105と接触するが、支持具31は可撓性を有するので外側に撓み、支持具31の短片部の先端35及び固定テープ51がCTクランプ105及び計器本体103に接しながら下がる。
【0057】
計器落下防止具1を降下させるとき支持具31の短片部34がCTクランプ105に引掛ってしまうと、計器落下防止具1をうまく降ろすことができない。このとき支持具31の短片部34の長片部33に対する角度を90°以上とすると、支持具31の短片部34がCTクランプ105上を滑り易くなり、CTクランプ105への引掛りを防止することができる。
【0058】
次に架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101を取外す要領を説明する。
図8は、固定テープ51を基端部54側に丸め、仮止め具であるフック42に係止した状態を示す図である。
図9、
図10及び
図11は、架線201に吊り下げられクランプ式電流計101に計器落下防止具1を取付ける状態を示す図である。
【0059】
まず計器落下防止具1の固定テープ51を基端部54側に丸め、丸めた固定テープ51を支持具31の先端部に設けられたフック42に係止する。このとき丸めた固定テープ51の一部が、フック42よりも前面側に突出するようにする(
図8)。
【0060】
計器落下防止具1の連結具20を利用して計器落下防止具1に絶縁操作棒81を取付ける。一方の手で計器落下防止具1を取付けた絶縁操作棒81を、他方の手でバインド打ち器91を取付けた絶縁操作棒82を持ち、計器落下防止具1を斜めにし、架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101の下方から差し込む(
図9)。
【0061】
この状態では丸めた固定テープ51の先端部、あるいは支持具31の短片部の先端部35が計器本体103に接触するが、支持具31が可撓性を有するので外側に撓み、収容箱11にクランプ式電流計101を収容することができる。
【0062】
収容箱11へのクランプ式電流計101の収容を完了すると、支持具31の短片部34がCTクランプのリング112内に入り込み、丸めた固定テープ51の先端部がCTクランプ105から突出した状態となる(
図10)。この状態で丸めた固定テープ51の先端部にバインド打ち器の先端部92を挿通し、固定テープ51を収容箱11の前面側(正面側)に引っ張る(
図11)。
【0063】
固定テープ51が収容箱11の前面側に垂れ下がった後、固定テープ51の先端部55を収容箱11の面ファスナー63に接着させ、クランプ式電流計101を収容箱11内に固定する(
図6参照)。
【0064】
次に架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101のスライドボタン111をバインド打ち器91を用いて下げ、ハンドル108のロックを解除する。その後、バインド打ち器の先端部92をCTクランプのリング112内に挿入し、テコの要領でバインド打ち器の根元93でハンドル108を押下げ、可動クランプ107を開く(
図5参照)。この状態でCTクランプ105が架線201を跨ぐまで降下させれば、計器落下防止具1にクランプ式電流計101を保持した状態でクランプ式電流計101を取り外すことができる。
【0065】
上記の通り、架線201に吊り下げたクランプ式電流計101から計器落下防止具1を取り去るとき、支持具31の短片部34とCTクランプ105及び計器本体103との引掛りを無くすには、短片部34の長片部33に対する角度θが大きい程好ましい。一方で、短片部34の長片部33に対する角度θを大きくし過ぎると、架線201に吊り下げたクランプ式電流計101に計器落下防止具1を取付けるとき、丸めた固定テープ51又は支持具31の短片部34がCTクランプのリング112を通過することができない。以上のことから支持具31の短片部34の長片部33に対する好ましい角度θは、95〜105°程度である。
【0066】
図12は、本発明の第2実施形態の計器落下防止具2の側面図であり、支持具31の短片部の先端部35に固定テープ51の輪を形成させた状態を示す。
図1から
図4に示す第1実施形態の計器落下防止具1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の計器落下防止具2も計器にクランプ式電流計101を用いて説明する。
【0067】
第2実施形態の計器落下防止具2と第1実施形態の計器落下防止具1とは、支持具31に設けられた固定テープ51の仮止め具41であるフック44の位置及びフック44の大きさを除き、他の点は同一である。
【0068】
支持具31に設けられたフック44は、第1実施形態に示すように架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101を計器落下防止具2に収容する際に使用される。具体的には、フック44は、収容箱11へクランプ式電流計101を収容したとき、固定テープの先端部55にバインド打ち器の先端部92を挿通させ固定テープ51を収容箱11の正面側に引っ張り出せる状態を作り出すために使用される。つまり支持具31の短片部の先端部35にバインド打ち器の先端部92を挿通させることができる固定テープ51の輪を作り出すことができればよい。
【0069】
第2実施形態の計器落下防止具2では、フック44が支持具31の長片部33に設けられており、フック44の大きさ(高さ)は、第1実施形態のフック42に比較して小さい。フック44には、固定テープ51のループ部57を係止させる。フック44の位置は、固定テープの先端部55を支持具31の長片部33側に折り返すことで短片部の先端部35に固定テープ51の輪ができる位置である。
【0070】
計器落下防止具2を使用してのクランプ式電流計101の架線201への取付け要領、取り外し要領は、計器落下防止具1と同じである。第1実施形態の計器落下防止具1では、クランプ式電流計101を取り外す際に、支持具31の短片部の先端部35に丸めた固定テープ51を仮止めした状態で収容箱11にクランプ式電流計101を収容したが、第2実施形態の計器落下防止具2では、固定テープ51を折り返し、固定テープのループ部57をフック44に係止させ、支持具31の短片部の先端部35に固定テープ51の輪を形成させ、収容箱11にクランプ式電流計101を収容すればよい。
【0071】
図13は、本発明の第3実施形態の計器落下防止具3の斜視図である。
図1から
図4に示す第1実施形態の計器落下防止具1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態の計器落下防止具3も計器にクランプ式電流計101を用いて説明する。
【0072】
第3実施形態の計器落下防止具3は、第1実施形態の計器落下防止具1と比較して固定テープ51の仮止め具41が異なる。第1実施形態の計器落下防止具1の仮止め具41は、支持具31の短片部の先端部35に設けられたフック42であるが、計器落下防止具3は、仮止め具41に面ファスナー45を使用する。
【0073】
具体的には、支持具31の短片部の先端部35に丸めた固定テープ51の面ファスナー62が接着する面ファスナー45を取付ける。これにより丸めた固定テープ51を支持具31の短片部の先端部35に固定することができる。
【0074】
丸めた固定テープ51の支持具31の短片部先端部35への固定は、架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101を収容箱11に収容する間だけ保持されていればよく、架線201に吊り下げられたクランプ式電流計101を収容箱11に収容した後は、固定された固定テープ51をバインド打ち器91で取外す必要があるため固定テープ51の面ファスナー62及び支持具31に取付けられた面ファスナー45の接着力を極端に大きくすべきではない。
【0075】
第3実施形態の計器落下防止具3の使用方法は、第1実施形態の計器落下防止具1の使用方法と同じであるので説明を省略する。第3実施形態の計器落下防止具1の考え方は、第2実施形態の計器落下防止具2へも適用可能である。つまりフック44を面ファスナー45に代えてもよい。
【0076】
図14は、本発明の第4実施形態の計器落下防止具4の側面図であり、支持具31の短片部の先端部35に固定テープ52の輪を形成させた状態を示す。
図15は、計器落下防止具4において固定テープ52を剥がす様子を示す図である。
図12に示す第2実施形態の計器落下防止具2と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。第4実施形態の計器落下防止具4も計器にクランプ式電流計101を用いて説明する。
【0077】
第4実施形態の計器落下防止具4は、第2実施形態の計器落下防止具2と類似の構成からなるが固定テープ52の形状が異なる。第2実施形態の計器落下防止具2は、固定テープ51の先端部55にループ部57を備える。これに対して第4実施形態の計器落下防止具4の固定テープ52は、先端部55にループ部57がなく、基端部54から先端部55まで同一の幅の帯状である。計器落下防止具4の使用方法は、第2実施形態の計器落下防止具2と基本的に同じである。
【0078】
但し、第4実施形態の計器落下防止具4の場合、収容箱11に収容したクランプ式電流計101を固定テープ52で固定する場合、固定テープ52と計器本体103との間に少し隙間ができるように固定する。このような固定方法であっても、固定テープ52は、CTクランプ105のリング112を挿通した状態で固定されているので収容箱11からクランプ式電流計101が落下することはない。
【0079】
第2実施形態の計器落下防止具2の固定テープ51のみならず、第1及び第3実施形態の計器落下防止具1、3においても固定テープ51は先端部55にループ部57を有する。このループ部57は、収容箱11の面ファスナー63に接着させた固定テープ51を、バインド打ち器91を用いて剥がすときバインド打ち器の先端部92を引掛けるために設けられたものである。
【0080】
第4実施形態の計器落下防止具4の場合、固定テープ52にループ部57が設けられていないので、収容箱11の面ファスナー63に接着させた固定テープ52を剥がすときは、バインド打ち器の先端部92を固定テープ52と計器本体103の前面との間に差し込み、バインド打ち器の先端部92を固定テープ52に沿って降下させ、収容箱11の前面外壁18と固定テープ52との間に差し込み、両者の間隔が広がるようにバインド打ち器91を操作し、固定テープ52を剥がす(
図15)。
【0081】
第1実施形態のところに記載したように固定テープ51に取付けられた面ファスナー62と収容箱11に取付けられた面ファスナー63との接着力は、不必要に大きく設定されていないので上記方法で接着状態の固定テープ52を剥がすことができる。
【0082】
第2実施形態の計器落下防止具2では、仮止め具41であるフック44は、固定テープ51のループ部57を係止する。これはループ部57以外の場所を係止すると、固定テープ51を収容箱11の前面側に引っ張ったとき、ループ部57がフック44に引っ掛かるためである。このため先端部55にループ部57を有する固定テープ51の場合、ループ部57をフック44に係止する必要がある。
【0083】
これに対して第4実施形態の計器落下防止具4では、先端部55にループ部57を備えていないため固定テープ52のいずれの場所をフックで係止してもよい。このため第4実施形態の計器落下防止具4では、仮止め具41であるフック46が支持具31の屈曲点32近傍に設けられており、フック46の大きさ(高さ)も第2実施形態の計器落下防止具2のフック44に比較して小さい。
【0084】
第4実施形態の計器落下防止具4では、仮止め具41にフック46を使用するが、第3実施形態の計器落下防止具3の考え方を第4実施形態の計器落下防止具4へ適用し、第4実施形態の計器落下防止具4の仮止め具41を面ファスナー45に変更してもよい。
【0085】
図16は、本発明の第5実施形態の計器落下防止具5の斜視図である。
図1から
図4に示す第1実施形態の計器落下防止具1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。第5実施形態の計器落下防止具5も計器にクランプ式電流計101を用いて説明する。
【0086】
第5実施形態の計器落下防止具5は、他の実施形態の計器落下防止具と比較し、留め具61の構成が異なる。これに伴い固定テープ53も他の実施形態の固定テープ51、52と異なる。
【0087】
第1実施形態の計器落下防止具1を始め、他の実施形態の計器落下防止具2、3、4では、面ファスナーを利用して固定テープ51、52を収容箱11に着脱可能に固定するが、第5実施形態の計器落下防止具5では、留め具61にいわゆる差込錠の機構を使用する。
【0088】
第5実施形態の留め具61は、固定テープ53の先端部55に取付けられた係止爪65と収容箱11の前面外壁18に設けられた被係止具69とで構成される。被係止具69は、係止爪65が着脱可能に係止する部材である。係止爪65の先端部には、係止爪65を被係止具69に誘導するための誘導具71が設けられている。
【0089】
固定テープ53は、柔軟性を有し、電気的絶縁性を有する合成樹脂材からなる帯状の部材でありゴム弾性を有する。固定テープ53は、収容箱11に収容したクランプ式電流計101のCTクランプのリング112を通過させ収容箱11の前面側に垂れ下がった状態としたとき、先端部に設けられた係止爪65が被係止具69に僅かに届かない長さに設定されている。
【0090】
係止爪65は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材で形成された基台部66と爪部67とからなる。係止爪65の幅は、支持具31と略同一であり、係止爪65の大きさは、CTクランプのリング112を通過できる大きさである。
【0091】
基台部66と爪部67とは共に板状であり、爪部67は、後端部に折曲部68が設けられている。爪部67と基台部66とは互いの先端部を連結させ、爪部67は、基台部66に対して傾斜しており、長手方向に切断した断面が三角形を有している。
【0092】
係止爪65は、爪部67の後端部を基台部66側に押し込むと爪部67と基台部66との間隔が狭まり、押し込みを停止すると爪部67と基台部66とは元の間隔になる。つまり係止爪65は、ばね機構を備えていると言える。
【0093】
誘導具71は、係止爪65を被係止具69に導くためのものであり、紐72と紐72に連結されたリング体73からなる。紐72の一端は、係止爪65の先端部に固定され、紐72の他端には、リング体73が接続される。リング体73は、柔軟性を有し、バインド打ち器の先端92を引掛けることができる大きさからなり、係止爪65を被係止具69に係止する際に使用する。
【0094】
被係止具69は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材で形成された一対のL字状の係止片70からなり、収容箱11の前面外壁18に互いの天井面が向きあうように固着されている。係止片70は、帯板材が直角に折り曲げられ形成されている。一対の係止片70の側部の間隔は、係止爪65が嵌り込み可能に係止爪65の幅よりも僅かに大きく設定されている。一対の係止片70の天井部の高さは、係止爪65の爪部67の後端部よりも低い。一方、爪部67の後端部を基台66側に押し込むと係止片70の天井面をかわすことができる。
【0095】
一対の係止片70の天井部の間には、間隔が設けられており、係止爪65の先端部に固定された紐72はこの部分を通過することができる。リング体73も柔軟性を有するためこの部分を通過することができる。
【0096】
支持具31には、固定テープ53を仮止めする仮止め具41として第2実施形態のフック44と同様のフック(図示省略)が設けられている。フック44は、係止爪65の先端部から中間部程度まで差し込むことができる大きさである。
【0097】
第5実施形態の計器落下防止具5の使用方法を説明する。基本的には、第2実施形態の計器落下防止具2の使用方法と同じである。
【0098】
収容箱11に収容したクランプ式電流計101を固定するには、係止爪65を被係止具69に係止させればよい。架線201に吊り下げた状態のクランプ式電流計101から計器落下防止具5を取り外すときは、バインド打ち器91で係止爪65の爪部67を押し込む。固定テープ53は、弾力性を有し、かつ長さが短く設定されているので、爪部67が被係止具69の天井部をかわすまで押し込まれると、係止爪65が被係止具69から外れる。第2実施形態の計器落下防止具2と同じ要領で計器落下防止具5を取外す。
【0099】
架線201に吊り下げた状態のクランプ式電流計101を取外すに際し、架線201に吊り下げた状態のクランプ式電流計101に計器落下防止具5を取付けるときは、固定テープ53を基端部54側に折り返し、フック(図示省略)に係止爪65を差し込み、固定テープ53を仮止めし、支持具31の短片部先端部35に固定テープ53の輪を作る。
【0100】
クランプ式電流計101が収容箱11に収容された後は、固定テープ53の輪にバインド打ち器の先端部92を挿通し、固定テープ53を収容箱11の前面側(正面側)に引っ張る。固定テープ53が収容箱11の前面側に垂れ下がった後に、リング体73にバインド打ち器の先端部92を引掛け、これを下方に引張り、係止爪65を被係止具69に係止させる。以降、第2実施形態の計器落下防止具2と同じ要領で計器落下防止具5を取外す。
【0101】
以上、第1〜第5実施形態の計器落下防止具1、2、3,4、5に示すように本発明の計器落下防止具は、収容箱に収容された計器に対して、計器の空間部に固定テープを挿通し固定するので収容箱が誤って下向きとなっても計器が落下することがない。また計器を架線に取付けた後に、計器落下防止具は回収されるので経済性に優れる。
【0102】
計器の固定、解除、つまり固定テープの操作は、間接活線工具を用いて行うことができるため地上に架設された架線への計器への取付け、取り外しも安全に行うことができる。特に、収容箱に収容された計器を固定する固定テープ及びそれを支持する支持具が、収容箱に収容された計器の空間部に挿通容易に設けられているので間接活線工具を用いた固定テープによる計器の固定、解除は容易である。
【0103】
さらに計器落下防止具に、バインド打ち器の先端を引掛けることができるように輪が形成された固定テープを保持する仮止め具、固定テープの先端部に間接活線工具を引掛け固定テープを移動させることが可能な間接活線工具係止手段を設けることでより容易に固定テープを移動させることができる。
【0104】
本発明の計器落下防止具は、構造が簡単で、重量も軽いので取り扱いも容易である。また固定テープの固定には面ファスナーを使用することができるので安価に製造することができる。
【0105】
本発明の計器落下防止具は、地上に架設された架線へのクランプ式電流計の取付け、取外しに好適に使用することができる。計器は、固定テープ及び支持具が挿通可能な空間部を有する計器であれば、クランプ式電流計以外の計器にも使用することができる。
【0106】
第1〜第5実施形態により本発明の計器落下防止具を説明したが、本発明の計器落下防止具は、本実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。